デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治29年6月20日（1896年）

栄一、奥三郎兵衛・渡辺治右衛門其他二十一名ト共ニ東京建物株式会社ヲ発起シ、是日創立発起人会開カル。

東京経済雑誌　第三三巻第八三一号・第一一四四頁明治二九年六月二七日
　　　　○東京建物株式会社
奥三郎兵衛・渡辺治右衛門・渡辺洪基・柿沼谷蔵・米倉一平・田中平八・中沢彦吉・安田善次郎・渋沢栄一・森岡昌純の諸氏、其他十四名の紳商発起人となり、先程より計画中なりし東京建物株式会社の創立発起人会は、去る二十日午後一時より日本橋区浜町常盤屋に於て開会したり、今同会に於て議決確定せし個条を聞くに、其営業種目は左の如し
　一　東京市内へ建物を建築し、十五年以内の期間に於て年月賦償却契約に依りて右建物に住居せしめ、其償還を完済せし後所有権を現借主に移転する事
　二　東京市内に建物を建築して之を貸渡し又は売却する事
　三　東京市内に土地を購入し、又は土地を借入れ、使用し、売却する事
　四　土地建物を担保として貸附金を為す事
　五　永年月賦の契約者にして元資に対する十分の六以上を償却したる時は其受取証券に対して相当の貸附金を為す事
又資本金は百万円（一株金二百円）とし、梅浦精一・浅田正文・木村久米市の三氏撰挙されて創立委員となり、安田善次郎氏を創立其他諸般の相談相手となすことに決し、創立事務所を日本橋区呉服町三固商会内に設置し、近日中に其筋へ向け発起申請書を差出す筈なりと云ふ
　　　○上掲資料ト同一記事、同年六月二十三日ノ時事新報ニモ掲載サル。
　　　　尚日本会社史総覧〔昭和二十九年九月刊〕ニ当社ノ社史ヲ掲グ、即チ「当社は明治二十九年十月一日、初代安田善次郎氏外十九名が発起人となり、資本金壱百万円（払込二十五万円）で設立された。当初の営業所所在地は東京市日本橋区呉服町十八番地（現在の呉服橋際）であり、経営には安田善四郎氏等が当つた。」トアリ。現資本金一億円。本社ハ東京都中央区日本橋呉服橋三ノ七ノ三。