デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.571-577(DK170046k) ページ画像

明治14年4月12日(1881年)

是ヨリ先昨年五月当会議所、工業事務委員森村市太郎・同松尾儀助ノ建案ニ基キ本邦工芸品ノ調査ヲ行フニ決シ、大蔵卿佐野常民及ビ各府県勧業課ニ援助ヲ依頼セシモ調査ノ進捗ヲ見ズ。是日第二委員総会ニ於イテ栄一ソノ理由ヲ質シ主任者松尾儀助陳述スル所アリ。


■資料

東京商法会議所要件録 第一五号・第二―三丁 明治一三年六月二一日刊(DK170046k-0001)
第17巻 p.571-572 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一五号・第二―三丁 明治一三年六月二一日刊
  第十五定式会議 明治十三年五月十八日午後第七時五十分開場
    議員出席スル者 ○二十二名
○上略 右了リテ会頭 ○会頭渋沢栄一旅行中ニ付第一副会頭福地源一郎之ニ代ルハ工業事務委員松尾儀助・森村市太郎ノ両氏ヨリ工芸品調査ノ儀ニ付会頭ニ向テ贈寄シタル建議書アリトテ自ラ其書面ヲ朗読シ、且ツ曰ク、此書面ニ拠レバ政府ニ請願シテ之ガ調査ヲ求メ、尚ホ詳悉スベカラザルモノハ政府ヨリ各地方官ニ通達セラレテ各地工芸品ノ実況ヲ探問シ、而シテ該委員ハ其調査書ニ就キ逸々之ガ考案ヲ附シ、一般公衆ニ広告シテ以テ実業者ノ便益ヲ補賛セント欲スルニ在リ、諸君之ヲ如何トナスヤ、請フ其説アル者ハ陳述セラレヨト(該建議書ハ参考部ニ附ス)
益田孝曰ク、該建議ノ主意ハ則チ佳ナリ、余モ亦之カ調査ヲ欲スル所ナリ、然レトモ各地方官ニ就キ其調査ヲ求メンニハ勉メテ単簡ヲ主
 - 第17巻 p.572 -ページ画像 
トシ只其緊要ナル事項一二ニ止ムルヲ可トス、若シ夫レ否ラザレバ其調査ノ繁雑ナルニ苦シミ却テ実際ノ調査ヲ得難カランコトヲ恐ルルナリ
会頭曰ク、愚案ニ拠レバ従来調査アルモノハ之ヲ内務・大蔵両省ニ請フテ其記録ヲ求メ、而シテ其未ダ調査アラザルモノ或ハ之レアルモ尚ホ其実況ヲ詳悉シ難キモノハ、当会議所ヨリ直チニ各府県勧業課ニ依頼スルモノトセバ或ハ却テ其望ヲ達スルノ効アランカ
益田孝曰ク、夫レ或ハ然ラン、然レトモ四五年前ニ遡リ之ガ調査ヲ望ムガ如キハ或ハ其能クシ難カラン事ヲ恐ル、故ニ其調査ヲ要スベキ事項ハ詳ニ之ヲ掲起スルモ其成否ハ姑ラク依頼先キノ見込ニ任カスト云フガ如ク、勉メテ単簡寛裕ヲ以テシ実際ニ行ハレン事ヲ求ムルニ若カズ
松尾儀助曰ク、固ヨリ委員モ亦其考案ナキニ非ズ、故ニ其調査ヲ要スル事項ノ如キハ勉メテ実際ノ成否ヲ酌量シ、多クハ其行ルベシト思惟シタルモノニ就キ之ヲ設ケタリト雖トモ、尚ホ其事項ヲ取捨増削スルガ如キハ暫ラク諸君ノ意見ニ任シテ可ナリ
於是会頭ハ他ニ異儀《(議)》ナク各員ノ述ブル所大同小異ニシテ、要スルニ政府ニ向テ建議ノ趣意ヲ以テ従来調査ニ係ル記録アラバ之ヲ求メ、又各府県勧業課ニ向テハ調査事項ノ簡易ナルモノヲ以テ直チニ当会議所ヨリ之ヲ依頼スルト云フノ説多キヲ以テ之ヲ可決シ ○下略


東京商法会議所要件録 第一五号参考部・第一―五丁 明治一三年六月二一日刊(DK170046k-0002)
第17巻 p.572-574 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一五号参考部・第一―五丁 明治一三年六月二一日刊
    工芸品調査ノ儀ニ付建議
生等熟考スルニ本邦工業ノ道追日開進ニ趣キ、我工芸品ノ海外ニ輸出スルモノ其種類頗ル増加セリト雖トモ、輸出連続シテ真ニ国産ノ地位ニ置クヘキモノハ陶磁器・漆器・銅器ノ三種ニ過キサルナリ、此三器ノ名誉ヲ欧米諸国ニ得タル已ニ久シ、然ハ則チ需用ヲ増シテ販路ヲ永遠ニ大ナラシムヘキハ喋々弁スルニ及ハサル所ナリ、然リ而シテ之ヲ既往ニ推シテ将来ヲ考ルニ益其製法ヲ改良シ、勉テ粗製ノ弊ヲ去ルニ非レハ一層販路ヲ拡張シ、遂ニ本邦巨大ノ国産トナリ難シ、是レ生等甚タ苦慮スル所ナリ、生等詳カニ内地工業ノ景況ヲ観察スルニ機械未タ備ラス製法未タ宜キヲ得ス、然リ而シテ本邦ノ商工多クハ不完ノ旧式ヲ墨守シ、進取競争ノ気象ニ乏キニ非サレハ西洋ノ工芸ニ眩惑シ、未熟ナル摸造品ヲ製シテ自ラ開明ノ進路ヲ得タリト思ヒ、畢竟目下ノ小利ヲ貪リ永遠ノ良策ヲ図ル力無ク往々粗略不深切ノ弊ヲ免レス、是レ我カ工芸品ノ敗レヲ外国ニ取ル原由ニシテ、誠ニ痛惜ニ堪ヘサル所ナリ、夫レ物ニ本末アルハ尚ホ木ニ根幹枝葉アルカ如ク、其根幹ヲ養フ事未タ厚カラスシテ其枝葉ノ繁栄ヲ期ス豈難カラスヤ、今ヤ世上ニ間々勧工ノ道ヲ論スル者モアレトモ皆ナ座上ノ空論ニシテ各地製造所ニ就テ其実際ノ景況ヲ探知シ、其方法ノ改良ヲ講スル者甚タ少ク、又実際ニ就テ研究スルモノハ曾テ外国ノ情況ニ通セス、只一隅ヲ守テ徒ラニ苦心スルニ過キス、倶ニ其無気象ニシテ有為ノ精神ニ乏シキハ生等カ窃ニ憂ル所ナリ、生等今公衆ノ撰挙ニヨリ工業事務委員ノ責ヲ受ク、此ニ於テ平生聊カ考フル所ヲ陳シテ諸公ノ教誨ヲ請ントス、夫レ
 - 第17巻 p.573 -ページ画像 
前陳二三ノ物品ハ本邦工芸品ノ内最モ海外輸出ノ位地ヲ占ムル物ナレハ、今各府県下ニ於テ先以テ右物品製造ニ供スル資金ノ高若干、職工ノ増減如何、而シテ其賃銀ノ昂低如何等其事業ノ盛衰ニ関スル要領ノ事項ハ詳カニ其原因ヲ探究シ、一目瞭然ノ表ヲ作テ公ニ之ヲ報道セハ其工業ニ従事スル者ハ各自ノ製品高・雑費高及職工人ノ勤惰等ヲ調査比較スルヲ得テ自ラ其得失ヲ悟リ、競争ノ心ヲ発シテ終ニ善良ノ方法ヲ発明シ、内地工業ノ力ヲ強大ニスルノ端ニ就ン、又其工芸品ノ商業ヲ為スモノハ各品製造ノ増減、価格ノ進退、利益ノ有無及ビ商業ノ連続不連続ヲ詳知シ、自ラ目前ノ小利ハ永遠ノ失敗トナル事ヲ悟リ、初テ確実ノ業ニ注意ヲ生シテ結社製造所ヲ起シ、或ハ是ニ従事スル者多数ヲ加ヘ、且ツ欧米諸国ノ工業ニ対シ我ニ比較スル所ノ統計ヲモ探知スヘキニ至ラシメン事生等最モ熱心希望スルナリ、然リ而シテ右三品ノ製造所ハ各府県ニ頗ル多数ニテ其区域タル小ナラズ、之ガ調査ヲ為ス事固ヨリ一人一社ノ能ク企テ及ブベキニ非ラズ、必ズ各府県ニ就テ探尋セザレバ到底其実況ヲ詳悉スル能ハズ、是レ亦生等二三輩ノ能ク及ブニ所アラズ、故ニ今該事ノ調査ヲ政府ニ仰キ普ク之ヲ全国ニ通知シ、各府県ヨリ別紙ニ記載スル調査事項ニ準ジ詳細ノ報告ヲ求ムルヲ得バ生等一層拮据励精其職ヲ尽シ、各地調査ノ事項ヲ対照参較シ、詳カニ先ツ該業盛衰ノ実際ヲ推究シ、併セテ之ニ考按ヲ附シ、以テ将来益我国工業ノ改良法ヲ論シ、聊カ公衆ノ利益ヲ謀ラントス、希クハ足下生等ノ微衷ヲ容レ此議ヲ採納セハ幸甚ニ過キサルナリ頓首敬白
  明治十三年四月        工業事務委員
                      森村市太郎
                      松尾儀助
  東京商法会議所会頭
      渋沢栄一殿

      調査ヲ要スル事項左ノ如シ
陶磁器ノ部
一製器竈所在ノ地名及所有主姓名
一同 竈及其間口ノ員数
一各間口一個ニ付製出ノ物品平均原価ノ概額
一各寵ニテ一ケ年中陶磁器ヲ焼ク度数
一製造品ノ類分ケ「譬ハ茶碗・土瓶・徳利・皿・鉢等」及内国需用品何分海外輸出品何分ナルカ
一各製造場職工ノ概数
一各製造所職工ノ賃銀
一各竈ニテ一ケ年消費スル薪炭ノ価額
一各製造所ニテ一ケ年製造スル該品ノ価額ノ概略
漆器ノ部
一製造場地名及所有主姓名
一各製造場ニテ一ケ年製出ノ価額
一各製造場ニテ一ケ年要スル所ノ生漆及消費スル薪炭ノ価額及ヒ生漆ハ何レノ地ヨリ供給スルカ
 - 第17巻 p.574 -ページ画像 
一各製造所職工ノ概数及其賃銀概額
 (漆ノ需用ハ何レノ地ヨリスルカヲモ調査シテハ如何)
銅器ノ部
一製造場地名及所有主ノ姓名
一各製造場ニテ一ケ年製出ノ価額
一各製造場ニテ一ケ年中要スル所ノ地金量目及消費スル薪炭価額
右ノ事項ハ何レモ四五年前ヨリ其増減或ハ昂低等ノ概略御取調ヲ要スル儀ニハ候得共、本文中ニモ申上候通リ悉ク御取調行届兼候儀モ有之候得者実際御詳悉可相成丈ニテモ御報道有之度也


東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 三(DK170046k-0003)
第17巻 p.574-575 ページ画像

東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 三
                   (東京商工会議所所蔵)
    工芸品調査書類御下附之義ニ付願
近来我国工業之道追々進歩シ現ニ我国工芸品ニシテ海外之需用ニ応スル者其類不少、就中陶器・磁器・漆器並ニ銅器之四種ノ如キハ夙ニ外国市場ニ声価ヲ博シ、其販路モ随テ増加之勢ニ有之、今ニシテ内之カ製造之改良ニ怠ラズ外益々其需用ヲ増サバ将来本邦貴重之産物ト可相成ハ予メ可期義ト存奉候、然ルニ熟々内地之景況ヲ観察スルニ我国ノ人民概スルニ永遠之策ヲ図ラズ目前ノ小利ニ溺レ往々粗造濫製之弊ニ陥リ易ク、此弊ヤ啻ニ之カ固有ノ声価ヲ失フ而已ナラズ終ニ殖産之道ヲ渋滞スルノ不幸ヲ惹起ノ恐不少、加之本邦ノ工芸品ニ至テハ其製法ノ未タ完全ナラザルヨリ一時多数ニ海外ノ注文ヲ受クル時ハ約束期限ヲ誤ル者往々ニシテ有之、為ニ国民ノ信用ヲ失フ実ニ鮮少ナラザル義ト奉存候、此等ハ畢竟人民ノ小利ニ溺レ姑息ニ安ンシ候ヨリ致ス所ノ弊ニシテ、固ヨリ世上ニ於テ勧工ノ道ヲ講シ、此弊風ヲ矯正セントスル者亦タ不少義ト奉存候得トモ、其説ク所或ハ高尚ニ失セザレハ理論ニ過キ、実際ニ就テ之ガ改良ヲ企図スル者寥々晨星ニ過キズ、如此貴重ノ産業ヲシテ之ガ為メ萎蘼不振之姿《(靡)》ニ立至ラシメ候義ハ実ニ遺憾不少義ト奉存候、仍之今般当商法会議所工業事務委員ニ於テ先ツ前陳之四品製造ニ供用スル資本ノ大小並ニ職工ノ多寡増減、及其賃銀ノ昂低等苟クモ右製造ニ関スル事項ヲ挙ケ、全国各製造地ニ於テ実際之景況ヲ調査詳悉シ、又其製造盛衰之原因等ヲ仔細ニ探究シ、併セテ之カ改良ノ方法等ニ就キ其所見ヲ記シテ以テ之ヲ一般公衆ニ示シ、将来粗造濫製之弊ヲ一洗シ、右工業ノ益々隆昌ナラン事ヲ只管企図罷在候処、何分以上四品製造ニ関スル実況ノ如キハ到底一人一己之力ヲ以テ調査ノ行届クベキ義ニハ無之、然ルニ政府ニ於テハ方今専ラ工芸品製産上ニ就キ篤ク保護奨励被為在之際ニ付、是迄各地製造所等ニ於テ実際之景況御取調相成候モノ不少義奉存候間、自然御省ニ於テ右御取調ニ係ル記録書類御保存ニモ相成居候ハ、御垂示被成下候様仕度、尚ホ当会議所ヨリ各府県勧業課等ヘ依頼之上広ク右工芸ノ実況ヲ探尋シ、其改良法ヲ講究シテ以テ国家幾分ノ公益ヲ図リ度奉存候間、何卒前条御聞届被成下度此段奉願候也
  明治十三年五月廿六日   東京商法会議所第一副会頭
                    福地源一郎
 - 第17巻 p.575 -ページ画像 
    大蔵卿佐野常民殿
第三百二十一号《(太字ハ朱書)》
願之趣ハ工芸品ニ就キ特ニ纂輯之書類モ無之ニ付難及下附候事
 但商務局於テ調査之書類中参考可相成分ハ追次同局ヨリ直ニ其会議所ヘ下附可致事
明治十三年八月三十日         大蔵卿佐野常民大蔵卿印


東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 三(DK170046k-0004)
第17巻 p.575-576 ページ画像

東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 三
                   (東京商工会議所所蔵)
(案)
   《(源)》
近来我国工業之道追々進歩シ、現ニ我国工芸品ニシテ海外之需用ニ応スルモノ其類不少、就中陶器・磁器.漆器並ニ銅器ノ四種ノ如キハ夙ニ外国市場ニ声価ヲ博シ、其販路モ随テ増加之勢ニ有之、今ニシテ内之レガ製法ノ改良ニ怠ラズ外益々其需用ヲ増サバ将来本邦貴重ノ産物ト可相成ハ予シメ可期義ト奉存候、然ルニ熟々内地ノ景況ヲ観察スルニ我国ノ人民概スルニ永遠ノ策ヲ図ラズ目前ノ小利ニ溺レ、往々粗造濫製之弊ニ陥リ易ク此弊ヤ啻ニ之レガ固有之声価ヲ失フ而已ナラズ終ニ殖産之道ヲ渋滞スルノ不幸ヲ惹起スノ恐不少、加之本邦ノ工芸品ニ至テハ其製法ノ未ダ完全ナラザルヨリ一時多数ニ海外ノ注文ヲ受クル時ハ約束期限ヲ誤ル者往々ニシテ有之為ニ国民ノ信用ヲ失フ実ニ不鮮少義奉存候、此等ハ畢竟人民ノ小利ニ溺レ姑息ニ安ンシ候ヨリ致ス所ノ弊ニシテ、固ヨリ世上ニ於テ勧工之道ヲ講シ、此弊風ヲ矯正セントスル者亦不少義奉存候得ドモ、其説ク所或ハ高尚ニ失セザレハ則チ理論ニ過キ、実際ニ就テ之カ改良ヲ企図スル者寥々晨星ニ過ギズ、此ノ如キ貴重之産業ヲシテ之ガ為メ萎蘼不振之姿《(靡)》ニ立至ラシメ候義ハ実ニ遺憾不少義ト奉存候、仍之今般当商法会議所工業事務委員ニ於テ先ツ前陳ノ四品製造ニ供用スル資金ノ大小並ニ職工ノ多寡増減及其賃銀ノ昂低等苟モ右製造ニ関スル事項ヲ挙ケ、全国各製造地ニ於ケル実際之景況ヲ調査詳悉シ、又其製造盛衰之原因等ヲ仔細ニ探究シ併セテ之ガ改良ノ方法等ニ就キ其所見ヲ記シテ以テ之ヲ一般公衆ニ示シ、将来粗造濫製之弊ヲ一洗シ、右工業ノ益々隆昌ナラン事ヲ只管企図罷在候処何分以上四品製造ニ関スル実況ノ如キハ到底一人一己ノ力ヲ以テ調査ノ行届クベキ義ニハ無之、之ガ実際之景況ヲ詳悉候ニハ普ク各府県勧業課ヘ御依頼候ヨリ他ニ求ムベキ方法無之ト衆議一決仕候、就テハ目今御用御多端ノ際御手数相願候義ハ別シテ恐縮之至奉存候得共、右ハ則チ工芸勧奨ノ一助トモ相成義奉存候間、幸ニ此挙御嘉納被為在候得者御賛助之程偏奉願度、就テハ当会ニ於テ取調ヲ要スル事項別紙ニ記載差進申候間、右悉ク御取調行届兼候場合モ有之候ハヽ実際御分リ相成候丈ニテモ可然候間御取調相願度、尤右ハ内務大蔵両卿閣下ヘモ是迄各地方ニ於テ工業ノ景況御取調相成候記録書申受度旨已ニ及出願置候義ニ付、幸各地ニ於テ実際之景況漸次御報道ニ預リ候ハヽ右ニ就キ当会委員ハ更ニ十分ノ考案ヲ下タシ、其都度之ヲ各府県勧業課ヘ御送
 - 第17巻 p.576 -ページ画像 
附仕候ハ勿論、其他之ガ実業者ニ相示シ、右改良之方法等専ラ之ヲ講究致度奉存候間、何卒其御県ニ於テ差向前顕四品ノ景況御取調今ヨリ後二月ヲ限リ御報道相成候様仕度、此段偏ニ御依頼申上候也
  十三年五月廿七日
                      東京商法会議所
    各府県 東京府ヲ除キ二府三十七県
      勧業課
        御中
(別紙)
    調査ヲ要スル事項左ノ如シ
陶磁器之部
一製器竈所在ノ地名及所有主之姓名
一同竈及其間口ノ員数
一各間口一個ニ付製出ノ物品平均原価ノ概略
一各竈ニテ一ケ年中陶磁器ヲ焼ク度数
一製造品ノ類分ケ(譬ヘバ茶碗・土瓶・徳利・皿・鉢等)及内国需用品何分海外輸出品何分ナルカ
一各製造場職工ノ概数
一各製造所職工ノ賃銀
一各竈ニテ一ケ年消費スル薪炭ノ価額
一各製造所ニテ一ケ年製造スル該品ノ価額ノ概略
漆器ノ部
一製造場地名及所有主ノ姓名
一各製造場ニテ一ケ年製出ノ価額
一各製造場ニテ一ケ年要スル所ノ生漆及消費スル木材(漆器ニ要スルモノ)ノ価額及生漆ハ何レノ地ヨリ供給スルカ
一各製造所職工ノ概数及其賃銀概額
銅器ノ部
一製造場地名及所有主ノ姓名
一各製造場ニテ一ケ年製出ノ価額
一各製造場ニテ一ケ年中要スル所ノ地金量目及消費スル薪炭価額
右ノ事項ハ何レモ四五年前ヨリ其増減或ハ昂低等ノ概略御取調ヲ要スル義ニハ御座候ヘトモ、本文中ニモ申上候通リ悉ク御取調行届兼候義モ有之候ハヽ実際御詳悉可相成分丈ケニテモ御報道有之度候也


東京商法会議所要件録 第一六号・第五頁 明治一三年九月一一日刊(DK170046k-0005)
第17巻 p.576 ページ画像

東京商法会議所要件録  第一六号・第五頁 明治一三年九月一一日刊
  第十六定式会議 明治十三年八月五日午後第七時五十分開場
    議員出席スル者 ○二十名
○上略 右了リテ会頭 ○渋沢栄一ハ嚮ニ工業事務委員ノ建議ニ拠リ工芸品調査ノ義ニ付二府三十七県ニ依頼シタルニ、爾来今日ニ至ル迄其報告ヲ得タルモノ長野県・宮城県・京都府・広島県・千葉県・大阪府・群馬県青森県・愛媛県、二府七県ニ及ビタルヲ報ジ、且ツ曰ク、此回答書ハ而後到来スベキモノト共ニ之ヲ該委員ニ付シ其調査報告ヲ要スベキモノトス ○下略
 - 第17巻 p.577 -ページ画像 


東京商法会議所要件録 第二一号・第三八―三九頁 明治一四年二月一〇日刊(DK170046k-0006)
第17巻 p.577 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二一号・第三八―三九頁 明治一四年二月一〇日刊
 ○参考部 明治十三年東京商法会議所事務報告
○工芸品調査之議
  本議ハ工業事務委員松尾儀助・森村市太郎両君ノ建議ニ係ルモノニシテ、本年五月十三日第十五定式会ニ於テ衆議ニ附シタルニ全会ノ賛成ヲ得、先ヅ工芸品中陶器・磁器・漆器・銅器ノ景況ヲ調査スルヲ以テ着手ノ初トスルニ決シ、乃チ五月廿六日ヲ以テ書ヲ内務・大蔵両卿ニ呈シ、以上四品ニ係ル調査書類ヲ求メ、且ツ右四品ニ就キ予メ調査ヲ要スル事項ヲ議定シ、翌廿七日ヲ以テ東京府ヲ除キ二府三十七県勧業課ニ向テ依頼書ヲ発シ三ケ月ヲ限リ右事項ヲ調査シ其景況ヲ報知セラレン事ヲ要シタリ、爾後今日ニ至ル迄此等府県中既ニ其景況ヲ報知シタルモノ二府二十三県ナリ、而シテ自余十四県ヨリモ不日回報アルベケレバ本件ハ則チ当初建議者ノ企図スル所ニ基キ委員ヲシテ以上四品ニ就キ各地工芸ノ進否技術ノ巧拙等ヲ対照計較セシメ、兼テ其意見ヲ附シタル後之ヲ議場ニ報告スベキ見込ナリ


東京商法会議所要件録 第二七号・第六頁 明治一四年四月二一日刊(DK170046k-0007)
第17巻 p.577 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二七号・第六頁 明治一四年四月二一日刊
  第二委員総会 明治十四年四月十二日午後六時開議
    ○工業事務委員調査之件
去年某月該委員ノ建議ニ依リ全国各地工芸ノ調査ヲ各府県ニ求メタルニ、爾来本会ノ請求ニ応シテ調査書ヲ送付セルモノ玆ニ二府二十六県ニ及ベリ、然レトモ該委員ハ未ダ議場ニ其報告ナキヲ以テ徒ラニ之ヲ遷延ニ付スルガ如キ事アル時ハ、一ハ各府県ニ対シ調査ノ労ヲ空フシ一ハ委員其人ナキ歟ノ疑ヲ起サシムルヲ恐レ、渋沢君ハ之ヲ委員ニ質シタルニ其主任者松尾儀助君ハ其遷延今日ニ至リタルノ理由アルヲ述ベ、且ツ漸次整頓ノ考案モ定マリタレバ不日ニシテ其報告ヲ議場ニ提出スル見込ナリト答ヘリ