デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

6章 対外事業
1節 韓国
1款 韓国ニ於ケル第一銀行
■綱文

第16巻 p.19-22(DK160003k) ページ画像

明治17年1月(1884年)

栄一、韓国ニ於ケル砂金及ビ地金銀買入ニ着眼シ是月大蔵卿ニ韓国ニテハ砂金、上海ニテハテール銀ノ輸入ヲ下命セラレン事ヲ請願ス。蓋シ明治十五年日本銀行設立シ、爾後兌換準備ノタメ正貨充実ノ必要ニ資セントスルタメナリ。十九年五月ニ至リ大蔵省ノ指令ニヨリ日本銀行トノ間ニ約定ヲ締結シ、以後二十二年八月迄ニ二百六十余万円ノ地金銀ヲ日本銀行ニ納付ス。


■資料

青淵先生伝初稿 渋沢同族会編 第九章下・第八一―八二頁大正八―一二年刊(謄写版)(DK160003k-0001)
第16巻 p.19 ページ画像

青淵先生伝初稿 渋沢同族会編 第九章下・第八一―八二頁大正八―一二年刊(謄写版)
先生は又、韓国に於ける砂金及び金銀塊買入に著眼し、明治十七年政府と交渉し、朝鮮にては砂金、上海にてはテール銀の買入事務を取扱ふことゝなり、釜山支店及び仁川・元山の両出張所、並に上海の取引店をして之に従事せしめしが、十九年大蔵省の命令に基き、日本銀行との間に地金銀取入に関する約定を結び、益々其事務を拡張せり。かくて半島に於ける営業も年と共に栄え、二十一年九月には仁川出張所を支店に陞格し、又新に京城に出張所を置くに至れり。


韓国ニ於ケル第一銀行 第一銀行編 第三七一―三七五頁明治四一年八月刊(DK160003k-0002)
第16巻 p.19-21 ページ画像

韓国ニ於ケル第一銀行 第一銀行編 第三七一―三七五頁明治四一年八月刊
  第十章 韓国産出地金銀ノ輸納
    第一節 砂金及金塊ノ取入
韓国ハ金鉱及砂金ニ富ミ年々ノ産金額少ナカラズ、其余レルヲ購入シテ我足ラザルヲ補ヒ有無相通ズルノ途ヲ講ズルハ彼我ノ利益ヲ増進スル所以ナレバ、本行ハ韓国ニ支店設置以来早ク既ニ之ニ注目シ、明治十三年二月ニ於テ同国地金銀購入ノ為メ分析者一名並ニ器械貸与ノ儀ヲ大蔵省ニ請願セシコトアリ
明治十五年ニ至リ日本銀行設立セラレ、爾後兌換準備ノ為メ正貨充実ノ必要起ルヤ、本行ハ右地金銀取入方ニ付十七年一月大蔵省ニ左ノ請願書ヲ呈出セリ
 従来政府ニ於テ御発行ノ紙幣ハ、逐年御消却相成候ニ付、漸次其価
 - 第16巻 p.20 -ページ画像 
位ヲ復シ、現今ニ至リテハ銀貨モ壱円拾銭内外ニ止リ候間、数年ヲ出テズシテ兌換ノ御良制モ被為立候事ト不堪欣抃候、右ニ付テハ兌換準備ノ正貨御充実無之テハ不相成候ニ付、追々正貨御増蓄ノ義モ御計画被為在候事ト奉拝察候、然ルニ兼テ御聞知モ可被在候得共、朝鮮国ヨリハ砂金及支那ノ沓銀等多分ニ輸出相成、又清国上海ノテール銀モ為替相場低落ノ節ニハ一円銀ニ改鋳致シ、割合ニ相当リ候事モ有之候、幸ニ当銀行ニ於テハ朝鮮国釜山・元山・仁川ノ三港ニ支店及出張所モ有之、又、清国上海ニモ為換取引ノ約定店有之候ニ付、右金銀貨取入方ノ義、当銀行ヘ御下命被成下候ハヾ、為替・荷為替等取組ノ際ニ於テ十分注意致シ精々取入候様可仕候、右買入元金ノ義ハ兼テ正金銀行ヘ海外荷為替資金御下付相成居候由ニ承知仕候間、右ノ内ヨリ金参拾万円ヲ一箇年間三朱ノ利息ヲ以テ御下渡被成度、抵当品ノ義ハ御指図ノ割合ヲ以テ公債証書ヲ御本省ヘ相納メ置可申、而シテ金銀貨取入方ノ義ハ、兼テ其相場割合等御指揮ヲ受ケ、当銀行ノ都合ヲ以テ取入ノ上追々上納可仕候間、代リ紙幣ハ其時々御下付被成下候様仕度、且又元金ノ義ハ期限ニ至リ元利取纏メ還納可仕候、右之段特別ノ御詮議ヲ以テ御下命被成下度奉願候也
  明治十七年一月二十日
                    第一国立銀行
    大蔵卿 松方正義殿
右ニ対シ同年二月大蔵省ヨリ左ノ通リ指令セラレタリ
 第二百四十六号
 願ノ趣横浜正金銀行ヘ下渡海外荷為替資金中ヨリ年三分ノ利子ヲ以テ下渡候義ハ難聞届候得共、支那銀両及朝鮮砂金買上代前渡トシ国債局ヨリ下渡候条、左ノ通リ可相心得候事
  明治十七年二月十三日
                大蔵卿 松方正義
 一、前渡金ハ紙幣参拾万円下渡スベク候ニ付、抵当トシテ公債証書時価参円劣ヲ以テ差出スベシ
 二、前渡金下渡当日ヨリ決算当日迄年四分ノ割ヲ以テ毎六箇月間利子ヲ上納スベシ
 三、前渡金ハ下渡当日ヨリ満六箇月以内ニ銀両及砂金ヲ上納シ決算スベシ
 四、前渡金決算済ノ上ハ更ニ前渡金ヲ下渡スベキニ付、一箇年二回以上決算スベシ、若シ便船ノ都合等ニ因リ止ムヲ得ザル事故アリト雖モ、一回半以上決算スベシ
 五、前渡金ニ対シ、決算ノ為メ上納スベキ銀両及砂金ハ、出納局大阪出張所ヘ上納スベシ
 六、上納ノ銀両及砂金ハ出納局大阪出張所ニ於テ直ニ造幣局ニ輸入シ、同局ニ於テ試験分析ノ上回附ノ地金勘定書ニ記載ノ成貨高ノ内、試験済ノ日ヨリ成貨払渡期日(期日休暇ナレバ其翌日)迄、壱万円ニ付一日金壱円ノ割ヲ以テ利子引去、残高ヲ紙幣ニ換算シ、其内ヨリ精製分析料(精製ヲ要スルモノナラバ)ヲ引去リタル高ヲ代金トシ、該出張所ヨリ受取証書ヲ交附スベシ
 - 第16巻 p.21 -ページ画像 
    但本文受取証書ハ国債局ニ上納シ、前渡金決算ノ手続ヲ了スベシ、尤モ前渡金ノ利子ハ本文試験済前日迄上納スベシ
 七、前項紙幣ニ換算相場ハ試験済前日大阪株式取引所午前午後直取引平均相場ヲ複平均スベシ、若シ其相場立タザルトキハ、大阪商要新報気配相場ニ拠ル可シ
 八、上納ノ銀両及砂金、造幣局ニ於テ試験ノ上造幣不適当ナルカ、其他ノ事故ニ因リ、銀両及砂金ヲ返却スルトキハ、造幣規則第十四条ニ掲グル費用ヲ上納スベシ
 九、地金購入ニ付一切ノ費用ハ勿論、何等ノ損失ヲ生ズルトモ、都テ其銀行ノ負担タルベシ
 十、此手続ハ満一箇年限リトス、期限ニ至リ前渡金ハ無遅滞返納可致事
次デ明治十九年五月大蔵省ノ指令ニヨリ右地金銀取入ニ付本行ト日本銀行間ニ約条ヲ締結シ、買入元金ヲ日本銀行ヨリ本行ヘ預ケ置キ、本行ハ之ニ対スル抵当品ヲ日本銀行ニ差入ルヽコトヽナレリ、玆ニ於テ本行ハ右元金ヲ以テ朝鮮砂金及支那規銀買入方ニ従事セシガ、此時ニ当リ朝鮮政府ハ元山津近傍ニテ砂金採取ヲ始メ、其産出高次第ニ増加ノ傾向アルヲ以テ本行ニ於テモ一層取入ヲ拡張セントシ、同十九年九月更ニ貸下金ノ義ヲ大蔵省ニ請願スル所アリシガ、同月前同様ノ条件ヲ以テ三箇年ノ期限ニテ前渡金拾万円ヲ許可セラレタリ、当時日韓貿易未ダ盛ナラズ、荷為替ノ如キモ意ノ如ク行ハレズシテ砂金買入モ支那商人ノ競争アル等ニ拘ハラズ地金輸納ハ頗ル好結果ヲ得、明治十九年五月ヨリ二十二年八月迄本行ヨリ日本銀行ニ納付シタル地金銀ノ高ハ弐百六拾万余円ニ達セリ、而シテ尚其高増進ノ傾向アルヲ以テ本行ハ更ニ三箇年間右貸下金ノ延期ヲ請ヒ、一方ニハ利足手数料ヲ軽減シテ在韓商人ヲ勧誘シ、砂金取入ニ力ヲ尽セリ
明治三十年我国貨幣制度改革セラレテ金貨本位制実施セラルヽヤ、日本銀行ハ韓国産金ニ関シテ特ニ注意スル所アリ、本行ニ依嘱シテ同国地金供給額ヲ調査セシメ、遂ニ両銀行間ニ於テ韓国産金地金取入ノ契約ヲ締結セリ


第一国立銀行半季実際考課状 第二二回・第五頁明治一七年七月刊(DK160003k-0003)
第16巻 p.21 ページ画像

第一国立銀行半季実際考課状 第二二回・第五頁明治一七年七月刊
    ○諸御達及願伺届之事
○上略
一同月○一月廿日、大蔵卿ヘ政府紙幣ヲ他日正貨ト兌換スヘキ準備ノ為メ、当銀行朝鮮支店及出張所並上海取引店ニ在テ荷為替取組ノ際、其砂金沓銀ノ類ヲ購求スヘキヲ以テ其資金トシテ海外荷為替資金下付ノ例ニ準シ若干金ヲ下付セラレン事ヲ請願シ、二月十三日之ヲ允准セラレ、並ニ其資金交付砂金沓銀上納ノ方法ヲモ指示セラレタリ
○下略


韓国総覧 徳永勲美著 第八五六頁 明治四〇年八月刊(DK160003k-0004)
第16巻 p.21-22 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

第一国立銀行半季実際考課状 第二四回・第七頁明治一八年六月刊(DK160003k-0005)
第16巻 p.22 ページ画像

第一国立銀行半季実際考課状 第二四回・第七頁明治一八年六月刊
    ○諸御達及願伺届之事
○上略
一同○二月三日大蔵卿ヘ朝鮮砂金支那規銀買入ノ事情ヲ開申シ増設アラン事ヲ稟請ス、同十八日本件聞届難ク客歳十二月指令ノ如ク心得ヘキ旨ヲ指令セラレタリ○下略



〔参考〕第一国立銀行半季実際考課状 第二二回・第七―一三頁明治一七年七月刊(DK160003k-0006)
第16巻 p.22 ページ画像

第一国立銀行半季実際考課状 第二二回・第七―一三頁明治一七年七月刊
    ○諸御達及願伺届之事
○上略
一三月一日大蔵卿ヘ東京海上保険会社ノ委頼ニ因リ当銀行朝鮮仁川出張所ニ於テ同社ノ代理店ニ任スヘキ事ヲ稟請シ、其十七日特別ノ詮議ヲ以テ当分聞届ケラルヘキ旨ヲ指令セラレタリ
○中略
一同月○六月廿三日大蔵卿ヘ東京海上保険会社ノ依頼ニ因リ、当銀行朝鮮仁川出張所ニ於テ元山津ノ例ニ準シ、同社ノ事務代理ヲ承諾セン事ヲ稟請セリ○下略
   ○明治三十三年五月八日ノ条(第八六頁以下)参照。