デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第18巻 p.234-256(DK180021k) ページ画像

明治18年1月5日(1885年)

是日栄一当会会頭トシテ、先ニ農商務卿西郷従道ヨリ諮問セラレタル商品荷造ノ儀ニ就キ復申ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第七号・第一三―三〇頁 明治一七年一〇月一五日刊(DK180021k-0001)
第18巻 p.234-238 ページ画像

東京商工会議事要件録  第七号・第一三―三〇頁 明治一七年一〇月一五日刊
  第七臨時会  (明治十七年九月廿二日午後六時三十分開会)
    会員出席スル者 ○五十名
○上略
是ニ於テ会長 ○渋沢栄一ハ是ヨリ第一号議案即チ農商務卿ノ諮問ニ係ル商品荷造ノ件ヲ審議スベキ旨ヲ告ゲ、且ツ同省ヨリ説明委員臨席セラルルニ付、若シ本件ニ就キ疑ハシキ廉アラバ質問スベキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ議案ヲ朗読セシム、即チ左ノ如シ
(第一号)
                    東京商工会
別紙問目商品荷造リノ件其会ヘ諮問候条審議ヲ遂ゲ復申可致事
  明治十七年八月二十三日
                 農商務卿 西郷従道
    東京商工会ヘ諮問ノ事項
商品荷造ノ件
  商品ノ荷造リニシテ苟モ其法ヲ得ズンバ商品ノ精良ナルモ為メニ毀損敗壊シ、或ハ徒ニ量目ノ増加スルガ如キ運搬上ニ取扱上ニ種種ノ損害不便ヲ来スベシ、故ニ荷造リノ得失便否ヲ考究シ之ガ改良ヲ謀ルハ商工業者ノ決シテ忽ニスベカラザル急務ナルベシ、今本項ニ就キ審議ヲ要スルノ概目左ノ如シ
一荷造リノ種類
  例ヘバ箱詰菰包等ノ類
一現行荷造リノ法ニ就キ当業者ノ親ク感ズル所ノ得失便否
一荷造リノ不利不便ナルモノアラバ之ガ改良ノ方法
一荷造リノ不利不便ナルモノニシテ今日ニ至ルマデ 良ノ行ハレザル所以ノ事故アラバ其事故
番外一番(吹田鯛六)曰ク、本件下問ノ主意ハ例言ニ因テ明カナレバ今復タ之ヲ弁ゼザルベシ、余ガ今諸君ノ質問前ニ於テ特ニ第一項(商品荷造ノ種類)ニ就テ聊カ弁ジ置キタキ事アリ、抑モ此一項ヲ玆ニ掲ゲ置クモノハ凡ソ各商品中其荷造ノ方法幾種アルカヲ了
 - 第18巻 p.235 -ページ画像 
知シタキノ趣意ナリ、然レトモ今百般ノ貨物ニ就テ一々之ヲ調査スルニハ頗ル煩雑ノ手数ヲ要スルガ故ニ、先ヅ府下ニ出入集散スル重要ナル商品ヲ挙ケ其現行荷造リノ法ニ就キ当業者ガ感ズル所ノ得失便否ヲ調査セラレン事ヲ望ム、今余ガ見ル所ヲ以テスレバ凡ソ商品中最モ重要ナルモノハ生糸・茶ノ二品ニ若クモノナキガ如シ、故ニ此両品ニ就テ最モ丁寧ニ調査アリタシ、抑モ商品荷造リノ改良ハ品川商務局長ノ夙ニ計画スル所ニシテ、曩キニ清国在留中其海港市場ヘ運出スル各商品ノ荷造法ヲ調査シテ細カニ其雛形ヲ摸写シタルモノアリ、今本件ヲ議スルニ当リ聊カ参考ノ一助トナランヲ思ヒテ右謄本ヲ持参セリ、諸君幸ニ一覧アリタシ、但ダ其各品ノ荷造費ニ就テハ当時之ヲ調査スルニ遑ナク、昨今彼国知友ニ照会中ナレバ不日其返書ヲ得ルニ及ンデ更ニ瀏覧ニ供スル事アルベシ
会長曰ク、唯今番外ガ述ベラレタル清国商品荷造法ノ謄本ハ精細ナル註釈アリ、緻密ナル挿画アリテ容易ニ弁明シ難キニ付、暫時拝借ノ上近日印行シテ各員ニ頒布スベキヲ以テ其節篤ト熟覧セラレン事ヲ望ム、偖本件御下問ノ主意ハ只今番外ガ弁ゼラレシ如ク広ク商品ト云フトキハ其区域漠然トシテ之ヲ調査スルニ頗ル煩雑ノ手数ヲ要スルニ付、先ヅ府下ニテ重要ナル商品ニ就テ其荷造方ヲ調査シ然ル上ニテ其得失便否及改良法ヲ復申セバ、其筋ニテモ猶篤ト審査アリテ相当ノ改良方法ヲ設ケラルヽノ主意ナルベシ、各員能ク此主意ヲ諒シテ審議アリタシ
四十四番(米林乾吉)曰ク、本件ハ頗ル緊要ノ御下問ナリ、若シ各商品ノ荷造方ニシテ実際改良スルニ至ラバ全国ノ利益実ニ大ナル者アラン、蓋シ我会社ニ於テ運搬スル生糸ノ如キハ当初ハ桐油紙及畳表ヲ以テ鄭重ニ之ヲ包ミタルモ、今日ニ至リテハ菰又ハ粗紙ヲ以テ僅ニ外部ヲ覆フニ過ギズ、是レ必竟該品運送ノ際偶々毀損ヲ生ズル時本社其弁償ノ責ニ任ズルガ故ニ荷主等之ヲ恃デ殊ニ其荷造ヲ粗末ニ為スニ至リシモノニシテ、其損害決シテ本社一個ニ止マラザルナリ、故ニ其筋ニ於テ此等商品ノ荷造ニ相当ノ制限ヲ置カレ、若シ此制限ニ背ク者アル時ハ運送者ニ於テ其荷物ニ就キ一切弁償ノ責任ヲ有スルニ及バズト云フガ如キ便法ヲ施設セラレン事ヲ切望ス、彼ノ舶来品ノ如キハ其荷造堅牢ナルガ為メ万里ノ絶海ヲ踰ヘテ搭載シ来ルモ破損スルモノ太ダ寡シ、然ルニ我国商品ノ如キハ近来其荷造漸ク粗悪トナリ殊ニ其量目ノ如キ従来十貫目ナルモノヲ改メテ十五貫目トスルノ類少カラズ、願ハクハ諸君今此御諮問ヲ好機トシ、各自当業ノ荷造法ヲ改良スルニ注意アラン事ヲ
六十三番(柿沼谷蔵)曰ク、本案中種類トアルハ商品ノ種類ナルヤ将タ荷造ノ種類ナルヤ
番外一番(吹田鯛六)曰ク、荷造ノ種類ナリ、若シ一品ニシテ数種ノ荷造法アラバ可成一々之ヲ調査セラレタシ
六十三番(柿沼谷蔵)曰ク、商品ノ荷造リニシテ現在不便ヲ感ゼザルモノハ如何スベキヤ
 - 第18巻 p.236 -ページ画像 
番外一番(吹田鯛六)曰ク、下問書ニ拠レバ是等モ共ニ調査ヲ要スル文意ナレトモ斯ノ如クスル時ハ実際煩雑ノ手数ヲ要ス可レバ、先ヅ現在不便ヲ感ズル商品ノミニ就テ調査アリタシ
四十三番(梅浦精一)曰ク、商品荷造ノ改良セザル可ラザルハ固ヨリ論ヲ俟タズト雖トモ現行荷造リノ法ニ就キ当業者ガ親ク感ズル所ノ得失便否ハ必ズシモ一様ナラザルモノアリ、例ヘバ米又ハ〆糟ノ如キ府下ニテハ五貫目入ノ菰包ヲ以テ便利ナリトナスモ、製産地方ニ依リテハ或ハ却テ之ヲ不便利ナリト為スノ類モアラン、然ルニ今独リ府下ニ於テ便利ナリト認ムル所ヲ以テ之ヲ地方ニ強行セントスル時ハ却テ種々ノ弊害ヲ生ズル事ナカルベキカ、更ニ之ヲ例証センニ上海・香港等ニ在ル外国産ノ米穀ハ凡テ絨羶《ゴニイパツク》ニテ包装シ、運搬上・売買上実ニ太ダ便利ナリト雖トモ、若シ今日本米モ直ニ之ニ傚ヒテ絨羶包ト為サントスル時ハ果シテ之ヲ実行スルヲ得ベキヤ、之ヲ要スルニ一方ニ便利ニシテ他方ニ不便利ナルノ荷造法ハ之ヲ改良スル実ニ容易ナラザルナリ、抑モ今回御下問ノ当業者ガ感ズル得失便否トハ生産者ノ地位ニ立テ之ヲ云フベキヤ将タ商業者ノ地位ニ立テ之ヲ云フベキヤ
番外一番(吹田鯛六)曰ク、四十三番ノ質問ハ至極尤モニシテ都鄙ノ便否必ズシモ一様ナラザルハ実ニ其言ノ如クナラン、然レトモ今一々之ヲ調査スルハ容易ノ事ニ非ザレバ願ハクバ先ヅ単ニ商業者ガ不便ヲ感ズルモノヲ挙示セラレタシ、若シ製産者ノ便否ヲモ併セテ調査セラルヽヲ得バ幸ヒ之ニ過ギズ
六十四番(宮崎佐平)曰ク、単ニ東京府下ノ便否ノミヲ以テ改良ノ標準トスベカラズ、故ニ本件ニ就テハ地方生産者ノ便否ヲモ調査シ充分ニ其得失ヲ講究スル事トシテハ如何ン
番外一番(吹田鯛六)曰ク、東京府下ニ居テ十分全国ノ便否ヲ調査セラルヽヲ得バ則チ幸ヒノ至ナレトモ、各地方ノ便否ハ本省ニ於テ追テ之ヲ調査スルノ手段アレバ、先ヅ府下ノ便否ノミニテ不都合ナシ
六十三番(柿沼谷蔵)曰ク、荷造法ニ就キ都鄙便否ヲ異ニスルモノ一ニシテ足ラズ、例ヘバ生糸ノ如キ提糸アリ掛田糸アリ、其量目亦一様ナラズ、若シ是ヲ便ナリトシテ彼ヲ改ムルガ如キアラバ一方ノ便利ハ他方ノ不便トナラン、故ニ今府下ニテ重要品ノ便否ヲ調査スルニ当リ之ト同時ニ各地方ノ便否ヲモ参観スルニ非ズンバ甚シキ不都合アラン
番外一番(吹田鯛六)曰ク、既ニ述ブルガ如ク都鄙互ニ異ニスル所ノ便否ヲ知ルヲ得バ此上ナキ幸ナリト雖トモ、地方ノ便否ニ就テハ本省ニ於テ他ニ其報告ヲ得ルノ道ナキニ非ザレバ先ヅ東京市場ノ便否ノミヲ調査セラレン事ヲ望ム
五十八番(川原英次郎)曰ク、入津物ノ荷造ニ就テハ府下ノ便否ヲ調査シ、輸出物ノ荷造ニ就テハ生産地方ノ便否ヲ調査スル事トセバ庶幾クバ完全ノ結果ヲ得ル事アラン、是レ商業地ト生産地トハ互ニ其便否ヲ異ニスルモノアレバナリ、例ヘバ南部地方ノ如キハ平生牛馬ヲ大切ニシ可成重荷ヲ負ハシメザルノ慣習アルガ故ニ同地
 - 第18巻 p.237 -ページ画像 
産出ノ米ハ凡テ三斗俵ナレトモ、東京ノ仲買人ハ府下売捌方ノ便ヲ謀リテ更ニ之ヲ四斗俵ニ改ムルヲ常トス、秋田米モ亦然リ、又東京ヨリ上総地方ヘノ輸出米ハ凡テ四斗俵ヲ以テスル事常例ナリ斯ク都鄙荷造方ノ便否ヲ異ニスル以上ハ東京ノ便否ノミヲ採テ地方ノ便否ヲ推断スベカラザルナリ
二十四番(松木平吉)曰ク、府下ノ問屋ハ大抵地方ノ貨物ヲ買集シテ更ニ之ヲ各地方ニ販売スルヲ常トセリ、而シテ之ヲ廻送スルニ当リテハ各問屋ガ一ニ買主ノ望ニ応シ荷造屋ヲシテ之ヲ包装セシメ其費用ハ追テ買主ヨリ之ヲ廻収スルノ例ナリ、例ヘバ越後地方ヘ書籍ヲ廻送スル時ノ如キ土地柄ニヨリテ或ハ人肩ニ由ルモノアリ或ハ馬背ヲ以テスルモノアレトモ、要スルニ其荷物ハ一ニ買主ノ望ニヨリテ適宜ニ之ヲ包装スルモノトス、斯ノ如ク問屋ニ於テハ其荷造ノ堅輭精粗ニ就キ毫モ直接ノ利害ヲ感受セザルガ故ニ、今府下ノ問屋ヲシテ専ラ之ガ改良ノ責ニ任ゼシメントスルハ蓋シ甚ダ難事ナリト云フベシ、依テ先ヅ商品ノ種類ヲ定メ之ヲ取扱フ会員ヨリ篤ト其荷造ニ関スル慣習等ヲ詳報セシメ、然ル後之ガ改良法ヲ審案セバ可ナラン
会長曰ク、抑モ本件御下問ノ主意ハ説明委員ガ既ニ弁明セラレシ如ク府下重要ノ商品ニ就テ其荷造法ノ得失便否ヲ講究シ、若シ不便ノモノアラバ其改良法ヲモ取調ベヨト云フニ在リ、之ニ就テ先ヅ質問会ヲ開キタルニ既ニ其調査方法ニ付五十八番・二十四番等ノ動議アリ、各員最早質問スベキ廉ナケレバ各々其見込ヲ述ベラレヨ
五十九番(益田孝)曰ク、本件ヲ取調ブルニ就キ第一ニ要用ナルハ商品ノ種類ヲ定ムル事ナリ、過刻番外ハ先ヅ生糸・茶ノ二品ニ就テ其荷造方ヲ調査セン事ヲ希望セラルレトモ右二品ハ府下商賈ノ余リ手馴レザル貨物ナルニ付、或ハ更ニ米・塩・酒類等日用品ノ主要ナルモノ数種ヲ取調ブル方都合宜シカランカ、偖斯ク商品ヲ定メタル上ニテ例ノ如ク調査委員ヲ撰定スベシ、委員ハ会長ノ指名ヲ要スル勿論ナレトモ望ムラクバ各品ノ当業者ト海陸運輸業ニ従事スル者トヲ撰挙セラレタシ、而シテ此等ノ委員ハ右諸商品ノ荷造方ニ就テ過去ノ弊害ト将来ノ結果等ヲ考察シ丁寧反覆得失便否ノ在ル所ヲ吟味スベシ、然ル時ハ必ズ好結果ヲ得ル事ナラン、蓋シ目下府下ニテ取扱フ各商品中其荷造不完全ニシテ改良ヲ要スルモノ甚ダ多カルベシト雖トモ、就中近来運輸法ノ進歩シタルガ為メニ特ニ荷造ノ改良ヲ要スルモノ亦実ニ少カラザルベシ、夫レ商品ノ荷造ヲ要スルハ畢竟需要者ト供給者ト互ニ相隔絶スルニ因ルモノニシテ、此荷物ヲ一方ヨリ他方ニ移スニハ必ズ先ツ運輸者ノ手ヲ経ザルベカラズ、故ニ運輸ト荷造トハ頗ル密着ノ関係ヲ有シ運輸ノ便一歩ヲ進メバ商品ノ荷造方亦必ズ多少ノ改良ヲ施サヾル可ラズ、現時運輸ノ業大ニ進歩シ海ニ滊船アリ陸ニ滊車アリ復タ昔時人肩馬背ニ委スル時ノ比ニアラズ、左レバ今回商品ノ荷造方ヲ調査スルニ当リテハ委員諸君ニ於テモ充分此点ニ注意アラン事ヲ希望ス
番外一番(吹田鯛六)曰ク、元来本案ノ精神ハ凡百ノ商品ノ荷造方ヲ
 - 第18巻 p.238 -ページ画像 
知悉センコトヲ欲スルニ在リシモ煩雑ノ手数ヲ恐レテ先ヅ生糸・茶ノ二品ヲ指摘セリ、然ルニ唯今五十九番ノ説ニ拠レバ更ニ数種ノ重要品ヲ指定シテ之ヲ調査セント云フニ在リ、是レ余ガ大ニ満足スル所ナリ
四十三番(梅浦精一)曰ク、余ハ五十九番ヲ賛成ス、但シ其品目ハ本会発兌ノ商況報告ニ就キテ其重ナルモノヲ指定セハ可ナラン
十一番(犬塚駒吉)曰ク、五十九番ヲ賛成ス、而シテ品目ハ多クモ十五品以下ニ止メタシ
是ニ於テ会長ハ衆議ヤヽ尽キタルヲ以テ決ヲ取リタルニ五十九番ノ説ヲ賛成スル者多キニ付、即チ其説ニ可決シ、猶衆議ノ上先ツ其品目ヲ左ノ十五種ト定メ、而シテ之ガ調査委員ハ五十九番ノ説ニ従ヒ追テ会長ヨリ会員中現ニ各品ヲ取扱フ者、及海陸運輸業ヲ営ム者ヲ撰ンデ之ヲ指名スベキニ決ス
   米 酒 油 塩 干鰯〆糟 日本紙 繰綿 絵具染料 麻苧砂糖 石灰蠣灰 呉服太物 陶磁器 茶 生糸


東京商工会々外諸向往復文書 別冊(DK180021k-0002)
第18巻 p.238-239 ページ画像

東京商工会々外諸向往復文書 別冊 (東京商工会議所所蔵)
                    栄一
    荷造取調委員中改良ノ見込不申出者ヘ照会案
兼テ御差出被下候何品ノ荷造調書中ニハ只現行荷造ノ振合丈ニテ別段改良ノ御見込御記載無之候処、去十七日ノ委員会ニ於テ審議ノ末右等ノ各種ハ可成改良ノ考案相立復申致候方可然相決シ候ニ付、右品ニ就テハ猶御再考ノ上仮令ヒ現今直チニ之ヲ実行シ難キモ、往々改良致候方可然御見込モ有之候ハヾ、何卒其次第御認メノ上来月三日迄ニ本会ヘ御報知被下候様仕度、尤各組合ニ於テ右荷造法ニ就キ改良ノ見込申出候時ハ之ガ為メ遽ニ在来ノ古格ヲ攪乱シ自然荷主ノ気受ヲ損シ候様ノ事有之候テハ不相済ト深ク御懸念有之向モ可有之候得共、元来此度荷造法ニ就キ御諮問ノ御趣意ハ只其筋ニ於テ参考ノ為メ実業者ノ希望スル処御承知被成度迄ニシテ之ガ為メ厳重ノ取締法御制定相成候様ノ御趣意ニハ決シテ無之、又各組合ヨリ一旦改良ノ見込御申出相成候上ハ必ズシモ其見込通リニ実行セヨト御命令可相成訳ニモ無之ニ付、其辺ニ就テハ呉々モ御懸念ナク充分其見込御申出相成候様致度、尤モ過日御差出被下候調書ニハ現行荷造ノ振合等ハ充分御記載有之候義ニ付此度ノ書面ニハ只々改良ノ御見込(例ヘバ何品荷造ノ如キハ仮令ヒ現今俄ニ之ヲ実行シ難キモ往々ハ斯様ニ改メ候方可然等ノ類)丈ケニテ宜御座候、此段更ニ及御照会候也
                    東京商工会々頭
  明治十七年十一月十九日
                      渋沢栄一

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 酒     三橋甚四郎殿       平野太郎兵衛殿 油     岩出惣兵衛殿 塩     榎本小兵衛殿 繰綿    荒尾邦寛殿 麻苧    村田作兵衛殿 砂糖    鳥海清左衛門殿  以下p.239 ページ画像  木綿呉服  宮本弥之助殿 茶     山本嘉兵衛殿 生糸    梅浦精一殿 



尚々此度荷造ノ義ニ付各委員ヨリ報告ノ調書中改良ノ見込充分記載候モノ有之候ニ付、御参考ノ為メ其一二種以廻章可入御一覧候間左様御承知相成度候也
(別紙)
    同廻章案       栄一  《(萩原)》
此度荷造ノ義ニ付各委員ヨリ報告ノ調書ニシテ改良ノ見込充分記載候モノヽ中、石灰及〆糟ノ両種丈御参考ノ為メ入御覧候間至急御廻覧相成度此段以廻章得貴意候也
  明治十七年十一月十九日       東京商工会々頭
                      渋沢栄一
    名宛前同断
 尚々本文御廻覧相済候上ハ終尾ノ御方ヨリ本会ヘ御返附相成度候也
       鳥海
       三橋
    甲  平野
       岩本
       榎本
    右ハ十一月十九日午後三時岩出惣兵衛ヘ向ケ使送ス《(太字ハ朱書)》
       梅浦
       山本
    乙  宮本
       荒尾
       村田
    右ハ十一月廿日午前九時村田作兵衛ニ向ケ使送ス


東京商工会議事要件録 第八号・第七―一二頁 明治一八年一月二七日刊(DK180021k-0003)
第18巻 p.239-240 ページ画像

東京商工会議事要件録  第八号・第七―一二頁 明治一八年一月二七日刊

図表を画像で表示--

 第四定式会   (明治十七年十二月二十五日午後五時三十分開会) 第八臨時会 



    会員出席スル者 ○四十五名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ臨時会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ先ヅ書記ヲシテ商品荷造ノ儀ニ付復申案ヲ朗読セシム、即チ左ノ如シ
    商品荷造ノ儀ニ付復申案 ○後掲(第二四〇頁)ニツキ略ス
会長(渋沢栄一)ハ衆員ニ向ヒ兼テ農商務卿閣下ヨリ御諮問ニ係ル商品荷造ノ件ニ就テハ、去ル九月二十二日臨時会ノ決議ニ基キ其後各組合ニ依頼シテ米・酒等十五種ノ荷造法ヲ調査セシメタル上、更ニ川原英次郎・三橋甚四郎・平野太郎兵衛・岩出惣兵衛・榎本小兵衛・前川忠七・坂本彦平・荒尾邦寛・南川福蔵・村田作兵衛・鳥海清左衛門・隅山尚徳・真弓吉蔵・宮本弥之助・犬塚駒吉・山本嘉兵衛・梅浦精一林賢徳・佐々木荘助・荘田平五郎・小室信夫・益田克徳ノ二十二名ヲ
 - 第18巻 p.240 -ページ画像 
委員ト定メ、即チ去月十七日委員会ヲ開テ其荷造ノ便否得失ヲ審査シタルニ右十五種中改良ヲ要スベキモノ七種、改良ヲ要セザルモノ八種アリ、而シテ此文案ハ右委員ノ審査スル所ニヨリテ起草シタルモノナリ、尤正則ニ従ヘバ書面中ニ在ル甲乙両号トモ玆ニ朗読セシムベキ筈ナレドモ、是ハ只各組合ニ於テ調査シタル現行荷造法等ノ事実ヲ詳記セシメタルニ過ギズシテ、其本旨ニ至リテハ別段可否ノ議論ヲ要スル程ノモノニコレナク、且ツ長文ニシテ之ヲ朗読スルニハ多分ノ時間ヲ要スルニ付追テ印刷ニ附シテ各員ノ一覧ニ供スル事トシ、先ヅ本文ニ就テ充分意見ヲ発セラレタキ旨ヲ述ベタルニ衆議ノ上遂ニ原案ノ如ク可決シタリ
○下略


東京商工会議事要件録 第八号参考部・第一―五七頁 明治一八年一月二七日刊(DK180021k-0004)
第18巻 p.240-253 ページ画像

東京商工会議事要件録  第八号参考部・第一―五七頁 明治一八年一月二七日刊
   (商品荷造ノ儀ニ付復申書)
昨年八月廿三日附ヲ以テ御諮問有之候商品荷造ノ件ニ就テハ其後会議ヲ開キ篤ト審議討議ヲ遂ケ候処、万種ノ商品ニ就キ尽ク其荷造ヲ詳査仕候儀ハ一朝ニシテ其成功ヲ期シ難ク奉存候ニ付、先以当府下ニ集散スル商品中ニテ其最モ重要ナルモノ即チ米・酒・油・塩・〆糟・日本紙・繰綿・絵具染料・麻苧・砂糖・石灰蠣灰・呉服太物・陶磁器・茶生糸ノ十五種ニ就テ之ガ調査ヲ遂ケ候事ニ相決シ、依テ先ツ右各種ニ就キ夫々委員ヲ特撰シテ其荷造ノ得失便否ヲ審査為致候処、以上十五種中米・〆糟・日本紙・絵具染料・石灰蠣灰・陶磁器・麻苧ノ七種ハ其荷造ニ多少改良ヲ要スベキ点有之候ニ付、其現行ノ荷造法並ニ改良ノ意見ヲ併具シ別紙甲号ヲ以テ上呈仕候、又其中生糸・茶・砂糖・酒塩・油・繰綿・呉服太物ノ八種ハ審査ノ末別段改良ヲ要スベキ点無之候ニ付此分ハ只其現行ノ荷造法ヲ詳記シ別紙乙号ヲ以テ御参考ノ為メ併テ上呈仕候
右別紙甲号ニ記載仕候改良意見ノ義ハ、中ニハ府下商業者ニ於テ既ニ産地荷主ニ謀リテ一二ノ方法実験中ノモノモ有之、或ハ此際更ニ産地ノ荷主ニ照会シ且ツ府下ノ需用者ニ謀リテ実施ノ方法経画中ノモノモ有之趣ニ御座候得共、抑モ旧来ノ慣習ヲ破リテ新ニ開進ノ途ニ就キ候義ハ何事ヲ問ハズ頗ル至難ノ事業ニシテ、殊ニ別紙甲号ニ記載仕候各種ノ如キハ、多クハ皆其産地数ケ国ニ渉リ候モノニテ、此際府下商業者ニ於テ仮令熱心改良ヲ企図仕候トモ、中々容易ニ其効ヲ期シ難ク奉存候
今本会ニ於テ熟々之ヲ実施スルノ手続ヲ案スルニ、此等ノ件ハ固ヨリ其御筋ノ御命令ニヨリテ拘束スベキモノニ無之只相当ノ方法ヲ以テ普ク各製産者ヲシテ商業者ノ希望ヲ感得セシメ@々ノ中ニ其効ヲ期シ候ヨリ外無之ト奉存候、依テ本会ニ於テモ此趣意ヲ体認シテ精々之ガ実施方尽力可仕心得ニハ御座候得共猶其御筋ヨリモ先以各府県下ニ於テ製産進歩等ノ目的ヲ以テ共同団結仕候モノ、例ヘバ彼ノ勧業会ノ如キモノヘ前陳改良ノ意見ヲ篤ト御示諭ノ上府下商業者ノ希望スル所普ク各製産者ノ中ヘ貫徹致候様、隠然御勧奨被成下度深ク希望仕候、此段復申旁併セテ卑見上陳仕候也
 - 第18巻 p.241 -ページ画像 
  明治十八年一月五日         東京商工会々頭
                      渋沢栄一
    農商務卿 西郷従道殿
(甲号)

      現行之荷造法
○藁俵一重アリ、藁莚二重アリ、或ハ叺入アリ、遠国ノ廻米ハ概ネ二重俵ナリ、而シテ其入石ハ左ノ如シ
   秋田米      自三斗至三斗五升
   越後米      自四斗二升至六斗
   其他各種     自四斗至五斗
○之ヲ房総ヘ輸出スルニハ概ネ四斗入俵ニ改造ス、三陸其他ヨリ輸入スル雑穀ハ駿遠参尾勢ノ諸国ヘ輸出スル事アレドモ、其荷造ハ只縄切等ヲ注意スルニ止リ別段之ヲ改造スル事ナシ
○之ヲ海外ヘ輸出スルニハ概ネ凡六斗入布袋ニ改造ス、此量目二十一貫六百目ニシテ則チ英斤百八十斤ナリ(一升百六十目トシテ筭ス)
○米ノ荷造ハ前年米納ノ頃ニハ一般ニヤヽ堅固ナリシガ、御維新後金納ニ御改正アリシ以来米価漸ク騰貴シ、随テ農民ニ於テハ之ガ販売ニ苦シマザルヨリ、遂ニ今日ノ如ク一般ニ荷造ヲ粗造スルノ慣習ヲ来タセリ、而シテ其入石ノ多少ハ多クバ運送ノ都合ニ因ルモノニシテ例ヘバ水運便利ナル土地ノ如キ、他人ノ不便ヲ顧ミズ六斗入ノ大俵ニ荷造スル事アリ、則チ越後米ノ如キ是ナリ、右ハ畢竟此等ノ土地ニ於テ四斗入三俵ヨリハ六斗入二俵ニ荷造スル方時間及費用ヲ省ク事アルガ為メナリ、又陸路険阻ニシテ専ラ人馬ヲ以テ運送スル土地ニ於テハ之ヲ三斗入ノ小俵ニ荷造スル事アリ、則チ秋田米ノ如キ是ナリ
      改良スベキ要点
○一重俵ハ粗造ニシテ漏脱委棄スルノ恐アリ、故ニ二重俵ニ改メ之ヲ括ルニハ可成太縄ヲ用ヰン事ヲ望ム
○野州真壁築波郡産米ノ如キ俵造細長形ノモノアリ、是ハ取扱上最モ不便ナルガ故ニ通常ノ俵造ニ改メン事ヲ望ム
○三斗入俵ノ如キ水揚運送トモ多分ノ出費ヲ要スルガ故ニ一般ニ四斗入俵ニ改メン事ヲ望ム、且陸奥・羽前・羽後・越後及兵庫米ノ如キハ元来一升桝量ナレトモ東京ニ於テハ五升桝量ヲ用ユルニ付、往々入石欠減ヲ生ズルノ弊アリ、故ニ其量方ハ一般ニ斗桝櫓量ニ改メン事ヲ望ム
〆糟
      現行ノ荷造法
○内海ヨリ陸奥ニ至ル迄ノ各浜ニテ産スル〆粕ハ立莚又ハ耳織莚ヲ以テ包装シ(九貫目入俵ニシテ六百目掛ヲ用ユルアリ、十五貫目入俵ニシテ五百目掛ヲ用ユルアリ)縄ヲ以テ胴三ケ所ヲ結ヒ、両小口ヲカヾリ、立縄ヲ掛ケ、両小口ヘ莚切ヲ入ルヽアリ、又入レザルアリ、中通シ(小口ヨリ小口ヘ縄ニテ胴中ヲ通シ両小口ノカヾリヲ締メルヲ云フ)ヲ附スルアリ、又附セザルアリ
○北海道各地ニテ産スル〆粕ハ耳織莚ニテ包装シ、両小口ヘ莚切ヲ入
 - 第18巻 p.242 -ページ画像 
レ縄ヲ以テ胴一ケ所ヲ結ブヲ通常トス、而シテ之ヲ京阪ヘ輸送スルニ当リ函館ニ於テ之ヲ改造シ、更ニ胴縄ヲ三ケ所ヘ掛ケ、両小口ノカヾリヘ増縄ヲ掛クル事アリ、或ハ原俵ノ儘ニテ輸送スルアリ
○各種〆糟ノ容量ハ左ノ如シ

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 内海          十分ノ八  自七貫目至十貫目             十分ノ二  自十貫目至十五貫目 安房 両総 常陸 磐城 十分ノ八  自九貫目至十一貫目             十分ノ二  自十二貫目至十四貫目 陸中 陸前       十五貫五百目内外 八戸最寄        自十四貫目至十五貫目 尻矢崎ヨリ青森最寄迄  十分ノ四  十五貫目内外             十分ノ六  三十貫目内外 函館地廻リ及西地    十分ノ二  自二十貫目至二十五貫目             十分ノ八  自廿五貫目至三十七貫目 函館ヲ去ル東北地    十分ノ七  自二十貫目至二十五貫目             十分ノ三  自廿五貫目至三十貫目 



      改良スベキ要点
○内海・安房・両総・常陸・磐城ニテ産スル〆糟ハ其荷造区々ニシテ取扱上不便アリ、故ニ此等ノ〆糟ハ其荷造ヲ一般ニ左ノ如ク改メン事ヲ望ム
  一俵ノ量目正味風袋トモ皆掛十五貫七百目位
      内訳

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 正味……………………………………………………………………………………………………     凡十五貫目 風袋 莚    竪六尺余巾三尺余…………………………………………………     凡五百目 凡七百目    両小口  方一尺ノ莚切ヲ入レ九ツ目通シ菊形ニカヾリ夫ヘ中通シ縄ニテ締メル 凡二百目    カヾリ  胴三ケ所ヲ結ヒ之ニ立縄ヲ掛ケ廻ス 



 右ノ如ク改良スル時ハ独リ需用者ニ於テ之ヲ便利トスルノミナラス製産者ニ於テモ手数ヲ省キ、縄莚代運搬ノ諸費ヲ減シ得ルガ故ニ其便利亦少カラザルナリ
○青森地方及北海道地方ニ産スル〆糟(皆掛二十五貫目以上三十六七貫目以下ノ分)其他北海道地方ニ産スル仮荷造同様ノ〆糟(胴中一ケ所ヲ結ビタルモノ)ハ其包装粗造ニシテ脱漏委棄ノ恐アリ、故ニ此等ノ〆糟ハ一般ニ左ノ如ク改メン事ヲ望ム
  一俵ノ量目正味風袋トモ皆掛二十五貫二百目位
      内訳

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 正味…………………………………………………………………………………………………………………   凡二十四貫目 風袋 莚  但シ津軽上莚則チ俗ニ所謂クツミ莚ナルモノ………………………………………… 凡八百目 凡一貫二百目    縄等 両小口ヘ莚切ヲ入レ之ヲカヾリ胴三ケ所ヲ結ビ太縄ヲ以テ四方ヘ立縄ヲ掛ケ廻ス 凡四百目 



 尤此等ノ〆糟モ内海其他ノ地方ニ産スルモノヽ如ク、其荷造ヲ十五貫目入ニ改良スル時ハ必ズ諸般ノ便利アルベシト雖ドモ、元来該産地ニ於テハ縄莚及人手極メテ乏シキガ故ニ若シ之ヲ斯ノ如ク改ムル時ハ、之ガ為メ縄莚及カヾリ共自ラ手薄ニ失シ、却テ不完全ノ結果ヲ来ス事ナシトセズ、是其改良ヲ特ニ前陳ノ如ク要望スル所以ナリ
日本紙
      現行ノ荷造法
○日本紙ハ其種類少カラズト云ドモ其中最モ需用多キモノハ半紙・美濃紙及西ノ内紙ノ三種トス、今各々其現行ノ荷造ヲ示セハ左ノ如シ
  半紙(諸国ニテ産ス)
 - 第18巻 p.243 -ページ画像 
   百状ヲ一〆トシ、六〆ヲ一丸トス、量目凡七貫目アリ、延紙ニシテ百状毎ニ楮子皮ニテ締メ六〆ヲ合シ、其上ヲ縄ニテ束ネ更ニ莚又ハ菰ニテ包ム
  美濃紙(美濃ニテ産ス)
   百状ヲ一個トス、量目三貫目ヨリ四貫目ニ至ル、二ツ折ニシテ一状毎ニ中帯ヲ掛ケ十状ヲ一束トシ、五束毎ニ天地ニ板ヲ当テ角木ヲ要シ、之ヲ二ツニ合セテ一個トナシ、更ニ莚又ハ菰ニテ包ム
  西之内紙(常野ニテ産ス)
   十状ヲ一束トシ、十二束ヲ一個トス、量目六貫目ヨリ十貫目ニ至ル、二ツ折ニシテ一束毎ニ厚紙ヲ以テ包ミ、十二束ヲ合シテ縄ニテ締メ更ニ菰ニテ包ム
      改良スベキ要点
○半紙ハ六〆ヲ合シ直チニ縄ニテ束ヌルヨリ、消費地ニ於テ小捌ヲ為スニ当リ、俗ニ荷〆ト称シ一個(六〆入)ニ付揉損紙凡十二三状ツツヲ生ジ、其損害少シトセズ、故ニ其荷造ヲ改メ上下ニ板ヲアテ中締メヲ附シ、其上ヲ更ニ莚包ニセン事ヲ望ム、尤土佐半紙ノ中ニハ間々此荷造ヲ用ユルモノアリ
○美濃紙ハ現行ノ荷造鄭重ニ失シテ無益ノ出費ヲ要シ、且ツ紙質ヲ撿定スルニ甚ダ不便アリ、故ニ是ハ二ツ折ヲ止メ、延紙トシテ一状毎ニ薄紙ノ細キモノヲ以テ結ビ、五十状ヲ一〆トシテ上下ニ蓋紙一枚ヅヽヲ置キ、四〆則チ二百状ヲ一個トシテ上下ニ板ヲアテ莚ニテ包マン事ヲ望ム
○西之内紙ハ十二束ヲ合シ直チニ縄ニテ締ムルガ為メ半紙同様揉損紙ヲ生スル事多シ、故ニ上下ニ板ヲアテ菰包ヲ莚包ニ改メン事ヲ望ム
○総テ各種日本紙ノ荷造ハ塵紙ヲ除クノ外、天地ニ板ヲアテ菰包ヲ廃シテ莚包ニ改メン事ヲ望ム
絵具染料
      現行ノ荷造法
○絵具染料ノ中重立タルモノ六種ニ就テ其現行ノ荷造ヲ示セバ左ノ如シ
  弁柄(備中産)
   一個百袋入(一袋百目)量目十貫目、容積長二尺二寸、巾九寸高一尺二寸、松ノ六分板ノ箱ニ入レ藁莚ニテ包ミ藁縄ニテ捆ス
  唐土(大坂産)
   一個量目二十斤、容積長一尺一寸、巾七寸、高七寸、十斤ヅヽ樅ノ箱ニ入レ二ツヲ合シ薄莚ニテ包ミ、藁縄ニテ竪横ヲ堅ク締メ捆ス
  緑青(京都及大坂産)
   一個量目共ニ八十斤、若シクハ九十斤、容積一定セス、杉板ノ樽ニ入レ紙ニテ板ノ合セ目ヲ貼付シ、藁縄ニテ竪横ヲ締メ捆ス
  鉛丹(東京及大坂産)
   一個量目共ニ六十斤、容積長一尺七寸、巾七寸五分、高五寸、松ノ六分板ノ箱ニ入レ、縄ニテ竪横ヲ締メ捆ス
 - 第18巻 p.244 -ページ画像 
  木附子(紀州産)
   一個量目十三貫目、容積直径一尺二寸、長二尺六寸、藁莚ニテ俵ノ如ク造リ、其上ヲ更ニ莚ニテ包ミ縄ニテ捆ス
  同(両埜 甲武 其他各地産)
   量目容積トモ一定セズ、或ハ箱ニ入ルヽアリ、或ハ莚俵ニ入ルルアリ
  灰墨(大坂産上等品)
   一個量目七貫目、容積一定セズ、松板ノ箱ニ入レ莚ニテ包ミ縄ニテ捆ス
  同(大坂産中等品及常野産)
   量目容積一定セズ、紙袋ニ入レ其上ヲ直チニ莚ニテ包ム
      改良スヘキ要点
○以上各品ノ中弁柄・唐土・緑青・鉛丹・木附子及大坂産上等灰墨ハ共ニ従来ノ荷造ニテ差支ナシト云ドモ、大坂産中等灰墨及常野産灰墨ハ其荷造極メテ粗末ニシテ運搬ノ際往々脱漏減量ノ恐アリ、故ニ此分ニ限リ其荷造ヲ左ノ如ク改メン事ヲ望ム
   一 堅硬ナル紙袋ニ入レル事
   一 一個量目八貫目以下ヲ定限トシ更ニ櫃ニ詰メル事
   一 此櫃ニ用ユル板ハ厚サ五分以上ニ限ル事
   一 此櫃ノ外部ハ莚包トスルカ又ハ縄ニテ堅固ニ捆スル事
石灰蠣灰
      現行ノ荷造法
○生石灰
  野州安蘇郡内葛生・相沢・多田・山越・出流原・和田等ノ各地ニテ産シ、藁俵造ニシテ其量目正味十一貫目入ヲ以テ通例トス
○粉石灰
  野州安蘇郡内葛生・相沢・多田・山越・出流原・和田等ノ各地ニテ産スルモノハ大小数種アリ、其入石二斗未満ノ分ハ萱又ハ麦藁俵造ニシテ、二斗以上ノ分ハ多クハ藁俵造ナリ、而シテ其入石ハ区々ニ渉ルト雖トモ概ネ一斗・一斗二升・一斗五升・二斗・三斗三斗二升・三斗五升・四斗・五斗ニシテ、其量目ハ品質ノ良否分子ノ精粗ニヨリ素ヨリ同ジカラスト雖トモ、凡ソ三貫目以上十二貫目以下トス
  武州八王子最寄ニテ産シ東京ヘ輸入スルモノハ麦藁俵造ニシテ其入石凡ソ六升ナリ
  土州高知・芸州大崎島ニテ産シ東京ヘ輸入スルモノハ大小二種アリ、其大ナルモノハ莚叺造ニシテ入石六斗内外、量目概ネ十六貫目ナリ、又其小ナルモノハ六貫目俵ト称シ、塩俵造ニシテ入石三斗内外ナリ
  伊予・美濃・遠江等ノ各地ヨリ東京ヘ輸入スルモノハ概ネ塩俵造ニシテ量目六貫目ナリ
  伊予及土佐ニテ産シ青柳莚ヲ以テ荷造スルモノアリ、其入石凡ソ五斗内外ニシテ量目十四五貫目ナリ
  常陸野村ニテ産スルモノハ藁又ハ麦藁俵造ニシテ大小二種アリ、
 - 第18巻 p.245 -ページ画像 
大ハ三斗二升入(量目九貫目)小ハ二斗入(量目六貫目)ナリ
  上武各地ニ産スルモノハ其荷造野州ニ産スルモノト略ボ同様ナリ此等ハ東京ヘ輸入セザルヲ以テ玆ニ贅セズ
○蠣灰
  両総及府下深川ヲ始メ内湾ニ沿フ所ノ各地ニ産シ、其荷造ハ極メテ粗製ノ藁叺造ナリ、其入石ハヤヽ不同アリト雖トモ一斗及九升ノ二種ヲ以テ通例トス、独リ下総欠真間村竹沢専介ノ製スル所ハ数年来三斗・二斗・一斗五升入ノ莚叺ヲ用ヰ、其製精密ニシテ漏散ノ憂少シ
  下総銚子ニテ産スルモノハ二斗入叺造ニシテ、之ヲ普通ノ叺(両総・深川等ノ内湾浜ニ産スルモノ)ニ比スレバヤヽ精製ノモノナリ、然レトモ近来府下ヘ輸入スル事甚タ稀ナリ
○粉石灰ヲ東京ヨリ輸出スルハ豆・相・駿・房・両総ノ各地ニシテ、多クバ一斗乃至一斗二升入等ヲ二俵一括トシテ酒樽ヲ包ミタル古莚ヲ以テ之ヲ包ム
○蠣灰ヲ東京ヨリ輸出スルハ武州・両埜・常・房・相・豆・駿ノ各地ニシテ二杁又ハ三叺ヲ一括トシ、粉石灰同様ノ荷造ヲナス
○蠣灰ヲ奥州仙台地方ヘ輸出スル事アリ、此場合ニ於テハ明キ酒樽ニ入ル
○石灰蠣灰共ニ未ダ海外ヘ輸出セシヲ聞カズ
○蠣灰ハ天保年間迄普通売品ノ入石二斗ニシテ御用灰(幕府用品)ト称スルモノヽ入石二斗四升ナリシカ、安政年間ニ至リ普通売品ハ一斗五六升トナリ、御用灰ハ一斗八升トナレリ(該年間震災ノ後需用ノ多キヲ以テ減量セシト云フ)而シテ爾後猶漸次減量シテ明治二三年ニ至リテハ一般ニ一斗以下七八升迄トナリシガ、明治三年問屋ト製産者ト協議ノ上府庁ノ認可ヲ経テ更ニ正量一斗五升ト定メ(之ヲ二入ト云フ)叺ヲ長三尺八寸巾一尺八寸縄目二十一通トナセリ、然ルニ其後歳月ヲ経ルニ従ヒ漸ク減量シテ遂ニ今日ニ於テハ一斗入・九升入若クハ八升入ヲ見ルニ至レリ、而シテ本品ノ荷造ハ往時ハ稍精密ナリシモ、其後入石ノ漸ク減量スルニ従ヒ其荷造モ亦漸ク粗雑トナリタリ
○石灰モ蠣灰ト大同小異ニシテ野州産石灰ノ如キ往時三入ト称スルモノハ正味三斗入ニシテ、四入ト称スルモノハ正味四斗入ナリシモ、今日ニ於テハ大ニ減量シテ現ニ四入ト称スルモノヽ如キ其実量僅ニ一斗内外ニ過ギズト云フ
      改良スベキ要点
○生石灰ハ現行荷造法ヲ以テ適当トス、故ニ之ヲ改良スルノ目的ナシ
○粉石灰類ノ中飛粉灰ト称スルモノハ其物質精細ニシテ飛散減量スル事アリ、且ツ其入石区々ニシテ往々詐称錯雑ノ弊アリ、故ニ其荷造ハ一般ニ藁莚叺(種叺ノ如ク精密ナルモノ)造ニ改メ二斗入・三斗入・四斗入及五斗入ノ四種ニ改メン事ヲ望ム
○蠣灰ハ荷造特ニ粗雑ニシテ運搬ノ際途上ニ飛散スルモノ多ク、随テ其現量必ス百分ノ五乃至十ヲ減損スト云フ、殊ニ其入石区々ニシテ詐称錯雑ノ弊アリ、故ニ当業者ニ於テハ夙ニ其荷造ヲ改良セン事ヲ
 - 第18巻 p.246 -ページ画像 
切望セリ、而シテ之ガ改良ノ意見ハ甲乙二様アリ、即チ左ノ如シ
 甲ノ意見
  二斗入及三斗入ノ二種ニ定メ、共ニ緻密ナル藁莚叺造トスベシ
   右ノ如ク改正スル時ハ之ガ荷造費用ハ現行ノ荷造ニ比シ二斗入ニテ金一銭ノ増加アリ(改正二斗入叺一枚ヲ新調スルニハ金二銭ヲ要シ現行一斗入叺二枚ヲ新調スルニハ金一銭ヲ要ス)然レトモ若シ改正二斗入古叺一枚ヲ半価即チ金一銭ニテ買入レ之ヲ以テ荷造スルモノトセバ其費用ハ現行ノ荷造ト差引同位ニシテ、結局改正ノ荷造ニヨリテ入石ノ減損セザル部分丈ハ則チ製産者及需用者ノ利益ナリトス、而シテ之ヲ取扱フニ当リ現行荷造ノ如ク飛散ノ憂ナキヲ以テ商業者ニ於テモ亦幾分ノ利益ヲ得ベシ、蓋シ現行一斗入古叺ハ二枚代金三厘位ニテ買得ルガ故ニ、今金一銭ヲ以テ改正二斗入古叺ヲ買入レテ荷造スル時ハ此一点ニ於テハヤヽ増費ヲ要スルノ姿ナレトモ、一方ニ於テハ一斗入二個ヲ二斗入一個トスルガ為メ大ニ手数及時間ヲ省クヲ得レバ充分得失相償フベキ見込ナリ、又改正荷造ヲ用ヰタル蠣灰ニシテ直チニ府下ノ消費ニ供スルモノヽ如キハ容易ニ其古叺ヲ売却シ得ルモ、東京ヨリ更ニ各地ヘ輸出スルモノヽ如キハ其古叺ヲ東京ヘ積戻スニハ多少ノ運賃ヲ要スルニ付到底得失相償ハザルベシトノ虞アレトモ、抑モ現行ノ荷造ヲ用ヰタル蠣灰ハ東京ヨリ之ヲ各地ヘ輸出スルニハ更ニ上包(酒莚ヲ以テ包装ス)ヲ要シ、其費用ハ莚及縄ノ代金及手間賃ヲ合筭シ一個ニ付特ニ金二銭二三厘ヲ要スト雖トモ、改正荷造法ニヨレバ全ク此等ノ手数ヲ省クヲ得ルガ故ニ前陳ノ場合ニ於テ仮令此古叺ヲ放棄スル事トスルモ猶幾分ノ荷造費用ヲ軽減スルヲ得ヘキナリ
 乙ノ意見
  一斗入・一斗五升入・三斗入ノ三種ニ定メ、一斗入及一斗五升入ノ二種ハ厚織藁莚叺造トシ、二本縄ニテ一ケ所ヲ結ビ、三斗入ノ一種ハ厚織藁莚造ニシ横縄ニテ三ケ所ヲ緊結スベシ
   一斗入及一斗五升入ノ二種ハ府下職工ヘ販買《(売)》スルニ大ニ便利アリ、而シテ之ヲ各地ヘ輸出スルニハ共ニ厚莚ヲ二叺若クハ三叺ヲ合セ荷造スヘシ
   三斗入ハ前二種ニ比シテ大ニ運賃及荷造費ヲ減省シ得ルガ故ニ府下需用者ニシテヤヽ多分ヲ消費スル者ハ大ニ之ヲ便利ナリトス、而シテ之ヲ各地ヘ輸出スルニハ別段上包ヲ要セズ
陶磁器
      現行ノ荷造法
○陶磁器現行ノ荷造法ハ左ノ如シ

   種類            荷造                量目         容積
  肥前       磁器  藁ニテ巻キ菰ニテ包ミ小口ヲカヾル   自三貫目至四貫五百目 自一才八分至二才四分
  美濃 尾張    同   同                  自七貫目至十貫目   自四才至五才
  同        陶器  同                  自四貫五百目至五貫目 自三才五分至四才五分
  西京・信楽・明石 土瓶類 藁ニテ巻ク              自四貫五百目至五貫目 同
  信楽       油皿類 同                  自四貫目至四貫五百目 自一才五分至二才五分
  伊勢万古     急須  凡二百八十ヲ各々紙ニテ包ミ箱ニ詰メル 自八貫目至十貫目   八才
 - 第18巻 p.247 -ページ画像 
  会津       急須  凡百八十ヲ楕円形ノ籠ニ詰メル     自十一貫目至十二貫目 八オ
  下野       土瓶類 菰ニテ包ミ小口ヲカガル        自七貫目至九貫目   七オ
  相馬       同   同                  自九貫目至十貫目   八オ

○東京ヨリ消費地ヘ輸出スルニハ別段荷造ヲ改ムル事ナシ、尤時宜ニヨリ甲品ト乙品トヲ造リ合ハス事アリ
○海外ニ輸出スルニハ板割ノ箱(容積一噸)ニ詰ムルヲ例トス
      改良スヘキ要点
○肥前産及濃尾産ノ磁器ハ其荷造ヲ左ノ如ク改メン事ヲ望ム
 甲 手薄ナルモノ(嗽茶碗・盃・茶漬茶碗ノ薄キモノ等ノ類)
   是ハ石油ノ空キ箱ヘ入ルヘシ
 乙 普通ノモノ(普通ノ茶碗・急須・土瓶等ノ類)
   是ハ可成多分ノ藁ヲ用ユベシ
 丙 手厚ナルモノ(丼・火入等ノ類)
   是ハ藁ヲ一重ニ巻キ可成表面ヨリ内部ノ種類ヲ見得ル様ニシ、更ニ其外部五六ケ所ヘ藁ニテ束ネタル太ト輪ヲ横ニ纏着スベシ尤従来尾張物ノ中稀ニ此荷造法ヲ用ユルノ例アリ
○下野及相馬産ノ土瓶類ハ西京物ノ如ク藁ヲ手厚ク巻クヘシ
○従来運搬ノ際其破損ヲ生ズル事平均全額百分ノ五位ナリシモ前条ノ如ク改良スル時ハ其破損百分ノ一二ニ止ルベキ見込ナリ、此改良法ハ現今当業者ニ於テ実験中ナリ
○是迄右改良ノ行ハレサリシモノハ左ノ数項ニ原由スルモノト思考ス
  一荷主自ラ荷造ヲ為サズ製産者或ハ産地ノ商人ニ之ヲ委托スルノ慣習アル事
  一中等以下ノ品類ニ至リテハ其価低廉ナルガ故ニ仮令其荷造ヲ改良スルモ到底得失相償ハザルコト
麻苧
      現行ノ荷造法
○麻苧類現行ノ荷造法ハ左ノ如シ

   種類     荷造                               量目
  野州麻   二重莚包                             一個凡十貫目入
  同麻糸   同                                同 一定セズ
  上州小入麻 同                                同 凡六貫二百目入
  信州麻   同                                同 凡十貫五百目入
  同畳糸   麻布ニテ包ミ其上ヲ莚ニテ包ム                   同 同
  同細美   同                                同 五十反入量目一定セズ
  会津麻   二重莚包                             同 凡十二貫目入
  西国荒苧  莚包                               同 凡十貫目入
  煮扱苧   同                                同 同
  南京麻   本国ヨリ裸荷ニテ輸入シ東京ヨリ之ヲ各地ヘ輸出スルニハ莚包トナス  同 凡六十斤入

      改良スベキ要点
○以上各種ノ中信州麻ハ従来五層(一層ノ量目二貫百目)ヲ以テ一個トシ、其量目ハ即チ十貫五百目ナレトモ取扱上甚タ不便アルニ付其荷造ハ更ニ左ノ如ク改メン事ヲ望ム
 - 第18巻 p.248 -ページ画像 
  一個ヲ六層トシ一層ノ量目ヲ二貫目トシ即チ一個ノ全量ヲ十二貫目トスヘシ
○信州麻ハ凡ソ十把ヲ合セ之ヲ束ヌルニ他物ヲ以テセズ、直チニ其麻ヲ以テスルガ故ニ之ヲ解クニ手数ヲ要スルノミナラズ、之ガ為メ大ニ其麻ヲ揉損スル事アリ、故ニ是ハ野州麻ノ如ク藁ニテ束ネン事ヲ望ム
(乙号)
生糸
      現行ノ荷造法
○生糸現行ノ荷造法ハ左ノ如シ
  折返糸(奥州ニテ産ス)
   一捆十五本入一本ノ量目凡六百目毎本厚紙ニテ包ミ、十五本ヲ合セ之ヲ渋紙ニテ包ミタル上更ニ油紙ニテ包ミ杉板ノ箱ニ入レ之ヲ琉球表ニテ包ミ其上ヲ更ニ莚ニテ包ム
  浜附(奥州ニテ産ス)
   一捆三十本入一本ノ量目凡三百目毎本厚紙ニテ包ミ、三十本ヲ合セ之ヲ渋紙ニテ包ミタル上油紙ニテ包ミ、其上ヲ更ニ莚ニテ包ム
  提糸(上武信越野ニテ産ス)
   一捆二十五提入一提ノ量目三百目ヨリ四百五十目マデトス、二十五提ヲ直チニ渋紙袋ニ入レ之ヲ油紙ニテ包ミ其上ヲ更ニ莚ニテ包ム
  坐繰糸(諸国ニテ産ス)
  機械糸(同)
   一捆十五本入一本ノ量目凡六百目毎本西ノ内紙ニテ包ミ、十五本ヲ合セ油紙ニテ包ミ之ヲ杉板ノ箱ニ入レ、其上ヲ莚ニテ包ム
  大熨斗又口糸トモ云フ (諸国ニテ産ス)
  細熨斗        (同)
  真綿類        (同)
   熨斗糸ハ産地ニヨリテ詰メ合セ方一様ナラズ、真綿類ハ一捆四十五包ミ、一包ノ量目凡二百目、此等ノ三種ハ渋紙袋ニ入ルヽアリ、或ハ金巾袋ニ入ルヽアリ、又時トシテ麻布袋ニ入ルヽアリ、而シテ外部ハ共ニ皆莚ニテ包ム
  生皮苧(諸国ニテ産ス)
  出殻蛹(同)
  玉蛹 (同)
   金巾袋或ハ麻布袋ニ入レ其上ヲ莚ニテ包ム
  島田造(八王子ニテ産ス)
  車造 (美濃ニテ産ス)
  長浜 (江州ニテ産ス)
   渋紙袋ニ入レ油紙ニテ包ミ其上ヲ莚ニテ包ム
   右ノ三種ハ多クバ直チニ其産地ノ製織ニ供スルモノナレトモ、若シ産地ニテ売支等ノ事アル時ハ之ヲ横浜ヘ運出シテ商館ヘ売込ム事アリ
 - 第18巻 p.249 -ページ画像 
○以上ノ各種ヲ商館ニテ買入レ之ヲ外国ヘ輸出スルニ当リテハ一旦之ヲ解荷シ、更ニ金巾袋ニ入レ油紙ニテ包ミタル上ヲ渋紙ニテ包ミ、之ヲアンペラニテ包ミ、之ニ記号ヲ附ス、其量目ハ通常日本百斤位ナレトモ又英百斤位ノモノモアリ
○生糸ノ品位ニ就テハ改良ヲ要スルノ点アリト云トモ荷造法ニ就テハ別段改良ヲ要スルノ点ナシ、尤現行ノ荷造法ハ一般ニヤヽ粗雑ニシテ各地ヘ運搬中時トシテハ雨露ノ濡傷其他ノ損害ナキニ非ズト云トモ、其損害ハ運送者ニ於テ之ヲ弁償スルノ約束アルヲ以テ荷主ニ於テハ敢テ其損害ヲ意トセザルノ慣習アリ、且之ヲ改良スルニハ増費ヲ要スルヲ以テ到底改良ノ実行ヲ見難キノ見込ナリ
○在来生糸一捆ノ量目ハ総テ九貫目ニシテ若シ将来海陸ノ運送進歩スル時ハ之ヲ十六貫目(百斤)ニ改造スル方或ハ便利ナルベシト云トモ、目今各地之ヲ運送スルニ多クバ人馬ヲ以テスルノ時ニ在リテハ其量目ハ在来ノ通リ九貫目ニテ適当ナリト思考ス

      現行ノ荷造法
○城江産
  上等品(濃茶・薄茶・玉露製・上々煎茶)ハ総テ壷(江州信楽産土焼ニテ三ツ持、四ツ持、二十五斤入ト称ス)ト称シ、塵仙果紙ニテ外部ヲ貼リ、湿気ノ透入ヲ防ガン為メ之ニ柿液ヲ塗リタルモノニ詰メ、杉ノ六分板ヲ以テ製シタル蓋ヲナシ、仙果紙ニテ目張リヲナシ、藁莚(俗ニゴマメ莚ト称シ極メテ粗質ナルモノ)ヲ以テ之ヲ裹ミ、物ニ触レテ破毀セザルガ為メ藁ノ周囲一尺許ナルモノヲ以テ上下二ケ所ニ纏着シテ荷造シ、其量目概ネ十二貫目、容積平均長三尺胴ノ周囲六尺上ニテ四尺下ニテ三尺ナリ、尤其中濃茶・薄茶・玉露製茶ノ如キハ一斤ヅヽ柿液塗ノ紙袋(仙果紙・程村紙・西之内紙等ヲ用ユ)ニ入レ、之ヲ詰メ合ハスニ玉露製茶ノ下等品若クバ煎茶ノ上等品ヲ用ユル事アリ
  中等品ハ櫃ト称シ杉ノ六分板ヲ以テ製シタル箱(仙果紙ヲ以テ之ヲ貼リ柿液ヲ塗ル事壷ニ同シ)ニ詰メ、目張(用紙壷ニ同シ)ヲナシテ同シク柿液ヲ塗リ、藁莚(同上)ヲ以テ之ヲ裹ミ縄拼ニス其量目概ネ十六貫目、容積長二尺四寸巾一尺五寸高一尺八寸ナリ下等品(番茗)ニ至リテハ塵仙果紙ノ袋(俗ニ之ヲタテト称ス)ニ詰メ、藁莚(同上)ニテ之ヲ裹ミ縄拼トス、其量目十貫目容積長二尺八寸周囲六尺ナリ
○駿遠産
  決シテ壷ヲ用ユル事ナク悉皆櫃ノミヲ用ユ、但シ紙ヲ貼ラズ柿液ヲ塗ラズ所謂裸荷ナリ
○大坂産
  稀ニ壷ヲ用ユル事アレトモ概ネ駿遠産ト同様ナル荷造ナリ
○産地ヨリ一旦東京ヘ輸入シタルモノヲ更ニ各地ヘ輸出スルニ当リテハ概ネ城江ノ荷造ニ傚フト雖トモ量目ノ多少ニ由リテ箱ノ大小同ジカラズ、或ハ購求者ノ望ニヨリテ数種ヲ造合スモアリ、或ハ其極上品ニ至リテハ鉄板製《ブリツキ》ノ茶入又ハ小壷ニ詰メ数個ヲ合セ荷造ス
 - 第18巻 p.250 -ページ画像 
ルモアリ
○之ヲ海外ヘ輸出スルニハ一旦東京ヘ廻送シタル後外国人ニ売渡シ、其手ヲ以テ更ニ荷造スルヲ以テ詳細ハ得テ知ルベカラズト雖トモ聞ク所ニ拠レバ一旦鍋ニテ之ヲ炮シ、之ヲ鉄板箱ニ詰メ板ノ外箱ヲ用ヰ其様式舶来品荷造法ノ如シト云フ
砂糖
      現行ノ荷造法
○砂糖現行ノ荷造法ハ左ノ如シ
  白砂糖(讃阿泉産)
   樽入 丈一尺五寸径一尺一寸 皆掛量目凡十七貫目、上縄六通ニ掛ケル
  同  (駿遠産)
   小樽入 丈九寸径一尺 皆掛量目凡八貫目、上縄四通ニ掛ケル
  黒砂糖(薩州島々産)
   樽入 丈一尺三寸径一尺二寸五分 皆掛量目凡二十三四貫目、上縄四通ニ掛ケル
  同  (地製)
   大樽入 丈一尺四寸径一尺二寸 皆掛量目凡二十二三貫目、蓋ニ釘ヲ打チ目張紙ヲ附シ、上縄六通ニ掛ケル
   小樽入 丈八寸五分径九寸五分 皆掛量目凡七貫目、蓋ニ釘ヲ打チ目張紙ヲ附シ、上縄四通ニ掛ケル
  白下地(泉州産)
   樽入 丈一尺五寸径一尺二寸 皆掛量目凡二十二貫目、上縄六通ニ掛ケル
  蜜砂糖(阿州産)
   樽入 丈一尺五寸径一尺四寸 皆掛量目凡二十五六貫目、上縄六通ニ掛ケル
  舶来砂糖各種
   総テアンペラ二重包 竪一尺六寸横一尺二寸 皆掛量目凡十六貫五百目、上ニ籐ヲ竪横二通ニ掛ケル
○白砂糖黒砂糖トモ産地ヨリ一旦東京ヘ輸入シタル分ヲ更ニ近在ヘ輸出スルニハ、樽蓋ヘ増釘ヲ打チ目張ヲ仕直ス、又之ヲ遠国ヘ輸出スルニハ莚包トスルアリ、或ハ増縄ヲ一通リ掛ケルアリ、尤是ハ購求者ノ望ニ任ス
○蜜砂白下地トモ産地ヨリ一旦東京ヘ輸入シタル分ヲ更ニ近在ヘ輸出スルニハ、樽蓋ヘチヤンヲ流入ス、又之ヲ遠国ヘ輸出スルニハ其上更ニ増縄ヲ二重ニ掛ケル
○舶来品ヲ更ニ近在ヘ輸出スルニハ竪横ヘ縄ヲ掛ケル、又之ヲ遠国ヘ輸出スルニハ莚包トシ、竪ヘ一通リ横ヘ二通リ縄ヲ掛ケル、或ハ購求者ノ望ニヨリ細美(麻布)包ニ仕立テ、竪ヘ二通リ横ヘ三通リ上縄ヲ掛ケル事アリ
酒類
      現行ノ荷造法
○酒類ノ現行荷造法ハ左ノ如シ
  下リ酒
   凡ソ三斗五升樽ニ入レ酒莚ト称スルモノヲ以テ包装シ、太縄二本ニテ其上ヲ十文字ニ緊括シ、運搬ノ際此太縄ノ緩マザル様更ニ細縄ニテ横ニ上下二ケ所ヲ掛ケ廻シ結ブ、之ヲ化粧縄ト称ス
 - 第18巻 p.251 -ページ画像 
  下リ味淋
   凡ソ三斗樽ニ入レ其荷造ハ総テ酒ト同様ナレトモ、但ダ之ヲ酒ニ比スルニヤヽ粗雑ナリ
  地廻リ酒
  同 味淋
   地廻リ酒及味淋ハ概ネ下リ酒及味淋ノ空キ樽ニ入ルヽヲ以テ、其荷造ハ毫モ下リ酒及味淋ト異ナル事ナシ

      現行ノ荷造法
○塩ノ現行荷造法ハ左ノ如シ
  赤穂(播摩《(磨)》ニテ産ス)
   藁菰ヲ以テ俵造トシ細縄ニテ横三ケ所ヲ結ビ、両小口ヲ梅鉢形ニカヾル、元浜方仕出シノ節ハ一俵ノ入石凡三斗七八升(従前八バン桝ニテ五斗入量目十一貫目余アリ)ニシテ其量目凡十貫二百目ナレトモ、品川着ノ上之ヲ請渡スルニハ九貫二百目ヲ以テ本準トス、斯ノ如ク元浜方仕出シノ時ニ比シテ其入石量目トモ多分ノ差違ヲ生ズルモノハ要スルニ運送中自然ノ減量ニ由ルト雖トモ、亦在来船中ノ水夫ガ之ヲ窃取スルノ悪風アルニ基クト云フ、本品ハ最モ醤油・味噌及沢庵・野菜類ノ漬物ニ適ス
  大塩(播摩《(磨)》ニテ産ス)
   荷造前ト同ジ、元浜方仕出シノ節ハ一俵ノ入石凡四斗五升ニシテ其量目凡十貫五百目ナレトモ、品川着ノ上之ヲ請渡スルニハ九貫五百目ヲ以テ本準トス、其減量スル所以ハ前ニ述ブルガ如シ、本品ハ専ラ府下及近在ノ小売ニ供ス
  本斎田(阿波ニテ産ス)
   荷造前ト同シ、元浜方仕出シノ節ハ一俵ノ入石凡二斗五升内外ニシテ其量目凡七貫目ナレトモ品川着ノ上之ヲ請渡スルニハ六貫五百目ヲ以テ本準トス、其減量スル所以ハ前ニ述ブルガ如シ本品ハ最モ魚類・野菜類ノ漬物ニ適ス、又味噌ニ用ユル事アリ
  新斎田(備前・備中・備後・安芸・周防・長門・阿波・讃岐・伊予ニテ産ス)
   荷造前ト大同小異ナリ、此等ノ塩ハ其名称種々アリト云トモ東京ニ於テハ一般ニ之ヲ新斎田塩ト称ス、元浜方仕出シノ節ハ一俵ノ入石凡二斗五升内外ニシテ其量目凡ソ六貫八百目ナレトモ品川着ノ上之ヲ請渡スルニハ六貫二百目ヲ以テ本準トス、其減量スル所以ハ前ニ述ブルガ如シ、本品ハ最モ魚類・野菜類ノ漬物ニ適ス、又味噌ニ用ユル事アリ
○以上各種ハ品川着ノ上之ヲ艀舟ニ積移シテ内川ヘ運送スルニ当リ、一俵ニ付平均凡百目ツヽヲ減量ス、而シテ之ヲ近在ノ消費地ヘ運送スルニハ減量ノ儘更ニ俵ヲ仕直シ、若シ鉄道又ハ駄送ニテ遠隔ノ場所ヘ輸出スルニハ其上更ニ縄ヲ十文字ニ掛ケ或ハ之ヲ莚包トス

      現行ノ荷造法
○油類ノ現行荷造法ハ左ノ如シ
  大坂堺勢州産      四斗入
 - 第18巻 p.252 -ページ画像 
  尾州参州産(桝目ニ多小ノ増減アリ)凡三斗九升入
  関東地廻リ産           凡三斗八升入
 右油ハ総テ樽ノ内面ニ紙ヲ三重ニ貼付シ毎紙面ニ各々柿液ヲ塗リタルモノニ入レ、下リ油ハ之ヲ菰ニテ包ミ地廻油ハ裸樽ナリ、而シテ東京ヨリ之ヲ各地ヘ輸出スルニハ別段其荷造ヲ改ムル事ナシ、尤海外ヘ輸出スルニハ現在樽ノ儘又ハ石油ノ空キ銅壷ニ入ルヽ事アリ
繰綿
      現行ノ荷造法
○繰綿ノ現行荷造法ハ左ノ如シ
  大阪産
  尾州産
  三州産
  遠州産
   大入造ハ一本正味十二貫目入三本ヲ以テ一駄トス、正味六貫目ヨリ六貫三百目位迄ノ繰綿ヲ琉球表一枚ニテ包ミ、両小口ヘ莚ヲ入レ細縄ニテカヾリ之ヲ二ツ抱キ合セ更ニ太縄ニテ括ル、之ヲ大入造一本トス、其容積長曲尺ニテ三尺三四寸、巾二尺八九寸、厚一尺八九寸ナリ
   莚文庫造ハ一本正味八貫目ヨリ十貫目ニ至ル四本ヲ以テ一駄トス、繰綿ヲ直チニ莚ニ包ミ太縄ヲ十文字ニ掛ケ廻ス、其容積ハ長巾トモ曲尺二尺八九寸、厚一尺五六寸ナリ
   右大入ハ東京ヨリ陸路ニヨリ之ヲ遠国ヘ輸出スルニハ更ニ其外部ヲ莚ニテ包ム事アリ
  地廻リ綿
   前年ニ在リテハ糸館《イトタテ》ト称シ繰綿ヲ紙袋ニ入レ麻経藁緯ヲ以テ組織シタル粗雑ナル莚様ノモノニテ包ミタリシガ、近来ハ蒲包大入造ニシ或ハ莚文庫造ニスル事トナレリ、而シテ其荷造ハヤヽ下リ綿ノ如クナレトモ、概スルニ甚ダ粗雑ニシテ其量目大入造ハ正味十貫目入、莚文庫造ハ八貫目及九貫目ノ両種ナリ
○繰綿ハ現行荷造ニヨリ海上運送中如何ナル湿気《シケ》ニ遭逢スルモ其損害ハ僅ニ原価百分一ヲ出デズト云フ
呉服太物
      現行ノ荷造法
○木綿呉服類ノ現行荷造法ハ概ネ左ノ如シ
  櫃入(縮緬絹物)
   是ハ夫々品物ヲ紙ニテ包ミ之ヲ櫃ニ入レ、其上ヲ油紙ニテ包ミ其上ヲ更ニ渋紙或ハ琉球表ニテ包ミ、麻縄ニテ緊結シ、其上ヲ莚ニテ包ミ藁縄ニテ三ケ所ヲ結ビ、更ニ力縄ト称シ太縄ヲ十文字ニ掛ケ廻ス
  板〆(多クハ木綿類)
   是ハ品物ヲ五反ヅヽ紙ノ文庫ニ包ミ、数個ヲ合セ之ヲ油紙ニテ包ミ、其上ヲ更ニ渋紙或ハ琉球表ニテ包ミ、上下ニ板ヲ当テ麻縄或ハ藁縄ニテ之ヲ緊結シ、之ヲ莚ニ包ミ藁縄ニテ三ケ所ヲ結ビ、更ニ力縄ト称シ太縄ヲ十文字ニ掛ケ廻ハス
 - 第18巻 p.253 -ページ画像 
  張籠入(多クハ木綿類)
   是ハ品物ヲ五反位ツヽ紙ニ包ミ数個ヲ合セ之ヲ籠ニ入レ琉球表ニテ包ミ、藁縄ニテ緊結シ其上ヲ莚ニテ包ミ、藁縄ニテ三ケ所ヲ結ビ力縄ト称シ太縄ヲ十文字ニ掛ケ廻ハス


東京商工会議事要件録 第九号・第一九―二三頁 明治一八年三月一四日刊(DK180021k-0005)
第18巻 p.253-254 ページ画像

東京商工会議事要件録  第九号・第一九―二三頁 明治一八年三月一四日刊
  第五定式集会  (明治十八年二月廿七日午後四時三十分開会)
    会員出席スル者 ○七十一名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ明治十七年下半季定式事務ノ成跡ヲ報告ス、即チ左ノ如シ
  自明治十七年七月至同十二月 半季間事務ノ報告
○中略
    政府ヨリ下問   三件
○商品荷造ノ義ニ付農商務省ヨリノ下問
  本件ハ明治十七年八月二十三日附ヲ以テ西郷農商務卿閣下ヨリノ御諮問ニ係リ、其要旨ハ商品ノ荷造ニシテ其法ヲ得ザレバ為メニ毀損敗壊スル等種々ノ損害不便アルニ付、本会ニ於テ荷造ノ得失便否ヲ考究シ改良ノ意見ヲ具陳スベシト云フニ在リ、即チ同年九月二十二日第七臨時会ニ於テ之ヲ審議シタルニ万種ノ商品ニ就キ尽ク其荷造法ヲ調査スルハ頗ル難事タルニ付、先ヅ各組合ヲシテ米・酒・塩等重要ナル商品十五種ノ荷造法ヲ調査セシメ、然ル後会員中此調査ヲ担当シタル者及海陸運送ニ従事スル者ヲ委員トシテ之ガ得失便否ヲ考究セシムベシト云フニ決シタルニ付、其後会長ハ各組合ヲシテ先ヅ前記数種ノ荷造法ヲ調査セシメ、更ニ左ノ二十二名ノ委員ヲ指名シタリ
      米             川原英次郎
      〆糟            前川忠七
      日本紙           阪本彦平
      絵具染料          南川福蔵
      石灰蠣灰          隅山尚徳
      同             真弓吉蔵
      陶磁器           犬塚駒吉
      麻苧            村田作兵衛
      生糸            梅浦精一
      茶             山本嘉兵衛
      砂糖            鳥海清左衛門
      酒             三橋甚四郎
      同             平野太郎兵衛
      塩             榎本小兵衛
      油             岩出惣兵衛
      繰綿            荒尾邦寛
      呉服太物          宮本弥之助
      日本鉄道会社        林賢徳
 - 第18巻 p.254 -ページ画像 
      内国通運会社        佐々木荘助
      三菱会社          荘田平五郎
      共同運輸会社        小室信夫
      海上保険会社        益田克徳
  此等ノ委員ハ十一月十七日集会ヲ開キ、各組合ノ調査シタル荷造法ニ就キ充分得失便否ヲ考究シテ復申案ヲ草シ、十二月廿五日第八臨時会ノ可決ヲ得、明治十八年一月五日附ヲ以テ之ヲ農商務省ニ進達シタリ
○下略



〔参考〕農商務省第五回報告 明治一八年 第一七二―一七五頁(DK180021k-0006)
第18巻 p.254 ページ画像

農商務省第五回報告  明治一八年  第一七二―一七五頁
    商品荷造改良
商品荷造ノ精粗ハ其利害ノ関スル所実ニ少小ナラス、夫農工業者ノ商品ヲ善良ニスルハ論ナク、其荷造ヲ精緻丁寧ニセハ唯商品ノ性質ヲ保存スルニ止ラス腐壊散逸ノ憂ヲ防キ、貨物容積ノ大小長短及数量ノ軽重多寡等ニ至ル実際ニ適シテ利便ヲ得、大ニ運搬ノ冗費ヲ減シ、従テ需用者ノ便益ヲ生シ売買ヲ円滑ニスヘシ、然ルニ我国商品荷造ノ現況ヲ見ルニ従来区々ノ習慣ニ因リ同種ノ商品ニシテ荷造ヲ異ニシ、甚シキハ其製粗悪ヲ極メ商品ヲ散逸腐壊シ損失ヲ招ク事多ク、運搬上最モ不利不便ヲ醸スニ至ル、本局夙ニ其改良ヲ計リ已ニ去十七年八月東京商工会ヘ左ノ問題ヲ附シ之ヲ審議セシメタリ
 一荷造ノ種類
 一現行荷造法ニ就キ当業者ノ親シク感スル処ノ得失便否
 一荷造ノ不利不便ナルモノ其改良方法
 一荷造ノ不利不便ナルモノ今日ニ至ルマテ改良ノ行ハレサル所以ノ事故アラハ其事故
該会ハ審按討議ヲ遂ケ、十八年一月其復申トシテ商品荷造改良意見ヲ提出セリ、即之ヲ印刷ニ附シテ各府県ニ配送シ併セテ荷造改良ノ要旨ヲ当業者ニ懇諭スヘキヲ委ネ改良ノ件ヲ諮問セリ、而シテ三月ニ及ヒ再ヒ鯡締粕荷造改良ノ件ヲ府県ニ諮問ス圧搾固結法ヲ用ユルノ議蓋シ締粕ハ農産物最良ノ肥料ナリ、用途広ク販路大ナルモ従来慣行ノ荷造ニ依レハ散逸腐壊ノ不利運搬取扱ノ不便アリ又塵芥ヲ混合スルノ害アリ、因テ東京府ハ東京商工会ニ大坂府ハ大坂商法会議所ニ下問シ各其復申書ヲ得タリ、此復申書ハ利害得失ヲ詳述シ孰レモ改良ノ緊要ナルヲ説ケリ、而テ本局ニ於テハ仮器械ヲ以テ之ヲ圧搾シ府県ニ配附シテ其便否ヲ試ントシ目下計画中ナリ、又此荷造改良ニ対シ同感ヲ表セルモノ拾県、調査ヲ了シ意見書ヲ郵致セシモノ拾余県ナリ、抑々此改良ノ事タル其要旨ヲ了得セシメテ実功ノ挙ラン事ヲ努メ、先ツ改良ノ荷造ヲ試製シテ試売ノ途ヲ開キ、実利ヲ以テ漸次ニ当業者ヲ誘導セント欲ス、乃此ノ如クセハ数年ヲ出スシテ改良ノ途ニ就キ着々歩ヲ進メテ売買ヲ円滑ニシ産額増加シテ商業上ノ欠点ヲ補フニ至ルヘシ
   ○本節第二款東京商法会議所、明治十一年十二月十一日(第十七巻第三五頁)明治十四年九月二十八日(第十七巻第七〇二頁)ノ両条並ニ本節第四款東京商業会議所明治二十九年九月十五日ノ条参照。
 - 第18巻 p.255 -ページ画像 


〔参考〕荷造改良ニ関する意見 遠藤吉平著 第二九―三三頁 大正八年六月刊(DK180021k-0007)
第18巻 p.255-256 ページ画像

荷造改良ニ関する意見 遠藤吉平著  第二九―三三頁 大正八年六月刊
 ○荷造改良促進の経過
    五 北海道に於ける荷造改良
明治十八年の一月に、函館県令は区内の有志者を招集して、県庁内で諮問会を開き、色々な事柄に就いて各自の意見を述べさせました、其内で商事に関する問題では、故平田文右衛門氏は度量衡の改良を建議致しましたが、私は荷造の改良を建議しまして、満場一致で之等を諮問会の答申と致しました。此諮問会は北海道の三県で同時に行はれたものでありましたが、三月には三県相集まつて其結果を申し合はせることになりまして、其会を札幌で開きました、函館県からは県令と属官とが参り之れに平田氏と私とが同行を命ぜられたのです。此申合はせで以て、三県同時に絞粕の荷造を改良することになりまして、全く旧来の不便を除くことが出来るやうになりました。如何して北海道の絞粕の荷造の改良が此様に訳もなく行はれたかと申すに、此時代までは漁場税は現品で納入することになつて居たのですから、三県で申し合はせて、斯く斯くの荷造したので無ければ受取らぬと公告すれば、納税者は之れに遵ふの外なかつたのです。而して税品外のものでも、諭達に違つた俵装をしたものには、相当な制裁を加へることに決めました。此時の三県の改良方針が実に断乎たるものであつたことは、函館県庁から当時私等が経営して居た共同商会といふ商事会社へ、左の如き通諜が来たのでも知れます。
 本道産出肥料魚粕包装不完全ニシテ種々損害アルハ喋々ヲ不待義ニ付、這回札幌・根室両県ト協議ノ上明治十九年ヨリ断然改良ヲナサシムルコトニナシ、夫々諭達及達書ヲ各県令ヨリ発布相成候、就而ハ三県下之人民ハ右諭達之意ヲ服膺シ改良之針路ヲ取ルハ無論ニハ候得共、自然其商会ト魚粕取引ヲナスノ出産人ニシテ、或ハ諭達之主旨ヲ誤解シ万一不完全之包装ヲナス歟又ハ誤テ諭達ニ悖戻スルモノ有之候テハ此ノ改良ノ目的ヲ満足セシメ難ク候条、精精御注意相成候様致度、此段小官ヨリ特ニ申入候也
                   函館県庁
  明治十八年四月七日          二木勧業課長
    北海道共同商会頭取 遠藤吉平殿
処が洵に荷造改良の為めには不幸と申すべきは、翌明治十九年には三県を廃して道庁を置く事となり、現品納税が金納と改まつたのです、折角改良になつた絞粕の荷造りも、唯一個年で再び旧来の通りに逆戻りして、粗造を極め量目も区々になりました。
私が諮問会で建議した改良案では、一俵の目方二十五貫でありまして此案の通りに俵装結束したのを、東京商工会(東京商法会議所の改まりたるもの)へ送附し、当業者の批評を求めて呉れと云ひやりましたところ、商工会は之れを当時の東京肥料問屋組合頭取小沢与右衛門氏の方に送り、其意向を尋ねたれば、組合で評議して、之れならば至極便利であるといふ返答であるとの趣きを、商工会から私の方へ通知がありましたので、三県廃止の為めに俵装が逆戻りしたのは、需用者の
 - 第18巻 p.256 -ページ画像 
方から、仕向けた結果でなくて、全く生産者の悪弊の為めでありました。尤も今日では、各地水産組合の規約やら、道庁の水産製品取締規則やらのお蔭で、絞粕は一俵廿五貫と定まり、俵装は全然旧態を改めました。
此頃のことでありましたが、政府でも段々と荷造の不完全の為めに、国家が少なからず損失して居るのに心附きまして、農商務省から東京商工会へ対して、荷造の改良を要する点を諮問になりました。商工会は精細に之れを調査して、中々詳しい返答を出し、同時に之れを印刷して関係当業者へ配布したのでした。
明治二十年から二十一年に掛けて、私は北海道庁の嘱託を受け、支那に於ける海産物殊に昆布の販路に就いて調査に参りました、此時に営口・芝罘・天津・漢口其他ノ揚子江要地、上海・寧波・福建省・広東及び香港まで、北海道海産物の需要地を方々見まして、其間に各国の荷造法を参考することが出来て、非常に利益を得たのです。荷造法の事などでは、支那の方が優つて居る点が少なくはありません。二十一年の五月に帰朝しまして、色々な仕事やら、又家事上の出来事などの為めに、荷造改良に対して私は手を出す余裕がありませんでした。