デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.577-580(DK170047k) ページ画像

明治14年4月12日(1881年)

曩ニ東京府知事松田道之ヨリ当会議所議員ニ市区改正ニ関スル諮問アリシガ、是日以降当会議所ニ於テモ該件ニ関スル審議行ハル。栄一之ニ与ル。


■資料

東京商法会議所要件録 第二七号・第一―五頁 明治一四年四月二一日刊(DK170047k-0001)
第17巻 p.577-578 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二七号・第一―五頁 明治一四年四月二一日刊
  第二委員総会 明治十四年四月十二日午後第六時開議
委員総会ノ定日ハ本月十日ナリシガ当日ハ日曜日ニシテ委員中差支ノ者多キヲ以テ之ヲ本日ニ延会セリ、而シテ本日各課委員中ニテ来会シタル者十一名(渋沢栄一・益田孝・福地源一郎・大倉喜八郎・清水九兵衛・丹羽雄九郎・野中万輔・平野富二・柴崎守三・松尾儀助・原六郎)ニシテ其他ハ事故アリテ不参ヲ告グ、即チ午後第六時ヨリ議事ヲ開キ左ノ件々ヲ討議決定シタリ
○中略
    ○市区改正ノ議ニ付建議之件
 - 第17巻 p.578 -ページ画像 
曩キニ東京府知事ヨリ中央市区改正ノ事ニ関シ当会各員ノ考案ヲ諮詢セラレテヨリ議員中野中万輔君ノ如キハ已ニ其意見ヲ書シテ之ヲ上陳セリ、今ヤ又平野富二君ハ市区改正並ニ築港ノ処見ヲ上申スルニ当リ先ヅ之ヲ議場ニ質シ衆説之ヲ可トセバ是則チ本会ノ考案ナリト云フヲ以テ上陳セント欲ス、之ヲ要スルニ一人ノ言論ハ十人ノ結合ニ若カズ仍テ願ハクハ之ヲ議場ニ提出シテ衆説ヲ求メタシト述ベラレタルニ、中ニハ従前已ニ野中君ノ例モアレバ其考案書ハ直チニ平野君ヨリ上申セラルヽ如何トノ考案モアリタレトモ、兎ニ角之ヲ議場ニ質シ衆論ヲ求ムルモ敢テ妨ケナカルベシトノ説多キヲ以テ、次回臨時会議ニ於テ之ヲ議場ニ建議スベシト云フニ決ス


東京商法会議所要件録 第二八号・第一―四頁 明治一四年五月二一日刊(DK170047k-0002)
第17巻 p.578 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二八号・第一―四頁 明治一四年五月二一日刊
  第三委員総会 明治十四年五月十日午後第六時開場
本日各課委員中来会スル者渋沢栄一・益田孝・大倉喜八郎・野中万輔益田克徳・平野富二・原六郎・松尾儀助ノ八名ニシテ、其他ハ皆不参ヲ告グ、委員ハ各自其担当ノ事務ヲ報告シ、且ツ自分其調査ヲ要スヘキ手続ヲ議定シタリ、其件々左ニ条記スルガ如シ
○中略
    ○市区改正ノ事ニ就キ東京府知事ヘ建議スルノ議
曩キニ東京府知事ハ市区改正ノ議ヲ起シ其得失ヲ本会議員ニ諮問セラレ、現ニ議員中野中君ハ其答議ヲ作クリ直チニ之ヲ府知事ニ上陳セラレタリシガ、平野君ハ右改正ニ就キ数人ノ議員連合シテ府知事ニ建議セン事ヲ望マレ、今会其草案ヲ提出シテ其挙示スル所ノ要項ニ就キ総体ノ意見ヲ問ヒタシトノ説ヲ述ベラレタリ、蓋シ曩キニ府知事ガ本会議員ニ市区改正ノ得失ヲ諮問セラレタルヤ、各員一個人ノ資格ニヨリテ其答議ヲ要セラレタルモノニシテ、敢テ本会総体ノ意見ヲ諮問セラレタルモノニ非ズ、然レトモ平野君ノ要望セラルヽ所モ其敢テ必ズシモ総体ノ議決ヲ強求セラルヽニ非ズ、数人ノ議員連合シテ本件ヲ建議スルノ可否ハ固ヨリ衆員ノ採択ニ任スベキモノナレバ、今会各員ハ之ニ向テ異議ヲ客《(容)》レズ、兎ニ角先ツ其建議案ヲ衆員ニ廻示シテ次会ノ臨時会ニ於テ之ヲ議スベシト云フニ決シタリ


東京商法会議所要件録 第四一号・第三六―三七頁 明治一五年二月二八日刊(DK170047k-0003)
第17巻 p.578-579 ページ画像

東京商法会議所要件録  第四一号・第三六―三七頁 明治一五年二月二八日刊
 ○明治十四年中東京商法会議所事務報告
    襍事  六件
○上略
中央市区改正ノ義ニ付議員平野富二君ノ建議
 昨十三年十一月八日ヲ以テ東京府知事ヨリ区劃改正ノ事ニ関シ本会議員各自ノ意見ヲ諮詢セラレ、其後議員野中万輔君ハ荅議案ヲ製シ同年十二月十八日一個ノ資格ヲ以テ其意見ヲ府知事ニ上呈セラレシカ、本年ニ至リ猶議員平野富二君モ其意見書ヲ作クラレ、先ヅ之ヲ議場ニ提出シ、幸ニ衆員ノ賛成ヲ得バ之ヲ本会ノ意見トシテ府知事ニ上呈シタシトノ趣意ニテ本年四月十二日及五月十日両度ノ委員会ニ於テ発言セラレタルニ、臨時会ヲ開キ之ヲ衆議ニ付スヘシト決セ
 - 第17巻 p.579 -ページ画像 
シガ、抑モ此事タル府知事ヨリ各自ノ意見ヲ諮詞セラレタルニ在レハ議員一個資格ヲ以テ其書ヲ上呈セハ可ナリ、是レ即チ知事閣下ノ望ニ副フベシトノ説偶々議員中ニ生シタレバ終ニ同氏ハ一個ノ意見書トシテ之ヲ上呈セラレタリ
○下略



〔参考〕東京商法会議所要件録 第二九号参考部・第一―八頁 明治一四年六月一三日刊(DK170047k-0004)
第17巻 p.579-580 ページ画像

東京商法会議所要件録  第二九号参考部・第一―八頁 明治一四年六月一三日刊
    ○市区改正之義ニ付東京府知事ヘ建議スルノ議
曩キニ東京府知事ガ市区改正並ニ築港事業ニ就キ本会議員ノ意見ヲ諮問セラレテヨリ或ハ已ニ其所見ヲ書シテ之ヲ上陳シ、或ハ其考案ヲ上陳シテ以テ之ガ参考ニ供スルニ怠ラザリキ、余ヤ熟々之ヲ案ズルニ抑モ東京ノ地タル従来幕府ノ本部ニシテ外様譜代之大小名ヨリ旗本御家人等ニ至ル迄尽ク此ニ其居住ヲ定メ、各商估ハ其貨物ヲ此等ノ消費者ニ供給スルノミヲ以テ目的トシ、要スルニ其商勢甚ダ微弱ナリシニモ拘ラズ市区ノ制只ニ広漠ニ失シ、夫ノ欧米都府区画ノ如ク、未ダ必ズシモ天然形勢ノ便ニ依ラザルナリ、是ヲ以テ道路ノ制、運輸ノ道甚ダ不定全《(マヽ)》ニシテ商業都府ノ名ヲ以テ之ヲ適称スベカラザルナリ、然ルニ維新以後東京ノ商勢一変シ、供給者ト消費者ノ関係復タ昔日ト其趣ヲ同フセズ、内外交通ノ道益々開進シ、漸ク商業繁昌ノ気運ニ際シタリト云トモ、市区ノ制ニ至リテハ猶依然トシテ旧状ヲ改メズ、往々商業ノ進歩ヲ障碍スルモノ少シトセズ、是レ東京府知事ガ此改正案ヲ発セラレタル所以ニシテ又其改正ノ今日ニ止ムベカラザル所以ナラン歟、余輩豈之ヲ賛成セザルベケンヤ、蓋シ本件ノ如キハ頗ル重要ノ事業ニシテ一朝一夕ニ其功ヲ見ルベキニアラズ、故ニ今先ツ左ノ条項ニ拠リ意見ヲ府知事ニ建議シテ漸々其成功ヲ期セントス、然レトモ一人ノ所見ニシテ果シテ可ナレバ其之ヲ建議スル衆人結合ノ精神ニ因ルニ如カザルヲ以テ即チ左ニ卑見ヲ記シテ諸君ノ賛成ヲ請ハントス、希クバ諸君其条項ニ就キ高論ヲ吝シムナクンバ幸甚ナリ
  明治十四年四月             平野富二

    市区改正並築港之要項
第一 京橋区ヲ第一等トシ、銀坐通リヲ本線トシ、木挽町・築地・鉄炮洲等ハ粗ボ道路ノ区画其宜ヲ得ルガ故ニ些小ノ改正ヲ加ヒ其儘ニ据置ク事
第二 京橋ト炭谷橋トノ間ヲ河幅十間ニ切断スル事
第三 新富町・入船町之火防地ヲ幅員十間長サ二百間ノ溝渠トナスベキ事
第四 新橋鉄道局構内ニ長サ百六十間幅十間ノ新河ヲ開鑑《(鑿)》シ之ヲ同局貨物蔵ニ連続セシムル事
第五 合引橋ヨリ真福寺橋迄長百五十間幅十間ノ新河ヲ開鑿スベキ事
第六 采女橋側ヨリ一ノ橋側迄長サ百五十間幅十間ノ新河ヲ開鑿スベキ事
第七 軽子橋ヨリ新港町六丁目ノ小川ニ至ル迄幅五間長百五十間ノ新河ヲ通ズル事
 - 第17巻 p.580 -ページ画像 
第八 道路ノ制ハ総テ別紙絵図面 ○要件録中ニ収載セラレズノ如ク改正スベキ事
第九 芝口橋ヨリ京橋・日本橋間ハ在来ノ如ク据置キ、又神田区モ亦同様在来ノ如ク据置ク事
第十 八丁堀亀嶋橋ヨリ中之橋迄幅十五間長百五十間ノ溝渠ヲ新開シ銀座通リヨリ京橋・日本橋・万世橋迄ヲ第一等本道トシ、築地橋・桜橋・兜橋ヨリ浜町中橋通リ迄ヲ第二等副道トスベキ事
第十一 大名小路・永楽町・有楽町等ヲ人民ノ居住地トナシ、内幸町ヨリ内山下町辺ヲ以テ総テ諸官省ノ建築場所ト定メ、猶道路ヲ修繕シ、外濠ノ土堤及石垣等ヲ取毀チ之ヲ平坦ナラシメ、此土石ヲ以テ在来ノ外濠ヲ改鑿シ、其幅員ヲ一定ナラシメ猶剰余ノ土石ヲ以テ佃島台場ヨリ六番台場迄ヲ埋立ツベキ事、尤此工事ハ官費タルベキ事
第十二 海軍省前ニ三個ノ波止場ヲ築出シ、金杉前ヨリ六番台場迄ヲ埋立テ此等ノ工事ニ使用スル土石ハ外濠改鑿ノ土石ヲ以テ之ニ充ツベシ、而シテ此工事ハ人民ノ私費タルベシ、其方法ハ政府ニ於テ先ツ埋立ツベキ地面ノ絵図ヲ製シテ之ヲ布告シ、出願人アル時ハ之ヲ許可シ十五年間ハ地税ヲ免スベシ、若シ右ノ出願人ニシテ許可ヲ得タル後二ケ年間ニ其事業ニ著手セザル時ハ之ヲ引上ゲ、他ノ出願人ニ之ヲ許可スベシ、而シテ埋立テ落成ノ期ハ三ケ年ト定メ此期限ヲ経テ竣功セザル時ハ之ヲ公売シ之ヲ他ノ願人ニ譲渡スベシ、尤其公売代金ハ之ヲ其本人ニ附与スベキ事
第十三 府下船税ノ内毎年十万円ヲ限リ之ヲ積立テ、品海水路及小河ノ川浚費ニ供スベシ、且ツ「ダライジンマシイネ」三艘ヲ新造シテ土砂ヲ浚フノ用ニ充ツベシ
第十四 湯屋・馬草屋・焼芋屋・紙屑屋或ハ藁ヲ取扱フ営業人等ハ其家屋ヲ煉化石造ニスルカ、若クハ塗家トスルニ非レバ朱引内ニ営業ヲ禁スベシ、鑑冶職或《(鍛)》ハ鋳物職人ニシテ自宅ニ営業スル者ハ霊岸島鉄炮洲・入船町・築地ヲ限リ之ヲ許シ、其他ハ其家屋ノ建築前条ノ制限ニ依ルニ非レバ朱引内ノ営業ヲ禁ズベシ
第十五 従来ノ如ク木製ノ水道ヲ用フル時ハ腐朽ノ憂アリ、随テ之ガ修繕ノ為メ年々支出スル所ノ費用蓋シ少カラズ、故ニ此水道ヲ鋳鉄管ニ改造スル時ハ一時多分ノ費用ヲ要スベシト云トモ、之ヲ永世ニ計算スル時ハ却テ其利益アルヲ信ズルナリ
第十六 朱引内ハ何レノ地ヲ問ハズ瓦斯ヲ通シ街灯ヲ点スベシ、且ツ其家屋ハ火災保険法ヲ設ケテ之ニ保険ヲ附スベシ
第十七 朱引内外ノ分界線ハ海軍省濠端ヨリ蓬莱橋・虎之門ニ至リ、同所ヨリ桜田門・坂下門・桔梗門・大手門・一ツ橋・神田橋・万世橋・昇平橋・和泉橋・美倉橋・佐衛門橋・浅草橋・柳橋・両国手前新大橋手前・永代橋手前・霊岸島・築地等ニ至ル迄ト劃定スベシ