デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.104-112(DK170012k) ページ画像

明治12年3月7日(1879年)

当会議所、十二年二月以降東京府勧業課ヨリ依頼セラレタル府下各商賈ノ売徳割合ニツキ調査ス。調査完了セルヲ以テ是日栄一、会議所会頭トシテ之ヲ復申ス。


■資料

東京商法会議所要件録 第三号・第一―一四丁 明治一二年四月一日刊(DK170012k-0001)
第17巻 p.104-106 ページ画像

東京商法会議所要件録  第三号・第一―一四丁 明治一二年四月一日刊
  第五臨時会 明治十二年二月二十七日午後第五時四十分開場
    議員出席スル者  三十三名
    同 欠席スル者  二十三名
 会頭 ○渋沢栄一曰、本会ヲ催シタル所以ハ昨年十一月二十八日ノ臨時会ニ於テ議定シタル商標条例草按ノ回陳案及ヒ曩ニ分布シタル東京府勧業課ノ下問ニ係ル各商賈問屋仲買小売ノ売徳分割ノ二項ニ在リ、而シテ先ツ其売徳分割ノ体ヲ議スベシ、抑モ該下問ノ旨趣ヲ推察スルニ是レ蓋シ今回営業税徴収方ノ参考ニ供セラルヽモノナルベシ、果シテ然ラハ、府会議員ノ此席ニ列セラルヽアレバ幸ニ之ガ意見ヲ陳述アラン事ヲ望ム、而シテ此議ノ如キ固ヨリ精密ノ調査ヲ以テ確答シ得ベキ事項ニ非サレバ、各員唯其実験ニ就キ之ガ大略ヲ陳説アラン事ヲ望ム旨ヲ述フ(商標条例草案回陳案及ヒ東京府下問ノ草案ハ参考部ニ付ス)
十一番(福地源一郎)東京府下問ノ趣旨ハ毫モ会頭ノ陳述ニ異ナル事ナク即チ行政官ガ収税予算ヲ立ツルノ際其参考ニ供セン事ヲ企望スルニ外ナラズ、故ニ譬ヘバ太物ノ売徳ハ何割ニ当リ小間物ハ何割ニ当ルト云フ如キ従来市上ノ口碑ニ伝ル所ノモノニ就キ其大略ヲ上申スレハ果シテ府庁ノ望ニ副ハント思惟ス
会頭曰ク、十一番ノ陳説ハ果シテ小生ガ推察ニ外ナラザレバ今之ヲ特任委員ノ調査ニ付スルモ却テ周密ニ渉ルヲ得ザルベシ、故ニ各員直チニ此席ニ於テ其意見ヲ陳述シ之ガ調査ヲ要セン事ヲ望ム
四十六番(子安峻)此調査ノ如キハ内国貿易事務委員ノ干関スル所ナレバ、此委員ヨリ甲乙適宜ノ商估ニ就テ之ヲ諮詢調査セラルヽヲ可トス
十一番(福地源一郎)四十六番ガ陳説ノ如ク素ヨリ内国委員ニ於テ之ヲ調査スルハ当然ナリト雖モ、是レ此ノ調査タル府会開場前ニ於テ
 - 第17巻 p.105 -ページ画像 
参考ニ供セン事ヲ要スルモノニシテ、極メテ其速成ヲ望ムヲ以テ直チニ之ヲ各議員ニ分課シ各其実況上ノ大略ヲ調査シ、速ニ之ヲ理事本員ニ通シテ以テ復申セン事ヲ欲ス
十五番(益田孝)十一番ガ冀望スル所ノ意ヲ賛成シ、且曰、是レ固ヨリ内国委員担当ノ事務中ニ包有スルヲ以テ、先ツ之ヲ委員ニ命シ、委員ヨリ之ヲ各員ニ請求セハ其名正フシテ而シテ速成完全ノ調査ヲ得ルニ至ラン
会頭ハ、四十六番ガ発議ノ如ク之ヲ委員ノ調査ニ付スルハ適当ナリト雖モ、此事タルヤ十一番ノ説明ノ如ク速成ヲ要望スルガ故ニ姑ラク此順序ヲ略省シ、直チニ当席ニ於テ各員調査ノ分課ヲ確定セン事ヲ要スル旨ヲ述ベ、其受持ヲ定ムル事如左
    米・雑穀                     十五番  益田孝
                             二十二番 渋沢喜作
    酒・醤油・味噌                  五十二番 中沢彦吉
    和洋紙                      五十四番 服部源三郎
    魚鳥・鰹節・玉子・干鰯              三十番  渡辺治左衛門
    材木・塗物                    九番   吉川長兵衛
    舶来物                      三十二番 辻純市
                             二十四番 堀越茂三郎
                             三番   杉村甚兵衛
    水油・石油                    三十三番 仲伊右衛門
                             四十一番 柴崎守蔵
    茶・糸                      十五番  益田孝
    薬種売薬                     一番   守田治兵衛
                             廿七番  松本専蔵
    呉服太物                     廿九番  小林猶右衛門
    塩・糠・畳表・荒物                十六番  清水九平
    履物類・小間物・煉油・ 蝋燭・烟草入・袋物・筆墨 十九番  高木寿穎
    綿                        五十三番 荒尾亀次郎
    藍玉                       二十一番 小室信夫
    鉄物・牛肉・羊・豚                六番   大倉喜八郎
    炭、薪、野菜                   三十二番 辻純市
    書肆・地本・絵草紙                十一番  福地源一郎
    烟草                       四十五番 千葉勝五郎
    瀬戸物                      五十番  松尾儀助
    乾物、粉類                    三十一番 渋沢栄一
    石・瓦・灰                    二十二番 渋沢喜作
    麻苧                       四十一番 柴崎守蔵
    雑菓子、砂糖                   四十二番 小西九郎兵衛
    古着                       三十九番 青木禎吉
    蝋                        三十三番 仲伊右衛門
    靴                        三十七番 西村勝蔵
                             五番   九原庄五郎
二十二番(渋沢喜作)如此各自分課シテ之ヲ調査スルモ、品物ニ依リ甲ハ一ケ年ニシテ一回ノ品価転更ヲ為シ、乙ハ十日若クハ一ケ月ニシテ転更ヲ為スガ如キノ実アルヲ以テ、調査上ニ於テ甲ハ一割、乙ハ五分若クハ三分ナルモ、其実際ニ至リテハ大ニ矛盾シテ、其一割ト唱フルモノ却テ三分ト云フモノヨリ潤利ノ僅少ナルモノナシトセス、故ニ大班ノ基礎ヲ定メテ以テ之ヲ調査セザレバ仮令ヒ其分割ヲ
 - 第17巻 p.106 -ページ画像 
知ルモ実際ノ利益ヲ算スルニ由ナカルベシ
会頭曰ク、二十二番ガ所見ノ如ク口銭ノ如キハ大抵定マリアレトモ品物ノ売徳ニ至テハ啻ニ分割ヲ以テ推算スヘカラザレバ各品其品価転更ノ期限ヲ附記スルヲ要ス
此他各議員ハ其担当ノ項目ニ就キ調査心得ノ為メ直ニ東京府勧業課ノ出張員ニ対シ詳細ヲ質問セリ、次ニ六番ハ来ル三月四日ニ於テ各員其ノ調査書ヲ齎シ、当所ニ来会セン事ヲ望ムニ因リ、会頭ハ即チ其発按ヲ全会ニ質シ之レヲ可決ス
○中略
    ○参考部
 別紙ニ記載候商賈中問屋仲買小売共売徳ノ差等見合セ度義有之候条其会議所ニ於テ各議員ノ見込大略諮問ノ上差出有之度候也
  明治十二年二月廿一日           東京府勧業課
    商賈種類
  米      酒          紙
  魚鳥     材木         舶来物
  雑穀     水油 石油トモ    醤油
  茶      薬種         呉服
  太物     履物類        塩
  糠      綿          糸
  畳表     藍玉         鉄物
  炭      薪          書肆
  干鰯     烟草         野菜 菓物甘薯共
  味噌     小間物        蝋燭
  荒物     瀬戸物        塗物
  乾物     粉類         石
  瓦      灰 石灰蠣殻灰藁灰共 牛肉
  麻苧     地本絵草紙      煉油
  雑菓子    烟草入 袋物トモ   筆墨
  鰹節     玉子         古着
   合計四十八種
 右調方雛形左之通
   何商
    問屋     売徳     何割何分
    仲買     同      同
    小売     同      同
     売徳トハ甲ヨリ買ヒ乙ニ売ル間ニ得ル所ノ利益ヲ云フ
     何割何分トハ商額ニ対スル歩割ニテ、仮令バ一万円ノ物品ヲ商ヒ、千円ノ売徳ヲ得レバ一割ノ売徳ト視ルノ類ナリ


回議録 第七類 商法会議所(DK170012k-0002)
第17巻 p.106-112 ページ画像

回議録   第七類 商法会議所       (東京府文庫所蔵)
                   七等属  那珂通文
 知事   書記官      勧業課
              改正委員
 - 第17巻 p.107 -ページ画像 
                      商法会議所
過般経伺ノ上各商ノ売得金実況取調之儀商法会議所ヘ下問候処、別紙之通復申有之候ニ付呈一覧候也
甲三号《(太字ハ朱書)》
今般各商問屋仲買小売売得口銭等之儀、当会議所ヘ御下問ニ相成候ニ付別紙之通概略取調候間不取敢進呈仕候、尤右取調之儀者各商実地営業之模様ニ就キ問合之義ニ者候得共、要スルニ思想上之概算ニ過キサルモノニ付、何分確実之取調トハ難申出候、猶又右之中尚調査漏之分ハ追々上申可仕候、此段復申仕候也
                東京商法会議所会頭
  明治十二年三月七日         渋沢栄一
    東京府勧業課御中

    各商問屋仲買小売々得口銭之概略
○米
  問屋口銭      百俵ニ付金五十銭
  仲買搗米屋小売等ノ口銭売得ハ不定
○漆器
  問屋売得      商高ノ三分
  小売        同  壱割ヨリ二割
○古着類
  問屋売得      商高七分
  仲買      同七分
  小売      二割五分
○書肆 地本 絵草紙
  問屋小売兼売得   商高ノ二割     資本ニ対シ一ケ年両度ノ運転
  仲買同          一割            同  四度
  小売同          二割            一ケ月一両度
○鉄物 仲買ナシ
  問屋売得      商高ノ二分五厘ヨリ三分マテ
  小売           壱割ヨリ一割三分マテ
○同打物類 仲買ナシ
  問屋売得      商高 壱割二分ヨリ三分
  小売           二割ヨリ二割五分迄
○乾物 仲買ナシ
  問屋口銭      金高 二分二厘五毛
  同売得       同  二分二厘五毛        一ケ年六度
  小売同       一ケ年壱割
○粉類
  問屋小売兼売得   商高ノ三分
○陶器
  問屋口銭      商高ノ二分五厘
  同売得       同  一割ヨリ一割五分      破損見込
  小売        同  二割ヨリ二割五分      仕入金ニ割掛ケ破損其外見込
 - 第17巻 p.108 -ページ画像 
○麻苧
  問屋売得      商高八分 但卸売口銭同断
  小売        同 壱割
○麻苧細工
  問屋卸小売共    前同断
○牛肉
  問屋売得      商高平均五分
  小売            二割
○羊
  問屋卸           五分
  小売            一割
○豚
  問屋            五分
  小売            二割
○筆墨
  問屋         商高ノ五分
  小売            一割
○小間物
  問屋         商高ノ五分
  小売            一割
○袋物
  問屋         商高ノ五分
  小売            一割
○煉油
  問屋         商高五分
  小売            一割
○蝋燭
  問屋         商高ノ一分五厘
  小売            二分五厘
○履物類  雪駄、麻裏
  問屋          商高三分
  小売            五分
○水油
  問屋売得       商高ノ一分五厘
  仲買            一分
  小売            五分
○石油
  問屋売得          三分
  仲買            七八厘
  小売            五分
○藍玉
  問屋売得        一割五分      一ケ年壱度運転
○呉服 仲買ナシ
            半ケ年
  問屋          四分五厘      一ケ年両度運転
 - 第17巻 p.109 -ページ画像 
  小売          八分五厘      同
○木綿物
            一ケ年
  問屋          四分        同一ケ年両度運転
  小売          七分        同
○蝋 仲買小売ナシ
  売得          一分五厘
○塩
  問屋口銭      金高ノ二分五厘
  仲買口銭      同  三分五厘
  小売        不定
○畳
  問屋売得      商高ノ四分
  仲買           八分
  小売           八分
○荒物
  問屋売得      商高ノ五分
  小売        同  壱割
○糠
  問屋口銭      金高三分        表向キ五分規則
○売薬
  製調元売得(問屋)   七分五厘      一年一度ノ運転
  大取次(仲買)売得   一割        同四度
  小売          二割五分      一ケ月一度
○薬種
  問屋 生葉 和薬   商高 九分      五ケ月運転
     瓶薬 洋薬   同  五分      四ケ月  腐敗見込
  小売 生薬 和     壱割五分      六ケ月  同
     瓶薬 洋     壱割五分      六ケ月
○繰綿
 問屋売得          二分       一ケ年六度
 小売  綿製造手間ヲ除ク  四分
○唐綿
  問屋売得         一分五厘     一ケ年八度
  小売           四分
○唐糸
 売得              三厘五毛   一ケ月両度
○砂糖
  問屋口銭         金高ノ二分
  仲買同             二分
  小売売得            七分
○雑菓子
  問屋売得         商高ノ八分
  仲買              二割
  小売              五割
○履
  問屋製造売得       商高五分
 - 第17巻 p.110 -ページ画像 
  製造小売製作手間代ヲ除ク 商高七分
  小売           同 壱割
○紙
  問屋小売兼帯口銭     商高ノ一分二厘  一ケ年六度
  小売 附市売       同 五分ヨリ六分 一ケ年四度
○酒 此売得中ヨリ納税
  問屋売得         商高八分
  仲買             五分
  小売           一割二分
○醤油
  問屋売得           八分
  仲買             五分
  小売             七分
○味噌
  問屋売得           八分
  仲買             五分
  小売             七分
○塩干肴
  問屋売得           二分
  仲買小売兼          三分五厘
  小売             不定
○生魚
  問屋売得           三分五厘
  仲買小売兼          五分
  小売             不定
○川魚
  問屋売得           八分五厘
  仲買小売           不定
○干鰯〆粕 北海道産ヲ除ク
  問屋             三分
  仲買             一分五厘
  小売             不定
○同  北海道産
  問屋売得           二分
  仲買             一分五厘
  小売             不定
○鰹節
  問屋売得           二分
  仲買             三分五厘
  小売             壱割
○玉子
  問屋売得           四分
  仲買             五分
  小売             一割二分
 - 第17巻 p.111 -ページ画像 
○鳥
  問屋口銭           不定
  問屋仲買小売三業売得     八分
○舶来小間物
  問屋売得        商高ノ五分五厘ヨリ六分
  仲買          一割三分ヨリ一割五分迄
○硝子板
  問屋売得              五分ヨリ六分迄
○時計屋
  売得            金皮  六分ヨリ七分マテ
                銀皮  七分ヨリ八分マテ
○炭薪
  問屋口銭仲買兼       平均壱割
  仲買売得            壱割三分
○野菜
  問屋口銭            七分ヨリ八分
  仲買同             壱割
  小売同             四割内外
○菓物
  問屋口銭            壱割
  仲買同             壱割五分
  小売同             三割五分
○芋
  問屋口銭            六分ヨリ七分
○舶来毛物 メリンス 毛繻子 黒天 黒緒類 サラサ 唐桟類
  問屋売得  壱度壱分三厘ツヽ 但壱ケ年七八度位ニ運転スル時ハ金高ニ対シ凡壱割位ノ利益
  仲買売得  壱度壱分五厘   但壱ケ年元金ニ対シ凡八九度位ノ運転ノ見込依之壱ケ年凡壱割三分程
  小売    壱度五分五厘ヨリ六分迄 但壱ケ年凡三度位運転元金ニ対シ壱割六七分
○絨及毛織物
  同屋売得  一度四分ヨリ四分五厘迄 但一ケ年三度位ノ運転元金ニ対シ壱ケ年壱割三分余
  仲買ナシ
  絨類小売  一度八九分ヨリ壱割迄  但一ケ年運転一度半元金ニ対シ壱割五分
○洋緫糸
  問屋売得  千分ノ三        但一ケ年卅二三度ノ運転ト見込元金ニ対シ年壱割〇五厘位
○生金巾
  問屋売得  一度千分ノ四      但一ケ年三十度ノ運転ト見込元金ニ対シ壱割二分
  仲買    一度百分ノ一一《(マヽ)》 但一ケ年十二度位ノ運転ト見込元金ニ対シ一割三分二厘
  小売    一度分百分ノ二     但壱ケ年八度位ノ運転元金ニ対シ壱割六分
○材木
  問屋売得     五分五厘
  仲買       壱割
  小売       不定
○烟草
  問屋 口銭売得共 壱割二分
 - 第17巻 p.112 -ページ画像 
  仲買同断     壱割二分
  小売売得     壱割三分
○呉服
  問屋売得     四分五厘
  小売       八分五厘


東京商法会議所要件録 第一〇号・第一三丁 明治一三年一月一九日刊(DK170012k-0003)
第17巻 p.112 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一〇号・第一三丁 明治一三年一月一九日刊
 ○参考ノ部 東京商法会議所年報
    官衙御下問ノ諸項
府下各商賈売徳ニ付東京府ヨリ御下問
 二月廿一日東京府勧業課ヨリ府下各商賈間屋仲買小売《(問)》ノ売徳ニ付キ当会ノ意見ヲ諮詢セラル、之レ当時営業税徴収ノ方按裁定ノ際其参考ニ供セラルヽモノニシテ府下商估ノ前途営業上ニ関係ヲ有スルヤ大ナリ、故ニ当会ハ此下問ヲ奉承シ、同月二十七日ヲ以テ臨時会ヲ開キ、遂ニ議員中各其商業ニ依リ調査ヲ分担シタルニ三月六日ニ及ンデ其全ク成ルヲ以テ翌七日之ヲ復申セリ