デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
1款 東京株式取引所
■綱文

第13巻 p.510-513(DK130041k) ページ画像

明治20年5月19日(1887年)

栄一、東京株式取引所頭取河野敏鎌、東京米商会所頭取早川勇ト第一国立銀行楼上ニ会シ、取引所創立ニ関シ協議ス。自今、右三名、創立発起人総代トナリ、更ニ委員若干名ヲ設ケ、諸般ノ調理ヲナスコトニ決ス。


■資料

中外物価新報 第一五三六号〔明治二〇年五月一九日〕 ○協議将に整はんとす(DK130041k-0001)
第13巻 p.510 ページ画像

中外物価新報 第一五三六号〔明治二〇年五月一九日〕
○協議将に整はんとす 兼て名高きブールス条例即ち取引所条例も弥よ発表の期近きに迫れりと聞き、渋沢・原・大倉・安田等の諸氏にハ右ブールスの事に付協議する所あらんとて、去る十四日書を府下の重も立たる商業者に寄せ来る十七日を期し銀行集会所に会合せんことを請ひたるに当り、東京株式取引所並に東京米商会所の役員・株主・仲買人達には交も協議の上別に取引所創立の出願を為さんとの企もありて、外面より観るときハ、自ら創立出願人も二派に分れんとするの姿ありし上、一昨日銀行集会所の協議会へも此の派の人々の出席なかりしより(尤も人に依りてハ此会へ出席されし向もありし由)右協議の節も双方の和合如何を気遣ひ、発起人に向ひ別派の人々と協議の届くべき見込ありや否やと問ひたる方もありし位にて、世間にても結局如何あらんと案する人も少からぬ摸様なるが、其筋に於ても東京府下に二ケ所の取引所を創立することを許可せらるゝの御趣意にもあるまじければわざわざ別々に創立を出願するよりも寧そ合同して出願するこそ得策且至当なるべしとの事にて、□日来渋沢栄一氏と河野敏鎌氏の間にハしばしば書翰上の打合せもありし処、河野氏も至極共同の儀を賛成し渋沢氏と同様の希望を懐き共々一処になりて創立委員を定め出願する様尽力すべしと云ハれし程にて、双方の希望ハ玆に相合したる有様なれハ、河野・渋沢の両氏が此事に付近日互に面会を為すの機に至らば双方協議の整ふは造作もなく、窃に案じる程にハあらざるべしと云へり、どうか早く左様に相談を付けたきものになん


中外物価新報 第一五三六号〔明治二〇年五月一九日〕 浮説に就て一言(DK130041k-0002)
第13巻 p.510-511 ページ画像

中外物価新報 第一五三六号〔明治二〇年五月一九日〕
○浮説に就て一言 東京株式取引所営業延期説に付て聞込みたる事
 - 第13巻 p.511 -ページ画像 
実及び見込は前号の紙上に掲載して読者の注意を喚起せしが、然るに或る同業新聞は河野氏の直話なりとて事ながながと記したる中に、谷元氏を以て右延期の事を吉田次官に懇請したるに吉田氏も一ケ年丈けの延期なれば相応に尽力して許可すべしと相違なく承諾せられたるものゝ如く書立て、又其席には高橋商務局長も列なられたり抔とあれど第一斯かる重要の事件を設ひ如何に懇請したりとて吉田次官か直ぐに承諾せらるゝ筈もなかるべく、又実際左る事を承諾せられたるにあらざるは前号にも記したるか如し、第二に高橋商務局長が其節同席せられたりとの事も亦事実相違なる由に聞及べり、兎に角斯かる際に浮言百出するは相場社会の常情なれば迂濶に乗せられざる様注意すること最も肝要なるべし、又吾々に迷惑なるは同新聞が吾々を目して河野氏を誣ひたるが如く言ひ傚したるの一事なり、吾々は河野氏を誣ゆるの理由も事実をも見出さず、殊に同氏は東株の買方なるが故に云々となき事まで書立てあるは実に同新聞こそ同氏を誣ひたるものなり、何となれば現行条例にても同所役員が売買本主となるを得ざるの制あるのみならず、同氏が実際売買を為さゞるは勿論又其自己売買駈引の上よりして延期説を披露したるものにあらずして、唯吉田次官と河野氏との間に立ちたる人の言を聞て一意に株主仲買の利益を思ひ深く其実否を慥かめず伝聞の儘を語りたる迄にして、吉田次官の言の途中にて少しく相違ありしを発見し居られざりしが為めなればなり


時事新報 第一五九三号〔明治二〇月五月二〇日〕 取引所設立の協議(DK130041k-0003)
第13巻 p.511 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

朝野新聞 第四八一一号 〔明治二〇年五月二〇日〕 紛議調停す(DK130041k-0004)
第13巻 p.511 ページ画像

朝野新聞 第四八一一号〔明治二〇年五月二〇日〕
○紛議調停す ブールス条例発布に付同条例を奉じてブールス設置の儀を出願せんと渋沢栄一氏の連中と株式・米商両会所の株主との間に紛議を生じたることは予て本紙に記るせしが、漸く双方の間に協議和熟し、昨十九日河野敏鎌・渋沢栄一・谷元道之・早川勇等の諸氏が第一国立銀行の楼上に集会し、将来極めて円滑なる組織をなさんとのことを協議し、更に委員若干名を設け、諸般の調理をなすことに決せられし由なり。


中外物価新報 第一五三八号〔明治二〇年五月二一日〕 ○取引所創立願の協議(DK130041k-0005)
第13巻 p.511-512 ページ画像

中外物価新報 第一五三八号〔明治二〇年五月二一日〕
○取引所創立願の協議 今度取引所条例を遵奉し東京取引所を創立せんとするに際し、現在米商・株式両所派の人々と過日銀行集会所に会
 - 第13巻 p.512 -ページ画像 
したる実業家の人々が互に創立願を競ひ、互に党派を立てゝ創立を出願するなどハ甚だ穏かならざる話にて実業家の為すを好まざる所なるを以て、渋沢氏方の発起人諸氏にハ相成るべく相和合して共々に発起人又創立委員になり定款・申合規則等を作りたる上にて夫々其手続に及んとて、兼て東京株式取引所役員と渋沢氏との間に打合せもありし処、前号にも記せし通り共同して創立を願ハんとの希望ハ双方共同様なりしかば、いでや会合して其議を定めんとて河野敏鎌・早川勇の両氏にハ一昨日第一銀行に於て渋沢氏に面会し共同の事を話せし処、兼て書面を以て往復を為せし通り双方とも同様の意見なりしかば然らば株式取引所・米商会所方より創立委員を撰出し共々に創立を願ハんとのことにて互に別れられたる由なれば、其委員の定りたる上ハ共同して定款・申合規則等の草案を拵へ其上にて発起人一同の会議を開くことに至るならんと思ハるゝなり、併し未だ取引所に関する細則も出でざることなれば定款等を定むるハ孰れ右細則発表の後なるべし、兎にも角にも目下幾んど協議の調ひたるが如き色あるハ喜ばしき事にこそ


中外物価新報 第一五四二号〔明治二〇年五月二六日〕 ○取引所条例施行細則(DK130041k-0006)
第13巻 p.512 ページ画像

中外物価新報 第一五四二号〔明治二〇年五月二六日〕
○取引所条例施行細則 同細則は既に元老院の議に附せられたれば其発表も近きに在るべしとは前号の紙上に記せし所なるが、該院に於ては審議の上最早内閣へ上申せられたる由なれば今明日の中には公然発布相成るべしと云ふ、又兼て東京株式取引所より其筋へ差出されたる延期願書の右細則発布と同時に却下せらるゝ事どもありたらんには今度は島本仲道・天矢正剛・諸葛小弥太の諸氏外八名の株主が総代委員となり、更に営業延期の議を請願する手筈なりと云ふの噂あれど実際果して如何にや


中外物価新報 第一五四五号〔明治二〇年五月二九日〕 ○早川頭取の演説(DK130041k-0007)
第13巻 p.512-513 ページ画像

中外物価新報 第一五四五号〔明治二〇年五月二九日〕
○早川頭取の演説 東京米商会所頭取早川勇氏は昨日午後二番の立会を畢りし後仲買人一同を会所の楼上へ招き営業上前途の事に就て演説せられたる由なるが、其要領を聞くに、曾て一度世間にブールス設立の噂あるや当会所には直接の関係あり何んとかして当会所の存立する様致度、此儘滅亡するときは株主及仲買人の損害実に少からさることは申迄もなく当務者が恬然として之を救はず却て人より先に困難の場所を逃れて身を安全の地位に置き世人に彼の英船ノルマントン号の船長視せらるゝことを屑とせさる故、是迄に尽すべき丈けの手段は尽し成し得らるゝ丈けの事は為したれど、到底政府の決議は已にブールス設立と定り容易に動すべからざる場合に立ち至りたれば、最早此上は現立会所の存立を謀るも詮なしと考へしより、新条例が発布とならば当会所の仲間内にて創立委員を定め他に卒先して創立を出願するの計画を以て、去十四日其創立委員となるべき人々十五名を選定して承諾の調印を乞ひたる処、果して同日午後に至り愈よ取引所条例の発布ありしを見るに、此条例に拠れば先づ会員を定め其中にて更に創立委員を選定するを順序と心得し故、翌十五日早速各々方六十余名を招きて会員たらんことを望まるゝ人々の姓名を記し之に調印を為さしめ速に
 - 第13巻 p.513 -ページ画像 
創立願書を差出す覚悟なりし処、兼てブールス主唱家の聞へある渋沢氏の方にも同様創立の企てありて将に出願者の二派に分れんとしたるより其筋の勧告もあり、又渋沢氏より書翰を寄せて一致協同の事を促されしかば敢て当方より頭を下げて協同を頼みたるにもあらず、実は此事に就ては種々事情もあることなれど今其訳を委しく演説すれば直に新聞屋の耳に入て彼是八釜敷書立てらるゝ故玆に之を明言せず、然るに斯く合同一致して創立の事を出願する様になりし上は、最初に選定したる十五名の創立委員は自から改選せざるを得ざる事宜に立至り又条例に照すも不適当となりたれば右十五名が創立委員を承認したりと云ふ調印は一旦取消とすべければ各自左様心得られたく、併し六十余名の調印は会員となることを申込たる為めに為したるものなれば、之は此儘に現存し置き、不日東京取引所創立の運ひに至らは必らず会員又は仲買人と為る事を得せしむる様精々尽力すへし云々と述へられたる由