デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
2款 東京米商会所
■綱文

第14巻 p.36-52(DK140006k) ページ画像

明治13年下半季(1880年)

栄一、所持スル東京兜町米商会所株式ヲ悉ク売却シ、同所トノ関係ヲ断ツ。


■資料

回議録 第三類 米商・株式 明治一三年自七月至一二月(DK140006k-0001)
第14巻 p.36-37 ページ画像

回議録  第三類 米商・株式 明治一三年自七月至一二月  (東京府庁所蔵)
    株式授受人名表

図表を画像で表示株式授受人名表

 株数株金   株券号    売渡買受   属籍     住所               姓名 拾株    自第八拾三号  売渡    東京府平民  深川区福住町四番地        渋沢栄一 此金千円  至第九拾弐号 同     同       買受    同      日本橋区亀島町壱丁目六拾六番地  野依周吉郎 



○中略
右之通御座候也
  明治十三年十二月八日   東京兜町米商会所 印
 - 第14巻 p.37 -ページ画像 
              頭取田中平八代理
               肝煎 竹中邦香 印
    東京府知事 松田道之殿



〔参考〕明治商工史 (渋沢栄一撰) 第一一四頁〔明治四四年三月〕(DK140006k-0002)
第14巻 p.37 ページ画像

明治商工史 (渋沢栄一撰) 第一一四頁〔明治四四年三月〕
 ○第五章 経済機関の起源
    六 株式取引所
○上略
取引所創立 斯くて取引所は明治十一年に至り設立せられ、予は創立当時に於て之に関係する所ありしが、後ち渋沢喜作に托して其主脳者たらしめたるも、他に反対の説ありて遂に小松彰をして之に当らしめたり、元来取引所の設立は予輩自ら之によりて輸贏を争はんとするの念なく、単に社会実業の具に供するの意に出でたりしが、事実其弊多くして時に甚しき害の生ずるを看破したるを以て、銀行業者として之に遠さかるの得策なるを認め、相当の株を所持せしも遂に之を売却し爾来全然之と関係を絶つに至りしなり。


〔参考〕東京経済雑誌 第二六号・第三二七―三三〇頁〔明治一三年五月五日〕 米商会所並株式取引所条例の改正(DK140006k-0003)
第14巻 p.37-40 ページ画像

東京経済雑誌  第二六号・第三二七―三三〇頁〔明治一三年五月五日〕
    ○米商会所並株式取引所条例の改正
太政大臣三条実美公は四月十五日を以て左の如く布告せらる
○第十九号
 明治九年(八月)第百五号布告米商会所条例中左ノ通改正加除候条此旨布告候事
   明治十三年四月十五日   太政大臣 三条実美
    米商会所条例第三条第二節
 発起人ハ其募ニ応シタル株主等ト共ニ集会ヲ為シ、第五条ノ程限ニ従ヒ五人以上ノ肝煎及ヒ正副頭取ヲ撰任シ、其住所姓名年齢等ヲ詳記シタル書面ヲ以テ地方庁ヲ経由シ大蔵卿ノ認許ヲ受ク可シ、大蔵卿ハ時トシテ其改撰ヲ命スル事アル可シ
    同第五条第三節
 右役員ハ株主ノ定例総集会ノ節投票ヲ以テ十株以上ヲ所持シタル株主中ヨリ肝煎ヲ撰挙シ、肝煎ハ其同僚中ヨリ正副頭取ヲ推撰シ、共ニ其住所姓名年齢等ヲ詳記シタル書面ヲ以テ地方庁ヲ経由シ大蔵卿ノ認許ヲ受ケ新旧交代セシム可シ、大蔵卿ハ時トシテハ其改撰ヲ命スルコトアル可シ
    同第七条第二節
 株主ハ肝煎ノ承諾ヲ得テ仲買人トナルヲ得、其場合ニ於テハ別段証人ヲ要セスト雖モ通常仲買人タルノ条件ニ適応スルヲ要ス
    同第八条第一節
 仲買人タルヲ得ヘキ者ハ丁年ニシテ会所所在ノ場ニ於テ満一年以上米商営業ヲ為シタル者ニ限ル、而テ仲買人トナラント欲ル者ハ身元金千円以上ヲ出シ、株主二名以上ノ保証ヲ以テ肝煎ニ申出テ、其承認ヲ得タル上地方庁ヲ経由シテ、仲買人トナラントスル願書ヲ大蔵
 - 第14巻 p.38 -ページ画像 
卿ニ捧ケテ其認許ヲ受ク可シ
 身元金ハ現金又ハ日本政府ノ公債証書ヲ以テ会所ニ預ケ置ク可シ
    同 第二節
 仲買人ハ他人ノ依頼ヲ受ケテ売買取引ヲナスト自己ノタメニナストヲ問ハス会所ニ対シテハ其売買取引上ノ責任ヲ負フヘキ者トス
    同 第三節
 仲買人ハ五名ヲ一組トシ、組合中ヨリ一名ヲ推撰シ、肝煎ノ承認ヲ得テ組頭トナシ、組合中一切ノ取締ヲナサシム可シ
    同第十条第一節
 会所ニ於テ為ス所ノ売買取引ハ現米直取引ト定期トノ二様ニ分チ、又其定期ヲ二種ト為シ、其一ヲ約定ノ期限ニ至リ現米金ノ受渡ヲ為ス者トシ、其二ヲ予定ノ期限内ニ其取引ヲ完結シ又ハ解約スルモノトス
    同 第二節
 現米直取引ハ見本米ヲ以テ会所内ニ於テ売買ヲナシ、其現石受渡ノ順序ハ会所ノ規則ニ従フヘシ
    同 第三節
 定規売買ヲ約定シタルトキハ会所ノ役員ニ届出テ売買主双方ヨリ約定ノ証拠金ヲ会所ニ差入ル可シ、此証拠金ハ少クトモ約定代金高十分ノ二ヨリ下ル可ラス、又此証拠金ノ外ニ時々相場ノ高低ニ因テハ追証拠金或ハ期日前ニ至リ猶ホ其約定ヲ確乎ナラシムル為メ増証拠金ヲ差入シム可シ
    同 第四節
 定期売買約定ノ期限ハ三ケ月ヨリ永カルヘカラス、而テ其期日ニ至レハ会所ノ役員立会ノ上必ス現米金ノ受渡ヲ為シ其取引ヲ完結ス可シ、但約定済ノ分ヲ双方ノ都合ニヨリ其期限内ニ買戻シ又ハ買受ケタル分ヲ他人ニ売渡スコトヲ得
    同第十一条第一節
 会所ニ於テ売買双方ヨリ領収ス可キ手数料、直取引ハ売買金高ノ二千分ノ一ヨリ多カラス、又定期取引ハ千分ノ二ヨリ多カラザルベシ
    同第十六条第一節
 頭取肝煎ハ株主及ヒ役員ノ進退、仲買人ノ退社又ハ売買ノ実況等ヲ詳記シ、之ヲ大蔵卿ニ申告スベシ
    同第十九条第一節
 会所ノ役員及ヒ株主仲買人等此条例ヲ犯スカ、又ハ役員タル者株主仲買人ノ条例ニ背犯シタルヲ不問ニ措キ、又背犯セシメタル実証アルトキハ、役員並ニ本人トモ其軽重ニヨリ三十円以上千円以下ノ罰金ニ処ス
    同 第二節
 前節ヲ犯シタル者ヲ告発シタル者ニハ其告発ニ依テ科シタル罰金ノ半額ヲ給ス
    同 第三節
 従前ノ第二節
    同 第四節
 - 第14巻 p.39 -ページ画像 
 従前ノ第三節
又同しく十五日を以て左の如く布告せらる
○第二十号
 明治十一年(五月)第八号布告株式取引所条例中左ノ通改正加除シ又明治十二年(二月)第八号布告但書ヲ廃ス、金銀売買取引ノ証拠金モ株式取引所条例ニ遵フヘシ、此旨布告候事
  明治十三年四月十五日   太政大臣 三条実美
    株式取引所条例第三章第十五条
 丁度《(年カ)》ニシテ仲買人トナラント欲スル者ハ、次条ニ定ムル身元金ヲ差入レ取引所ノ承認ヲ得タル上仲買人トナラントスル願書ヲ大蔵卿ニ捧ケ其認許ヲ受クヘシ、仲買人ハ他人ノ委托ヲ受ケテ売買取引ヲ為スト自己ノタメニナストヲ問ハス、取引所ニ対シテハ其売買取引上一切ノ責任ヲ負フヘシ
    同 第十六条
 株式仲買人ノ身元金ハ二百円以上、金銀仲買人ノ身元金ハ千円以上タルヘシ
    同 第四章第十九条
 取引所ノ肝煎ハ五名以上トシ、株主ノ総会ニ於テ取引所ノ定規ニ従ヒ現ニ三十株以上ヲ所持スル株主中ヨリ之ヲ撰挙シ、肝煎ハ其同僚中ヨリ頭取一人ヲ推挙シ、其住所姓名年齢等ヲ大蔵卿ニ具申シテ其認許ヲ受クヘシ、大蔵卿ハ時トシテハ其改撰ヲ命スルコトアルヘシ支配人以下ノ役員ハ頭取肝煎ノ衆議ニ依リ株主又ハ株主ニアラサル者ヲ撰任スルコトヲ得
    同 第五章第三十三条
 取引所ニ於テ違約人ヲ処分スルハ、其証拠金及ヒ身元金ヲ以テ其違約ニ依リ相手方ニ於テ失ヒタル利得ト蒙リタル損害トヲ償ハシメ、而シテ其違約人ヲ除名スルニ止マルヘシ
又二十一号を以て左の如く布告せらる
○二十一号
 法律定規ニ従ヒ官許ヲ得タル米商会所株式及ヒ横浜取引所外若クハ内タリトモ窃ニ米穀並金銀貨幣及ヒ株式ノ限月若クハ現場(定期ヨリ起リタル現場ヲ云フ)売買、其他之ニ類似シタル取引ヲ為シタル者、及其情ヲ知テ売買取引ノ場所ヲ給与シタル者、若クハ其売買取引ヲ誘助シタル者ハ十円以上二百円以下ノ罰金ニ処シ、其売買取引ハ無効ト為スヘシ(但本条ヲ犯シタル者ヲ告発シタル者ニハ其告発ニ因テ科シタル罰金ノ全部ヲ給ス、其自ラ犯シタル者事未タ発覚セザル前ニ於テ自首シタルトキハ其罪ヲ問ハス)右布告候事
  明治十三年四月十五日   太政大臣 三条実美
是に於て大蔵卿佐野常民公は左の如く達せらる
○甲第四十七号
 今般第十九号公布ヲ以テ米商会所条例更正相成候ニ付テハ明治九年(八月)内務省甲第二十九号布達米商会所成規中抵触ノ廉ハ自今消滅ノ儀ト可相心得、此旨布達候事
  明治十三年四月十六日   大蔵卿 佐野常民
 - 第14巻 p.40 -ページ画像 
○乙第十八号 府県
 今般第廿一号公布ノ趣キモ有之候ニ付テハ取締向尚一層厳重ニ可相立、因テハ金銀米穀売買取引ヲ為ス業体ノ者並ニ両替店為替店又ハ穀物問屋ノ類ヘハ時々主務ノ官吏ヲ派遣シ篤ト為相改、自然右公布ニ違反候者ハ速ニ取糺シ裁判所ヘ求刑可致、此旨相達候事
  明治十三年四月十六日   大蔵卿 佐野常民
右太政官布告第二十一号及ひ大蔵省布達乙第十八号ハ商人の利害に関する頗る重大なるを以て、東京商法会議所に於ても四月廿一日を以て急に臨時会議を開かれ、午後七時頃よりして議事に取かゝらる、会頭渋沢栄一君は先つ議員諸君に告て曰く、本日故らに臨時会を開き敢へて諸君の出席を請ひし次第は別儀ならすして、夫の太政官第廿一号の布告並に大蔵省乙第十八号の布達に付き諸君の討議を請ふべき者あるに因る、然れとも吾々決して法律を議するにはあらす、唯た銘々の商業上に大関係のあることなれは予め明かにこの布達の真味を索め、其索め得さる分は直ちにこれを伺ひ、其明釈を得て皆々其営業に安せんことを欲するのみ、されは充分に之を議して聊かの憚りなきことを望む」と、此演説の終るや、理事本員福地源一郎君は起て会頭と呼ひ左の如く述へらる、本日玆に臨時会を開きたる主意は只今会頭の演説を以て諸君の既に了承せらるゝ所ならん、吾々決して政治法律を談する者にあらす、唯々商人たるの位置に居て商人たる自己の利益を保護せんか為めには、斯る布告布達は、飽くまて討論し其疑ふべきは之を伺ひて其意を詳かにし、其弊あるべきは哀願して之を消絶し、商估をして安心せしむるは、会員自家のため全国商估のため当さに当会議所に於て勉むべき所なり、抑も今般の布告布達の精神を尋ぬれは法律に遵ひ官許を得たる会所取引所に於てするを除くの外は、金銀米株式の売買を禁し、万一背く者あれは斯く斯くの罰ありと定め、夫の預合懐商等の陰事を禁止するの目的に外ならすして毫も世間一般の銀米正業を拘束するの主意にあらさる可しと雖とも、如何せんや其文面に至ては大に人を惑はしむるあるを以て、当会議所にては布告に所謂限月売買とは如何なる者を云ふか之に類似せる者とは果して如何なる者なるかを伺ふこと緊要なり、さて又大蔵省乙第十八号の布達は太政官第廿一号の布告を実行せんとの目的に出るに外ならさるべしと雖とも、これ又其文面を以てする時は相場に対して毫末の関係なき者と雖とも時々大蔵官吏の撿査を受けさるを得さるに似たり、果して然れは、其不便如何うや」と、弁を振ひ妙喩を設けて演述せられしかは、まづ会員多数の同意を得たる者の如くありき、玆に於て会頭は衆員に向て曰く、此伺等の手続は如何なすべきや、諸君其考案を発言ある可し」と、福地君曰く、この伺等の手続は先づ廿一号の限月売買とは何そや、類似する者とは何そや、其区域の明解を太政官より普ねく公布せられんことを大蔵卿へ仰き、次に十八号の布達は之を取消しあらんことを歎願し、万一御聞届を得さる時は責めては疑ひの確証あるに非らされば官吏を派遣せしめす、また撿査すべき帳簿は是れ是れの種類に止ると云ふ区域を布達せられんことを歎願する様いたしたし」と、益田孝君も頗る此議を賛成せられしかは終に之に決して此会を閉ちらる

 - 第14巻 p.41 -ページ画像 

〔参考〕東京経済雑誌 第二七号・第三六二―三六三頁〔明治一三年五月二〇日〕 【同しく三日○明治一三年…】(DK140006k-0004)
第14巻 p.41 ページ画像

東京経済雑誌  第二七号・第三六二―三六三頁〔明治一三年五月二〇日〕
○同しく三日○明治一三年五月に於て東京府知事より両米商会所へ左の如く達せられたり
 其会所仲買人々員制限ノ儀ニ付昨十二年二月伺出候節林主《(株)》ニシテ其業ニ従事候者ハ仲買人入社制限ノ外ト可相心得旨同年二月十七日附ヲ以テ及指令置候所、今般条例加除更正相成候ニ付テハ、自今株主仲買人ト雖トモ制限内ト可心得、此旨更ニ相達候事
これに依て兜町米商会所にてハ左の如く広告せり
 右ノ通御達相成候ニ付テハ制限ノ比準ニ拠リ当会所ハ現今資本金五万円ナルヲ以テ仲買人員ハ株主及ヒ株主ニ非サル者ヲ併セテ百六十人ヲ限ル儀ニ候条、此旨広告候事


〔参考〕東京経済雑誌 第三〇号・第四六五―四六六頁〔明治一三年六月二五日〕 【東京米商会所及び横浜…】(DK140006k-0005)
第14巻 p.41 ページ画像

東京経済雑誌  第三〇号・第四六五―四六六頁〔明治一三年六月二五日〕
○東京米商会所及び横浜取引所金銀限月売買禁止以来、仲買人其他右等へ関係する者は商売休にて生食に苦るしみ、他所へ転居する者多きよしは諸新聞にも見えたり、猶ほ聞く所に仍れば右等のもののみならずして何商売を問はず凡て不景況を増せり、就中其の重もなる者は鉄道・電信・郵便・料理屋・船宿・猫の類にして鉄道の不景気なるが為めにステーシヨンの小間物屋及び人力車などが暇になり、電信・郵便の不景気なるが為めに紙屋の取引を損なひ、料理屋・船宿等の不景気なるが為めに酒・醤油などの売捌悪しきなり」或る醤油屋の主人の言に曰く、マグロの多く河岸に揚るときは醤油の売方極めて忙しく(是れは指し身てり焼にて食するゆえ)鰯の漁業多きときは醤油の捌け甚た悪し(是れは塩焼にて食するゆゑ)と」凡て物の関係あること斯の如くにして今ま会所取引所の如き一大盛場の休場に就ては其感覚前の如きに至るも亦た宜ならずや


〔参考〕東京経済雑誌 第三五号・第六二九頁〔明治一三年八月一六日〕 【米商会所の停止以来…】(DK140006k-0006)
第14巻 p.41 ページ画像

東京経済雑誌  第三五号・第六二九頁〔明治一三年八月一六日〕
○米商会所の停止以来仲買の輩は日に飢餓に迫り其辛苦一方ならざりし処、此度は弥々両米商会所の頭取並肝煎よりして解停の儀を府庁へ哀願したるよし、仄かに聞く所に拠れば政府に於ても種々御評議ありて、多分は近日に解停の典あるべきなれども、先つ予め府県へ指令され、其到着するを俟ちて各地とも電報を以て一時に開かるゝの趣向なれば、彼是れ今少しの猶予もあるならんかと云へり、又解停後米価の高低は如何あらんかに付ては諸商人の見込紛々一様ならざれども寧ろ下向なるべしとの説は商人社会に於て多数を占むるよし


〔参考〕東京経済雑誌 第三六号・第六七一―六七二頁〔明治一三年八月二五日〕 【前号に一寸報道したる…】(DK140006k-0007)
第14巻 p.41-42 ページ画像

東京経済雑誌  第三六号・第六七一―六七二頁〔明治一三年八月二五日〕
○前号に一寸報道したる米商会所現米直取引九月一日より解停の旨を達せられてより、米商どもハ是迄日々指を屈して楽しみ居りしその甲斐もなく、只た現米直取引のみの解停なれバ前の楽み忽ち消ゑて只管ら驚愕したるのみ、就てハ去る十四日該会所役員ハ東京府へ出頭し、府知事公へ面会を乞ひ、今回の御達ハ何故定期売買を許可せられざる
 - 第14巻 p.42 -ページ画像 
や、今日現米直取引のみを許可せられては、会所に於て若し直取引を始むるに当り或ハ現今米価の価格を一層騰貴せしむるの媒助となるも謀り難し、又た定期売買あるか為に今日の米価を騰貴せしむる様仰せらるゝが然る訳はなし、現に米商会所停止以来二升余も高価となりしを見れハ決して米価騰貴の罪を定期売買に帰すべからざるは明瞭なり云々、縷々陳述せしかバ府知事公も至極理ある申状なれど余之を如何ともすべき様なし、其事柄は大蔵卿に上申し、同卿の都合を伺ひ諸君を紹介すべけれバ其の節逐一陳ずべき由を申されたりければ、翌日府知事公は大蔵卿に紹介せられしかバ、該役員ハ親しく前の旨を陳して一先つ退散し、其翌十六日又々府知事に面謁し前に陳述したる主意を以て定期売買解停の歎願書を差出したる由、而して先に差出したる定款及申合規則へ一人にて千石以上の売買を為すときハ売方にハ現米の備へある場、買方にハ金の都合等を会所に於て推問し、双方確実ならざれば売買を差許さゞる旨の一項を増し、又是迄定期ハ三ケ月なるを当分二ケ月を踰ゆべからずと改められたりと云ふ、又た会所の摸様を聞くに、米商仲買株主等ハ去る十四日集会し、其節皆々異口同音に現米の直取引を為すに何ぞ会所の開設を要せんや、銘々自家にて勝手に為すを得べし、何ぞ千二百円の身元金を入るゝの理あらんや、態々会所に来つて手数料を費すハ余計の贅費なり、是贅費を厭はずして此に来つて売買せんとするものハ或ハ所謂投機者ならん、是れ実に当会所の危急存亡の時なり、故に大蔵卿に面謁し実況を委しく陳述し、速に解停に至らバ異議なけれど、或ハ採納せられざるの不幸あらハ尚ほ各位篤と御思慮あらんことを望む由を述べ一同散会せり


〔参考〕東京経済雑誌 第三七号・第七〇五頁〔明治一三年九月五日〕 ○米商会所定期販売の解停(DK140006k-0008)
第14巻 p.42 ページ画像

東京経済雑誌  第三七号・第七〇五頁〔明治一三年九月五日〕
    ○米商会所定期売買の解停
米商会所の停止以来其解停を哀願すること数度、終に去る八月廿八日東京府庁より左の如く達せられたり
甲第百三拾五号               兜町 蠣殻町 米商会所
 其会所営業停止後現米直取引に限り九月一日ヨリ売買差許候段去ル十二日相達置候処、定期売買ノ儀モ来ル十月一日ヨリ営業差許候条此旨相達候事
就ては会所仲買等も先づ大安心の体なり、且つ現米直取引は本月一日より差許されたるなれとも、兜町及蠣殻町の米商会所にては寧ろ来る十月一日に至り定期売買を開くの節まで延すことに決したるよし


〔参考〕東京経済雑誌 第三七号・第七一〇頁〔明治一三年九月五日〕 【東京株式取引所に於て…】(DK140006k-0009)
第14巻 p.42-43 ページ画像

東京経済雑誌  第三七号・第七一〇頁〔明治一三年九月五日〕
○東京株式取引所に於ては去八月廿七日を以て臨時集会を開かれ、頭取渋沢喜作君には自分並に肝煎福地源一郎君の両人が近頃株主中の信用を失ひたるの故を以て断然其職を辞せんことを望む由を申出されたり、然るに該取引所の株主は嘗て右両氏に向て疑惑を抱きしことのなきのみならず常に好き役人を得たりとて喜ひあへる折柄なれば一同両氏の退職を意外の事と思ひ再三之を拒みたりしかども両氏は猶ほ之を肯がわず強ひて辞職を要められしかば今は止むなくして遂に其請求を
 - 第14巻 p.43 -ページ画像 
許諾したり、之に続き支配人小林君肝煎栗原君も同く退職の儀を要められ一同其勤続を冀ひしかども又竟に肯われずして退職と事定まりたり、因て後役を撰挙せられしに小林・渋沢・福地・栗原の四君も其撰に当られしかども既に辞職せられたる程の事なれば固より其再任を承諾せられずして不得止後任は井関・朝吹・諸葛の諸氏にて引受らるゝことに決定したりと云ふ」又兜町米商会所にても去る一日臨時集会を開きて其役員を改撰せられしに其当撰人は大倉喜八郎氏・田中平八氏・竹中邦香氏・辻純市氏・後藤庄吉郎氏・岩塚利兵衛氏にてありしかども右諸君の承諾せらるゝや否やは未た確と定まらざる由に聞けり


〔参考〕回議録 第三類 米商・株式 明治一三年自七月至一二月(DK140006k-0010)
第14巻 p.43-50 ページ画像

回議録  第三類 米商・株式 明治一三年自七月至一二月   (東京府庁所蔵)
    東京兜町米商会所定款 明治十三年五月改正
  明治九年八月太政官第百五号公布米商会所条例及爾後条例改正公布ノ旨趣ヲ遵奉シ、東京日本橋区兜町四番地ニ於テ設立シタル東京兜町米商会所ハ、其株主一同ノ協議ヲ以テ改メテ互ニ約定スル規程ノ条々左ノ如シ
    第一条
第一節 当会所ニ加入シ株主タル人々ハ創立証書及此定款並申合規則ニモ之ヲ承諾セシ証拠トシテ必記名調印スヘシ
    第二条
第一節 当会所ハ米商人ノ集会シ売買取引ヲ為ス所ニシテ、其事務ハ此定款並申合規則ニ従ヒ之ヲ会所頭取肝煎ニ委任スヘシ、又頭取肝煎等ハ其約定ヲ監護シ取引ヲ確実ナラシメ其他会所一切ノ責ニ任スヘシ
    第三条
第一節 当会所ノ役員ト称スル者ハ左ノ如シ
  頭取  壱人
  副頭取 壱人
  肝煎  三人
            商議掛 壱人
         此内 検査掛 壱人
            出納掛 壱人
  支配人
  副支配人
  現米検査役
  市場目附役
  書記方
  勘定方
  簿記方
  用度方
   但支配人以下ノ役員ハ肝煎ノ衆議ヲ以テ人数ヲ定メ、又都合ニ依テハ壱人ニテ数役ヲ兼摂セシメ、或ハ闕員アルトキハ助役ヲ置キ之ヲ補フコトアルヘシ
 右ノ役員ハ各其職務ニ対シ会所ニ於テ定メタル給料ヲ受収スヘシ
 - 第14巻 p.44 -ページ画像 
    第四条
第一節 当会所ノ肝煎ハ投票ヲ以テ拾株以上ヲ所持シタル株主ノ中ヨリ撰挙シ其人員ハ五名ト定ムヘシ、但此内三名ハ東京府下ニ一ケ年以上在住シタル者ニ限ルヘシ、又其撰挙ノ初集会ノ月日ハ株主一同ノ都合ニ任セ以後ハ毎年定式ノ集会ニ於テ之ヲナスヘシ、尤其株式ヲ質入抵当トナシタル時間ハ役員ノ撰挙ニ応スルコトヲ許サス
第二節 右撰挙ニ応シタル肝煎ハ其同僚中ニ於テ投票ヲ以テ頭取一名副頭取一名ヲ撰ミ、肝煎ト共ニ地方庁ヲ経由シテ大蔵卿ノ認可ヲ乞フヘシ、若大蔵卿ヨリ之カ改撰ヲ命セラルヽトキハ更ニ株主総集会ヲ開キ改撰スヘシ、故ニ大蔵卿ノ認可ヲ経ルニ非レハ其職ニ任スルヲ得サルモノトス
第三節 若頭取肝煎等ニ適当スヘキ人才アリテ衆望之ニ帰スルモ其者ノ所持株不足ナルヲ以テ撰挙シ難キトキハ、其株数ヲ定額ニ充ルマテノ金高ニ増加セシメ、然ル後撰挙スルコトアルヘシ
第四節 肝煎ノ撰挙ニ応シタル者ハ其在職中ハ拾株以上ノ株券ヲ会所ニ預ケ置クヘシ
第五節 正副頭取ノ在職ハ一ケ年間又肝煎ハ二ケ年間ヲ以テ一期トナスヘシ、但衆望ニ由テハ重年セシムルコトヲ得ヘシト雖モ、本条第二節ノ順序ニ拠リ大蔵卿ノ認可ヲ乞フモノトス
第六節 毎年肝煎等撰挙ノ集会ニ於テ其人員ノ半ヲ新任シ、其順次旧員ト交代セシムヘシ、故ニ初年奉職セシ人員ノ半ハ一ケ年間、又残員ハ二ケ年間在職タルヘシ
第七節 頭取肝煎ノ内不時ノ闕員アルトキハ、他ノ頭取肝煎ニテ代人ヲ撰挙シ其闕ヲ補フヘシ、但此代人ハ先役ノ奉職期限ヲ踰ユヘカラス、尤此場合ニ於テハ本条第二節ノ順序ニ拠ルヘシ
第八節 支配人以下ノ役員ハ肝煎ノ衆議ニ依リ必社中ノ人員ニ限ラス又社外ヨリ之ヲ撰任スルコトアルヘシ
    第五条
第一節 頭取ハ会所一切ノ事務ヲ総括シ他ノ役員ヲ指揮シテ其職任ヲ尽サシムルノ権アルヘシ、又頭取ハ肝煎ノ分掌各掛ヲ議定スルノ権アルヘシ
第二節 頭取ハ株主決議ノ旨趣ニ従ヒ株金納入ノ手続ヲ取極メ、之ヲ株主ニ通達シ、或ハ之ヲ督促シ、或ハ期約ヲ違フ時ハ会所ニ於テ其本人ヘ告知ノ上、株金高ヲ没収スルノ権アルヘシ
第三節 頭取ハ米商会所条例及此定款並申合規則ニ従ヒ、総テ其適任ノ職務ヲ執行ヒ不正犯則ノ所行ハ自ラ之ヲ為サヽルノミナラス、又他人ヲ監督スルノ責ニ任スヘシ
第四節 頭取ハ肝煎ノ集会ニ臨ミ常ニ議長トナリ、其議事ヲ判決スルノ権アルヘシ
第五節 副頭取ハ常ニ頭取ノ事務ヲ翼成シ、時トシテハ其代理ノ任ニ当ルコトアルヘシ
第六節 肝煎ハ衆議ヲ以テ支配人以下ノ役員ヲ撰任シ、其分掌ノ課程及其権限給料年期等ヲ取極メ、又其身元引受人ヲ約定シ、或ハ保証金ヲ取置キ、又ハ之ヲ褒貶黜陟スル等ノ権アルヘシ
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第七節 肝煎ハ衆議ヲ以テ社中ノ差縺ヲ判決シ、金穀ノ出納ヲ管理シ社中処務上ノ成例ヲ廃立シ、又ハ株主ノ衆議ヲ取ンカ為メ臨時ニ之ヲ招集スルノ権アルヘシ
第八節 肝煎ハ一月ハ八日、二月以後ハ毎月二日ヲ以テ定式集会ヲナスヘシ、此会議ニ於テ発言ノ権利ハ一人ニ付一説ト定メ衆説ヲ取テ其議事ヲ決定ス、若可否ノ数相半スルトキハ議長ノ判決ニ任スヘシ
第九節 右会議ニ当リ出席ノ定員其半ニ充タサルトキハ其議事ヲ始ムルヘカラス、但急遽ノ事件ハ此限ニ非ルヘシ
第十節 肝煎ハ頭取又ハ其同僚中ニ於テ職任ニ不相当ノ行アルカ又ハ職務ヲ怠ル者アルトキハ時宜ニ依リ其者ヲ免黜スルコトヲ得ヘシ、但此場合ニ於テハ臨時委員ヲ命シテ其是非ヲ議シ、次回集会ノ節無名投票ノ法ヲ以テ三分二以上ノ説ニ従ヒ其可否ヲ決シタル上、其事由ヲ詳記シ、地方庁ヲ経テ大蔵卿ヘ申告スヘシ
第十一節 肝煎ハ株主仲買人ノ所為ヲ監督シ、又其手ニテ設ケタル私則慣法等ヲ廃止スルノ権アルヘシ
第十二節 肝煎ハ社外ノ人ト社中ノ人トノ間ニ起リタル差縺ニハ一切関係スルコトナカルヘシ、尤社中ノ仲買人社外ノ人ノ為メニ仲買ヲ為シ逃亡死去等ニテ退社ノコトアル場合ニ当リ、其売買本主ト相手タル社中ノ仲買人トノ間ニ差縺アルトキハ此限ニ非ルヘシ
第十三節 此場合ニ於テ社外ノ売買本主会所ヨリ仲買人ニ向テ差出シ置タル証拠金預証ヲ持参シテ肝煎ノ処決ヲ請求セルトキハ、其売買本主ヲ社中ノ仲買人同様ニ見做シ、之ヲシテ肝煎ノ処決ヲ守リ決シテ違背セサルヘキ旨ノ誓約ヲ為サシメ、且二名以上ノ保証人ヲ立テシメ、然ル後之カ処決ヲ為スヘシ
  但売買本主ニ於テ此証拠金預証ヲ持参セスシテ会所ヘ申出ルコトアルトモ、会所ニ於テハ之ヲ真実ノ売買ト認ムルコト能ハサルヲ以テ、一切本条ノ取扱ヲ為サヽルヘシ
第十四節 肝煎ハ仲買人ノ入社申込ニ方リ規則ノ手続ヲ経テ之ヲ撰任シ、或ハ不合格ノ者ハ之ヲ拒止シ、又仲買人手代ノ進退ヲ許シ或ハ拒止シ、又定款申合規則ニ照シテ其事務ヲ処分スヘシ
第十五節 頭取ノ決議ニ依リ肝煎ノ内一名充ニ商議掛・出納掛・検査掛ヲ命スヘシ
第十六節 商議掛ハ常ニ会所ノ営業事務上ノ得失利害ヲ商量討論シ、及凡百ノ施設上ニ付キ其順序ヲ立テ或ハ其議案ヲ草シテ之ヲ頭取ニ申陳シ、又ハ社中ノ衆議ヲ取ンカ為メ臨時集会ヲ催シ、併セテ社中一般ノ疑問ニ答弁シ、及違約人処分等ノ事ニ任スヘシ
第十七節 出納掛ハ会所ニ関スル金穀出納ノ事ヲ担当シ、資本金並身元金諸証拠金米代金及廩穀等ヲ管守シ、併セテ銀行引合等ノ事ニ任スヘシ
第十八節 検査掛ハ会所ノ監察主役ニシテ、常ニ金穀ノ出納ヲ監シ、諸帳簿計算ノ正否等ヲ点検シ、併セテ営業ノ実況ヲ視察シ、現務ノ得失ヲ指摘シテ其顛末ヲ記録シ、之ヲ頭取肝煎及株主一同ニ報告スル等ノ事ニ任スヘシ
第十九節 検査掛タルモノ職務ヲ怠リ又ハ偏頗犯則ノ所業之アルトキ
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ハ、其処分ハ他ノ掛ノモノヨリ重クスヘシ
第二十節 申合規則第六条ニ掲クル所ノ営業中止ノ場合ニ於テハ、地方庁ヲ経由シテ届出ルハ勿論、猶電信或ハ郵便ヲ以テ直ニ其事由ヲ大蔵卿ヘ申告スヘシ
    第六条
第一節 株主定式集会ハ毎年一月・七月ノ両度ト定メ当会所ニ於テ之ヲ執行スヘシ、其期日時限ハ其際ニ臨ミ頭取・肝煎ニテ之ヲ取極メ少クトモ十日間以前ニ総株主ニ報知スヘシ
第二節 其他総株数ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ノ請求又ハ肝煎ノ協議ニ依テハ臨時集会ヲ開クコトアルヘシ
第三節 右臨時ノ集会ヲ開クニ当テハ其場所並期日時限及議事ノ大意ヲ記シテ、少クトモ十日間以前ニ頭取・肝煎ヨリ之ヲ総株主ニ報知スヘシ
  但急遽ノ事件アルトキハ此限ニ非ス
第四節 総株数ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ノ協議ニ依テ臨時ノ集会ヲ開カント欲スルトキハ、其議事ノ大意ヲ頭取ニ陳ヘ株主招集ノ取扱ヲ請求スヘシ、若頭取ニ於テ十五日間以上其手続ヲ怠ルトキハ、請求人自ラ之カ招集ヲ為スコトヲ得ヘシ
第五節 株主集会ノ議長ハ頭取或ハ株主中ヨリ臨時之ヲ撰任スヘシ
第六節 株主集会ニ当リ出頭ノ総員其半ニ充サルトキハ会議ヲ延引シ更ニ他日ヲ剋スヘシ
第七節 集議ニ臨ミ株主五名以上ニテ投票ヲ乞フニ非レハ別ニ発言可否ノ多少ヲ算スルニ及ハス、議長其議ヲ断決シテ之ヲ会所ノ議定録ニ記入シ以テ他日其事ノ証拠トナスヘシ、若株主五名以上ニテ投票ヲ乞フトキハ議長ノ指揮ニ従テ投票法ヲ行フヘシ、但此投票ノ多数ヲ以テ集議ノ決定ト視做スヘシ
第八節 集議ニ当リ可否ノ発言相半スルトキハ議長之ヲ判決スルノ権アルヘシ
第九節 定式又ハ臨時集会ニ於テ定款並申合規則ヲ加除改正スル等ハ勿論、其他会所一般ニ関係セシ条件ヲ決議シタルトキハ、之ヲ明細ニ記シ必大蔵卿ヘ申告スヘシ
    第七条
第一節 株主ハ集議ニ臨ミ一株ニ付毎事一説ヲ発スルノ権アリトス、然レトモ各其所持スル株数十株以上百株マテハ五株毎ニ一説宛、百株以上ハ十株毎ニ一説宛ヲ増加スヘシ、但会所ノ役員ハ発言スルヲ得ヘカラスト雖モ肝煎改選ノ場合ニ於テハ尚其投票ヲナスコトヲ得
第二節 株主ハ其株式ヲ質入低当トナシタル時間ハ集議ニ臨ミ発言スルヲ得ヘカラス
第三節 株主ハ集議ニ当リ代人ヲ出シ発言セシムルヲ得ヘシ、但代人タル者モ自ラ其権ヲ有スル者ニ限ルヘシ、若代人ヲ出サス決議ノ後ニ至リ異論ヲ発スルトモ一切採用セサルヘシ
第四節 株主遠隔ノ地方ニ住シ議事招集ノ期ニ会シ難キ懸念アル者ハ予メ代人ニ委任シ会所ニ届置クヘシ
    第八条
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第一節 株券破損或ハ紛失セシトキハ其株主ノ請求ニ応シ之ヲ書換ヘ付与スヘシ、但破損ナレハ其旧券ト引換ヘ、紛失ナレハ其次第ヲ明記シ且相違ナキ旨保証人連印ノ証書ヲ差出サシムヘシ
    第九条
第一節 当会所ニ於テ株主ノ集金ヲ要スルトキハ其度毎ニ必頭取ノ名ヲ以テ少クトモ十五日間以前ニ其旨ヲ通達スヘシ、株主タル者若集金ノ期日ニ至リ其納金ヲ怠ルトキハ更ニ頭取ヨリ報告書ヲ達シ、其集金並期限後ノ利子、其怠慢ヨリ生スル雑費ヲモ納メシムヘシ、但此報告書ニハ再其期日ヲ定メ若此期ヲ誤ルトキハ其株式ヲ没収スヘキ旨ヲ記載スヘシ
第二節 右ノ報告書ヲ達スルトモ尚再期ヲ怠リ納金セサル者ハ頭取ノ意見ヲ以テ其株式ヲ没収スルコトヲ得ヘシ
第三節 株主其所持ノ株式ヲ没収セラルヽトキ右没収以前ニ納ムヘキ集金ハ没収後ト雖モ尚其責ヲ免ルヘカラス
    第十条
第一節 当会所ノ資本金高ヲ増減スルハ株主ノ集会ニ於テ之ヲ決定スヘシ、但右増減ノ許可ヲ得テ之ヲ施行スルノ方法ハ其時ニ臨ミ各株主ノ衆議ニ任スヘシ
    第十一条
第一節 当会所株主其所持ノ株式ヲ売渡シ譲与ヘ又ハ質入或ハ借金ノ低当ト為サント欲スルトキハ、予メ其趣ヲ肝煎ニ申出、其承諸ヲ受ケテ後之ヲ行フヘシ
  但其買譲受人直接又ハ間接ニ会所ノ公益ヲ妨碍スル者ト認ムルトキハ肝煎ハ之ヲ拒ムコトヲ得ヘシ
第二節 株主其所持ノ株式ヲ売買授受スルニ当リテハ双方連印ノ証書ヲ肝煎ニ差出スヘシ、右証書ヲ差出シタル上ハ肝煎ニ於テ会所株式帳ノ姓名ヲ書改ムヘシ
第三節 毎年ノ定式集会前半ケ月間株式ノ売買授受ヲ停止シ、株式帳ノ書改ヲ為サヽルヘシ
第四節 株主ノ内死去或ハ分散等ニ由リ其株式ヲ譲受クヘキ人々ニハ肝煎ノ要用トスル証拠ヲ差出サシメ、然ル後之ヲ株主トシテ株式帳ヲ書改ムヘシ
第五節 右ノ手続ヲ為サスシテ売買授受シタル株券ハ、会所ニ於テ其効ナキモノト看做スヘシ
    第十二条
第一節 当会所ニ於テ他人ノ依頼ヲ受ケテ仲買トナリ、又ハ自ラ米売買取引ニ従事スル者ヲ以テ総テ仲買人ト称スヘシ
  但外国人ヨリ依頼ノ売買ヲ為スコトヲ禁ス
第二節 当会所ノ株主タル者ハ会所ノ役員タラサル時間ハ其株券ヲ会所ニ預ケ置キ、且肝煎ノ承認ヲ経大蔵卿ノ認可ヲ得ルニ於テハ、仲買人員ノ制限ニ超過セサルマテハ何時ニテモ仲買人トナルコトヲ得ヘシト雖モ、通常仲買人タルノ条件ニ適応スル者ニ非レハ之ヲ許サス、又株式ヲ質入書入抵当トナシタル時間ハ普通ノ加入人ト同一ノ手続ヲ経ルニ非レハ 買人トナルコトヲ得ス
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第三節 総テ仲買人タルコトヲ欲スル者ハ仲買人撰任ノ期日十五日前マテニ書面ヲ以テ肝煎ニ申出ヘシ、此書面ニハ住所姓名丁年以上ノ男子タルコト及当地ニ於テ一ケ年以上米商タリシ事、及予テ会所ニテ定メタル書式ニ做ヒ履歴等ヲ記シテ之ニ調印シ、猶株主ノ中ヨリ二名以上証人ノ連印ヲナスヲ要スヘシ、肝煎ハ此書面ノ旨ヲ少クトモ五日間以上取引場ニ張出シ置キ、故障ノ者ナキト認メタル上ハ其居住ノ郡区役所ニ就テ推問シ、履歴書ニ抵触セサル上ハ其顛末ヲ詳記シタル書面ヲ添付シ地方庁ヲ経由シテ大蔵卿ノ認可ヲ得タル後撰任ヲナスヘシ、尤組合ヲ結夥シ組頭ヲ推挙シ大蔵卿ヘ申告シタル上ニ非レハ業務ヲ営ムコトヲ得サルモノトス
第四節 此仲買人タル者ハ営業上ニ於テ米商会所条例此定款申合規則ヲ確守スヘキ旨ノ約定ヲ確実ニシ、及違約ノ弁償ニ供用スヘキ為メ身元証拠金トシテ金千弐百円以上ヲ当会所ニ差出シ置クヘシ、尤公債証書ヲ代用スルハ差支ナシト雖モ無記名証書ノ外ハ其者自然違約逃亡等ノ時ニ方リ何時ニテモ他人ヘ譲渡ヲ要スル為メ必委任状ヲ添置クヘシ、此身元金ハ会所ニ於テ他ニ使用スル等ノコトナキカ故ニ利子ヲ払ハスト雖モ公債証書ヨリ生スル利子ハ其者ヘ付与スヘシ
  但仲買人ハ会所ヨリ渡ス所ノ東京兜町米商会所仲買ト書シタル看板ヲ掲クヘシ
第五節 当会所ノ仲買人トナリタル上ハ会所ニ於テハ之ヲ社中ノ人ト看做スヘシ
第六節 甲ノ米商会所仲買人ニシテ乙ノ米商会所仲買人トナルコトヲ得サルヘシ
第七節 仲買人入社中ノ期限ハ一ケ年ト定メ、毎月一日ヲ以テ撰任ノ日トナスヘシ、而シテ其満期ニ至リ改撰スルトキモ本条第三節ノ手続ヲ以テ大蔵卿ノ認可ヲ得ヘキモノトス、但期限中自己ノ都合ニ依リ退社セント欲スルトキハ其旨趣ヲ書面ニテ肝煎ニ申出ヘシ、肝煎ハ右ノ書面ヲ少クトモ十日間以上取引場ニ張出シ置キ、会所ニ連帯シタル計算上ノ関係ナキヲ認メタル上ハ其者ノ退社ヲ許シ、身元金ヲ返付シ、証人ノ責任ヲ解キ、其旨大蔵卿ニ申告スヘシ
第八節 仲買人売買上ノ違約ハ勿論其他会所又ハ社中ノ人ニ対シ不正不実ノ所業アルヲ以テ其者ヲ除名スヘキ場合ニ至テハ、肝煎ノ衆議ニ依リ、其証人ヲシテ三拾円以下ノ過怠金ヲ差出サシムルコトアルヘシ
第九節 仲買人ハ五名ヲ一組トシ其組合中ヨリ投票ヲナシ一名ヲ推撰シ、肝煎ノ承認ヲ得テ大蔵卿ヘ申告ノ上組頭トナシ、組合中一切ノ取締ヲナサシムヘシ、此組頭ハ肝煎ノ集会ニ参席シテ売買上諸規則ノ議事ニ与ルコトヲ得ルト雖モ、可否決ノ数ニ算入セサルモノトス
第十節 仲買人ノ組合タル者ハ組合中ニ死去・逃亡等ノ者アルトキハ其者ニ代リ売買上ハ勿論其他営業上一切ノ取約メヲ為スノ責任アルモノトス
第十一節 組合ノ内一人不都合ノ所業アルトキハ其組合中ノ不注意ト看做シ、時トシテハ組頭以下ヘ過怠金ヲ科スルコトアルヘシ
第十二節 会所仲買ノ人員ハ予メ成規ノ制限ニ比準シ之ニ超過シタル
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入社ヲ許サヽルヘシ
第十三節 仲買人入社ノ申込ニ当リ、一旦破産シタル者或ハ身代限ノ処分ヲ受ケシ者其負債ノ義務ヲ免レタル実証ヲ認メサレハ入社スルヲ許サス、又当会所及其他ノ米商会所ニ於テ違約除名ノ処分ヲ受ケタル者ハ其退社ノ日ヨリ満二ケ年以上ヲ経ルニ非レハ入社ハ勿論他ノ手代ト為リ会所ニ出入シ営業スルヲ許サヽルヘシ
第十四節 仲買人ハ各自正確ナル手帳ヲ所持シ日々取組タル所ノ石数代価及売買本人又ハ注文向キノ姓名住所並取引始末等ヲ詳記シ、而シテ不時検査ノ官員又ハ特ニ会所ノ命ヲ奉シタル役員ノ要求ニ依テハ何時ニテモ之ヲ差出スヘシ、若其要求ヲ拒ミ又ハ之ヲ所持セサルカ或ハ其記入ヲ怠ルカ又ハ記入ニ不正等アルトキハ都テ違約人ヲ以テ之ヲ論シ、且其事柄ニ依リ公裁ニ付スヘシ
  但仲買人ニ於テ所持スヘキ手帳ハ会所ノ検印ヲ受ケ置クヘシ
第十五節 株主ト雖モ一度仲買人ニ加リ違約ノ処分ヲ受ケタル者再仲買人タラント欲スルトキハ、普通ノ加入人ト同一ノ手続ヲ経ルニ非レハ加入ヲ許スヘカラス
第十六節 仲買人売買取引ノ事ニ付会所ニ伺ヒ申陳スヘキ条件ハ、本人親ラスルカ又ハ予メ肝煎ノ承認ヲ経タル手代ノ者ニ限ルヘシ
    第十三条
第一節 仲買人タル者其名代トシテ手代ヲ会所ニ出スハ一人ニ限ルヘシ、且書面ニテ其者ノ姓名住所並丁年ナルコト及委任ノ権限等ヲ詳細書面ニ認メ肝煎ニ申出、其承認ヲ得テ後会所ニ出スコトヲ得ヘシト雖モ、他ニ故障アレハ何時ニテモ其手代ヲ差止ムルコトアルヘシ
  但仲買人其使役スル所ノ幼年者ヲ見習トシテ市場ニ出スハ此限ニ非スト雖モ売買取引上ニ関係スルヲ得ス、又時宜ニ依リ肝煎ハ之ヲ拒止スルコトアルヘシ
第二節 手代ノ姓名ハ其主人ノ姓名ト共ニ会所ニ掲示シ、其主人ヨリ別ニ報告ナキ時間ハ其手代ノ取結ヒタル約定ハ都テ主人ノ引受タルヘシ
第三節 主人若其代人委任ノ権ヲ解クトキハ速ニ之ヲ肝煎ニ報知スヘシ、然ル上ハ肝煎ニ於テ其趣ヲ会所ニ掲示シ其手代ノ姓名ヲ取消スヘシ、若主人違約ヲ為シ除名セラルヽトキハ手代ノ任随テ消滅スヘシ、若又手代ノ者委任セラレタル権限ヲ犯シテ違約人トナリ取引ヲ為スコトヲ禁セラルヽトモ其主人ニ於テ違約ノ弁償ヲ為シ了レハ尚仲買人タルコトヲ得ヘシ、尤其手代タリシ者ハ満二ケ年以上ヲ経且主人タリシ者ノ承諾ヲ得ルニ非レハ、他ノ手代トナリ又ハ親ラ仲買人トナルコトヲ許サヽルヘシ
第四節 仲買人ハ定リタル手代ノ外他ノ手代ヲ使役スルヲ許サス、尤仲買人旅行スルカ又ハ其手代病気等ノ事故アリテ売買取引ヲ為スヲ得サル場合ニ於テハ更ニ代人ヲ出スコトヲ得ルト雖モ、必会所肝煎ノ承認ヲ乞フヘキモノトス
第五節 甲ノ仲買人ノ手代ハ乙ノ仲買人ノ手代ヲ兼ルヲ得ス
    第十四条
第一節 当会所営業ノ総勘定ハ毎年一月七月両度ト定ムヘシ
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第二節 当会所営業ノ総勘定ヲ為シ税金並社費ヲ引去リ純益金一ケ年一割以上ノ利子ニ当ルトキハ其以上ノ幾分ヲ以テ準備金トナシ積置クヘシ、但準備金ハ会所非常ノ災害ニテ損失ヲ受ルカ或ハ其他ノ事故ニ依リ株主ノ集議ニ於テ適当トスルニ非レハ之ヲ使用スヘカラス
第三節 右準備金ハ時宜ニ依リ肝煎ノ決議ヲ以テ公債証書又ハ不動産等ニ替置クコトヲ得ヘシ
第四節 利益金ノ内準備金ヲ引去リタル残高ハ之ヲ株高ニ配当シテ各株主ニ割渡スヘシ
第五節 当会所ニ損失アリテ資本金不足スルトキハ頭取肝煎ヨリ其事情計算ヲ株主一同ニ公告シ、其後ニ生スル処ノ利益ハ其資本高ノ不足ヲ補ヒ得ルマテノ間配当ヲ差止ムヘシ
    第十五条
第一節 当会所ノ株主及役員仲買人等社中ノ諸規則ニ悖戻シ又ハ不正不信ノ所業ヲ為ス者アルトキハ、株主或ハ肝煎ノ集議ヲ以テ其軽重ニ従ヒ相当ノ過怠金ヲ付シ又ハ除社シ又ハ仲買身元金ヲ没収シ除名スヘシ、又米商会所条例及其営業上ニ関シタル法律ニ違犯シタルコトヲ肝煎ニ於テ覚知セシトキハ、其筋ヘ申告シテ処分ヲ乞フコトアルヘシ、若他ヨリ発露シタルトキハ其旨ヲ詳記シ地方庁ヲ経テ大蔵卿ヘ申告スヘシ
    第十六条
第一節 此定款ノ箇条ハ株主ノ議定ニ依テハ何時ニテモ改正加除スルヲ得ヘシト雖モ、必官ノ許可ヲ得テ施行スヘシ
右ノ条々ヲ取極メタル証拠トシテ各姓名ヲ記シ調印致シ候也
  明治十三年五月四日
                  東京兜町米商会所
                頭取  田中平八(印)
                副頭取 大倉喜八郎(印)
                肝煎  竹内邦香(印)
                肝煎  後藤庄吉郎(印)
                肝煎  辻純市(印)
                肝煎  岩塚利兵衛(印)
  ○兜町米商会所ハ明治十一年十二月廿六日資本金一万円増額ヲ許可セラル。
  ○同所株主姓名表ヲ見ルニ「明治十一年六月三十日現員」ニハ、栄一ノ名ヲ欠ケドモ「明治十二年六月三十日現員」中ニハアリ。
  ○明治十三年一月四日及ビ七月一日ノ株主姓名表ニモ栄一ノ名アリ。
  ○明治十三年五月兜町米商会所ハ定款及申合規則ヲ改正セリ、右定款及申合規則ハ東京府庁所蔵、「回議録」(第三類米商株式・明治一三年自七月至一二月)ニ収録セラル。
  ○明治十三年五月改正東京兜町米商会所申合規則ハ右同定款ト共ニ府庁所蔵「回議録」中ニ収メラル、右ハ「売買上尚緊要ノ条件ニ於テ総員確守スベキ規則」ヲ定メ、議定シタルモノニシテ総テ十九条ニ分ル、本資料ニハ省略セリ。


〔参考〕中外物価新報 第二八九号〔明治一三年四月一七日〕 【○兜蠣の両米商会所ハ…】(DK140006k-0011)
第14巻 p.50-51 ページ画像

中外物価新報  第二八九号〔明治一三年四月一七日〕
○兜蠣の両米商会所ハ此際合併して一社に組まんと双方の役員昨今頻
 - 第14巻 p.51 -ページ画像 
りに相談中なれど、兜町にてハ此方こそ正米の売買もあり殊に東京にてハ元祖なれハ兜町へ合併すへしと云ひ、蠣殻町の方ハ此方ハ場所も広く且商売も多きゆへ蠣殻町へ移す方至当なり、と互ひに自分贔屓にて中々相談も六ケ敷、併し兜町の方には蠣殻町の株を多分に持ちしものも多けれハ先つハ蠣殻町の方勢ひ強きよし評判せり、併し其内実ハ中々吾々にハ知れ難し


〔参考〕郵便報知新聞 〔明治一三年七月一四日〕 【兜蠣殻両町の米商会所…】(DK140006k-0012)
第14巻 p.51 ページ画像

郵便報知新聞  〔明治一三年七月一四日〕
○兜蠣殻両町の米商会所の仲買人等一同より府庁へ解停の儀を嘆願せしが、今聞く所に拠れば解停の御沙汰ハ来月下旬ならでハ下るまじといふ


〔参考〕郵便報知新聞 第二二七六号 〔明治一三年九月二日〕 【一昨日兜町米商会所に…】(DK140006k-0013)
第14巻 p.51 ページ画像

郵便報知新聞  第二二七六号〔明治一三年九月二日〕
○一昨日兜町米商会所にて株主の臨時集会を開き○中略竹中邦香氏ハ衆株主に向ひ、只今諸君の選挙を辱ふし票数最高の栄を得たれハ速に承諾すへきなれども如何にせん爰に一の患ふへきものあり、抑も本年米商会所の停止を蒙りたるや米価騰貴の故に由ると雖も従来米商人の風儀甚た悪きもの之が一源因に居ること疑を容れす、余ハ米商会所の創業以来肝煎の職に在りしを以て此悪弊を矯んと欲し数回の規則改正等を為したれとも遂に之を洗滌する事能ハすして本年に及ひ停止を蒙るに至れり、既往ハ追ふ可らす今より以往ハ益々以て此弊を矯るに注意し堅く条例の旨意を奉し厳に規則を履行し彼の三銭バりと云の類或ハ直しと唱へ或ハ預け引と言ふが如き一切地を払ふに至らしめんと欲するなり、併し此の如くするときハ幾分か売買石高も減殺し一時ハ営業の景況衰萎の場合にも至るへく、之に反して弊を矯るに熱心せさる会所が若し他にあるならバ却て其会所の景況ハ隆盛の勢を呈すへし、斯かる時節に当り弊を矯るの精神を以て却て厳に過ると云ひ酷に渉ると称し株主諸君より譴責せらるゝが如きことありてハ、余は甚た迷惑なり、故に予しめ此目的を以て事務を処することを株主諸君の承諾を受け然る後に任に上らんことを請ふと、是よりして議論百出、満場一時囂々たりしが、凡そ之を非とするもの無く唯此場にて論の結局を結バさることを望むと云の輩多く、依て竹中氏ハ追て諾否を返答すへしと述ヘ夜に入りて放会せしと云ふ


〔参考〕中外物価新報 第三四一号〔明治一三年一〇月一六日〕 【○米商会社ハ兜町蠣殻…】(DK140006k-0014)
第14巻 p.51 ページ画像

中外物価新報  第三四一号〔明治一三年一〇月一六日〕
○米商会社ハ兜町蠣殻町と合併するよし、発会の後売買の少きハ実に気の毒なり、只盛なるハ株式の公債売買にて投機商売を悪む論者ハ必お気に入らぬ事なるべし


〔参考〕中外物価新報 第三四二号〔明治一三年一〇月二〇日〕 【○前号に東京両米商会…】(DK140006k-0015)
第14巻 p.51 ページ画像

中外物価新報  第三四二号〔明治一三年一〇月二〇日〕
○前号に東京両米商会所の合併する由を聞得し儘に掲記せしが、是ハ全く蠣殻町近傍にて喋々する無根の流言なりと云ひ、且兜町米商会所にてハ更に右等の話もなき由に付き、此に正誤かたかた一寸掲ること如此し

 - 第14巻 p.52 -ページ画像 

〔参考〕東京経済雑誌 第四六号・第一〇〇六頁〔明治一三年一二月五日〕 【米穀取引所の辺を通行…】(DK140006k-0016)
第14巻 p.52 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

〔参考〕東京名所鑑 (相沢求著[相沢朮著]) 巻之上・第六三―六四頁〔明治二五年九月〕(DK140006k-0017)
第14巻 p.52 ページ画像

東京名所鑑 (相沢求[相沢朮]著) 巻之上・第六三―六四頁〔明治二五年九月〕
                 (日本実業史博物館所蔵)
○兜《かぶと》町旧米商《きうべいしやう》会社 第一銀行東隣の地にありて東京の米商社は蠣殻町とこの兜町の二所にてありしか蠣殻町へ合併してより此地株式取引所となる
  ものゝふも今は兜をぬくはかり売買共にまけはてにけり
                        佐々木丈雄