デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.306-310(DK170028k) ページ画像

明治13年3月11日(1880年)

是日当会議所、積立金ノ制ヲ廃シ、積立金ハ之レヲ返還シ、今後ハ各議員一ケ月金一円五十銭宛ヲ醵出シ、議員百名ニ達スル時ハ一円ニ減ゼン旨ヲ議決ス。栄一会頭トシテ之ニ与リ、又益田孝等会議所設立発起人ト共ニ積立金ヲ会議所ニ寄附ス。


■資料

東京商法会議所要件録 第一一号・第一五―一八丁 明治一三年三月五日刊(DK170028k-0001)
第17巻 p.306-308 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一一号・第一五―一八丁 明治一三年三月五日刊
  第十二定式会議 明治十三年二月廿四日午後六時三十分開場
    議員出席スル者 ○二十八名
○上略
十一番(福地源一郎)今会ハ時刻已ニ経過シ散会ノ期ニ迫リタレトモ聊カ玆ニ各員ノ商議ヲ要ス可キモノアル旨ヲ述ベ、会頭 ○渋沢栄一ノ許可ヲ得発議シテ曰ク、抑モ本会ハ其之ヲ永遠ニ維持スルノ方法ヲ議員積立金ニ取リ、昨年以来之ヲ挙行シテ已ニ今日ニ及ベリ、然ルニ爾来灰《(仄)》ニ聞ク処ニ拠レバ或ハ此積立金法ヲ設クルハ当会ノ得策ニ非ズト云フ者アリト、若シ夫レ果シテ之ヲ然リトセハ会中スラ尚ホ之ヲ快トセズ況ヤ後ノ此会ニ入ラントスル者ニ於テオヤ、是レ恰モ入会要望者ニ向ケ其門路ヲ鎖スノ方法ト云フ可キノミ、然ルニ此事ヤ金銭ニ関スルヲ以テ議員中復タ敢テ之ニ論及スルヲ欲セザルモノノ如シト雖トモ、若シ果シテ前陳ノ如クナラシメバ寧ロ速ニ之ヲ廃止シテ之レガ維持ヲ他ニ求ムルニ如カザルナリ
会頭云フ、此事タル前小集会ニ於テ略ボ其端ヲ開キタレトモ未ダ之ヲ議了スルニ至ラズ遂ニ次会ニ付セリ、然ルニ今ヤ幸十一番ノ発議スル所ト為ル、之レ会頭ガ将ニ今会ニ望ム所ナルヲ以テ各員宜シク其胸膈ヲ悉クシ十分其所見ヲ陳ベラレヨ
十一番(福地源一郎)会頭已ニ之ヲ議スルヲ許可セラルヽニ於テハ更
 - 第17巻 p.307 -ページ画像 
ニ卑見ノ陳ス可キモノアリ、即チ頭初積立金法ヲ設クルニ当リテヤ本員ハ其賛成ヲ固執セリ、然ルニ今ヤ翻テ之ヲ考察スルニ、今議員ニシテ毎月五円ヲ出金スルハ其額少ナシトセザルヲ以テ或ハ為メニ入会ヲ望マザル者ナキニシモアラズ、故ニ自今此積立金法ヲ廃シ、更ニ毎月各員金一円ヲ醵出シ従来ノ積立金ハ之ヲ返還スル事トセバ如何、若シ夫レ如此セバ今ヨリ更ニ入会ノ門関ヲ広フシ、随テ当会隆盛ノ基ヲ開クニ至ラン、然レトモ此議タル敢テ今夕ニ決了スルヲ要セズ、各員宜ク熟慮ノ上其議決ハ次会ヲ期スルモ可ナリトス
十五番(益田孝)ハ之ヲ賛成ス
四十六番(子安峻)本員ハ十一番ヲ賛成ス、但シ議員六拾名ニシテ壱円ヲ醵出スルトキハ僅ニ六十円ニ過キサレバ是レ以テ当会ノ経費ニ充ツ可ラザルガ如シ、故ニ今ヨリ更ニ議員ヲ増加シテ百名乃至百五十名ニ至ラシメ、随テ其醵金額ヲ増加セバ以テ当会ノ経費ヲ持久スルニ足ラン、且ツヤ近来大坂・横浜其他各地ニ商法会議所ノ設立アルニ際シ日本帝都ノ東京ニシテ議員ノ数僅ニ六十名ニ過ギザルガ如キハ大ニ当会ノ面目ニ関セザルニアラズ、故ニ本員ハ併セテ以テ議員ノ増加ヲ冀フモノナリ
十三番(中山譲冶)ハ十一番ヲ賛成シ、且ツ四十六番ガ発議ニ係ル議員増加ノ如キハ本員モ亦冀望スル所ナリト雖モ是レ積立金廃止ト共ニ併論ス可ラザルモノニ似タリ、依テ之ヲ別問題ト為サン事ヲ望ム
十一番(福地源一郎)本員ガ此積立金ヲ廃止セン事ヲ望ムモノハ即チ議員入会ノ門関ヲ開クモノニシテ、恰モ人員増加ノ冀望ニ副フモノナリ
十五番(益田孝)議員増加ノ説ハ本員モ亦之ヲ賛成スト雖トモ、徒ラニ其人員ノ多カランヲ欲シ、商業其途ニ暗キ者ヲ入会セシメンヨリハ寧ロ其人ニ乏シキモ、実地商務ニ長ジタル練熟家ノ入会アラン事ハ本員ガ冀フ所ナリ
会頭云ク、頭初此議場ヲ開設スルノ時ニ当リ発起人等ガ最モ以テ詳議ヲ悉シタルハ人員ヲ撰ブノ事其一ニ居レリ、而シテ創立見込書中議員ノ数ヲ六十名内外ト定メタリト雖トモ、固ヨリ入会者ノ多キハ敢テ望マザルニアラザレトモ、商業実地ノ経験ト熟練トニ乏シキ者ヲ挙グルトキハ、其人偶々演説ニ長シ、又ハ議論高尚ニシテ満場ノ唱采ヲ博スルモ亦敢テ頼ム可ラザルニ至ル、故ニ其人員ハ成ル可ク実際ニ老練ナル者ヲ撰挙セラレン事ヲ望ム、然ルニ四十六番ハ議員ノ増加ヲ熱望スルノ甚シキ終ニ醵金ノ乏シキニ論及セリト雖トモ、若シ夫レ如此論ジ来レバ或ハ当会ノ隆盛ヲ期スルニアラズシテ醵金ノ寡キヨリ議員ヲ増加セントスルヤノ惑ヲ抱クモノナキニ非ズ、依テ聊カ其論旨ノ足ラザルヲ補ヒ議員増加ノ議ハ暫ク之ヲ別問題ト為サン事ヲ要ス
九番(吉川長兵衛)積立金廃止ノ議ハ之ヲ今夕ニ議了セズ宜シク次会ニ譲ラン事ヲ望ム
会頭ハ更ニ昨年中毎月ノ会計ヲ示シテ曰ク、其費額各月多寡差違アリト雖トモ、之ヲ平均スレハ一ケ月ノ経費百五十円内外ヲ以テ足レリトス、故ニ現行ノ積金法ヲ廃シ、更ニ各議員ヨリ毎月一円宛ヲ醵出スル者トシ、此醵集金ト定額保護金トヲ以テ之ヲ維持費ニ充テハ目下会計
 - 第17巻 p.308 -ページ画像 
上差支ヲ生スル事ナカラン、若シ他日不都合ヲ来スノ事アラハ、更ニ醵出金ヲ増加スルモ蓋シ又妨ケナカラン、諸君之ヲ如何トスル乎
四十九番(平野富二)積立金ヲ廃スルモ之ヲ各員ニ返還スルハ当会ノ為メニ取ラサル所ナリ、依テ之ヲ積ミ置キ其利子ヲ以テ経費ヲ補フヲ可トス
五十番(松尾儀助)昨年来ノ積立金ノ内ヨリ毎月一円宛ヲ引キ去リ之ヲ当会ニ醵捐セハ如何
十七番(種田誠一)苟モ積立金ノ有無ヲ以テ議員ノ去就ヲ決スルガ如キ事アラバ大ニ当会ノ面目ニ関スルモノニシテ本員ハ之ヲ左右スルヲ好マスト雖トモ、若シ夫レ諸君之ヲ廃スルヲ可トセバ既ニ今日ニ至ル迄積ミ立テタルモノハ之ヲ当会ニ付シ寧ロ返還セザルヲ可トス
十五番(益田孝)果シテ十七番ノ如クセハ新旧議員ニ於テ自ラ其権限ヲ異ニスルニ至ル、寧ロ十一番ノ発議ニ随ヒ全ク之ヲ返還スルニ如カザルナリ
是ニ於テ会頭ハ今会之ヲ議決ス可キヤ否ヲ問フニ、全会之ヲ次会ニ譲リ更ニ審議ヲ尽サン事ヲ要スルニ依リ、本議ヲ此ニ止メ放会ヲ命ス、于時十時十五分下


東京商法会議所要件録 第一二号・第一六―一七丁 明治一三年三月二九日刊(DK170028k-0002)
第17巻 p.308-309 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一二号・第一六―一七丁 明治一三年三月二九日刊
  第十三定式会議 明治十三年三月十一日午後第七時開場
    議員出席スル者 ○二十名
    積立金ヲ廃シ醵金ニ代フルノ議前会未決
十一番(福地源一郎)ハ会頭 ○渋沢栄一ノ許可ヲ得前会未決ノ積立金廃止ノ議ニ及ハントスルニ方リ、十五番(益田孝)ハ前会ニ欠席者アリ又新タニ入会者アルヲ以テ突然之ヲ議事ニ付スルトキハ恐クハ其趣旨貫徹シ難カラン、依テ一応発議者ヨリ説明アラン事ヲ望ミタルニヨリ、十一番ハ更ニ前会ニ於テ積立金ヲ廃シ之ヲ醵金ニ代フルノ趣旨ヲ陳セリ
九番(吉川長兵衛)本員ハ会計主任トシテ本会々計ノ事務ヲ担当スルヲ以テ、今此醵金額ヲ定ムルニ当リ聊カ会計ノ状況ヲ陳シテ以テ諸君ノ高評ヲ仰カント欲スルモ、客歳中ノ経費ヲ筭スルニ月々多少ノ増減ナキニ非ズト雖トモ之ヲ平均概筭スルトキハ必ス百五十円内外ニ下ラザル可シ、然レトモ昨年ニ在リテハ前年醵金ノ剰余ト積立金ノ利子トヲ以テ之ヲ補助シ来タレリト雖トモ今ヤ既ニ之ヲ補フニ途ナシ、而ルニ十一番ノ発議ニヨリ従来ノ積立金ヲ廃シ之ニ代フルニ更ニ議員各自毎月一円ヲ出シテ以テ其経費ニ給セントセバ、今試ニ議員六十名ヨリ毎月六十円ヲ醵集シ之ニ大蔵省定額保護金八十三円三十三銭三厘ヲ加フルモ僅ニ百四十余円ニ過キズ、左レバ現ニ毎月拾円ノ不足ヲ生スベキナリ、故ニ各員ノ醵金ヲ壱円ト定ムルトキハ其会計或ハ支フ可ラザルノ恐ナキニ非ズ、故ニ宜シク更ニ其額ヲ加ヘザル可ラズ
十一番(福地源一郎)実際会計ノ給セザルトキハ、又如何トモス可ラズ、須ラク其宜シキヲ制セザル可ラザルガ故ニ本員ハ前説ヲ止メ、更ニ五十銭ヲ増加シ各自一円五十銭ヲ醵出シ、人員百名ニ満ツルト
 - 第17巻 p.309 -ページ画像 
キハ之ヲ一円ニ減スルモノト為サバ如何
全会之ヲ可トスルニ依リ会頭ハ其醵金ヲ一円五十銭ト定ムルニ決シ、従来ノ積立金ハ直チニ各出金者ニ返付ス可キ旨ヲ告グ
○下略


東京商法会議所要件録 第二一号・第三七―三八頁 明治一四年二月一〇日刊(DK170028k-0003)
第17巻 p.309 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二一号・第三七―三八頁 明治一四年二月一〇日刊
○上略
○積立金ヲ廃シ醵金ニ代フルノ議
 本議ハ福地源一郎君ノ発議ニ係ル者ニシテ、本年二月廿四日第十二定式会ニ於テ始テ議場ノ問題トナリシガ未ダ議決スルニ至ラズ、猶三月廿一日《(十)》第十三定式会ニ於テ之ヲ再議シタルニ、衆議ノ末乃チ従来ノ積立金ヲ廃シ、既ニ積立テタル分ハ之ヲ返還シ、更ニ各員一ケ月金一円五拾銭ヅヽヲ醵出シ、議員百名ニ満ツル時ハ其醵出高ヲ一円ニ減ズル事ニ決シタリ


東京商法会議所要件録 第二二号・第三―五頁 明治一四年二月一八日刊(DK170028k-0004)
第17巻 p.309 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二二号・第三―五頁 明治一四年二月一八日刊
  第十九定式会議 明治十四年二月九日午後第七時開場
    議員出席スル者 ○二十七名

○上略
又会頭 ○第一副会頭福地源一郎ハ発起人七名ヨリ本会ニ向テ寄附金アル旨ヲ報ジテ曰ク、抑モ発起人諸君ガ此寄附ヲ為ス所以ハ当初本会維持ノ為メ積立金ノ法ヲ設ケタルニ、昨春此法ヲ廃シ従来ノ積立金ハ之ヲ各議員ニ返還スルニ決シタリト雖トモ元来此積金タル本会維持ノ為メニシタルモノナレバ之ヲ取リ戻スハ本意ニ非《(ズ)》ルトテ発起人諸君ヨリ之ヲ本会ニ寄附セン事ヲ申出デラレタルニ依リ、理事本員ハ其志ノ殊勝ナルヲ嘉ミシ速カニ之ヲ領収シタリトテ其姓名並ニ金額ヲ報道ス、即チ左ノ如シ
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          渋沢栄一
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          福地源一郎
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          益田孝
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          大倉喜八郎
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          三野村利助
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          米倉一平
 一金弐拾円九拾壱銭六厘          渋沢喜作
合計金百四拾六円四拾壱銭弐厘


東京商法会議所要件録 第四一号・第二八―二九頁 明治一五年二月二八日刊(DK170028k-0005)
第17巻 p.309-310 ページ画像

東京商法会議所要件録  第四一号・第二八―二九頁 明治一五年二月二八日刊
 ○明治十四年東京商法会議所事務報告
    本会会計上ニ関スル事項 五件
発起人寄附金ノ事
 本会創立発起人ノ内七名ヨリ各々金弐拾円九拾壱銭六厘ツヽヲ寄附セラレタリ、蓋シ当初本会創立之際其維持ノ為メ積立金ノ法ヲ設ケタルニ、昨春此法ヲ廃シ従来積立テタル金員ハ尽ク之ヲ各議員ニ返還スルニ決セシガ、元来此積金タル本会維持ノ為メニシタルモノナレバ之ヲ回枚《(収カ)》スルハ本意ニ非ル旨ヲ以テ、斯クハ発起人七名ヨリ寄
 - 第17巻 p.310 -ページ画像 
付セラレタルナリ、即チ其姓名左ノ如シ
  渋沢栄一 渋沢喜作 三野村利助 益田孝
  米倉一平 大倉善八郎《(大倉喜八郎)》 福地源一郎
○下略