デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
2款 東京米商会所
■綱文

第14巻 p.29-36(DK140005k) ページ画像

明治13年1月4日(1880年)

是日栄一、東京蠣殻町米商会所ノ商始ノ祝宴ニ招待サル。


■資料

(米倉一平) 書翰 渋沢栄一宛明治一三年一月二日(DK140005k-0001)
第14巻 p.29-30 ページ画像

(米倉一平) 書翰  渋沢栄一宛明治一三年一月二日 (渋沢子爵家所蔵)
(印刷)
新禧之佳儀万里同風申納候、陳而者本月四日ヲ以テ当会所商始致候ニ付祝饌拝呈仕度候間、当日午後第一時乍御苦労御来会被成下度奉冀望候、此段御案内旁如此ニ御坐候 頓首
                東京蠣殻町米商会所
  明治十三年一月二日        頭取
                      米倉一平
 - 第14巻 p.30 -ページ画像 
    渋沢栄一殿



〔参考〕東京経済雑誌 第三八号・第七三八―七四〇頁〔明治一三年九月一五日〕 【此程東京蠣殻町米商…】(DK140005k-0002)
第14巻 p.30-31 ページ画像

東京経済雑誌  第三八号・第七三八―七四〇頁〔明治一三年九月一五日〕
○此程東京蠣殻町米商会所より本年八月改正認許になりたる同会所定款及び申合規則を送付せられたり、依て左に申合規則を登録して以て看官の閲覧に供す
  東京蠣殻町米商会所申合規則 明治十三年五月改正
此米商会所ハ明治九年八月太政官第百五号公布条例及爾後条例改正公布ノ旨趣ヲ遵奉シ、売買上尚緊要ノ条件ニ於テ総員確守スヘキ規則ヲ改メテ議定シタルモノ左ノ如シ
    第一条
第一節 当会所ノ定期米売買ハ武蔵中米十石建トシ現米直取引ハ大中小俵ヲ論セス一ト口二十五俵ヨリ少カルヘカラス、但取組ハ一石ノ直段ヲ相唱フヘシ
    第二条
第一節 定期米約定期限ハ三箇月ヲ踰ユヘカラス(但取引ノ期日ハ毎月末日、十二月ハ二十日ト定ム、尤売買主双方ノ示談ヲ以テ期日前受渡ヲナスコトヲ得)
第二節 現米直取引ノ蔵出シ日限ハ五日ヲ踰ユヘカラス(但雨天並日曜日大祭日等ハ日送リタルヘシ)
    第三条
第一節 会所ニ於テ為ス所ノ定期米取引ハ都テ即日午後第二時限リ帳入ト定ム、尤約定期限内ニ於テ売買主双方ノ都合ニ依リ買戻シ又ハ買受ケタル分ヲ他人ヘ売渡スコトヲ得ルト雖トモ一旦帳入ノ上ニ非レハ之ヲ許サス(但定期売買ノ帳入米ハ其日ノ総売買平均直段ヲ以テ定価トス、此平均相場ヲ定ムルハ当日総売買石数ヲ以テ代価ヲ除算シ其算法ハ厘位ニ止ム、又現米直取引ハ相対取組直段ヲ以テスヘシ)
第二節 仲買人等已ニ売買ノ約定ヲ為シ畢ラハ其石数及直段ノ相違等之ナキ様注意スヘキハ勿論ニ付必銘々ノ手帳ト会所ノ帳記ト引合セタル上退場スヘシ、若之ヲ怠リ後ニ苦情ヲ申出ルトモ一切採上ケサルヘシ
第三節 会所ニ於テハ定期売買ノ取組ヲシテ其売買ノ保護ヲ全ウセシメンカ為メ一日一人ニシテ千石以上ノ取引ヲナスモノハ、売方ハ現米ノ備方買方ハ金融ノ都合等ヲ推問シ双方確実ナルニ於テハ帳入ヲナスヘシ、最モ双方又ハ一方ニテモ不信ノ取組ト見認ルトキハ肝煎協議ノ上其帳入ヲ許サヽルコトアルヘシ(但他客ノ注文ト自己ノ分トヲ合シ、千石ニ充ルモノハ此限ニアラストス、尤一己ノ売買漸次増加シテ千石以上ニ至ルトキハ又本文ニ準拠スヘシ)
    第四条
第一節 定期米約定証拠金ハ之ヲ三様ニ分チ時価ノ昂低ニ依リ増減スヘキモノト雖モ当分ノ内左ノ通定メ、其出納時間ハ毎日午後第二時ヨリ第三時マテ、諸計算出納ハ午後第四時マテトス(但売方ニ限テ
 - 第14巻 p.31 -ページ画像 
ハ其現米ノ総石数或ハ其内幾分ヲ会所倉廩又ハ会所ニ於テ予メ信認セル蔵所ニ積入レ其預リ証書カ又ハ保険アル船積証書ヲ会所ヘ差出シ置クニ於テハ右石数ハ諸証拠金ニ代用ヲ許スコトアルヘシ、又売方買方共無記名公債証書ヲ以テ証拠金ニ代用センコトヲ望ムモノハ会所ノ都合ニ依テハ之ヲ許ス、其代金ノ価額ハ会所ニ於テ指示ス所ニ従フヘシ)
 第一 本証拠金米拾石建
  壱石ノ代価 四円五十銭以上四円九十九銭マテ 金拾円
  同     五円以上五円四十九銭マテ    金拾壱円
  同     五円五十銭以上五円九十九銭マテ 金拾弐円
    余ハ之ニ準ス
  是ハ即日午後第三時マテニ入金スヘシ
 第二 追証拠金建米拾石本証拠金ノ半額タルヘシ、是ハ売買米約定ノ定価ヨリ拾石ニ付本証拠金ノ半数ノ高低アルトキハ其損方ヨリ此割合ヲ以テ幾度ニテモ追証拠金トシテ翌日午前第十時マテニ差入ルヘシ、且又本証拠金十分ノ八高低アリテ十分ノ八損失ニアタル分ハ追証拠金即日午後第四時マテニ差入ルヘシ、右追証拠金ハ最初売買約定ノ定価ニ復スルトキハ其本人ヘ返付スヘシ(但追証拠金ハ本日平均直段ヨリ起算スヘシ)
 第三 増証拠金建米拾石本証拠金ノ同額タルヘシ、是ハ期月二十五日(十二月ハ十五日)ニ至レハ前キニ売買取組ノ石数ニ対シ増証拠金トシテ双方ヨリ差入ル可シ、期月廿五日(十二月ハ十五日)後新タニ売買約定ヲナスモノハ本証拠金増証拠金共差入ルヘシ、定期約定中会所ニ非常或ハ止コトヲ得サル事故アリテ休業五日以上ニ至ルトキハ已ニ売買約定ヲ為セル石数ニ対シ増証拠金ヲ差入レ置キ定期ニ至リ米金受渡ヲ為スヘシ、尤売買主双方示談ノ上買戻売渡ヲ為シ届出ルハ此限ニアラス
  右諸証拠金、買方ハ皆代金及増入金ヲ差入レ畢リ売方ハ其撿査済ヲ以テ蔵守ノ米預リ書ヲ差出シタル上ハ、別段ノ事故アルニ非レハ各本人ヘ返付スヘシ(以下次号)


〔参考〕東京経済雑誌 第三九号・第七七三―七七四頁〔明治一三年九月二五日〕 東京蠣殻町米商会所申合規則 (前号ノ続キ)(DK140005k-0003)
第14巻 p.31-34 ページ画像

東京経済雑誌  第三九号・第七七三―七七四頁〔明治一三年九月二五日〕
  東京蠣殻町米商会所申合規則 (前号ノ続キ)
    第五条
第一節 仲買人ヘ依頼シテ売買ヲ為ス社外人ハ必会所ヨリ差出シタル証拠金ノ預リ証ヲ取置クヘシ、此証拠金預リ証ハ切手ヲ用ヒ其仲買人ノ名当ヲ以テ差出シ総テ印税規則ニ遵ヒ印紙貼用スヘシ、尤此切手ハ売買決算済ノ際会所ヘ返付スヘシ、若仲買人或ハ売買本主手元ニテ紛失セハ速ニ会所ヘ届ケ出ヘシ、会所ニ於テハ其趣ヲ詳記シテ掲示ヲ為シ置キ約定ノ期限ニ至リ尚発見セサルトキハ仮令後日発見スルトモ反古タルヘキ旨ノ証書ヲ取リタル上ニテ決算ノ出納ヲナスヘシ
  但此切手ニ記載シタル金穀ハ一切他ニ使用スルコトヲ許サヾルヘシ
 - 第14巻 p.32 -ページ画像 
第二節 仲買人ニ於テ証拠金預リ切手ヲ売買決算済ノ際若会所ヘ返スコトヲ拒ムモノアルトモ、会所ニ於テハ決算済ノ上ハ都テ之ヲ反古ト看做スヘシ
    第六条
第一節 会所ニ於テ定期米売買中非常ノ乱高下或ハ不穏当ノ所業ト看認ルトキハ肝煎衆議ノ上一時売買ヲ中止シ、又ハ幾人ヲ限リ売買ヲ差止メ、又ハ其際売買セシ者ノ記帳ヲ拒ミ、或ハ記帳セシ上其者限リ臨時ノ増証拠金ヲ即刻差入レシメ、前キニ已ニ約定セシ分ヲモ増証拠金ヲ差入レシムルコトアルヘシ
  但商業差止メ中ト雖モ別段肝煎ノ承認ヲ得ルニ於テハ買戻売渡ヲナスコトヲ得ヘシ
    第七条
第一節 定期米取引期日ニ至テハ午後第三時ヲ限トシ、売主ハ米銘柄蔵所附買主ハ皆代金ヲ会所ニ差入レ、外ニ売買双方ヨリ増入金トシテ皆代金ノ十分一ヲ差入ルヘシ
  但本条皆代金ハ取引期日前十日間ノ帳入直段ヲ合セ是ヲ平均シテ其代価ヲ定メ之ヲ掲示スヘシ
    第八条
第一節 定期ノ受渡米ハ取引期日ノ翌日ヨリ会所ノ役員蔵所ニ臨ミ現米撿査ヲナスヘシト雖モ、売方ノ都合ニ依テハ約定期月ニ入リタル上ハ何時ニテモ会所ヘ申出撿査ヲ受ケ品位ヲ定メ置クモ随意タルヘシ、然シテ会所ニ於テハ売買上ヨリ授受承諾ノ書面並蔵守ヨリ米預リ証書ヲ取リタル上其米ノ品位ニ応シ売方ヘハ取引期日ニ至リ相当ノ金額ヲ渡シ、買方ヘハ蔵出シ積切手ヲ渡シ受渡ヲナサシムヘシ、又売方ニ於テ取引期日迄ニ品位撿査済ノ米ヲ以テ会所倉廩ニ積入レ封印ヲ受クルカ、又ハ会所ニ於テ予メ信認セル蔵所ニ積入レ、其預リ証書ヲ差出スニ於テハ、買方二名以上ナレハ鬮引ヲ以テ受取人ヲ定メタル上、取引期日ノ即日売買人ヘ相当金額積切手ノ渡方ヲナスヘシ
第二節 定期渡米銘柄蔵所附ヲ会所ニ差出シタル後ニ於テ非常天災ノ損害ハ代金蔵出シ切手授受セサル前ハ売人負担スヘシ、尤其米ノ全部若クハ幾分ヲ滅却シタル実証アルトキハ其滅却セシ高ハ該期月中ノ総帳入直段ヲ平均シ之ヲ目的トシテ売買戻ヲナサシメ其存在石高丈ケ受渡ヲナサシムヘシ、又代金渡セシ後ハ買人負担スヘシト雖モ或ハ米品ニ依リ代金ノ内渡ヲ為シ置キ其残余会所ニ預リタル分アルトキハ買人ヘ渡スヘシ、尤桝廻石詰未決中ナレハ前キニ売方ニ渡シアル代金ハ買人ノ損、残金ハ売人ノ損タルヘシ、蔵敷ハ授受承諾ノ書付ヲ出セシ日ヨリ買人方ニテ払フヘシ
第三節 現米直取引ハ売方ハ印紙貼用セル蔵所ニテ代金引替ノ積切手ヲ差出シ、買方ハ其総代価ノ概算十分ノ一ニ当ル内金ヲ蔵出シナスマテノ間会所ニ預ケ置クヘシ
  但売方ヨリ差出ス積切手ハ他ヘ転売スルコトヲ許サス
    第九条
第一節 定期米買方二名以上ニシテ売渡米各種ナルカ又ハ蔵所二ケ所
 - 第14巻 p.33 -ページ画像 
以上ナルトキハ、其銘柄蔵所附ヲ鬮引ニシテ受取品ヲ定メ、又引取方モ鬮引ヲ以テ蔵出ノ順序ヲ定メ置キ雨天ノ外日々早朝ヨリ受渡ヲナスヘシ、其石数ハ一日大約五千俵ヨリ少カルヘカラス、若故ナク其受渡方ヲ怠リ三日ヲ過ルニ於テハ四日目ヨリ一日毎トニ米拾石ニ付金壱円宛ノ割合ヲ以テ過怠金ヲ差出サシメ、之ヲ他ノ一方ニ渡スヘシ、若又仮令過怠金ヲ差出スモ尚三日以上怠ルモノハ違約人ノ処分ニ及フヘシ
第二節 定期米受渡ノ節ハ会所附属ノ小揚ヲ立会セ桝廻引ケ石等総テ会所ニ於テ別段ニ定メタル規程ニ従フヘシ、直取引ノ桝廻ハ相対ヲ以テ便宜ニ従フヘシ
    第十条
第一節 定期売買米約定ハ建米ヲ以テスト雖モ、受渡ノ節ハ代米ヲ用フルコトヲ得ヘシ、尤代米価格ハ会所ニ於テ定メタル格付ニ従フヘシ、其現米ノ品位ハ会所役員撿査ノ上之ヲ定ムヘシ、若売買主ニ於テ異議アルトキハ肝煎ニテ裁定ス、之ヲ拒ムモノハ違約人ノ処分ニ及フヘシ
第二節 受渡シ蔵所ハ会所倉廩ノ外浅草官庫深川一円並ニ一石橋ヨリ大川橋マテノ間横川十町通リ河岸附蔵所ヲ用ヒ、納屋詰外積ヲ禁ス且売人所有ノ米品官庫ニアルトキ撿査授受ノ方法ハ市中蔵所ト同一ナリト雖モ、官庫御払米代金済ノ切手ヲ会所ヘ差出シ、且売人ヨリ別段保証ノ書面ヲ差出スヘシ
  但他人名前ノ切手ヲ転売スルトキハ其名前人ノ加印ヲ要ス
    第十一条
第一節 定期受渡米撿査又ハ桝廻ノ場合ニ於テ若百石ニ付二十石以上五十石以下ノ不足アレハ、之ヲ三日間ニ補ハシメタル上、米十石ニ付金弐円宛ノ割合ヲ以テ其不足高ニ対シ過怠金ヲ差出サシメ買方ニ渡スヘシ、二十石以内ノ不足ハ之ヲ補ハシムルノミニテ過怠金ヲ要セス、若満五十石以上ノ不足ナルトキ、又ハ五十石以下ト雖トモ三日間ニ其不足ヲ補フコトヲ怠ルトキハ違約人ト為シ、第十四条ニ拠テ処分スヘシ
  但受渡米ハ俵数ニ関セス石詰ヲ以テ計算スヘシ、受渡高ヘ対シ凡百分ノ一マテノ過不足ハ現在ノ石高ヲ以テ計算取引ヲナスヘシ
    第十二条
第一節 定期渡米ノ内不熟・風災・腐化・変質等ノ悪米銘柄一廉ノ内十分ノ三以外アルトキハ、三日間ニ十分ノ三以内ニ差替ルカ、又ハ悉皆差替米ヲ出スモ売人ノ便宜ニ従フヘシ、又時ノ寒暑ニ依リ小痛ミ等ハ相当ノ引石ヲ附シ本俵ト看做シ受渡スヘシ、其他現品ノ格違ヲ主張シ、或ハ悪米十分ノ三内外ヲ論シ、又ハ引石ノ積リ方売買人申立ニ逕庭アルトキハ肝煎ニ於テ裁定ス、之ヲ拒ムモノハ違約人トナシ、第十四条ニ拠テ処分スヘシ
  但受渡米蔵出シ相済桝廻ノ端書売買人ヨリ差出セハ会所ニテハ之ヲ目的トナシ決算ヲナスヘシ
    第十三条
第一節 定期渡米撿査ノ節銘柄違蔵所々在ノ地名違(浅草官庫ニ在ル
 - 第14巻 p.34 -ページ画像 
モノヲ深川町蔵ニ在リト云フノ類)又ハ格附ニ差等アル年柄違ハ其格付ニ依テ受渡ノ上、米拾石ニ付金壱円宛ノ過怠金ヲ取立買方ヘ相渡スヘシ


〔参考〕東京経済雑誌 第四〇号・第八〇五―八〇七頁〔明治一三年一〇月五日〕 東京蠣殻町米商会所申合規則(前号ノ続キ)(DK140005k-0004)
第14巻 p.34-36 ページ画像

東京経済雑誌  第四〇号・第八〇五―八〇七頁〔明治一三年一〇月五日〕
  東京蠣殻町米商会所申合規則(前号ノ続キ)
    第十四条
第一節 定期米売買主ニ於テ若定規ノ諸証拠金ヲ怠リ定刻ニ差入レサルモノハ之ヲ違約人トナシ、肝煎ハ其組合ノ仲買人ヲシテ、売方ノ違約ナレハ其石高ヲ会所ノ市場ニ於テ買求メサセ、又買方ノ違約ナレハ之ヲ市場ニテ売払ハセ、其不足金並夫カ為メ蒙リタル相手方ノ損失ヲ合セ、其者ノ身元金ヲ以テ之ヲ償ハシムルヲ以テ会所ノ義務ハ尽ルモノトス
第二節 若前キニ已ニ証拠金ヲ差入レアル定期約定米アルモノ本条第一節ノ違約人トナリタルトキ、其者ノ身元金ニテ相手方ノ損失ヲ償フニ足ルニ於テハ其者ハ爾後ノ売買約定ヲ為スコトヲ差止メ置キ、前ノ約定石高ノ定期受渡ヲ畢ルカ又ハ買戻売渡ヲナシ畢ルヲ期トシテ其者ハ除名シ、若身元金ニ尚残余アレハ之ヲ会所ニ没入スヘシ
第三節 若此者第一節ノ違約ニ依リ身元金ニテ相手方ノ損失ヲ償フニ足ラサルトキハ、前キニ已ニ証拠金ヲ差入レアル定期米ノ内其償ヲナシ得ヘキ丈ケノ石高ヲ第一節ノ手続ヲ以テ売払ヒ又ハ買求メサセ其証拠金ヲ以テ之カ償ニ充テシメ、自余ノ石高ハ第二節ノ例ニ依ルヘシ
第四節 凡テ定期米諸証拠金ヲ差入ルヘキ当日之レヲ差入レスシテ違約人トナリタルトキ、会所ノ市場時間後レ第一節ノ措置ヲナシ難キ実況ナルトキハ翌朝之ヲ為サシメ、其計算上若相手ノ損毛トナラスシテ本人ニ利金アルトキハ之ヲ返付スヘシト雖モ、其者ハ本条第一節ヨリ第三節ニ依リ処分スヘシ
第五節 定期米受渡ノ期日ニ至リ銘柄蔵所附及皆代金等ヲ定刻ニ差出サスシテ違約人トナリタルトキハ、其石数ニ付帯シタル諸証拠金ト其者ノ身元金トヲ以テ相手方ヘ配賦シ之カ償トナサシムルヲ以テ会所ノ義務ハ尽ルモノトス、尤其者ハ之ヲ除名シ且身元金残余アレハ没収スヘシ、又之ヲ双方ニ於テ怠ルトキハ其約定ハ効ナキモノトスレトモ、共ニ之ヲ除名シテ其身元金ハ没収スヘシ
第六節 第五節ノ違約人トナリシモノ其翌月若クハ翌々月限ノ売買約定米アルトキハ、其約定米ハ第二節ノ例ニ依ルヘシ
第七節 若銘柄蔵所附皆代金ノ内其幾分ヲ差出スコトヲ怠ルトキハ、該石高丈ニ対シ第五節ノ処分ヲ下シ、自余ノ石高ハ其受渡ヲ畢ヘシムヘシ
第八節 会所売買所火災ニ罹ラハ七日以内ニ仮売買所ヲ設ケ接続売買ナスヘシ、非常其他止ムヲ得サル事故アリテ休業五日ニ及フトキハ売買双方ヨリ増証拠金ヲ差入レシメ事故果タル上接続売買スヘシ、若之ヲ差入サル者ハ違約人トナシ諸証拠金身元金ヲ併セテ相手方ノ総石高ニ配賦シ其者ハ除名スヘシ、尤此増証拠金ハ接続売買ヲ始ル
 - 第14巻 p.35 -ページ画像 
日之ヲ返付スヘシト雖モ、若休業前ノ相場ニ比較シ追証拠金ヲ差入シムヘキ程ノ高低アルトキハ、其追証拠金ハ即刻差入シムヘキモノナルヲ以テ之ニ流用スルコトヲ得ヘシ
第九節 現米直取引ヲ約シ買方ニ於テ其米ノ受取方ヲ怠ルトキハ、総代価ノ概算十分ノ二ニ当ル金額ヲ売方ニ渡サヽルトキハ、買方ヨリ其旨会所ニ申出肝煎ノ所分ヲ請フヘシ
第十節 定期約定米アルモノ別ニ現米直取引ヲ約シ其直取引ニ於テ違約人トナリタルトキハ、上文ノ手続ヲ以テ処分シ、爾後ノ定期売買約定ヲナスコトヲ差止メ、前キニ売買約定ナセシ分ハ定期ノ受渡ヲ終ルカ又ハ買戻売渡ヲ為シ終ルヲ期トシ其者ヲ除名シ、身元金ノ残余アレハ返付スヘシ
第十一節 現米直取引ノ約アルモノ別ニ定期米売買ヲ約シ其定期米ニ於テ違約人トナリタルトキハ、先ツ直取引ノ約ヲ完結セシメ、然ル後定期米ノ処分ニ及フヘシ、現米直取引定期米約定トモ併セテ違約セシトキモ亦同シ
    第十五条
第一節 仲買人ニ於テ会所定款及此申合規則ノ各条ニ背犯シタル所業アルトキハ、肝煎ノ衆議ヲ以テ其軽重ヲ量リ身元金ノ高ニ超エサル過怠金ヲ差出サシメ、又時宜ニ依リ其者ヲ除名シ且身元金ハ之ヲ没収スルコトアルヘシ、尤除名スル場合ニ於テ其者前キニ定期約定米売買アルトキハ、前条違約人ノ例ヲ以テ之ヲ処分スヘシ
  但仲買人売買上不審ノ廉アルト肝煎ニ於テ思考セルトキハ不時ニ各自ノ帳簿ヲ点撿スルコトアルヘシ、之ヲ拒ムモノハ亦本文ノ処分ニ及フヘシ
第二節 仲買人依頼人トノ相対ヲ以テ証拠金ヲ受取ラス或ハ証拠金ノ内幾分ヲ受取置ク等ノコトヲ厳禁ス、若此規則ニ背戻スルモノアリテ発覚スルトキハ本条第一節ニ照シ処分スヘシ
第三節 仲買人自己ノ為メ違約人トナリ証拠金ヲ以テ違約ノ弁償ニ供シ除名セラレタル上ハ、他ノ依頼人ニ渡シアル会所ノ証拠金預リ証ハ無効ノモノトス
    第十六条
第一節 会所手数料ハ当分左ノ通リ定ムト雖モ到底条例ノ制限ニ超過セサルヘシ、又仲買口銭ハ其依頼人トノ示談ニ任スト雖モ其制限ハ会所手数料ニ超エサル高ヲ以テ予メ之ヲ取極メ、肝煎ノ承認ヲ受ケ置クヘシ
 定期取引米手数料 拾石ニ付
  一石ノ価 四円以上四円九拾九銭マテ  金七銭五厘
  同    五円以上五円九拾九銭マデ  金九銭
  同    六円以上六円九拾九銭マデ  金拾銭五厘
 現米直取引手数料 二十五俵ニ付 (俵ノ大中小ヲ論セス)
  一石ノ価 四円以上四円九拾九銭マテ  金壱銭六厘
  同    五円以上五円九拾九銭マテ  金弐銭
  同    六円以上六円九拾九銭マデ  金弐銭四厘
   定期直取引トモ余ハ之ニ準ス
 - 第14巻 p.36 -ページ画像 
    第十七条
第一節 会所営業ノ時間ハ毎日午前第八時ヨリ午後第四時マテトシ、売買ノ時間ハ午前第八時ヨリ午後第二時マテト定ム
  但右刻限ハ金方出納ノ為メ又ハ日ノ長短ニヨリ延縮スルコトモアルヘシ
    第十八条
第一節 御国祭日及毎月末日ハ定期直取引トモ休業シ、日曜日ハ定期売買ヲ休業ス、臨時休業ハ其時々掲示スヘシ
  但定期売買ハ其商業ノ景況ニ依リ日曜日ト雖モ午前第十時マテ施行スルコトアルヘシ、此帳入ハ正午十二時限トシ証拠金差入方ハ午後第一時限トス
    第十九条
第一節 此申合規則ニ於テ実際上若不都合之アル歟、又此規則中遺漏ノ件アルトキハ肝煎ノ衆議ヲ以テ補除改正シ、其都度官ノ許可ヲ得テ施行スヘシ
第二節 会所ニ於テ一時売買ヲ中止シ又ハ止ムヲ得サル事故アリテ休業スルニ際シ、臨時ノ処務上此申合規則ニ恰当ノ明文之ナキトキハ肝煎衆議ノ上大蔵卿ノ認可ヲ得テ臨機ノ処置ヲナスヘシ
右取極メタル申合規則ハ会所営業上何レモ確守スヘキ証拠トシテ、株主並ニ仲買人一同記名調印スヘキモノナリ
  明治十三年五月      東京蠣殻町米商会所
                 頭取  米倉一平
                 副頭取 石原近昌
                 肝煎  鶴岡長次郎
                 肝煎  有村壮一


〔参考〕(芝崎確次郎) 日記簿 明治一三年(DK140005k-0005)
第14巻 p.36 ページ画像

(芝崎確次郎) 日記簿  明治一三年  (芝崎猪根吉氏所蔵)
  七月十三日
○上略
米倉外壱人来客主君応接被成居候ニ付都テ奥様ヘ上申置候事