デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
1款 東京株式取引所
■綱文

第13巻 p.459-473(DK130036k) ページ画像

明治19年10月27日(1886年)

栄一、曩ニ共同相場会所設立ニ関シ農商務次官吉田清成ニ諮問セラレシ益田孝・岩崎弥之助・川崎八右衛門・原六郎他府下有力実業家ト共ニ、日本橋区坂本町銀行集会所ニ会シ、復申案ヲ議ス。思フニ商品取引所条例草案ニ関シテナランカ。是年十一月、農商務省編成ニカカル商品取引所条例草案ノ閣議ニ上程セラルルコトアリ。


■資料

渋沢栄一 書翰 吉田清成宛(明治一九年)一〇月二七日(DK130036k-0001)
第13巻 p.459 ページ画像

渋沢栄一 書翰 吉田清成宛(明治一九年)一〇月二七日
               (京都帝国大学文学部国史研究室所蔵)
拝読仕候、今朝御垂示之一条ニ付書類一包御遣し被下且縷々之御示諭一々拝承仕候、幸原六郎氏も参り合候ニ付一応申談候処、先刻小生より申上候趣旨と全く同案之由ニて篤と是迄之事情承知之上両人之愚考も相立其上
台下へ相伺然ル後仲裁とか又ハ何とか申名ニて立入可申方と相考候次第ニ候、就而ハ原氏も明日参上之事ハ御免相願、早々両人之間ニ於て御下付之書類拝見之上尚時日を約し片山君ニ御面会相願其上思考之詳細申上候様可仕候
右之段只今両人申合之上拝答仕候 匆々頓首
  十月廿七日
                     渋沢栄一
    吉田次官閣下


中外物価新報 第一三七〇号〔明治一九年一〇月二九日〕 ○縉商の集議(DK130036k-0002)
第13巻 p.459-460 ページ画像

中外物価新報 第一三七〇号〔明治一九年一〇月二九日〕
○縉商の集議 過日共同相場会所設立一件の議に付きて農商務次官の邸へ参集されたる縉商の面々ハ、一昨廿七日午後再び坂本町銀行集
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会所へ集り彼の草案なるものに付きて何か議する所ありしと聞けり


新聞集成明治編年史 第六巻・第三四八―三四九頁〔昭和一〇年一〇月〕(DK130036k-0003)
第13巻 p.460 ページ画像

新聞集成明治編年史 第六巻・第三四八―三四九頁〔昭和一〇年一〇月〕
  共同相場会社
    創立の必要と利益
 〔一〇・二九○明治一九年郵便報知〕共同相場会社 ○同社創立の事に付吉田農商務次官より紳商諸氏へ諮問ありたる趣は前号に記せしが渋沢・岩崎・益田・川崎の諸氏を始め其他の十一名は一昨日右復申の為めに相談会を開きたり、今農商務省にて新に此会社を創立せんとするの要旨なりと云ふを聞くに「我国の株式取引所及び米商会所等は少しく英米に似たる所あれども、純然たる英米の制にもあらず、仏・曼・露・白等の相場会社などゝは全く其の性質を異にせる合本会社にて其株主と売買人とは別物となり、随て利益分配を多くするなどの精神より、手数料其他の失費も嵩み、其間空相場、密売買も行はれ、幾んど賭博場同様の観を呈し、正業者の賤みを受け、上流なる真面目の商人は却て此場に立入るを屑ぎよしとせざるに至り、種々様々の不都合をも生じたることなり、就ては此際仏のブールスに擬して共同相場会社を設け、株金をば募らず、各信任金五千円乃至一万円を差出したる仲買人若干名を置きて売買をなさしむることに定めば、自ら其品位も高く、弊風も止むべし」といふに在る趣なるが、右の諸氏は大体に於ては此改正を可とし、但其細目に付きて仲買人のみに依頼せず、米は深川辺の大問屋始め、実際正米取引を営み居るもの、公債は各銀行役員の如きものに親しく此会社に立入りて売買するを許す事、信任金の外に会社即集合体の責めに任ずべき金円を何千円なり持寄る事、税金を引下る事等の意見もあり、要するにブールス創設の其の事には同意なれども、之れが為め市場に激変を生ずるが如きは、最も忌むべきことなれば、現に存立せる米商会所及び株式取引所の処置に就ては、政府に於て成る可く穏当円満の処置を施さんことを希望するとの説には、何れも同意なりしと。


中外物価新報 第一三八〇号〔明治一九年一一月一一日〕 ○両会所臨視(DK130036k-0004)
第13巻 p.460 ページ画像

中外物価新報 第一三八〇号〔明治一九年一一月一一日〕
○両会所臨視 農商務省商務局次長佐野常樹・参事官鬼頭悌二郎の両氏並に御雇独逸人ラートゲン氏ハ、昨日午前十時頃東京株式取引所へ出張し同所頭取河野敏鎌氏と面晤せし後、本場第二節売買取引の実況を臨撿し、夫より東京米商会所へ赴き同じく売買の摸様を臨視されたる由


農商務省第七回報告 第二〇〇頁明治二一年三月三一日(DK130036k-0005)
第13巻 p.460 ページ画像

農商務省第七回報告 第二〇〇頁明治二一年三月三一日
  商務局
○上略
    取引所
○上略 条例案ヲ編成シ同年○十九年十一月之ヲ内閣ニ提出ス○下略


松方家文書 第四六号・第二八文書 【株式取引所条例草案】(DK130036k-0006)
第13巻 p.460-466 ページ画像

松方家文書 第四六号・第二八文書(大蔵省文庫所蔵)
 - 第13巻 p.461 -ページ画像 
    株式取引所条例草案
  株式取引所条例
    第一章 総則
第一条 株式取引所ハ公債証書証券其他諸社ノ株式等ヲ売買取引スル為メ集会シ及其相場ヲ公定スル所トス
第二条 此条例ニ於テ株式取引委員ト称スルハ他人ノ委託ニ依リ公債証書証券及株式等ノ売買取引ヲ媒介スル者ヲ云フ
第三条 此条例ニ於テ転売ト称スルハ其既ニ買受ケタルモノヲ約定期限内ニ於テ第三者ニ売渡スヲ云フ、買戻ト称スルハ其既ニ売渡シタルモノヲ約定期限内ニ於テ其対手者ヨリ更ニ買受クルヲ云フ
第四条 何人ト雖モ株式取引委員ノ媒介ニ由ルニ非サレハ株式取引所ニ於テ売買取引ヲ為スコトヲ得ス
第五条 左ニ掲クル所ノ者ハ株式取引所ニ於テ売買取引ヲ為スヲ得ス
 第一 後見人ヲ有スル者
 第二 身代限リノ処分ヲ受ケ未タ義務ノ弁償ヲ終ヘサル者
 第三 公権剥奪若クハ停止中ノ者
第六条 株式取引所ニ於テ売買取引スヘキ公債証書証券株式等ノ種類ハ大蔵大臣農商務大臣之ヲ定ム
第七条 株式取引所ハ商業上便宜必要ノ地方ニ於テ其地方ノ有志者農商務大臣ノ特許ヲ得テ設立スルモノトス
第八条 株式取引所ヲ設立スルニハ東京大阪ニ於テハ二十人以上其他ノ地方ニ於テハ十人以上創立員トナリ府県知事ヲ経テ農商務大臣ニ願出ヘシ、但府県知事ハ該設立願書ニ意見書ヲ添付ス可シ
第九条 東京大阪ハ三十名以上其他ノ地方ハ十五名以上ノ株式取引委員アルニ非サレハ売買取引ヲ開始スルコトヲ得ス
第十条 取引所設立ノ特許ヲ得タル日ヨリ満一ケ年以内ニ売買取引ヲ開始セサルトキハ其特許ハ無効タル可シ
    第二章 株式取引員
     第一款 委員ノ撰任ニ関スル規定
第十一条 株式取引委員タラント欲スル者ハ其職業住所姓名年齢並詳密ナル履歴書ヲ具シテ管庁ニ願出可シ
第十二条 府県知事ハ前条ノ願書ヲ銀行集会所若クハ商工会議所ニ下附シテ之ヲ審議シ意見書ヲ添ヘテ具申セシムヘシ
第十三条 府県知事ハ尚ホ前条ノ願書ニ意見書ヲ附シテ農商務大臣ニ稟申シ農商務大臣之ヲ任スルモノトス
第十四条 株式取引委員ハ其姓名住所並業務上使用ス可キ印鑑ヲ管轄始審裁判所ニ届出、裁判所ハ之ヲ帳簿ニ記載スヘシ
第十五条 左ニ掲クル所ノ者ハ株式取引委員タルヲ得ス
 一、未丁年者
 二、身代限ノ処分ヲ受ケ未タ弁償ノ義務ヲ終ヘサル者
 三、本条例ニ違犯シ処分ヲ受ケタル後満二ケ年ヲ経サル者
 四、盗罪詐欺取財ノ罪ニ付刑ニ処セラレタル者
 五、貨幣偽造ノ罪印章文書偽造ノ罪及ヒ偽証誣告ノ罪ニ付刑ニ処セラレシ者其他重罪ノ刑ニ処セラレシ者
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 六、賭博犯ニ付懲罰ニ処セラレタル後満三ケ年ヲ経サル者
     第二款 株式取引委員ノ権限ニ関スル規定
第十六条 株式取引委員ハ公債証書証券株式等ノ相場・種類・数額並約定年月日及其売買取引誠実ナルコト及其所有主ノ正確ナルコトヲ証明スルノ責任アルモノトス
第十七条 株式取引委員ハ其売買取引ヲ約定シタルトキハ其物件若クハ金員受渡ノ完結ヲ担保スルノ責任アルモノトス
第十八条 株式取引委員ハ売買取引上依託者ノ意ニ反シタルノ所為ヲ為シ依託者ニ損失ヲ被ラシムルコトアル時ハ之ヲ弁償スルノ責任アルモノトス
第十九条 株式取引委員ハ売買物件若クハ買入代金又ハ証拠金ヲ受取ラスシテ売買ノ依託ヲ受クルコトヲ得ス
第二十条 株式取引委員ハ取引所ニ於テ自己ノ為ニ売買取引ヲ為スコトヲ得ス
第二十一条 株式取引委員ハ諸会社及銀行ノ役員トナルコトヲ得ス
第二十二条 株式取引委員ハ他ノ取引委員ト合併シテ其業務ヲ行フコトヲ得ス
第二十三条 取引委員ノ手帳及日記簿ニ記入シタル依託者ノ姓名其他秘密ノ事件ハ必要アル場合ノ外ハ之ヲ他人ニ洩スヘカラス
     第三款 株式取引委員ノ代理人及手代ニ関スル規定
第二十四条 株式取引委員ハ代理人又ハ手代ヲ以テ売買取引ニ従事セシムルコトヲ得、此場合ニ於テ代理人又ハ手代ノ行為ニ関シテハ株式取引委員総テ其責ニ任ス可シ
第二十五条 株式取引委員ニ於テ代理人又ハ手代ヲ用ヒント欲スルトキハ其旨取引所役員ニ申出許可ヲ受クヘシ、但代理人ノ期限ハ一ケ年ヲ超ユルヲ得ス
 本条例第十五条ニ掲クル所ノモノハ代人ニモ適用ス
第二十六条 代理人又ハ手代ニ於テ売買取引ニ従事スルトキハ総テ株式取引委員ノ名ヲ以テ之ヲ行フ可シ
     第四款 株式取引委員ノ身元保証金ニ関スル規定
第二十七条 株式取引委員ハ身元保証金二千円以上一万円以下ヲ管庁ニ差出スモノトス、但其数額ハ其管轄府県知事ノ意見書ニ依リ農商務大臣之ヲ定ム
第二十八条 前条ノ保証金ハ税金並本人ノ違犯ニ係ル罰金及依託者ヨリノ売買取引若クハ取引所ニ対スル計算ノ保証ニ充ルモノトス
第二十九条 株式取引委員ニ於テ売買依託者ヨリ物件若クハ買入代金ヲ預リ之カ媒介ノ義務ヲ結了セサルトキハ、依託者ヨリ取引所役員ニ申立其保証金ヲ差押ユルコトヲ得
第三十条 株式取引委員死去ノ場合ニ於テハ其相続人又ハ代権者ヨリ他ノ取引委員二名以上ノ連署ヲ以テ其旨取引所役員ニ申出、一ケ月間之ヲ取引所会場ニ公告シテ毫モ本人ニ対シ義務ノ支払ヲ要求スル者ナキ旨ヲ証明シタル後ニ非サレハ、保証金ノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス
株式取引委員免黜若クハ辞職ノ場合ニ於テハ亦同シ
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    第三章 株式取引所役員
     第一款 役員ノ選任ニ関スル規定
第三十一条 株式取引所ニ左ノ役員ヲ置ク
  理事長
  理事
  常置員
第三十二条 株式取引所役員ハ株式取引委員ノ総会ヲ開キ多数投票ヲ以テ之ヲ推薦シ、管庁ヲ経由シテ農商務大臣之ヲ任スルモノトス
  但理事長及ヒ理事ハ総会ノ協議ニ依リ会員外ヨリ之ヲ選挙スルコトヲ得、但此場合ニ於テハ第二章第十二条・第十三条・第十四条第十五条ノ規定ニ従フヲ要ス
第三十三条 役員ノ任期ハ満一ケ年トス、但株式取引委員総会ニ於テハ之ヲ複選スルコトヲ得
     第二款 役員ノ職務ニ関スル規定
第三十四条 理事長ハ株式取引所役員並株式取引委員ヲ監督シ取引所内一切ノ事務ヲ総理スルモノトス
第三十五条 理事長ハ公債証書其他ノ諸相場ヲ公定スルニ方リ特ニ其正確ナルヤ否ヤヲ勘査スルノ責任アルモノトス
第三十六条 理事長ハ開場中取引所内ノ静謐ヲ擾乱スル者ヲ退場セシムルヲ得
第三十七条 理事長ハ本条例ノ規定ニ違フ者ヲ捜査シテ司法官吏ニ告発シ又ハ取引所ノ規約ニ背反スル者ヲ懲戒ス可シ
第三十八条 理事長ハ開場中売買取引ノ状況穏当ナラスト思料スルトキハ之ヲ中止シ直チニ其旨ヲ農商務大臣ニ具申ス可シ
第三十九条 理事ハ理事長ノ指揮ヲ受ケ各々其分課ノ事務ニ従ヒ理事長差支アルトキハ其事務ヲ代理スルコトヲ得
第四十条 常置員ハ取引所内ノ取締ヲ監視シ及取引所内ノ売買取引ヨリ生スル争論ヲ仲裁ス可シ
第四十一条 取引所役員ハ取引所ニ於テ自己ノ為ニ売買取引ヲ為スコトヲ得ス
    第四章 株式取引委員手数料
第四十二条 取引委員ノ手数料ハ役員会議ニ於テ其数額ヲ議決シ、管庁ヲ経由シテ大蔵大臣農商務大臣ニ禀申ス可シ
第四十三条 府県知事ハ前条ノ願書ニ意見書ヲ附シテ大蔵大臣農商務大臣ニ禀申シ、大蔵大臣農商務大臣之ヲ定ムルモノトス
第四十四条 前条ノ手数料ハ売買依託者双方ヨリ其数額ヲ折半シテ之ヲ払フ可シ、但他ノ一方ニテ之ヲ払フ可キコトヲ約シタルトキハ此限ニ在ラス
第四十五条 株式取引委員ハ売買約定切符ヲ交付セサル以前ニ於テ手数料ヲ要求スルヲ得サルモノトス○コノアト第五章表示ヲ欠ク
第四十六条 株式取引委員ニ於テ各自ノ職務ヲ行フニ方リ争論ヲ生シタルトキハ取引所役員ニ申告シテ仲裁和解ヲ乞フ可シ、此場合ニ於テ取調ヲ受ルトキハ代言人ヲ出スコトヲ得ス
第四十七条 前条ノ場合ニ於テハ常置員ノ多数ヲ以テ其争論ヲ裁決調
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停ス可シ、但其可否同数ナルトキハ理事長之ヲ決スルモノトス
第四十八条 株式取引所役員ハ仲裁上必要ト認ムルトキハ事実参考人トシテ他ノ株式取引委員ヲ喚出スルコトヲ得、此場合ニ於テ他ノ株式取引委員ハ故ナク之ヲ辞スルコトヲ得ス
    第六章 売買取引
     第一款 開場時間及売買手続ニ関スル規定
第四十九条 取引所ノ開場時間及休日ハ取引所役員ニ於テ之ヲ定メ、東京府下ハ警視総監、他ノ府県ハ警部長ニ届出認許ヲ受ク可シ
 臨時休業ヲ為ストキモ亦同シ
第五十条 取引委員ハ売買約定ヲ為シタルトキハ翌日ノ開場マテニ受渡ヲ為ス可シ
 若シ期日ヲ定メテ売買約定ヲ為シタルトキハ其期日マテニ受渡ヲ為ス可シ
 受渡ヲ為スニハ必ス現物ヲ用ユルヲ要ス、其代価ノ差額ノミヲ以テ決算スルコトヲ得ス
第五十一条 約定期限内ニ於テ其売渡シタルモノヲ買戻シ又ハ其買受ケタルモノヲ転売スルコトヲ得ルト雖モ証拠金差入前ニ於テ之ヲ為スコトヲ得ス
第五十二条 期日ヲ定メテ売買約定ヲ為スニハ三ケ月ヲ超ユルヲ得ス
第五十三条 株式取引委員ハ証書若クハ株券ノ数額ヲ限リ又ハ建物ヲ設ケテ之ヲ売買スルコトヲ得ス
第五十四条 株式取引委員ハ期日ヲ定メテ売買約定ヲ為シタルトキハ売買双方ヨリ取引所ニ証拠金ヲ差入ル可シ
第五十五条 取引所役員ハ証拠金ノ割合ヲ定メ農商務大臣ニ禀申シ認許ヲ受ク可シ
     第二款 株式取引委員ノ手帳及日記簿ニ関スル規定
第五十六条 株式取引委員ハ売買ノ契約ヲ為シタルトキハ直チニ売買約定切符ヲ作リ、売買物件ノ種類・数額・価格及ヒ年月日等ヲ記載シ之レニ署名捺印シテ取引所役員ニ出シ其検印ヲ受ケテ依託者ニ交付ス可シ
第五十七条 取引委員ハ予テ注文帖ヲ作リ置キ依託者ヨリ売買ノ依託ヲ受ケタルトキハ、其物件ノ種類・数額・年月日等ヲ記入シ依託者ノ調印ヲ受ケ置クヘシ
 但調印ヲ受クルコト能ハサル場合ニ在テハ其確証アル依頼書又ハ其他ノ書類ヲ取置クヘシ
第五十八条 取引委員ハ予テ手帳ヲ作リ置キ売買約定ヲ為シタルトキハ直チニ其売買物件ノ種類・数額・価格等ヲ記入スヘシ
第五十九条 取引委員ハ日記簿ヲ作リ、其売買結行ノ事跡及物件ノ種類・数額・価格並受渡ノ期日等ヲ記入シ取引所役員ノ検印ヲ受クヘシ
第六十条 取引委員死亡辞職若クハ罷免セラルヽトキハ其日記簿ヲ管庁ニ納ムヘシ
第六十一条 取引委員ノ発スル売買約定切符及ヒ手帖・日記簿ニ記簿シタル事件ハ裁判所ニ於テ証拠トナルノ効ヲ有ス
 - 第13巻 p.465 -ページ画像 
第六十二条 取引委員ハ売買約定ノ満期ニ至レハ結算書ヲ作リ之ヲ依託者ニ交付スヘシ
     第三款 相場公定ニ関スル規定
第六十三条 取引所ニ於テ売買取引シタル相場ヲ平均シ之ヲ公定相場トス、但之ヲ平均スルニハ左ノ区別ニ依リ現場取引ト定期取引トヲ分ツ可シ
  寄付相場
  大引相場
  最昂相場
  最低相場
  平均相場
第六十四条 取引所役員ハ相場ヲ公定シタルトキハ直チニ相場表ヲ作リテ会場ニ掲示シ且ツ新聞紙ニテ公告ス可シ
    第七章 経費
第六十五条 取引所ノ経費ハ株式取引委員ニ於テ之ヲ負担スルモノトス
第六十六条 取引所理事長ハ毎年十一月ニ於テ株式取引委員ノ総会ヲ開キ、翌年ノ経費予算及課収方法ヲ議定シテ農商務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
第六十七条 経費金ノ徴収ハ其需用ニ従ヒ二期又ハ三期ニ区分シテ徴収ス可シ
    第八章 納税
第六十八条 取引所ノ納税ハ別ニ判定《(制カ)》スル所ノ税則ニ拠ル可キモノトス
    第九章 取引所内ノ取締並監督
第六十九条 警視総監・府県知事ハ取引所内ニ属スル取締上ノ必要ヲ認メタルトキハ、農商務大臣ノ認可ヲ得テ、取締規則ヲ施行スルコトヲ得
第七十条 取引所役員又ハ取引委員ニ於テ不当ノ行為アリト思料シタル場合ニ於テハ、警視総監・府県知事ハ該役員及株式委員ノ職務停止ヲ農商務大臣ニ稟申ス可シ
第七十一条 警視総監・府県知事ハ本条例ニ違反シタル秘密ノ売買取引ヲ捜査スル為メ必要ナル処置ヲ施ス可シ
第七十二条 農商務大臣ハ取引所役員又ハ取引委員ノ行為不当ナリト認ムルトキハ、之ヲ取消シ若クハ執行ヲ差止メ又ハ其職務ヲ停止シ或ハ之ヲ免黜スルコトアル可シ
    第十章 罰則
第七十三条 取引所ノ内外ヲ問ハス、取引委員ニ非スシテ、取引所ニ於テ売買取引ス可キ物件ノ売買取引ヲ媒介スル者ハ二百円以上千円以下ノ罰金ニ処ス、其売買取引ヲ委託シタル者モ亦同シ
第七十四条 凡ソ何人ヲ問ハス、取引所ノ開場時間外ニ在テ窃カニ、取引所ニ於テ売買取引ス可キ物件ヲ売買スル為メ集会スル者ハ五十円以上千円以下ノ罰金ニ処ス
 若シ取引委員之ヲ犯シタルトキハ仍其職ヲ免黜ス
 - 第13巻 p.466 -ページ画像 
第七十五条 株式取引委員ニシテ売買依託者ノ身代限リヲナス可キノ情ヲ知テ之カ売買ヲ媒介シタル者ハ二十円以上二百円以下ノ罰金ニ処ス
第七十六条 第一章第五条ニ掲クル事実ヲ隠蔽シ株式取引所ニ於テ売買取引ヲ為シタル者ハ十円以上二百円以下ノ罰金ニ処ス
第七十七条 第一章第六条ニ違ヒ大蔵大臣・農商務大臣ノ允可ヲ得サル証券類ヲ売買取引シタル者ハ二十円以上二百円以下ノ罰金ニ処ス
第七十八条 第二章第一款第十五条ニ定ムル事実並履歴ヲ詐リ株式取引委員ノ任ヲ受ケタル者ハ二十円以上二百円以下ノ罰金ニ処シ其職ヲ免黜ス
第七十九条 第二章第二款第二十条・第三章第二款第四十一条ニ違ヒ役員並株式取引委員ニ於テ自己ノ為ニ売買取引ヲ為シタル者ハ百円以上千円以下ノ罰金ニ処シ其職ヲ免黜ス
第八十条 株式取引委員ニ於テ第二章第二款第十九条・第二十一条・第二十二条ニ違フ者ハ二十円以上五百円以下ノ罰金ニ処シ其職ヲ免黜ス
第八十一条 第二章第二款第二十三条ニ違ヒタル者ハ二十円以上二百円以下ノ罰金ニ処ス
第八十二条 大蔵大臣・農商務大臣ノ定メタル定額外ノ手数料ヲ収受シ又ハ第四章第四十五条ニ違ヒ売買約定切符交付以前ニ於テ之ヲ要求シタル者ハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第八十三条 第五章第四十八条ニ違ヒタル者ハ二円以上十円以下ノ罰金ニ処ス
第八十四条 第六章第一款第五十条第三項ニ違ヒ売買代金ノ差額ノミヲ以テ受渡ヲ決算シ、又ハ第五十一条ニ違ヒ証拠金差入前ニ於テ転売若クハ買戻ヲ為シタル者ハ五十円以上千円以下ノ罰金ニ処シ其職ヲ免黜ス、但売戻ヲ為シタル者亦同シ
第八十五条 第六章第一款第五十二条ニ定メタル期限ヲ超過シタル売買約定ヲ為シタル者ハ十円以上二百円以下ノ罰金ニ処ス
第八十六条 第六章第二款第五十六条ニ違ヒ約定切符ヲ依託者ニ交付セス又ハ其交付ヲ怠リ若クハ取引所役員ノ検印ヲ受ケサル者ハ二円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第八十七条 第六章第三款第六十三条ニ従ヒ公定相場ヲ定ムルニ付平均方ヲ詐リタル者ハ二百円以上千円以下ノ罰金ニ処ス
    第十一章 雑則
第八十八条 本条例施行ニ関スル細則ハ農商務大臣之ヲ定ム
第八十九条 本条例ハ明治二十年 月 日ヨリ施行ス


松方家文書 第四六号・第二九文書 【株式取引所条例按説明】(DK130036k-0007)
第13巻 p.466-473 ページ画像

松方家文書 第四六号・第二九文書 (大蔵省文庫所蔵)
    株式取引所条例按説明
  株式取引所条例
第一条
〔説明〕本条ハ株式取引所ノ定義ヲ明示スルニ在リテ、仏国ノ如キハ其商法第七十一条・第七十二条ニ於テ特ニ此定義ヲ掲記セリ
 - 第13巻 p.467 -ページ画像 
 又公債証書ノ下ニ証券ノ二字ヲ加フルモノハ今日ニ在テハ為替手形等ノ取引甚タ幼稚ナリト雖モ、将来其発達セルニ際シテハ其相場ヲ公定セシメ以テ一般ノ便利ヲ図ルノ必要アルヲ慮カルナリ
第二条
 本条ハ別ニ説明ヲ贅セス
第三条
〔説明〕現今ノ慣行ニ依レハ其既ニ買受ケタルモノヲ約定期限内ニ第三者ニ売渡スモノノミナラス其対手者ニ売戻スモノモ亦之ヲ転売ト称シ、其既ニ売渡シタルモノヲ其対手者ヨリ買戻スモノノミナラス第三者ヨリ更ニ買受クルモノモ亦之ヲ買戻ト称セリ、其名実相適セサル太甚シ、而シテ此レ実ニ空相場ヲ発スルノ一誘因ナリトス、是レ本条ニ於テ其名実ヲ正当ニスルヲ必要トスル所以ナリ
第四条
〔説明〕本条ヲ設クル所以ノモノハ売買契約ノ安寧ヲ心律上特定《(マヽ)》スル所ノ委員ニ託セントスルニ在リ、若夫レ然ラスシテ各人随意ニ売買スルヲ得セシムルトキハ場内ノ静粛取引ノ便捷等決シテ之ヲ期ス可カラサルナリ、独逸国ノ如キ実ニ手形売買世話人ノ媒介ニ頼ルニ非サレハ一切親カラ取引所内ニ在テ売買取引ヲ為スヲ許サス、仏国ノ如キモ亦公債証書ノ如キハ必ス手形売買世話人ノ媒介ヲ待ツモノト規定セリ
第五条
〔説明〕取引所ノ売買取引ヲ鞏固ニスルニハ売買依託者ノ資格ヲ限制スルヲ必要ナリトス、独逸国ノ如キ実ニ本条規定スル如キ者ノ取引所ニ入会スルコトヲ禁止セリ
第六条
 本条ハ別ニ説明ヲ要セス
第七条
〔説明〕取引所ノ設立ハ仏国ニ在テハ銀行家及商人、独逸国ニ在テハ商人組合ニ於テ政府ノ許可ヲ得之ヲ設立スルノ制ナリト雖モ、本邦今日ノ事情ニ在テハ其商事工事ヲ問ハス凡ソ事業ヲ企ツル往々商人外ヨリ発出スル少シトセス、故ニ本条ハ出願者ノ範囲ヲ拡メ有志者ヲ以テ開設スルモノト規定セリ
第八条
第九条
第十条
 前三条ハ別ニ説明ヲ贅セス
第十一条
第十二条
第十三条
〔説明〕本案株式委員ヲ設クルノ要旨タルヤ、之ヲシテ取引所ニ在テ両者ノ売買取引ヲ媒介シ以テ商業上ノ公益ヲ保護セシムルニ在レハ其職務タル実ニ軽シトセス、故ニ其任ニ当ル者ハ資産アリテ商務ニ熟練シ且ツ公衆ノ信用ヲ得シモノナランコトヲ要ス、是レ前三条ニ於テ其撰択ヲ慎ミ併セテ其職務ヲ重フシ農商務大臣ニ於テ之ヲ任ス
 - 第13巻 p.468 -ページ画像 
ルモノト規定スル所以ナリ、仏国ノ如キハ商法裁判所ニ於テ銀行家及商人若干名ヲ撰ミテ撰挙委員トナシ以テ手形売買世話人ノ候補者姓名録ヲ作リ府県知事及内務大臣ヲ経由シテ大統領之ヲ任セリ、独逸国ノ如キハ商人組合ニ於テ之ヲ撰挙シ商務大臣ノ認可ヲ得テ之ヲ任シ或ハ商務大臣ノ命ヲ受ケ府庁ニ於テ直チニ之ヲ撰任シ、其身分取扱ハ官吏ニ準スルモノト規定セリ
第十四条
〔説明〕本条ヲ設クル所以ノモノハ取引委員ノ職務執行上ニ就テハ裁判所ニ対スルノ関係多キニ由ル
第十五条
〔説明〕本条ハ取引委員タルヲ得ルノ資格ヲ限定スルモノニシテ仏国独逸国ノ如キ亦皆之カ限制ヲ設ケサルナシ
第十六条
〔説明〕本条ハ取引委員ノ職務ヲ行フニ関スル責任中ノ一大要件ヲ明示スルモノニシテ、独逸国ノ如キハ特ニ之ヲ其商法中ニ規定シ、仏国ノ如キモ亦厳確ニ之ヲ其行政規則中ニ規定セリ
第十七条
〔説明〕取引委員ニ於テ若シ其現物又ハ代金ノ受渡ヲ完結セサルトキハ、之ヲ弁償セシムルノ責任法ヲ定メサルヘカラス、何トナレハ若シ然ラスンハ対手者ハ損害ヲ被ラサルヲ得サレハナリ、然リ而シテ其之ヲ弁償セシムルヤ亦決シテ苛制ニアラストス、何トナレハ取引委員ハ当初委託者ヨリ現物若クハ代金又ハ証拠金ヲ保管スルヲ以テナリ
 独逸国ノ商法ニ拠レハ取引委員ハ売買取引ノ媒介ヲ為スノミニシテ其義務ヲ担保スルノ責任ヲ負ハセサルナリ、仏国ノ例ニ拠レハ現物等ノ受渡ヲ完結セサルトキハ身元保証金ヲ以テ之ヲ弁償セシムルナリ、本邦ノ慣行ニ拠レハ独逸国ノ制ニ拠ランヨリ寧ロ仏国ノ制ニ拠ルヲ便利ナリトス、是レ本条ヲ必要トスル所以ナリ
第十八条
〔説明〕本条ハ取引委員ニ於テ依託外ノ事ヲ為シ損失ヲ依託者ニ蒙ラシメタル場合ヲ慮カルモノニシテ、独逸国ニ於テハ之ヲ其商法八十一条ニ明記セリ
第十九条
〔説明〕前第十七条ニ於テ取引委員ハ対手者ニ対シ其売買契約中ノ義務ヲ担保ス可キモノト規定セリ、故ニ本条ヲ設テ以テ其損失ヲ予防セシムルヲ必要ナリトス
第二十条
第二十一条
第二十二条
〔説明〕取引委員ニ於テ自己ノ利益ノ為メニ売買取引スルコトヲ許ストキハ、自カラ利己ノ心ヲ生シテ損失ヲ依託者ニ及ホシ或ハ相場ヲ擾乱スルノ危険アリトス、独逸国・仏国ノ如キ亦皆此禁令ノ設ケアリ、第二十一条・第二十二条令モ亦此理由ニ外ナラストス
第二十三条
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 本条ハ別ニ説明ヲ要セス
第二十四条
〔説明〕取引委員疾病若クハ事故アルトキハ本人ニ代リ其業務ヲ代理スルモノアラサレハ依託者及取引所ニ於テモ差支ヲ生スルノ場合アルヲ以テ、代理人又ハ手代ヲ用ヒテ業務ニ従事セシムルヲ必要ナリトス
 代理人又ハ手代ノ執行シタル事務ハ本人ノ取扱タルモノト同一ノ権利義務ヲ生セシメサル可カラス、否ラサレハ依託者ハ取引委員ヲ信用スルコト能ストス
 独逸国ニ於テハ規則上別段ノ代理人ヲ置キ本人ニ於テ代理人ヲ用フルヲ許サス、然レトモ本邦ニ於テハ之ヲ許サヽルトキハ実際差支ヲ生スルヲ以テ姑ク慣行ニ依ルモノトス
第二十五条
第二十六条
 前二ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第二十七条
〔説明〕本条ノ保証金タル之ヲ現行取引所ノ制ニ比シ其多数・寡数共ニ之ヲ上加シタル所以ハ取引委員ノ責任ノ厳重ナル薄資者ノ能ク之ニ当ル可キモノニ非サレハナリ、独逸国・仏国ノ如キ亦皆保証金ノ制アリテ殊ニ仏国ノ如キハ之ヲ大蔵省国債局ニ差出スコトトナセリ
第二十八条
第二十九条
第三十条
第三十一条
 前四ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第三十二条
〔説明〕本条但書ノ例外ヲ設クル所以ハ方今ノ事情ニ在テ取引委員中ノ互撰未タ必スシモ取引所首長其人ヲ得ルヲ保チ難キヲ慮カルニ拠ル
第三十三条
第三十四条
第三十五条
 前三ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第三十六条
第三十七条
〔説明〕前二ケ条ハ会場整理並法律規約ノ違犯者ニ対スル捜査及ヒ懲戒ノ権利ヲ以テ理事長ニ付与スルニ在リトス、蓋如此ナラサレハ繁熱喧閙ノ取引所ヲ統率ス可カラサルヲ以テナリ、独逸国・仏国ノ如キ亦皆皆此権ヲ以テ取引所役員ニ付与シタリ
第三十八条
〔説明〕本条ハ開場中詭謀姦計以テ公定相場ヲ攪乱シ商業ノ安寧ヲ妨害スル者アル場合ヲ慮カルニ拠ル
第三十九条
第四十条
 - 第13巻 p.470 -ページ画像 
第四十一条
第四十二条
第四十三条
 前五条ハ別ニ説明ヲ要セス
第四十四条
〔説明〕本条ハ手数料ノ支払方ヲ明カニスルニ在リテ独逸国商法中ノ規定ニ従フモノトス
第四十五条
〔説明〕取引委員ニ於テ売買契約ヲ為スト雖モ、之カ約定切符ヲ依託者ニ交付スルニ非サレハ依託者ニ於テハ其契約ノ結了ヲ知ルニ由ナキヲ以テ、従ツテ其媒介手数料ヲ要求シ得ヘキ理由ナシトス、是レ取引委員ノ取締上本条ヲ設クルヲ必要トスル所以ナリ、独逸国ノ如キハ其商法中ニ於テ特ニ此明文ヲ掲記セリ
第四十六条
第四十七条
第四十八条
 前三ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第四十九条
〔説明〕本条ヲ設クル所以ノモノハ取引所ノ開場時間ハ警察上ノ取締ニ関スルニ拠ル
第五十条
〔説明〕本条第一項第二項ハ現物取引ト定期取引トニ関スル受渡ノ時間ヲ明示シ又第三項ハ受渡ノ方法ヲ定メタルモノナリ、抑々従来我邦取引所ニ於テ大ニ空相場ノ弊害ヲ馴致シタル所以ノモノハ定期取引ノ受渡ニ於テ其売買代金ノ差額ノミヲ以テ之ヲ結算スルコトヲ聴許シタルニ職由セリ、是レ本条第三項ノ検束ヲ必要トスル所以ナリ
第五十一条
〔説明〕名実適当ナルノ転売買戻ハ之ヲ商業上ノ一便法ト視認スルヲ得ヘクシテ仏国等ノ如キ亦此慣行アリトス
 然リト雖モ其証拠金ヲ取引所ニ差入レサル以前ニ際シテハ之ヲ痛禁セサル可カラス、何トナレハ今日我国取引所ニ蔓衍スル所ノ所謂現場落チ即チ空相場ノ極ナルモノハ全ク証拠金差入前ニ於テ転売買戻ヲ為スコトヲ聴許セルニ起因シ、且近来逋税ノ弊相踵クモ亦専ラ之ニ胚胎スレハナリ
第五十二条
〔説明〕本条ハ従来ノ慣行ニ拠ル
第五十三条
〔説明〕売買物件ノ数額ニ制限ヲ設クルトキハ少数ノ取引ヲ欲スル者ニ於テ其不便ヲ感スルコト少シトセス、又売買物件ノ建物ヲ設クルハ空相場ヲ為スニ便スルノ一手段ニ過キストス、是レ本条ヲ設ケテ現行ノ弊習ヲ除カント欲スル所以ナリ
第五十四条
〔説明〕取引委員ヲシテ定期約定ニ係ル証拠金ヲ差入レシムルハ取引所売買契約ヲ安固ニスル所以ナリ、抑々現行取引ノ制ノ如ク株式ヲ
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発行シテ一切売買契約ヲ取引所ニ担保スルモノナルトキハ未タ必スシモ証拠金ノ差入ヲ必要トセスト雖モ、既ニ株式発行ノ組織ヲ廃スル以上ハ之ヲ差入シムルノ制ヲ設ケサレハ必ス取引所ノ売買約定ノ危険ニ陥ルノ虞ナキヲ保タス、是レ本条ノ規定ヲ要スル所以ナリ
第五十五条
 本条ハ別ニ説明ヲ要セス
第五十六条
〔説明〕取引委員ヲシテ売買約定切符ヲ作リ之ヲ依託者ニ交付セシムル所以ハ、一ハ以テ売買契約ヲ結了シタルコトヲ委託者ニ証明セシメ、一ハ以テ従来株式仲買人ニ於テ動モスレハ輙チ依託ヲ受ケタルモ取引所ニ於テ之ヲ売買セス、自己ノ手許ニ於テ秘密ノ売買ヲ為シ以テ依託者ヲ欺網スルノ弊アルヲ予防セント欲スルニ拠ル、独逸国及仏国ニ於テモ亦共ニ株式委員ハ該約定切符ヲ依託者ニ交付スヘキコトヲ其商法若クハ他ノ規則ニ規定セリ
第五十七条
〔説明〕本条ヲ設クル所以ノモノハ、他日取引委員ト依託者トノ間ニ於テ紛議ヲ生シタル場合若クハ取引所役員ニ於テ取引委員ノ届ケ洩ヲ調査スルノ便ヲ慮カルニ拠ル
第五十八条
第五十九条
 前二ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第六十条
〔説明〕本条ヲ設クル所以ハ前条ノ日記簿ハ他日何人ヲ問ハス売買上ノ事跡ヲ証明シ又ハ税金追徴等ノ取調ニ必要ナルニ拠ル、仏国ノ如キハ之ヲ商事裁判所ニ収ムルコトニ規定シアリ
第六十一条
〔説明〕取引委員ニ於テ売買取引上公共ノ職務ヲ行フ為メ作ル所ノ書類及簿冊ハ法庭ニ於テ証拠トナルノ効ヲ有セシメサル可カラス、然ラサレハ以テ取引所ノ売買取引ヲ安固ニスルニ足ラストス、独逸国及仏国ノ如キハ其商法若クハ規則中ニ於テ本条ノ旨趣ヲ明記セリ
第六十二条
 本条ハ別ニ説明ヲ要セス
第六十三条
〔説明〕本条相場ヲ公定スルノ区別方ハ概ネ方今取引所ノ慣行ニ準シ之ヲ定ム
第六十四条
〔説明〕現行取引仲買人ニ於テ相場表ヲ作リ之ヲ花主ニ配布スルモノアレトモ、本一定ノ方法ナク各自随意ニ之ヲ発スルヲ以テ記載上時トシテ誤謬或ハ偽計ナキヲ保タス、是故ニ取引所役員ヲシテ一定ノ式ニ拠リ調製シテ之ヲ発布シ、以テ公定相場ノ確実ナルコトヲ世人ニ公示セシムルヲ必要ナリトス
第六十五条
〔説明〕本案取引所ハ株式取引委員ヲ以テ組織シ、且取引委員ハ手数料ヲ収受スルヲ以テ、本所ノ経費ヲ負担ス可キコト固ヨリ当然ナリ
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トス
 独逸国ニ於テハ商品取引所ノ入会料ヲ以テ支弁シ其不足ハ之ヲ商人組合ヨリ課収スルノ制ナリ、又仏国ニ在テハ銀行家及手形売買世話人等ヨリ之ヲ徴収セリ
第六十六条
第六十七条
第六十八条
 前三ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第六十九条
〔説明〕取引所ハ諸商人ノ集会スル所ニシテ動モスレハ輙チ喧閙雑沓市府ノ安寧ヲ妨害スルノ慮《(虞)》ナキヲ保タサルヲ以テ、予メ取引所内ニ属スル取締権ヲ挙テ之ヲ警視総監・府県知事ニ任与スルヲ必要ナリトス、仏国ノ制ノ如キ亦然リ
第七十条
第七十一条
第七十二条
 前三ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第七十三条
〔説明〕本条ノ設定ハ公定相場ノ擾乱ヲ防キ且取引委員ノ職務ヲ保護スルニ必要欠ク可カラサルモノトス、仏国及独逸国ノ如キ皆厳ニ手形売買世話人ノ職権ヲ侵ス者ヲ処罰ス
第七十四条
〔説明〕本条ハ取引所ノ内外ヲ問ハス秘密ノ売買ヲ行フ為メ集会スル者ヲ制裁スルニ在リテ、其之ヲ必要トスル理由ハ公定相場ノ攪乱ヲ防キ取引所ノ特許ヲ保護シ税金ノ逋脱ヲ杜絶スル等一ニシテ足ラサルナリ、既ニ現在ニ在テモ明治十三年第二十一号布告ヲ以テ之ヲ制裁セリ、仏国ノ如キモ亦本条ノ犯法者ヲ処スルニ手形売買世話人ノ職権ヲ侵ス者ニ同一ノ罰ヲ以テセリ
第七十五条
第七十六条
第七十七条
第七十八条
 前四ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第七十九条
〔説明〕取引所役員及取引委員ニ於テ自己ノ利益ノ為メ売買取引ヲ為スコトヲ得サルハ其職務ヲ行フニ由リ生スル所ノ義務中ノ最モ重大ナルモノトス、此ヲ以テ本条ノ制裁ニ於テ特ニ其額ヲ重クス、仏国ノ如キハ之ヲ五ケ年ノ禁錮ニ処シ其収入ヲ没収セリ
第八十条
第八十一条
第八十二条
第八十三条
 前四ケ条ハ別ニ説明ヲ要セス
第八十四条
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〔説明〕本条例第五十条第三項及第五十一条ヲ犯ス者ハ、全ク現今ノ弊習ヲ襲ヒ空相場及逋税ヲ為スニ外ナラストス、此ヲ以テ本条ノ制裁ニ於テ特ニ其処罰ヲ重クス
 其但書ヲ加ルモノハ買戻人ノ対手者ハ即チ空相場ヲ為シタル対手者ナルモ第五十一条ノ範囲外ニ在ルヲ以テ此ニ之ヲ明掲スルヲ必要トスルニ拠ル
第八十五条
第八十六条
第八十七条
第八十八条
第八十九条
 前各条ハ別ニ説明ヲ要セス