デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.567-570(DK170044k) ページ画像

明治14年2月9日(1881年)

栄一、正副会頭毎年重任シ議員トノ間ニ主客ノ勢ヲ馴致スルヲ恐レ正副会頭改選案ヲ是日ノ会議ニ提案シ修正可決セラル。改選ノ結果第一副会頭福地源一郎退イテ、大倉喜八郎第二副会頭ニ当選ス。


■資料

東京商法会議所要件録 第二二号・第六―一五頁 明治十四年二月一八日刊(DK170044k-0001)
第17巻 p.567-570 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二二号・第六―一五頁 明治十四年二月一八日刊
  第十九定式会議 明治十四年二月九日午後第七時開揚
    議員出席スル者 ○二十七名
○上略 次ニ会頭(福地源一郎)ハ是ヨリ理事本員並ニ委員ヲ撰挙スベキ旨ヲ命ジタルニ、渋沢栄一君ハ右撰挙前ニ於テ会議所規則改正ノ事ニ就キ議場ヘ建議シタキ旨ヲ述ベ会頭ノ許可ヲ得、発言シテ曰ク
 本会規則第十六款ニ拠レバ会頭副会頭ハ毎年二月第一定式会ニ於テ投票ヲ以テ之ヲ撰挙スベシト在リ、抑モ此規則ニ拠レバ会頭・副会
 - 第17巻 p.568 -ページ画像 
頭トモ毎年重撰スル事ヲ得ルモノナレバ、当初当撰ノ者ニ於テ不得止事故アラザルヨリハ多クハ重撰ニ帰シ永ク其地位ヲ保ツノ傾向アリ、是レ或ハ其事務承継ノ際ニ於テ簡便ニ似タリト云トモ、一方ヨリ之ヲ見レバ理事本員ト議員トノ間主客ノ勢ヲナシ、却テ協同共存ノ精神ヲ損スルノ恐ナシトセズ、故ニ今此一款ヲ改正シテ毎年若クハ二年毎ニ必ズ之ヲ改撰スルモノト為スベシ、熟々現今横浜外国人商法会議所ノ組織ヲ見ルニ会頭ハ年々之ヲ改撰スルモノヽ如シ、或ハ米国紐育ノ如キハ会頭ノ重撰ヲ許シ数年間其地位ヲ保持スル者アリト云フト云トモ、余ガ今此ニ建議スル所ハ一般ニ重撰・改撰ノ得失ヲ論ズルニ非ズ、只本会目下ノ場合ニ於テハ改撰ノ能ク実際ニ適スルヲ云フナリ、諸君望ムラクハ此撰挙ニ先チ本議ノ可否ヲ決セラレン事ヲ
条野曰ク、余ハ第十六款中撰挙ヲ改撰ト改メ、而シテ前任ノ者ヲ重撰スルヲ得ルノ但シ書ヲ追加セン事ヲ望ム
益田曰ク、渋沢君ノ改撰説ニ至テハ、余モ亦之アラン事ヲ望ムト雖トモ、但ダ会頭・副会頭トモ同時ニ之ヲ改撰スル時ハ実際事務ニ差閊ヲ生ズルノ恐ナシトセズ、故ニ余ハ渋沢君ノ改正説ニ猶修正ヲ加ヘ毎年旧任之者一名ヅヽヲ除キ、新被撰者ヲシテ之ニ代ラシメ次第ニ新旧ヲ交迭セシメン事ヲ望ム
此説ニ就テハ直チニ津田・柴崎其他二三ノ賛成者アリタリ
米倉曰ク、余ハ此改撰謙ニ向テハ不同意ヲ抱ク者ナリ、抑モ本会開設以来理事本員諸君ハ拮据黽勉其職ヲ怠タラズ、今ヤ又漸ク規摸ヲ改良シテ益々振起ノ策ヲ図ラントス、然ルニ之ヲ改撰シテ偶々其人ヲ得ザル時ハ啻ニ事務ノ停滞ヲ生ズルノ恐アル而已ナラズ、現任ノ諸君ガ孜々計画シタル規摸モ或ハ此ニ中絶シテ復タ本会振起ノ途ヲ失フノ不幸ナキヲ保セズ、故ニ現任理事本員諸君ニシテ其任ヲ継ギ其事ヲ執ルノ煩ヲ厭ハズ、深ク本会ノ隆盛ヲ企図セラルヽノ篤志者ナリトセバ豈別ニ規則ヲ改正シテ其改撰ヲ求ムル事ヲ要センヤ
於是会頭(福地源一郎)ハ第一渋沢君ノ会頭・副会頭共改撰スルノ説並ニ規則ノ改正ヲ要セザル説ハ別ニ賛成者ナキヲ以テ已ニ消滅シタルモノトシ、第二益田君ノ動議ハ二三ノ賛成者アリタレバ先ヅ之ヲ問題トシテ可否ヲ決スベシト述ベ、即チ之ニ起立ヲ命ジタルニ多数ニ依リ本議ハ終ニ規則第十六款ニ但シ重撰ヲ得ルト雖トモ其中一人ハ必ズ之ヲ改撰スベシト云フノ一条ヲ追加スルニ決ス
於是会頭(福地源一郎)ハ各員ニ向テ已ニ如此議決シタル上ハ今回ノ選挙ヨリ此法ヲ実施スベキ旨ヲ述ベ、其退任ハ抽籤ヲ以テ定ムル事トシ、先ヅ正副会頭ノ間ニ抽籤ヲ行ハシメタルニ第一副会頭福地君其籤ニ当リタリ、仍テ福地君ハ斯ク当籤ノ上ハ已ニ会頭ノ代理者タルベカラズト、乃チ更ニ各員ニ向ヒ余ヤ不省《(肖)》ヲ顧ミズ其任ヲ辱フスル事本会創立以来此ニ三年、此間永ク諸君ノ厚遇ヲ蒙リ且ツ常ネニ諸君ノ高庇ヲ得テ今年今日其任ヲ全フスルハ実ニ諸君ノ賚賜ナリト厚ク謝辞ヲ述ベ、直ニ席ヲ退カレタリ、是ヨリ渋沢君ハ再ビ会頭ノ席ニ着キ引続キ理事本員ノ選挙ヲ行ハシメタルニ其当選者左ノ如シ
    投票点数  二十四点  会頭   渋沢栄一
 - 第17巻 p.569 -ページ画像 
    同     二十四点  第一副会頭 益田孝
新任  同     十五点   第二副会頭 大倉喜八郎
渋沢君ハ重テ其選ニ当リ、諸君属望ノ厚キ不肖ト雖トモ敢テ其任ヲ承諾スベキ旨ヲ述ベ、次ニ大倉君モ亦第二副会頭タルヲ承諾セリ、但シ益田君ハ旅行中ナルヲ以テ追テ之ヲ通報シテ其諾否ヲ定ムルニ決ス、次ニ理事委員ヲ選挙スルニ当リ福地君ノ発議ニテ兼テ本会規則ニ拠レバ農工業事務委員ハ各三名ナリシガ、此委員モ亦他ノ委員ノ如ク五名ニ増員スベシト云フノ説ニ賛成者多ク、仍テ猶衆議ヲ以テ農工業現任委員ハ其儘ニ据ヘ置キ更ニ二名宛ヲ選挙スベシト云フニ決シ、而シテ順次各委員ヲ選挙シタルニ其選ニ当リタル者左ノ如シ、但シ農業事務委員ハ従来三名ノ処其中小松彰君ハ昨年中退会、爾後欠員選挙ノ事ナカリシヲ以テ今回序デヲ以テ右欠員トモ併テ三名ヲ選挙シタリ
 内国商業事務委員
       投票点数   二十点     福地源一郎
       同      十九点     渋沢栄一
       同      十三点     大倉喜八郎
  新任   同      十一点     清水九兵衛
  新任   同      九点      益田孝
 外国貿易事務委員
       投票点数   二十三点    益田孝
       同      十七点     松尾儀助
       同      十六点     大倉喜八郎
  新任   同      九点      丹羽雄九郎
  新任   同      六点      原六郎
 運輸船舶事務委員
       投票点数   二十五点    平野富二
       同      二十四点    朝吹英二
  新任   同      十七点     野中万輔
  新任   同      十四点     益田克徳
       同      十三点     川崎正蔵
 工業事務委員
       旧任             松尾儀助
       旧任             中山譲治
       旧任             森村市太郎
  新任   投票点数   七点      林徳右衛門
  新任   同      七点      条野伝平
 農業事務委員
       旧任             津田仙
       旧任             柴崎守三
  新任   投票点数   九点      米倉一平
  新任   同      五点      渋沢栄一
  新任   同      五点      渋沢喜作
以上各課委員被選者中益田孝・朝吹英二・川崎正蔵・中山譲治・森村市太郎之五名ハ旅行或ハ病気ニ付欠席ナルヲ以テ追テ之ヲ通知シテ其
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諾否ヲ問フニ決シ、其他出席ノ諸君ニシテ其選ニ当リタル者ハ皆共ニ之ヲ承諾セリ


東京商法会議所要件録 第四一号・第二三―二四頁 明治一五年二月二八日刊(DK170044k-0002)
第17巻 p.570 ページ画像

東京商法会議所要件録  第四一号・第二三―二四頁 明治一五年二月二八日刊 
 ○明治十四年東京商法会議所事務報告
    本会規則之変更組織構成上ニ関スル事項 六件
副会頭撰挙方改正之義
 本議ハ二月九日定式会ニ於テ渋沢栄一君ノ発議ニ起ル、其大要ハ従来本会規則第十六款ニ拠レバ正副会頭トモ毎年重撰ヲ得ルノ制ナルヲ以テ一旦其撰ニ当ルモノハ永ク其地位ヲ保ツノ傾向アリ、終ニ理事本員ト議員ノ間主客ノ勢ヲ為シ公共ノ精神ヲ損スルノ嫌ナシトセズ、故ニ今此一款ヲ改正シテ、毎年若クバ二年毎ニ必ズ之ヲ改撰スル事ト定メタシトノ意ナリ、乃チ之ヲ衆議ニ附シタルニ終ニ正副会頭トモ尽ク之ヲ改撰スルハ行務上不都合少カラサルヲ以テ第十六款ニ「但シ重撰ヲ得ルト雖トモ其中一人ハ必ズ之ヲ改撰スベシ」ト云フノ一条ヲ追加スルニ決シタリ、而シテ本年ノ撰挙ニ於テハ此決議ヲ実施シタルニ依リ第一副会頭福地源一郎君当籖ヲ以テ其職ヲ退キ更ニ大倉喜八郎君第二副会頭ニ撰挙セラレタリ
○下略