デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
27節 ホテル業
2款 其他ノホテル 1. 日光ホテル会社
■綱文

第14巻 p.408-412(DK140043k) ページ画像

明治21年9月(1888年)

安生順四郎・加藤昇一郎等日光ニ日光ホテルヲ開設ス。栄一創立費ヲ扶助ス。


■資料

青淵先生六十年史 第二巻・第三〇四頁 〔明治三三年二月〕(DK140043k-0001)
第14巻 p.408 ページ画像

青淵先生六十年史  第二巻・第三〇四頁〔明治三三年二月〕
 ○第四十八章 ホテル業
    第二節 京都ホテル及日光ホテル
京都ニ京都「ホテル」アリ、明治二十二年ノ交前田伊八等ノ開設スル所、日光ニ日光「ホテル」アリ、明治二十三年安生順四郎・加藤昇一郎等地方人士ノ開設スル所ナリ、両所共ニ我邦名勝ノ地、相当ノ旅館ヲ設クルハ国家ノ経済ヨリ見ルモ必要トスル所ナリ、其創立ニ当リ青淵先生資ヲ扶助セリ
  ○次掲「中外物価新報」記事中ノ日光ホテルト「青淵先生六十年史」ニイフ日光ホテルト同一ノモノナリヤ、改組セルモノナリヤ未ダ詳カナラザレドモ、ココニハ姑ク年次ヲ「中外物価新報」ニトル。


中外物価新報 第一八〇一号〔明治二一年四月五日〕 ○日光ホテル及ジヤパンホテル(DK140043k-0002)
第14巻 p.408 ページ画像

中外物価新報  第一八〇一号〔明治二一年四月五日〕
○日光ホテル及ジヤパンホテル 野州日光山ハ本邦有名の勝地にして海外遠来の紳士抔が同地遊覧に出掛る者少なからず、殊に夏季に至れば内外人の避暑に赴く者も甚だ多し、然るに同地にハ未た内外紳士の用に供すべき完美の旅館なきハ不便此上なしとて、此頃政府二三人々にハ若干万円の資本を募集し日光ホテルなるものを建設せんとて目下寄り寄り相談中なる由、又近年我邦人の米国へ渡航するもの追々増加するの勢あれば、此際桜井静・佐々木義郎の両氏にハ自ら創立委員となり資本五万円を募集して桑港及バンクーバーの両港へ一の日本旅館を建設せんと目下計画中なり


中外物価新報 第一八四〇号〔明治二一年五月二〇日〕 ○日光ホテル会社(DK140043k-0003)
第14巻 p.408 ページ画像

中外物価新報  第一八四〇号〔明治二一年五月二〇日〕
○日光ホテル会社 兼て噂さありし日光ホテル会社ハ愈よ此程設立認可を得たる由、元来同社ハ栃木県下の諸豪商両三名と東京の人々と相謀りて設立したるものにて、至便にして幽邃なる場所に一万二千坪余の地を占有し同所へ構造完全なる欧風の一大旅館を建設せんが為め先頃より地均しに着手したるに、同地内より礦泉の湧出するを発見したりしかば早速其筋の分析を請いたる処頗る有効のものなりとの査定を得たりとぞ、旁々以て自今同地に遊ぶ内外人の為めにハ一層便利を増すことなるべし、又東京にてハ京橋区大鋸町六番地を同社の代理店と為したる由

 - 第14巻 p.409 -ページ画像 

中外物価新報 第一九一四号〔明治二一年八月一五日〕 日光ホテル会社(DK140043k-0004)
第14巻 p.409 ページ画像

中外物価新報  第一九一四号〔明治二一年八月一五日〕
○日光ホテル会社 兼て野州日光へ建築中なりし同会社の旅館ハ此程工事全く竣工し、内部の装飾も大抵出来したるに付来る十七日より開業、旅客の宿泊を為さしむる由なり


中外物価新報 第一九五二号〔明治二一年九月二九日〕 ○日光ホテル会社(DK140043k-0005)
第14巻 p.409 ページ画像

中外物価新報  第一九五二号〔明治二一年九月二九日〕
○日光ホテル会社 日光の同会社にては新築落成に付明三十日を以て落成式を取行ふ由


有限責任日光ホテル会社定款(DK140043k-0006)
第14巻 p.409-412 ページ画像

有限責任日光ホテル会社定款       (渋沢子爵家所蔵)
    第壱章 総則
第一款 当会社ノ名称ハ有限責任日光ホテル会社ト称ス
第二款 当会社ノ目的ハ晃山ノ勝地ニ遊フ内外人就中外国人ノ便利ニ供センカタメ、日光西町ニ構造完全ナル一旅館ヲ建設シ旅宿ノ営業ヲナスニアリ
第三款 当会社ハ有限責任トシ当社ノ負債弁償ノ為メ株主ノ負担スヘキ義務ハ株金全額ニ止マルモノトス
第四款 当会社ノ営業期限ハ満弐拾五ケ年ヲ以テ一期トシ、満期ニ至リ株主ノ決議ヲ以テ更ニ次期ノ営業ヲ為スヘシ
第五款 当会社ノ営業ハ此定款ニ拠リテ之ヲ監督及ヒ相談役ニ委任スヘシ
    第弐章 資本金
第六款 当会社ノ資本金ハ三万円ト定メ之ヲ六百株ニ分チ一株五拾円ト定ム
  但一人一個ニテ幾株ヲ所有スルモ妨ケナシ
第七款 当会社ノ株金払込期日ハ之ヲ三期ニ分チ、第壱期・第弐期ノ払込ハ一株ニ付金拾五円宛、第三期ニ弐拾円ヲ払込ムヘシ
    第三章 役員及責任
第八款 当会社ノ役員ト称スルモノ左ノ如シ
  監督      壱名
  相談役     弐名
  支配人     壱名
  手代      無定員
第九款 監督ハ二拾株、相談役ハ拾株以上ヲ所有スル株主中ヨリ撰挙スルモノトス
第拾款 監督及ヒ相談役ノ任期ハ満五ケ年トシ、五ケ年毎ニ更撰スヘシ、但満期ニ至リ再撰重任スルモ妨ケナシ
第拾壱款 監督及ヒ相談役ニ撰任セラレタルモノハ会社ノ規則ヲ守リ正実ニ職任ヲ尽スヘキ誓詞文ヲ添ヘ、監督ハ所有ノ株式二拾株、相談役ハ拾株ヲ会社ニ出シ置クヘシ、而シテ在任中ハ此株式ヲ他ニ売譲スルヲ禁ス
第拾弐款 監督及ヒ相談役手当金及ヒ役員賞与金ノ全額ハ株主会議ニ於テ之ヲ定ムヘシ
 - 第14巻 p.410 -ページ画像 
第拾三款 監督ハ会社ノ事務ヲ総括シ他ノ役員ヲ指揮シ営業上一切ノ責ニ任ス
第拾四款 相談役ハ会社一切ノ行務ヲ監察シ且営業上ノ事ニツキ監督ト協議シ其責任権限ハ監督ニ亜クモノトス
第拾五款 相談役ハ監督ニ於テ職任不適当ノ行為アリト認ムルトキハ株主三分ノ一以上ノ同意ヲ得テ株主臨時総会ヲ催スノ権アリトス、但此場合ニ於テハ其事由ヲ株主ニ証明スヘシ
第拾六款 当会社ノ支配人以下営業上必要ノ職員及ヒ其俸給ハ重役会議ニ於テ之ヲ担任議定シ、進退黜陟ハ監督之ヲ掌ル可シ
第拾七款 支配人ハ事ヲ監督及ヒ相談役ニ享ケ、手代ハ総テ上役ノ指揮ニ従ヒ社務ニ従事スルモノトス
    第四章 株主権利及ヒ責任
第拾八款 何人タリトモ(内国人ニ限ル)会社ノ規則ヲ承認シテ株式ヲ引受クル者ハ株主タルコトヲ得ヘシ
第十九款 組合又ハ会社ノ名義ヲ以テ当会社ノ株式ヲ引受ケントスル者ハ、其社中重立タル者ノ名前ヲ定メ株式ニ対スル権利及ヒ責任ヲ担当スヘシ
第二十款 当会社ノ株主ヘハ其引受ケタル株式一個ニツキ左図○下段ノ如キ株券一通ヲ渡スヘシ
第弐拾壱款 当会社ハ株式帳ヲ製シ株主ノ姓名属籍宿所株式ノ員数番号及ヒ其売買譲渡シノ年月日ヲ登録シ置ヘシ
  但此株式帳ハ営業中差支ヘナキ時間ニ於テハ株主ノ望ニ応シテ検
  株券雛形

図表を画像で表示--

     有限責任日光ホテル会社株式 日光ホテル会社ノ定款ニ従ヒ明治何年何月幾日ヨリ我日光ホテル会社株式ノ内五拾円即一株ノ株主タルコト相違ナキ証拠トシテ此株式券状ニ当会社ノ印章ヲ押捺シ之ヲ附与スル者也  年 月 日     日光ホテル会社              監督相談役 三名    何誰殿 



  閲ニ供スヘシ
第弐拾弐款 株式ノ売買譲渡ヲナシタルトキハ之ヲ会社ニ申出株式帳ニ登録ヲ求ム可シ、若シ其手続ヲナサヽル間ハ会社ヨリ割渡スヘキ利益金ハ株券ノ名前人ニ渡スヘシ
第弐拾三款 株主其姓名ヲ変スルカ或ハ属籍宿所等ヲ転スルトキハ書面ヲ以テ其趣ヲ会社ヘ申出ヘシ
第弐拾四款 株券ヲ毀損シ又ハ紛失スル等ノ故ヲ以テ其書換及ヒ更ニ受取方ヲ望ムモノハ、其事実ノ詳明ナルニ於テハ二人以上ノ保証人ヲ立テタル上之ヲ渡スヘシ
第弐拾五款 株主ハ当会社ノ本主ニシテ株数相当ノ権利ヲ有シ営業上ノ損益ヲ負担スルモノナルカ故ニ、営業ノ妨ケナキ間ハ諸帳簿ノ検閲ヲ求ムルコトヲ得ヘシ
 - 第14巻 p.411 -ページ画像 
第弐拾六款 株主ハ監督及ヒ相談役ノ行為ニ於テ不適当ノ事アリト認ムルトキハ臨時総会ヲ催シ、三分ノ二以上ノ衆議ヲ以テ之ヲ解任スルノ権アルモノトス
第弐拾七款 株主ハ総会議ニ於テ投票ヲ為スニ当リ其所有株数五株毎ニ一個ノ投票権ヲ有ス、而シテ五株以下ハ其投票権ヲ有セス
第弐拾八款 株主ハ何等ノ事故アルモ会社解散ノ期ニ至ラサル間ハ其株金ヲ取戻スコトヲ得ス
第弐拾九款 株主ハ随意ニ其所持ノ株式ヲ売渡シ譲与又ハ質入抵当トナスコトヲ得ヘシ
第三拾款 当会社ノ株式売渡或ハ譲渡ニ付キ直接間接ニ拘ラス会社ノ公益ヲ妨碍スルコトアリト認ムルトキハ会社ハ其登簿ヲ拒ムコトヲ得ヘシ
    第五章 賞与及ヒ弁償
第三拾壱款 当会社ノ役員中(重役ヲ除ク)功労アルモノヘハ臨時賞与金ヲ給スヘシ
第三拾弐款 当会社役員ニシテ此定款ニ背戻シ因テ損失ヲ醸セシトキハ之レカ弁償ノ義務ヲ了ヘシムヘシ
    第六章 損益金計算及ヒ配当金ノ方法
第三拾三款 当会社ハ明細正確ナル帳簿ヲ製シ置キ株主ノ検閲ニ供スヘシ
第三拾四款 当会社ノ損益決算ハ毎年十月ニ行ヒ之ヲ株主総会ニ報告シ利益金配当ヲ為スヘシ
第三拾五款 株主ハ利益金配当ノ報告ヲ接手スルトキハ該領収証ヲ以テ変換領収スヘシ、若シ代理人ヲ出ストキハ制規ノ委任状ヲ持参スヘシ
第三拾六款 当会社ノ収入金総額ヨリ営業上一切ノ経費及ヒ社費給料支配人以下臨時賞与金ヲ引去リ、残余即チ純益金ノ中積立金並ニ重役賞与金ヲ扣除シ剰余ヲ以テ株高ニ割当スヘシ
第三十七款 純益金ノ総額株金ニ対スル利益一ケ年八朱以上ノ配当ニ至ラサル限リハ重役員ノ賞与金ハ分賦セサルモノトス
    第七章 例式及ヒ臨時総会
第三十八款 例式総会議ハ毎年十月ニ開ク可シ
第三十九款 例式総会議ニ於テハ役員撰挙利益配当及諸計算其他諸般ノ報告等ヲ議決シ、臨時会ニ於テハ例式総会ニ於テ議決スヘカラサル所ノ重要ノ事項一切ヲ議決スルモノトス
第四十款 総会議ニ於テ事ヲ議スルニ当リテハ株数総数十分ノ五以上出席スルニアラサレハ何事モ決定スルコトヲ得サルヘシ
  但計算報告利益金配当ニ関スルコトハ此限ニアラス
第四十壱款 監督及ヒ相談役ノ見込、又ハ人員拾名以上ニシテ其所有株数ハ資本金額ノ五分ノ一ニ下ラサル株主ノ求メニ因リテハ、何時ニテモ臨時総会議ノ招集ヲ為スヲ得ヘシ
第四十弐款 総会議ノ議長ハ監督之レニ当ルヘシ、若シ監督事故アルトキハ相談役ノ中ニテ之ヲ勤ムヘシ
第四十三款 総会議ノ議決ハ同意ノ多数ヲ以テ其決ヲ取ルヘシ、若シ
 - 第14巻 p.412 -ページ画像 
意見同数ニ分ルヽトキハ議長之ヲ決スヘシ
    第八章 更正増補
第四十四款 此定款ハ株主ノ衆議ニ因テ之ヲ更正増補スルコトヲ得ヘシト雖トモ、其条項ハ管庁ノ許可ヲ得テ実施スルモノトス
第四十五款 当会社処務規程其他ノ雑則ハ監督相談役ニ於テ適宜協議制定スヘシ
右ノ条々議定シタル証拠トシテ各姓名ヲ記シ調印致候也



〔参考〕東京経済雑誌 第三四巻第八四七号・第六九四頁〔明治二九年一〇月一七日〕 ○日光ホテル株式会社(DK140043k-0007)
第14巻 p.412 ページ画像

東京経済雑誌  第三四巻第八四七号・第六九四頁〔明治二九年一〇月一七日〕
○日光ホテル株式会社 野州日光にて有名の旅館日光ホテルは今度株式組織と改むることに決し、資本金を十万円とし、右発起人清原英之助・小林伝平・田代垣之・山中閑其他の数氏より去九日其筋に出願したる由