デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.634-641(DK170050k) ページ画像

明治14年6月25日(1881年)

六月十七日、農商務省商務局当会議所保護金ヲ七月以降廃止スル旨公達ス。仍テ栄一、是日ノ会議ニ会議所今後ノ維持方法ニ付提議シ、論議ノ末議員醵金額ヲ倍増スルニ決ス。


■資料

渋沢栄一書翰 梅浦精一宛 (明治一四年)三月九日(DK170050k-0001)
第17巻 p.634 ページ画像

渋沢栄一書翰  梅浦精一宛 (明治一四年)三月九日    (土肥脩策氏所蔵)
○上略
商務局保護金之事ハ拝承仕候、尚局長ヘ拝晤之上工夫も可有之と存候小生一昨日より風邪今日も平臥罷在候、右ニ付先日御預り之書類も一覧手間取申候、尚跡より可申上候 匆々
  三月九日                   栄一
    梅浦様


東京商法会議所要件録 第三二号・第二六―二九頁 明治一四年七月三〇日刊(DK170050k-0002)
第17巻 p.634-636 ページ画像

東京商法会議所要件録  第三二号・第二六―二九頁 明治一四年七月三〇日刊
  第十四臨時会 明治十四年六月廿五日午後七時廿分開場
    議員出席スル者 〇二十一名
○上略
次ニ会頭 ○渋沢栄一ハ更ニ各員ニ報シテ曰ク、是迄商務局ヨリ一ケ年千円ノ割合ヲ以テ保護金ヲ下付セラレシガ十四年度ヨリ之ヲ発《(廃)》スル旨ノ公達アリタリ(参考部ニ付ス)蓋シ此事ハ二月定式会ニ於テモ兼テ予期シタル事
 - 第17巻 p.635 -ページ画像 
ニシテ一応協議ヲ尽クシタリシガ、本年一月ヨリ五月迄会計ノ景況ヲ見ルニ平均二百円内外ノ月費ヲ要シ、此額タル役員給料其外印刷用度ニ向テ支出スルモノニシテ、更ニ省クベキノ冗費ナク差向キ来月ヨリ支弁ニ差支ヲ生スル程ナレハ、先ツ如何シテ之ヲ維持スベキカ、其方法ヲ今日ニ定ムルハ甚ダ以テ必要ナルヘシ、諸君ノ意見果シテ如何
木村 ○木村豊次郎曰ク、已ニ保護金ヲ廃セラレタル上ハ申ス迄モナク醵金ヲ増出シテ之ヲ維持スベシ、其金額過大ニ非レハ是敢テ難キニ非スト思惟ス
丹羽 ○丹羽雄九郎曰ク、此方法ヲ議定スル前ニ於テ更ニ一言ノ質議ヲ要スルモノアリ、夫レ本会ハ商賈ノ私会タルニ過ギス、然ルモ今日迄慣例ニヨリ常ニ公益ヲ図ルヲ主務トスルガ如キモノハ抑モ何ゾヤ、已ニ商賈ノ私会ニシテ其性質尋常懇親会タルニ過キサルモノナラハ公益ヲ図ルヲ主務トスヘキニ非ス、又政府ノ補助ヲ受クヘキモノニモ非ス、然リト云トモ若シ本会ヲシテ専ラ公益ヲ進捗スヘキモノナラシメハ政府ニ於テ之ヲ補助スルモ決シテ不当ナラサルヘシ、本会創立ノ主旨ハ果シテ如何アリシカ
会頭曰ク、抑モ本会創立ノ趣旨タル即チ公益ヲ進捗スルニ在リタリ、而シテ当時府知事モ此事ヲ公認シタル所ナリ、故ニ其組織ヲ以テスレハ商賈ノ私会ナリトハ云トモ自ラ公共ノ性質ヲ帯ブルモノニシテ、尋常懇親会ノ如キモノト大ニ異ナル所アリ、且ツ夫レ発起人ハ当初ヨリ各自ノ醵金ヲ以テ之ヲ維持スルノ見込ニシテ、嘗テ府知事ヨリ特例ヲ得タル事ナシ、而シテ従来ノ保護金ナルモノハ商務局長ヨリ直受スル所ニシテ、是保護ヨリハ寧ロ報酬ノ義ヲ帯フルモノヽ如シ、案ズルニ米国紐育商法会議所ノ如キハ其組織上ヨリ之ヲ見レハ、亦是レ商賈ノ私会ニシテ嘗テ政府ノ補助ヲ受クル事ナク、猶常ニ公共ノ利害ヲ論究スルヲ以テ主務トスルヲ見レハ、従来本会カ政府ノ保護ニヨリテ成立シタルモノハ是変例ニシテ正体ニ非サルヤ明カナリトス、之ヲ要スルニ其主務ハ公益ヲ図ルニアルニモセヨ、各自ノ私力ヲ以テ之ヲ維持スルハ蓋シ穏当ナルカ如シ
益田克徳曰ク、余ハ本年五月廿九号布告ニヨリ本会ノ組織ヲ一変シ、商業議会ト改メン事ヲ望ムナリ、而シテ右ノ布告ニヨレハ其議員ハ公撰スルノ制ニシテ其会費ハ総テ民間協議費ヲ以テ支弁スルモノナレハ今日ノ如ク維持方法ニ苦シムル事モナカルヘシ、然リト云トモ右ノ布告ニ掲クル所ノ規則ヲ案ズルニ、設立ノ手続甚タ不明瞭ナレハ、先ツ本会ハ政府ニ向テ之カ説明ヲ求ムルヲ要ス、夫レ右布告ノ如キハ商業上至大ノ関係ヲ有スルモノナレハ本会ヨリ其解釈ヲ請フモ決シテ不当ニ非ルヘシ
大倉 ○大倉喜八郎曰ク、廿九号布告ニ示ス所ノ商業議会ノ如キハ法律ヲ以テ設立スルモノナレハ其効本会カ現当ノ組織ノ比ニ非ス、故ニ益田君ノ説ヲ賛成ス
会頭曰ク、廿九号ノ布告ヲ案スルニ只商業議会ヲ開クヲ得トノミアリテ未ダ誰ノ発起人タルヲ明示セス、又撰挙区域ト議員数ノ制限ト広狭其権衡ヲ得サルカ如ク、又撰挙被撰挙人資格ノ制限広キニ過クルカ如ク大ニ其解釈ニ苦シム所少カラス、而シテ嘗テ其筋ノ人ニ問フタル事
 - 第17巻 p.636 -ページ画像 
モアリシガ未タ十分ノ明解ヲ得ル事能ハズ、故ニ今公然其説明ヲ請フモ或ハ遷延ノ恐ナシトセズ、此辺余カ懸念スル所ナリ
清水誠曰ク、廿九号布告ノ解釈ヲ政府ニ求ムルハ固ヨリ余カ同意スル所ナリト云トモ、已ニ保護金ノナキ以上ハ差向キ維持ニ差支ヲ生スベケレバ、先ツ目下焼眉ノ急ニ応セサルベカラズ、熟々余カ考フル所ヲ以テスレハ従来ノ醵金額ヲ増加スル事トセハ其維持甚タ難カラサルベシ
於是本会維持ノ方法ニ就キ各員交々議論アリシカ、終ニ従来ノ醵金額一円五十銭ヲ改メテ来七月ヨリ三円トスル事ニ定メ、廿九号布告ニ就テハ更ニ其解釈ヲ府知事ニ請フニ決ス


東京商法会議所要件録 第三二号・第四八頁 明治一四年七月三〇日刊(DK170050k-0003)
第17巻 p.636 ページ画像

東京商法会議所要件録  第三二号・第四八頁 明治一四年七月三〇日刊
 ○参考部
    ○商務局ヨリ達書写
                    東京商法会議所
其会議所保護金トシテ壱ケ年金千円ヲ目途トシ、毎月金八拾三円三拾三銭三厘ヅヽ下付シ来居処、本年七月已降相廃候条此旨相達候事
  明治十四年六月十七日     商務局長 河瀬秀治 印
別紙局長ヨリ之達書羞回候条至急受書可被差出候《(差)》、此旨及御達候也
  十四年六月十七日            農商務省
                        商務局
    東京商法会議所 御中


東京商法会議所要件録 第四一号・第三〇―三一頁 明治一五年二月二八日刊(DK170050k-0004)
第17巻 p.636 ページ画像

東京商法会議所要件録  第四一号・第三〇―三一頁 明治一五年二月二八日刊
 ○明治十四年東京商法会議所事務報告
    本会会計上ニ関スル事項  五件
○上略
商務局保護金廃止附議員ノ醵金ヲ増額スルノ件
 従来商務局ヨリ保護金トシテ一年金千円ノ割合ヲ以テ毎年金八拾三円三拾三銭三厘《(月)》ツヽ下付セラレタリシガ、本年六月十七日商務局長河瀬秀治殿ヨリ右保護金下付ノ義七月以降廃止スル旨達セラレタリ蓋シ此事ヤ本会維持上ニ至大ノ関係ヲ有スル者ニシテ、仮令ヒ其成立ヲ保護金ニ依頼スルニアラサルモ遽カニ月費定額上如斯減少ヲ来タス時ハ勢其定務ヲ減縮スル歟、将タ否ラサレハ他ニ方法ヲ設ケテ以テ其不足ヲ補充セサルヘカラス、於是乎会頭ハ六月廿五日第十四臨時会ニ於テ之ヲ議場ニ報道シ、更ニ本会維持ノ方法ヲ商議シタルニ終ニ衆議ノ末、従来議員ノ醵金一円五拾銭ヲ三円ニ増額シ以テ其不足ヲ補フベシト云フニ決シタリ
○下略



〔参考〕東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 四(DK170050k-0005)
第17巻 p.636-637 ページ画像

東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 四
                   (東京商工会議所所蔵)
 本年六月十七日附雑第八拾号ヲ以東京商法会議所保護金七月已降廃止之義商務局長ヨリ御達およひ候ニ付、請書可被差出旨其節御通知
 - 第17巻 p.637 -ページ画像 
およひ置候処、今以請書御差出無之差支候間、至急御差出可有之候
一兼而御達およひ置候保護金仕払方精算書之義十三年一月已降本年六月迄之分于今御差出無之調査上差支不少候間、来ル三十日迄ニ無相違御差出可有之候
右及御達候也
  十四年十月廿五日            商務局庶務課
    東京商法会議所御中



〔参考〕東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 四(DK170050k-0006)
第17巻 p.637-640 ページ画像

東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 四
                   (東京商工会議所所蔵)
(案)

明治十三年一月以降本年六月迄保護金支払方精算書差出候様御達之趣承知仕候、即チ別紙精算書之通御座候間此段御届申上候也
  明治十四年十月廿七日
                      東京商法会議所
    農商務省商務局御中
(別紙)
  明治十三年一月ヨリ同十四年六月迄定額需用費精算書
一金三拾四円六拾四銭三厘    明治十二年十二月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘    一月分保護金
一金三百九拾弐円五拾銭     議員醵金取立高
一金七拾壱円弐拾銭       積立金定期預金利子
合計金五百八拾壱円六拾七銭六厘
    内
一金二百七十四円四十二銭壱厘         一月分役員給料並ニ用度印刷費
差引
一金三百〇七円弐拾五銭五厘   一月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘    二月分保護金
一金壱円四銭壱厘        福岡愛媛両県より要件録代
合計金三百九拾壱円六拾弐銭九厘
    内
一金百拾七円四拾九銭六厘            二月分役員給料並用度印刷費
差引
一金弐百七拾円拾三銭三厘            二月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            三月分保護金
一金五百円                   関税局ヨリ御下付金
一金弐百九拾八円五拾銭             議員醵金
合計金千百五十五円九十六銭六厘
    内
一金百八拾五円六拾弐銭四厘           三月分役員給料並用度印刷費
差引
一金九百七拾円三拾四銭二厘           三月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            四月分保護金
 - 第17巻 p.638 -ページ画像 
一金六拾九円                  議員醵金
合計金千百弐拾弐円六拾七銭五厘
    内
一金百四拾五円五拾五銭五厘           四月分役員給料並用度印刷費
差引
一金九百七拾七円拾弐銭             四月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            五月分保護金
合計金千六拾円四拾五銭五厘
    内
一金百七拾四円三拾弐銭三厘           五月分役員給料並用度印刷費
差引
一金八百八拾六円拾三銭             五月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            六月分保護金
一金三円                    議員醵金
合計金九百七十弐円四拾六銭三厘
    内
一金百七拾円三拾壱銭弐厘            六月分役員給料並用度印刷費
差引
一金八百弐円拾五銭壱厘             六月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            七月分保護金
一金百三拾弐円                 議員醵金
合計金千〇拾七円四拾八銭四厘
    内
一金百八拾九円五拾九銭弐厘           七月分役員給料並用度印刷費
差引
一金八百弐拾七円八拾九銭弐厘          七月ヨリ越金高
一金拾五円                   議員醵金
合計金八百四拾弐円八拾九銭弐厘
    内
一金百六拾八円五拾四銭六厘           八月分役員給料並用度印刷費
差引
一金六百七拾四円三拾四銭六厘          八月ヨリ越金高
一金百六拾六円六拾六銭六厘           八九両月分保護金
合計金八百四拾壱円〇壱銭弐厘
    内
一金百五拾八円弐拾六銭八厘           九月分役員給料並用度印刷費
差引
一金六百八拾弐円七拾四銭四厘          九月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            十月分保護金
一金九円                    議員醵金
一金弐拾壱円                  積立金定期預利子
合計金七百九拾六円七銭七厘
    内
一金百六十三円五十四銭弐厘           十月分役員給料並用度印制費
 - 第17巻 p.639 -ページ画像 
差引
一金六百三拾弐円五拾三銭五厘          十月ヨリ越金高
一金拾六円五拾銭                議員醵金
一金八拾三円三拾三銭三厘            十一月分保護金
合計金七百三拾弐円三拾六銭八厘
    内
一金百七拾三円六銭四厘             十一月分役員給料並用度印刷費
差引
一金五百五拾九円三拾銭四厘           十一月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            十二月分保護金
一金三百四拾三円五拾銭             議員醵金
一金拾弐円                   工業演説会両度分入費受取
合計金九百九拾八円拾三銭七厘
    内
一金四百六拾壱円四拾五銭九厘          十二月分役員給料並用度印刷費
差引
一金五百三拾六円六拾七銭八厘          十二月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            明治十四年一月分保護金
一金七拾八円                  議員醵金
合計金六百九拾八円壱銭壱厘
    内
一金弐百七拾四円三拾五銭七厘          一月分役員給料並用度印刷費
差引
一金四百弐拾三円六拾五銭四厘          一月ヨリ越金高
一金拾五円                   議員醵金
一金八拾三円三拾三銭三厘            二月分保護金
一金百四拾六円四拾壱銭弐厘           発起人寄付金
一金百円                    商況調査費東京府ヨリ下附
一金百八円                   議員醵金
合計金八百七拾六円三拾九銭九厘
    内
一金百八拾八円七拾四銭六厘           二月分役員給料並用度印刷費
差引
一金六百八拾七円六拾五銭三厘          二月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            三月分保護金
一金百拾弐円五拾銭               議員醵金
合計金八百八拾三円四拾八銭六厘
    内
一金弐百弐拾八円六拾六銭二厘          三月分役員給料並用度印刷費
差引
一金六百五拾四円八拾弐銭四厘          三月ヨリ越金高
一金百拾弐円五拾銭               議員醵金
合計金七百六拾七円三拾弐銭四厘
    内
 - 第17巻 p.640 -ページ画像 
一金弐百〇五円八拾四銭八厘           四月分役員給料並用度印刷費
差引
一金五百六拾壱円四拾七銭六厘          四月ヨリ越高金
一金百六拾六円六拾六銭六厘           四五両月分保護金
一金百〇八円                  議員醵金
合計金八百三拾六円拾四銭弐厘
    内
一金百八拾三円                 五月分役員給料並用度印刷費
差引
一金六百五拾三円拾四銭弐厘           五月ヨリ越金高
一金八拾三円三拾三銭三厘            六月分保護金
一金百〇八円                  議員醵金
合計金八百四拾四円四拾七銭五厘
    内
一金百九拾五円四拾弐銭三厘           六月分役員給料並用度印刷費
差引
一金六百四拾九円〇五銭弐厘           六月ヨリ越高
以上



〔参考〕東京商法会議所要件録 第四一号・第四五―四七頁 明治一五年二月二八日刊(DK170050k-0007)
第17巻 p.640 ページ画像

東京商法会議所要件録  第四一号・第四五―四七頁 明治一五年二月二八日刊
 ○明治十四年東京商法会議所事務報告
    会計ノ報告
○上略
今ヤ会計ノ景況ヲ報告スルニ当リ、更ニ特書スベキノ件ハ本年七月已降商務局保護金ノ廃止及議員醵金之増額即チ是ナリ、抑モ此保護金タル明治十一年本会創立ノ際内務省旧勧商局ヘ請願シタルニ起因スルモノニシテ其後同局廃セラレ大蔵省中更ニ商務局ヲ新置セラレタルノ際ニ於テモ之ヲ廃止セラレス、終ニ本年迄之ヲ経続セラレタリト云トモ其永遠依頼スヘカラサルハ本会創立ノ際已ニ之ヲ予期スル所ナリキ、左レバ当時本会会計委員吉川長兵衛君ノ注意ヲ以テ積立金ノ法ヲ設ケ発起人タル者ハ毎月金五円以上其他ノ議員ハ同弐円以上ヲ積立テ其元金ハ永遠之ヲ保存シ、其利子ヲ以テ本会ノ常費ニ充ツル事ト定メタリシカ、其後発起人米倉一平氏ヨリ議員中其積立金額ヲ異ニスルモノハ或ハ公共ノ実ヲ損スルノ嫌ナキニ非ス、故ニ彼此共ニ同額ヲ積立ツベシトノ議ヲ発セラレ此説全会ノ可決ヲ得、終ニ各員凡テ毎月金五円ヲ積立ツベシト一決シタリ、然ルニ其後此積立金ノ法ニ就キ議員中異議ヲ抱ク者アルヨリ終ニ昨年二月福地源一郎君ノ発議ヲ以テ従来積立金ノ法ヲ改メ、其已ニ積立テタル金額ハ尽ク之ヲ各員ニ返還シ、而シテ更ニ各議員毎月金壱円五拾銭ツヽヲ醵出シテ維持費ニ供スル事ニ決定シ、爾後本年七月迄此法ヲ継続セシカ此際商務局保護金廃止ノ御達アリ、此ニ至リテ其醵金ヲ三円ニ増額シタルナリ、而シテ現ニ本会ガ其維持費ヲ支弁スルハ一ニ此法ニ依ルモノトス、今ヤ本年会計ノ景況ヲ報告スルニ当リ聊カ玆ニ創立以来本会維持法ノ沿革ヲ略叙シテ以テ他日ノ参考ニ供スル事爾カリ
 - 第17巻 p.641 -ページ画像 



〔参考〕東京商業会議所史 第五―六頁 刊(DK170050k-0008)
第17巻 p.641 ページ画像

東京商業会議所史  第五―六頁 刊
 ○第一章 起源
    二 東京商法会議所
○上略
 東京商法会議所の経費は、初め内務省勧商局より年額壱千円の保護金を給せられ、其の他は発起人より毎月五円以上、他の議員より毎月弐円以上の積立金を為し、其の利子を以て経費に充つることゝし、後各員平等に五円を積立つることに改めたりしが、明治十四年二月より積立金の制を廃し、従来の積立金を各其の醵出者に返還し、更に各議員毎月壱円五拾銭づゝを醵出して維持費に供することゝせり。然るに内務省勧商局より支給せられたる保護金は、後同局廃せられて大蔵省に商務局を設置せられたる以後に於ても尚ほ引続き支給せられたりしも、明治十四年四月農商務省新設せられ、同年五月農商工諮問会並に農商工議会規則の発布せらるゝに当り、右保護金は同年七月限り廃止する旨の通達あり、因つて各議員の醵金を毎月参円に増額して其の不足を補ひたり。
○下略