デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第18巻 p.83-96(DK180010k) ページ画像

明治17年2月21日(1884年)

是日栄一、当会会頭トシテ農商務卿西郷従道ノ諮問ニ対ヘ商況報告編纂ニ関スル具体案ヲ提出ス、四月商況報告第一号、翌十八年八月第一統計報告発刊サル。前者ハ毎月、後者ハ半季又ハ一年毎ニ続刊サレ、共ニ明治二十三年十二月ニ至ル。


■資料

東京商工会議事要件録 第一号・第七―一九頁 明治一七年二月一〇日刊(DK180010k-0001)
第18巻 p.83-85 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一号・第七―一九頁 明治一七年二月一〇日刊
  第一臨時会 明治十七年一月十六日午後四時四十分開会
    会員出席スル者 ○八十七名
○上略
次ニ会長 ○渋沢栄一ハ是ヨリ農商務卿ヨリ御諮問ノ件ニ就キ討議スベキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ議案ヲ朗読セシム、即チ左ノ如シ
                      東京商工会
別紙問目書ノ件々其会ヘ及諮問候条遂審議報荅可致、此旨相達候事
  明治十六年十二月廿七日
                 農商務卿 西郷従道
    ○第一問目
一商工会ハ何等ノ統計報告ニ拠テ府下ノ商工況ヲ調査スルヤ
一会員及其他ニ緊要ノ商工況ヲ報告スルハ何等ノ方法ニ由ルヤ
一常ニ報告ヲ要スヘキ物件ハ何々ニシテ其報告数ハ幾回ナルヤ
一商工況ニ変動アルニ際シテハ其原因ヲ調査シ、之ヲ説明スル見込ナルヤ
○第二・第三問目ハ略ス
 - 第18巻 p.84 -ページ画像 
十六番益田克徳曰ク、抑モ商況ヲ調査スル事ハ本会規程ニ定ムル所ニシテ報告委員ヲ撰定シテ諸報告ヲ掌ラシムル事モ亦規程ニ定ムル所ナリ、故ニ此第一問目ニ対スル荅申案ハ先ツ商況報告委員数名ヲ撰定シテ之ヲ調査セシムヘシ、願クバ今夕直ニ会長ヨリ指名セラレン事ヲ
十二番熊谷吉兵衛・九十八番笠井庄兵衛・十番村田徳兵衛ハ十六番ヲ賛成ス
二十八番西村庫次郎曰ク、余ハ元来商況ヲ調査スルニ当リ本会加盟ノ会社及組合中各々委員ヲ置クヲ可ナリト信ジタレトモ、今諸君ノ説ヲ聞クニ及ンデ数名ノ委員ヲ撰定シテ之ヲ担当セシムルノ可ナルヲ発悟セリ
二十五番柴崎守三曰ク、本員モ委員ノ撰定ヲ可トス、若シ会外ニ委員ヲ置クヲ要スル時ハ会内委員ノ推薦ニ任スヘシ
五十九番川原英次郎曰ク、只今諸君ノ中調査委員ノ説アリタルガ其数寡少ニテ或ハ不充分ナラン歟、現ニ廻米問屋仲間ニ於テハ昨年来月行事ヲシテ毎月米穀ノ輸出入ヲ調査セシムルニ頗ル繁雑ノ手数ヲ要シタルノ例アリ、故ニ今此報告ヲ調査スルモ各組合ニ委員ヲ置テ材料ヲ送致セシメ更ニ会員中数名ノ調査委員ヲ撰ンデ此等ノ事務ヲ管理セシムヘシ
十六番益田克徳曰ク、只今五十九番ハ、委員其数寡少ニテハ不十分ナラント云ハルレトモ、元来委員ハ調査ノ実務ヲ執ルニ及ハズ、只商況ヲ報告スヘキ商品ノ種類・統計ノ体裁・各員ヘ配付ノ方法等其大項ニ就テ見込ヲ立ツレバ可ナリ、其他ノ細務ハ総テ書記ヲシテ弁ゼシムベシ、故ニ必ズシモ多数ヲ要セザルナリ
十二番熊谷吉兵衛曰ク、十六番ノ説ヲ可トス、先ツ委員ヲシテ大項ニ就キ考案ヲ立テサセ、各組合ヨリ報告スル材料ノ取捨ハ総テ是等ノ委員ニ委ス方都合好カラン
五十七番荒尾邦寛・二番真弓吉蔵・八番大塚藤平・九十七番伊藤利助並ニ百五番吉田幸作ハ共ニ十六番ヲ賛成ス
会長曰ク、凡ソ事業ヲ創起スルハ容易ナレトモ之ヲ持続シテ実地ニ其効能ヲ示スニ至リテハ頗ル至難ナリトス、今此商況報告ノ如キモ之ヲ創起スルハ敢テ至難ニ非ザルベシト雖トモ、之ガ調査ヲ担任スル者ハ頗ル煩雑ノ手数ヲ要シ、且ツ其報告ヲ読ム者必ズシモ実業者ノミニ非ズシテ其効益ヲ知ル事至テ薄キガ故ニ調査漸ク歳月ヲ積ムニ非ザレバ未ダ遽カニ其効能ヲ実地ニ示スニ至ラザルベシ各員始メヨリ此等ノ事ヲ測ラズシテ只其報告ノ利益ノミヲ見テ而シテ前途持続ノ方法ヲ慮ラザルトキハ中途ニシテ蹶躓スルノ不幸アランモ未ダ知ル可ラズ、今ヤ各員ノ発議ヲ聴クニ大抵説ヲ十六番ニ同クシ、委員ヲ設ケテ以テ商況ヲ調査セシムベシト云フガ如シ、然ラバ則チ各員亦能ク将来持続ノ方法ヲ熟議シテ蹶躓ノ不幸ナキヲ謀ラレン事切ニ希望ニ堪ヘザルナリ、偖十六番ハ唯今委員ヲ設クルノ動議ヲ発セラレタルガ、其人員ハ幾名ヲ要スルノ見込ナルヤ
十六番益田克徳曰ク、七名ニシテ可ナラン、且ツ其撰定ハ会長ノ指名
 - 第18巻 p.85 -ページ画像 
ヲ望ム
四十二番梅浦精一曰ク、十六番ハ七名ニテ可ナリトノ説ナレトモ、其報告スベキ景況ハ独リ商業ニ止マラズ、工業・運輸・金融等ノ景況ヲモ調査セザル可ラズ、故ニ調査委員ハ少クモ十五名ヲ撰ブヲ以テ至当ナリトス
二十五番柴崎守三・五十七番荒尾邦寛ハ十六番ヲ賛成ス
百五番吉田幸作曰ク、抑モ本員ガ初メ十六番ヲ賛成シタル所以ハ委員ヲシテ只大項ノ見込ヲ立テシムルト云ガ為ナリ、若シ果シテ十六番ノ説ノ如ク委員ハ調査ノ細務ヲ執ラザルモノトセバ七名ニシテ足ルベシ
七十九番山中隣之助曰ク、実際七名ニテハ行届カザルベシ、依テ四十二番ヲ賛成ス、只今百五番ノ説モアリタルガ十六番ノ言フガ如ク果シテ委員ハ実務ヲ執ルニ及ハズトセバ、遂ニ無実ノ空員タルニ至ラン、故ニ本員ハ委員ハ十分ノ責任ヲ負ハセ可成実務ニ当ラシメン事ヲ望ム、是レ七名以上ヲ要スル所以ナリ
六十番益田孝曰ク、今夕ノ議題ハ猶外ニ頗ル緊要ノ件アリ、如此キ瑣事ニ貴重ノ時刻ヲ移ス可ラズ、先刻ヨリ委員ノ多少ニ就キ議論両派アレトモ委員ハ先ヅ七名ヲ置ク事トシ、若シ実際不都合アル時ニ際シテハ其委員ノ推挙ニ依リ十五名ニ満ツル迄増員スルヲ得ルモノトセバ双方各其望ヲ達シ至極好都合ナラン
  右ノ外猶各員ノ間ニ多少ノ議論アリタレトモ、要スルニ前記数項ノ外ニ出テズ、依テ会長ハ決ヲ採リタルニ委員ハ七名ヲ撰ビ其撰定ハ会長ノ指名ニ任スベシト云フノ説多ク、即チ会長ハ左ノ七名ヲ指名シ、且ツ此第一問目ノ件々ハ右ノ委員ヲシテ其荅申案ヲ調査セシメ、然ル後次会ニ於テ之ヲ再議セシムベキ旨ヲ告グ
          商況報告委員
             八十一番   荘田平五郎
             百四番    大倉喜八郎
             七十九番   山中隣之助
             四十二番   梅浦精一
             三番     平野富二
             六十四番   柿沼谷蔵
             七番     甲田卯三郎
○下略


東京商工会議事要件録 第二号・第五―二五頁 明治一七年三月一三日刊(DK180010k-0002)
第18巻 p.85-90 ページ画像

東京商工会議事要件録  第二号・第五―二五頁 明治一七年三月一三日刊
  第二臨時会
         (明治十七年二月十七日午後一時三十分開会)
  第一定式会
  会員出席スル者 ○八十名
会長 ○渋沢栄一曰ク、本日ハ先ツ臨時会ヲ開キ、昨十六年十二月二十七日農商務卿閣下ヨリ諮問セラレタル三件及本月一日大蔵卿閣下ヨリ諮問セラレタル手形取引ノ件ヲ議定シ続テ規程ニ由リテ定式会ヲ開クヘシ、偖農商務卿ノ御下問ニ係ル第一問目商況報告ノ件ハ、前会以来二回委員ノ集会ヲ開キ、種々協議ヲ経テ漸ク報告書表式
 - 第18巻 p.86 -ページ画像 
及諸報告取調表式及心得書ヲ編纂シタレバ速ニ之ヲ印行頒布シテ各員ノ参観ニ供セント欲シタレトモ、時日既ニ切迫シテ印刷ニ附スルノ遑ナシ、仍テ委員梅浦精一氏ニ托シテ委ク調査ノ手続ヲ陳ゼシムヘシ
四十三番(梅浦精一)ハ会長ノ請求ヲ諾シ、委員一同ニ代テ調査ノ手続ヲ陳ベテ曰ク、委員ハ其後二回ノ会議ヲ開キテ細カニ調査ノ手続ヲ協議シタレトモ今其手続ヲ詳弁スルトキハ徒ラニ幾多ノ時間ヲ浪費スルノ恐アルガ故ニ勉メテ毎項ノ要点ノミヲ略陳スベシ、偖委員ハ報告書ヲ商況・工況・金融・運輸ノ四項ニ類別シ○第一商況ニ於テハ先ヅ府下ノ諸貨物ヲ調査スルヲ以テ必要ト思量シタリ、然レトモ目下府下ニ於テ売買スル貨物ハ其数千百ノミニ非ザレバ悉ク之ヲ調査スルハ到底為シ難キノ業ナルノミナラズ強テ之ヲ調査スルモ其利益甚ダ少キガ故ニ暫ク必要ニシテ調査ノ必期シ得ベキ貨物、即チ米・大豆・小豆・大麦・小麦・酒・醤油・水油石油・塩・畳表・材木・〆糟・干鰯・石炭・舶来糸・和製器械糸生金巾・晒金巾・毛繻子・綿繻子・フランネル・メリンス・羅紗フランケツト・舶来砂糖・和砂糖・日本紙・西洋紙・同和製紙・生糸・真綿・白木綿・繰綿・薪炭・石灰・蠣灰・鼈甲・陶器・塩物.時計・銅・鉄・茶・糠・鰹節・団扇・藍・絵具・染料・麻苧蝋・煙草・銀貨ノ五十余種ト定メ、各品ニ就テ一々商況ヲ記スルノ見込ナリ、就中米穀ノ如キハ人生ノ必需品ニシテ其取引モ頻繁ナレバ委員ハ殊ニ其調査ヲ精密ニシ、先ツ輸入地名・数量・価格一石平均相場等ヲ掲ゲテ、其輸入全計ト前月持越高トヲ合計シ、其内ヨリ当月消費高及輸出高ヲ扣除シテ差引月末現在高ヲ示シ、更ニ此現在高ヲ細別シテ深川在高・市中在高・浅草米廩ト為シ、次ニ玄米・白米上中下等ノ最高・最低及平均相場ヲ掲ゲ、之ニ前月ノ平均相場ヲ対照シテ其高低ヲ詳ニセント欲ス、尤モ調査ヲ密ニスルノ必要アルモノニ至テハ独リ米穀ノミニ止マラズ、其他ノ貨物ト雖トモ此例ニ依リ之ヲ精査スル事論ヲ待タズト雖トモ、委員ノ観ル所ヲ以テスレハ、前陳ノ貨物多クハ如此詳密ノ調査ヲ要セズシテ、其商況ヲ詳ニスルヲ得ルノ見込ナルガ故ニ、他ニ諸貨物ノ報告ハ別ニ簡略ノ表式ヲ編成シテ其体裁ヲ米穀ト異ニシ、以テ米穀外ノ諸貨物ニ此表式ヲ適用セント欲スルナリ、又、商況編纂ノ体裁ハ貨物ノ商況ヲ記シテ、其輸出入ノ増減及相場ノ高低ニ関シ本会ガ認メテ以テ原因ナリト思慮スルモノヲ略陳シ、之ヲ計表ニ掲クル所ノ実数ニ照シ、一ハ以テ其記スル所ヲ精確ニシ、一ハ以テ読者ノ参観ヲ便ニスルノ見込ナリ、○第二工況調査ノ手続ニ就テハ委員ハ頗ル其方法ニ困却セリ、然レトモ本会既ニ商工会ノ名称アリ、且ツ工業ノ商業上ニ関係スル事極メテ親密ナルモノアルガ故ニ、暫ク大工・左官・石工・活版職等、目下稍々調査ノ必期シ得ベキモノニ就キ其人員及賃銀ヲ取調ベ、且ツ其賃銀ノ高低・人員ノ増減ニ関シ本会ガ原因ナリト思量スル者ヲ摘記シ、而シテ他日調査ノ行届クヲ待テ徐々ニ区域ヲ拡充スルノ見込ナリ、○第三金融ノ景況ニ関シテハ先ヅ府下本支店銀行実際報告即チ資
 - 第18巻 p.87 -ページ画像 
本金・貯蓄金・流通紙幣・政府諸預金・定期預金・当座預金・人民諸預金・地方ヨリ為換借・地方ヘ為換貸・諸公債貸付金・当座貸越・割引手形・代金取立手形・金銀在高・地金銀ノ金高等ヲ記シ、次ニ全国各首要地即チ大阪・西京・神戸・新潟・金沢・仙台函館・名古屋・石ノ巻・長崎・馬関十一ケ所ノ為換・割引・荷為換及為換打歩ヲ掲ケ、之ニ次クニ銀行・質屋・両替商ノ金利ヲ以テス、而シテ銀行ノ金利ハ信用貸・抵当貸ノ二種ニ分チテ百円以上ノ大口ヲ示シ、質屋・両替商ノ金利ハ百円以下ノ小口ト定メテ府下十五区内ニ於テ調査ノ行届ク分ヲ区毎ニ示サン事ヲ期ス、此表ノ終リニ諸公債証書所有表ヲ掲ゲテ政府・銀行・人民ノ所有高府内転入高、府外転出高、府下現在高ヲ示シ、且ツ諸公債証書ノ相場表ヲ掲ゲテ限月売買・直取引ノ最高・最低及平均価ヲ示シ、又以テ之ヲ前月ト対照シテ其増減ヲ掲クル等以上ノ諸表総テ金融報告部ニ列記シテ以テ其繁閑如何ヲ示スノ見込ナリ、○第四運輸ノ景況ニ関シテハ滊船・風帆船・和船ノ出入地名、艘数噸数若クバ石数並ニ月末碇舶船数ヲ記スルノ見込ナリト雖トモ其調査方法ノ如何ニ至テハ委員未タ其良法ナキニ苦シメリ、然レトモ其報告ノ極メテ必要ニシテ決シテ廃スベカラザルモノト信ズルガ故ニ其調査ハ之ヲ会中運輸業ニ従事セラルヽ者ハ勿論会外実業者ニ至ル迄広ク謀リテ勉メテ其景況ノ精確ヲ致サン事ヲ欲スルナリ、○以上ハ則チ報告書ニ掲載スル諸件ノ要領ヲ略陳シタルモノニシテ、此外報告取調表アレトモ前陳ノ表式ト同一ナレバ復玆ニ贅セズ、要スルニ各品ノ取調方ハ会員ノ業体ニ応ジテ本会ヨリ依頼シ、若シ会員内ニ於テ取調ノ行届カザルモノハ会外ノ者ニ依頼シ、若シ尚調査シ能ハザルモノハ暫ク掲載ヲ猶予シテ他日取調方法ノ備ハルヲ待テ徐々ニ記スルノ見込ナリ、抑モ前陳商工況取調手続ハ各員ニ参考書ヲ供セズシテ略陳シタル義ナレバ説明中不明瞭ノ廉モ多カルベシ、願ハクバ丁寧ニ質議アラレン事ヲ望ム
会長曰ク、唯今委員ノ説明ニ由テ調査ノ手続ハ略ボ瞭解セラレシナラント雖トモ、今一応念ノ為メニ其大体ヲ要言スベシ、蓋シ今回発兌ノ報告書ハ毎月一回刊行ノ小冊子ニシテ、書中記スル所ノ項目ハ本会ノ規程ニ由リテ商業・工業・金融及運輸ノ四景況ト為シ、商況ニ於テハ米穀ヲ首トシテ其余五十余品ノ商況及輸出入高・消費高・相場等ノ計表ヲ示シ、工況ニ於テハ目下調査ノ行届ク見込アル大工・左官・石工・活版職ノ人員及賃銀ヲ示シ、金融ニ於テハ東京本支店銀行ノ実際報告、各首要地ノ為換・割引・荷為換・打歩並ニ諸公債証書輸出入高・現在高・相場表及銀行・質屋・両替商ノ金利ヲ示シ、運輸ニ於テハ品川湾竪川筋ノ出入船舶、艘数噸石数及月末碇泊船数ヲ示シ、而シテ、此諸景況ノ材料ハ毎月凡ソ五日迄ニ取調人ヨリ報告セシメ、之ヲ一括シテ中旬頃迄ヲ期シ刊行スルノ見込ナリ、此等ノ事ハ委員ノ説明ニ由テ既ニ瞭解セラレシナルヘケレトモ、尚委員ノ未ダ説明セザルモノアリ、即チ凡ソ十年前ニ遡ホリ爾来毎三年間ノ諸貨物平均相場表ヲ毎半期ノ報告書ニ添附スル事是レナリ、此諸貨物平均相場表ハ各品ノ相場ヲ
 - 第18巻 p.88 -ページ画像 
毎三年間ニ平均シテ統計シ更ニ紙幣ト銀貨ノ両相場ニ照ラシテ其高低ヲ明カニスルノ見込ニシテ、如斯スレバ紙価高低ノ為メニ相場ニ及ボシタル影響ヲ知リ得ルノミナラズ需要・供給ノ過不足ニ由テ貨物ノ実価或ハ昇リ或ハ下リシ事ヲモ知リ得ン、蓋シ此表ハ米屋ガ米ノ商況ヲ読ミ油商ガ油ノ気配ヲ見ルガ如ク己レガ報告シタルモノヲ再読スルガ如クナラズ、各人ニ通シテ有益ノ参考トモナラン歟、是レ委員ガ別ニ此報告ヲ添ヘン事ヲ議シタル所以ナリ各員尚ホ不審アラバ細カニ質問セラレヨ
五十八番(川原英次郎)曰ク、取調方ハ総テ会員ニ依頼スルノ見込ナルヤ、米穀ノ如キハ其商況最モ緻密ノ様ナレバ其取調モ繁雑ノ手数ヲ要スルナラン、此等ハ本会ニ於テ調査スルノ見込ナルヤ、将タ廻米問屋ニ依頼シテ調査セシムルノ見込ナルヤ
四十三番(梅浦精一)曰ク、取調ノ事ニ就テハ略ボ人員モ類別シ置キタレバ一々各員ニ協議セント思ヒタレトモ議事ノ紛雑セン事ヲ恐レテ暫ク猶予セリ、委員ノ考ニテハ会員ノ業体ニ応ジテ調査ヲ依頼スル見込ナレバ、米穀ノ如キハ即チ廻米問屋ニ依頼スル見込ナリ、廻米問屋ニテ調査ノ行届カザルモノハ更ニ会員外ノ者ニ依頼スル見込ナリ、猶実際調査ヲ行フニ当リテ不都合アラバ次第ニ改正スルノ見込ナリ
百三番(阿部幸助)曰ク、物品項目中ニ生木綿・晒木綿・白絹・白縮緬ノ四種ヲ追加シタシ
会長曰ク、唯今追加ヲ望マレタル四種ノ貨物ハ其商況ヲ調査シ得ルカ
百三番(阿部幸助)曰ク、調査シ得ルナリ
四十三番(梅浦精一)曰ク、呉服太物類ヲ調査スルハ委員ノ固ヨリ希望セシ所ナレトモ、其調査ノ至難ナルヲ慮リテ暫ク省略シ置キタルガ百三番ノ説ノ如ク果シテ調査シ得ベクンバ則チ生木綿以下ノ四種ヲ追加スヘシ
七十六番(太田次郎)曰ク、工況中ニ活版職ノ人員及賃銀ヲ調査ス云云ノ説明アリ、右ハ活字ヲ製造スル職工ノ事ナルヤ、将タ印刷職ノ事ナルヤ
会長曰ク、印刷職工ノ事ナリ、右ハ委員中其業ニ従事スル者アリテ調査困難ナラズトノ説アリタレバ工況中ニ掲載シ置ケリ
七十六番(太田次郎)曰ク、工況中ニ在ル大工職ハ出稼人多クシテ去来常ナラズ、東京府ニテ調査セル人員表ノ如キモ僅ニ其梗概ヲ知ルニ過キズ、本会ニ於テハ如何ナル手続ヲ以テ調査スルノ見込ナルヤ
四十三番(梅浦精一)曰ク、大工ノ人員ハ月々警視庁ニ届出ヅルガ故ニ之ニ就テ調査セバ其増減ヲ知リ得ベシト聞ク、果シテ否ラザルカ
七十六番(太田次郎)曰ク、左官職ハ警視庁ニ就テ調査セバ其人員ヲ知リ得ベシト雖トモ、大工ノ如キハ蓋シ調査シ難カルベシ、寧ロ畳職ノ人員コソ調査シ易カラン歟
三番(平野富二)曰ク、大工ハ出稼人多クシテ去来常ナラザレトモ近来寄留届ノ事厳重ナレバ其本籍ニ就テ調査セバ精密ナラザルモ其
 - 第18巻 p.89 -ページ画像 
概数ヲ知リ得ベシ、蓋シ大工ハ他ノ職工ニ比スレバ人員多クシテ其工況上ニ関係スル処至大ナレバ可成之ヲ報告書中ニ掲載アラン事ヲ望ム
会長曰ク、工況ハ前既ニ陳ベシ如ク未ダ他ニ之ガ調査ニ着手セシ者アルヲ聞カザル程ナレバ、其取調方ノ不完全ナルハ勿論ノ事ナリ、去リトテ之ヲ調査セザルハ太ダ遺憾ノ至リナレバ不十分ナガラモ本会ニ於テ先ヅ其調査ノ端緒ヲ開キ、手続ノ整頓スルヲ待テ徐々ニ完全ヲ期セント欲ス、各員幸ニ之ヲ了セヨ
六十四番(宮崎佐平)曰ク、取調品中ニ石炭酸・硫黄ヲ追加シテハ如何、之ヲ取調ブル事難カラズ
会長曰ク、売買取引ノ多キモノニシテ且ツ其調査ノ行届クベキ見込アルモノナレバ其二品ヲ加フルモ可ナラン
五十八番(川原英次郎)曰ク、金融中ニ質屋ノ貸金高ヲ掲載シテハ如何
会長曰ク、質屋ノ貸金高ハ親密ノ者ニスラ尚告ゲザル位ナリ、況ンヤ本会之ヲ調査セントスルヲヤ
五十八番(川原英次郎)曰ク、米穀ノ景況ヲ記スル頗ル緻密ナルガ為メ、廻米問屋ニ就テ之ヲ調査スル太ハダ至難ナリト思ハル
七番(甲田卯三郎)曰ク、委員ガ取調ベタル雛形ニ拠テ調査セバ米穀ノ商況ヲ取調ブル事容易ナルベシ
四十三番(梅浦精一)曰ク、取調雛形ニ拠テ調査セバ左マデ困難ナラズト思ハルレトモ是レ只局外者ノ私考タルニ過ギザレバ実際業ヲ執ル者ニ於テハ或ハ多少ノ困雖アラン、然レトモ今回調査スル処ノモノハ前年商法会議所ヨリ依頼シタル調査手続ト大差ナケレバ今回ニ限リテ調査殊ニ困難ナリト云フ理由ナカルベシト思ハル
五十八番(川原英次郎)曰ク、月末現在高中深川ノ在高ハ調査シ得ベケレトモ其他市中ノ在高ハ到底取調ベ難シト思ハル
会長曰ク、細カニ市中ノ在高ヲ調査スルハ固ヨリ行ハレ難キ事ナレトモ其概額位ハ廻米問屋ニテモ取調ベ難カラズ、且ツ府下各問屋ヨリ報ズル市内在高ニシテ其額ニ異同アレバ彼是ヲ斟酌シテ掲載スルモ妨ゲナカルベシ
五十八番(川原英次郎)曰ク、斯ク米穀取調方ニ就テ喋々異議ヲ容ルルトキハ或ハ取調ノ煩累ヲ辞セントスルガ如クナレトモ、其実決シテ然ルニ非ズ、全ク調査ノ至難ナルヲ思ヒテ質問スルノミ、偖尚質問スヘキハ浅草米廩ノ事ナリ、此庫中ノ在高ハ到底廻米問屋ニ於テ調査シ難シ
会長曰ク、若シ果シテ廻米問屋ニテ調査ニ苦シマルヽモノナレハ此在高ハ官ニ依頼シテ取調方ヲ求ムルモ可ナラン
五十九番(益田孝)曰ク、米穀ノ取調方固ヨリ緻密ナラザルニ非ズト雖トモ、調査ノ行届ク丈ハ廻米問屋ニテ尽力シ、尚及バサル場合アレバ更ニ商議スヘシ
会長曰ク、商況ノ体裁ハ既ニ数々陳弁シタレバ各員其大略ヲ了セラレシナラン、別ニ意見ナケレバ決ヲ採ラン
九十四番(峯嶋茂吉)曰ク、嚮キニ会長ハ質屋ノ貸金高ヲ知ル事至難
 - 第18巻 p.90 -ページ画像 
ナリト言ハレタレトモ、今回古物商取締条例ノ頒布アリテ質屋ノ取締方モ稍々厳重ヲ加ヘタレバ、其頭取ニ就テ調査セバ貸金高ヲ知ル事敢テ難カラザルヘシ
会長曰ク、果シテ調査シ得ヘクンバ他日其貸金高ノ一項ヲ設クルモ晩カラザルヘシ
三十九番(坂本彦平)曰ク、米穀ノ調査至難ナリトノ説モアリタレトモ、至当ノ順序ヲ経テ調査セバ決シテ困難ナラズト思ハル
会長曰ク、報告書ノ体裁ト其取調方トヲ混同セザラン事ヲ希望ス、先刻ヨリ各員ノ意見ヲ聞クニ報告書ノ体裁ニ就テハ別ニ異議ヲ容ル者ナク、而シテ其取調方ニ至リテハ或ハ困難ナリト云ヒ或ハ容易ナリト云フ、蓋シ商工況調査ハ其担当人ニ取リテハ固ヨリ多少ノ困難アルヘシト雖トモ、既ニ本会ニ加盟セラレタル以上ハ各員応分ノ力ヲ尽シ、金融ハ銀行集会所、運輸ハ三菱会社・共同運輸会社ト云フガ如ク各々其業体ニ応ジテ調査ヲ担保セバ敢テ至難ノ事ニモアラザルベシ、然レトモ此取調方ハ後刻ノ議事ト為シ、此処ニテハ先ヅ報告書ノ体裁ニ就テ決ヲ採ルベシ、報告書ノ体裁ニ就テハ別段異議ナキガ如クナレバ委員ノ見込ニ決シテ可ナルヤ
各員異議ナキヲ以テ委員ノ見込ニ決シタリ
続テ会長ハ其取調方ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ、且ツ曰ク、諸報告ノ取調ハ前ニモ述ベシ如ク各員其業体ニ応ジテ担保セラレン事ヲ望ム、若シ然ラズシテ当会ヨリ直接ニ調査スルトキハ更ニ書記ヲ増シ筆生ヲ加ヘ随テ巨額ノ経費ヲ増加セザル可カラザルニ至ラン、斯ノ如キハ本会ノ欲スル所ニアラズシテ各員モ亦望マザル所ナルベシ、左レバ各員其業体ニ応ジテ取調ヲ担保スルノ外ナカラン歟
八十二番(山中隣之助)曰ク、取調ハ各員ノ担保ス可キモノニシテ殊ニ異議ヲ容ルベキニ非ズ、其取調方ノ如キハ扣席ニ於テ協議スルモ可ナルベシ、本日ハ議件多クシテ時間既ニ切迫セシ事ナレバ此議ハ玆ニ止メ速ニ第一号議ニ移ラン事ヲ望ム
三十六番(室伏次郎兵衛)等ノ賛成説アリ
会長曰ク、然ラバ取調方ハ更ニ協議スル事ト為シ、商況報告ノ議ハ委員ノ見込ニ決スベシ、各員之ヲ了セヨ ○下略


東京商工会議事要件録 第三号・第四三―四八頁 明治一七年四月一〇日刊(DK180010k-0003)
第18巻 p.90-91 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三号・第四三―四八頁 明治一七年四月一〇日刊
 ○参考部
昨十六年十二月二十七日御下問相成候三問目中第一問目商況報告ノ件ハ別紙ノ通リ議定仕候間此段復申仕候、尚傭主被傭者間ノ取締法及同業組合取締規則ノ二件ハ目下商議中ニ御坐候間、議定ノ上ハ早速復申可仕候也
                  東京商工会々頭
  明治十七年二月二十一日         渋沢栄一
    農商務卿 西郷従道殿
(別紙)
    第一問目復申書
第一商工会ハ何等ノ統計報告ニ拠テ府下ノ商工況ヲ調査スルヤ
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本会ハ会員ノ業体ニ応ジ本会定ムル所ノ報告取調表ニ拠テ商工況ヲ統計報告スル見込ナリ、蓋シ本会々員ノ業体タル其類各々同ジカラズ、米穀・酒類・糸・茶・紙等百段ノ貨物ヲ売買製造スル者アルヲ以テ此等実業者ニ依頼シテ其業体ニ応ジ一々商工況ヲ統計報告セシムルトキハ庶幾クバ調査ノ好結果ヲ見ルヲ得ン歟、然レトモ商工況ノ調査ハ太ダ至難ノ業ナレバ唯本会々員ノミニテハ或ハ調査ノ必期シ難キモノアラン、此場合ニ於テハ会員外ノ者ニ依頼シテ之ガ調査ヲ求メ、而シテ尚調査ノ必期シ難キ者ハ暫ク其掲載ヲ猶予シ、更ニ他日調査ノ行届クヲ待テ徐々ニ記述スル所アラント欲ス
第二会員及其他ニ緊要ノ商工況ヲ報告スルハ何等ノ方法ニ由ルヤ
本会ハ規程第三章第十一条ニ基キ商工況報告書ナル者ヲ編纂シテ之ヲ会員及其他ノ者ニ頒布セント欲ス、蓋シ此報告書ニハ商工況ヲ始メトシテ金融・運輸ノ景況ニ至ルマデ苛モ事ノ経済上ニ関係シテ調査ノ必期シ得ヘキ者ハ総テ之ヲ網羅シテ其景況ヲ報ズヘシ、而シテ其報告ノ体裁ハ先ヅ貨物ノ商情ヲ記シテ其輸出入高・消費高ノ増減及相場ノ昂低ニ関シ本会ガ認メテ以テ原因ナリト思量スルモノヲ略陳シ、次ニ輸出入品ノ数量・価格及相場表ヲ掲ケテ以テ其記事ヲ明瞭ニシ、之ニ次デ工業・運輸・金融ノ諸景況ヲ記セント欲ス
第三常ニ報告ヲ要スヘキ物件ハ何々ニシテ其報告数ハ幾回ナルヤ
本会ガ常ニ報告セント欲スル物件ハ大別シテ四アリ、第一商況、第二工況、第三金融ノ景況、第四運輸ノ景況即チ是ナリ、而シテ其商況ニ於テハ米・大小豆・大小麦・酒・醤油・水油・石油・塩・畳表・材木〆糟・干鰯・昆布・石炭・舶来糸・和製器械糸・晒金巾・生金巾・毛繻子・綿繻子・フランネル・メリンス・羅紗・フランケツト・舶来砂糖・和砂糖・日本紙・西洋紙・同和製紙・生糸・真綿・繰綿・炭・薪石灰・蠣灰・鼈甲・陶器・塩物・時計・銅・鉄・茶・糠・団扇・藍・絵具・染料・麻苧・蝋・鰹節・烟草・銀貨・生木綿・晒木綿・白絹・白縮緬合計五十九品ノ商況ヲ記シ、工況ニ於テハ大工・左官・石工・活版職等目下稍々調査ノ見込アル者ノ人員・賃銀ヲ記シ、金融ノ景況ニ於テハ本支店銀行実際報告・主要地為換・割引・荷為換取組高及為換打歩、銀行・質屋・両換商ノ金利、各種公債証書ノ転入・転出・府下現在高及其相場ノ昂低ヲ記シ、運輸ノ景況ニ於テハ滊船・風帆船・和船ノ出入艘数・噸数若クバ石数及月末碇泊船数ヲ記シ、以上四景況ヲ一括シテ商工況報告ト為シ、毎月一回之ヲ刊行スル見込ナリ、此外毎半季ノ報告書ニハ凡ソ十ケ年前毎三年間ノ諸貨物平均相場ヲ統計シ紙幣及銀貨ノ相場ニ由テ其昂低ヲ明カニシ、一ハ以テ毎月報告書ニ記スル諸物価ノ昂低変遷ヲ詳了シ、一ハ以テ将来諸物価変動ノ標準ヲ知ルニ便セント欲スルナリ
第四商工況ニ変動アルニ際シテ八其原由ヲ調査シ之ヲ説明スル見込ナルヤ
本会既ニ商工会ノ名アリ、且規程ニモ商況調査委員ヲ撰定シ置クノ条項アル以上ハ、商工況ハ勿論金融・運輸ノ景況ニ至ルマデ苟モ変動ノ稍々注目スルニ足ルベキモノ有ルニ際シテハ具サニ其原因ヲ探究シテ之ヲ説明セント欲ス
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東京商工会々外諸向往復文書 第一号(DK180010k-0004)
第18巻 p.92 ページ画像

東京商工会々外諸向往復文書 第一号
                   (東京商工会議所所蔵)
(案)
此度当商工会ニ於テ規程第十一条ニ拠リ商況報告ヲ発兌シ、毎月府下ニ集散スル重立タル商品ノ輸出入高等ヲ取調ベ公私ノ参考ニ供シ度存候処、何品ノ義ハ何分其景況調査行届兼困却致居候、就テハ貴店ニ於テハ従来右品手広ク御取扱相成居候義ニ付、何卒此義御翼賛ノ上乍御手数来四月ヨリ以後毎月右品ノ景況御取調被下、翌月五日迄御報知被下候様致度、此段別紙調査心得書相添御依頼申上候也
                  東京商工会々頭
  明治十七年三月             渋沢栄一
    会外調査人
△ 尚々本文調査之義御承諾被下候上ハ、猶本会々員何ノ誰ヨリ御相談可申上筈ニ付、可然御協議被下度此段添テ申上候也
  若シ会員中全ク懇意筋之者無之時ハ右ニ代フルニ左ノ追申ヲ以テス《(朱書)》
○ 尚々本文調査ノ義ニ付本会書記一名差出候間、其手続等御不審ノ廉モ有之候ハヾ其者ヘ御尋問被下度此段添テ申上候也
△三月廿六日 浅野宗一郎(石炭)会員 益田孝
○四月八日  醤油会社西村甚右衛門           (醤油)
○同 同   時田芳兵衛 若松源八           (烟草)
○同 同   小津清左衛門 大橋屋清左衛門 岡本弥兵衛 (日本紙)
○同 同   松沢孫七 藤田金之助           (蝋)
○同 九日  柴田乕三郎                (海手薪炭)
○同 十日  岡田惣三郎 北沢与三郎          (材木)
○同 十五日 中村卯兵衛 斎藤与右衛門         (材木)
○同 十七日 服部源三郎                (日本紙)
○同 十七日 村田七右衛門               (日本紙)


東京商工会官衙諸達並上申書綴(DK180010k-0005)
第18巻 p.92 ページ画像

東京商工会官衙諸達並上申書綴     (東京商工会議所所蔵)
(案)        栄一    《(萩原)》
今般本会ニ於テ規程第十一条ニ依リ商工況報告発兌致度、就テハ工況調査上参考ニ供シ度義有之候ニ付、何卒府下大工職 鍛冶職 鑪職ノ現在人員(本籍寄留ヲ問ハズ)御調査ノ上御垂示被成下候様仕度此段奉願上候也
                  東京商工会々頭
  明治十七年四月五日           渋沢栄一
    警視総監 大迫貞清殿


東京商工会官衙諸達並上申書綴(DK180010k-0006)
第18巻 p.92-93 ページ画像

東京商工会官衙諸達並上申書綴     (東京商工会議所所蔵)
兼テ旧東京商法会議所ノ頃ヨリ引続キ各種公債証書ノ転出入高等毎月御調査ノ上御下附被成下候処、今般本会ニ於テ商況報告発兌仕候ニ就テハ更ニ各府県ヘ転出入スル内訳高ヲモ掲載シテ公私ノ参考ニ供度奉存候間、何卒去ル四月分ヨリ以後右内訳高ノ義モ併テ御調査ノ上御下
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附被成下候様仕度此段奉願上候也
                東京商工会々頭
  明治十七年五月十日       渋沢栄一東京商工会会頭之印
    東京府知事 芳川顕正殿
 第九一六四号《(太字ハ朱書)》
割印書面之趣聞届候事
  但受取方手続等ハ当庁公債課ヘ承合スヘシ
   明治十七年五月廿三日   東京府知事 芳川顕正東京府知事芳川顕正


東京商工会官衙諸達並上申書綴(DK180010k-0007)
第18巻 p.93 ページ画像

東京商工会官衙諸達並上申書綴     (東京商工会議所所蔵)
今般本会ニ於テ規程第十一条ニ拠リ商況報告ヲ発兌シ毎月府下ニ集散スル重立タル商品ノ輸出入高・消費高並ニ月末現在高等ヲ取調ベ公私ノ参考ニ供シ度、就テハ米況調査上参考仕度義有之候間、何卒去四月ヨリ以降毎月末浅草廩米ノ現在高翌月五日迄ニ御垂示被成下候様仕度此段奉願上候也
  明治十七年五月十二日      東京商工会東京商工会之印
  大蔵省
    国債局御中
尚々本文ノ義ニ付本会書記一名差出候間、去四月末現在高ノ義ハ其者ヘ御垂示被成下候様仕度、此段添テ奉願上候也
甲第一七六〇号《(太字ハ朱書)》
書面之趣難聞届候事
  明治十七年五月十九日
                     国債局国債局印


東京商工会々外諸向往復文書 第一号(DK180010k-0008)
第18巻 p.93-94 ページ画像

東京商工会々外諸向往復文書 第一号
                   (東京商工会議所所蔵)
(案)
此度本会ニ於テ規程第十一条ニ拠リ商況報告ヲ発兌シ毎月府下ニ集散スル重立タル商品ノ輸出入高、各職工ノ現在人員並ニ其賃銀等ヲ調ベ公私ノ参考ニ供シ度存候処、船大工ノ義ハ何分其景況調査行届兼困却致居候、就テハ貴造船所ニ於テハ従来船大工御使雇相成居候義ニ付、何卒此義御翼賛ノ上乍御手数去六月分ヨリ別紙雛形ノ通御取調被下度此段厚ク御依頼申上候也
                    東京商工会
  明治十七年七月九日
    調査人御中
尚々本文ノ義ニ付一両日中本会商況掛リ一名差出可申ニ付、去六月分ハ何卒夫迄御取調置被下度此段添テ御依頼申上候
本文調査ノ義、是迄本会々員平野富二ヘ委托致置候処、都合ニヨリ去六月分ヨリ以後本会ニ於テ直チニ取調候事ニ相改候間、此旨御承知置被下度候也
    福沢辰蔵
    三菱艀修繕所
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    望月藤次郎
    通運造船所
    尾明造船所
    川崎造船所
    石川島造船所
    鈴木長吉
    石藤金兵衛
    狭間覚太郎


東京商工会議事要件録 第四号・第四―五頁 明治一七年五月二四日刊(DK180010k-0009)
第18巻 p.94 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四号・第四―五頁 明治一七年五月二四日刊
  第四臨時会  (明治十七年四月廿六日午後第五時四十分開会)
    会員出席スル者 ○六十名
会長ハ本議ニ先ダチ左ノ二件ヲ報告シ且ツ衆員ノ意見ヲ問ラ
○中略
 一商況報告配布ノ件
   右商況報告発兌ノ儀ハ前回ニ於テ既ニ其大項ヲ議了シ、来ル五月ニ其第一号ヲ刊行スル筈ナリシガ其製本ノ体裁並ニ配布方等ハ未ダ決定セザリシニ由リ、仍チ各員ノ意見ヲ問ヒシニ種々討議ノ末終ニ其製本ノ体裁ハ東京経済雑誌ニ傚フテ之ヲ出板シ、第一号ニ限リ会員一名ニ付二部ツヽヲ配布シ、第二号ヨリハ会員一名ニ付一部ツ、ヲ配布シ、其上更ニ予約ヲ申込ム者ヘハ幾分カ割合ヲ廉ニシテ之ヲ配布スベキニ決シタリ


東京商工会議事要件録 第六号・第四―二八頁 明治一七年九月二二日(DK180010k-0010)
第18巻 p.94-95 ページ画像

東京商工会議事要件録  第六号・第四―二八頁 明治一七年九月二二日
  第三定式会
         (明治十七年八月二十二日午後五時四十分開会)
  第六臨時会
    会員出席スル者 ○六十二名
会長ハ衆員ニ向ヒ本日ハ兼テ通知シタルガ如ク定式臨時ノ両会ヲ開クベキ筈ナルガ先ヅ定式会ヨリ始ムベキ旨ヲ告ゲ、即チ規程第五章第二十条ニ依リ本年一月ヨリ六月ニ至ル半季間事務ノ成跡ヲ報告ス
  ○自明治十七年一月至同六月半季間事務ノ報告
○中略
    政府ヨリ下問   四件
○商況報告ノ義ニ付農商務省ヨリノ下問
  本件ハ明治十六年十二月二十七日附ヲ以テ西郷農商務卿閣下ヨリノ御諮問ニ係リ、其要旨ハ本会ニ於テ如何ナル方法ヲ以テ商況報告ヲ統計編纂スルヤ等ヲ問ハレタルモノナリ、然ルニ当時本会ニ於テハ創設以来日尚浅ク未ダ右等ノ方法ヲ議定セザルノ前ニ付、即チ本年一月十六日第一臨時会ニ於テ之ヲ審議シタルニ先ヅ商況報告委員ヲ撰ンデ統計編纂ノ方法等ヲ議定セシメ、然ル後其趣旨ニ基キテ荅申スベシト云フニ決シ依テ会長ハ七名ノ委員ヲ指名撰定シ、此等ノ委員ハ其後数回集会シテ漸ク其方法ヲ審査シタルニ付、更ニ其要旨ニ従テ荅申案ヲ作リ二月十七日第二臨時会ノ可決
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ヲ得、同月二十一日附ヲ以テ之ヲ農商務省ニ進達シタリ(委員ノ名ハ次ノ雑事部ニ記載スルヲ以テ之ヲ略ス)
○中略
    雑事   二件
○商況報告ノ発兌
  本件ハ兼テ規程第十三条ニ明示スルガ如ク本会ノ常務タルベキモノニ付、本年早々之ヲ実行スベキ見込ナリシガ、時ニ右報告統計編纂ノ方法等ニ就キ農商務卿閣下ヨリ御諮問アリ、依テ本年一月十六日第一臨時会ニ於テ其方法等ヲ審議シタルニ先ヅ報告委員ヲ撰ンデ考案ヲ立テシムベシト云フニ決シ、即チ会長ハ左ノ七名ノ委員ヲ指名シタリ
              八十一番  荘田平五郎
              二十番   大倉喜八郎
              七十九番  山中隣之助
              四十二番  梅浦精一
              三番    平野富二
              六十四番  柿沼谷蔵
              七番    甲田卯三郎
  此等ノ委員ハ本年一月二十三日、二月四日及三月二十日ニ集会シテ統計編纂ノ方法並ニ調査ノ手続ヲ議定シ、大凡六十余種ノ物件ニ就キ毎月其景況ヲ調査シテ之ヲ編纂報告スル事ト定メタリ、而シテ其後右ノ調査ヲ広ク会内及会外ノ実業家ニ依托シ本年五月ヲ以テ始テ第一号ノ報告ヲ発兌シタリ
○下略


第一統計報告 東京商工会編 明治一八年八月刊(DK180010k-0011)
第18巻 p.95 ページ画像

第一統計報告 東京商工会編  明治一八年八月刊
    緒言
昨年四月以来本会ニ於テ月々発刊スル商況報告ハ府下重要ノ商業ヲ始メトシテ工業金融及運輸ノ諸景況ヲ記スルモノニシテ市況ノ消長、相場ノ高低及金融ノ盈絀等略ボ之ヲ知ルヲ得ベシト雖モ、其記スル所ハ唯月々ノ細況ヲ報スルニ止マルガ故ニ半季間又ハ一年間各業全般ノ総況ヲ通覧セントスルニ至リテハ未ダ隔靴ノ歎ヲ免カレザルモノ多シ、是レ今回本会ガ創立要旨ニ基キ此書ヲ編纂スル所以ナリ、抑モ統計報告ハ事実ニ依リテ各業全般ノ総況ヲ記スルヲ以テ目的トナスモノナレバ其記事ノ如キハ繁蕪ニ渉ラズ臆断ヲ用ヒズ、勉メテ実際ノ肯綮ニ中ラン事ヲ期スルト雖トモ商況報告発刊以来日猶浅クシテ材料未ダ十分ニ纏ラズ、就中工業及運輸ノ景況ノ如キハ十分力ヲ取調方ニ尽スト雖トモ其記事或ハ精確ヲ欠クモノナキ能ハズ、若シ読者其足ラザルヲ補フアラバ本会ノ幸甚之ニ過グルモノナシ
  明治十八年八月           東京商工会
   ○右ニヨルト「商況報告」第一号ノ発刊ハ明治十七年四月ノ如クナルモ、正確ニハ四月内容ノモノヲ五月ニ発刊シタルナリ。



〔参考〕東京商工会議所六十年史草稿 第一七七―一七八頁 昭和一三年三月刊(謄写版)(DK180010k-0012)
第18巻 p.95-96 ページ画像

東京商工会議所六十年史草稿  第一七七―一七八頁 昭和一三年三月刊(謄写版)
 - 第18巻 p.96 -ページ画像 
 ○第四章 二、東京商工会の業蹟
    その三 会員に対する調査報告其他
 (商況報告と統計報告)
官庁に対する復申・建議の外に、直接会員及び其の他に与へたる調査報告で、最も一般世間に喜ばれたものとしては、第一に商況報告と統計報告とを挙げなければならない。これは既に商法会議所時代から発行を続けて来たものだが、あのごたごたで明治十五年五月以来休刊されてゐた。しかもその必要は衆人の認むる所であつたから、東京商工会の設立と共に、先づ農商務卿よりその方針を下問され、いよいよ復活の運びとなつて、前者は明治十七年四月から発行され、後者はやゝ後れて、同十八年八月に第一統計報告が世に出された。そして共に明治二十一年十二月まで継続したものである。 ○下略
   ○「商況報告」ハ東京商工会議所図書室モ之ヲ所蔵セズ。
   ○「統計報告」ハ全七冊、東京商工会議所之ヲ所蔵ス。各冊トモ菊版五〇頁内外、商業・工業・金融・運輸ノ四部ニ分タレ夫々半季又ハ一ケ年間ノ景況ヲ統計ヲ主トシテ概略セルモノナリ。
   ○本節第一款「東京商法会議所」明治十三年六月十二日ノ条(第十七巻第三五六頁)ヲ参照スベシ。