デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.128-130(DK170015k) ページ画像

明治12年5月1日(1879年)

栄一会頭トシテ是日ノ会議ニ於テ、近時議員ノ参会スル者定数ニ充タズ且ツ定刻ニ参集セザル者アル現状ナルヲ述ベ、其対策ヲ衆議ニ問フ。会頭ノ意ヲ以テ直チニ各議員ニ質スニ決ス。


■資料

東京商法会議所要件録 第五号・第九―一三丁 明治一二年六月六日刊(DK170015k-0001)
第17巻 p.128-130 ページ画像

東京商法会議所要件録  第五号・第九―一三丁 明治一二年六月六日刊
  第八定式集会 明治十二年五月一日午後第七時開場
    議員出席スル者  二十六名
    同 欠席スル者  三十四名
    議員参会刻限及ビ不参届ノ議
会頭 ○渋沢栄一曰ク諸君ノ知了セラルヽ如ク去月廿九日ニ於テ催シタル定
 - 第17巻 p.129 -ページ画像 
式会ハ、出席人員僅々十五名ニシテ三分一ノ定数則チ二十名ニ充タザルヲ以テ遂ニ停会スルニ至リ、亦本会ノ如キモ議員ノ遅刻ニ拠テ七時ニ至リテ漸ク開会スルヲ得タリ、抑モ開会刻限ハ四時ト定メタルハ固ヨリ諸君ノ明知スル所ナルニ、間々六時若クハ七時ニ至リテ漸ク参会スルモノアリ、為メニ開会ヲ延刻スルヲ以テ先着ノ議員ハ嗒焉三四時間ヲ待チ、徒ニ貴重ノ光陰ヲ費スノ不幸ニ陥リ、或ハ無届欠席ノモノアルヲ以テ之ヲ待ツ事三四時間、終ニ七時ニ至リテ尚ホ来会セズ空シク停会スルガ如キ其不都合実ニ云フベカラズ、是レ現ニ二十九日ニ於テ出頭セラレタル諸君ノ遭逢スル所ナリ、而シテ如是ノ不都合ヲシテ再々当場ニ現セシメバ各自互ニ相疑フテ到底欠席遅参ノ輩益々多キヲ加ヒ、啻ニ当日ノ会場ニ於テ議定スベキ要件ノ其ノ期ヲ失フノミナラズ各委員ノ黽勉努力シテ調査セル報告ノ如キモ亦遂ニ之ヲ次会ニ譲ルニ至リ、為メニ其好機ヲ失ヒ、有益ノ報告ヲシテ徒労ニ属セシムルノ嘆アルヲ免カレズ、加旃公益ヲ以テ自任スル当会議所ニシテ終ニ世人ノ信任ヲ抛却シ、恰モ画餅ノ看ヲ為サシメ、漸ク衰廃ニ瀕スルモ亦知ル可カラズ、是レ甚ダ憂虞ニ耐ヘザル所ナリ、如何セバ以テ此弊ヲ医スルヲ得ン、敢テ之ヲ衆議ニ質ス
六番(大倉喜八郎)余ハ一昨廿九日ノ催会ニ出席セザレバ其停会ニ至リタルハ漸ク昨日ノ通達ヲ以テ之ヲ知レリ、実ニ会頭ノ言ノ如ク再再如是ノ不都合ヲ現セバ当会ノ泰否ニ関スルニ至ルベシ、然レトモ彼ノ定数ノ如キ議員ノ数増加スルニ従ツテ其数モ亦増加スルヲ以テ出席議員少数ナルトキハ常ニ停会スルニ至ルヲ免カレザルベク、又時間ノ如キ四時開会ノ規則ナレトモ商人ニ於テハ最モ繁忙ノ時間ナリ、是ヲ以テ三分一ノ定数ヲ十五名以上四時、会開ヲ五時ト改正センコトヲ望ム
十五番(益田孝)六番ハ規則ノ改正ヲ要スト雖トモ、目下ニ於テ十五名ヲ以テ適度トスルモ将来ニ於テ十五名ノ出席者ナキトキハ又改メテ十名ト為サヾル可カラズ、若如是ニシテ底止スル事無クンバ即チ当場ヲ廃棄スルニ外ナラザルナリ、故ニ小生ハ決シテ之ニ同意スル事ヲ欲セズ、而シテ之ヲ医スルノ法如何ト問ハヾ他ナシ、会頭ヨリ一片ノ回章ヲ以テ各議員ニ向ヒ、其義務ノ重キヲ責ムルノ途アルノミ、夫レ商法会議所ナルモノハ独リ東京ニ於テ之ヲ設置スルモノトセバ或ハ之ヲ廃センモ其謂ナキニ非レトモ、欧米各邦ノ如キ苟モ商業繁劇ノ地ニシテ其設ケナキハナク、而シテ其会時ハ昼間商務ノ正ニ繁忙ナルノ時ニ於テス、殊ニ大阪商法会議所ノ如キハ現ニ三時ヲ以テ開会シ、衆員不得止ノ事故アルニ非ルヨリハ共ニ出席シテ公益ヲ以テ己ノ任ト為スモノヽ如シ、然ルニ我東京ニシテ独リ之ヲ行フベカラザルノ理ナキヤ明ナリ、故ニ該件ノ如キハ敢テ之ヲ議スルヲ須ヒズ、直ニ会頭ノ意ヲ以テ各員ニ質スヲ以テ足レリトス(五十番(松尾儀助)四十六番(小安峻)《(子安峻)》五十二番(中沢彦吉)四十一番(柴崎守三)之ヲ賛成ス)
六番(大倉喜八郎)十五番ノ論スル所ハ所謂学者ノ説ニシテ理ハ則チ理ナリト雖トモ実際ニ履行セザルヲ如何セン、而シテ苟モ議員タル者ニシテ商法会議所ノ不可止ヲ知ラザルモノナキヤ明ナリ、然レト
 - 第17巻 p.130 -ページ画像 
モ商人ハ各自挙ナ其業務ニ繁忙ナルヲ以テ遂ニ欠席スルヲ免カレザルニ至ル而已、看ヨ一昨廿九日ニ於テ来会スルモノニシテ本会ニ列セザルヲ、是レ其実際ニ行ハレ難キヲ証スルニ足レリ
十三番(中山譲治)六番ガ定数ヲ改正セン事ヲ要スルガ如キハ其気候ニ依テ屡々之ヲ左右セザルベカラズ、即チ目下ノ気候ハ十五名ニ適スルモ又十五名会セザルニ至レバ十名ト改メザルベカラザルハ曩ニ十五番ノ駁議ニ外ナラズ、到底行フベカラザルモノト云フベシ、而シテ時間ノ如キハ五時ヲ以テ其当ヲ得タルモノト思考スレトモ既ニ当会議事規則第一条ニ於テ凡ソ会議ハ午後四時ニ始マリ午後十時ニ畢ル、時宜ヲ以テ之ヲ伸縮スルハ会頭ノ指揮ニ依ルベシトノ名文アレバ敢テ之ヲ議スルニ及バズ、其伸縮ハ会頭ノ意中ニ存スベキナリ(八番(安田善次郎)之ヲ賛成ス)
四十六番(子安峻)六番及ビ十三番ハ四時ヲ以テ繁劇ノ時間トナシ、之ヲ五時ニ改正セン事ヲ望ムト雖トモ、会日ニハ必ズ、両三日前ニ於テ通知アレバ議員ニ於テ僅々一時間ヲ左右シ得ベカラザルノ理ナキヲ信ズ、又議事ハ多数ヲ以テ決ヲ取ルヲ以テ貴シト為スノ議場ニシテ、僅々十五名ヲ以テ事ヲ決セントスルハ甚ダ原理ニ背クヲ覚ユ故ニ十五番説ヲ賛成ス
十三番(中山譲治)四十六番ハ四時ヲ以テ足レリトスルガ如シト雖トモ四時ニシテハ大ニ差支アルモノ多カラン、故ニ五時若クハ六時ト改メン事ヲ企望ス
十五番(益田孝)余ハ曩ニ時間ノ事ヲ論及セザリキ、然レトモ是レ元ヨリ向ニ十三番ガ説明セラレタル如ク、規則中明文ノアルアレバ敢テ之ヲ議スルヲ須ヒズ
会頭ハ十五番説及ビ六番説ヲ分テ先ヅ十五番ニ対シテ起立ヲ命シタルニ多数ニ因リ之ヲ可決ス