デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.89-93(DK190012k) ページ画像

明治21年8月20日(1888年)

是ヨリ先当会、会堂新築ニ就キ審議ヲ遂ゲシガ、是日ノ会議ニ於テ新築案可決セラル。栄一会頭トシテ之ニ与ル。


■資料

東京商工会議事要件録 第三〇号・第四〇―四一頁 明治二一年三月二〇日刊(DK190012k-0001)
第19巻 p.89 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三〇号・第四〇―四一頁 明治二一年三月二〇日刊
  第十五定式会  (明治二十一年二月廿九日開)
    会員出席スル者 ○六十一名
○上略 時ニ会長(渋沢栄一)ハ、唯今二十九番(山中隣之助)ヨリ議場改築云々トノ説ヲ発セシガ、本会ノ建物ハ甚ダ狭隘ニシテ現ニ本日ノ如キ来賓ヲ招請シテ宴会ヲ開ク場合ニ当リテハ建物ニ余地ナキヲ以テ不得已来賓ノ待合所ヲ精養軒ニ設ケ、会議終ルノ後更ニ議場ニ飾附ヲ為シテ玆ニ宴会ヲ設ケザルヲ得ザルガ如キ不便アリ、就テハ過刻報告シタルガ如ク本会ノ元資金ハ目下殆ド三千円ニ達シタレバ之ヲ以テ在来ノ建物ニ沿ヒ更ニ一宇ノ会場ヲ新築スルノ考案アリ、是現任幹事ニ於テハ概ネ同意スル所ナルカ、若シ各員ニ於テ其大体ニ同意セラルヽニ於テハ追テ精細ノ調査ヲ為シ之ヲ一案トシテ提出シタキ旨ヲ演述シタルニ、各員ノ間別段異議ヲ唱フル者ナカリシガ時刻切迫シタレバ衆議ノ上此新築ノ事ハ今玆ニ議セズ、追テ役員若クハ会員ノ中ヨリ更ニ一議題トシテ提出スベキニ決ス
 - 第19巻 p.90 -ページ画像 


東京商工会議事要件録 第三二号・第二七―二九頁 (明治二一年六月)刊(DK190012k-0002)
第19巻 p.90 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三二号・第二七―二九頁 (明治二一年六月)刊
  第十六定式会
          (明治二十一年五月廿一日開)
  第廿九臨時会
    会員出席スル者 ○二十九名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第二号議案ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ之ヲ朗読セシム
(第二号議案)
    会堂建築ノ義ニ付議案
 一本会ノ構内便利ノ場所ヲ撰ビ煉瓦造二階立ニテ凡五六十坪ノ会堂一宇ヲ新築スル事
 一建築費ハ室内装飾費一切ヲ合シテ金七千円ヲ限度トスル事
 一建築費金七千円ノ中三千円ハ本会維持元利ヲ以テ之ヲ支弁シ、残四千円ハ他ヨリ借入レ之ヲ支弁スル事
 一右借入金四千円ハ年八分ノ利息ヲ附シ元資済シ崩シノ法ニヨリテ向五年間ニ全償スルモノトシ、毎年償却スベキ金高平均九百九十二円ノ中六百円ハ毎年通常経費ノ外別ニ建築費償却金トシテ取立テ之ヲ支弁シ、残三百九十二円ハ建物ノ貸渡料及通常経費決算ノ余剰額ヲ以テ之ヲ支弁スル事
 一工事ハ先ヅ請負人数名ヲシテ見積ラセ其中適当ノ者ヲ撰ンデ之ヲ請負ハシムル事、但シ図式及設計ノ調査及工事ノ監督ハ適任ノ建築学士ニ委托スル事
本案ノ大体ニ就テハ各員異議ナカリシガ建築費償却ノ方法ニ就キ各員ノ間ニ多少ノ議論アリ、四十九番(日下部三之介)ハ会堂建築ノ事ハ敢テ不同意ニアラズト雖トモ其費用ヲ償却スルニ通常経費ノ外毎年更ニ六百円ツヽヲ徴収スルハ不可ナリ且ツ此事タル敢テ今日ニ迫リタル程ノ急務ニモアラザルベケレバ追テ本会ノ元資金七千円ノ高ニ達スルヲ待テ着手スルモ可ナリト論ジ、七番(雨宮綾太郎)及四十四番(米林乾吉)ハ此説ニ賛成シ、二十六番(石関利兵衛)ハ建築費ハ凡五十円乃至百円位ノ株ト為シテ会員ヨリ募集シ毎年通常経費決算ノ余剰額ヲ以テ漸次之ヲ償却スベシト論ジ、二十三番(岩谷松平)ハ原案ヲ賛成セシガ、終ニ二十九番(山中隣之助)ノ発議ニヨリ本案ハ追テ理事本員ニ於テ更ニ適当ナル償却方案ヲ調査シ重テ再議ニ附スルニ決ス


東京商工会議事要件録 第三三号・第三一―三七頁 (明治二一年九月)刊(DK190012k-0003)
第19巻 p.90-92 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三三号・第三一―三七頁 (明治二一年九月)刊
  第十七定式会
          (明治二十一年八月二十日開)
  第三十臨時会
    会員ノ出席スル者 ○三十二名
○上略
次ニ会長(益田孝)ハ第二号議案即チ会堂新築ノ件ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ且ツ曰ク、抑モ本会ハ現ニ当会場ヲ所有シ平生会員相集リテ議事ヲ開クニハ格別ノ差支ナシト雖トモ、若シ主務官庁ノ高等官若クハ領事等ヲ招待シテ定式会又ハ懇親会ヲ開ク場合ニ当リテハ会場狭隘ニ付、
 - 第19巻 p.91 -ページ画像 
是迄ハ精養軒・中村楼等ヲ借リ受ケテ一時会場ニ充テタル事アリシガ此ノ如ク別席ニ来賓ヲ招請スル時ハ其不便不少、依テ別ニ当議場ノ傍ニ一宇ノ会堂ヲ新築スルノ見込ヲ立テ曩ニ五月二十一日ノ臨時会ニ於テ之ヲ議案トシテ提出シタルニ、其大体ニ於テハ敢テ異議ナカリシモ独リ工費ノ支弁法ニ関シテ多少ノ異論アリシニ付、其後更ニ之ヲ幹事ノ審議ニ附シタルガ、幹事ハ種々熟議ヲ尽シ遂ニ本案ニ掲グルガ如ク右工費七千円ノ内三千円ハ本会ノ維持元資金ヲ以テ之ニ充テ残四千円ハ会員中篤志ノ者ヨリ無利息十ケ年賦ニテ借入ルヽ事トシ、而シテ右借入金ハ会堂貸渡料ト本会通常経費ノ決算余剰額トヲ以テ毎年四百円ヅヽ、即チ十ケ年間ニ償却スルノ方案ヲ議定シタリ、抑モ本会ガ今日此ノ如キ方案ヲ以テ会堂ヲ新築セントスルモノハ敢テ外観ノ美ヲ飾ランガ為メニアラズシテ全ク新築ヲ要スル事情アルニ因ルモノナリ、其事情ハ他ニアラズ当商工会ノ如キハ是迄政府ノ諮問ニ答申シ又ハ其筋ニ建議スル事アリテ多少ノ効力ナキニ非ザリシガ其権力尚薄弱ノ憾ナキ能ハザリキ、然ルニ今回井上伯農商務大臣ニ任セラレテヨリ其筋ニ於テハ名誉参事員会ノ如キ制度ヲ設ケ、実業ニ関スル法律規則ヲ施設スルニ当リテハ可成商工会ノ意見ヲ諮詢セラルヽノ内議モアル趣ナレバ、商工会ガ其権力ヲ伸張スルノ日ハ蓋シ遠キニアラザルベシ、左レバ商工会ハ今後益々団結ヲ鞏固ニシテ政府ノ下問アル時ハ之ニ対シテ十分実業者ノ意見ヲ公表シ、漸次其権力ノ伸張ヲ謀ルベキハ勿論、凡ソ権力ヲ伸張スルガ為メ必要ナル事柄ハ今日ニ於テ其準備ヲ怠ルベカラズ、本会ガ今日会堂ヲ新築セントスルモ亦此等ノ事情アルニ因ルモノナリ、願ハクバ各員此意ヲ諒シテ審議アラン事ヲ望ムト述ベ、書記ヲシテ議案ヲ朗読セシム
第二号議案
    会堂建築ノ義ニ付議案
 一本会ノ構内便利ノ場所ヲ撰ビ煉瓦造二階立ニテ凡五六十坪ノ会堂一宇ヲ新築スル事
 一建築費ハ室内装飾費一切ヲ合シテ凡金七千円ヲ限度トスル事
 一建築費金七千円ノ内三千円ハ本会維持元資ヲ以テ之ヲ支弁シ、残四千円ハ会員中ノ篤志者ヨリ無利足ニテ借入レ之ヲ支弁スル事
 一右借入金ハ十ケ年賦ニテ返済スルモノトシ、毎年償却スベキ金高四百円ハ建物ノ貸渡料及通常経費決算ノ余剰額ヲ以テ之ヲ支弁スル事
 一工事ハ先ツ請負人数名ヲシテ其費用ヲ見積ラセ其中適当ノ者ヲ撰ンデ之ヲ請負ハシムル事、但シ図式及設計ノ調査及工事ノ監督ハ適任ノ建築学士ニ委托スル事
  以上
本案ハ二三ノ問答アリタル後直チニ逐条議ニ移リタルガ、全体ニ就テハ格別ノ異議ナカリシト雖トモ其細項ニ至リ二三ノ修正説ヲ提出シタル者アリ、即チ七番(雨宮綾太郎)ハ建築費金七千円ノ中四千円ハ会員中ノ篤志者ヨリ無利息ニテ借入レ支弁スルトノ事ナレトモ、此ノ如クスル時ハ一方ニ篤志者アルト同時ニ一方ニ不篤志者トモ称スベキ会員ヲ生ズベキ筈ニ付此等ノ会員ハ心中常ニ不愉快ヲ感ズル事ナラン、
 - 第19巻 p.92 -ページ画像 
就テハ右四千円ハ相当ノ利息(例ヘバ年六分)ヲ附シテ借入ルヽ事トシ其利子ハ会員ニ負担セシムシ《(ル)》事トシ又其借入金ハ会堂貸渡料ト通常経費ノ決算余剰額トヲ以テ漸次償却スル事原案ノ如クセバ可ナラント述ベ四十九番(日下部三之介)ハ原案ニ拠レバ借入金ハ会堂貸渡料ト通常経費決算ノ余剰額トヲ以テ年々四百円ヅヽヲ償却スルノ方案ナレトモ元来通常経費ニハ毎年余剰額ヲ生ズベキモノニアラズ、是迄本会ニ於テ毎年百五十円又ハ二百円以上ノ余剰額ヲ生ジタルハ畢竟予算案ヲ議スルニ当リ未ダ尽サヾル処アリシニ因ル者ナラン、今後若シ丁寧ニ之ヲ審議スルニ於テハ決シテ多額ノ余剰額ヲ生ゼザルベキニ付之ヲ以テ負債償却金ノ一部ニ充テントスルハ適当ノ方案ナリト云フベカラズ、又会堂貸渡料ノ如キモ将来ハ相応ノ収入アルベキナレトモ今日此会場ノ貸渡料収入ハ一ケ月平均十五円一ケ年凡百八十円位ナリトノ事ナレバ、会堂新築後直チニ之ヨリ一ケ年四百円前後ノ貸渡料ヲ収入セン事ハ随分困難ナラント思ハル、依テ右借入金四千円ノ中二千円ハ会員中ヨリ無利息十ケ年賦ニテ借入レ残二千円ハ広ク一般商工者ヨリ寄附ヲ募ル事トスベシ、然ル時ハ本会ガ毎年償却スベキ金額ハ僅々二百円ニ過ギズシテ此償却金ハ会堂貸渡料ノ収入金ニテ支弁スルヲ得ベシト述ベ、十四番(小川為次郎)ハ原案ニ記スルガ如ク毎年償却スベキ金高四百円ハ会堂ノ貸渡料ト通常経費決算ノ余剰額トヲ以テ支弁スル事ハ四十九番(日下部三之介)ノ述ベタル如ク実際困難ノ事情ナキ能ハズ、故ニ右償却金ハ通常経費予算中ニ負債償却金ナル一項ヲ設ケ此項下ニ其金高ヲ記入スル事トシ又貸渡料ハ毎年度ノ初ニ於テ其収入額ヲ予算シ之ヲ予算表中ノ収入部ニ記入シ収支ノ差額ヲ通常経費トシテ会員ニ割当ツベシ、是実ニ確実ニシテ且簡便ナル方案ナラズヤト述ベタルガ、前記七番(雨宮綾太郎)及四十九番(日下部三之介)ノ修正説ハ賛成者ナクシテ消滅シ、十四番(小川為次郎)ノ修正説ハ多数ノ賛成者アリテ遂ニ此説ニ決シタリ
○下略
   ○是日栄一差支アリテ欠席ス。


東京商工会議事要件録 第三七号・第一四―一六頁 (明治二二年三月)刊(DK190012k-0004)
第19巻 p.92-93 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三七号・第一四―一六頁 (明治二二年三月)刊
   第十九定式会  (明治廿二年二月廿三日開)
    会員出席スル者 ○三十二名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ本議ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ先ヅ規程第五章第二十二条ニヨリ明治二十一年下半季定式事務ノ成跡ヲ報告ス
  自明治二十一年七月至同年十二月 半季間事務報告
○中略
    雑事    十件
○会堂建設ノ議
  本件ハ理事本員ノ考案ニ起リ其要旨ハ、現在ノ建物ハ狭隘ニシテ種々ノ不便アルニ付構内便利ノ場所ヲ撰ビ会堂一宇ヲ新築スベシト云フニ在リ、即チ明治二十一年五月二十一日第廿九臨時会ノ議事ニ附シタルニ、其大体ニ於テハ一同之ヲ賛成シタレトモ其建築
 - 第19巻 p.93 -ページ画像 
費償却ノ方案ニ就キ多少ノ異議アリタルニ付其後理事本員ニ於テ更ニ其方案ヲ調査シ、明治二十一年八月廿日第三十臨時会ニ於テ之ヲ再議シタルニ衆議ノ末遂ニ多少ノ修正ヲ以テ之ヲ可決シタリ然ルニ此際偶々文部省ニ於テ本会構内ノ土地ヲ公売ニ附セラルヽノ議アリテ旁々其建築ノ着手ヲ見合ハセタルガ、近日同省ヨリ此土地ヲ更ニ農商務省ヘ譲リ渡サルヽノ相談アリテ粗々両省ノ協議モ整フタル趣ナレバ、追テ此土地ノ農商務省ノ所属ニ帰スルヲ待チ更ニ同省ヘ稟議シテ新築ノ準備ニ着手スルノ見込ナリ
○下略
   ○会堂ハ商工会時代ニハ新築サレズ。明治二十三年五月二十四日ノ条(第二八〇頁)参照。