デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
1款 東京株式取引所
■綱文

第13巻 p.616-618(DK130061k) ページ画像

明治22年2月28日(1889年)

是日、農商務大臣井上馨、栄一他東京取引所創立委員数名ヲソノ邸ニ招キ、欧米取引所視察員派遣ヲ慫慂ス。蓋シ現行取引所ノ営業満期ニ先立チ、海外取引所ノ実況ヲ調査シ、取引所条例並ニ同条例施行細則ノ改正ニ資セントセルヲ以テナリ。栄一等諾シ、一名ヲ派スルコトニ決ス。


■資料

中外商業新報 第二〇四九号〔明治二二年一月二七日〕 ○ブールス創立の発起人を召集す(DK130061k-0001)
第13巻 p.616-617 ページ画像

中外商業新報 第二〇四九号〔明治二二年一月二七日〕
    ○ブールス創立の発起人を召集す
久しく世人の問題たりしブールス創立の事も彼の株式・米商両所の営業延期と共に立消の姿なれど其筋の意見は決して然らず、到底現在の組織を改正せらるべしとの次第は屡々記載せし所なるが、今日の相場会所も最早明後二十四年には何れも営業満期となり、ブールス組織も此時より実施さるゝ筈なれば、其前より充分の相談を遂げ唯だ死文に
 - 第13巻 p.617 -ページ画像 
のみ依ることなく、民間よりも相当の人を海外に遣し、彼地の実況を視察せしめ以て真に商業上の機関たる効用を全ふせしめんとの主意にて、井上農商務大臣には近々ブールス創立に関したる実業者を会して談示さるゝ所ありと云ふ


中外商業新報 第二〇七六号〔明治二二年二月二八日〕 ○新取引所創立委員を召集す(DK130061k-0002)
第13巻 p.617 ページ画像

中外商業新報 第二〇七六号〔明治二二年二月二八日〕
    ○新取引所創立委員を召集す
去月廿七日の紙上に、ブールス創立発起人を召集すと題して詳しく記載し置きたる趣旨にて、井上農商務大臣には弥よ本日午後二時より渋沢栄一氏始め、新取引所創立委員十二名の人々を農商務省に会し、現在両会所営業満期後新取引所創立の準備に付き協議を遂げらるゝ筈なり、此事に付き昨今市中にては種々の説を為し、此協議会あるもブールス説の再燃にあらずと云ひ、或は又、来月より開かるゝ実業諮問会の問題に関する御用なるへし抔と、各々種々に言ひ触らすものあれと実決際して左る疑惑を生する程の事にあらず、殊に実業諮問会の如きは、井上大臣用務の都合にて、来る十月に延期されし事は曾て報道し置きたる如くなれば、是亦真の臆測に過ぎさる説なりと知るへし、近来は新取引所創立の事も彼の株式・米商両所の営業延期と共に立消への姿なれど、其筋の意見は決して然らず、到底現在の組織を改正せらるべしとの次第は屡々記載せし所なるが、今日の相場会所も最早明後廿四年には何れも営業満期となり、新組織も此時より実施さるべき筈なれば、其前より充分協議を遂げ、此際相当の人を欧米に派遣し、彼地の実況を視察せしめ、唯死文のみに依ることなく其改正すべき所あれば宜しく之を改正し、以て実用的のものと為し、真に商業上の機関たる効用を全ふせしめんとするに就ては、其人は新取引所委員中より撰抜して派遣すべきや、又は農商務省より然るべき人物を撰らんで派遣すべきや等専ら其準備に関する事を本日の会場に於て協議せらるる筈なりと云ふ


中外商業新報 第二〇七七号〔明治二二年三月一日〕 ○新取引所創立準備に付井上大臣の諭示(DK130061k-0003)
第13巻 p.617-618 ページ画像

中外商業新報 第二〇七七号〔明治二二年三月一日〕
    ○新取引所創立準備に付井上大臣の諭示
前号に記せし如く新取引所創立委員は昨日午後二時より農商務省へ出頭する筈なりし処、井上農商務大臣には頃日感冒の気味にて出省し難きに付き、麻布鳥居坂なる私邸へ来会するやう通知ありしかば、取引所創立委員の中、渋沢栄一・谷元道之・西村虎四郎・中村道太・大倉喜八郎・朝吹英二・小川為次郎の七氏は昨日孰れも同大臣の私邸に会合したるを以て、同大臣には先般株式米商両会所の営業を来る二十四年五月迄延期《(六)》したる事情を述べられ、箇様の訳合にて延期したることなれどもブールス組織となすことは同大臣の可とする所なれは、其期限の切れるを□《(以)》て断然新取引所を創立するの見込なるが、当業者中には取引所条例・同細則に付きて不便の苦情を訴ふるものあり、若し果して然らは其実効を見る能はずして遺憾此上なけれは、夫等の不都合なきやうに農商務省よりも官吏を欧米へ派遣して各国取引所の実況を視察せしめ、我国にて実施を不都合とする所は彼国にては如何に為し
 - 第13巻 p.618 -ページ画像 
居る乎、此点はどう彼点はどうと一々彼の国にて行ひ居る実地を見聞したる上にて現今の条例・省令にしてどうしても実際に不都合あることを見出さば又何とか致し方もあらんと思なり、就ては唯に官吏はかりでなく当業者即ち取引所創立委員の側よりも一人を撰みて右実況を取調の為めに海外へ派遣するやうにしては如何とありしに付き、創立委員諸氏には孰れも同意を表し左様なれば委員の方よりも一名を差出すことに致すべしとて一同午後六時半頃同邸を引取りたる由、右に付委員諸氏は来る五日午後五時より坂本町銀行集会所へ会合し右視察者を派遣するの方法及入費其他の件々を議決し、其上にて又同大臣へ何分の答申を為す筈なりと聞けり、又昨日は商務局長及同次長にも列席ありしと云ふ


朝野新聞 第四六一八号 〔明治二二年三月二日〕 ブールス取調委員派遣の相談(DK130061k-0004)
第13巻 p.618 ページ画像

朝野新聞 第四六一八号〔明治二二年三月二日〕
  ○ブールス取調委員派遣の相談
    官民委員の派遣
井上農商務大臣が曩に東京取引所の創立委員たりし渋沢栄一・谷元道之・朝吹英二・中村道太・小川為二郎の諸氏を一昨日午後二時より麻布鳥居坂なる私邸へ招き、ブールスの事に付き相談する処ありたる由は前号の紙上に記せし如くなるが、今其の詳細を聞くに元来ブールスのことは同大臣入閣の当時議論最も喧すしかりし者なるを其中間に入りて断然たる処分をなし、遂に廿四年の五月《(六)》まで創立延期の事に決し結局したるが、此の結局たる延期のため新旧取引所の間に議論止みたるに依るものにて当時発布になりし東京取引所条例並に其の細則に関し議論止みたるにあらざれば、今日は之れが創立者に於て別に痛痒する処なく随て平穏無事の間に日月を経過するを得れども、其の創立の時期に至れば必らず同条例及び細則の事に関して種々の苦情を湧出するなるべし、夫れ故取引所条例及び同細則に関し今日より研究し置く処なかるべからずとて扨てこそ同創立委員の人人を招き相談する処ありたる者なるが、其の談話は、条例発布の当時其の立会方法に就き、物品売買は確実は即ち確実なれど実際に於て施行せらるべきものにあらずとて種々の苦情を持出し種々の紛紜を来すべし、斯くては甚だ不都合なれば今日に於て其の実際の方法を研究し置かざるべからず、就ては主務省よりも人を派出すべければ創立委員の内にても一名を選んで共に派遣さるべし、此の派遣せし人々が欧米に渡りて実地取引所に就き取調べをなしたる処で全く同条例同細則に不都合なる点あらば其の時は不都合の点を改正し、実地取引上に差支なき様なすべしと云ふにありて一同も其の意を了し、然らば創立委員中より一名を選んで差出すべしとて六時頃引取りたるが、右に付き来る五日午後五時より委員の人々が銀行集会所に集会し其の派遣委員の選定・旅費・取調の方法等を協議する由、聞く所にては其の派遣委員は多分小川為二郎氏なるべしと云へり