デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.2.19

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
28節 貿易
8款 蚕種製造組合条例並蚕種製造組合会議局
■綱文

第14巻 p.563-596(DK140065k) ページ画像

明治8年4月-5月(1875年)

四月十五日蚕種製造組合会議局召集サレ、爾来討議ヲ続ケ、該年度春蚕種製造額ヲ約百七十四万枚ト定ムルコト、ホカ内国用蚕種取扱方申合規則、外国輸出用蚕種売捌方申合規則、横浜売込問屋ヘ掛合廉書等二十一箇条ヲ議決ス。栄一コノ間指導頗ル努ム。


■資料

内国用蚕種取扱方申合規則 明治八年五月(DK140065k-0001)
第14巻 p.563-568 ページ画像

内国用蚕種取扱方申合規則 明治八年五月(渋沢子爵家所蔵)
    内国用蚕種取扱方申合規則
蚕種製造組合申合規則第三条ノ要旨ニ拠リ、内国ノ原蚕種欠乏ナカラシメン為メ、其取扱方法ヲ左ノ条々ノ通リ決議セリ
    第一条
 - 第14巻 p.564 -ページ画像 
各組蚕種製造人ニ於テ本年ノ製種相済ミタレハ、頭取・撿査人ハ直ニ其蚕種ヲ取扱所ヘ持参セシメ、本年会議局ニ於テ決定シタル内国用ノ割合ニ従ヒ、其蚕種壱枚毎ニ第一号雛形ノ如キ印ヲ押捺セシ章紙ヲ貼シ、頭取之ニ継印スヘシ
  但頭取ノ蚕種ヘハ撿査人之ニ継印スヘシ
    第二条
右ノ章紙ハ各地異同ナカラシメン為会議局ニ於テ之ヲ製シ、各組入用高ニ応シテ割渡スヘシ、尤其費用ハ仕払高ヲ毎紙ニ割合ヒ原価ヲ立テ入用ノ枚数ニ従テ蚕種製造人ヨリ受取ルヘシ
    第三条
内国用ノ蚕種ハ濫出ノ予防トシテ其年十一月三十日迄各組取扱所ニ預リ置クヘシ、尤モ取扱所狭隘ニシテ其種ノ手置不宜等ノコトアレハ其組頭取ノ考案ニヨリ製造人自宅ニ置クモ妨ケナシト云トモ、御印紙貼用ハ必十一月三十日後タルヘシ
  但右期限中トテモ内国用ノ為メ売買約定ヲナスハ随意タルヘシト云トモ、其取引ヲナシテ実物ヲ運転スルハ堅ク禁止スヘシ、尤内国得意場引ニテ不得止分アレハ其段頭取ヘ申出、場先帳ヲ点撿シテ凡其員額丈ケハ第二号文案ノ証書ヲ頭取ヘ差出サセ、期限中ニテモ御印紙ヲ貼用シテ製造人ニ渡スヘシ
    第四条
他組合製造ノ内国用蚕種ヲ買受ケ自分得意場引ニセント欲スル者ハ、先ツ其地ノ頭取ヘ其趣ヲ以従前ノ場先帳ヲ持参スヘシ
    第五条
頭取ハ其場先帳ヲ閲シ事実相違ナキニ於テハ、第三号文案ノ書面ヲ渡スヘシ、当人之ヲ以テ買入先製種人ト共ニ其地方頭取ヘ申出、御印紙貼用ヲ乞フヘシ
    第六条
其地方頭取ハ右書面ヲ証トシ、買人ヨリ此蚕種ハ決テ海外輸出スヘカラサル旨証書ヲ為差出、其数ニ応シテ御印紙ヲ貼付シ、且第四号文案ノ送リ証書ヲ渡スヘシ
    第七条
買人ハ右ノ送リ証書ヲ自分頭取ヘ差出シ、且引種ニ出ル節ハ第三条但シ書同様タルヘシ
  但シ組合外ノ者タリ共内国用蚕種売買ハ本文ノ手続ニ従フベシ、若シ右ノ順序ヲ経サル者ヘハ蚕種売渡スヘカラス
    第八条
内国用蚕種ヲ内国用ノ為メ売買約定ヲ為ストキハ其旨頭取エ届ケ置クヘシ
    第九条
得意場引又ハ新場引種新場引種ノ分ハ期限中取扱ヲ許サヽル事勿論タルヘシニ出ル者ハ、出立ノ節今何日何レノ地方ヘ蚕種何程ヲ持参シ凡何月何日迄ニ帰宅スヘキ旨第弐号文案ニ照準セル見込書ヲ以頭取エ申出ヘシ、尤右旅行中ハ旅日記ヲ作リ毎日ノ宿所及引種ノ員数等ヲ詳記シ、帰宅ノ後頭取ヘ申出ヘシ
  但右持参ノ蚕種得意場引ノ残余アレハ帰宅早々之ヲ頭取ヘ届出、
 - 第14巻 p.565 -ページ画像 
期限中ナレハ其蚕種ハ取扱所ニ差出シ置クヘシ
    第十条
十二月一日ヨリ内国用蚕種ハ都テ御印紙ヲ貼用シ、各製造人ニ渡シ、内国場引又ハ新場引種等随意其取扱ヲ為サシムヘシ
    第十一条
内国用蚕種ハ明年各養蚕家ノ原蚕種ニシテ蚕業必要ノ品ナレハ、各組取扱所及製造人ハ其手置ヲ大切ニシ、苟モ軽卒ノ取扱アルヘカラス
    第十二条
各組頭取ハ其年組内ノ内国用蚕種現製造高及通常ノ見込売買ニテ他方ヨリ買入高・売捌高・得意場引ノ高並其節組内蚕種商人ノ手許ニ存在スル残余ノ蚕種概算等第五号文案ニ従ヒ詳明ニ取調、簿冊二通リヲ製明年二月中旬会議開局ノ節撰任ノ議員ニ附シテ会議局ヘ差出スヘシ、一通ハ勧業寮ヘ差出スヘシ
  但シ此取調書ハ本年内国用蚕種販売ノ模様ヲ詳知シテ明年内国用原蚕種入用ノ目途ニ供スルモノナレハ、各組頭取ハ可成丈注意シテ之ヲ綿密ニスヘシ
    第十三条
各組ノ中万一此申合規則ヲ背キタル者アレハ頭取・撿査人ハ先ツ其蚕種ヲ取リ上ケ、其違約ノ廉ハ自己ノ都合又ハ私曲ニ係ル等ノ区別ヲ以其組頭取ヨリ会議局ニ申出、集議ノ上相当ノ処置ヲナスヘシ
    但シ右不都合ノ件蚕種製造組合条例ノ罰則ニ触レタル分ナレハ其筋ヘ申上、罰例ニ従テ御処分ヲ乞フコト勿論タルヘシ、尤右取上ケタル蚕種ハ其組頭取ニ於テ公売ニ附シ、其代金ハ会議局ニ差出シ其費用ニ充ツヘシ
第壱号雛形
     方一寸三分
  赤色章紙 蚕種改済之章 如図○略ス周囲ニ桑葉蔓茎ヲ画キ中央ニ蚕種改済之章六字ヲ彫刻スヘシ

第弐号文案
    蚕種場引証書
  内国用蚕種
  一何百枚
 右者場先帳ニ記載有之候通何々ノ地方エ場引売込来候処相違無之候ニ付、別冊帳面御撿査ノ上御印紙貼用被下度願上候、然上ハ今何日出立何月何日頃迄ニハ帰宅可致候、尤帰宅之上ハ早々旅泊日記並ニ場先帳持参尚御撿査ヲ受可申、若シ不都合之儀有之ニ於テハ篤ト御糺ノ上、内国用蚕種取扱方申合規則ニヨリ何様ノ御処分ヲ受候共聊申分無御座候也
                   何々組
  年 月 日             何国何郡何区何町村
                        何某印
     何々組
       頭取御中
 - 第14巻 p.566 -ページ画像 
第三号文案
    証書
                  何府県管下
                   何々組又ハ組外歟
                    何国何郡何村町
                        何某
 右之者儀従来他ノ製種買受得意場引ヲ営業候処、本年ノ儀モ場引致度趣申出候ニ付、内国用売買規則第四条ニ照シ場先帳撿査及候処、不都合之儀無之候間則添書致候、就テハ蚕種何百枚買受トシテ御組内ヘ本月何日国許発行為致候間、可然御処分有之度候也
                  何府県下
  年 月 日            何々組頭取
                     何ノ某印
      何府県下何々組
         頭取御中

第四号文案
    送証
  内国用蚕種           何々組
  一何百枚             何ノ誰製造
 右ハ其御組内何ノ誰ヘ得意場引種トシテ書面ノ通売渡候処相違無之ニ付、本人帰村ノ上ハ内国用蚕種売買規則ニ因テ御処分有之度候也
                  何府県下
                   何々組頭取
  年 月 日              何某印
      何府県下何々組
         頭取御中

第五号雛形
    記 各製種人ヨリ其組頭取ヘ差出スヘキ書体
  明治 年製造高
  一春蚕種何百枚
     何枚   自用
    内
     何枚   内外売捌ノ分
      内
        何枚  海外輸出
     残テ 何枚 内国用
     外  何枚 何国何郡何村町何ノ誰製造内国用分買入
   合テ何百何拾枚 内国売捌ノ分
    内何枚   何国何郡ヘ場引売込候分
     何枚   何国何郡何村町何ノ某ヘ売渡シ候分
     何枚   当今存在之分
       但シ売却残リカ又ハ註文品ニテ追テ売捌クベキ分カ其旨記載スヘシ
右之通相違無御座候也
  年 月 日                  何某印
      何々組頭取
          御中
 - 第14巻 p.567 -ページ画像 
    記 各組頭取ヨリ其年会議局出頭ノ頭取ヘ差出スベキ書体
 明治 年製造高
 一春蚕種何万何千枚           何々組
                       製種人幾名
   内
    何百何十枚   自用
    何万何千枚   内外売捌ノ分
     内何万何千枚  海外輸出
    残 何万何千枚 国内用
    外 何千何百枚 何国何郡何組製造ノ内国用買入分
   合テ何万何千枚  国内売捌ノ分
    内 何千枚   何々場引売捌候分
      何千枚   何々商人ヘ売渡候分
      何千枚   当今存在ノ分
       但シ注文品ニシテ取調ノ後売捌ナスヘキ分ハ其旨ヲ記載スヘシ
右ハ当組蚕種内外売捌ノ分書面ノ通相違無之候也
                   何々組頭取
  年 月 日                何ノ某印
      何々組頭取
          何ノ誰殿
    記 会議局出張ノ頭取ヨリ会議局ヘ差出スヘキ書体
 明治 年製造高             何府県下
 一春蚕種何万何千枚              幾組
                         製種人幾名
   内
    何千枚     自用
    何万何千枚   内外売捌ノ分
     内何万何千枚  海外輸出
    残テ何万何千枚 国内用分
    外 何千何百枚 何々製造国内用分買入
  合何万何千枚
   内 何千枚    何国エ場引売捌候分
     何千枚    何々商人ヘ売渡候分
     何千枚    当今存在ノ分
右者当県管下各組製種内外売捌候処書面之通相違無之候也
                  何府県管下
                     頭取惣代
  年 月 日                 何ノ某印
    蚕種会議御中
右内国用蚕種取扱方申合規則協議決定致シ候ニ付後証ノ為メ各記名調印致シ置候也
 - 第14巻 p.568 -ページ画像 
                   蚕種会議局
  明治八年五月              議員連印


外国輸出蚕種売捌方申合規則(DK140065k-0002)
第14巻 p.568-570 ページ画像

外国輸出蚕種売捌方申合規則 (渋沢子爵家所蔵)
初度夏蚕種ノ儀従来随意ノ原紙用来候処、追々本原紙ノ御制度有之ニ随ヒ漸次ニ種類繁殖シ、中ニハ無限ノ製造ヲ欲シ、或ハ産ヲ破リ家ヲ喪ヒ、或ハ一時ノ小利ニ惑ヒ桑園ヲ損害スルノ類不尠、更ニ其取締方法ヲ設スンハ本蚕種ニ制限アルノ際ニ乗シ弥々蔓延終ニ際限ナキニ至ラン、然レトモ此種素ヨリ製造販売ノ時間短少故ニ、其法厳ナレハ実際行ヒ難カラン、是ニ於テ各自協議ヲ尽シ、本年ノ処ハ期節既ニ窮迫ナレハ只其組頭取撿査人ニ於テ注意シ可成丈濫製ナカラシメ、来ル明治九年ヨリノ取締方法左ノ条々ノ通リ決定セリ
  外国輸出蚕種売捌方申合規則
蚕種製造組合申合規則第四条ノ要旨ニ拠リ、外国輸出ノ蚕種売捌方相競フテ紛冗ヲ生スルノ患ナカラシメン為メ、其売捌方法ヲ左之条々ノ通決議セリ
    第壱条
各組蚕種製造人ニ於テ本年ノ製種相済タレハ、頭取・撿査人ハ直ニ其蚕種ヲ取扱所ヘ持参セシメ、既ニ会議局ニ於テ定メタル外国用ノ割合ニ従ヒ、毎紙第一号雛形ノ如キ印ヲ押捺セシ章紙ヲ貼シ、頭取之ニ継印スヘシ
 但頭取ノ蚕種ヘハ撿査人之ニ継印スヘシ
    第二条
右之章紙ハ各地異同ナカラシメン為メ会議局ニ於テ之ヲ製シ、各組入用高ニ応シテ割渡スヘシ、尤其費用ハ仕払高ヲ毎紙ニ割合原価ヲ立テ入用ノ枚数ニ従テ蚕種製造人ヨリ受取ヘシ
    第三条
外国輸出ノ蚕種ヲ東京・横浜其外神戸港ヘ逓送セント欲スル者ハ、九月中旬各港着荷ノ都合ヲ以、其組取扱所ノ撿査ヲ受ケ、御印紙ヲ貼用シ、取扱所ノ規則ニ従テ之ヲ出荷スヘシ
    第四条
取扱所ニ於テハ右蚕種撿査ノ上割合其外不都合ナケレハ、東京・神戸改所宛ニテ第弐号文案ノ送リ状ヲ渡スヘキニ付、蚕種製造人ハ右送リ状ト共ニ其蚕種ヲ東京改所ヘ持参シテ其取扱ヲ乞フヘシ
    第五条
蚕種製造人モシ外国輸出ノ蚕種ヲ国内ニ於テ組合外ノ者ヘ売渡ストキハ、第三号文案ノ証書ヲ受取リ其段ヲ頭取ヘ届出ヘシ、故ニ外国輸出蚕種ノ取扱ハ組合外ノ者タリトモ都テ此申合規則ニ照準セシムルコト勿論タル可シ
    第六条
会議局ノ衆議ヲ以全国頭取中ヨリ五名以上十名迄ヲ人撰シ、総代トシテ各開港場ヘ出張シ、各地ヨリ逓送スル蚕種ハ其送状面ニ引合セテ其蚕種ヲ撿査シ、不都合ナケレハ之ヲ荷請帳ニ登記シ、夫ヨリ横浜港売込問屋ヘ継送ノコトヲ取計フヘシ
 - 第14巻 p.569 -ページ画像 
    第七条
横浜売込問屋ヘ入荷ノ都合ハ各組ヨリ出張スル蚕種売捌人ノ見込ニ任セテ其望次第継送ヲ為スヘシト雖モ、此申合規則第九条ノ趣旨ニ拠リテ打合タル条款ヲ承諾シタル売込問屋ニ限ルヘシ、尤其継送ヲ為シタル分ハ荷払帳ヘ詳明ニ登記スヘシ
    第八条
第六条・第七条ニ掲ケタル荷請帳・荷払帳ヘハ其蚕種ノ枚数・製造人ノ名前・国所・蚕種ノ種類等マテ詳明ニ登記スヘシ
    第九条
全国総代ハ兼テ横浜蚕種売込問屋ヘ引合、別冊誓約書会議局ヘ取置、輸出蚕種売込方ニ不都合ナキ様ニ注意スルコトヲ担保セシムシ
    第十条
外国人ヘ売込ノ都合ハ売込問屋ノ紹介ヲ以各組ヨリ出張スル売捌取扱人ノ随意タルヘシト雖モ、自然一般取締ノ為メ、其持出シタル蚕種中ニ於テ臨時ノ規則ヲ設クルカ、又ハ内国充備ノ為メ其製限ヲ以輸出品ヲ内国用ニ換用スルカ、及売買上ノ都合ニヨリ相当ノ方法ヲ立ル等ハ全国総代ノ考案ヲ以各組売捌取扱人ニ通達シ、臨時会議ヲ設ケ其事ヲ議定セシムルコト有ヘシ
    第十壱条
全国総代ハ臨時会議ニ於テ同論ノ多キニヨリテ決議シタル件々ハ、各組売捌取扱人ニ践行セシムルノ権有ヘシ
    第十二条
全国総代ハ外国輸出蚕種売買方ノ監査向ヲ心得、万一内国用ノ蚕種ヲ密売スル者アルカ其他不都合ノ所為アレハ、常ニ相当ノ方法ヲ以之ヲ捜索シテ見附次第其糺正ヲ為シ、事柄ニヨリテハ明年会議局ニ於テ集議ノ上其違約ノ処分ヲ議定スルカ、又ハ其筋ヘ上申シテ相当ノ罰ヲ乞フコトヲ尽力スヘシ
 但捜索向ニ付テハ本文総代人ノ指図ヲ以テ各組売捌取扱人ノ中ヨリ人撰シテ使用スルコト有ヘシ
    第十三条
全国総代ハ外国輸出蚕種売捌済ノ上ハ開港場売込問屋ヨリ詳明ナル売捌仕訳書ヲ受取、本年ノ輸送総高、外国人ヘ売込高並其価位ノ区分及残余ノ高等ヲ表出シテ、其一通ハ勧業寮ヘ差出シ、一通ハ明年会議局ノ備考ニ充ツヘシ
    第十四条
蚕種政所並全国総代タル頭取ノ給料其他ノ入費ハ蚕種壱枚ニ付金壱銭ヲ課シテ充備シ置、頭取ハ其入費ノ計算ヲ明ニシテ余金アレハ明年ノ用ニ備置ヘシ

第壱号雛形
       方一寸三分
  青色章紙 蚕種改済之章 如図○略ス周囲ニ桑葉蔓茎ヲ画キ中央ニ蚕種改済之章六字ヲ彫刻スヘシ
第二号文案
 - 第14巻 p.570 -ページ画像 
用紙西ノ内六ツ切
    輸出送証書
一蚕種紙何百枚            製造人印
右之通相違無之候也
                  何々組頭取
  年号 月 日                何之誰
      東京
        蚕種改所
           御中

第三号文案
    輸出蚕種買受証書
    証券
                   何府県下何々組
御印紙          何国何郡何村
                     製造人

一蚕種何千枚                 何之誰
  但送証書添
前書之通貴殿ヨリ買請蚕種正ニ受取候処相違無之候、爾後売先之儀ハ蚕種会議局ニ於テ確定ノ輸出売買規則之条々固守仕聊背戻致間敷、万一不都合之売捌等有之節ハ、右規則ニ因テ何様之御処分受候共申分決テ無之、為後日買請証書入置候也
                  何府県下何国何郡町村
                    買取人
  年号 月 日                何之誰
       何之誰殿
右外国輸出蚕種売捌方申合規則ノ条款一同確守致シ候証拠トシテ各姓名ヲ記シ調印シ置候也
                  蚕種製造会議局
  明治八年五月              議員連印


初度夏蚕種取締規則 明治八年五月(DK140065k-0003)
第14巻 p.570-571 ページ画像

初度夏蚕種取締規則 明治八年五月 (渋沢子爵家所蔵)
  初度夏蚕種取締申合規則
    第一条
初度夏蚕種ヲ製造セント欲スル者ハ、其最寄蚕種製造組合ヘ付属スヘシ
    第二条
各地方組合ヘ附属セント欲スルモノハ、願書ヘ其区ノ戸長奥印ヲ乞請最寄蚕種組合取扱所ヘ申出ツヘシ
 但已ニ組合ヘ加入イタシ蚕種ヲ製造スルモノハ此限ニアラス
    第三条
取扱所ニ於テハ頭取・撿査人協議ノ上不都合ナキトキハ其旨承諾シ、追テ管轄庁ヘ申立ヘシ
    第四条
 - 第14巻 p.571 -ページ画像 
原紙ハ各地方適宜ノ紙ヲ以テ左ノ雛形ニ照準シ一体ノ原紙ヲ製造シ、其組号印押捺シ、取扱所ニ於テ製造人ヘ払下ケヘシ

図表を画像で表示--

      方一寸八分                              曲尺  原紙  [img 図]組号印                     竪一尺一寸                                         横七寸五分  裏面  [img 図]撿査印   [img 図]製造印   原紙百枚ニ付                                         目方四百目ニ不過 



    第五条
原紙売捌代価ハ原価ヘ至当ノ手数入費ヲ加ヘ一定ノ代価ヲ以テ払下ケヘシ
    第六条
製造ノ蚕種ハ其原紙表面ヘ製造ノ年月日ヲ記載シ、裏面ヘ必本人ノ名印ヲ捺スヘシ
    第七条
蚕種出来ノ上其組撿査人調査ノ上改印ヲ押シ売買ナサシムヘシ
 但其組申合ニ依リテハ世話役ニテ調査押印ナスモ妨ケナシ
    第八条
取扱所ニ於テハ原紙払下ケ帳ヲ製シ、売下ケノ都度枚数ヲ詳記シ、本人ノ調印ヲ取置、及ヒ出来上撿査人・世話役ニテ調査ノ枚数ヲ取調、翌年二月東京会議局ヘ差出シ、全国ノ計算ニ供スヘシ
 但出京頭取ニ於テ一管内限リ取纏メ総計ノ上会議局ヘ差出スヘシ
    第九条
右之通申合決定ノ上ハ各地トモ実地践行可致、万一取扱所売捌ノ原紙不相用自儘ノ紙ニ製造ノ蚕種ヲ売買スルカ、又ハ出来ノ上改ヲ受サル蚕種ヲ売買スルトキハ、見当次第取押其組取扱所ヘ申出ツヘシ、其所為ノ軽重ニ従ヒ協議ノ上相当ノ所分ヲナスヘシ
前書申合規則ノ条々一同悖戻無之証トシテ記名調印致候也
                    蚕種会議局
  明治八年五月              議員連印


横浜売込問屋エ掛合廉書(DK140065k-0004)
第14巻 p.571-573 ページ画像

横浜売込問屋エ掛合廉書 (渋沢子爵家所蔵)
    第壱条
東京蚕種取扱所ヨリ差送リ候蚕種荷物到着候ハヽ、荷請主ハ其員数其外ヲ記載シタル預リ書ヲ右取扱所宛ニ御差出有之度候事
    第二条
右荷請セシ蚕種ハ売込帳ヲ仕立置、外国人エ売込相成候分ハ其枚数・値段・買先外国人名・国名等明瞭ニ御記載被成置度候事
    第三条
直段取究リタル蚕種ハ早々拝見相済シ代金請取候様致シ度、只直段相定候儘ニテ其蚕種ヲ外国人ニ預ケ置、爾後直段ノ景況ニヨリ拝見ノ節外国人ノ取捨増減等無之様致度候事
    第四条
 - 第14巻 p.572 -ページ画像 
慥成外国人ニ候ハヽ未タ直段取極メ無之蚕種ヲ見本外ニ預ケ置候儀モ可有之候得共、可成丈蚕種ハ荷請主方ニ御預リ置、直段相定候後外国人ヘ引渡候様御注意有之度候事
    第五条
荷請主ハ毎日亦ハ隔日ニ其入荷ノ蚕種中外国人売込高残高ヲ記シ、東京蚕種取扱所ヘ御報知有之度候事
    第六条
皆売捌済ノ後ハ総荷請高・売捌先国名・人名及其荷主国名・人名・蚕種売込価位等迄詳明ニ記載シタル報告書ヲ東京蚕種取扱所ヘ御差出シ有之度候事
 但売残蚕種有之候ハヽ其分モ同様明細ノ調書御書加ノ事
    第七条
売込口銭ハ是迄ノ御振合モ可有之候得共、別テ御働被下且各方御同様ノ定額相立、前以東京蚕種取扱所ヘ御通知被下度候事
    第八条
各方ヘ入荷ノ蚕種若シ内国用欠乏ノ見込有之歟、亦ハ売買上ノ景況ニヨリ東京蚕種取扱所詰合総代ノ考案ヲ以引戻シ等ノ儀有之節ハ、同所ヨリノ報知ニ従ヒ速ニ御取計有之度候事
    第九条
各方申合予テ三五名ノ総代御設置、前記載ノ廉々東京蚕種取扱所ヨリ往復差支無之様致シ度候事
右之廉々厚御注意御取扱有之度候事
                       東京蚕種
  明治八年五月                 会議局
    横浜港
      売込問屋
          御中
    誓書
今般御掛合相成候第一条ヨリ第九条迄ノ趣意、並ニ輸出蚕種売捌申合規則共都テ承諾仕則実地践行可致候、若其節ニ至リ不都合之件有之ニ於テハ右申合規則ニ依リ相当之御処分受候共聊申分無之候也
                    横浜売込問屋
  明治八年五月                連印
    東京
      蚕種取扱所
         御中

今般東京会議局ニ於テ各位会同商議シ蚕種売買上申合規則決定ノ趣御掛合ニ付、該年当港売込方法従前之弊習ヲ去リ、純然ノ売買ニ帰シ、専ラ此商業ノ完備ヲ得、蚕商ノ損耗無之到底御国益ノ端緒ヲ開、倶ニ此商業ノ永遠ナランコトヲ欲シ、私共一同売捌取扱方申合規則ヲ設ケ各位ノ決議ニ抵触セサル為、左ノ条々ノ通誓約セリ
    第一条
東京蚕種取扱所ヨリ差送候蚕種荷物到着候ハヽ荷請主ニ於テ其員数・国所・人名等記載シタル預リ書ヲ右取扱所エ可差出候事
 - 第14巻 p.573 -ページ画像 
    第二条
本年之儀ハ東京蚕種取扱所ヨリ順序ヲ追ヒ入荷相成候ニ付、各自売込ヲ競争シ瓦解ヲ招ノ弊ヲ除カンガ為集会協議ノ上、価位予メ取窮メ売出シ候様可致、万一抜懸ニ売出シ候者ハ第七条ニ照準処分可致候事
    第三条
荷請セシ蚕種紙売込方法ハ従前之通外国人国名・人名・価位等詳細記載シ置、売捌済ノ後総荷高ハ勿論売捌先国名・人名及荷主国名・人名売込価位等詳細記載シテ東京蚕種取扱所エ可差出候事
 但売捌残種紙有之候ハヽ其分モ同様明瞭ニ記載スヘシ
    第四条
蚕種紙売捌取扱方ニ於テ見本持出シ候儀決而致間敷事
 但シ景況ニ寄リ臨機ノ取扱方等モ可有之、其節ハ協議致シ多説ニ基キ必ス自己勝手ノ取計致間敷事
    第五条
入荷ノ蚕種紙外問屋ヘ相回シ候儀荷主ノ適宜タリト雖トモ、仲間外ヘ相回シ候儀決而難出来旨堅相断可申事
    第六条
入荷蚕種売込高並ニ価位・残高共詳記シ当港頭取エ其都度差出、右ヲ取纏メ、日々或ハ隔日ニ東京蚕種取扱所エ可致報知事
    第七条
入荷蚕種紙取扱方若会議局決議規則ニ抵触致候歟又ハ当港申合規則ニ悖リ候儀有之候ハヽ、東京取扱所総代ノ考按ヲ以テ入荷引戻シノ上、爾後蚕種紙荷請仲間可致除脱候事
 但内国欠乏ノ見込有之引戻候儀ハ此限ニアラス
    第八条
売込口銭之儀各自異同無之様売込金高ノ弐分五厘百円ニ付金弐円五拾銭可申受事
 但シ仕切書ヘハ印税御規則第二類ノ御印紙貼用致候ニ付、右御印税ハ荷主出金ノ事
 附リ、本文口銭之儀ハ本年施行致シ、明年更ニ協議之上確定可致事
    第九条
撰挙頭取五名ニテ東京蚕種取扱所往復ハ勿論、鎖少《(琑)》ノ事件ハ取計可申自然大事件ニ至リ候テハ一同協議ノ上決定可致事
 但シ会議ノ節ハ報知次第刻限無遅滞出頭可致事
右ハ当港蚕種売捌取扱方申合規則前条之通一同承諾シタル証トシテ各記名調印致候也
                      横浜売込問屋
  明治八年五月                   連印


蚕種会議局決議書 明治八年五月(DK140065k-0005)
第14巻 p.573-578 ページ画像

蚕種会議局決議書 明治八年五月 (渋沢子爵家所蔵)
  東京蚕種製造会議局ニ於テ各議員会同決議之件々
    第壱条
春蚕種製造ノ額ハ本年三月中元大総代一同東京集会ノ節概算ヲ以総製造額ヲ百九十三万枚余ト定メタレトモ、其後外国貿易ノ実況ヨリ是ヲ推察セハ更ニ減省ノ法適当ト思考スルニ付、全国製種人ノ損耗ヲ予防
 - 第14巻 p.574 -ページ画像 
シ既定ノ総額中一割百分ノ十ヲ減シ、本年ノ製造高ヲ百七十三万八千五百五十五枚ト決定セリ
    第二条
右限額ヲ各地製造人エ賦当スル割合ハ三月中元大総代ノ定メタル計算法ヲ採用シ、且総高一割減ン《(衍カ)》ノ分モ其割合ニ従テ減省スヘシ
     但各製造人ニ賦当スルノ算法ハ五捨六入ヲ以テ一枚以下ノ端数ヲ取捨スヘシ
    第三条
内国用外国輸出ノ区分目途ハ第一条総額ヲ折半シ八十六万九千二百七十八枚ヲ以内国用トシ、八十六万九千二百七十七枚ヲ以外国輸出トスヘシ、尤内国用ノ分売捌目途無之モノハ其賦当ノ額内ヲ減スルトモ又ハ全額ヲ減スルモ本人ノ適意タルヘシト雖トモ、外国輸出ノ分ハ決テ其賦当高ニ超過スルコトヲ許サヽルヘシ
    第四条
本年ノ蚕種現在製造ノ高ハ各組共製造相済次第直ニ頭取・撿査人ニ於テ相改メ、内国用・外国輸出ヲ区分シ、総計ノ調書ヲ一県下毎ニ取纏メ、該年八月十五日限リ東京会議局ヘ差出スヘシ
     但取調文案ハ組合条例第四号雛形ニ做ヒ、今般出京議員一県下限リ取纏メ、日限通逓送スルコトヲ担当スヘシ
    第五条
本年ノ蚕種現製造高取調ノ上若シ内国用ノ充備不足ニシテ欠乏ノ見込アル時ハ、外国輸出ノ分ヨリ公平ノ割合ヲ以内国用ニ換用スルコトアル可シ
     但右換用ヲ為スハ臨時会議ヲ開キテ之ヲ決議スヘシ
    第六条
内国用蚕種取扱方ハ別冊申合規則ノ通タル可シ
    第七条
外国輸出蚕種取扱方ハ別冊申合規則ノ通タルヘシ
    第八条
夏蚕掛合風穴種製造ノ額ハ別冊凡積ヨリ割合相立タル省減高ヲ以本年ノ製造高トス可シ
    第九条
初度夏蚕原紙配当ノ手続ハ別冊規則ノ通タルヘシ
    第十条
夏蚕掛合風穴種等ノ薄紙原紙ハ、春蚕原紙ト混淆セサル為メ各地取扱処ニ預リ置キ、春蚕製造済薄紙必用ノ期ニ臨ミ製造人ヘ相渡ス可シ
    第十一条
該年蚕種輸出ノ期ニ当リ東京改所詰合全国総代十名ト定メ、右擢撰方法ハ熊谷・長野・福島・置賜合四県下ヨリ六名、其他ハ該局出頭議員中ヨリ四名ヲ撰挙スヘシ
     但総代撰挙人名ハ投票ヲ以公撰シ置ヘシ
    第十二条
右ノ撰挙ヲ受タル総代ハ、本年八月一日迄ニ出京シテ改所ノ設置及各県ヨリ送致スル本年現場製造蚕種ノ実額等ヲ詳知シ、夫ヨリ輸出蚕種
 - 第14巻 p.575 -ページ画像 
改方及其売買上景況ニヨリ適当ノ方法ヲ建ルコトヲ担当スヘシ
    第十三条
各県明年製種凡積ノ取調方ハ蚕種製造組合条例ノ趣意ニヨリ、製造人桑畑ノ所有高其他諸器具ノ整備等ヲ調査シ、現実ノ凡積ヲ輯集シテ明年ノ会議局ニ出スヘシ、尤此調査方各地異同ノコトアレハ、明年会議局ノ衆議ヲ以テ公平ノ割合ヲ立ルニ臨ミ不平均ノ苦情ヲ免レサルニ付本年ノ各議員ハ須ラク此ニ注意シテ其調査ヲ為スヘシ
     但製糸人ノ自用種ハ別段ノ調書ヲ差出ヘシ
    第十四条
本年ノ会議局費用及各議員出京滞在ノ諸費ハ、外国輸出蚕種売捌方申合規則第十四条ノ輸出蚕種改所ニ於テ収入スル手数料ノ中ヲ以、其仕払ヲ為スヘシ
    第十五条
各県共明年ノ会議局ニ議員ヲ出スノ人員割合及議権費途支給法トモ、別冊議員差出方制限法ノ通タルヘシ
    第十六条
明年ノ会議出京ハ勿論都テ会議ニ付互ニ出京スヘキ時日ハ、予テ申合置各員其時日迄ニ必参着スヘシ、若無謂其時日ヲ後ルヽ者ハ一日ニ付少クトモ一円以上ノ謝金ヲ一同ヘ出スヘシ
    第十七条
明年会議開局時日ハ二月廿五日ヲ限リ各府県議員上京団集ト決定セリ其撰挙ニ応シタル議員ハ必其時限ヲ誤ラス出京ス可キコトヲ、本年ノ議員ヨリ兼テ伝達シ置ヘシ
    第十八条
輸出蚕種売捌ノ為メ出港ノ人員ハ一般ノ都合タル可シト雖トモ、予メ二千枚以上一人担当ノ割合ニテ出港スヘシ
     但各地小製造亦ハ無拠地方ハ此限ニアラスト雖トモ、成可ク大多人数ナラサルコトヲ要ス
    第十九条
東京改所総代出張スヘキ人員十名ヲ今般択出ノモノ本年八月一日ヲ期シ出京、給額一ケ月一名ニ付金三十円宛ト決定セリ
     但往復旅費及事務ニ付派出等旅費日当ハ別途支給スヘシ
    第二十条
東京改所詰合中、蚕種改方手伝傭人員給額人員ノ増減等ハ改所詰合総代ノ責任タルヘシ
    第廿一条
会議局決議ノ件々上梓ノ上分賦スヘシ
     但製本料ハ各自ノ出金タルヘシ
右ハ該局議員会同協議整頓之条款一同恪守ノ証トシテ記名捺印致シ置候也
                東京府下南錦組頭取
  明治八年五月              並木勘三郎
                東京府下加茂川組頭取
                      森本盛親
 - 第14巻 p.576 -ページ画像 
                大坂府下淀川組頭取
                      小林元海
                足柄県下豆相組頭取
                      山口八兵衛
                熊谷県下利根川東組頭取
                      栗原必
                同 児玉組頭取
                      福田礼蔵
                長野県下上田組頭取
                      佐藤八郎右衛門
                同 勤精組頭取
                      町田謙之助
                新潟県下大川組頭取
                      野本太吉
                栃木県下邑楽組頭取
                      松木源十郎
                新川県下神通組副頭取
                      平野太才
                水沢県下磐井組頭取
                      入間川良助
                宮城県下広瀬組頭取
                      四竈与市
                浜松県下天竜西組頭取
                      河合三郎
                長野県下真砂組頭取
                      塚田安左衛門
                栃木県下絹川組頭取
                      野沢泰次郎
                福岡県下筑紫組頭取
                      西川了甫
                筑摩県下信精組撿査人
                      百瀬嘉久太
                同 飛撰組世話役
                      細江川理平
                筑摩県下盛業組頭取
                      花岡孫兵衛
                三重県下北勢組頭取
                      小林藤十郎
                東京府下北錦組頭取
                      内田東作
                広島県下五荘頭取
                      三村覚衛
                千葉県下富総組頭取
                      飯田主作
 - 第14巻 p.577 -ページ画像 
                度会県下宮川組頭取
                      野呂久
                若松県下南山組頭取
                      五十嵐弥七郎
                置賜県下長井組頭取
                      森儀平
                同 日新組頭取
                      相馬三郎右衛門
                敦賀県下南越組頭取
                      酒井功
                埼玉県下竜精組頭取
                      三田清太郎
                白川県下菊水組頭取
                      佐藤重一
                愛知県下貫水組頭取
                      柴田正厚
                岐阜県下岐陽組撿査人
                      坂口友十郎
                山口県下鴻ノ峯組
                      山口矯介
                磐前県下河頭組頭取
                      渡辺森
                和歌山県下和組頭取
                      長谷川甚兵衛
                熊谷県下群馬組頭取
                      石坂四郎平
                同 島村組副頭取
                      栗原勘三
                相川県下五畝組頭取
                      鈴木久吉
                山形県下溝延組頭取代
                      玄地良作
                同 最川組頭取
                      小関良兵衛
                滋賀県下淡海組頭取
                      丹部荘平
                神奈川県下玉川組頭取
                      関山五郎右衛門
                福島県下二本松組頭取
                      梅原親固
                同 精蚕組頭取
                      田中太次平
                同 扶桑組頭取
                      中木儀左衛門
 - 第14巻 p.578 -ページ画像 
                酒田県下亀崎組頭取
                      原九兵衛
                青森県下津軽組頭取
                      石井斉吉
                静岡県下蕣河組頭取代
                      大熊善一郎
                宮城県下伊具組頭取
                      斎藤信太郎
                同 伊具本組頭取代
                      高山金右衛門
                新治県下業広組頭取
                      波多野累高
                茨城県下日沼組頭取
                      上野清八
                小田県下真金組頭取代
                      小野次郎
                境県下功成組頭取
                      長坂清明
                山梨県下巨西組頭取
                      有泉義方
                同 栗原組頭取
                      向山久吉


会議局議員制限 明治八年五月(DK140065k-0006)
第14巻 p.578-579 ページ画像

会議局議員制限 明治八年五月 (渋沢子爵家所蔵)
    蚕種製造会議局議員制限
蚕種製造会議局ヲ建置スル原因ハ全国製種ノ業徒ニ相競奔シテ共ニ損耗ヲ致スノ弊害ヲ予防シ、内国用ノ充備、外国輸出ノ分量等ニ至ルマテ其過不足ノ甚シカラサランコトヲ欲シ、各府県製種家一同ノ考案ヲ各議員ニ委子テ全般ノコトヲ会議シ、其輿論ニヨリテ本年ノ蚕種取扱方ヲ決定スル為メナレハ、出会ノ委員議事ノ権利ニ於テモ各地製種人員ノ多少、又ハ製種ノ枚数ニ従テ宜シク其権ノ限リアルヲ相当トスヘシト雖モ、唯其製種枚数ニヨレハ既ニ巨額ヲ製造スル三四県ノ集議ハ他ノ一般ノ所見ト異同アルモ、其紙数ノ多量ニヨリテ他県之レニ服従セサル能ハス、是レハ或ハ公平ヲ失スルノ弊ナキ《(マヽ)》ノミナラス、此会議ノ要旨ニ於テ聊允当ヲ失スルニ似タリ、然リ而シテ各府県製種ノ多寡ニ関セス偏ニ出会議員ノ同論ニ従テ之ヲ判定スルモノトセハ、巨額ヲ製スル県々ノ実際ヲ斟酌スル能ハスシテ、恐クハ其決議徒法ニ属セサルヲ得ス、且此ノ議局ノ要費及ヒ出員ノ費途ニ於テ大小共ニ各一員ノ出頭ニ賦セハ、少数ヲ製スル県ニ於テ或ハ其供給ヲ苦ムヘシ、是ニオヰテ本年出会ノ議員ハ其権限ノ帰スル所ト其費用ノ支給法トヲ審案細議シテ、左ノ条々ヲ決定セリ
    第一条
東京会議局ヘ委員ヲ出シテ其議事ニ列スルハ蚕種三万枚以下製造高ノ県々ハ議員一名ヲ出スヲ得ヘシ
 - 第14巻 p.579 -ページ画像 
 但シ遠隔ノ地方且其製種僅少ニシテ議員ヲ出シ難キコトアラハ、東京蚕種会議局宛ニテ委任状ヲ差出スモ妨ケナシトス
    第二条
三万枚以上十万枚迄製造スル県々ハ、議員二名宛ヲ出スヲ得ヘシ
    第三条
十万枚以上弐十万枚迄製造スル県々ハ、議員四名宛ヲ出スヲ得ヘシ
    第四条
弐十万枚以上三十万枚迄製造スル県々ハ、議員六名宛ヲ出スヲ得ヘシ
    第五条
三十万枚以上四十万枚迄製造スル県々ハ、議員八名宛ヲ出スヲ得ヘシ
    第六条
四十万枚以上五十万枚迄製造スル県々ハ、議員十名宛ヲ出スヲ得ヘシ
 但五十万以上ハ当分ノ処都テ十名ニ限ルヘシ
    第七条
右何万枚以上ト概算スルハ、其以上ノ髙万ニ満タサレハ本額ニ加算シテ以上ノ髙ニ加ヘサルヘシ
    第八条
右ノ制限ニヨリテ出会スル議員ハ各同等ノ議権ヲ有シ、同等ノ責任アルヘシ
    第九条
会議局ノ要費及ヒ各県議員出京ノ旅費・滞在費等ハ、都テ其地方ノ遠近ニ従ヒ其出役ノ現人員ニ応シ、議局ヨリ之ヲ支給スヘシ
 但シ此要費ハ外国輸出ノ蚕種ヨリ取立ル手数料ノ中ヲ以テ之ニ充ツヘシ
    第十条
第二条ヨリ第六条迄ニ掲クル件々ハ其出員ノ定限ニシテ、之ヲ減省スルハ素ヨリ妨ケナシトス
    第十一条
此出員制限法ハ明年ノ会議ニ於テ更ニ其割合ヲ改革シ、又ハ方法ヲ釐正スルコト勿論タルヘシ
右協議決定ノ条々一同遵守可致、依テ連署押印候也
                    蚕種会議局
  明治八年五月              議員連印


蚕種会議局広告(DK140065k-0007)
第14巻 p.579-580 ページ画像

蚕種会議局広告 (渋沢子爵家所蔵)
    広告
決議書第九条初度夏蚕取締規則之儀ハ、組外ノ者ヘ関渉各組頭取権外ノ廉モ有之ニ付、再議可致旨勧業御寮ヨリ被達候事
決議書第十五条議員製限申合之儀《(制)》、公布ノ会議局御規則ニ対シ矛盾ノ廉有之趣ニテ、是又再議可致旨被達候事
右二条規則之儀前陳之廉ヲ以テ御下ケ相成候間、来ル九月迄延期再考之上可申上旨、書面差出規則相下ケ候事
外国輸出蚕種売捌方申合規則中、第四条東京・神戸改所宛ト記載候ヲ東京・神戸蚕種取扱所ト改正、其外改所ト名称掲ケ有之分都テ前条ニ
 - 第14巻 p.580 -ページ画像 
傚候事
右改所ノ名称御寮於テ自然貿易交際上ノ御懸念被為在御懇諭之次第有之ニ付、猶再議名称ヲ附シ上申候迄取扱所ト改正候事
決議書第六条・第七条内外蚕種取扱方申合規則其他決議件々勧業御寮御聞置相成候事
横浜売込問屋売買申合規則並請書共前冊之通リタルヘシ
外国輸出蚕種売捌方規則第三条中、蚕種逓送ニ付乙ノ港ヘ送致セントスル荷物ト雖モ甲ノ港ヘ係リ候節ハ、其荷物ニ添タル送リ証書ヲ同港蚕種取扱所ノ調査ヲ請、乙港取扱所ヘ荷物ト共ニ持参スヘシ、各港取扱所於テハ送リ証書ヲ撿査シ其地取扱所撿査済ノ印ヲ右証書面ニ捺シ速ニ荷主ヘ相渡スヘキ事
右之通リ改正又ハ追補等之廉為御心得広告申上候間、各組々製種人エ無遺漏御通達有之度候也
                    東京
  明治八年六月              蚕種会議局
    各府県下
      組々頭取御中
 蚕種改済之章 蚕種改済之章

 蚕種改済ノ章紙貼用位置左ノ雛形ノ通貼用可致事
  明治八年六月              蚕種会議局
&sbsw_stamp(官印 組号之印 御印紙 打込印 頭取継印 年号印 蚕種改済之章 頭取継印 
撿査人印 製造人印);

  正誤
蚕種会議局決議書中六丁ノ二行目ニ森本盛親肩書〔東京府〕トアルハ京都府ノ誤リ
会議局議員製限中三丁《(制)》ノ八行目ニ〔其出役〕トアルハ出頭ノ誤リナリ


全国蚕種製造組合一覧表(DK140065k-0008)
第14巻 p.580-585 ページ画像

全国蚕種製造組合一覧表 (渋沢子爵家所蔵)
    全国蚕種製造組合一覧表

 府県      国名     組号        取扱所地名              頭取姓名     撿査人人員        製種人人員
静岡県     駿河国    蕣河組     第四大区五小区静岡呉服町一丁目      高杉太一郎    七名内副頭取壱名       八十五名
同県      同国     富士川組    第二大区三小区富士郡平垣村        松永省耕     弐名内副頭取壱名       三十四名
若松県     岩代国    猪苗代組                         小林悌三郎    二名
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同県      同国     塩川組     耶麻郡塩川村               秋山斎一郎    二名
同県      同国     南山組     会津郡和泉田村五十嵐弥七郎宅       五十嵐弥七郎   三名               十名
三重県     伊勢国    北勢組     三重郡日永村               小林藤十郎    五名            百四十七名
京都府     山城国    加茂川組    上京河原町二条下ル勧業場内        森本盛親     四名            百七十二名
東京府     武蔵国    北錦組     豊島郡金杉村内田東作宅          内田東作     二名             六十六名
同府      同国     南綿組     内神田小柳町卅壱番地伊勢屋伝次郎宅    並木勘三郎    二名             四十四名
筑摩県     信濃国    信精組     筑摩郡北深志町壱番丁六十六番地      一条磋五郎    三十三名         千百七十五名
同県      飛弾国《(騨)》飛撰組     第弐拾五大区一小区大野郡高山町      島木市十郎    三名             九十八名
同県      信濃国    盛業組     諏訪郡上諏訪村              花岡孫兵衛    四名内副頭取壱名       八十八名
神奈川県    武蔵国    玉川組     第五大区八小区橘樹郡宿河原村       関山五郎右衛門  三名内副頭取壱名       百三十名
宮城県     磐城国    伊具組     伊具郡丸森村岡元徳治宅          小野弥平太    十壱名          二百五十九名
同県      同国     伊具本組    伊具郡角田本郷高山三七郎宅        斎藤福右衛門   一名             七十一名
同県      陸前国    広瀬組     宮城郡仙台東弐番丁四竈与市宅       四竈与市     三名              百一名
同県      同国     遠田組     遠田郡馬場谷地村花井戸吉宅        長谷新一郎    一名             百廿一名
相川県     佐渡国    五畝組     加茂郡夷町八十七番地佐野僖平次宅     鈴木久吉     一名              二十名
滋賀県     近江国    淡海組     浅井郡第十二区弓削村           森幸太郎     拾五名内副頭取壱名    千百三十二名
                                            丹部荘平
大阪府     摂津国    淀川組     大阪順慶町壱丁目柏木善右衛門宅      小林元海     二名              十九名
朽木県《(栃)》 下野国    三連組     塩谷郡桜野村滝沢喜平次宅         成田久八     三名              十八名
同県      同国     絹川組     芳賀郡粕田村入江金平宅          野沢泰次郎    三名             五十六名
同県      同国     都賀組     都賀郡上生井村海老沼弥蔵宅        海老沼弥蔵    四名            二百十七名
同県      同国     渡良瀬川東組  足利郡北猿田村長勝太郎宅         長勝太郎     四名             百十四名
同県      上野国    邑楽組     邑楽郡赤岩村塩田清平宅          松本源十郎    九名           二百六十二名
同県      同国     渡良瀬川西組  新田郡成塚村柳伴七宅           柳伴七      二名             八十二名
同県      同国     新田組     同郡堀口村松本源十郎宅          松本源十郎    九名            五百六十名
同県      同国     新田開耀組   同郡前小屋村岡田三郎宅          岡田三郎     二名             百十二名
和歌山県    紀伊国    和組      第一大区三小区北新五丁目九番地      長谷川甚兵衛   一名             三十四名
岐阜県     美濃国    岐陽組     第一大区三小区厚見郡今泉村        宮川甚七郎    四名             六十九名
小田県     備後国    真金組     第二大区拾八小区福山府中町        国頭第三郎    九名             九十五名
新治県     下総国    富盛組                          石橋伝右衛門   六名           二百四十六名
同県      常陸国    恋瀬組                          兵藤祐三郎    二名             五十二名
同県      同国     坡南組                          神立勘十郎    二名             三十六名
同県      同国     業広組     新治郡常名村波多野累高宅         波多野累高    二名             二十八名
浜松県     遠江国    天竜四組    豊田郡永島村市川左一郎宅         河合三郎     三名             四十九名
同県      同国     天竜東組    榛原郡八幡島新田飯塚孫治郎宅       飯塚孫治郎    三名             二十一名
足柄県     伊豆相摸国  豆相組     足柄下郡小田原新宿町関村佐五兵衛宅    山口八兵衛    五名内副頭取壱名       八十四名
度会県     伊勢国    宮川組     度会郡山田中島町野村義雄宅        野呂久      二名             二十九名
同県      同国     雲出川組    一志郡久居万町義住商社          水沼外衛     三名             三十二名
長野県     信濃国    上田組     小県郡上田町宮下兵右衛門宅        佐藤八郎右衛門  五十五名       四千五百五十七名
同県      同国     勤精組     更級郡今井村町田謙之助宅         町田謙之助    五十三名       三千五百七十六名
同県      同国     真砂組     水内郡長野東之門町石井広吉宅       塚田安左衛門   十五名内副頭取一名   千七百五十八名
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長野県     信濃国    高井組     高井郡須阪町小田切辰之助         小田切辰之助   三十一名内副頭取一名 三千五百八十一名
同県      同国     信東組     佐久郡岩村田町原逸作宅          井出善三郎    九名内副頭取一名       七百四名
愛知県     尾張国    金鱗組     愛知郡二女子村加藤憲章宅         加藤憲章     一名              十一名
同県      同国     隆生組     知多郡亀崎村木村富太郎宅         木村富太郎    一名              十四名
同県      三河国    花園組     碧海郡花園村寺田伝兵衛宅         寺田伝兵衛    一名             二十三名
同県      同国     貫水組     額田郡岡崎駅亀井町元物産会社       柴田正厚     二名             二十七名
同県      同国     豊川組     八名郡乗本村菅沼正兵衛宅         菅沼正兵衛    二名             二十四名
酒田県     羽後国    亀崎組     飽海郡酒田本町弐丁目田中吉右衛門宅    本間金吾     四名             四十六名
同県      羽前国    松ケ岡組    田川郡第三大区三小区松ケ岡蚕室      榊原十兵衛    三名             二十七名
同県      同国     蓬莱組     田川郡第二大区三小区霍ケ岡下肴町百六番地 佐藤義住     十二名            八十七名
水沢県     陸中国    盤井組     盤井郡一関村入間川全造宅         入間川良助    一名              百五名
同県      陸前国    登米組     登米郡登米町大和田四良蔵宅        狩野陳平     一名             六十二名
新川県     越中国    神通組     婦負郡八尾町生糸改会社          橋爪治良作    五名           二百六十一名
同県      同国     精桑組     右同所                  斎加宗平     四名            百四十二名
同県      同国     北営組     右同所                  恒田嘉一     一名             六十三名
同県      同国     好精組     右同所                  村豊       一名              十八名
青森県     陸奥国    津軽組     津軽郡弘前覚仙町生糸改会社        石井斎吉     二名              五十名
同県      同国     二戸組     二戸郡福田村村田六三郎宅         村田六三郎    四名             三十三名
敦賀県     越前国    南越組     足羽郡福井毛矢町酒井功宅         酒井功      三名             九十一名
同県      若狭国    若狭組     大飯郡上下村植田荘左衛門宅        植田荘左衛門   一名             二十四名
埼玉県     武蔵国    竜精組     埼玉郡持田村三田清太郎宅         三田清太郎    三十二名内副頭取四名   九百四十七名
福嶋県     岩代国    扶桑組     伊達郡梁川村四百五十番地         中木儀左衛門   十一名内副頭取弐名     七百五十名
同県      同国     二本松組    安達郡二本松亀ケ谷町光覚寺        宍戸金四郎    九名内副頭取壱名      百四十六名
同県      同国     素誠組     伊達郡下保原村佐藤林右衛門宅       佐藤林右衛門   一名             百十九名
同県      同国     大森組     信夫郡清水町村仲興寺           佐藤右平治    五名              二百名
同県      同国     東産組     伊達郡伏黒村光台寺            佐藤孫左衛門   四名内副頭取壱名     二百四十八名
同県      同国     逢隈組     信夫郡上飯阪村佐藤朋三郎宅        須藤吉三郎    九名           三百二十二名
同県      同国     配徳組     伊達郡藤田村樋口宇蔵宅          高原正兵衛    二名内副頭取一名       二百三名
同県      同国     針道組     安積郡針道村宗形善兵衛宅         宗形善兵衛    五名             八十九名
同県      同国     本宮組     安達郡本宮村小沼宗兵衛宅         小沼宗兵衛    三名             三十七名
同県      同国     安積組     安積郡郡山宿町会所            阿部茂助     八名           三百五十四名
同県      同国     岩白組     岩瀬郡須賀川村商法会社          橋本伝右衛門   三名             三十六名
同県      同国     精蚕組     伊達郡長倉村宝寿寺            田中太次兵衛   二名           三百九十五名
同県      同国     伊達崎組    伊達郡伊達崎村石幡吉三郎宅        石幡吉三郎    三名            三百十六名
同県      同国     静和組     伊達郡掛田村菅野平右衛門宅        菅野平右衛門   三名            百二十九名
同県      同国     月館組     伊達郡下糖田村金谷重郎治宅        金谷重郎治    二名              五十名
同県      同国     杉妻組     信夫郡福島町山口源八宅          佐藤半次郎    六名            百四十三名
山梨県     甲斐国    栗原組     山梨郡一丁田中村小野七郎右衛門宅     向山久吉     九名            百九十一名
                                            小野七郎左衛門
同県      同国     万力組     山梨郡下岩下村原義武宅          標章平      十名           二百三十九名
同県      同国     大石和組    八代郡坪井村須田七郎左衛門宅       野田清道     六名            百四十四名
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同県      同国     小石和組    八代郡富士見村泉竜寺           山下五郎右衛門  七名           二百七十八名
同県      同国     三中組     巨摩郡乙黒村田中治左衛門宅        田中治左衛門   七名              百七名
同県      同国     巨西組     巨摩郡南湖村有泉義方宅          有泉義方     九名             百十七名
同県      同国     桂組      都留郡綱ノ上村斧窪大一郎宅        斧窪大一郎    三名             六十二名
千葉県     下総国    富総組     相馬大鹿村長禅寺             飯田主作     五名内副頭取壱名      三百十九名
堺県      和泉河内国  巧成組     和泉国泉郡小野新田壱番地会所       長坂清明     拾壱名内副頭取壱名      百廿九名
豊岡県     但馬国    保裕組     城崎郡雷田町渡辺彦左宅          林田友右衛門   四名              十六名
新潟県     越後国    大川組     古志郡長岡町野本太吉宅          野本太吉     拾五名内副頭取壱名   千二百五十五名
同県      同国     頸城組     頸城郡潟町駅小山作八宅          富田唐鍋     七名内副頭取壱名     四百五十九名
同県      同国     河原組     蒲原郡新潟古町通七番町本田嘉伝次宅    片山安蔵     拾壱名内副頭取一名    五百六十一名
盤前県     盤城国    河頭組     田村郡三城目村渡辺森宅          渡辺森      八名内副頭取壱名     二百五十三名
茨城県     常陸国    日沼組     茨城郡長兎路村上野清八宅         上野清八     三名             二十六名
同県      同国     錦竜組     真壁郡西石田町尾見桑三宅         飯嶋才一郎    拾壱名内副頭取壱名       九十名
同県      同国     那珂川組    茨城郡常葉村川又雄蔵宅          加藤木恒之助   二名             五十一名
同県      同国     青竜組     久慈郡太田村小川長次郎宅         小川長次郎    三名              三十名
山口県     周防国    鴻ノ峰組    吉鋪郡山口第四区七百拾九番屋鋪      山口矯介     三名             三十九名
同県      長門国    阿奈門組    阿武郡萩西田町四百七拾五番地       沢村桑坪     弐名内副頭取壱名        三十名
秋田県     羽後国    六徳組     秋田郡川尻村川村永之助宅         川村永之助    六名           三百六十九名
熊谷県     武蔵国    利根川東組   旛羅郡下奈良村栗原必宅          栗原必      六名内副頭取一名     五百五十三名
同県      同国     利根川上組   児玉郡上仁手村茂木小平宅         茂木小平     十名内副頭取一名     七百八十一名
同県      同国     児玉組     児玉郡八幡山町福田礼蔵宅         福田礼蔵     十四名内副頭取一名    四百三十四名
同県      同国     利根川組    榛沢郡中瀬村河田重郎三宅         河田重良三    二十六名内副頭取五名     千〇七名
同県      同国     荒川組     大里郡熊谷駅柳沢定平宅          竹井澹和東清太郎 九名内副頭取五名      千三十四名
同県      同国     三芳組     入間郡森戸村中島幸太郎宅         中島幸太郎    七名内副頭取二名      二百十二名
同県      上野国    群馬組     群馬郡渋川宿石坂四郎平宅         石坂四郎平    十四名内副頭取一名    五百六十一名
同県      同国     烏川組     群馬郡台新田村仮ニ高崎町渋谷伊八宅    小池又一郎    十名内副頭取一名     五百五十八名
同県      同国     鏑川組     多胡郡塩川村黒沢忠太宅          黒沢忠太     九名内副頭取一名     三百八十八名
同県      同国     緑野組     緑野郡藤岡町吉田勇三郎宅         山口正太郎    十二名内副頭取二名    五百二十八名
同県      同国     豊受組     那波郡国領村高柳清十郎宅         高柳清十郎    弐十名内副頭取四名     八百十五名
同県      同国     嶋村組     佐位郡島村田島武平宅           田嶋武平     九名内副頭取三名     三百四十七名
山形県     羽前国    香澄組     村山郡山形八日町佐藤清吉宅        佐藤清吉     二名              五十名
同県      同国     飯塚組     同郡飯塚村岩田吉兵衛宅          岩田吉兵衛    一名              五十名
同県      同国     沼木組     同郡沼木村金沢嘉十郎宅          金沢嘉十郎    二名             四十一名
同県      同国     柏倉組     同郡柏倉村中村良作宅           中村良作     二名             四十五名
同県      同国     古館組     同郡村木沢村阿部芳五郎宅         阿部芳五郎    一名             三十七名
同県      同国     志戸田組    同郡志戸田村日下部兵三郎宅        日下部兵三郎   二名             四十五名
同県      同国     山ノ辺組    同郡山ノ辺村渡辺荘右衛門宅        渡辺荘右衛門   二名              五十名
同県      同国     深堀組     同郡深堀村飛塚孫左衛門宅         飛塚孫左衛門   二名              五十名
同県      同国     大寺組     同郡大寺村多田祐太郎宅          多田祐太郎    一名             三十六名
同県      同国     㝡川組     同郡長崎村小関良兵衛宅          小関良兵衛    一名             三十五名
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山形県     羽前国    㝡川東組    村山郡長崎村橋本三四郎宅         橋本三四郎    一名             三十五名
同県      同国     北中野組    同郡中野村武田甚内宅           武田甚内     二名             四十八名
同県      同国     高櫤組     同郡高櫤村石川嘉平宅           石川嘉平     一名             二十五名
同県      同国     寺津組     同郡寺津村大木勘十郎宅          大木勘十郎    一名             二十八名
同県      同国     渋紅組     同郡渋江村小林利兵衛宅          小林利兵衛    一名              四十名
同県      同国     前明石組    同郡前明石村横尾荘蔵宅          横尾荘蔵     一名             三十七名
同県      同国     半郷組     同郡半郷村高橋金七宅           高橋金七     一名             二十八名
同県      同国     宮腰組     同郡牧野村井上仲次宅           井上仲次     一名             二十五名
同県      同国     上之山組    同郡上之山村五十嵐重次郎宅        五十嵐重次郎   二名             四十三名
同県      同国     藤助新田東組  同郡藤助新田村蘆野六兵衛宅        蘆野六兵衛    二名             四十五名
同県      同国     藤助新田西組  同郡同村長瀬太七宅            長瀬太七     二名             四十五名
同県      同国     荷口組     同郡荷口村中野喜六宅           中野喜六     一名             三十二名
同県      同国     天童組     同郡老野森村小川佐七宅          小川佐七     二名              四十名
同県      同国     蔵増組     同郡藤内新田大石善兵衛宅         大石善兵衛    二名              四十名
同県      同国     松嶋組     同郡島大堀村森重次郎宅          森重次郎     一名             二十五名
同県      同国     野田組     同郡野田村奥山藤七宅           奥山藤七     一名             二十六名
同県      同国     川除組     同郡川除村武田六右衛門宅         武田六右衛門   二名             四十一名
同県      同国     荷口北組    同郡荷口村中野清蔵宅           中野清蔵     一名             三十三名
同県      同国     溝延組     同郡溝延村玄地久兵衛宅          玄地久兵衛    二名              五十名
同県      同国     左沢組     同郡葛沢村阿部小一郎宅          阿部小一郎    一名             三十三名
同県      同国     大谷組     同郡夏草村阿部与三郎宅          阿部与三郎    一名              四十名
同県      同国     寒河江組    同郡〓南村安孫子金三郎宅         安孫子金三郎   一名              三十名
同県      同国     柴橋組     同郡紫橋村渡辺七兵衛宅          渡辺七兵衛    一名             三十九名
同県      同国     宮宿組     同郡未吉良村柴田七良兵衛宅        柴田七郎兵衛   二名              五十名
同県      同国     吉川組     同郡吉川村笹島忠左衛門宅         笹島忠左衛門   一名             三十六名
同県      同国     最田組     同郡田井村小山田三十郎宅         小山田三十郎   一名             三十二名
同県      同国     最川組     同郡田井村今田弥兵衛宅          今田弥兵衛    一名             三十五名
同県      同国     上谷地組    同郡大町村柴田弥宅            柴田弥      一名             三十一名
同県      同国     中谷地組    同郡新吉田村庶野武右衛門宅        庶野武右衛門   二名              四十名
同県      同国     尾花沢組    同郡高橋村押切与総次宅          押切与総次    一名             三十四名
同県      同国     高畑組     置賜郡竹森村富梐喜吉宅          富梐喜吉     二名             五十五名
同県      同国     新荘組     最上郡中渡村荒木伊左衛門宅        荒木伊左衛門   一名               八名
三重県     伊勢国    中勢組     安濃郡津岩田加藤小左馬宅         小林藤十郎
同県      伊賀国    呉服川組    阿并郡上野生糸改会所           小林藤十郎
置賜県     羽前国    長井組     置賜郡小出村森佐五兵衛宅         森儀兵衛     四名             四百十名
同県      同国     魁組      同郡成田村佐々木宇右衛門宅        佐々木忠右衛門  四名           五百六十四名
同県      同国     日新組     同郡鮎貝村大宝院             相馬三郎右衛門  三名           五百三十六名
同県      同国     荒砥組     同郡石那田村船山清四郎宅         小松源四郎    三名            三百十二名
同県      同国     旭組      同郡赤湯村後藤覚右衛門宅         後藤覚右衛門   八名           九百五十四名
広島県     安芸国    五荘組     沼田郡広島一丁目桑原儀三郎宅       三村覚衛     一名             二十七名
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白川県     肥後国    熊本組     託摩郡九品寺村六百二十一番地       竹崎吉勝     二名              二十名
同県      同国     八代求麻川組  八代郡大村二百八十五番地         湯野肇      二名              二十名
同県      同国     玉名組     玉名郡繁根木村千三百三十二番地      津留鮮桑     二名             三十二名
同県      同国     阿蘇組     阿蘇郡宮原村三百四十七番地        田代駸平     一名               七名
同県      同国     菊水組     菊池郡正観寺村三百五十一番地       佐藤重一     一名              十四名
同県      同国     氷川組     宇土郡高良村百二十八番地         小山一次郎    一名               七名
同県      同国     甲佐組     上益郡田口村二百十番地          牛島省八     一名              十二名
同県      同国     山鹿組     山鹿郡新町二百五十番地          安武杢次     一名              十八名
奈良県     大和国    桜楓組                          林檏                        十名
兵庫県     摂津国    和弘組                          士水節造     一名
岩手県     陸中国    盛岡組                          帷子吉通     二名             四十三名
福岡県     筑前国    筑紫組                          西川了甫
石川県     加賀国                                                         四十九名
三瀦県     筑後国    大成組                          松藤鍈蔵     二名              十一名


(福田彦四郎)書翰 渋沢栄一宛 明治八年四月六日(DK140065k-0009)
第14巻 p.585 ページ画像

(福田彦四郎)書翰 渋沢栄一宛 明治八年四月六日 (渋沢子爵家所蔵)
○上略
                      (朱印)
  明八              福田彦四郎(印)
  四月六日                九拝
    渋沢正五位様
           閣下
  尚々今年蚕種之儀ニ付是ま伝之御規則御癈《(で)》し製造人共更ニ結社可致旨御比例御発行相成候ニ付、真ニ養蚕家之大幸と奉存候、然ルニ当方抔ハ新場ニて社頭撿査人各不手馴実際之施行如何と大ニ心配此事ニ御坐候、右ニ付御地集議局根本之御様子其要件御伺申度先便湯島君江申上候得共、御留主館之由恐縮之至ニ奉存候得共、右等心得居度此段奉御伺申上候、当社出願速ニ出県仕度奉存候得共、小子事先月廿五六日之頃より風邪之所不得已度々無理を仕、本月一二日之頃ハ大ニ苦ミ申候、尤も持前之頭痛目まいニて年々春先ハ相発シ候ニ付、差当り出県仕兼殆困入申候、併昨今ハ心地宜相成申候間、御心配被成下間敷候様奉願上候 敬白
(別紙)
  再啓奉申上候、先頃中参館之節大勢之者共度々御厚情ニ相成難有仕合ニ奉存候、荊妻より御令正様江宜敷申上度恐縮なから御鳳声之程奉希候 謹言


(永田甚七)書翰 渋沢栄一宛(明治八年カ)四月二九日(DK140065k-0010)
第14巻 p.585-586 ページ画像

(永田甚七)書翰 渋沢栄一宛(明治八年カ)四月二九日
                     (渋沢子爵家所蔵)
尊書拝見仕候、然は蚕卵種御会議ニ而為替会社ニ被為在候趣拝承仕候山梨県下興益社々長前刻入来ニ付見込承リ置申候
洋銀買入之電報有之候間本日三百弗上納仕候
会議局之印判出来ニ付則三個御使江御渡申上候、御入手被遊可被下候別段至急之用向ハ無御座候、松本無事帰着仕候、右御請奉申上候也
  四月廿九日              永田甚七
 - 第14巻 p.586 -ページ画像 
     渋沢大君
         尊答
   ○蚕種製造組合会議局規則ノ公布セラレタルハ明治八年二月ナルヲ以テ、会議局之印判出来云々ト記セル本書翰ハ明治八年四月ノ記述ニカヽルベシ。
   ○第一国立銀行ガ長崎立誠会社(後ノ長崎第十八国立銀行)甲府興益社(後ノ山梨第十国立銀行)トコルレスポンデンスノ契約ヲ締結セルハ明治八年五月ナリキ。


(鈴木利亨) 書翰 渋沢栄一宛(年未詳)四月三〇日(DK140065k-0011)
第14巻 p.586 ページ画像

(鈴木利亨) 書翰 渋沢栄一宛(年未詳)四月三〇日
                 (渋沢子爵家所蔵)
渋沢先生 玉机下 鈴木利亨
過日は御多忙中へ罷出緩々御面晤ヲ蒙難有、扨其節御説示之趣ヲ以蚕種景況各地方官へ報告方之義河瀬権頭様江も及陳述候処、御示諭之旨ニ随ひ可申旨ニ有之、就テハ至急播布可致手配ニ致シ置候得共、何分刊行等急遽候も行届兼候ニ付、一両日中ニ夫々達方取計候運ひニは相成居候間、右様御承引可被下候、尤疾ニ其辺可申上筈ニハ候得共、漸昨夕ニ至リ決判相成候義ニ付、宜御聞届置被下度、右之段陳度
                    匆々敬具
  四月三十日
   ○太政官日誌明治九年八月二十四日ノ条ニヨレバ鈴木利亨ハ勧業寮七等出仕ヨリ内務権少丞ニ任ゼラル。


渋沢栄一 書翰 陸奥宗光宛(未発カ)(年未詳)四月三〇日(DK140065k-0012)
第14巻 p.586 ページ画像

渋沢栄一 書翰 陸奥宗光宛(未発カ)(年未詳)四月三〇日
                   (渋沢子爵家所蔵)
封 四月三十日
陸奥老兄 御直披 渋沢栄一
今夕ハ横浜へ参り候筈兼而御外愛とも相約し、且老台も御出港との事ニ付、是非罷出度心掛候得共、蚕種一条之集会夜ニ入候而も了局仕兼殊ニ雨ハ強く候まゝ小生出港を相止候より御外愛之出港を妨、当方にても大苦情甚汗顔之至ニ候、老台にも或ハ小生罷出候事と心得も可被下哉夫是不都合之段千万奉謝候、右小生出港せさるハ蚕種之集会ニ被碍候義ニて、御外愛ハ又小生ニ被妨候訳ニ候間此段不悪御海恕可被下候、何れ御帰京之上拝眉御詫可申上候共不取敢此段書中申上候 早々
  四月三十日


(栗原必) 書翰 渋沢栄一宛(明治八年)五月一八日(DK140065k-0013)
第14巻 p.586-587 ページ画像

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渋沢栄一 書翰 松方正義宛(明治八年)五月三一日(DK140065k-0014)
第14巻 p.587 ページ画像

渋沢栄一 書翰 松方正義宛(明治八年)五月三一日 (中出一氏所蔵)
拝稟昨日書中奉伺候蚕種之義ニ付広告案今朝
大蔵卿公へも申上候処閣下と御打合之上御指揮被下候との御下命ニ候就而蚕種会議局之者共ハ是非早く右書面を各県へ通知致度と申来候ニ付、何となく両三日見合候様申談置候、願くハ取捨之高旨速ニ御内諭奉願候 匆々頓首
  五月三十一日 渋沢栄一
    松方大輔閣下


渋沢栄一 書翰 福田彦四郎宛(明治八年)五月三一日(DK140065k-0015)
第14巻 p.587 ページ画像

渋沢栄一 書翰 福田彦四郎宛(明治八年)五月三一日
                        (渋沢子爵家所蔵)
貴方五月廿四日之芳翰拝誦仕候、養䗝之順序並家屋建築之模様等来諭拝承仕候、何分御勉力願上候、本年ハ一寸一覧之為遊行心掛居候、多く暑中休之頃罷在可申候
䗝種之義ハ矢張百八十万枚ニ取究候由、併右にて全国へ割合不足之地ハ申立次第原紙下渡候筈ニ御座候、貴方御栃木県ニて惣代出京之者最早帰村之筈ニ候間御聞合可被下候、且又其養䗝場ニて出来候繭ヲ種ニ製し候哉、又ハ糸ニ可致候見込ハ湯島へも打合、猶可申上候、湯島も一昨日帰京被致候御安心可被下候、陸羽之都合も宜敷追々手ヲ出し候相談候貴方御全家御清栄奉賀候、当方瓦全御降心可被下候、先頃尊老母御越し候処御粗末仕候、宜敷御鶴声頼申候
尊考翁ハ本年も信島之方御従事之由御壮健奉賀候、多忙中回答迄、尚後鴻委詳可申上候 匆々
  五月三十一日                  渋沢栄一
    福田彦四郎様
                 (「東京、第一国立銀行」用紙)
   ○栄一明治八年六月三日ヨリ七月五日マデ第一国立銀行支店巡視ノ旅ヲセシコトアリ、本書翰ハコノ年ノモノナルベシ


法令全書 明治八年 内務省達 乙第二十九号(三月八日)府県(DK140065k-0016)
第14巻 p.587-588 ページ画像

法令全書 明治八年
内務省達 乙第二十九号(三月八日)府県
本年太政官第三十弐号布告蚕種製造組合条例中、第五条一節ノ諸簿冊差出方ハ、本年ニ限リ各地方組合結立次第右願書及ヒ証書・定款・申合規則差出候節一同右帳簿相添可差出、且組合会議局規則中第五条之儀モ、右組合結立之上ハ頭取共ノ内早々撰拳シ、来ル四月十五日ヲ以テ集会期日トシ、右日限前一同会合候様管下製造人共ヘ布達可致、此
 - 第14巻 p.588 -ページ画像 
旨相達候事


法令全書 明治八年 内務省達 乙第三十四号(三月十四日)府県(DK140065k-0017)
第14巻 p.588 ページ画像

法令全書 明治八年
内務省達 乙第三十四号(三月十四日) 府県
本年太政官第三十弐号布告蚕種製造組合条例第十三条第一節及ヒ第二節ノ趣ハ、本年之儀ハ既ニ養蚕期節切迫ニ付養蚕人共七人以上ニテ組合結立願出候ハヽ、管轄庁於テ篤ト取糺ノ上営業ノ目途不都合無之分ハ、頭取検査人等適宜撰任為致、組合結立証書並定款・申合規則及ヒ本年蚕種製造凡積取調帳共為差出、右書類相添実際ノ事情至急詳明具状可致、且右頭取集会期日之儀モ当省乙第二十九号達之通相心得可取扱候、此旨相達候事


法令全書 明治八年 太政官布告 第四十七号(三月三十一日輪廓附)(DK140065k-0018)
第14巻 p.588 ページ画像

法令全書 明治八年
太政官布告 第四十七号(三月三十一日輪廓附)
明治七年二月第拾九号布告蚕種原紙規則第弐条・第三条・第四条左ノ通リ改正、及ヒ第五条・第九条ハ廃止候条、此旨布告候事
  蚕種原紙規則
    第弐条
一売渡方ノ儀ハ毎年四月一日ヨリ五月三十一日迄ヲ限リ候条、各地方管轄限リ取纏メ蚕種製造人総代ノ者其管轄庁ノ添簡ヲ以テ最寄売捌所ヘ申立、右日限ノ内ニ必買受可申事
    第三条
一買受方ノ儀ハ春蚕並夏蚕掛合等ノ種類区分相立テ、総数取調、製造人人員調書共相添可申立事
  但原紙直段ノ儀ハ、春蚕ニ用ヒ候厚紙ハ千枚ニ付金五拾円、夏蚕其外ニ用ヒ候薄紙ノ分ハ同断ニ付金拾五円ト相定候条、原紙受取候節即時上納可致事
    第四条
一蚕種出来上リノ節原紙贏余有之候ハヽ、其地方管轄限リ取纏メ其年九月十五日迄ニ其管轄庁ノ添簡ヲ以テ最寄売捌所ヘ差出、代価下戻相願可申、其儘捨置更ニ翌年ノ用ニ供シ候儀決テ不相成候、万一違犯ノ者有之ニ於テハ其品取上ケ、原価弐倍ノ科料取立可申事


法令全書 明治八年 太政官布告 第六十五号(四月二十四日輪廓附)(DK140065k-0019)
第14巻 p.588 ページ画像

法令全書 明治八年
太政官布告 第六十五号(四月二十四日輪廓附)
本年二月第三拾弐号布告蚕種製造組合条例第十一条第二節ヘ但書左ノ通追加候条、此旨布告候事
  蚕種製造組合条例
    第十一条
  第二節 印紙貼付云々
   但春蚕同時ニ養立候夏蚕初度ノ卵種ハ此限ニアラス


法令全書 明治八年 内務省達 乙第五十九号(五月九日)府県蚕種大総代無之県々ヲ除ク(DK140065k-0020)
第14巻 p.588-589 ページ画像

法令全書 明治八年
内務省達 乙第五十九号(五月九日) 府県蚕種大総代無之県々ヲ除ク
 - 第14巻 p.589 -ページ画像 
本年三月乙第弐十五号ヲ以テ蚕種大総代江蚕種事務為取扱候儀相達置候処、各地方蚕種製造組合結立相成候ニ付テハ、右事務取扱方之儀本月三十一日ヲ限リ一同差免シ候様可致、此旨相達候事
 但事務取扱中ノ給料等受取方之儀者来ル六月十日限可申立候事


法令全書 明治八年 内務省布達 甲第十二号(五月三十日輪廓附)府県(DK140065k-0021)
第14巻 p.589 ページ画像

法令全書 明治八年
内務省布達 甲第十二号(五月三十日輪廓附) 府県
昨七年二月第十九号布告蚕種原紙規則中、原紙売渡期限之儀詮儀之次第有之、本年限来ル六月二十日迄延期候条、右日限迄ニ最寄売捌所ヘ申立買受可申、此旨布達候事


法令全書 明治八年 内務省達 乙第七十一号(五月三十一日輪廓附)府県(DK140065k-0022)
第14巻 p.589 ページ画像

法令全書 明治八年
内務省達 乙第七十一号(五月三十一日輪廓附) 府県
蚕種原紙買受配賦ノ手数料トシテ各地方蚕種製造組合取扱所ヘ原紙原価四分一給与ノ儀ハ、右取扱所於テ組号印ヲ押シ組合ノ者ヘ配賦ノ分ニ限リ給与相成候儀ニ候条、配賦済ノ上ハ其員数等詳細取調ノ上該庁予備金ノ内ヲ以繰替渡方取計置、右証書相添更ニ当省ヘ受取方可申立候、此旨相達候事
 但原紙買下ノ後休業又ハ其他ノ事故ニテ配賦不致、白紙ノ儘差出代価下ケ戻可相願分ハ、本文手数料ハ不下ケ渡儀ト可相心得事


法令全書 明治八年 太政官布告 第百五号(六月十三日輪廓附)(DK140065k-0023)
第14巻 p.589 ページ画像

法令全書 明治八年
太政官布告 第百五号(六月十三日輪廓附)
本年二月第三拾弐号布告蚕種製造組合条例第八条第三節中、蚕種印紙税左ノ通改正候条、此旨布告候事
    第八条
 第三節
   全紙ヘ貼用ノ分
    淡墨色印紙壱枚ニ付 金六銭
   分裁紙ヘ貼用ノ分
    黄色 印紙壱枚ニ付 金壱銭五厘
     但従前ノ通


法令全書 明治八年 内務省達 丙第四十八号(七月二十二日)(DK140065k-0024)
第14巻 p.589 ページ画像

法令全書 明治八年
内務省達 丙第四十八号(七月二十二日)
             大阪府  足柄県  埼玉県
             新川県  敦賀県  筑摩県
             酒田県  茨城県  千葉県
             静岡県  置賜県  鹿児島県
             長野県  愛知県  神奈川県
             水沢県  秋田県  兵庫県
             橡木県  鳥取県
先般差出有之候蚕種製造組合結立書類勧業寮焼亡ノ節紛失候ニ付、別紙記載ノ書名取揃本年期限入更ニ差出候様可取計、此旨相達候事○別紙略ス
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東京日日新聞 第一〇〇四号〔明治八年五月五日〕 日本蚕種外国輸出ノ景況(DK140065k-0025)
第14巻 p.590-591 ページ画像

東京日日新聞 第一〇〇四号〔明治八年五月五日〕
    日本蚕種外国輸出ノ景況
昨明治七年ノ日本蚕種外国ヘ輸出高ハ、当時貿易ノ不体裁ナルト価格ノ低下ナルニ比スレバ案外ノ巨額ニ至リシハ我輩ノ大ニ疑ヲ容ル所ナレバ、其蚕種ノ伊太里・仏蘭西其他ノ国々ヘ廻着ノ後何様ノ販売ヲ為シ、商人ハ此商業ニ付損益如何ナルヤト、昨年十月以来注目探偵セシニ、今其実況ノ確報ヲ得タリ
昨年ノ日本蚕種横浜ヘ輸送シタル高ハ百七十八万三千八百枚余ニシテ其中日本ノ買上所ニテ買入焼棄タル高四十四万八千四百枚余ナレバ、外国ヘ輸出シタル高ハ実ニ百三十三万五千四百枚余ノ巨額タリ
横浜税関ノ輸出国分表ニヨレバ、右百三十三万枚余ノ中凡八十万枚ハ伊太里ヘ、四拾三万枚余ハ仏蘭西ヘ、五万枚余ハ米国ヘ、四万四千枚余ハ支那ヘ、残リ壱万枚余ハ其他ノ諸邦ヘ輸出シタリ、而シテ今伊仏両国ノ実況ヲ得タレバ、他ノ諸邦ヘ輸出セシモノモ之ヲ推知スルヲ得ベシ
伊太里ヘ廻着セシ八十万枚ノ中、凡二十万枚ハ同国各地ノ養蚕家ヨリ日本ヘ渡来スル商人ヘノ注文品ナレバ、右廻着ノ後昨年中ニ売却セシト云トモ其価位ハ一般ノ相場低下ナルニ付、蚕種壱枚ノ代価上品ニテ十フランクヨリ七フランク、下品ニテ五六フランクヨリ四フランク迄ナリシ伊国壱フランクハ凡日本ノ弐十銭ニ当レドモ同国紙幣相場ハ概ネ実貨ノ壱割減位ナレバ之ヲ概算シテ我十八銭位ノ価格タリ右注文品ノ外凡十万枚ハ昨年中ニ販売スルヲ得タレトモ、其価ハ上品六フランクヨリ下品三フランク位迄ニテ注文品ノ価位ニ比スレバ既ニ十分ノ三四ハ低下セリ
当年一月ヨリ二月迄ニ尚二十万枚程ハ販売セシ由ナレトモ、其価位追追低下シテ三フランクヨリ壱フランク迄ニ及ベリ、而シテ右ノ外ハ都テ販売ノ術ナク商人ハ已ムヲ得ズ之ヲ土中ヘ埋没スルノ極ニ至レリ
右ノ計算ニヨレバ、伊太里ヘ輸出高八十万枚ノ中凡五十万枚ハ養蚕家ヘ販売セシト云トモ、残リ三十万枚ハ全ク廃物ト為リタルモノト見ヘタリ
仏蘭西ヘ輸出シタル凡四十万枚ノ販売景況ハ伊太里ニ比スレバ更ニ不体裁ニシテ、昨年冬右蚕種同国馬塞里港到着ノ際瑣少ノ高ハ売買アリト云トモ、其価ハ概子一枚ニ付壱フランク位ナル故ニ、商人モ其損失ヲ厭ヒ終ニ充分ノ売買ヲ為スヲ得ズシテ荏苒当年ノ二月頃マデニ僅ニ十四五万枚ノ販売ヲ為シ、其価位ハ上品ニテ壱フランク位ナレバ、下品ハ其半直段又ハ三枚四枚ニテ壱フランク位ニナリタルトノコトナリ然ル時ハ同国輸出ノ蚕種ニテモ弐拾四五万枚ハ伊国ト比シク埋葬ヲ為シタルベシ
伊仏両国ノ外ニ輸出シタル十万枚余ノ蚕種ハ如何ナリシヤ未ダ其実況ヲ詳知セザレトモ、両国ノ報知ニヨリ之ヲ推案セバ或ハ之ニ劣ルコトアルモ決テ之ニ優ルコトナキハ今日確言スルヲ得ベシ
偖両国ニ於テ日本蚕種売買ノ実況何故ニ右様不景気ナルヤト其原因ヲ尋繹スルニ、元来伊仏両国トモ自国ノ蚕種ハ近年蚕病ノ為メ大ニ衰弊シ、且其製品モ稀少ナリシニ、追日養蚕術上進シ其病根ノ研究モ相届
 - 第14巻 p.591 -ページ画像 
キ、殊ニ昨年ハ別テ豊作ナレバ製種モ相応ノ高ヲ得、而シテ其価格ハ素ヨリ低下ナレバ通常ノ養蚕家ハ多ク自国ノ蚕種ヲ買入レ、日本蚕種ノ高価ナルヲ厭フヨリ其求需大ニ減少シタルニヨレリ
右ノ原因ハ只両国蚕種ノ良好ニナリタルト其価位ノ低下ナルトノ訳ノミナラズ、近来生糸織物ノ求需大ニ減少シ且其価モ随テ低下セシニヨリ、生糸ノ商業大ニ両三年前迄トハ減却セシニヨリ、両国養蚕家モ自ラ高価ノ蚕種ヲ買入レテ養蚕スルノ気勢ヲ失ヒ、夫ガ為メ上等ノ蚕種求需ノ額ヲ減ジ遂ニ日本蚕種ノ声価モ減損スルニ至レリ、加之頻年日本ノ蚕種ハ次第ニ其製造ヲ増加シ、毎年横浜港ノ貿易ニテモ常ニ其多量ヲ厭ヒ、内外ノ商人モ輸送品ノ過多ナルヨリ終ニ之ヲ愛護スルノ念ナク、啻ニ其販買ヲ競ヒ、甚シキハ昨年ノ如キ見ルニ忍ビザルノ景況タリシヨリ其声価更ニ幾層ノ損毛ヲ招クニ至レリ、是ニ由リテ之ヲ観レバ、本年外国商人ノ蚕種商業ノ為メ日本ヘ渡航スルモノハ昨年ニ比スレバ過半ノ減少ヲナシ五七年来ハ伊仏其外ニテ概子八九十人ヨリ七八十人ハ来航セシナレトモ昨年ハ既ニ六十人位ニ減ジタリ本年ハ更ニ減ジテ三四十人ニモ及バンカ其求需ノ蚕種モ多クトモ六七十万枚ヲ出サルベシ、其上当年モ亦両国ノ養蚕豊熟セバ、恐ラクハ尚其求需ヲ減ジ、価格モ低下ナルベケレバ、日本ノ養蚕家即蚕種ヲ業トスルモノハ此真実不得已ノ理ヲ了解シ、本年製種ノ高ハ都テ昨年ノ半額ニモ減少シ、而シテ横浜輸送ノ高ハ多クトモ五六十万枚ニ止マル様申合アリタキコトナリシモ、之ニ反シテ昨年ノ如ク巨額ヲ出荷セバ最早買上所ノ方法モ立ツマジキコトニテ、必ズ其過半ノ高ハ火葬又ハ埋葬ヲ免カレザルベシ(以下次号ニ記ス)


東京日日新聞 第一〇〇五号〔明治八年五月六日〕 日本蚕種外国輸出景況ノ続(DK140065k-0026)
第14巻 p.591-592 ページ画像

東京日日新聞 第一〇〇五号〔明治八年五月六日〕
    日本蚕種外国輸出景況ノ続
日本製糸ノ総高ヲ三万五千個ト内弐万個ハ外国輸出壱万五千個ハ内地織物ニナルモノトシテ見積リ此目方三十一万五千貫目但壱個ニ付九貫目之ヲ生繭百目ノ繭ニテ糸目八匁ツヽ得ルモノトシテ生繭ノ目方三十九万三千七百五十目一枚ノ蚕種ニテ平均生繭六貫目ヲ得ルモノトセバ、内国原蚕種ノ数ハ六十五万六千二百五拾枚ヲ要スベシ然レドモ近年ハ手種ト称シテ養蚕家自宅製造ノ蚕種夥多ナレバ、真ニ蚕種商人ノ手ヨリシテ内地ヘ要用ノ蚕種ハ四十万枚位ニテ充分ナルベシ、故ニモシ外国輸出ヲ六十万枚ニテ事足レリトセバ、本年日本ノ製種ハ総計百万枚ヲ以テ其求需ニ応ズル供給ノ高ト言フベシ
若シ此計算ヲ失ヒ相競フテ多量ノ製作ヲ務ムルモ其手間ト費用ヲ損シテ其所得ハ聊モ増加ナカルベケレバ、之ヲ真実ノ国損ト云フベシ、冀クハ全国ノ養蚕家能ク此道理ト計算トヲ了得シテ空シク国損ノ為ニ尽力スル事勿レ
    比較表
明治二巳年蚕種紙入荷高
 百四十七万二千四十枚
 此代価洋銀百八十二万六千八百八十四弗八分三厘 外国人ヨリ請取高
    平均壱枚ニ付洋銀壱弗二分四厘一〇五
同三午年同入荷高
 百四十六万四十三十四枚
 - 第14巻 p.592 -ページ画像 
 此代価洋銀百八十七万七千三百六十二弗八分三厘 同
    平均壱枚ニ付洋銀壱弗弐分八厘二三二
同四未年同入荷高
 百七十五万四百三十八枚
 此代価洋銀八十三万六千九百八十七弗二分六厘 同
    平均壱枚ニ付洋銀四分七厘八壱五
同五申年同入荷高
 百二十四万八千七百八十二枚
 此代価洋銀弐百九十二万四千六百三十四弗 同
    平均壱枚ニ付洋銀弐弗三分四厘一九八
同六酉年同入荷高
 百二十八万九千五百五十二枚
 此代価洋銀二百八十二万七百三十三弗三分三厘 同
    平均壱枚ニ付洋銀弐弗一分八厘七三六
右五ケ年ノ紙数金額ヲ比較シテ損益ノ差ヲ顕然ナラシムル事如左
 明治二巳年入荷紙数並ニ代価洋銀高ト
                  比較スレバ
 同 三午年入荷紙数並ニ代価洋銀高ト
 午年ノ方紙数少キコト八千六枚ニシテ、所得ノ金高ハ反テ多キ事洋銀五万四百七十八弗
 同三午年入荷高代価洋銀高ト
              比較スレバ
 同四未年入荷高代価洋銀高ト
 未年ノ方紙数多キコト廿八万六千四百四枚ニシテ、所得ノ金高ハ少キコト洋銀百四万三百七十五弗五分七厘
 同四未年入荷高代価洋銀高ト
              比較スレバ
 同五申年入荷高代価洋銀高ト
 申年ノ方紙数少キコト五十万千六百五十六枚ニシテ、所得ノ金高ハ多キコト洋銀二百八万七千六百四十六弗七分四厘
 同五申年入荷高代価洋銀高ト
              比較スレバ
 同六酉年入荷高代価洋銀高ト
 酉年ノ方紙数多キコト四万七百七十枚ニシテ、所得ノ金高ハ少キコト洋銀七万三千九百弗六分七厘


東京日日新聞 第一〇三二号〔明治八年六月五日〕 養蚕説(DK140065k-0027)
第14巻 p.592-595 ページ画像

東京日日新聞 第一〇三二号〔明治八年六月五日〕
    養蚕説
夫レ蚕糸ノ有用タル各国人民ニ通シ最モ必要ノ貴重品ニシテ養蚕ノ道勉メテ講セズンバ有ル可カラズ、然リ而シテ之ヲ生育スルヤ易キニ似テ其実ハ甚ダ難シ、如何トナレバ其孚化以後或ハ候気ノ変ニ因リ或ハ飼養ノ失度ニ関シ、俄然諸種ノ病ヲ発シ一朝斃亡ヲ招クモノ鮮ナカラズ、是故ニ欧洲各国ニテハ歴年養蚕ニ苦辛シ益々之ヲ精究シテ其予防ヲナス者一ニシテ定マラズ、抑々絹蚕ハ亜細亜洲□《(欠字)》物ニシテ欧洲曾テ此虫ヲ産スルコト無シ、今ヲ距ルコト凡一千三百年前即チ西洋紀元五百七十年我推古天皇九年ノ頃「グリーキ」国「コンスタチンノープル」ノ僧侶「ペルシア」ニ在住セシガ、此僧「インヂア」ヲ超テ支那国ニ至リ僅少ノ種卵ヲ得テ帰リ之ヲ「コンスタンチンノープル」都ノ帝王ニ献ゼ
 - 第14巻 p.593 -ページ画像 
リ、是レ欧洲ニ蚕種ヲ輸入スルノ始源ニシテ上古ヨリ絹糸ヲ称スルコト左ノ如シ、即チ「グリーキ国ラテン」等ニ於テハセリカト号シ、「ドイツ」ニテハ「サイデ」「フランス」ハ「ソワ」「ヱンキリス」ハ「シルク」ト号ス、即チ其各国ニ於テ唱フル所ノ名ノ頭字必ズ「サ」「セ」「シ」「ソ」等ノ音アリ、是全ク周・秦等ノ義ニシテ、其源ハ支那ノ物産ナルコト論ヲマタズ
五百五十年天文十九年ノ後ハ、欧洲養蚕ノ諸国此ニ悪種アレバ彼ニ良種アリテ互ヒニ換用セリ、此後「フランス」ノ南部ニ於テ稍「コルセルペン」ノ病害アリシト云フ、続テ此病「イタリヤ」ノ北部ニ流行セリ、此ニ於テ其所ノ産糸家「イタリヤ」ノ南部ヨリ種卵ヲ輸入スルヲ要セリ、今ヲ距ルコト百八十七年前即チ一千六百八十八年元禄元年蚕病大ニ流行シテ以テ遠隔ノ地ニ波及セリ、一千七百十年宝永七年ニ至ル迄二十三年間ヲ過テ後チ病害已ニ絶ヘ、其後一千七百四十九年寛延二年ニ方ツテ再ビ流行シ、一千七百五十六年宝暦六年ニ至ル迄八年間ヲ過テ後復タ絶ユ、其後一千八百四十九年嘉永二年ヨリ亦大ニ流行シテ数年歇ムコトナシ、今年ヨリ二十六年前嘉永三年欧洲ノ諸国病害愈甚キヲ以テ終ニ「トルキー」国ノ蚕種ヲ輸入スルニ至リ、即チ「ヂリヤ」地方・小亜細亜地方等ヨリ買得タリ、其販買《(売)》スル市名ハ「スメルナ」「ブルツサ」「アドリヤノープル」ノ三所ナリ、数年ニシテ此所ノ種卵モ亦善良ナラザルニ至テ、是ヨリ漸次ニ遠国ニ取ラザルヲ得ズシテ已ニ「ペルシヤ」国ニ至リ、且亦高山アル所ノ「カウカスース」等ノ処ニ至レリ、此処ノ種卵モ亦善良ナラザルニ及デ夫ヨリ亦次第ニ遠国ニ求メ、終ニ「セントラルアジア」中央ノアジヤノ義ナル「ボクハラ」地名ニ於テ販買スルニ至リシガ、此地ノ種卵モ亦同轍也、今ヲ距ルコト十年前慶応二年ハ各国皆病害アラザルノ地ナキヲ以テ、已ムヲ得ズシテ支那及ヒ日本等ニ航海シテ販買スルニ至ル、此前年ニ「ペルウ」国ニ於テ販買スルコト有リト雖トモ直チニ廃止セリ、但其所由ハ未ダ詳カニセザルナリ、此病害一タビ「フランス」国ノ南部ニ発セシヨリ以来漸次ニ増長蔓延スルヲ以テ世人挙テ諸種ノ異説ヲ発セリ、或ハ数年間天然ニ適セザル養育術ヲ行フヨリ病害ヲ発スト云ヒ、或ハ桑樹ノ培養法ノ適セサルヨリコノ病患ヲ醸シタリト云ヒ、或ハ各国数年間季候ノ変転ヨリ起ルト云フ、尚其他ノ異説アリト雖モ一トシテ確証有ルコトナシ
元来欧洲ノ患フル所ハ夫ノ「コルペルセン」此「コルペルセン」ノ義ハ次ニアグノ病毒ナリ、其他「トルキ」ヲ始メ各国次第ニ患害ヲ発始スル所以ノモノハ必ス「コルペルセン」ノ故ノミニアラス、全ク欧洲各国ニ於テ種卵ヲ販売スル所ノ員数巨大ナルヲ以テ、其種卵ヲ製産スル所ノ国人其業ノ練否ヲ択ハズ只其多数ノ種卵ヲ競造スルヲ目的トシ、且眼前ノ利ヲ射ルノミヲ冀望シ蛾質ノ良否ヲ精察セスシテ種卵ヲ製造スルニ因リ、之カ為メニ唯輸出種ノ粗悪ナルノミナラズ却テ自国蚕質ノ善良ナルヲモ変化スルニ至ル、即チ欧洲蚕学教師等ノ論スル所是ナリ
開港以来本邦種卵ノ美名ヲ海外ニ輝ス所以ノモノハ、即チ仏国蚕学教師「バスラウル」氏ノ書ニ拠レバ、一千八百六十四年元治元年ニ方テ「ドロム」地名ノ養蚕家初テ日本産ノ種卵紙二三枚ヲ求テ孚化養育ヲ試ミシニ極テ良蚕ヲ得タリ、此ニ於テ巴理都ノ新聞紙上ニ之ヲ掲載シ以テ其
 - 第14巻 p.594 -ページ画像 
美名ヲ四方ニ報告セリ、而シテ一千八百六十六年慶応二年日本大君幕府ヲ云ヨリ種卵紙一万五千枚ヲ受領シ、之ヲ諸方ニ分配シテ益々本邦産種ノ健康精良ナルヲ実知セリ、即チ此頃ハ欧洲各国蚕病流行シテ甚キハ之ガ為メニ破産亡家ニ及ブモノアリ、故ニ産糸家皆相競フテ其種卵紙ヲ買収セシヲ以テ声価愈騰貴セリ、実ニ非常ノ時ト謂フベシ、然ルニ欧洲蚕学者ニ於テハ蚕病ノ流行スル民間ノ凶害是ヨリ甚シキモノ無キヲ憂テ、已ニ顕微鏡ヲ以テ蚕身ヲ撿査スルノ術ヲ創行シ、始テ「イタリヤ」国「トリイン」地名ノ「フイリツピ」氏ナルモノ其病毒ノ原因ハ至細ナル殖物コルペルセンノ寄生スルヨリ発生スル事ヲ発明セリ、其後「フランス」「スウイツス」「オースタリヤ」等ノ蚕学者諸説ヲ発シ、而シテ各々書籍ヲ著述シ学校ヲ建造シ緻密精細ノ視察学ヲ開ケリ、此ニ於テ其諸学者曰ク、当今日本産ノ種卵更ニ健康ナリト雖トモ亦之ヲ持久スル能ハザルベシト、果シテ一千八百七十一年明治四年ノ頃ヨリ日本産ノ種卵漸次ニ粗悪ヲ発セリ、一千八百七十三年ニ至リ不発生ノ種卵アリ糸量モ亦減シテ粗悪次第ニ現ハル、是ニ於テ欧洲諸国之ヲ新聞紙ニ挙テ或ハ誹謗シ或ハ歎息ス、且ツ日本輸出ノ種卵紙価額騰貴シ当ヲ失フヲ知ルニ至ル、是ニ因テ慨歎奮起シテ同年中内国蚕卵社ソンヱテー、バコロヂツキ、ナシヨナル、ータリート称セル会社ヲ結ビ「カントニー」氏ヲ総長トシ「リチー」氏ヲ副長トシ、其社ノ財本ヲ六百万「フランク」ト定メ之ヲ六万株ニ頒チ毎一株ヲ有《(百カ)》「フランク」トシ、其他諸種ノ方法ヲ建テ学術経験上ノ理ヲ以テ種卵ヲ製造センコトヲ企タリ、然ルニ其社未タ設立スルニ至ラズト雖トモ、各地ニ於テハ現今専ラ今社ノ目的ヲ以テ益精撰ノ術ヲ究メ病害ヲ予防シ良善ノ蚕種ヲ製造シ其数ヲ増加セリ、然ルニ昨七年日本ノ製種需用ノ適度ニ超過シ頓ニ若干ノ価格ヲ減却スルニ至ル、加之今年「イタリヤ」国「ミラン」ノ地ニ於テ「フランス」国ノ蚕学教師「パステウル」氏「オースタリヤ」国ノ教師「ボルウイ」氏「イタリヤ」国ノ教師「ウユルソン」氏、其他蚕事研究社凡十余名会同協議シテ絹蚕ヲ養育シ且種卵ヲ産製シ、及ヒ之ヲ保護シテ寒冬ヲ超ヘシメ、其他百般ノ蚕事ヲ各所ニ調査シ且ツ楕円毒ゴルペルセンノ病ノ分ハ顕微鏡ノ査察ニ拠テ之ヲ増長セシメザルコトヲ発明シ、更ニ腐敗病ノ起ル所以ヲ特別ニ調査シ以テ之ヲ記載シ、而シテ一千八百七十六年明治九年迄ニ各自携ヘ来ルベキ事ヲ約定セリ、是ニ因テ之ヲ観レバ欧洲各国ニテハ特ニ蚕事ヲ重ンジ其試験ノ如キ実ニ精微ヲ極ムト謂フベシ、到底自国ノ種卵ヲ精良ニシ必シモ輸入ヲ仰カサルヲ以テ目的トナセバ、日本蚕種ノ貿易恐クハ終ニ廃絶スルニ至ラン、吁嗟我邦人此産ニ安シ其業ヲ営ムモノ豈ニ一日モ之ヲ度外ニ置ク可ン乎、今又之ヲ救護シ貿易ヲシテ永続セシメントスルニ其術ナシトセズ、其術如何ン、之ヲ既往ニ鑑ミテ将来ノ目途ヲ更ムルニアリ、何ヲカ目途ト謂フ、一ニ曰ク、粗造ヲ禁シテ精製ノ術ヲ研究スルコト、二ニ曰ク、価額ハ年ノ豊凶ニ付シテ廉価ヲ旨トスルコト、三ニ曰ク、需用ノ適度ニ応シテ多製ヲ競ハサルコト、如シ然ラズシテ猶且従前ノ景況ヲモ反省セズ粗製濫造ヲ以テ目下ノ利ヲ収メントスルトキハ、海外各国ニ於テモ前文ノ如キ目論見アリテ蚕種ノ貿易終ニ滅絶スルニ至ルベシ、是レ勢ヒノ制示スヘカラサルモノヨリ凡ソ製種ニ従事スルモノ果シテ之ヲ如何トスルヤ、因テ
 - 第14巻 p.595 -ページ画像 
洋籍中ノ語ヲ摘録シ、且内外既往ノ実際ヲ商量シ、以テ四方ノ養蚕家ニ告ク、希ハ一層刻苦勉励シ日本蚕種ノ美名ヲ堕サス、以テ全国ノ利益ヲ興サンコトヲ
  明治八年五月              勧業寮


東京日日新聞 第一〇四三号〔明治八年六月一七日〕 【貴社一千三拾二号ヲ閲…】(DK140065k-0028)
第14巻 p.595-596 ページ画像

東京日日新聞 第一〇四三号〔明治八年六月一七日〕
貴社一千三拾二号ヲ閲スルニ勧業寮ノ養蚕説アリ、吾党ハ十中ノ九ハ漢洋ノ学ニ乏シク目アツテ無キニヒトシ、依ツテ小学校ノ教官ニ就テ全ク養蚕ノ履歴書タルノ意ヲ始メテ弁解セリ、玉説ノ如ク粗悪不発生蚕種ノ病根ノ御目徹シハ実ニ顕微鏡上ニ照覧ヨリモ明瞭ナリ、吾党モ素鏡ヲ以テ多年様シ見ルニ病根ノ数多ヲ知ル、悪マレ口ナレトモ其一二ヲ云ハン、横浜・東京等各地ノ豪富奸商独利ヲ貪ランガ為メニ同気相求ルノ小猿奸商ヲ東奔西走セシメ、粗品良質ヲ問ハズ安価ヲ旨トシ猥リニ購買シ、是ヲ適宜ノ地ニ運輸シ良悪ヲ頒判シ良部ヲ後ニシ悪部ヲ先ニ西客ニ販売セシヨリ、粗悪ノ安価自ラ定例ノ位ヲナシ扞挌シテ堪ヘザルノ憂ヲ醸スニ至ル、此粗悪ヲ製造スル者ハ吾党ト奸商トノ間ニ位地スル生活開化ノ半農商ノ類ニシテ、吾党ノ如ク愚直者ノ産業ヲ傷ツケ終ニハ吾党ノ飯器ノ底ヲ抜ク者ナリ、又浜ニハ売込問屋ガアリテ此ノ手ヲ借ラザレバ西客ニ販売ヲ為ス可ラザル権力ヲ有セリ、奸商ヲ知リテ彼ノ手ヲ求ムルハ吾党ノ責任ニシテ免レ難ケレトモ、田舎人ニシテ実情止ムヲ得ザルニ出ヅ、吾党ノ荷物ハ何ツモ後廻シニナリテ其機会ヲ失スル毎度ナリ、其痕跡ヲ分析スルニ金力ト奸智ト浜ニ知已ト問屋ニ引力ノナキ故ナリ、我全国産業ノ統轄ヲスル勧業寮ヨリ蚕種履歴ヲ以テ尊諭アレトモ、国産ニ刻苦勉強セヨト計リニテハ病根ヲ知リテ治法ヲ知ザル庸医ノ論ノ如シ、論者言ハン、其治法タルヤ明治四年以来累々タルト、是レ必ズ然ラズ、吾党ノ病根ヲ癒スニ疎クシテ暗ニ奸商ノ良剤トナル、国産振起ノ為メニ豈ニ痛苦セズンバアル可ラズ吾党ノ説ハ扁身綺羅者不是養蚕人トノ言ニハアラズ、吾党ハ身ニ敝レタル綿布ヲ纏フテ以テ骨筋ノ間ヨリ絹糸ヲ出ス虫ノ如クニシテ、御召縮緬ノ要用ニ備ヘント欲スル者ナリ、吾党ノ総代ニ勧業寮ヨリ四月廿日迄雲集ノ命アリテ出府セシニ殆ト五十余日ニ及ベリ、議事未決ナリトテ今ハ滞在中ナリ、地元ニテハ庭蚕最中ノ所アリ、種取ノ家ニハ繭ヨリ虫ガ出ル程ナレバ向ヘニ行クト云訳ニモ参ラズ、心配ノ余リ近所ノ卜筮先生ニ考ヘ貰ヒマシタガソノ判談ハ虚カモ知ランガ此人ハ二十日ノ間ニハ帰県アルベシ、然レトモ思フコト僅カニ成リ大ニ破レ全ク他人ノ為メニ心配ヲスレトモ圧制サレテ行届カズ、丁度窓ヨリ手ヲ出シテ月ヲ握ントスレトモ、明瞭ナル目的ヲ見ナカラ及バザル者ノ如シト、夫レデ私シ申シマシタカ此ノ弊消除セズンバ本邦ノ美産海外ニ光輝セヨトアレトモソノ権力ヲ維持スルノ目途ナシ、是迄ノ総代ト云フモノハ、内外原紙ヲ政府ニテ全国養蚕ノ地ニ採中シテ御払下相成シヲ吾党ニ又御払下ヲ配与ノ節幾部分ヲ取除ケ何ノモ養蚕ノ部合ヨリ原紙不足セリ、蚕蝶発生ニ差迫リ御払下ヲ懇望スレバ一倍ノ増税ニ昇ル、近頃東京ヨリ帰リタル人ノ噂ニハ内外ノ原紙ヲ各地ノ総代ト色々ニ談合シ未ダ手ニ入ラザル原紙ヱ金ヲ附ケ交換ノ条約ヲ結ヒタルヨシ、或
 - 第14巻 p.596 -ページ画像 
ハ販売シテ幾部分ノ利ヲ得滊車ノ賃トセリ、三業会社ヲ肥シタルト云フコト此頃電報トカ転放トカニテ申シ来タノニハ、総代共永ク滞在ノ為メニ先ニ遣タ金モ利潤モ尽キタト見へテ勧業寮ヨリ五千円ヲ拝借シテ、会頭様百円、幹事様ガ旅費ノ外ニ五十円ヲ大キナ顔シテ収納シ、跡ハ集メテ分配シタソウダガ、議事ハ兎モ角、雲集ノ頭取カ無事ニテ帰国アラバ全国吾党ノ一安心デアリマスヨ、五千円丈ハ憤発シテ蚕種ヤ生糸ニ心ヲ用テ造製スレバ、全国吾党ノ肩ニハ大痛デモアリマスマイ、人ヲ治ムル人ハ人ニ養ハルト云フコトハ発暉トシタ噺ダヨ
吾党ノ如キ無気力ト見做サレル者デモ国産ヲ振起スル幾部分ト思召サバ、勧業寮ニテ十四五万ノ金ヲ御出シ成サレテ御損ノ無イヨウニ御規則ヲ立、百人取位ノ木器械ヲ四五ケ所ニ置キ各地ノ豪富ニ結社集金ヲ許可シ、府県養蚕盛業ノ地方ヨリ工娘ヲ募リ、勧業寮ノ官員様ト豪富阿兄ト協力シ富岡等ニテ習得ノ工女ニ指揮ヲ命ジ生糸精製アラバ、手挽製ヨリノ高価ハ果シテ御国益ナリ、一ケ所ニ百人ヅヽニ授業アラバ必ズ産業進歩ノ基礎ナリ、第一粗悪ノ種ヲ製スルモ生糸ノ低価ヨリ起ルノ一僻アリ、昨年ノ如キ一枚ヲ五十銭ニ地元ニテ売リテモ生糸ヲ百目価五円ノ割合ヨリモ騰レリ、今日ノ勢ニテハ蚕種輸出ノ犯則モ計リ難シ、信ヲ海外ニ取ラントノ御趣旨ナラバ生糸ノ精製ヲ御世話アランコトヲ希望ス、勧業寮ノ官員様モ御心ニ掛ケ下サレテ実際ノ養蚕ニ刻苦スル吾党ヲ憫然ト計モ御思召アランコトヲ、又国産有志ノ諸君ニモ泣告シテ高論ヲ仰ク、知ラズ長文ニナリマシテ貴社ニ対シテ閉口々々頓首シテ余白ヲ乞フ者ハ阿武隈川ノ辺ニ住ム桑造ト申農民也