デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第18巻 p.279-287(DK180027k) ページ画像

明治18年4月22日(1885年)

是ヨリ先当会、益田孝ノ建案セル電信取扱方ニ改
 - 第18巻 p.280 -ページ画像 
正ヲ加フルノ儀ニ就キ審議ヲ重ネシガ、是日栄一当会会頭トシテ、全国ノ電信料ヲ一定シ併テ電信切手ヲ発行スルノ件、其他二件ヲ電信局長石井忠亮ニ建議ス。五月七日電信条例改正サレ料金均一制実現ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第一〇号・第二二―三〇頁 明治一八年五月六日刊(DK180027k-0001)
第18巻 p.280-282 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一〇号・第二二―三〇頁 明治一八年五月六日刊
  第九臨時会  (明治十八年四月十一日午後六時三十分開会)
    会員出席スル者 ○五十五名
○上略
会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第三号議案即チ電信取扱方ニ改正ヲ要スル件ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ、書記ヲシテ議案ヲ朗読セシム、即チ左ノ如シ
    ○電信取扱方ニ改正ヲ要スル建議
別紙ノ要項本会ノ意見トシテ其筋ヘ建議致度此段及建議候也
  明治十八年三月
                 五十九番  益田孝
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿
(別紙)
    其筋ヘ建議スベキ要項
第一条 全国各地ノ電信料ヲ一定シ、兼テ電信切手ヲ発行シ、此切手ヲ以テ電信料ヲ払フノ制度ヲ設ケラレン事ヲ望ム
  全国各地ノ電信料ハ、従来着信地ノ遠近ニヨリテ其割合ヲ同フセズ、且ツ其電信料ハ発信ノ際必ズ現金ニテ之ヲ収入セラルヽヲ以テ、発信人ニ於テハ種々ノ手数ヲ要シ、之レガ為メ其用便ヲ欠ク事、実ニ少カラズ、聞ク処ニヨレバ英国ノ如キハ現ニ内国電信料ノ割合ヲ一定シ、郵便切手ヲ以テ電信料ニ通用スルノ制度ヲ施行スト云フ、今同国内地ニ通用スル電信用紙ノ雛形ヲ示セバ左ノ如シ ○第二八一頁表
  今我国ニ於テモ斯ノ如キ制度ヲ参酌シ、恰モ現行郵便法ノ如ク全国電信料ノ割合ヲ均一ニシ、電信切手ヲ以テ之ヲ払フノ制度ヲ設ケラルヽニ至ラバ各商賈ハ一層電信ノ便利ヲ感シ、商業上ノ利益実ニ少カラザルベシ、是本条ノ趣旨ヲ建議セントスル所以ナリ
第二条 海外各地ヘ電信ヲ発スル者ノ中身元確実ニシテ信用スルニ足ルベキ者ニハ相当ノ特約ヲ以テ逸々現金ヲ納メズシテ発信スル事ヲ許シ、其電信料ハ適当ノ時限ヲ定メテ之ヲ収入スルノ制度ヲ設ケラレン事ヲ望ム、若シ万一此制度ニシテ実施シ難キ事情アラバ責メテハ発信人ヲシテ予メ若干ノ金員ヲ預托セシメ、通帳ヲ以テ随時ニ発信スルヲ得セシムルノ制度ヲ設ケラレン事ヲ望ム
  従来電信料ハ総テ発信ノ都度逸々現金ニテ収入セラルヽノ規則ナルガ、内国各地ヘ発スル電信ノ如キハ固ヨリ其電信料ハ小額ニシテ殊ニ第一条ノ制度ヲ施行セラルヽニ至ラバ発信人ニ於テ別段不便ヲ感ズル事ナカルベシト雖トモ、海外ヘ発スル電信ニ至リテハ

 - 第18巻 p.281 -ページ画像 

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     電信用紙(内国用)            書信ノ番号 ………………………………………                 郵便切手                             局印     発信局名等ヲ記ス      音信ノ語数   発信ノ時間等  [img図]〓   ○      ……………      ………   ………………   電信料ノ受領証ヲ要求スル者ハ           電信料ノ高               手数料トシテ二片ヲ払フベシ     ……………      ………   ………………     発信人ノ住所姓名            受信者ノ住所姓名        ………………………         ………………………             ………………………         ……………………… 表面     一志                                                                                                                                                          四片                                                  一片                                                       発信人心得書     此電信ヲ発スル者ハ千八百六十八年公布ニ係ル電信条例第十五節ニヨリテ制定シタル規則及裏     面ニ記載スル心得書ノ趣旨ヲ遵守スベキ者也 




            裏面

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         発信人心得 第一条  左ノ場合ニ於テハ別段ノ配達料ヲ収入セズ       一受信人ノ住所着信局ヨリ一哩以内ニ在ル時又ハ着信局若シ郵便本局ニシテ受信人ノ住所其配達管内ニ在ル時       一発信人着信局ヨリ郵便ニテ之ヲ配達セン事ヲ望ミ即チ受信人ノ姓名ノ下ニ「郵便」ノ二字ヲ記スル時 第二条  受信人ノ住所右ニ掲グル経界外ニ在ル時及発信人「郵便」ノ二字ヲ記セザル時ハ左ノ割合ヲ以テ別段ノ配達料ヲ収入ス       一発信人別仕立配夫ヲ以テ配達セン事ヲ望ム時ハ発信局ヨリ三哩以内ハ毎一哩ニ付(前記ノ経界ヨリ起算ス)金六片ヅヽ       一発信人乗馬配夫ヲ以テ配達セン事ヲ望ム時ハ発信局ヨリ三哩以外ハ毎一哩ニ付(直ニ着信局ヨリ起算ス)金一志ヅヽ        但シアイルランド地方ノ中毎一哩ニ付八片ノ割合ヲ以テスルモノハ此限ニ非ズ 第三条  発信人着信局ヨリ滊車ヲ以テ之ヲ配達セン事ヲ望ム時ハ先ヅ受信人ノ姓名ノ下ニ「滊車」ノ二字ヲ記セシメ其配達ノ実費ヲ前納セシム若シ其実費分明ナラザル時ハ金一志ヲ前納セシム 第四条  発信人ハ四十語以下ノ返信料ヲ前納スルヲ得此場合ニ於テハ着信局ハ電信ト共ニ右前納ノ金額等ヲ記シタル手形ヲ受信人ニ交附スベシ而シテ受信人ハ日附後二ケ月間ハ此手形ヲ以テ電信料ニ代用スルヲ得ルハ勿論若シ発信ヲ要セザルニ於テハ倫敦駅逓本局ニ申出デ之ヲ通貨ト交換スルヲ得ベシ 第五条  発信人ハ誤謬ノ憂ヲ防ガン為メ其音信ヲ繰返ス事ヲ得ベシ此場合ニ於テハ元通信料ノ半額ヲ納メシム但シ三片以下端数ヲ生ズル時ハ更ニ二片ニ改算スベシ凡テ商業上ノ符徴若クバ暗語ヲ記スル電信文ハ常ニ之ヲ繰返サシムルモノトス 第六条  駅逓総官ハ電信送達中過誤等ニヨリ損害ヲ生ズル事アルモ総テ其責ニ任ゼザルベシ 第七条  凡ソ電信文ハ発信ノ日附ヨリ三ケ月間ヲ経ル時ハ之ヲ電信局ニ於テ保存セザルニ付若シ之ニ関シテ要求スベキ事件アラバ必ズ此期限内ニ申出ヅベシ 



 - 第18巻 p.282 -ページ画像 
  其電信料巨額ニシテ且ツ商業上ノ都合ニヨリテハ特ニ頻繁ノ発信ヲ要スル事アリ、是発信人ニ於テ大ニ此規則ヲ不便トスル所ナリ今若シ本条ニ掲クルガ如キ制度ヲ設ケラルヽニ至ラバ各商賈ハ発信ノ際大ニ手数ヲ省クヲ得、随テ商売上ノ利便ヲ達ス実ニ少カラザルベシ、是本条ノ趣旨ヲ建議セントスル所以ナリ
第三条 内国各地ヘ発スル電信ノ中儘遅達シテ用弁ヲ欠ク事少カラズ故ニ自今適当ノ方法ヲ設ケテ一層之ヲ速達セラレン事ヲ望ム
  今ヤ全国要地到ル処電線ノ架設アラザルハナク各商賈大ニ其利便ヲ得ルト雖トモ、中ニハ其音信遅達ノ為メ充分其利用ヲ感セザル者アリ、現ニ商売上最モ密切ノ関係ヲ有スル東京横浜間ノ電信ノ如キ発信ヨリ受信ニ至ル迄概ネ一時間以上ヲ要スルガ故ニ、今日ニ於テハ特ニ急報ヲ要スル者ハ急使ヲ以テ之ヲ弁シ通常ノ急報ヲ要スル者ハ郵便ヲ以テ之ヲ弁スルニ至ル、抑モ電信ノ効用ハ万里ノ通信ヲ瞬時間ニ弁達スルニ在リ、然ルニ斯ク至緊ノ機械アルモ之ヲ利用スル事能ハズシテ遂ニ郵便ト其効用ヲ撰ハザルニ至ルハ各商賈ノ最モ遺憾トスル所ナリ、是本条ノ趣旨ヲ建議セントスル所以ナリ
本案ニ就テハ一二質問アリタル迄ニテ別段反対説ナカリシヲ以テ衆議ノ上遂ニ之ヲ可決シ、其文案ハ理事本員ニテ之ヲ作リ直チニ電信局長ヘ宛テ建議スベキニ決ス
  (本文ノ建議案ハ其後理事本員ニ於テ立案シ四月廿二日附ヲ以テ之ヲ電信局ニ進達シタリ、依テ其全文ヲ参考部ニ掲載ス)


東京商工会議事要件録 第一〇号・第四四―五〇頁 明治一八年五月六日刊(DK180027k-0002)
第18巻 p.282-283 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一〇号・第四四―五〇頁 明治一八年五月六日刊
 ○参考部
    電信取扱方ニ御改正ヲ要スル儀ニ付建議
近来其御筋ニ於テ追々電信ノ事業ヲ御拡張相成候ヨリ目下商業上ニ発現シタル進歩ノ実跡甚タ顕著ナル所ニ御座候得共、退テ実際ノ景況ヲ観察仕候ニ其取扱上ニ尚幾分ノ御改良ヲ被加候時ハ各商賈一層ノ利便ヲ相感シ可申奉存候、依テ今本会ニ於テ審議ヲ遂ケ其取扱方ニ御改正ヲ要スル件々左ニ列記シテ開陳仕候
第一条 全国各地ノ電信料ヲ一定シ、兼テ電信切手ヲ発行シ、此切手ヲ以テ電信料ヲ払フノ制度ヲ御施設相成度候事
  全国各地ノ電信料ハ従来着信地ノ遠近ニヨリテ其割合同シカラズ且ツ其電信料ハ発信ノ際必ズ現金ニテ御収入相成候ヨリ、発信人ニ於テハ種々ノ手数ヲ要シ、之カ為メ其用便ヲ欠キ候事不少、現ニ英国ノ如キハ内国電信料ノ割合ヲ一定シ、郵便切手ヲ以テ電信料ニ通用スルノ制度ヲ施行致候趣承及候、今我国ニ於テモ斯ノ如キ制度ヲ御参酌ノ上恰モ現行郵便法ノ如ク全国電信料ノ割合ヲ均一ニシ、電信切手ヲ以テ之ヲ払フノ制度ヲ御施設相成候ハヽ各商賈ハ一層電信ノ便利ヲ感シ、商業上ノ利益実ニ不少ト奉存候、尤此御制度ニヨリ均一ニスヘキ全国電信料ノ割合ニ就テハ固ヨリ適当ノ御心筭可被為在筈ニハ奉存候得共、若シ万一高度ニ失シ候時ハ之ガ為メ却テ各商賈ノ迷惑ヲ来シ候事無之トモ難申ニ付、其割
 - 第18巻 p.283 -ページ画像 
合ハ可成低度ニ止メ候様御経画相成度併テ希望仕候
第二条 常ニ海外各地ヘ発信仕候者ノ中身元確実ニシテ信用スルニ足ルヘキ者ニハ相当ノ特約ヲ以テ逸々現金ヲ納メズシテ発信スル事ヲ許サレ、其電信料ハ適当ノ時限ヲ定メテ御収入相成候様ノ制度ヲ御施設相成度、若シ万一此制度ニシテ御実施難相成事情有之候得者責メテハ発信人ヲシテ予メ若干ノ金員ヲ上納セシメ通帳ヲ以テ随時ニ発信スルヲ得セシムルノ制度ヲ御施設相成度候事
  従来電信料ハ総テ発信ノ都度逸々現金ニテ御収入可相成御規則ニ御座候処、内国各地ヘ発スル電信ノ如キハ固ヨリ其電信料小額ニシテ、殊ニ第一条ノ制度ヲ御施行相成候ニ於テハ発信人ニ於テ別段不便ヲ感シ候事有之間敷奉存候得共、海外ヘ発スル電信ニ至リテハ其電信料巨額ニシテ、且ツ商業上ノ都合ニヨリテハ特ニ頻繁ノ発信ヲ要スル事有之、是発信人ニ於テ大ニ此御規則ヲ不便トスル所ニ御座候、今若シ本案ニ掲クルカ如キ制度ヲ御施設相成候ニ於テハ、各商賈ハ発信ノ際大ニ手数ヲ省クヲ得随テ商売上ノ利便ヲ達スル事、実ニ不少ト奉存候
第三条 内国各地ヘ発スル電信ノ中儘遅達シテ用弁ヲ欠キ候事少カラズ依テ自今適当ノ方法御施設ノ上一層速達致候様御経画相成度候事
  今ヤ全国要地到ル処電線ノ架設アラサルハナク各商賈大ニ其利便ヲ得候得共、中ニハ其音信遅達ノ為メ充分其利用ヲ感セサル者有之、現ニ商売上最モ密切ノ関係ヲ有スル東京横浜間ノ電信ノ如キ発信ヨリ受信ニ至ル迄概ネ一時間以上ヲ要シ候ヨリ、今日ニ於テハ特ニ急報ヲ要スル者ハ急使ヲ以テ之ヲ弁シ、通常ノ急報ヲ要スル者ハ郵便ヲ以テ之ヲ弁スル程ニ御座候、抑モ電信ノ効用ハ万里ノ通信ヲ瞬時間ニ弁達スルニ在リ、然ルニ斯ク至緊ノ機械有之候モ之ヲ利用スル事能ハスシテ遂ニ郵便ト其遅速ヲ較スルニ至ルハ各商賈ノ最モ遺憾トスル所ニ御座候、依テ自今適当ノ方法御施設ノ上一層速達致候様御経画相成度希望仕候
以上開陳ノ要旨幸ニ御採択被成下候ハヾ各商賈ハ一層其便利ヲ増シ随テ商業ノ進歩ヲ助クル事、実ニ不少奉存候、依テ此段建議仕候也
                    東京商工会々頭
  明治十八年四月廿二日
                      渋沢栄一
    電信局長 石井忠亮殿


東京商工会議事要件録 第一一号・第三九―四三頁 明治一八年六月二二日刊(DK180027k-0003)
第18巻 p.283-284 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一一号・第三九―四三頁 明治一八年六月二二日刊
 ○参考部
    ○電信局長ノ答弁書
電信取扱方ニ改正ヲ要スル義ニ付建議ノ趣ハ一般ノ便利ト可相成至極尤ノ事ト存候、然ル所当局ニ於テ現ニ施設シ及将ニ施設セントスル事件等モ有之ニ付各条ニ対シ左ノ如ク答弁ニ及候
○第一条 全国各地ノ電信料ヲ一定シ兼テ電信切手ヲ発行シ云々
右ハ当局ニ於テ数年来計画セシ処ニシテ、今般旧制ヲ改メ全国均一ノ料金ヲ用ヒ且切手ヲ発行スル事ニ相定メ、近日公布可相成筈ニ有之候事
 - 第18巻 p.284 -ページ画像 
○第二条 常ニ海外各地ヘ発信スル者ノ中、身元確実ニシテ信用スルニ足ルベキ者ニハ相当ノ特約ヲ以テ逸々現金ヲ納メスシテ発信スル事ヲ許シ、其電信料ハ適当ノ時限ヲ定メテ収入スルノ制度ヲ設ケ度、若シ万一此制度実施シ難キ事情アラバ発信人ヲシテ予メ若干ノ金員ヲ上納セシメ通帳ヲ以テ随時発信スルヲ得セシムルノ制度ヲ設クル云々
右電信料ノ義ハ元来前納ニ限ルモノニ付、前段ノ如ク当初現金ヲ納メズシテ発信シ、後ニ適当ノ時限ヲ定メテ料金ヲ収入スル事ハ差支有之実施難致候ヘ共、後段ノ如ク予メ若干ノ金員ヲ納メテ通帳ヲ以テ随時ニ発信シ、毎月末等ニ精算ヲ為スノ義ハ従来実施スル処ニシテ内地及海外信ヲ問ハズ常ニ多数ノ電報ヲ発送スルモノハ其願出ニ依リ之ヲ許シタル事現ニ多数有之、殊ニ海外信ニハ最モ多ク有之候事
○第三条 内国各地ヘ発スル電信ノ中儘遅達シテ用弁ヲ欠キ候事少カラス、依テ自今適当ノ方法ヲ施設シ一層速達スヘキ様云々
右ハ当局ニ於テ最モ注意ヲ加ヒ忽カセニセザル処ナレトモ、凡電報ヲ伝送スルノ手続ハ既ニ人々ノ知ル処ノ如ク単ニ器械上ノ伝送ノミナラス、初メ発信人ヨリ頼出ノ際先ツ其字数及料金ヲ精査シテ帳簿ニ記載スルヨリ、着信局ニテ又其電報ヲ調査シテ帳簿ニ記載シ配達スルニ至ルマデ各規則ニ定メタル手続ヲ為スニ付、其間多少ノ時間ヲ費サヾルヲ得ズ、加之発信局ニテハ頼信ノ前後ニ依リ中継局ニテハ受信ノ順序ニ従フテ伝送シ、且線路ニ依リテハ直接ニ通信スルアリ、中継局二三ヲ経過スルモノアリ、殊ニ電報輻輳ノ際ノ如キ不得止事情アルヲ以テ精々注意ヲ為スモ動モスレバ遅延ニ及ブ事アリ、是各局距離ノ遠近ニ依リ其差アルモノニ非ズ、譬ヘバ東京横浜間ニ於ケルト東京長崎間ニ於ケルト電気上ノ運用ハ同一ノ理ナルニ付、其遠キニ達スル時刻ノ例ヲ推シテ以テ近キニ比スベカラズ、然レトモ郵便ト其遅速ヲ較スルガ如キニ至リテハ独リ商賈ノ遺憾トスル処ナルノミナラス当局ニ於テ最モ遺憾トスル処ニ有之、元来電報ノ迅速ヲ要スルハ喋々ヲ待タザル義ニ付一般ノ便利ヲ欠カサル様可及的尽力スルハ素ヨリ専務ニテ、曩ニ配達人ノ方法ヲモ改良致候ヘトモ尚又一層速達ノ方法ヲ考究施行可致ト存候事
  明治十八年五月四日      電信局長 石井忠亮
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿


東京商工会議事要件録 第一五号・第四一―四九頁 明治一八年九月五日刊(DK180027k-0004)
第18巻 p.284-285 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一五号・第四一―四九頁 明治一八年九月五日刊

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 第十四臨時会           (明治十八年八月十四日午後六時四十五分開会) 第七定式会 



    会員出席スル者 ○三十三名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ定式会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ本年一月ヨリ六月迄半季間事務ノ成跡ヲ報告ス、即チ左ノ如シ
  自明治十八年一月至同年六月 半季間事務ノ報告
○中略
    政府ヘ建議   三件
 - 第18巻 p.285 -ページ画像 
○中略
○電信取扱方ニ改正ヲ要スル義ニ付電信局長ヘ建議
  本件ハ五十九番益田孝ノ発議ニ起リ、其要旨ハ全国ノ電信料ヲ均一ニスベシ(第一項)海外各地ヘ発信スル者ノ中身元確実ナル者ニハ現金ヲ前納セズシテ発信スル事ヲ許スベシ(第二項)内国各地ヘノ電信ヲ一層速達セシムベシ(第三項)ト云フニ在リ、即チ明治十八年四月十一日第九臨時会ニ於テ之ヲ審議シタルニ遂ニ異議ナク之ヲ可決シタルニ付、其後理事本員ヲシテ其文案ヲ草セシメ同月廿二日之ヲ電信局長閣下ニ進達シタリ
○下略


東京商工会議事要件録 第二三号・第三〇―四〇頁 明治二〇年三月二二日刊(DK180027k-0005)
第18巻 p.285-286 ページ画像

東京商工会議事要件録  第二三号・第三〇―四〇頁 明治二〇年三月二二日刊
  第十二定式会  (明治二十年二月廿六日午後四時三十分開会)
    会員出席スル者 ○五十六名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是迄本会ヨリ諸官衙ヘ建議又ハ復申シタル事項ニ就キ特別ニ其成跡ヲ報告ス
    ○東京商工会建議又ハ復申事項ノ成跡
○中略
○電信取扱方ニ改正ヲ要スル義ニ付電信局長ヘ建議
  明治十八年四月二十二日電信取扱方ニ関シ石井電信局長閣下ヘ左ノ事項ヲ建議シタリ
   第一 全国ノ電信料ヲ一定シ兼テ電信切手ヲ発行セラレタシ
   第二 海外各地ヘ発信スル者ノ中身元確実ナル者ニハ現金ヲ前納セズシテ発信スル事ヲ許サレタシ
   第三 内国各地ヘノ電信ヲ一層速達セシメラレタシ
  然ルニ同電信局長閣下ヨリ同年五月四日此建議書ニ対シ懇篤ナル答弁書ヲ回附セラレタリ、其要項左ノ如シ
   第一 全国ノ電信料ヲ一定シ兼テ電信切手ヲ発行スル事ハ当局ニ於テ数年来計画セシ所ニシテ今般旧制ヲ改メ全国均一ノ料金ヲ用ヒ且ツ切手ヲ発行スル事ニ定メ近日公布スベキ筈ナリ
   第二 電信料ハ元来前納ニ限ルモノニ付当初現金ヲ納メズシテ発信シ適当ノ時限ヲ定メテ料金ヲ収入スル事ハ差支アリテ実施シ難シ、然レトモ予メ若干ノ金員ヲ前納シ通帳ヲ以テ臨時ニ発信シ毎月末等ニ精算ヲ為ス事ハ内外信共差支ナク現ニ実施スル所ナリ
   第三 電信ヲ速達セシムル事ハ当局ニ於テ最モ注意ヲ加フル所ナレトモ凡電報伝送ノ手続ハ単ニ器械上ノ伝送ノミナラズ、其他種々ノ手続アリテ之ガ為メ多少時間ヲ要シ何分意ノ如クナル能ハズ、然レトモ郵便ト其遅速ヲ較スルガ如キニ至リテハ独リ商賈ノ遺憾トスル所ナルノミナラズ当局ニ於テモ最モ遺憾トスル所ナレバ、既ニ先般配達ノ方法ヲ改良シタレトモ尚一層速達ノ方法ヲ考究シ之ヲ施行スベシ
  又同年五月七日太政官第八号ヲ以テ電信条例ヲ改定シ、明治十八
 - 第18巻 p.286 -ページ画像 
年七月一日ヨリ施行スル旨ヲ布告セラレタリ、其中前陳建議第一項ノ趣旨ニ関スル要項左ノ如シ
      電信条例第三章 (電報料)
   第八条 凡電報料ハ国内ヲ通シテ同一ト為ス、但シ一市内及壱岐・対馬ニ発着スルモノハ此限ニ非ズ
   第十条 電報料及手数料ハ電信切手ヲ以テ納ムルモノトス、其切手ハ頼信紙ニ貼附スベシ、但シ返信電報料ノ前納及尋問電報料ノ仮納ハ貼附スルノ限ニ非ス
○下略



〔参考〕通信事業五十年史 逓信省編 第一七七―一八〇頁 大正一〇年三月刊(DK180027k-0006)
第18巻 p.286-287 ページ画像

通信事業五十年史 逓信省編  第一七七―一八〇頁 大正一〇年三月刊
 ○第三篇 第二章 内国電信
    第一節 法令制度の改廃
 大日本政府電信取扱規則 の制定は明治六年八月に在り。先之電信機に関する七項及官用電信機税則等の定あり。線路の延長に伴ひ各地料金表等を告示するありと雖、区々に渉り実務及一般の利用上不便尠なからさりしか、本規則の制定に依り稍法規の体制備はるに至れり。即ち音信遅延の責に任せさること、料金の前納及其計算方法、郵便配達に付する場合、照校・校正・符徴・同文電報に関する事項・電報書法・電信訴願の手続等に関して規定する所あり。翌年九月
 日本帝国電信条例 を制定し電信の事務・建築等に加へたる妨害に関する諸般の制裁に就き規定する所あり。其後通信漸く繁を加ふると共に海外電信の開始さるるあり、諸般規定の不備を補ふへく、明治十二年五月電信取扱規則を改正して章別編次の系統を更に明截にし官・局・私報の別を定め、特格電報に至急私報・受信報知・連名電報・郵便頼信等を認め、次て受信に炭酸紙を用ゐることとし手数の省略と誤謬の防遏とに資する所あり。其後各種取扱方法の設定変更に伴ひ屡規定の新設改廃を重ねたるか、更に之を統一整理する為め明治十八年法規を改正し、電信条例を実体法として業務の綱要を規定し、電信取扱規則に於て諸般施行細目を定む所あり。就中要項として数ふへきは
 料金均一制度 に到達したることなりとす。当初料金を称して代銀又は代銭とし、明治五年以降音信料と呼ひたるを改めて電報料とし、其料額の計算に就き、在来其経由局数と地方の状況とに依りて差等を設けたるを改正して一市内及壱岐・対馬を除くの外国内を通して一律となせり(壱岐・対馬は明治二十三年内地と同率となる)。今溯つて其以前に於ける料金制度を繹ぬるに、明治二年十一月の東京・横浜伝信局布告に依れは両局間の通信代銀仮名一字に付一分として音信文字数に対して之を課し、配達賃銭略一里七匁二分の割合に依れり。三年七月大阪・神戸伝信局布告は略右と同様にして、其異なる所は仮名一文字に付銭十六匁としたる点なり。四年五月在来無料なりし御用向通信(官報)を有料に改め、五年四月に至り一音信を二十字とし、和文東京市内は一音信五銭、各地間は隣局迄七銭、一局を加ふる毎に二銭を増せり。其後配達賃十町以内を無料となし、又鉄道沿線の如き利便なる地は料金を低減して依頼者の減少に備ふるか如き方法を設く、之れ
 - 第18巻 p.287 -ページ画像 
経由局毎に料金を加徴するを以て稍遠距離なるものは料率甚た廉ならさることとなるを以てなり。明治十一年には住所氏名をも欧文と同しく有料字数に算入し、更に氏名料一通五銭に改むる等料金制度複雑に渉り、公衆の発受は勿論、事務取扱の上に不便尠なからさるのみならす、機関の普及に伴ひ階級料金制度の必すしも其実に副はさるものあるに至りたるを以て、玆に均一料金制度の簡捷に就くに至りたるものとす。配達局より一里以内を無賃とし、以上は別使配達の指定あるものの外郵便配達に付するの制亦此時に始まる。而して料金納付の方法に関し、最初現金納付を原則とし、止むを得さる場合に限り郵便切手を使用せるか、本条例制定に方りて新に電信切手を発行使用することとし、同年末逓信省の設立せらるるに及ひ郵便切手に合一することとなれり。本改定電報料金は一音信十字迄十五銭・以上十字迄を増す毎に十銭なりしか、其後明治三十二年一音信十五字迄二十銭・以上五字迄を増す毎に五銭となり、最近大正九年五月に至り現行の一音信十五字迄三十銭・以上五字迄を増す毎に五銭に改定せられたり。 ○下略