デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.285-302(DK170026k) ページ画像

明治13年2月24日(1880年)

是日栄一、当会議所会頭トシテ当会議所第十一定式会議ニ於テ「商況報告」ノ編輯刊行頒布ニ関スル件ヲ附議シテ全員ノ賛成ヲ得。尋デ三月十一日ノ第十三定式会議及ビ四月十三日ノ第十四定式会議ニ於テ細則ヲ決定ス。


■資料

東京商法会議所要件録 第一一号・第八―一三丁 明治一三年三月五日刊(DK170026k-0001)
第17巻 p.285-287 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一一号・第八―一三丁 明治一三年三月五日刊
  第十二定式会議 明治十三年二月廿四日午後六時三十分開場
    議員出席スル者 ○二十八名
    同病気旅行其他事故アリ欠席スル者三十二名
○上略
右畢リテ会頭 ○渋沢栄一ハ更ニ各員ニ向テ曰ク、今夕ハ時刻已ニ乏シケレトモ須ラク今会ニ於テ諸君ノ審議ヲ要スベキモノアリ、即チ商況報告ノ件是レナリ、夫レ此報告タルヤ各課委員ノ報告ト其趣ヲ異ニシテ、時ヲ定メ期ヲ約シテ市揚ニ出入集散スル緊要ノ品物ニ就キ其出入ノ大小多寡有高ノ増減有無等ヲ調査報告スルニ在リ、而シテ此報告タル僅ニ一時ニ局ラス今日ニ其端ヲ啓テ連々之ヲ将来ニ施ス可キモノナルガ故ニ、着手ノ始メ十分ノ方法ヲ定メ諸君モ亦十分ノ奮発ヲ以テ之ニ任ゼザレバ、到底始メアツテ終リナキノ患ヲ他日ニ遣スノ憾ナキニアラズ、故ニ願クハ諸君之ヲ軽々議過スル事ナク精密ノノ考按ヲ悉シ熟議ヲ遂ゲ必ズ此調査ヲ持久ス可キノ思慮定ツテ後之レガ手順ヲ設ケラレヨ、今玆ニ理事本員ガ此報告創起ヲ要スルニ就キ議按ノアルアリ、之ヲ朗読シテ以テ諸君ノ熟議ヲ要スル旨ヲ述ベ、書記ヲシテ之ヲ朗読セシム
  (此議案ハ例ニ拠リ之ヲ参考部ニ付ス)
右了ル時会頭ハ更ニ此議案ニ就テハ別ニ其質議ニ答フルノ委員ヲ設ケザルガ故ニ、各員ニ於テ質問ヲ要セラルヽ条件アラバ会頭ヨリ答弁ニ及ブ可キ旨ヲ告グ
四十六番(子安峻)議案細密ノ廉々ニ至テハ未ダ深慮熟考セザレトモ今書記ノ朗読ニ依リ其全体ノ趣意如何ヲ考フルニ此報告ノ事タル実ニ本会ニ向テハ緊急ノ要務タルベキヲ知レリ、依テ本員ハ此議按ヲ賛成スル旨ヲ述ブ
五十番(松尾儀助)四十一番(柴崎守三)ハ更ニ其説ヲ敷衍シテ之ヲ賛成ス
四十六番(子安峻)云ク、此報告ヲ起スニ方タリ其ノ調査ヲ担当スル者ハ何人ナル乎
会頭ハ之ニ荅テ云フ、若シ夫レ此調査ヲ起スニ至ラハ第一其調査品類ニ就テハ或ハ之ヲ取捨増減シ以テ之ヲ定メサルヲ得ザル可シト雖トモ要スルニ調査品類ノ其数多キヲ加フルモ決シテ少ナキニ至ラザル可シト思ハル、而シテ其調査ハ固ヨリ理事委員ニ於テ担当スルハ言ヲ竣《(竢)》タズト雖トモ、此報告タル実際其商業ニ従事スル者ニ非サルヨリハ得テ
 - 第17巻 p.286 -ページ画像 
能クス可カラザルガ故ニ、各議員中夫々其事業ニ就キ之ヲ分担シ、若シ議員中ニテ尚実際ヲ詳悉スルヲ得サレハ会外日業人ニ依嘱シ之ヲ調査スルノ考按ナリ、依テ先ツ玆ニ会内ハ誰、会外ハ誰ト云フヲ予定シ而シテ其担当人中更ニ世話役若クハ肝煎又ハ月番等ノ如キ者ヲ置キ、此者ヲシテ調査ノ事ヲ担当セシメハ果シテ其実際ヲ得テ且ツ其報告完キヲ得可キ乎、是レ理事本員ノ考按ニシテ未タ之ヲ予定シタルニ非ス宜シク諸君ノ熟議ヲ要スル所ナリ
四十六番(子安峻)又問テ云ク、其調査ヲ了シタルモノヲ整理スルハ何人歟之ニ任スル乎
会頭荅テ曰ク、其之ヲ整理編製スルハ理事本員・書記・録事ノ主掌ス可キモノトス、譬ヘバ今玆ニ報告ノ調査ヲ為サンニ会ノ内外ニ論ナク広ク実業者ニ就キ之ヲ求メザレバ其出入現存高等ヲ詳悉スルニ由ナキガ故ニ、各其調査ノ部局ヲ定メテ其調査ヲ担当シ、其之ヲ了スルモノハ書記・録事等之ヲ整理スルノ胸筭ナリ、尤モ頭初各調査人ヨリ其報告ヲ蒐集スルハ、理事本員ニ於テ之ヲ為ス可キヤノ考按ナキニ非ズト雖トモ、或ハ恐ル担当人中其調査等ヲ送付スル事ナク空ク其期月ヲ誤ラン事ヲ、然ルニ理事本員ヨリ其担当者ニ就キ之ヲ督スルガ如キ事アラバ十数名ノ書記アリテ東走西奔スルモ尚日足ラザルノ繁忙ヲ生ズルモ未ダ測リ知ル可ラズ、是レ昨年大蔵省御下問ノ件調査ノ際各担当人ガ其期ヲ誤リ理事ガ其督促ノ奔走ニ苦ミタルヲ以テ徴スルニ足レリ、若シ夫レ如此セバ本会ノ会計タル前ニ報告スルガ如キ景状ナレバ其費途ノ夥シキ豈得テ之ヲ支ユベケンヤ、故ニ玆ニ其調査書ヲ蒐集シテ本会ニ送付ス可キ月番ノ如キモノヲ定メ、而シテ理事本員ハ之ヲ受ケテ更ニ整理報告セバ其事ノ便ニシテ且ツ其報告ノ完キヲ得ルニ庶幾カラン、諸君尚ホ之ヲ熟思セヨ
十五番(益田孝)此原按ニ就キ先ツ全会ノ可否ヲ決了セラレン事ヲ望ム
会頭云ク、四十六番及ビ四十一番ハ原按ヲ賛成セラレタリト雖トモ其他ハ未ダ質議ノアルナシ、然ルニ此件タル各員自ラ其調ヲ任スルモノトシ、其方法如何ヲ熟考審議セザレバ前ニモ述ブルガ如ク或ハ中途ニシテ之ヲ廃止スルノ事アラン事ヲ恐ル、依テ各員此意ヲ以テ宜ク原按ノ趣旨ヲ熟慮討尋シ、若シ今会ニ於テ其総体ヲ可決スルニ至ラバ其品物ヲ取捨スルガ如キ、其担当人ヲ定ムルガ如キ、其他細密ノ事項ハ之ヲ次会ニ付スルモ可ナリ、各員宜シク熟考其意見ヲ陳セラレヨ
五十番(松尾儀助)会頭ガ斯ク迄共調査ノ終始ヲ完フセン事ヲ求メ関心着意セラルヽハ最モ以テ其理アリ、何トナレバ若シ其調査担当人カニ時之ヲ廃スルトキハ報告ノ定期ヲ失シ終ニ其目的ヲ達スル事能ハザルニ至レバナリ、故ニ其調査書ヲ求促蒐集スル者ハ之ヲ組合世話役等ニ依ラズシテ直ニ当会議所ニ於テスルモノトセハ如何ン
会頭云ク、敢テ原按ヲ維持スルノ説ヲ為スニアラザレトモ今組合或ハ月番ト称スルハ或ハ穏当ナラザルヤモ知ル可ラザレトモ、其之ヲ設クルモノハ其法ヲ調査便宜ニ取ルモノナリ、譬ヘバ今五人若クハ十人相集ツテ連帯之ヲ調査整頓スルモノトシ、其月番ニ当ル者若クハ肝煎タル者之ヲ蒐集シテ更ニ全班ノ出入高現存高ヲ按筭熟視シテ其確実ト認
 - 第17巻 p.287 -ページ画像 
ム可キモノヲ送付セバ報告遅延ノ恐ナク大ニ便ナル可キヲ信ズ、若シ之ニ反シテ一人毎ニ其調査ヲ為シ之ヲ当会ニ蒐集スルモノトセバ偶々十人ノ内一人ノ調査ヲ了セザレバ、之ヲ除省シテ調査セン乎寧ロ其報告全キヲ得ル克ハザル可シ、然ルニ此担当者ノ遅延ヲ督スルニ東西奔命スルモ終ニ其定期ヲ失スル等ノ事アル件ハ所謂労シテ其功ナキノ弊ヲ生セン、是ニ於テ乎遂ニ組合等ヲ設ケ其内ニテ之ヲ整理報道スルノ考按ニ出デタリト雖トモ、若シ一人毎ニ十分其調査ヲ完フスルヲ得バ寧ロ却テ其望ニ副フ可キナリ
五十番(松尾儀助)会頭ノ弁明セラルヽ所ニ拠リ其調査ノ一人毎ニ望ム可ラザルヲ知レリ、然レトモ其調査ノ遅延ニ渉リ等閑ニ失スル等等ノ事アラバ其担当者ニ向テハ当会ヨリ直ニ督促セザレバ或ハ報告ノ定期ニ依ル事克ハザルノ恐アラン乎
十五番(益田孝)此件タル理事本員ガ関心スル所ニシテ曾テ其議論ナキニ非ズ、是レ商人ノ通弊ニシテ互ニ相問フテ其実ヲ告ゲズ其意ヲ表セザルガ如キ事情ナキニ非ズ、故ニ此ノ類ニ至テハ会議所ヨリ諮詢スルノ優レルニ若カズ
十一番(福地源一郎)此調査タル頗ル広且密ニシテ到底今夕ヲ以テ議了ス可キモノニ非ズ、故ニ今会ヲ以テ第一次会トシ其総体ノ可否ヲ決シ、更ニ次会ニ於テ第二次会ヲ開キ、各員此議按ヲ携帰シテ其間之ヲ熟考セバ如何
四十九番(平野富二)此調査ヲ起スニ当テハ予メ能ク其難易成否ヲ深思熟考セザレバ得テ之ヲ可否ス可ラザルガ故ニ、本員ハ総体議ヲモ次会ニ譲ランコトヲ望ム
会頭云ク、此按ニ就キ諸君ノ意見ヲ質シタルニ多クハ之ヲ可認セラルルモノヽ如シ、然ルニ十一番発言ノ如ク今会ニシテ其細詳ノ事項ニ至ル迄能ク之ヲ議過ス可ラザルガ故ニ先ヅ此総体ニ就キ可否ヲ徴シ而シテ調査品物ノ取捨担当人ノ撰定等ハ之ヲ次会ニ譲リ、其他ノ細目ニ至テハ理事本員ニ於テ制定スルモ敢テ妨ゲナキヲ覚ユト、依テ原按ノ総体ヲ可トスル者ニ起立ヲ命シタルニ全会ノ起立ニ依リ之レヲ可決シ、次会ヲ期シ更ニ第二次会ヲ開クニ決ス
○下略


東京商法会議所要件録 第一一号・第二七―三〇丁 明治一三年三月五日刊(DK170026k-0002)
第17巻 p.287-289 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一一号・第二七―三〇丁 明治一三年三月五日刊
 ○参考部
    商況報告創起ノ議
今ヤ本会ノ事務稍々緒ニ就キタルヲ以テ理事本員ハ玆ニ常務ノ一項ヲ起シ、商況報告ヲ開クノ本会ニ向テ緊急ノ要務タル可キヲ信ス、故ニ聊カ玆ニ其所見ヲ陳シ併セテ其調査方法ヲ挙ケテ以テ議員諸君ノ意見ヲ質サントス
抑モ此報告ノ要旨タル一ハ以テ当市場ニ集散出入スル内外貨物数量ノ多寡、売買ノ大小、貯蔵ノ有無増減等ヲ観察シ以テ既往市場ノ冷熱ニ依リ将来商況ノ変動如何ヲ推考スルニ在リ、一ハ以テ此品物出入ニ係ル各地方生産力ノ強弱、消費力ノ消長等ヲ稽査シテ以テ内地通商ノ盛衰、海外貿易ノ泰否等ヲ観察スルニ在リ、然リ而シテ品物集散ノ増減
 - 第17巻 p.288 -ページ画像 
出入盛衰ノ原因ヲ成シ且ツ之レガ関係ヲ有スルモノ即チ銀行資本高ノ増減、各種預リ金貸金高、手許在金ノ多寡、公債証書ノ有高、並ニ出入高、其他正金銀出入高、古金銀引換高並ニ為換打歩、金利ノ昂低等之ヲ要スルニ全班金融ノ景況、及ヒ通商上至大ノ関係ヲ有スル船舶ノ有高、港湾出入船舶ノ員数並ニ其向航出帆ノ地名等、之ヲ要スルニ運輸船舶ノ景況ニ至テハ其報告ノ緊要ナル商品ノ報告ト共ニ偏廃ス可ラサルモノナリ、若シ夫レ此等最緊至要ノ諸項ヲ挙ケテ其実況ヲ探竅シ広ク便益ヲ起サント欲スルニ於テハ其調査ハ独リ東京ノ一市場ニ止ラス更ニ其区域ヲ拡張シテ之ヲ輸出入ノ咽喉タル横浜港ニ及ホサヾレハ到底其実況ヲ詳悉スル事能ハサルナリ、是レ蓋シ客歳本会カ大蔵省ヨリ海関税則改正ノ儀ニ付御下問ヲ蒙リタルノ際輸入品引取ノ数量並ニ各地分送高ノ調査等ヲ以テ専ラ之ヲ該港ノ各取引問屋ニ依嘱シタル所以ナリ、故ニ理事本員ハ今亦此調査ヲ以テ横浜ニ及ボサン事ヲ望ム
以上ニ叙述シタルガ如ク此報告ヲ起サンニハ先ヅ左ノ四項ヲ予定セザル可ラズ
   第一 報告ヲ要ス可キ品物並ニ事項
   第二 調査期限
   第三 調査ノ方法
   第四 報告ノ方法
第一 報告ヲ要ス可キ品物並ニ事項
    米・酒・水油・塩・材木・畳表・紙・炭・銅・大豆.麦・呉服・太物・〆糟・干鰯・鰹節・石炭・油・繰綿・木綿糸・金巾類・唐繻子・帆木綿・更紗・寒冷紗・唐桟・綿天鵞絨・綿繻子・木綿織物・毛織物・羅紗・縞耳羅紗・羅脊板・フラネル・毛綿交織・毛唐桟・英呉呂・縮緬呉呂・綾呉呂・絹呉呂・アルパカ・ゴム織物・毛繻子・絹繻子・絹織物・絹綿交織・麻布・手拭・ブランケツト・絨氈敷物・雑織敷物・和並舶来赤砂糖・氷砂糖・棒砂糖・白砂糖・鉄類・熟鉄・鉄葉・鋼・鉛・鉄線
 以上ノ品物ハ専ラ東京ニ在テ調査ヲ緊要トスルモノニ就キ之ヲ定ムルモノナリ、然レトモ此品物ノ外尚ホ瑣細ノ品類タリトモ議員中其調査ヲ要望スルモノアレバ之ヲ増補スベキモノトス、但シ横浜ヨリ報告ヲ要ス可キ輸入品ハ不日該港ニ開設ス可キ商法会議所ニ依頼シテ其調査シ得可キモノニ就キ報告ヲ求ムベキガ故ニ予メ此ニ其品名ヲ定ムルヲ要セス
第二 調査ノ期限
 此調査ノ要旨ハ前ニ叙述シタルガ如クナルヲ以テ、若シ其調査時日ノ久シキヲ経ルトキハ或ハ陳腐ニ属シ其目的ニ充ツ可ラザルヲ恐ル依テ各品ノ調査ヲ少ナクモ月毎ニ分チ、本月ニ係ル報告ハ遅クモ之ヲ翌月十日迄ニ整頓送付スルモノトシ、而シテ其調査品全体ノ報告完備スルヲ待タス毎品ノ報告随テ送付スレバ随テ之ヲ刊行シ、順次議員ニ頒布スルヲ要ス
第三 調査ノ方法
 第一項ニ記載スル各品ノ市場ニ出入集散スル金額ヲ求メンニハ各問
 - 第17巻 p.289 -ページ画像 
屋仲買小売商估ニ至ル迄苟モ之レガ取引売買ヲ事トスル者ニ就キ其売買高ヲ調査セザル可ラズト雖トモ、問屋ノ多キ仲買小売ノ夥キ各家ニ就キ逸々之ヲ求メントスルガ如キハ実際之ヲ求ムルヲ得ルモ、偶々遺漏アルカ若クハ其実数ヲ報告セサルニ於テハ其調査精細緻密ニシテ却テ其実ヲ誤リ、徒労ニ属スルノ弊ヲ生スルノ恐ナキニアラズ、寧ロ各品ノ重モ立チタル問屋商估ガ其売買高ヲ以テ全班市場ニ集散スル数量ノ多寡増減ヲ推考スルモノ、所謂之ガ胸筭ノ確実ナルニ若カザルヲ信ス、然レトモ之ヲ一人一家ノ胸筭ニ委スルトキハ或ハ亦其考察ノ見界狭少ニシテ全班ノ実況ニ亘ラザルヲ恐ル、故ニ会ノ内外ヲ問ハズ当会ヨリ其調査ヲ毎品重モナル問屋五人若クハ十人ニ依頼シ各其部局ヲ定メテ之ヲ担当シ、又別ニ之ヲ整頓報告スベキ者ヲ定メ、各部ノ調査ニ就キ更ニ之ヲ按筭熟視シ、其確実ト認ム可キモノヲ以テ調査ノ期限ヲ誤ラズ之ヲ本会ニ送付スルヲ要ス
第四 報告ノ方法
 理事本員ハ各品調査担当ノ人ヨリ送付セラレタルモノヲ蒐集整理シテ当分ノ内其登録ヲ中外物価新報若クハ経済雑誌ニ委シ、其紙面ニ東京商法会議所報告ノ一欄ヲ設ケシムル歟、若クハ附録トシテ遅クモ其翌月十五日迄ニ報告スルヲ要ス、然レトモ各品毎月ノ調査ヲ挙テ之ヲ其紙上ニ登録セントスルガ如キハ到底望ム可ラザルヲ以テ、他日本会ニ於テ印刷器ヲ設クルノ事アルニ至ル迄ハ暫ク東京並ニ横浜ノ両市場ニ在テ取引売買ノ広大ニシテ常ニ其注目ヲ促スニ足ル可キ物品ニ限ルモ妨ナシ
以上四項ノモノハ此報告ヲ起スニ当リ、予定セザル可カラザルモノトス、諸君若シ幸ニ此報告ヲ開クノ本会ニ緊要タルヲ可認セバ更ニ次会ヲ期シ其調査担当ノ人員ヲ撰定セザル可ラズ、而シテ其調査ニ要スル心得書並ニ記入表式ノ如キハ之ヲ理事本員若クハ別ニ委員ヲ設ケテ之ヲ定ムルモ可ナリト思惟スルガ故ニ、先ツ玆ニ此報告ヲ創起スルノ趣旨並ニ其要領ヲ挙ケテ以テ諸君ノ熟議ヲ要スル事爾カリ


東京商法会議所要件録 第一二号・第三―一六丁 明治一三年三月二九日刊(DK170026k-0003)
第17巻 p.289-295 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一二号・第三―十六丁 明治一三年三月二九日刊
  第十三定式会議 明治十三年三月十一日午後第七時開場
    議員出席スル者 ○二十名
    同 病気旅行其他事故アリ欠席スル者四十名
    商況報告ノ議前会未決
右選挙了リタルトキ会頭ハ前会未決ノ商況報告ノ件ヲ議スベキ旨ヲ告ケ、且ツ曰ク、此報告ノ件タル前会ニモ陳述シタルガ如ク其調査手続等詳密ノ事項ハ理事本員ニ於テ之ヲ定ムルモ妨ゲナキガ故ニ今会ニ於テハ其大体ヲ審議討論スルヲ要ス、夫レ此調査タル固ヨリ理事委員ノ任スル所ナリト雖トモ、十分之レガ精確ヲ悉クシ報告ノ有益ナラン事ヲ望マンニハ各議員専ラ之ヲ分担セサレバ其功ヲ奏ス可ラス、故ニ諸君自ラ其調査ヲ担当スベキモノトシ、姑ク議事ノ体裁ニ局促セズ先ツ第一調査ノ品物、第二其期限等原案中掲載ノ順次ヲ以テ精密ナル考案ヲ尽シ十分ノ意見ヲ吐露セラレン事ヲ要スト
十五番(益田孝)前小集会ニ於テ本案ヲ議スルニ当リ愚考ヲ陳述シタ
 - 第17巻 p.290 -ページ画像 
リト雖トモ前会ニ於テ欠席者アリ、又爾来新規入会者モ一二ニ止ラザルヲ以テ或ハ此議案ニ掲グル処ノ品物ハ悉皆之ヲ調査セザル可カラザルモノト思惟セラルヽ者ナキニ非ル可シ、故ニ今復タ反覆玆ニ前論ヲ陳セン、抑モ其品物タル議員ニ於テ実際要用トスルモノニ限リ之レガ調査品ヲ定ムルヲ適当ナリトス、モシ之レニ反シテ全般ノ必要品ニ就テ其調査ヲ為ントセバ是レ其品物ノ多カラン事ヲ欲シテ却テ調査ノ充分ナルヲ得ザルノ恐アリ、故ニ此原案中ニハ第一米酒ノ如キモノヲ掲グルモ議員或ハ之ヲ要用トセザレバ之ヲ省クモ亦妨ゲナカラン、然レトモ如此陳述スルトキハ此ニ厚クシテ彼レニ薄ク厚薄偏重ノ責或ハ之ヲ免カレ難キガ如シト雖トモ、今実際ニ就キ此調査ヲシテ永遠ニ維持シ併セテ精確ノ報告ヲ望マンニハ、議員嘱望ノ品物ヲ調査品ト定ムルヨリ他ニ良法ナキヲ信ズルナリ、故ニ聊カ前論ヲ陳シテ以テ諸君ノ所見ヲ質サント欲ス
六番(大倉喜八郎)原案調査品物ヲ定ムルノ方法ニ於テ其得失ハ今既ニ十五番ノ陳説ニ依リ之ヲ聴了セリ、然ルニ此ニ一ノ質議ヲ要スルモノアリ惟フニ此調査タル各自其専業品ノ調査ヲ為スヨリ明カナルハナシト雖トモ或ハ之レガ為メ自家ノ商業ニ幾分ノ影響ヲ生ズルノ恐レナシト為ス可ラス、喩ヘハ今外国ヨリ金巾ノ此ニ入ラントスルモノアルニ、世間其入津ヲ知ラザルニ依リ該実業者ハ此間ニ奔馳シテ相場ノ昂低ヲ察シ利益ヲ未然ニ博スルノ計ヲ為ス可キニ、若シ之ヲ世上ニ公告スルモノトセバ為メニ其利数ヲ看破セラレ己レ博ス可キノ利益ヲ挙ケテ他人ニ奪ハルノ恐ナシトセス、果シテ然ラバ実ニ是レ公衆ノ為メニ自家ノ利益ヲ害スルモノト云ハザル可ラズ、仍テ問フ此報告タル之ヲ公ニ販売スルモノトスル乎、将タ否ラザル乎
会頭之ニ荅テ曰ク、原案調査期限ヲ十五日以内ト定ムルハ前月分ノモノヲシテ此日限内ニ調査スルニアリ、而シテ其報告ヲ整理セバ之ヲ新聞紙上ニ登録セントスルノ考案ニシテ、固ヨリ之ヲ公衆ニ示スノ意ナリ、然リト雖トモ之ヲ公告スルモ試ニ原案ノ方法ヲ以テセバ敢テ各家ノ利益ヲ害スル等ノ如キ患ナキヲ信ズ、如何トナレバ今米ノ商況ヲ調査センニ其専業者各自ニ就キ其売買高及貯蔵高等ヲ求メ之レヲ蒐集シテ此報告ヲ整理セバ最モ明瞭ナル可シト雖トモ、其之ヲ為ス極メテ難ク到底難キヲ求ムルニ似タルヲ以テ、先ツ其議員中専業者ニ於テ之レガ調査ヲ担当シ、各其胸筭概計ニ由リ而シテ一己ニテ悉クス可ラザルモノハ之ヲ会外ノ同業者ニ計リ各区域ヲ定メ其担当ノ区域ニ就キ毎月出入高現有高等之ガ概略ヲ調査シテ以テ之ヲ公ニスルノ考案ナリ、若シ夫レ如此ナレバ敢テ銘々自家ノ調査ヲ為スニ非ルガ故ニ其利益ヲ害スルガ如キノ患ナキヲ信ズルナリ、然レトモ是レハ之レ原案ノ趣旨ニシテ未ダ決定シタルモノニアラズ尚ホ諸君宜ク其考案ヲ尽サレヨ
十五番(益田孝)六番ノ掛念セラルヽ所其謂ナキニ非ズ、現ニ横浜外国人商法会議所ニ於テハ各商估ヨリ送付スル所ノ報告書ハ書記之ヲ秘シテ他ニ示サヽルノ誓約ヲナスアリ、是レ他ナシ、即チ各商ノ嚢裡実筭ヲ看破セラルヽノ恐アルニ由レリ、而シテ此事タル頭初ヨリ掛念ナキニ非ルガ故ニ前会ニ於テ已ニ本員ガ陳述スル所ナリト雖トモ本府ノ如キハ亦横浜外国商ノ例ヲ以テ推ス可カラザルノ事情ナシ
 - 第17巻 p.291 -ページ画像 
トセス、故ニ譬ヘバ米ノ如キ神田川筋又ハ深川筋ト其区域ヲ定メ各所全班ノ概数ヲ調査スルモノトセハ復タ敢テ此患ナキヲ信ズルナリ
五十番(松尾儀助)本員モ亦頭初此掛念ナキニ非ルガ故ニ前小集会ニ於テ聊カ卑見ヲ述ベタレトモ、倩ラ原案中胸筭ノ文字ニ就テ之ヲ考フレハ調査人ヨリ其分担区域ノ出入高現存高等其胸筭ヲ以テ之ヲ計ルト云フノ意ナレバ聊カ此ニ関心スルヲ要セザルモノヽ如シ
会頭曰ク、前小集会ニ於テハ唐物織物類ノ如キハ其商売筋ノ議員出席ナキヲ以テ只其大数ヲ掲ケ之ヲ次会ノ議定ニ譲レリ、故ニ此等ノ品物ハ各員宜シク其調査ノ要否ヲ考察シ之ヲ取捨セラレン事ヲ要ス
五十番(松尾儀助)今此調査品物ヲ見ルニ議員中大抵皆其専業者アリト雖モ、独リ鉄金物ノ類ニ至テハ其専業者ナキガ故ニ此類ハ姑ク之ヲ除クモ妨ナキガ如シ
六番(大倉喜八郎)ハ此品物ノ調査ヲ各議員専業者ニ委スルノ意ナルヤヲ問フ
会頭荅テ曰ク、固ヨリ議員中其専業者ハ各之ヲ担当ス可シト雖トモ、議員ノミニテ之ヲ詳悉シ難キモノハ更ニ会外人ニ委スルノ意ナリ、今姑ク此議案ヲ措テ之ヲ云ハンニ今此報告ノ殊ニ詳密ナルヲ勉メテ仮ニ横浜外国人商法会議所ノ如ク書記其報告ヲ秘スルノ約ヲ為シ、各家精確ノ調査ヲ報スルモノトセヨ、偶々一家其報道ヲ怠ルカ若クハ実際ノ報告ヲ為サヾルトキハ之レガ為メ全体ノ報告ヲ整理スル事能ハザルノ障礙ヲ生ズルノ恐アリ、故ニ此精密ナル調査ヲ求メテ此不便ヲ来タスノ恐アランヨリハ寧ロ各品商況ノ概略ニ就キ其報道ヲ求ムルノ実際ニ適スルニ若カザルナリ、譬ヘバ米ノ如キ議員中其専業者之レガ調査ヲ担当シ、而シテ其担当者ノ及バザル所ハ会外同業者ニ会議所ヨリ之ヲ依頼シ、其担当者ハ期日ニ至リ各部ヨリ送付セル調査書ニ就キ更ニ之ヲ按筭熟視シテ其確実ト認ム可キモノヲ以テ之ヲ本会ニ送付セバ果シテ調査ノ煩雑ニ失シ期日ヲ誤ルノ恐ナカラン、若シ夫レ然ラザレバ仮令数十名ノ書記ヲ置キ東西奔命スルモ日尚ホ足ラズシテ到底実際ノ報告ヲ得ル事能ハザルベシ、是レ其精密ナルモノヲ求メズシテ胸筭ノ概数ヲ取ラントスルノ考案ニ出デタル所以ナリ
六番(大倉喜八郎)又問フ、此調査ハ委員中ニテ為サシムル乎、将タ投票ヲ以テ其担当人ヲ定ムル乎、又ハ会頭ヨリ直ニ之ヲ命ズルモノトスル乎
会頭曰ク、是レ決シテ会頭ヨリ命ズルガ如キ事有ル可ラズ、譬ヘバ今一品ノ調査ヲ為スニ六人若クハ五人ヲ以テ組合トシ組合中更ニ肝煎若クハ月番ノ如キ者ヲ定メ互ニ相商議シテ其実際ト認ム可キモノヲ合筭整理シテ之ヲ本会ニ送付セシムルノ考案ナリ
十五番(益田孝)今六番ノ云ハルヽ所ヲ察スルニ、蓋シ其品物ヲ指定スルニ非ズシテ品物ヲ調査スル者ハ議員中各自ノ望ム処ニ随テ之ヲ調査セシムルモノトスルカ、将タ投票ヲ以テ其調査担当人ヲ定ムルカノ意ナルガ如シ、果シテ然ルヤ否ヤ(六番)曰ク然リ
会頭曰ク、是レハ之レ諸君ノ審議衆評ニ依テ決ス可キナリ
五十番(松尾儀助)此調査ハ各其専業者ニ就テセサレバ得テ能クス可ラズ、故ニ議員中其業体ノ者ヲシテ其調査品物ト事項トヲ分担セシ
 - 第17巻 p.292 -ページ画像 
メザル可カラズ
十五番(益田孝)五十番ノ説ノ如ク各専業者ニテ之ヲ担当セザレバ到底此調査ヲ能クス可ラズ、故ニ鉄類ノ如キ議員中其専業者ナキモノハ之ヲ除クモ妨ゲナカル可シ
四十一番(柴崎守三)問テ曰ク、調査担当人ニシテ自己ノ担当品調査ニ就キ之ヲ其同業者ニ商議スルハ妨ケナキ乎
会頭曰ク、会中ニテ其調査ノ為シ得可ラザルモノハ之ヲ会議所ヨリ会外同業人ニ依頼スルノ考案ナリ、譬ヘバ金融ノ如キ其之ヲ調査スルニ当リテハ議員中第一銀行アリ、三井銀行アリ又第百銀行及ビ其他二三ノ銀行アリテ各之ヲ担当ス可シト雖トモ、尚ホ其全班ノ景況ヲ詳悉スベカラザルトキハ之ヲ択善会ニ依頼シテ之レガ調査ヲ求メ、而シテ会中担当ノ銀行ハ之ヲ整理シテ本会ニ送付スルガ如キ、又運輸ノ如キハ之ヲ三菱会社其他ニ依頼シテ調査ヲ遂ゲ而シテ其整頓ハ運輸船舶委員ニ於テスルガ如キ、其他米ノ如キ酒ノ如キモ亦此方法ニ傚ヒ、大体ノ調査ヲ求メバ蓋シ其報告完キヲ得ルニ庶幾カラン
六番(大倉喜八郎)果シテ会頭ノ考案ノ如クナラシメバ其調査品ハ議員ヲシテ各自之ヲ望マシムルルヲ可トス
五十番(松尾儀助)議員ヲシテ之ヲ望マシメンヨリハ各自其業体ニ就テ品物ヲ定ムルニ若カズ、如何トナレバ議員ヨリ之ヲ望マシムルモ其専業者ニシテ其調査ヲ好マザルニ至テハ到底之レガ報告ヲ得ルノ途ナケレバナリ、故ニ其業体ニ就キ之レガ其調査品ヲ定メ而シテ会議所ヨリ之ニ委スルニ若カザルナリ
会頭又曰ク、此品物中或ハ其業体ニ適セザルモノナキニ非ズ、故ニ此種ノ物ハ其類ヲ以テ其業ヲ推求セバ又敢テ能クシ難キニ非ザルガ如シ
六番(大倉喜八郎)ハ前説ヲ止メテ之ヲ賛成ス、十六番(清水九平)モ亦之ニ同ス
五十番(松尾儀助)若シ夫レ如此セバ議員中其業ヲ営ム者ハ固ヨリ其調査ヲ担当スベシト雖トモ、其業ニアラザル者ハ全ク分担品ナキニ至ル可シ、如此ノ類ハ如何
会頭曰ク、逸々其業体ニ充ツルトキハ五十番ノ掛念ノ如ク一方ニ偏スルノ恐アリ、故ニ其分担ニ至テハ宜ク諸君ノ熟考ナカル可カラス
十五番(益田孝)会議所ヨリ其専業者ニ分担ヲ命スル可ナルガ如シト雖トモ、自ラ好ンデ為スニ非ザルモノニシテ数項ノ調査ヲ托スル等ノ事アルトキハ或ハ之レガ為メニ退場ヲ望ムノ人ナキヲ保セズ、左レバ其好マザルモノヲ強テ為サシメンヨリハ可成其望ム処ニ任シ、又傍ラ会議所ヨリ之ヲ懇切ニ依頼スル等其中庸ヲ取ラン事ヲ要ス
十一番(福地源一郎)今会ハ議案ノ大要即チ調査ノ期限ハ如何ン、調査ノ方法ハ如何ント云フニ止メ、更ニ委員ノ審議ヲ尽シ其考案定マルノ後ニ衆評ヲ求メテ之ヲ議定スルヲ可トス
会頭曰ク、十一番ノ言ハルヽ所固ヨリ望マザルニハ非レトモ可及今夕ハ原案外ノ点ニ迄論及シ其要領ヲ議了セン事ヲ要ス、譬ヘハ金融ノ調査ヲ要用トスルニ於テハ其調査ノ方法ハ如何、又此品類ハ其調査ヲ会外人ニ及ボスヲ要スルヤ否ヤト云フガ如ク、予メ諸君ノ意見ヲ尽シ而シテ其他細密ノ事項ニ至テハ理事委員ニ於テ尚ホ審議ノ上諸君ノ高評
 - 第17巻 p.293 -ページ画像 
ヲ乞フト云フ迄ニ捗ビ置カン事ヲ欲スルナリ
十一番(福地源一郎)仮令会頭ノ考案ノ如クスルモ委員ノ小会議ナカル可ラス、故ニ先ツ議案中調査ノ方法ハ之ヲ望ム者ニ命スルカ将タ投票ヲ以テ之ヲ定ムルカノ大要ヲ議決シ、而シテ議決ニ基キ此品ハ誰彼品ハ誰ト云フヲ委員会議ニテ予定シ、然ル後之ヲ全会ニ問ハヾ議事大ニ捗取ル可キナリ、四十一番(柴崎守三)之ヲ賛成ス
六番(大倉喜八郎)調査委員ヲ撰ムハ十五番ノ言ハルヽ如ク議員ヨリ望ムモノト、会議所ヨリ依頼スルモノト其中庸ヲ求メテ之ヲ定メバ其適当ナルヲ得可シ、其他ノ事項ハ之ヲ委員ノ小会議ニ付スルヲ可トス
十五番(益田孝)誰カ此調査ヲ任スルト云フヲ審カニセザレバ共品物ヲ定ムルモ亦不都合ナラン、蓋シ六番モ亦此意ナルガ如シ
是ニ於テ会頭ハ調査担当人ハ委員ヨリ之ヲ指名ス可キカ将タ投票ヲ以テ定ム可キカヲ問フ
十一番(福地源一郎)ハ委員ノ考案ヲ以テ予メ其調査人ヲ定メ之ヲ全会ニ問フテ其適否ヲ決セバ其効能自ラ投票ト同一ナル可ク且ツ其撰挙更ニ確実ヲ得可シ、ト云フニ多数ノ賛成者アルヲ以テ之ニ可決ス
次ニ此調査ノ胸筭ニ依ルノ説モ亦多数ナルニ依リ原案ニ可決ス
又会頭ハ調査期限ヲ翌月十日迄ト定ムルハ果シテ適当ナル可キヤ否ヲ問フニ全会之ヲ可トスルニ依テ又原案ニ決ス
十一番(福地源一郎)問フテ曰ク、此調査報告書ハ世ニ公ニスルモノカ将タ議員而已ノ為メニスルモノト為スカ
会頭荅テ曰ク、原案ヲ以テセバ之ヲ新聞紙ニ登録スルモノニシテ即チ之ヲ世ニ公ニスルノ意ナリ、尤モ頭初此点ニ付テハ議論ナキニ非ズト雖トモ既ニ銘々自家ノ調査ニ依ラズ全班ノ概数所謂其胸筭ヲ以テスルモノトセバ、之ヲ公ニスルモ敢テ其調査人自家ノ利益ヲ害スルノ理ナケレバ公衆ノ利益ヲ計リ所謂博愛之謂仁ノ義ニ出デ其之ヲ公衆ニ示ス猶要件録ノ如クナラシムルノ意ナリ
十一番(福地源一郎)果シテ如此ク之ヲ世ニ公ニスルモノトセバ敢テ議員タラズト雖モ此報告ヲ求ムルヲ得、然ルニ議員タル者ハ之ヲ調査スルガ為メ甚シキ煩労アリ、誰カ己レニ益ナクシテ此煩労ヲ甘ズルモノアランヤ、固ヨリ博愛ノ主義公私相共ニ益スルハ本員モ亦之ヲ望マザルニ非ズト雖トモ、其之ヲ愛スル己レヲ先ニシテ而シテ他ニ及ブモ何ゾ妨ゲアラン、故ニ姑ク此ニ親疎ノ別ヲ立テ会中ノ諸君ニシテ独リ此報告ヲ得可キモノト為シ、其他会外人ニシテ此調査ニ与カル者ノ他ハ決シテ之ヲ与ヘザルモノト為スベシ、今此調査報告ヲシテ実際ニ行ハレシメ永遠ニ保続セシメン事ヲ期セバ却テ之ヲ秘スルノ良計ナルヲ信ズルナリ、而シテ其之ヲ秘スルハ或ハ此報告ノ実益ヲ拡ムルノ基タラン、如何トナレバ凡ソ人ノ秘蔵隠匿スルモノヲ窺ハントスルハ人情ノ常ニシテ之ヲ秘スル事益厳ナレバ人ノ之ヲ窺ハントスルノ念慮モ亦愈密ナルハ本員ガ経験以テ之ヲ徴スルモノアリ、如此公衆相争フテ之ヲ見ントスルノ日ニ至ラバ本会ノ報告始メテ世ニ利益アルヲ認ムベキモノニシテ実ニ是レ本会ノ栄トスル所ナリ、故ニ之ヲ世ニ公ニスルガ如キハ到底策ノ得タルモノト云フ可
 - 第17巻 p.294 -ページ画像 
ラズ
五十番(松尾儀助)之ヲ賛成シ、且ツ之ヲ世ニ公ニスルトキハ大ニ議員調査ノ勢力ヲ減ズベキ旨ヲ述ブ
十五番(益田孝)モ亦十一番ニ同シ且ツ曰ク、横浜会議所ノ如キハ其報告書成ルヲ期シ之ヲ議員ヘ頒布スルノ後議員ノ得意先ヘ議員ヨリ送付セント欲スルモノハ別ニ其代価ヲ収メテ会議所ヨリ与フルヲ許セリ、故ニ議員ニシテ其得意先ヘ送付セントスル者ハ別ニ其請求ニ応ジ紙料ヲ収メテ之ヲ附与スルヲ可トス
十一番(福地源一郎)亦之ヲ可トシ、其調査ノ成ルニ随ヒ其都度之ヲ議員ニ頒布シ、月末ニ至リ全ク其整頓シタルトキ之ヲ一冊ト為シ、更ニ議員ニ頒布シ、其他会外ノ者ニハ議員ノ手ヲ経テ送付スルモノハ妨ケナシトセバ如何
六番(大倉喜八郎)之ヲ駁シテ曰ク、十一番ノ如キハ此報告ヲ秘スルヲ以テ得策ト為スモノ、如シト雖トモ、凡ソ商家ノ掛引ハ毫髪ノ間ニ在ルモノニシテ仮令此掛引ヲ為スニ足ルベキ確実ノ報告タリトモ日月ノ久シキヲ経ルニ至ラバ世間此報告ヲ見ルモ何ゾ議員諸君ノ商業ニ妨ケヲナスガ始《(如)》キノ患アランヤ、而シテ又一方ヨリ之ヲ論スレバ本会ノ議員タル者ハ畢寛自己一身ノ利益ヲ謀ルニ非ズシテ公衆全班ノ為メニ義務ヲ尽ス可キノ性質ヲ有スル者ナリ、左レバ社各自貴重ノ時間ヲモ惜マス此ニ列リテ弁論ヲ費ヤスニアラズヤ、若シ夫レ然ラズシテ利己主義ヲ主トスルモノトセバ、会議所ニ出ズシテ専ラ自家ノ商業ニ従フノ利アルニ如カザルナリ、諸君ニシテ苟モ之ヲ思ハヾ此報告ノ如キモ亦之ヲ世ニ公ニセザル可ラズ、然レトモ此報告ヲ議員ニ頒布スル後直チニ之ヲ販売スルヲ不可トセバ十五日若クハ一ケ月ノ後ニ於テスルモ妨ケナシト雖トモ、全ク之ヲ禁ズルガ如キハ大ニ本員ガ好マザル処ナリ、又良シヤ之ヲ秘スルモ議員ヲ経テ之ヲ新聞紙ニ登録スルモノアラバ之レガ販売ヲ禁ズルモ何ノ益カ之レアラン、故ニ公然之ヲ販売シテ世益ニ供スルニ如カザルナリ
四十九番(平野富二)此説ヲ賛成シ且ツ曰ク、此調査随テ成レバ随テ之ヲ印刷若クハ謄写シテ議員ニ頒布シ、其整頓スルニ当リ之ヲ要件録ノ巻末ニ付シテ発売スルヲ可トス
十一番(福地源一郎)之ヲ駁シテ曰ク、若シ夫レ如此其整頓セザルモノハ之ヲ販売スル事ナク完備ノ後之ヲ発売スルモノトセバ誰カ又其陳腐ニ属スルモノヲ購ハンヤ、果シテ購フ者ナキトキハ其印刷ノ資本者タル会議所ハ為メニ損失ヲ招カザルヲ得ズ、是レ本員ガ本会ノ為メニ取ラザル所ナリ
於是会頭ハ全会多クハ十一番ノ説ニ同意ナルヲ認メ、此調査ハ各担当人ヨリ送付スルニ随ヒ適宜印刷若クハ謄写ニ付シ、其都度之ヲ会内並ニ会外ニテ此調査ニ関係ノ者ニ頒布シ、月末ニ及ンデ其全整頓スルニ及ビ之ヲ一部ト為シ、而シテ其部数ハ議員ノ注文ニ応ジ予メ之ヲ備ヘ置クト云フニ決ス、于時会頭ハ更ニ質議ヲ起シテ曰ク原案ノ如ク此調査ヲ横浜ニ及ボスニ於テハ前会報道シタルガ如ク近日該港ニ開設ノ挙アル商法会議所ニ之ヲ依頼スルノ考案ナリト雖モ、既ニ此調査ヲ横浜ニ求ムルトキハ更ニ其区域ヲ拡張シテ之ヲ神戸又ハ長崎等ニ及ボス可
 - 第17巻 p.295 -ページ画像 
キカ諸君之ヲ如何ト為ス
十五番(益田孝)曰ク、此調査ヲ横浜ニ求ムルノ本会ニ緊要ナルハ猶ホ東京ノ市中ニ於ケルガ如シ、故ニ該港ハ会議所ノ有無ニ関セズ其報告ヲ求メザル可ラズト雖トモ、其他ハ今遽ニ此報告部中ニ加フルヲ要セザルモノヽ如シ、而シテ神戸・長崎ノ如キハ既ニ会議所ノ設立アルヲ以テ追テ之ヲ該会ニ照会シテ内国商業事務委員之レガ調査ヲ報スルモノト為スモ可ナリ
会頭曰ク、然ラバ此調査ヲ四月若クハ五月ヨリ創起スルト為スモ横浜ニ於テ其前会議所ノ設立ヲ見ザルトキハ之ヲ該港ノ商人ニ依頼シ、共ニ此調査ヲ完フス可キカ
十五番(益田孝)該会議所ノ該立《(設)》ハ不日ニ在ルヲ聞ケリ、盖シ其開業ハ此報告ヲ起スノ前ナル可シ、若シ夫レ然ラザルモ議員中多ク横浜ニ支店ヲ有スルモノアルヲ以テ姑ク之ニ就テ調査ヲ求ムルモ妨ナカル可シ
右ニ付キ会頭ハ横浜ノ調査ハ該地会議所ノ設立ヲ期シ之ヲ求ムルニ決ス
於是全案ノ大要即チ第一調査人ハ委員ノ考案ニ依テ之レヲ注擬シ、全会ニ問フテ之レヲ定ムル事、第二調査ハ胸筭ニ依ルヘキ事、第三調査期限ヲ翌月十日迄ト定ムル事、第四報告ヲ頒布スルハ議員並ニ調査ノ担当会外人ニ限ルヘキ事、此四項ノ大目ヲ決議シ其他細密ノ件々ハ之ヲ委員会議ニ付スルニ決ス


東京商法会議所要件録 第一三号・第四―七丁 明治一三年四月二四日刊(DK170026k-0004)
第17巻 p.295-296 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一三号・第四―七丁 明治一三年四月二四日刊
  第十四定式会議 明治十三年四月十三日午後七時二十分開議
    議員出席スル者 ○二十四名
    同 病気旅行其他事故アリテ欠席スル者三十八名
    商況報告ノ議
会頭曰ク、本議ハ前会ニ於テ其大要ヲ可決シ、詳細ノ事項則チ調査ノ手続並ニ其担当人ノ分担等ハ之ヲ委員小集会ニ附シ、其草按ニ依テ全会ノ意見ヲ聞クベキニ議決シタリシガ、今ヤ其草案成ルヲ以テ之ヲ諸君ノ瀏覧ニ供シテ以テ其議定ヲ要スル所ナリ、但シ此調査方法タル品物ニ依リテハ或ハ実際之ニ準拠スル事能ハザルモノアリ、或ハ其表面ノ体裁強チ之ニ依ルベカラザル者ナシトセズ、故ニ取調心得書中第八ニハ此取調方法ハ実際ノ都合ニヨリテハ其担当人ニテ適宜ニ表式ヲ設クルモ妨ナシトスルノ一項ヲ設ケ、勉テ其実際ニ不便ナキヲ求ムルノ意ナレバ諸君夫レ之ヲ熟視シ、其意見アルモノハ之ヲ陳セラレン事ヲ望ムト、右演説畢テ会頭ハ書記ヲシテ取調心得書(参考部甲ノ一)ヲ朗読セシム、時ニ(子安峻)ハ第二項ノ胸筭ト云フモノハ俚俗ニ宛テ推量ト云フ意ナレバ胸字穏当ナラザルニ似タリ、故ニ之ヲ概筭ト修正シ、又第二項ノ但シ書キハ第三項ニ移シテ其但シ書ト為サバ如何ト云フノ修正説ハ全会ノ賛成ヲ得タリ、其他森村市太郎君ハ肝煎ヲ月番ト修正シ、毎月交番ニテ其整理ヲ担当スルモノトセン事ヲ望マレタルガ中山譲次《(中山譲治)》・柴崎守三等ノ諸君多クハ其修正ノ要用ナラザルヲ説キ、先ツ此草案ニ依テ両三ケ月間之ヲ試行シ、若シ実際不便アルニ当リ其方
 - 第17巻 p.296 -ページ画像 
法ヲ改正スルヲ可トスルニ依リ、会頭ハ更ニ逐条ニ就キ懇到周密ニ之ガ説明ヲ為シ、各員異議ナキヲ以テ終ニ子安君ノ修正説ヲ除クノ外全ク本案ニ可決ス、次ニ会頭ハ調査品並ニ其担当人ノ撰定等ニ就テ今夕出席ノ議員中此調査ヲ担当スル者多キガ故ニ宜ク各員ノ熟考ヲ要スル為メ更ニ其品名並ニ姓名(参考部甲ノ二)ヲ朗読シテ異議ナキヤ否ヤヲ質スニ、子安君問テ云ク、漆器・陶器ノ二品ヲ加ヘザルノ理由如何ト、会頭荅テ曰ク、是レ前会決議スル所ニ基キ調査品物ハ議員ノ望ム所ニ随テ之ヲ定ムルニ在ルガ故ニ、若シ議員中之ガ調査ヲ要望スル者アレバ更ニ之ヲ添加スルモ可ナリ、復タ独リ漆器・陶器ノミニ限ランヤト、又疋田右市造君問フテ曰ク、材木ノ如キハ其種類二百数十種ニ下ラズ、故ニ其中重ナルモノヲ調査スルモノトスルモ其調査場所ハ府下三ケ所ニ分カレ其中深川ノ調査ハ最モ易シト云トモ、千住本所ノ二ケ所ニ至テハ太タ難シトス、如斯一己ノ得テ調査スベカラザルモノハ之ヲ如何スベキ乎、会頭荅テ曰ク、其調査一己ニテ行届キ難キ場所ニ就テハ更ニ会外人ニシテ其調査ヲ依頼スベキ人物ヲ指名セラルヽ時ハ当会議所ヨリ之ヲ其人ニ依嘱スベキナリ、故ニ担当人中一己ニテ調査シ難キモノハ独リ材木ノミニ限ラズ其調査スベキ会外人ノ姓名ヲ指定セラルベシト、各員之ヲ諒ス、次ニ金融ノ景況調査書(参考部甲ノ三)ニ就キ謂テ曰ク、是レハ之レ会中ノ銀行者ニ於テ担当シ之ヲ択善会ニ依頼シテ其整理ヲ求メントス、而シテ此担当人中銀行者ニ非ル吉川長兵衛君ヲ加フルモノハ、金利ノ調査等ニ至テハ独リ銀行ニ止ラズ小額ノ貸附ニ就キ其変動昂低等ヲ詳知スルニ当リ吉川君其人ノ如キ金貸商ヲ要スルニ由レリ、而シテ其調査組合人タル肥田昭作・原六郎ノ二君今夕出席セラルヽニヨリテ其引受クルヤ否ヲ問フニ各之レヲ承諾ス、又運輸船舶景況取調書(参考部甲ノ四)ニ於テハ其取調担当人中新規入会ノ益田克徳氏ヲ加フルノ外別ニ修正ナクシテ可決ス、於是会頭ハ以上各種ノ調査整頓ノ後会議所ニ於テ之レヲ頒布スルノ手続(参考部甲ノ五)ヲ報告シ、其調査着手ノ期月ハ直チニ四月ヨリ創始スルヲ得ルモノアリ五月ヨリセザル可カラザルモノアルヲ以テ品物ニ依テ着手ノ遅速ヲ定ムルニ決シ本議此ニ畢ルヲ告グ、時ニ十時十分ナリ


東京商法会議所要件録 第一三号・第一〇―二四丁 明治一三年四月二四日刊(DK170026k-0005)
第17巻 p.296-302 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一三号・第一〇―二四丁 明治一三年四月二四日刊
 ○参考部 
甲ノ一
    商況報告取調心得書
第一報告ヲ要スル品物ノ取調ヲ担当シタル者ハ当会議所ト協議ノ上其取調組合中ヨリ二名以上ノ肝煎ヲ撰定シ、三ケ月毎ニ之ヲ交撰スベシ
   但シ取調品物ニ依リ組合ナキ者ハ此限ニ非ラズ
第二此取調組合人ハ毎月其品物ノ当府下ニ集散出入高並ニ月末貯蔵高是ハ出入高差引ヨリ生ズル残高ニ拘ラズ月末現在市中ノ在高ヲ云フ等概筭ヲ以テ別紙表面ニ設クル各桁面ニ塡記シ、之ヲ翌月五日迄ニ必ズ其肝煎ニ送付スヘシ、但シ品物ニヨリ期日迄其引纏メ難キモノハ予メ其取調出来ノ時日ヲ定メ之ヲ当会議所ニ通シ置ク可シ
 - 第17巻 p.297 -ページ画像 
第三肝煎ハ其取調表ノ各組合人ヨリ送付シタルモノニ付キ之ヲ彼此対照参観シ、恊議ノ上其取調数量ノ較ヤ精確実正ト認ムベキモノニ依リ更ニ之ヲ別表ニ移シ、遅クモ十日迄当会議所ニ送致スベシ
   但シ品物ニヨリ期日迄其引纏メ難キモノハ予メ其取調出来ノ時日ヲ定メ之レヲ当会議所ニ通シ置クベシ
第四取調組合人ノ内旅行其他事故アリ、自家取調行届キ難キ者ハ組合ノ内若クハ其他ニ相当ナル代理ヲ求メ取調ニ差閊ヲ生ゼザル様致スベシ
第五取調品中醤油・水油・薪・炭等ノ如キ専ラ府下日用ノ消費ニ属シ他ヘ転売セザルモノハ独リ其輸入高、消費高並ニ貯蔵高ヲ挙ケ、又唐糸・金巾・メレンスノ如キ其輸入特ニ東京売ノ為メ而已ナラズ更ニ他ヘ転売スルモノハ其引取高、消費高、各地分送並ニ貯蔵高ヲ挙グ可シ、其他皆之ニ傚フ
第六取調品ノ直段ハ凡ソ上中下ノ三等ニ分チ、右三等ニ就キ其月中最高ト最低ノ相場ヲ記入スベシ、若シ甚シキ昂低アルトキハ其理由ヲ略記スベシ
第七取調品中其輸出入高並ニ売買消費高等甚シキ増減アルモノハ其理由ヲ略記スベシ
第八品物ニ依リ其取調方此心得書ニ標準シ難キモノハ、其取調担当人ニテ適宜表式ヲ設ケ之ヲ報告スルモ妨ゲナシ
    表面記載凡例
 一表面右側ノ空欄内ニハ取調ノ年月ヲ記入スベシ
 一品名ノ欄内ニハ其取調ニ係ル品物ヲ記スベシ、例ヘバ、米・塩・茶・唐糸・金巾ノ如ク各品種類ト等級ニ関セズ其総名ヲ記入スベシ
 一数量価格地名ノ三桁ニハ醤油・水油・薪・炭等ノ如ク専ラ府下日用ノ消費ニ属シ他ヘ転売セザルモノハ各地ヨリ輸入高ノ方ニ而已其量価地名ヲ塡記シ、又唐糸・金巾・メレンス等ノ如キ他ヘ転売スルモノハ独リ東京ノ輸入ノミナラズ、更ニ各地方ヘ転売ノ高ヲ示スヲ要スルヲ以テ此類ノモノハ別ニ各地ヘ輸出高ノ方ニモ其量価地名ヲ記ス可シ
 一輸入合計ノ桁面ニハ輸入ノ合計ヲ示シ、輸出合計ノ桁面ニハ輸出ノ合計ヲ記入スベシ
 一全月消費方《(高)》ノ欄内ニハ全月中ニ消費ニ属シタル量価ヲ記入ス可シ
 一月末貯蔵高ノ欄内ニハ其月末ニ於テ現ニ市場ニ残ル数量ヲ記入スベシ
 一前月比較増減ノ欄内ニハ合計消費方貯蔵高等共ニ之ヲ前月ノ高ニ比較シテ増減アルモノハ其下ニ増若クハ減ノ一字ヲ塡記シ其増減高ヲ記入ス可シ
 一摘要ノ欄内ニハ心得書第七項ノ趣旨ニ随テ全月商況ノ要領ヲ記入スベシ
 一上中下ト記スル三桁ニハ心得書第六項ニ随テ全月中其品物最高直段ト最低ノ直段トヲ記スベシ
甲ノ一附属

 - 第17巻 p.298 -ページ画像 

図表を画像で表示甲ノ一附属

 品名             調査人姓名 各地ヨリ輸入高 数 量      価 格       地 名 輸入合計 各地ヘ輸出高 輸出合計 全月消費高                     前月比較増減 全月貯蔵高 上等 最高相場          最低相場 中等 同             同 下等 同             同 摘要 




甲ノ二
前会ノ決議ニ基キ仮リニ原案ニ掲出スル品物ヲ調査品トシ会ノ内外ニテ其調査ヲ担当スベキ組合人ヲ定メ、其専業品若クハ然ラザルモ議員中之ニ関係ノ業ヲ営ム者ハ姑ラク其調査ヲ担当ス可キモノトシ、其品物ヲ配当スル事左ノ如シ

図表を画像で表示甲ノ二

 品名             会中調査担当人姓名   会外調査担当人姓名      調査取纏人肝煎若クハ月番姓名 米・大豆・麦         益田孝         米穀三業会社頭取                渋沢喜作         辻純一                竹中邦香                米倉一平 府下公債証書有高並出入高   小松彰          東京府                小林猶右衛門       株式取引所 酒              中沢彦吉 水油・石炭油         中伊右衛門       兜町                柴崎守三         油問屋                             油仲買行司 塩              清水九平 材木・炭           野村定八                鹿島清左衛門                疋田右市造 畳表             清水九平 西洋紙            渋沢栄一                林徳右衛門 〆糟・干鰯          渡辺治右衛門      深川干鰯問屋行司                津田仙          奥三郎兵衛                             岩佐屋与左衛門  以下p.299 ページ画像                              北村富之助                             岩手総兵衛                            四日市北海道商会 木綿糸・生金巾        蕯摩治兵衛        近江屋市郎兵衛 晒金巾・寒冷紗                     島田清七 呉服・太物          小林吟次郎                堀越増五郎 日本紙            服部源太郎 繰綿             荒尾亀次郎 唐繻子・更紗・唐桟・綿天鵞絨 堀越増五郎 綿繻子・毛繻子 呉呂類・   杉村甚兵衛 フランネル・メレンス 羅紗・羅背板・ブランケット・ 森村市太郎 敷物類・帆木綿        大倉喜八郎 毛氈・リンネル        横山孫一郎                木村豊次郎 和並舶来赤砂糖        鳥海清左衛門 氷砂糖・棒砂糖 白砂糖    神田太助                小西九郎兵衛 




金融並ニ運輸船舶ノ景況ニ就キ其調査人ヲ定ムル事左ノ如シ



図表を画像で表示--

 銀行資本高・各種預リ金高・貸金高・   渋沢栄一   択善会 手許有高・公債証書有高・地金銀引    辻金五郎 換高・金利為換打歩昂低         種田誠一                     原六郎                     三野村利助                     肥田昭作                     吉川長兵衛 





船舶有高・港湾出入船舶ノ員数並ニ其向航出帆ノ地名



図表を画像で表示--

      平野富二   海上保険会社      朝吹英二      川崎正蔵      益田克徳 




以上調査品並ニ報告事項ノ外自他ノ品種並ニ商況二就キ議員中ヨリ其調査ヲ望ム者アル時ハ更ニ之ヲ添加シ、其担当人ヲ定ムルモノトス
甲ノ三
    金融景況取調心得書
一此取調ヲ担当スル議員中ニテ二名以上ノ肝煎ヲ撰定シ、予テ其姓名ヲ当会議所ヘ届ケ置クベシ、但シ肝煎ハ調査ノ都合ニヨリテハ之ヲ改選スルモ妨ナシ
一此取調ノ詳密ナルヲ求メンガ為メ特ニ当会議所ヨリ東京府下ニ設立スル各銀行集会即チ択善会ニ依頼スベキニ付、担当ノ議員ハ同会ニ就テ其整理ヲ勉ムベシ
 - 第17巻 p.300 -ページ画像 
一此調査法ハ銀行営業上常務ニ属スルモノ則チ資本金・紙幣流通高・各種預リ金・貸付金・為換金・其他別表ニ掲載スル項目ニ就テハ其月ノ金額ト前月ノ金額トヲ挙ゲ、更ニ毎項比較ノ増減ヲ示シ、而シテ銀行常務ニ属セズ毎月変動昂低ノ景況ニ就キ其報告ヲ要スルモノ即チ金利ト為換打歩ノ二項ニ就テハ別ニ表式ヲ製シ之ヲ報告セン事ヲ要ス
一別表ニ記入スル諸勘定増減ノ如キハ金融ノ通塞商業ノ繁閑ヲ徴スル
 甲ノ三附属

図表を画像で表示金融景況取調表

 金融景況取調表 項目       前月ノ金額   本月ノ金額   増又減   前月ト比較増減   摘要 銀行資本金 紙幣流通高 諸預リ金 公債買持高 各種貸金 他方ヘ為換貸 他方ヨリ為換借 金銀有高 為換取組高 同 仕仏高 割引取組高 同 取立高 地金銀引換高 




 ニ足ルヘキモノナレバ其原因ヲ考察シ之ヲ摘要欄内ニ記入シ、又ハ金利打歩等ノ如キモ甚ダシキ昂低アルトキハ同ジク其理由ヲ解説スルヲ要ス
一調査担当人ハ以上ノ方法ヲ以テ此取調ヲ為シ之ヲ翌月五日迄ニ其肝煎ニ送付スベシ、而シテ肝煎ハ其取調表ノ各担当人ヨリ送付シタルモノヲ合算整頓シ遅クモ之ヲ十日迄ニ当会議所ヘ送付スベシ
一調査担当人ノ中事故アリテ自身取調ノ行届キ難キ者アルトキハ他ニ相当ナル代理ヲ求メ取調方ニ差閊ヲ生ゼザラシメン事ヲ要ス
甲ノ四
    運輸船舶景況取調心得書
一此取調ヲ担当シタル議員ハ其内ヨリ二名以上ノ肝煎ヲ撰定シ、若シ交撰スル事アラバ其都度之ヲ当会議所ヘ届ケ置クベシ
一取調担当ノ者ハ毎月別表ニ設クル各項ノ取調ヲ整理シ、遅クモ之ヲ翌月十日迄ニ其肝煎ヨリ之ヲ当会議所ヘ送附スベシ
一取調担当人ノ中旅行其他事故アリテ自家取調行届キ難キ者ハ組合担当人ノ中若シクハ其他ニ相当ノ代理ヲ求メ、取調ニ差閊ヲ生ゼザラシメン事ヲ要ス
甲ノ五
    商況報告整頓並ニ頒布手続
一調査担当人ヨリ其報告書ヲ送付スルトキハ書記之ヲ点撿シテ其数量価格ニ違筭ナキヤ否ヤヲ査覈シ、且ツ其報道ニ依リテ之レガ商況ヲ附記シ之ヲ印刷所ニ送付ス可シ
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甲ノ四附属

図表を画像で表示甲ノ四附属

      運輸船舶景況取調表                 入津                  出港  所属地名  船名    船種類  噸数     船問屋   月日     載貨品名  出帆地名   月日    載貨品名  向航地名 ○英国    プナ号   滊船   一、二〇〇        二月二十日  石油    上海     三月二日  米     箱館 ○米国    ぺキン号  同      三〇〇        〃 二十四日 雑品    桑港     〃 五日  石油    新潟  東京    秀吉丸   帆前船    二〇〇        三月五日   米     大阪     〃 十日  米     長崎  長崎    広島丸   同      二〇〇        〃 七日   大豆    神戸     〃十一日  雑品    上海      前月末湾内碇泊船  二 艘  合十七艘  内 九艘   本月中出港船九艘   内五艘  本月中入津船    十五艘        外 八艘              外四艘  本月中湾内碇泊船       八艘    内 五艘   前月比較増減 入津船 増二艘                       外 三艘          出港船 減三艘 




 ○印ヲ冒頭ニ附スルモノハ前月中入津シテ本月ヘ繰越シタルモノヲ示ス
一右印刷ナルヲ期シ各一葉ヅヽ之ヲ議員並ニ会外調査担当人ニ頒付ス可シ
  但シ之ヲ配達スルハ郵便ヲ以テスベキカ、将タ使夫ヲ以テス可キカハ経験ノ上其便否ヲ見テ之ヲ定ム可シ
一報告ノ到来スル其日ノ午後二時前ニ在ルモノハ遅クモ之ヲ午後七時迄整理シテ印刷所ニ付シ、而シテ其成ルヲ期シ直チニ之ヲ配達ス可シ
  但シ其報告数品ニ係リ一時ニ之ヲ整理スルニ非常ノ手数ヲ要スルトキハ右定メノ時限ヨリ後ルヽコトアル可シ
    甲ノ五附属



図表を画像で表示甲ノ五附属

      月名  各地ヨリ輸入高  前年比較増減  各地ヘ輸出高  前年比較増減  東京消費高  前年比較増減  月末貯蔵高  前年比較増減  毎月平均相場  前年比較昂低     一月     二月     三月 寒冷紗 四月     五月     六月     合計                                                  半季平均貯蔵高        半季平均相場 摘要 




一定品ノ報告全備スル上ハ之ヲ一部ニ編成シテ更ニ各議員並ニ会外調査担当人ニ頒布ス可シ
一議員中定数外別ニ報告ヲ要スル者アル時ハ其望ノ部数ニ応ジ前月中予メ其用意ヲ為ス可シ
  但シ定数外配達ノ分ハ其紙料ヲ申シ受ク可シ
一会議所ニ於テ準備ス可キ報告書ハ現ニ議員並ニ会外調査担当人ヘ頒布スル分並ニ別段注文アルモノヽ外凡ソ三十部トス、故ニ其印刷部数ハ議員並ニ会外調査人ノ増減並ニ注文ノ多寡ニ応シ随時増減スル事アル可シ
一半季毎ニ各品ニ就キ其輸出入並ニ貯蔵高毎月平均相場等之ヲ前年同半季ニ比較シ、其増減昂低ヲ見ルニ便ナラシメンガ為メ別紙表式ニ
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従ヒ一覧表ヲ製ス可シ、但シ金融並ニ運輸船舶ノ景況モ亦半季毎ニ適宜一覧表ヲ製ス可シ