デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第18巻 p.306-317(DK180031k) ページ画像

明治18年6月9日(1885年)

是ヨリ先当会、森島松兵衛ノ建案ニヨリ営業品見本郵便条例ノ改正ニ就キ審議セシガ、是日栄一当
 - 第18巻 p.307 -ページ画像 
会会頭トシテ、営業品ノ見本・試験物・雛形ニ関スル郵送重量ノ制限ヲ一個ニ付四十八匁ヨリ三百六十匁ニ改正シ且ツ郵送物品種類ノ範囲ヲ拡大サレタキ旨、駅逓総官品川弥二郎ニ建議ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第一〇号・第一三―二二頁 明治一八年五月六日刊(DK180031k-0001)
第18巻 p.307-309 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一〇号・第一三―二二頁 明治一八年五月六日刊
  第九臨時会  (明治十八年四月十一日午後六時三十分開会)
    会員出席スル者 ○五十五名
○上略
会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第二号議案即営業見本ニ付郵便条例ニ寛裕ヲ要スル建議ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ、書記ヲシテ議案ヲ朗読セシム、即チ左ノ如シ
    ○営業品見本郵便条例ニ寛裕ヲ要スル建議
 両三年以来各営業ハ衰弱ヲ相セリ、其原因ハ措テ問ハス、只管ラ挽回ノ一端ト認ムルモノハ苟モ之ヲ看過スヘキ今日ニアラサルト被存候、就テハ営業品見本郵便制限ニ多少寛裕ヲ与ヘラルヽ事ニ至ラハ商工業ノ便利仍ホ一層ヲ呈シ其活動ヲ幇助仕候義ト被存候
 抑モ営業品見本郵便法タルヤ、去十六年以前ニ関ハル所ニ由レハ該規則第三十七節及ヒ第百三十六節ヲ案スルニ、見本品或ハ試験品等ハ郵便行嚢且ツ書状等ヲ傷害スベキモノ或ハ生肉野菜ノ類ハ郵送ヲ禁スルト雖トモ、刃物・壜類ハ箱詰ノ手当適当トセハ取扱ハルヽ制規ニシテ、其容積ハ長サ一尺二寸、幅八寸、厚サ五寸、一個ノ重量ハ三百目迄、又各港ノ間ニ船便ニテ往復スル分ハ其重量ニ拘ラス、長サ弐尺、幅厚トモ一尺迄ヲ許サレ、而シテ其郵税ハ八匁量ニ付二銭ニシテ府内ハ此半額トセラレシ所ナリ、然ルニ十五年第五十九号布告郵便条例即チ今日実行スル所ニシテ、其第十四条・第十五条・第十六条及ヒ第十七条ニ由レハ其禁スル所ノモノハ略ネ旧規則ニ均キト雖トモ刃物・壜類・陶器及ビ宝玉等ハ箱詰手当ノ適当不適当ニ拘ハラス之ヲ禁セラレ、又容積ハ旧規則ニ同一ト雖モ重量ニ至テハ四十八匁迄ト減セラレ、而シテ其郵税ハ旧規則ニ等シキト雖モ府ノ内外ヲ問ハサルニ至レリ、又各港ノ間ニ船便云々ニ至テハ全廃セラレタリ、元来本邦ノ商工業ヲ隆盛ナラシムル方便ハ就中滊船・滊車郵便・電信ノ力最モ大ナルハ玆ニ喋々ヲ俟タス、然リト雖モ、未タ荷物馬車便ノ如キハ一二道ニ過キスシテ且ツ遅緩タリ、亦滊車モ僅ニ数里アルノミ、故ニ営業品見本郵便法ノ如キハ該旧規則ヨリ一層ノ寛裕ヲ希望スル所ナリシニ、豈図ランヤ現今実行ノ条例ニ於ル前陳ノ如ク其物質ニ其重量ニ其他大ニ狭隘ノ制限ニ至レリ、為ニ商工業上ニ波及シ其進歩ヲ遮断セシ感覚ヲ生セリ、然レトモ或ル商工業ニ於テハ現今実行ノ条例タル制限ニテ足レリ、又見本品郵便法ノ如キハ其量目ニ寛裕ヲ与フルモ其便ハ稀有ノモノニシテ、敢テ其甲斐アラサルベシト云者ナキニシモアラスト雖トモ、箱或ハ鉄葉若クハ壜ヲ要スルモノニ於テハ此容器ノミニテ已ニ四十八匁量ニ達シ易ク甚タ不便ヲ感スル者尠トセス、又一個ノ見本品モ若シ手合約束ノ熟
 - 第18巻 p.308 -ページ画像 
スルトキハ数万ノ取引ヲ生スルモノニシテ其稀有ノ不便ハ許多ノ不便タル原素ナリ、而シテ見本品郵便法ヲ寛裕ニセハ駅逓局ノ経済如何ヲ恐察スルニ其ノ痛痒甚タ僅少ナラン歟、若シ果シテ然ラハ其僅少稀有ノ品良ヲ以テ数万許多ノ便益ヲ媒介スル処ニシテ此得失如何ハ深ク思考ヲ須スシテ了然タリ、就テハ案スルニ商工業上隆盛ノ媒タル営業品見本郵便法ノ義ニ付、書状其他ノモノニ傷害ヲ及ホサヾルモノト認メラルヽ限リハ、何品ヲ論ゼズ重量五百目迄ハ郵送ニ取扱ハセラレ候様相成候ハヾ、特リ本員等ガ営業上ノミナラズ凡ソ商工業者ノ便益ヲ長ジ、自然商工業ヲ活溌ニ至ラシムル事ト愚考仕候間、各員御衆議ノ上其筋ヘ本会ヨリ建議有之度企望仕候、此段建議致候也
  明治十八年二月廿四日
                    百九番
                      森島松兵衛
  中京商工会々頭
    渋沢栄一殿
百九番(森島松兵衛)曰ク、本案中刃物ノ二字ハ全ク誤ナルニ付之ヲ取消シタシ、而シテ末文請求ノ要点猶漠然タル所アレバ、是等ハ若シ幸ニ全会ノ可決ヲ得バ理事本員ニ請フテ充分修飾シタキ見込ナリ
七十四番(鳥海清左衛門)曰ク、余ハ本案ヲ賛成ス、而シテ此議案ノ末文ニ書状其他ノモノニ傷害ヲ及ボサヾル限リ云々トアルガ、砂糖ノ如キハ仮令幾分ノ傷害ヲ及ボス事アルモ猶此範囲内ニ入レン事ヲ望ム
六十八番(南川福蔵)七十四番ヲ賛成ス
二十八番(西宮新七)四十番(小林惣兵衛)共ニ原案ヲ賛成ス
三十八番(中村利兵衛)曰ク、余モ亦本案ヲ賛成ス、且ツ五百匁ノ見本ヲ逓送スルニ一円以上ノ郵税ヲ要スルハ各商売ノ困難トスル所ナレバ、余ハ一歩ヲ進メ減税ノ事モ併セテ其筋ヘ建議セン事ヲ望ム
十一番(犬塚駒吉)曰ク、余モ本案ヲ賛成ス、而シテ猶本案中ニ見本品ノ五百匁ヲ必要トスル実例ヲ記入セン事ヲ望ム
八十四番(荘田平五郎)曰ク、余モ本案ヲ賛成スルモノナルガ猶本案ノ要旨ヲ確メン為メ各種商品ノ見本ニ就キ逸々其必要ノ重量ヲ詳査セン事ヲ望ム、而シテ其調査法ハ必ズシモ委員ヲ撰定スルヲ要セズ各組合ヘ依頼スレバ可ナリ
十六番(益田克徳)曰ク、余モ八十四番ト全ク同感ナリ、抑モ見本品ノ重量ニ関スル制限ハ可成之ヲ拡メタキ事勿論ナレトモ、若シ必要外ニ之ヲ拡メン事ヲ望ム時ハ直チニ其筋ノ擯斥ヲ蒙ル事ナシトセズ、故ニ先ヅ各種商品ノ見本ニ就キ逸々必要ノ重量ヲ調査シ猶其筋ニ於テ三百匁ノ制限ヲ五百匁ト改正セラレタル所以ノ理由ヲモ問合セン事ヲ要ス、又此議案ニハ船便ニ関スル特例ノ廃止ニ就テハ別段要望スル所ナシト雖トモ此等モ併セテ建議案中ニ附記セン事ヲ望ム、而シテ此等ノ調査ハ委員ヲ撰ンデ之ヲ担当セシムル
 - 第18巻 p.309 -ページ画像 
ヲ可トス
百九番(森島松兵衛)曰ク、八十四番及十六番ノ説至極可ナリ、而シテ猶熟々考フルニ郵便条例中見本品及雛形トアルガ此雛形ハ見本品ノ商業上ニ於ケルガ如ク、工業上最モ肝要ナルモノナレバ余ハ之ヲモ建議案中ニ記入セン事ヲ望ム
九十八番(吉田幸作)曰ク、兎ニ角委員ヲ撰ム方可ナラン
三十八番(中村利兵衛)曰ク、別段委員ヲ撰ムヲ要セズ各組合ノ見込ヲ問ヘバ足レリ
四十二番(松尾儀助)曰ク、抑モ郵便ハ外国ニ関係スルノ事業ナルガ故ニ今本会ヨリ之ヲ建議スルモ其筋ニ於テ或ハ直チニ之ヲ実施セラレ難キノ事情モアラン、然レトモ先ヅ兎ニ角委員ヲ撰ンデ建議案ヲ調査セシムベシ
右ノ如ク本案ニ就テハ賛成説ノミニシテ別段反対説ナカリシヲ以テ、会長(渋沢栄一)ハ先ヅ委員ヲ撰ンデ之ヲ調査セシムベシト云フノ説ニ起立ヲ命ジタルニ殆ド総起立ニ付之ヲ可決シ、猶衆議ノ上会長ハ調査委員トシテ左ノ五名ヲ指名シタリ
             十一番   犬塚駒吉
             十六番   益田克徳
             八十四番  荘田平五郎
             百八番   喜谷市郎右衛門
             百九番   森島松兵衛
  ○駅逓局ハ明治十年一月ニ設置サル。是ヨリ先明治元年正月、三職(総裁・議定・参与)ノ職制及分課ヲ定メシ時、水陸運輸事務ヲ内国事務総督ノ所管ニ属セシメ、其直接ノ中央機関トシテ駅逓司ヲ設置セリ。翌二年四月民部官(七月官ヲ改メテ省トス)設ケラルルヤ、地理・土木・租税・監督・通商・鉱山ノ六司ト共ニ其所管ニ属シ、次デ四年三月新式郵便制度ノ創始ヲ見、同年七月民部省廃セラルルニ及ビ租税・勧農・統計・紙幣・戸籍等ノ諸司ト共ニ大蔵省ニ属セリ。翌八月ニハ駅逓寮ト改マリテ三等寮ニ班シ翌月六月二等寮ニ進ム。六年十一月内務省ノ新設セラルルヤ同省ノ所管ニ移サレ、八年一月郵便為替、同五月郵便貯金業務ノ創始ヲ見、十一月ニハ一等寮ニ進ミ、超エテ十年一月諸寮ノ廃止ニ伴ヒ、駅逓局ヲ置カルルニ至ル。十四年四月官制改革ノ結果、勧業・山林・博物ノ各局ト共ニ農商務省ノ管理ニ属シ、次デ十八年十二月逓信省ノ設立ト共ニソノ所管ニ移サレ、二十年三月内信局及外信局ニ改名サル。(逓信省編「通信事業五十年史」大正一〇年三月刊・第九―一一頁参照)


渋沢栄一書翰 萩原源太郎宛 (明治一八年)五月六日(DK180031k-0002)
第18巻 p.309 ページ画像

渋沢栄一書翰  萩原源太郎宛 (明治一八年)五月六日   (萩原英一氏所蔵)
拝啓然者先刻御打合申上候来ル土曜日ニ駅逓局ヘ罷越候委員之義ハ、森島と梅浦と申上候得共、梅浦氏ハ商品見本之為メ委員指名中ニハ無之と覚居候間、夫ニてハ不都合ニ付益田克徳氏ニ御振替可被下候、併小生覚違ニて、梅浦氏該委員ニ候ハヽ別ニ差支無之候、此段再応申進候 匆々
  五月六日
                        渋沢栄一
    萩原源太郎様
 - 第18巻 p.310 -ページ画像 


東京商工会議事要件録 第一二号・第三六―四〇頁 明治一八年六月二九日刊(DK180031k-0003)
第18巻 p.310-311 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一二号・第三六―四〇頁 明治一八年六月二九日刊
    第十一臨時会  (明治十八年六月四日午後六時三十分開会)
    会員出席スル者 ○四十四名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第三号議案ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ、書記ヲシテ之ヲ朗読セシム
第三号議案
    営業品ノ見本等取調ノ義ニ付委員ノ報告
 兼テ百九番会員ヨリ建議相成候営業品見本ノ制限ニ関シ郵便取扱方ニ改正ヲ要スル義ニ就テハ、去四月十一日臨時会ノ決議ニ基キ其後篤ト調査ノ手続ヲ審議シ、先ツ各種商品ノ見本ニ就キ其必要ノ重量ヲ詳査致候処、金巾・洋糸・木綿・呉服・乾葡萄・櫛柿・乾鮑・乾貝・鰹節・海草苆種・麻苧・干鰯〆粕・陶磁器・塩・油類・羅紗・毛布・西洋小間物・破璃器、其他理化学機械・医療機械・測量機械等ノ見本ハ其中二三ヲ除クノ外、概ネ箱詰等ノ手当ヲ要スルモノニ付、其重量ハ三百目以上ヲ要シ、中ニハ五百目以上ヲ要スルモノモ不少、依テ猶営業品ノ見本ニ関スル海外諸国ノ制限ヲ詳査致候処、独国ニ於テハ六十七匁余、仏国ニ於テハ九十四匁余、英国ニ於テハ八百八十二匁余ニシテ、米国ノ如キニ至リテハ四百八十六匁余ノ趣ニ付遂ニ別紙第一条ノ趣旨ヲ建議スベキニ相決シ候、又百九番会員ノ建議書中ニハ郵送禁止品ノ事ニ関シ別段改正ヲ要望スルノ廉記載無之候得共、猶実際ノ景況ヲ調査致候処、元来陶磁器・破璃器・針類・硝石・硫黄・蝋・砂糖・煉薬・油類・水薬等ノ類ハ其手当ノ如何ンヲ問ハス、総テ現行ノ規則ヲ以テ其郵送ヲ禁止セラルヽ処ナレトモ是等ハ共ニ見本ノ郵送ヲ必要トスル品類ニシテ、当業者ニ於テハ其禁止ヲ解カレン事ヲ切望致居候趣ニ付、遂ニ別紙第二条ノ趣旨ヲモ併セテ建議スベキニ相決シ候、依テ此段別紙相添及報告候也
  明治十八年五月
                    調査委員
                       森島松兵衛
                       喜谷市郎右衛門
                       荘田平五郎
                       益田克徳
                       犬塚駒吉
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿
  別紙
第一条 営業品ノ見本・試験物及雛形ニ関スル重量ノ制限ハ一個ニ付三百六十匁ニ御改正相成度候事
第二条 爆発物・腐蝕性物・長三寸以上ノ鋒刃ニシテ人ヲ傷害スルニ足ルベキモノ及通貨ヲ除クノ外、如何ナル品類ヲ問ハズ函詰其他適当ノ方法ヲ以テ御取扱上不便ナキ様之ヲ包装シ、且ツ其他ノ郵便物ヲ損害セザル様充分手当致候時ハ其郵送ヲ御許可相成度候事
 - 第18巻 p.311 -ページ画像 
  ○営業品ノ見本等ニ関シ郵便取扱方ニ御改正ヲ要スル義ニ付建議
  (是ハ全ク原案ニ可決シ、六月九日附ヲ以テ之ヲ駅逓総官ニ進達シタルガ其全文ハ本号ノ参考部ニ附スルヲ以テ玆ニ之ヲ略ス)
本案ハ各員異議ナク全ク原案ニ可決ス


東京商工会議事要件録 第一二号・第五一―五八頁 明治一八年六月二九日刊(DK180031k-0004)
第18巻 p.311-313 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一二号・第五一―五八頁 明治一八年六月二九日刊
 ○参考部
    ○営業品ノ見本等ニ関シ郵便取扱方ニ御改正ヲ要スル義ニ付建議
近来其御筋ニ於テ迫々郵便ノ事業ヲ御拡張相成候ヨリ公私一般ノ便益実ニ不少、然ルニ営業品ノ見本等ニ関スル制限厳重ナルガ為メ未タ商工業者ニ於テ充分其利用ヲ感ズル事能ハズ、是本会ノ深ク遺憾トスル所ニ御座候、依テ今本会ニ於テ審議ヲ遂ゲ其取扱方ニ御改正ヲ要スル件々左ニ開陳仕候
一営業品ノ見本・試験物及雛形ニ関スル重量ノ制限ハ一個ニ付三百六十匁ニ御改正相成度候事
  明治十五年十二月十六日太政官第五十九号ノ御布告ニ係ル郵便条例ヲ按ズルニ、其第十四条ヲ以テ営業品ノ見本及雛形ニ関スル重量ノ制限ヲ一個四十八匁ト御制定相成候処、従来我国ニ於テハ小包郵便ノ制無之、且ツ荷物馬車便等甚ダ不便ニシテ当業者ガ見本ヲ急送セントスルニハ只郵便ニ依頼候ヨリ外ニ手段無之、殊ニ我国ニ於テハ工芸甚ダ幼穉ニシテ今日市場ニ集散スル商品ハ概ネ天造物ニシテ精製品甚ダ少ク、随テ其見本ハ自ラ多量ヲ要スルノ事情有之、現ニ染料・渋木・檞皮ノ類・金巾・洋糸・木綿呉服・乾葡萄・櫛柿・乾鮑・乾貝・鰹節・海草苆種・麻苧・薬種・干鰯〆粕・陶磁器・塩・油類・羅紗・毛布・西洋小間物・破璃器、其他理化学機械・医療機械・測量機械等ノ見本ハ其中二三ヲ除クノ外概ネ箱詰等ノ手当ヲ要スルモノニ付、其重量ハ三百目以上ヲ要シ中ニハ五百目以上ヲ要スルモノモ不少、依テ当業者ニ於テハ現行ノ制限ニ就キ実際大ニ不便相感シ居候間、少クモ此制限ヲ三百六十匁ニ御改正相成度希望仕候、今熟々海外諸国ノ制限ヲ案スルニ独国ニ於テハ六十七匁余迄ヲ許シ、仏国ニ於テハ九十四匁余迄ヲ許シ、彼ノ米国ノ如キニ至リテハ実ニ四百八十六匁余迄ヲ許シ候趣承リ及候、抑モ此等ノ諸国ハ元来運搬ノ便利我国ノ比ニアラズシテ仮令郵便ニヨラザルモ猶充分之ヲ急送スルノ道有之、殊ニ工芸ノ進歩モ我国ノ比ニアラズシテ其商品ノ見本ハ自ラ多量ヲ要セザルノ事情モ有之、然ルニ其特例ヲ与フル事猶如此ナルヲ見レバ今我国ニ於テ其制限ヲ三百六十目ニ御改正相成候トモ之ヲ海外諸国ニ比シテ決シテ不釣合ノ義無之ト確信仕候、蓋シ一旦本条ノ如ク御改正ニ相成候ニ於テハ或ハ通常ノ売品ヲ見本品ト詐称シテ郵送セント試ミ候者無之トモ難申ニ付、此等ニ関シテハ別ニ厳重ナル取締法御施設ノ上充分ニ其弊害ヲ御防遏相成候様仕度奉存候
一爆発物 腐蝕性物 長サ三寸以上ノ鋒刃ニシテ人ヲ傷害スルニ足ル
 - 第18巻 p.312 -ページ画像 
ヘキモノ及通貨ヲ除クノ外、如何ナル品類ヲ問ハス函詰其他適当ノ方法ヲ以テ御取扱上不便ナキ様之ヲ包装シ、且ツ他ノ郵便物ヲ損害セザル様充分手当致候時ハ総テ其郵送ヲ御許可相成度候事
  明治十五年十二月十六日太政官第五十九号ノ御布告ニ係ル郵便条例ニ拠レバ陶磁器・玻璃器・針類・硝石・硫黄・蝋・砂糖・煉薬油類・水薬等ノ類ハ其手当ノ如何ヲ問ハズ総テ郵送ヲ御禁止相成候処、此等ノ中其相場常ニ変動シテ特ニ見本ノ急送ヲ要スルモノ最モ多ク、例ヘバ蝋ノ如キ九州甲商人ヨリ東京乙商人ニ見本ヲ送リ来リテ売買ヲ約定セントスルモ、之ヲ送達スルニハ通運若クハ船便ニヨラザルヲ得ザルガ故ニ数旬ヲ経ルノ後ニアラザレハ乙商人ヨリ決答ヲ為ス能ハズ、然ルニ本品ノ如キハ現ニ海外輸出品中重要ノ地位ヲ占メ随テ其相場ノ変動甚ダシキモノナルカ故ニ、斯ク見本ノ送達遅緩ノ為メ容易ニ直組ヲ決スルヲ得ズ遂ニ之ガ為メ取引ノ好機ヲ失ヒ候事不少、是当業者ガ此制限ニ就キ大ニ不便ヲ感ズル所以ニ御座候、依テ爆発物・腐蝕性物・長三寸以上ノ鋒刃及通貨ノ如キハ仮令郵送ヲ御禁止相成候トモ固ヨリ不得已義ニハ御座候得共、其他ノ品類ハ御取扱上不便ナク且ツ他ノ郵便物ヲ損害セザル様充分手当ヲ尽シ候時ハ、総テ其郵送ヲ御許可相成度希望仕候、例ヘバ凹凸物ノ如キハ紙函・木箱等ニ納メ、流動物ノ如キ容量一合入ノ壜トセバ其口ヲ密封シテ更ニ之ヲ五寸立方ノ木箱ニ入レ、其間ニ海綿若クハ布斤ノ類ヲ詰合ハスル等充分手当ヲ尽シ候時ハ、郵送中決シテ破損ノ憂アラザルハ勿論若シ万一破損スル事アリトスルモ之ニ詰合シタル海綿若クハ布斤ヲ以テ充分其液分ヲ吸収スヘキガ故ニ之ガ為メ他ノ郵便物ヲ損害スル事全ク無之ト奉存候、又硝石・硫黄ノ如キ先ヅ紙袋ニ入レテ更ニ木箱若クハ鉛・鉄葉箱ニ入ルヽ等充分手当ヲ尽シ候時ハ是レ亦発火物ニアラザル物質ナレハ決シテ不都合無之ト奉存候、尤此等ノ品類ヲ見本トシテ郵送スルニ当リ其御筋ニ於テ容易ニ物質ノ御撿定行届候様兼テ差出人ニ於テモ厚ク注意可致ハ勿論ニ御座候得共、品柄ニヨリテハ其固有ノ物質ヲ保全セン為メ或ハ其漏散ヲ防キ容器ヲ密封スルヲ必要トスルモノモ有之候ニ付、此等ノ品類ノ中若シ外部ヨリ其物質ヲ透視シ得ベカラザルモノ有之候時ハ、其分ニ限リ差出人ヨリ禁止品ニアラザル旨ノ証書ヲ為差出、相当ノ手数料ヲ御収入相成候様仕度、而シテ若シ其品名ヲ詐称スル者有之候時ハ発見次第厳重ニ御処分可相成ハ勿論、若シ郵送中其容器破損等ノ事アリテ他ノ郵便物ヲ損害スベキ実跡判然仕候節ハ、其旨直チニ差出人ニ通知シ相当ノ手数料ヲ御収入ノ上、其品類ハ可然御処分相成度奉存候
以上開陳ノ要旨幸ニ御採択被成下候ハヾ当業者ニ於テ一層其便利ヲ増シ、目下商工業ノ不振ヲ挽回スルニ於テモ其効験蓋シ亦不少奉存候、依テ此段建議仕候也
  明治十八年六月九日
                 東京商工会々頭
                      渋沢栄一
 - 第18巻 p.313 -ページ画像 
    駅逓総官 品川弥二郎殿


東京商工会議事要件録 第一五号・第四一―四八頁 明治一八年九月五日刊(DK180031k-0005)
第18巻 p.313 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一五号・第四一―四八頁 明治一八年九月五日刊
  第十四臨時会
          (明治十八年八月十四日午後六時四十五分開会)
  第七定式会
    会員出席スル者 ○三十三名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ定式会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ本年一月ヨリ六月迄半季間事務ノ成跡ヲ報告ス、即チ左ノ如シ
  自明治十八年一月至同年六月 半季間事務ノ報告
○中略
    政府ヘ建議   三件
○営業品ノ見本等ニ関シ郵便取扱方ニ改正ヲ要スル義ニ付駅逓総官ヘ建議
  本件ハ百九番森島松兵衛ノ発議ニ起リ、其要旨ハ現行ノ郵便条例ニヨレバ営業品ノ見本等ニ関スル制限厳重ニシテ商工業者ノ遺憾不少、依テ其制限四十八匁トアルヲ五百目ト改メ、而シテ何品ト雖トモ他ノ郵便物ニ傷害ヲ及ボサヾルモノハ総テ郵送ヲ許サレタシト云フニ在リ、即チ明治十八年四月十一日第九臨時会ニ於テ之ヲ審議シタルニ遂ニ委員ヲシテ之ヲ調査セシムベシト云フニ決シ会長ハ左ノ五名ヲ委員ニ指名シタリ
             十一番   犬塚駒吉
             十六番   益田克徳
             八十四番  荘田平五郎
             百八番   喜谷市郎右衛門
             百九番   森嶋松兵衛
  此等ノ委員ハ四月廿二日集会ヲ開キ、種々討議ノ末遂ニ営業品ノ見本・試験物及雛形ニ関スル重量ノ制限ハ一個ニ付三百六十匁マデト改メ、而シテ爆発物・腐蝕性物・長三寸以上ノ鋒刃ニシテ人ヲ傷害スルニ足ルベキモノ及通貨ヲ除クノ外総テ郵送ヲ許可セラレタキ旨ヲ以テ草案ヲ作リ、六月四日第十一臨時会ノ決議ヲ経、六月九日附ヲ以テ之ヲ駅逓総官閣下ニ進達シタリ
○下略


東京商工会議事要件録 第二三号・第三〇―四四頁 明治二〇年三月二二日刊(DK180031k-0006)
第18巻 p.313-314 ページ画像

東京商工会議事要件録  第二三号・第三〇―四四頁 明治二〇年三月二二日刊
  第十二定式会  (明治二十年二月廿六日午後四時三十分開会)
    会員出席スル者 ○五十六名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是迄本会ヨリ諸官衙ヘ建議又ハ復申シタル事項ニ就キ特別ニ其成跡ヲ報告ス
    ○東京商工会建議又ハ復申事項ノ成跡
○中略
○営業品ノ見本等ニ関シ郵便取扱方ニ改正ヲ要スル義ニ付駅逓総官ヘ
 - 第18巻 p.314 -ページ画像 
建議
  明治十八年六月九日営業品ノ見本等ニ関スル郵便取扱方ニ付、左ノ趣旨ヲ以テ品川駅逓総官閣下ヘ建議シタリ
   第一 営業品ノ見本・試験物及雛形ニ関スル重量ノ制限ハ一個ニ付三百六十匁ニ改正セラレタシ(在来ノ条例ニヨレハ一個ニ付定量四十八匁ナリ)
   第二 爆発物・腐蝕性物・長三寸以上ノ鋒刃ニシテ人ヲ傷害スルニ足ルベキモノ及通貨ヲ除クノ外如何ナル品類ヲ問ハズ函詰其他適当ノ方法ヲ以テ取扱上不便ナキ様之ヲ包装シ、且ツ他ノ郵便物ヲ損害セザル様充分ノ手当ヲ為ス時ハ総テ其郵送ヲ許可セラレタシ
  然ルニ其後其筋ニ於テハ右建議書第二項ノ趣旨ヲ採可セラレ、明治十九年二月十日第四号ヲ以テ左ノ布告ヲ発セラレタリ
   ○第四号
   明治十五年十二月第五十九号布告郵便条例第十六条及第二百十四条ヲ左ノ通リ改正ス
   第十六条
    第一項ヲ改メ左ノ二項トナス
     一毒薬・劇薬・爆発・燃焼シ易キ物品
     一流動物・流動腐敗シ易キ物・孵化スベキ物・動物・植物鋒刃器・硝子器・陶器等他ノ郵便ヲ傷害スベキ物品、但シ充分ノ予防ヲ為シ郵便局若クハ郵便受取所ノ承認ヲ受ケタル後郵便ニ差出スモノハ此限ニ非ス
   第二百十四条
    第三項ヲ改メ左ノ二項トナス
     一流動物・流動腐敗シ易キ物・動物・植物・鋒刃器・硝子器・陶器等他ノ郵便物ヲ傷害スベキ物品
     一第十六条第一項・第三項及第四項ニ記載シタル物品
  明治十九年二月十日
            内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
    奉勅
            逓信大臣      榎本武揚
  右ニ付参照ノ為メ旧法ヲ左ニ掲グ
   第十六条 左ニ記載シタルモノハ郵便物ト為スベカラズ
(第一項)一毒薬・劇薬・流動物・流動爆発燃焼腐敗シ易キ物・孵化スベキ物・動物・植物、及鋒刃器・硝子器・陶器等ノ損傷シ易ク又他ノ郵便物ヲ損害スベキ物品
     一風俗ヲ害スベキ文書・画図・写真及物品
     一金銀宝玉
     一貨幣但シ第十条ノ規則ニ従フモノハ此限ニ非ズ
   第二百十四条 左ニ記載スルモノハ外国ニ差立ル郵便物ト為スベカラズ
     一貨幣又ハ高価ノ物品
     一関税ヲ払フベキ物品
(第三項)一第十六条第一項・第二項及第三項ニ記載シタルモノ
○下略
 - 第18巻 p.315 -ページ画像 



〔参考〕法令全書 明治十三年 内閣官報局編 明治二三年一〇月刊 ○第五十五号(十二月二十一日輪廓附)○太政官布告(DK180031k-0007)
第18巻 p.315-316 ページ画像

法令全書 明治十三年 内閣官報局編  明治二三年一〇月刊
○第五十五号(十二月二十一日輪廓附) ○太政官布告
明治十四年郵便規則及罰則別冊ノ通ニ候条此旨布告候事

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    表紙 明治十四年 日本帝国郵便規則及罰則             駅逓局 



○中略
  第四条
   ○無税郵便
○中略
第三十七節
 一見本或ハ試験品等水漿其他爆発猛烈性ニシテ郵便行嚢ヲ損シ、且共ニ入レアル他ノ書状等ヲ傷害スヘキ品ハ決シテ差出スヘカラス若シ右様ノモノヲ差出スニ於テハ総テ第百三十六節ニ照ラシテ処分スヘキ事
   但其品物ニ依リ壜或ハ箱或ハ木綿等ノ袋ニ入レ差出スモノハ第六十九節ノ通心得ヘキ事
○中略
  第六条
   ○書籍類並見本品等
○中略
第六十九節
 一種物・薬種類等ノ是非トモ入包入用ノ分モ壜或ハ箱或ハ布木綿等ノ袋ニ入レ紐ニテ結ヒ調ヘ易キ様ニ致シ差出スヘシ、若シ其通リ致サス封シ之レアルトキハ其包ヲ書状ト看做シ、先払或ハ不足税ノ例ニ取扱フヘキ事
   但壜ハ上箱等ニ入レ破レサル様最モ厳重ニ手当シタルモノニ限ル事
○中略
  第十三条
   ○雑則
○中略
第百三十六節
 一能ク箱詰等ノ手当之レナキ壜並ニビイドコ類、鋏・小刀・剃刀・針・釘其外総テノ切レ物、並ニ箱詰ノ有無ニ拘ハラス虫鳥獣魚ノ生肉・生菓物・野菜・酒醤・水菜・早附木・焔硝類、其他製薬類等烈シク火ヲ発スヘキモノ、右等ノ品ノ如キハ郵便行嚢ヲ損シ且共ニ入レアル他ノ郵便物ヲイタメ甚シキハ人ヲ害スル品物ナレハ決シテ差出スヘカラス若シ右様ノモノ之レアル封物ト見受クルトキハ其地ヘ留置キ、焔硝等ノ発火シ易キ品ハ其筋ヘ達シ腐敗物ハ投棄シ其他ノ品ハ差出人ヘ自身罷出受取ルヘキ旨相達シ、且手数料トシテ拾銭払ハツムヘキ事
 - 第18巻 p.316 -ページ画像 
   但相達セシ後半箇年相過ルトキハ其品没収スヘク差出人相分ラサル節モ同断ノ事
○下略



〔参考〕法令全書 明治十五年 内閣官報局編 明治二三年一二月刊 ○第五十九号(十二月十六日輪廓附農商務卿連署)○太政官布告(DK180031k-0008)
第18巻 p.316 ページ画像

法令全書 明治十五年 内閣官報局編  明治二三年一二月刊
○第五十九号(十二月十六日輪廓附農商務卿連署) ○太政官布告
郵便条例別冊ノ通制定シ明治十六年一月一日ヨリ施行ス
右奉 勅旨布告候事
(別冊)
○中略
  郵便条例
    第一章 郵便物
○中略
第十四条 営業品ノ見本及雛形ハ一個ノ重量四十八匁ニ超過スヘカラス
第十五条 郵便物ノ大サハ曲尺ニテ長一尺二寸幅八寸厚五寸ニ超過スヘカラス
第十六条 左ニ記載シタルモノハ郵便物トナスヘカラス
 一毒薬・劇薬・流動爆発燃焼腐敗シ易キ物・孵化スヘキ物・動物・植物・及鋒刃器・硝子器・陶器等ノ損傷シ易ク又他ノ郵便物ヲ損害スヘキ物品
 一風俗ヲ害スヘキ文書・画図・写真及物品
 一金銀・宝玉
 一貨幣但第十章ノ規則ニ従フモノハ此限ニアラス
    第二章 郵便税
第十七条 郵便税ハ郵便物ノ種類ニ従ヒ其額ヲ定ム
 第一種郵便物 重量二匁毎ニ二匁未満亦同シ          二銭
 第二種郵便物 一葉                     一銭
 第三種郵便物 一号一個重量十六匁毎ニ十六匁未満亦同シ    一銭
        二号又ハ二個以上一束重量十六匁毎ニ十六匁未満亦同シ
                              弐銭
 第四種郵便物 重量八匁毎ニ八匁未満亦同シ
○下略



〔参考〕法令全書 明治十九年 内閣官報局編 刊 ○第四号 ○太政官布告(DK180031k-0009)
第18巻 p.316-317 ページ画像

法令全書 明治十九年 内閣官報局編 刊
○第四号 ○太政官布告
明治十五年十二月第五拾九号布告郵便条例第十六条及第二百十四条中左ノ通改正ス
 第十六条
  第一項ヲ改メ左ノ二項トナス
   一毒薬・劇薬・爆発燃焼シ易キ物品
   一流動物・流動腐敗シ易キ物・孵化スヘキ物・動物・植物・鋒
 - 第18巻 p.317 -ページ画像 
刃器・硝子器・陶器等他ノ郵便物ヲ傷害スヘキ物品、但十分ノ予防ヲ為シ郵便局若クハ郵便受取所ノ承認ヲ受ケタル後郵便ニ差出スモノハ此限ニアラス
○下略



〔参考〕法令全書 明治二十二年 内閣官報局編 刊 法律 第二十一号(官報八月八日)(DK180031k-0010)
第18巻 p.317 ページ画像

法令全書 明治二十二年 内閣官報局編 刊
法律 第二十一号(官報八月八日)
○中略
第十四条 営業品ノ見本及雛形ハ一箇ノ重量百匁ニ超過スヘカラス
第十七条中
        一号一箇重量十六匁毎ニ十六匁未満亦同シ     五厘
 第三種郵便物
        二号又ハ二箇以上一束重量十六匁毎ニ十六匁未満亦同シ
                                一銭
 第四種郵便物 重量三十匁毎ニ三十匁未満亦同シ         二銭