デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
1款 東京株式取引所
■綱文

第13巻 p.583-585(DK130057k) ページ画像

明治21年7月21日(1888年)

臨時農商務大臣榎本武揚、栄一ヲ招キ、曩ニ東京取引所創立委員等ヨリ呈出セル取引所規約標準意見書ニ対シ、附箋ヲ以テソノ許否ノアル所ヲ示シ且ツ取引所条例ノ主旨ニ基キナルベク速ニ実施ノ運ビニ至ランコトヲ慫慂ス。


■資料

中外物価新報 第一八九八号〔明治二一年七月二七日〕 ○規約標準意見書に対する附箋(DK130057k-0001)
第13巻 p.583-584 ページ画像

中外物価新報 第一八九八号〔明治二一年七月二七日〕
○規約標準意見書に対する附箋 東京取引所創立委員諸氏より去る三月三十一日取引所規約標準《(二)》に対し其筋へ甲乙二通の意見書を差出したることは当時の紙上へ記載せしが、右に付此程榎本前農商務大臣には渋沢栄一氏を招き親しく懇談ありし末兼て差出ありし甲の意見書に対し附箋を以て予め其許否のある処を示されたり、尤も施行細則及規約標準等の如き農商務省の権限内にあるものハ尚詮議を遂げ成べく実業者の便益なる方法に依らしむるも、本条例の精神を変更するが如きハ到底為し得べからざる事柄なるを以て、其辺篤と承知の上成べく速に実施の運びに至るべき様尽力ありたし云々との旨を示諭せられたり、依て渋沢氏ハ早速其の趣旨を創立委員一同へ通知し、委員一同にハ今二十七日午後五時より創立事務所(銀行集会所)へ参集し右指示されし廉々に付て相談会を開く由、尚聞く所に拠れば規約標準意見書に対し附箋を以て許否を指示せられたる主旨は、曩に大阪取引所の願書に対して指令ありし趣旨と略ぼ同様にして、其大要ハ左の如くなりと聞く、但附箋なき各条ハ申出の通りにて差支なきもの又ハ改正し得べきものゝ由なれば省く
 ○取引所規約標準意見案◎第八・九・十の三箇条ハ附箋なし◎第十一条 曩に伺出に対し指令の旨趣あり此の如き規約を設くるを得ず◎第二十条 普通の問屋又ハ仲買業を営む者本業上取引所外に於て委托を受けたる物件を取引所内に於て売買取引するハ問ふべき限にあらず◎第七章 曩に伺出に対し指令の旨趣あり代務を許すの条を加ふるを得す◎第八十七条 疑惑を生ずるの恐なしと雖とも文義を改正するハ妨なし◎第九十六条 第百九十六条に改正を加ふれば本条ハ改正の必要を見ず◎第百十二条 米穀に限り当分の内銘柄に依り売買取引することを得◎第百十六条 銘柄に依り売買取引すべき貨物に限る◎第百十八条 手附金の払入ハ売主の請求あるときに限る其割合を定むるハ適宜たるべし◎第百十九条 第百十八条の旨趣に従ひ改正すべきものにあらず◎第百廿一条 役員をして取扱ハしむるとハ役員に托して売買せしむるの意か果して然らば穏ならず◎第百三十八条 競売買に依り取引すべき貨物に限り三ケ月と為すことを得◎第百三十九条 競売買に依り結約したる貨物の定期取引ハ前日と為すことを得◎第百四十四条 曩に伺出に対し指令の旨趣あり証拠金の差入ハ売買者一方より請求あるときに限る◎第百四十九条 会員たる会社等の為めにハ其要あるべし然れ共取引所の便宜に由り刪るも妨なし◎第百五十三・第百五十四条ハ附箋なし◎第百五
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十六条 第百四十四条に改正を加へざるに拠り本条に於て改正するの要なし◎第百五十七条 申合規約外に之を作るの意か果して然らば穏ならず◎第百五十九条 烈風強雨等に際し実際に差支あるときハ其部理事の承諾を得て相当の日時を延引することを得◎第百六十九条 売方にのみ解約請求を得せしむるも可なり◎第百九十一条 本条々標準の外増補を要するものあらば之を加ふるも妨なし◎第百九十六条 総会の決議を経ると否とハ適宜に定むることを得


中外物価新報 第一九四二号〔明治二一年九月一六日〕 ○新旧取引所協議の顛末(DK130057k-0002)
第13巻 p.584 ページ画像

中外物価新報 第一九四二号〔明治二一年九月一六日〕
    ○新旧取引所協議の顛末
 去十日新旧取引所役員の前に於て井上農商務大臣が懇話の顛末は已に前号に記せし如くにて、右ぎ大臣の談話終りたる後参席の諸氏は交々其見込を陳弁したるが○中略
米商会所株式取引所(谷元・中野・中村・小川諸氏)ハ曰く○中略然るに去る七月二十一日前農商務大臣より創立委員の中一名を御呼出し相成り此意見書に対する附箋を下付せられ、意見書中の事柄に付き採否の在る所を示し之に由て速に実施の運に至らんことを訓諭せられたり○下略



〔参考〕中外物価新報 第一七九八号〔明治二一年三月三一日〕 ○大阪取引所へ対する指令(DK130057k-0003)
第13巻 p.584 ページ画像

中外物価新報 第一七九八号〔明治二一年三月三一日〕
○大阪取引所へ対する指令 大阪取引所理事より取引所条例同細則及規約標準に関し兼て一の願書を其筋へ差出しありし処、一昨日農商務大臣より指令ありし由、今其要領を聞くに、元来会員は自己の売買を為すに止り他人の依頼を受ることを得ざる筈なれど、右にてハ実際上往々差支の場合あり、例へば問屋営業を為し従来他人の依托品を売買取扱するを以て営業と為し居るも今後取引所に於て売買取引を為さんとするにハ矢張仲買人の手を経ざる可らずとすれば問屋の困難少からざるに付、仮令会員と雖ども会員外の人よりの依頼ハ之を受け其売買に就てハ自から取引所に於て取引する事を得べき事、本人事故あるときハ代人を差出すことを許す事、商品ハ米穀に限り当分の内銘柄に依り売買取引するを許す事、商品取引数量の定め方ハ地方の便宜に任す事、売買結了決算方法の事、証拠金差入方の事等其他数項なりしが、聞く所に拠れば大抵ハ皆願出の通り許可せられたる趣にて其重立たる廉々ハ、去る廿一日東京取引所創立委員より差出されし意見書の主旨と同様なりと云へば、不日東京取引所へ対しても何分の沙汰あるべく左すれば是迄世人が実行し能ハずと喋々したる取引所の事も官民間の調和を得て創立諸般の手続も着々其歩を進むるべく、各地に続々新取引所の設立を見るも蓋し遠きにあらざるべしと想ハるゝなり、因に記す右大坂取引所へ下附したる指令ハ参考の為め東京取引所創立委員へも内見を許されたりとぞ


〔参考〕農商務省沿革略志 第一五三頁〔明治二五年四月〕(DK130057k-0004)
第13巻 p.584-585 ページ画像

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