デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
1款 東京株式取引所
■綱文

第13巻 p.522-524(DK130044k) ページ画像

明治20年7月7日(1887年)

是ヨリ先新取引所創立委員中、河野・中野・小川等委員トナリ取引所条例及ビ同条例施行細則中ノ疑義ニツキ調査中ナリシモ大略終レルヲ以テ、是日栄一、渋沢喜作・大倉喜八郎・安田善次郎・谷元道之・中野武営・朝吹英二・中村道太・早川勇
 - 第13巻 p.523 -ページ画像 
小川為次郎等ト坂本町銀行集会所ニ会シ、臨席ノ農商務省官吏ニ質疑、意見ヲ交換ス。


■資料

中外物価新報 第一五六五号〔明治二〇年六月二二日〕 ○東京取引所創立委員の意見(DK130044k-0001)
第13巻 p.523 ページ画像

中外物価新報 第一五六五号〔明治二〇年六月二二日〕
○東京取引所創立委員の意見 各地の人々は万事に付け東京を手本とするゆゑ此度取引所創立の一事も東京にては如何なる定款申合規則を拵へるやと各地いづれも領を以て東京取引所の設立を俟つの形情なれど、読者の知らるゝ如く各地とは違ひ東京には取引所設立といふ一件にも色々の事情がありてなかなか岡目から見る程やさしからざれば斯くは運びかねたるものならんが、尚ほ聞く所に拠れば東京取引所創立委員には取引所施行細則中の或る条項に付大に意見を有せらるゝ所あるを以て、不日其意見を書面に認め其筋へ差出さんとするの議もある由、斯る議さへあるを以て観れば目下創立事務の捗取らぬも無理ならぬことと云はん歟


中外物価新報 第一五七八号〔明治二〇年七月七日〕 ○新取引所創立相談会(DK130044k-0002)
第13巻 p.523 ページ画像

中外物価新報 第一五七八号〔明治二〇年七月七日〕
○新取引所創立相談会 過般来新取引所創立委員中の河野・中野・小川等諸氏が委員となり条例及び細則中にて疑議ある項目に就て調査中なりし処、最早大概之れを了られたるに付き本日午後より河野敏鎌・渋沢栄一・早川勇・大倉喜八郎・渋沢喜作・朝吹英二・中野武営等の諸氏が坂本町なる銀行集会所に相会して相談せらるゝ由、又同日ハ農商務省よりも当局者の臨席ある趣なり


中外物価新報 第一五八〇号〔明治二〇年七月九日〕 ○取引所創立員集会の模様(DK130044k-0003)
第13巻 p.523-524 ページ画像

中外物価新報 第一五八〇号〔明治二〇年七月九日〕
    ○取引所創立員集会の模様
兼て報道したる通り渋沢栄一・同喜作・谷元道之・大倉喜八郎・安田善次郎・中村道太・中野武営・朝吹英二・小川為次郎・早川勇の諸氏は一昨七日午後四時頃より坂本町銀行集会所に会合し、又農商務省よりは佐野商務局次長を始め関根・水野の両属官にも臨席あり互に打解けて其思ふ処を述べられたり、中に就き過日来河野・中野・小川等諸氏が取調べられたる条例並に細則中の疑点に於て種々質問されしが、今其重なるものゝ大要を挙くれば(第一)新条例に拠れば会員仲買人共に其員数に制限なきゆへ格別の利益なきを覚ゆ、殊に仲買人の如き唯他人の委托を受けて売買し其手数料の収入のみに依るものにして其人員に限りなきときは会員よりも尚利益少なかるべきが故に実際の売買は一切之を仲買人に委托すべしと云ふの規約を設くるも差支なきや否や(第二)取引所に於ける売買法は今日の如く糶市方法に依るべきや、又は相手売買所謂ザラバの方法を用ゆべきや、若しザラバ売買法を採用するとせば取引所区々に分れて真の公定相庭を得ること難かるべし、去りとて糶市法に従へば売買双方共唯其呼価の投合に依りて取引を行ひ得るの習慣なるゆへ相手を撰び信用を利用して互に売買取組を為すに困難なるべし云々(第三)連約処分《(違カ)》の際連約人の身元金及び営業保証金等は取引連約に依て損害を被る其場合の相手に向てのみ悉く弁償の用に供するものにあらずして、其以外の売買関係者へも其金
 - 第13巻 p.524 -ページ画像 
額に応じて夫々相当の補償に充て分配するの規約を設くるも妨けなきや等、此外二三ケ条の質疑ありたれば、佐野商務局次長には夫々親切に説明を為し、且つ条例細則なるものは唯取引新所の精神及び其組織の手続を示すに止るものなれば何も左程究屈なる規則の様に思はず条例細則の精神を利用して充分実際に適当すべき定款規則を作り、以て完全なる取引所を創立せらるゝこそ寔に望ましき次第なりと種々勧告されし由、依て右創立委員諸氏は来十二日再び集会して創立手続等を議する趣なれば其節の模様に依ては尚来十五日頃を期して更に相談会を開くよし、但し同日質疑中のある一点に就ては佐野次長にも即答為し難き由にて稟議の上更に御答へ申すべしとの事なりとか聞きしが、此れは多分第一問に実際の売買は一切之を仲買人に委托すべしと云ふの規約を設くるも差支なかるべきやと云ふの辺にあらん歟と察せらるれど如何にや


朝野新聞 第四一二四号 〔明治二〇年七月九日〕 取引所設置協議会(DK130044k-0004)
第13巻 p.524 ページ画像

朝野新聞 第四一二四号〔明治二〇年七月九日〕
○取引所設置協議会 予て記るせし如く新取引所の発起者なる渋沢栄一・同喜作・谷元道之・中野武営の諸氏には一昨日午後七時より坂本町なる銀行集会所に会し、新取引所設置の件に付き協議をなしたるが其の趣意は曩にも記るせし如く、今回の取引所条例は世論の喧しかりし比制定となりし者故、其筋にても只公平公平との議論が勝利を得て実際の情況を顧みざりしかば、今日此条例を遵奉して、之が営業をなさんとするに当りては種々不都合の事あるを以て、創立発起の人々にも大に困却し、其の筋へ同条例の解釈方を伺ひ、且つ実際の事情等を具申する為め、出頭せしこともありしが、其の筋にても同条例の解釈方に付ては種々異論ありて一様ならざりしを以て、議論の一定するまで差控ゆることゝなり居りしに、今度其の議論も一定し、斯くは協議をなしたるなりと


中外物価新報 第一五九七号〔明治二〇年七月二九日〕 ○売買を一手に専任すべきや(DK130044k-0005)
第13巻 p.524 ページ画像

中外物価新報 第一五九七号〔明治二〇年七月二九日〕
    ○売買を一手に専任すべきや
東京新取引所創立委員中には売買取引の方法に就き難義の点あればとて過般其廉々を書立てゝ其筋の当局者に質されたる節、売買取引の事は之を仲買人に専任するも差支なきや否やと云ふの問題をも質問されし事は嘗て我が新報紙上にも掲載せしが、さて新取引所の組織は全く昔日と異なり其会員も非常に多数なるべきが故に其商売柄に依ては迚ても糶売買を為すに不慣のものは不都合を感すべきを以て、会員は定期現場ともに自ら取引するの権利あるも実際売買の際は自然之を仲買人に打任すに至るべし、故に之を自然に放任し置くも実際敢て不都合はなかるべきも、東京にては仲買人の為め特に規約に於て現場売買を除くの外は一切之を仲買人に委托する事に定めんとの議もあるやに聞きしが、此れは条例範囲内に於て会員一同承知の上取結ぶ規約なれば固より差支なかるべしと思はる、実際果して如何に決定するものにや