デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
1款 東京商法会議所
■綱文

第17巻 p.656-660(DK170052k) ページ画像

明治14年7月2日(1881年)

五月二十三日農商工諮問会規則公布セラル。栄一同規則ノ改正ニ就キ奔走スルトコロアリシガ、是日当会議所会頭トシテ伺書ヲ東京府知事松田道之ニ提出シ同規則ニ関スル疑義ヲ質ス。


■資料

法令全書 明治十四年 内閣官報局編 明治二三年一一月刊 ○第二十九号(五月二十三日 輪廓附) ○太政官布告(DK170052k-0001)
第17巻 p.656-657 ページ画像

法令全書 明治十四年 内閣官報局編 明治二三年一一月刊
○第二十九号(五月二十三日 輪廓附) ○太政官布告
[十六年第十六号布告ヲ以テ廃止《(欄外記事)》
各地農商工ノ実況ヲ視察シテ勧業ノ事務ヲ着実ナラシメ倍々其改進ヲ図ランカタメ、今般農商工諮問会規則左ノ通制定候条此旨布告候事
    第一章 府県農商工諮問会
[農商務省乙第七号達参看《(欄外記事)》
第一条 各府県ニ農商工諮問会ヲ置ク
第二条 農商工諮問会ハ凡ソ農商工ニ関スル事件、就中海陸ノ運漕、道路ノ開鑿、港湾ノ修築、川渠並ニ用悪水路ノ疏通、悪虫ノ駆除法獣畜類伝染病ノ予防法、山林ノ保蓄栽培伐採、各地方ニ適応スヘキ動植物及ヒ器具ノ試験、勧業列品場其他農商工模範建造物設置ノ方法、市場ノ興廃並ニ其規則按ニ就キ、農商務卿若クハ府知事県令ヨリ諮問スル事件ヲ審議シテ其意見ヲ具申シ、併セテ農商工ノ盛衰其他ノ統計ヲ調査スルノ任アルモノトス
第三条 会員ハ府知事県令其府県内ニ満三年以上住居本籍寄留ヲ問ハスシ、二十五歳以上ノ男子ニシテ名望アル農商工五名以上十五名以下ヲ選ンテ之レニ任ス、其任期ハ三ケ年トス、但満期再選スルヲ得
第四条 議長ハ府知事県令若クハ其代理人之レヲ勤ムヘシ
第五条 書記ハ府知事県令其属官中ニ於テ之レヲ命ス
第六条 会議ハ毎年少クトモ一回開クヘキモノトシ、若シ会員ノ三分一以上ノ請求アルトキハ府知事県令ニ於テ臨時之ヲ許可スルヲ得
第七条 農商務省ノ官吏農商工上等会員及ヒ農商工諮問会所在府県ノ官吏ハ会議ニ列シテ意見ヲ述フルヲ得、但決議ノ数ニ入ラス
第八条 会議ハ多数ニ決ス、可否半ハスルトキハ議長ノ可否スル所ニ
 - 第17巻 p.657 -ページ画像 
依ル
第九条 会員ハ旅費日当ヲ給ス、其額ハ該府県会議員ト同一タルヘシ
第十条 会費中会員ノ旅費日当ハ地方税中勧業費ヲ以テ支弁シ、其他ノ雑費ハ府県庁費ヲ以テ支弁スヘシ
    第二章 区及ヒ聯合区町村農商工業議会
第十一条 各府県ノ区又ハ聯合区町村ニ於テ農業議会若クハ商業議会若クハ工業議会ヲ設立シ、或ハ農商工業ノタメ一ノ議会ヲ設立スルヲ得
第十二条 各議会ハ其農商工業ノ利害ヲ議究シ、及ヒ府知事県令若クハ農商務卿ヨリ諮詢スル事件ヲ審議シ、其意見ヲ開申スヘキモノトス
第十三条 各議会ハ其農商工業ノ利害ニ関スル事件ニ付府知事県令及ヒ農商務卿ニ建議スルヲ得
第十四条 議会ヲ設立セントスルトキハ其区会又ハ聯合区町村会ノ認可ヲ得、府知事県令ヲ経由シテ其願書ヲ農商務卿ニ捧ケ其許可ヲ請クヘシ
第十五条 農工業各議会ノ議員ハ満二十五歳以上ノ男子ニシテ其議会区域内ニ住居本籍寄留ヲ問ハススル製産者及ヒ該地ノ製産物ヲ売買スル商人中ヨリ公選シ、商業議会ノ議員ハ同上ノ要件ニ適応シタル商人中ヨリ公選シテ府知事県令ノ認可ヲ請クヘキモノトス、但府県会規則第十三条ノ各款ニ触ルヽ者ハ議員タルヲ得ス
第十六条 議員ヲ選挙スルヲ得ヘキ者ハ満二十歳以上ノ男戸主ニシテ其議会区域内ニ住居本籍寄留ヲ問ハスシタル農商工業者ニ限ル、但府県会規則第十三条ノ各款ニ触ルヽ者ハ選挙人タル事ヲ得ス
第十七条 農工業各議会ノ議員ハ二十五人以下トシ、商業議会ノ議員ハ五十人以下トシ、議員中投票ヲ以テ議長一人、副議長一人ヲ選挙スヘシ、議員ノ任期ハ三ケ年トス、但満期再選スルヲ得
第十八条 議会ノ費用ハ議員選挙人ノ協議費若クハ其議会区域内ノ協議費ヲ以テ支弁スヘシ
第十九条 各議会ノ細則ハ其議会ニ於テ之ヲ創定シ、府知事県令ヲ経由シテ農商務卿ノ認可ヲ請クヘシ


渋沢栄一書翰 梅浦精一宛 (明治一四年)六月六日(DK170052k-0002)
第17巻 p.657 ページ画像

渋沢栄一書翰  梅浦精一宛 (明治一四年)六月六日    (土肥脩策氏所蔵)
○上略
商法会議所改正案之事ニ付今日府知事面会仕候間明日一寸御相談申上度候、併小生ハ横浜行之筈ニ付其帰途午後三時頃ニ貴方へ立寄可申と存候、御待合可被下候、もし不罷出候ハヽ明後日一寸光臨可被下候 右件々申上度 匆々白
  六月六日
                      渋沢栄一
    梅浦精一様


渋沢栄一書翰 福地源一郎宛カ (明治一四年六月一三日)(DK170052k-0003)
第17巻 p.657-658 ページ画像

渋沢栄一書翰  福地源一郎宛カ (明治一四年六月一三日)   (土肥脩策氏所蔵)
昨日ハ遠方光臨被下忝奉存候、其節申上候積ニて失念仕候ハ明十四日
 - 第17巻 p.658 -ページ画像 
商法会議所之臨時会及夏季宴会之義ハ何卒暫時ニても御臨席被下度候益田も如何候哉と存候旁別而相願候義ニ候
且又過日府知事方ニて会議所将来改正法案ハ弐十九号御布告之御発令ニて大ニ見込を失し候間、尚知事ニも面会し種々打合候処、今日之処ハ右布告之改正を要し候方急務との考案ニ付、別紙之如くせは如何哉と私ニ梅浦と謀り、草稿相立候、是ハ府知事へ内々ニてさし出意見相合し候ハヽ府知事ニ於て其筋へ論弁と申事ニいたし候義ニて其参考ニ供し候品ニ候、一応御閲覧高案御垂示可被下候、尤も明日御参会被下候節ハ此草稿も御携帯被下度、もし又御臨席被下兼候ハヽ此書類ハ御投示被下度候、此段申上度 ○以下欠除ス


渋沢栄一書翰 梅浦精一宛 (明治一四年六月)二二日(DK170052k-0004)
第17巻 p.658 ページ画像

渋沢栄一書翰  梅浦精一宛 (明治一四年六月)二二日   (土肥脩策氏所蔵)
○上略
廿九号改正方法ニ付福地ヘ催促候処同人ハ別案有之由申来候、廿五日前ニ其方法被相示候様仕度候間、近日貴兄御聞合被下候様奉願候
○中略
  廿二日
                      渋沢栄一
    梅浦盟兄


東京商法会議所要件録 第三二号・第二九―三一頁 明治一四年七月三〇日刊(DK170052k-0005)
第17巻 p.658-659 ページ画像

東京商法会議所要件録  第三二号・第二九―三一頁 明治一四年七月三〇日刊
  第十四臨時会 明治十四年六月廿五日午後七時廿分開場
    議員出席スル者 ○二十一名
○上略
益田克徳曰ク、余ハ本年五月廿九号布告ニヨリ本会ノ組織ヲ一変シ、商業議会ト改メン事ヲ望ムナリ、而シテ右ノ布告ニヨレハ其議員ハ公撰スルノ制ニシテ其会費ハ総テ民間協議費ヲ以テ支弁スルモノナレハ、今日ノ如ク維持方法ニ苦シムル事モナカルヘシ、然リト云トモ右ノ布告ニ掲クル所ノ規則ヲ案スルニ設立ノ手続甚タ不明瞭ナレハ、先ツ本会ハ政府ニ向テ之カ説明ヲ求ムルヲ要ス、夫レ右布告ノ如キハ商業上至大ノ関係ヲ有スルモノナレハ本会ヨリ其解釈ヲ請フモ決シテ不当ニ非ルヘシ
大倉 ○喜八郎曰ク、廿九号布告ニ示ス所ノ商業議会ノ如キハ法律ヲ以テ設立スルモノナレハ其効本会カ現当ノ組織ノ比ニ非ス、故ニ益田君ノ説ヲ賛成ス
会頭 ○渋沢栄一曰ク、廿九号ノ布告ヲ案スルニ只商業議会ヲ開クヲ得トノミアリテ未ダ誰ノ発起人タルヲ明示セス、又撰挙区域ト議員数ノ制限ト広狭其権衡ヲ得サルカ如ク、又撰挙被撰挙人資格ノ制限広キニ過クルカ如ク大ニ其解釈ニ苦シム所少カラス、而シテ嘗テ其筋ノ人ニ問フタル事モアリシガ未タ十分ノ明解ヲ得ル事能ハス、故ニ今公然其説明ヲ請フモ或ハ遷延ノ恐ナシトセス、此辺余カ懸念スル所ナリ
清水誠曰ク、廿九号布告ノ解釈ヲ政府ニ求ムルハ固ヨリ余カ同意スル所ナリト云トモ、已ニ保護金ノナキ以上ハ差向キ維持ニ差支ヲ生スベケレハ先ツ目下焼眉ノ急ニ応セサルベカラス、熟々余カ考フル所
 - 第17巻 p.659 -ページ画像 
ヲ以テスレハ従来ノ醵金額ヲ増加スル事トセハ其維持甚タ難カラサルベシ
○下略


渋沢栄一書翰 梅浦精一宛カ (明治一四年六月三〇日)(DK170052k-0006)
第17巻 p.659 ページ画像

渋沢栄一書翰  梅浦精一宛カ (明治一四年六月三〇日)   (土肥脩策氏所蔵)
○上略
第廿九号御布告ニ付会議所より府知事へ向伺書ハ少々字句加除いたし、是又益田へ廻し一覧之上直ニ大倉ニ送り貴兄へ返却候様申通し候(両氏ニ別案無之候ハヽ)
又内々府知事へ可差出私案ハ末文福地之説を少々相改メ是も益田へ廻し候、同氏ニ於て一覧済直ニ貴兄へ返上清書之上小生直ニ知事へ持参之積ニ打合置候間、此分ハ益田より相廻り候ハヽ最早外ニ一覧ハ不要御清書之上御遣し可被下候


渋沢栄一書翰 梅浦精一宛 (明治一四年)七月二日(DK170052k-0007)
第17巻 p.659 ページ画像

渋沢栄一書翰  梅浦精一宛 (明治一四年)七月二日    (土肥脩策氏所蔵)
華翰拝読商法会議所改正見込ニ付私議者御清書御遣し被下候ニ付直ニ府知事へさし出可申候
弐十九号布告ニ付伺書ハ記名調印之上返上仕候、進達方可然御取計可被下候
○中略
  七月二日                渋沢栄一
    梅浦精一様

東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 四(DK170052k-0008)
第17巻 p.659-660 ページ画像

東京商法会議所官衙諸達並上申書綴 四
                   (東京商工会議所所蔵)
    太政官第二十九号御布告ニ付伺
本年五月二十三日太政官第廿九号御布告ヲ以テ農工商諮問会規則御制定相成候処、其第二章区及聯合区町村農工商業議会ノ制ニ就キ倩ラ其設立方手続之如何ヲ按スルニ、凡ソ法律上政府ノ許可ヲ受クベキ会社若クバ集会所設立ノ如キハ必ズ先ツ其出願人ナカルベカラズ、然ラザレバ則チ官ノ誘導若クバ命令ニ成ルモノト相心得候処、右規則ニ拠レバ其設立出願之手続ヲ明示セラレズ、又地方官ノ誘導若クバ命令ヲ以テ其設立ヲ促ガスベキノ条款モ無之、旁以其成文上ニ於テ之カ設立手続ノ如何ヲ難見出、且ツ此議会ニ付セラルヽ所ノ権利義務ハ農工商ノ利害ヲ講究シ、及府知事県令若クバ農商務卿ヨリ諮問スル事件ヲ審議シ、意見ヲ具申シ、及其利害ニ関スル事件ニ就キ之ヲ府知事県令及農商務卿ニ建議スルヲ得ルモノト有之、然ルニ当商法会議所ノ如キハ有志者ノ集会ニシテ公撰議会ニハ無之トハ云ヒ、創立以来政府ニ於テ認可セラレタル権利義務ニ於テハ決シテ之ト異ナルモノ無之、然ル時ハ他日此規則ニ拠リ当府下ニ於テ一区若クバ聯合区内ニ商業議会ノ設立有之ニ於テハ自他相併立シテ妨無之モノニ御座候哉、要スルニ此議会ノ制タル当会議所ニ取リテハ実ニ関係不少義ト奉存候間、前条之廉々如何相心得可然モノニ御座候哉、至急御明示被下度、此段奉伺候也
  明治十四年七月二日
 - 第17巻 p.660 -ページ画像 
                  東京商法会議所会頭
                     渋沢栄一
    東京府知事 松田道之殿

第壱万二千百五十二号《(朱書)》
書面農商工議会設立手続等之事ハ追テ及指示儀モ可有之、且右議会設立スルモ其会議所ノ権利義務ニ於テハ別段ノ令達アルニ非サレハ変易セサル義ト可相心得事
 明治十四年七月九日        東京府知事 松田道之


東京商法会議所要件録 号外・第四頁 明治一四年七月二五日刊(DK170052k-0009)
第17巻 p.660 ページ画像

東京商法会議所要件録  号外・第四頁 明治一四年七月二五日刊
  第四委員総会 明治十四年七月十二日午後六時四十分開
    議員出席スル者 ○六名
○上略
○太政官第廿九号布告ニ就キ府知事ヘ伺之件
渋沢君ハ去月廿五日臨時会ノ決議ニ依リ本月二日東京府知事ニ向テ第廿九号布告ノ解釈ヲ請フタルニ去ル九日其指令ヲ得タリ、但シ之ハ不取敢騰写之上衆議員《(謄)》ニ配付シタレバ已ニ諸君ノ了知セラレタル事ナルベシト雖トモ為念之ヲ報道スル旨ヲ述ベラレタリ(其全文ハ次号要件録ニ掲載スベシ)
   ○次号(第三六号)要件録掲載ノ伺書並ニ東京府知事ヨリノ令達ハ前掲「東京商法会議所官衙諸達並上申書綴」所収ノモノト同一ナル故略ス。


東京商法会議所要件録 第四一号・第一三―一四頁 明治一五年二月二八日刊(DK170052k-0010)
第17巻 p.660 ページ画像

東京商法会議所要件録  第四一号・第一三―一四頁 明治一五年二月二八日刊
 ○明治十四年東京商法会議所事務報告
    政府ヘ伺  一件
太政官第二十九号布告ノ義ニ付東京府知事ヘ伺ヘノ件
 本年五月廿三日太政官第廿九号御布告ヲ以テ農工商諮問会規則御制定アリシガ、其第二章区及聯合区町村農工商業議会ノ制ニ就テ見ルニ、其設立ノ手続明示無之今新タニ之ヲ設ケントスルニハ如何ナル手続ニ拠ルベキカ、且此議会ニ付セラルヽ権理等ハ現ニ本会ノ有スルモノト殆ド同一ニシテ、他日此規則ニ拠リ商業議会ノ府下ニ起ル時ハ自他相併立シテ妨ナキモノカ、成文上事理ノ判然セサル処アルヲ以テ、六月廿五日第十四臨時会ノ衆議ニ基キ翌七月二日ヲ以テ以上ノ二項ヲ東京府知事ニ伺出デタルニ、同月九日ヲ以テ府知事ヨリ農商工議会設立手続等ノ事ハ追テ及指示義モ可有之、且ツ右議会設立スルモ其会議所ノ権利義務ハ別段ノ令達アルニ非サレバ変易セサル義ト可心得旨指令アリタリ