デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.112-115(DK190015k) ページ画像

明治21年9月13日(1888年)

是日栄一当会会頭トシテ、東京煙草問屋組合ノ建案セル旧装置刻煙草改装期限ノ延期ヲ要スル儀ニ就キ大蔵大臣伯爵松方正義・農商務大臣伯爵井上馨ニ建議ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第三四号・第四八―五二頁 (明治二一年一〇月)刊(DK190015k-0001)
第19巻 p.112-114 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三四号・第四八―五二頁 (明治二一年一〇月)刊
  第三十一臨時会  (明治廿一年九月八日開)
 - 第19巻 p.113 -ページ画像 
    会員出席スル者 ○四十一名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第三号議案ヲ議スヘキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ之ヲ朗読セシム
(第三号議案)
    建議書
 一東京烟草問屋組合営業上ニ付一同事実差閊之廉有之不得止謹テ左ノ条々建議仕候間、貴会各位ニ於テ御採用被成下御詮議之程奉請願候
 一烟草税則勅令第二十号附則第三十九条ニ対シ差支之廉ヲ次項ニ理由上申仕候也
    理由書
 一最初御発令之当時ニアリテモ九月卅日迄ニ旧装置刻莨到底売捌ケ兼候事ニ見込候処、果シテ目下ニ至リ府下烟草問屋組合之者所有ニ係ル旧装置之刻莨荷高略ボ承知仕候処、印税数万円余ニ有之然レバ全国通計数十万円ニ登リ可申歟、如此数額之物品九月卅日迄ニ売捌キ相付キ不申、尤モ本月十七日付ヲ以テ大蔵省訓令第四拾号御達ニヨレバ新印紙御交附相成候趣ニ候得共、前陳数額刻莨之内ニハ五匁造・十匁・弐拾匁・三十匁・四十匁・五十匁・八十匁百匁造リノ八種アリ、今玆ニ新印紙御交附相成貼用換ヲ致候時ハ営業者一同容易ナラザル手数相掛ルノミナラズ、小玉造之分印紙貼用換ニ付テハ莫大之傷ヲ生シ営業者一同之損害少カラズ
 一当府下何品ニ限ラズ地方ヨリ入来リ府下之消費ニ供シ候ヨリモ更ニ地方輸出品多ク、則刻莨之如キモ同様各地ヘ売捌キ来候処近来地方購求者多ク入来候ヘ共、新装置品僅々ノ事ニシテ当分地方ニ輸出致候程ノ荷高無之、然ルニ遠隔ノ者ハ目今旧装置之品購求シ地方ニ送ルモ九月卅日ノ期限後ハ、前述之通リ貼用換手数相掛リ候ノミナラズ小玉造印紙貼用換ニ至リテハ品ニ傷ノ生スルノ恐レ之レアリ、旁以テ旧装置ノ分ハ購求致サス依テ地方ニハ品不足ヲ告ケ府下問屋組合営業者ニ於テハ旧装置品多分所持致居リ、更ニ売捌キノ道無之、問屋組合一同今日之商業上容易ナラサル困難仕時日ハ追々切迫仕候ニ付不得已前条理由上申仕候間、旧装置刻莨売捌キ来ル明治二十二年三月迄御延期願度候間、何卒貴会ニ於テ御審判ノ上其筋ヘ事実困難之次第御建議被成下度、此段頭取連署ヲ以テ建議仕候也
           問屋組合頭取
              日本橋区堀留町二丁目六番地
   明治廿一年八月廿四日         若松源八
           右副頭取
              日本橋区本両替町四番地
                      田中佐次兵衛
              京橋区本八丁堀二丁目壱番地
                   久次米商会支配人
                      中村五平
 - 第19巻 p.114 -ページ画像 
  東京商工会会頭
    渋沢栄一殿
会長(渋沢栄一)ハ各員ニ向ヒ、本案ハ東京烟草問屋組合ヨリ提出スル所ニシテ本会ニ於テ会外ノ建議ヲ議題トシタル事ハ是迄未ダ其慣例アラサリシト雖トモ、規程第十一条ニ拠ル時ハ固ヨリ差支ナキニ付之ヲ議題トシタルモノナリト述ヘ、各員ノ意見ヲ問フタルニ衆議ノ末本案ニ要望スル所ハ至極道理アルモノニ付之ヲ採用シ本会ノ意見トシテ其筋ヘ建議スヘク、而シテ文案ハ理事本員ニ於テ調成スヘシト云フニ決シタルガ、猶五十八番(益田孝)ノ発議ニヨリ元来煙草税則改正ノ件ノ如キハ大蔵大臣ノ主管ナリト雖、斯ノ如ク営業上困難ナル実況ハ可成農商務大臣ニモ開陳シ置キタキニ付、此建議ハ大蔵及農商務両大臣閣下ヘ進達スヘシト云フニ決シタリ(建議書ハ其後理事本員ニ於テ調成シ九月十三日附ヲ以テ之ヲ大蔵及農商務両大臣閣下ヘ進達シタルニ付其全文ハ参考部第三号ニ掲グ)


東京商工会議要件録[東京商工会議事要件録] 第三四号・第七九―八一頁 (明治二一年九月)刊(DK190015k-0002)
第19巻 p.114-115 ページ画像

東京商工会議要件録[東京商工会議事要件録]  第三四号・第七九―八一頁 (明治二一年九月)刊
○参考部
(第三号)
    ○旧装置刻煙草改装期限ノ延期ヲ要スル義ニ付建議
謹テ本年四月六日勅令第二十号ヲ以テ御公布相成候煙草税則ヲ案スルニ、其附則第三十九条ニ「此税則発布以前ニ装置シタル刻煙草ハ此税則施行ノ日ヨリ三月以内之ヲ売捌クヲ得、前項ノ期限ヲ過ギ売捌ニ至ラザル刻煙草ハ其所持人ニ於テ煙草製造人ニ委托シ、又ハ自ラ此税則ニ従ヒ包裹ヲ施シ更ニ印紙ヲ貼用スベシ」トアリ、而シテ此税則ハ本年四月六日ヲ以テ発附セラレ同七月一日ヨリ施行セラレタルヲ以テ即チ従来装置ニ係ル刻煙草ハ同九月三十日迄ニ是非之ヲ売捌カザルヲ得スシテ、若シ此期限迄ニ売捌ヲ了セザルニ於テハ更ニ之ヲ改装シテ新税則ニ従ヒ印紙ヲ貼用セザルベカラズ、然ルニ当府下市場ニ停滞セル旧装置品ハ其高頗ル多クシテ当業者ハ新税則御発布以後頻ニ之ガ売捌ニ尽力シタリト雖トモ、現今今猶売捌ヲ了セスシテ其店内ニ存在スルモノ数万円アリト云ヘバ更ニ之ヲ全国ニ通シテ推算スル時ハ其高或ハ数十万円ノ上ニ出ツベシ、殊ニ此等ノ旧装置品ハ其種類大小区々ニシテ五匁・十匁・二十匁・三十匁・四十匁・五十匁・八十匁・百匁造アリ、又中ニハ装置後年月ヲ経過シテ自ラ其量目減少シ寸尺短縮シタルモノ亦不少、左レバ今此等多数ノ旧装置ヲ逸々改装スルハ実ニ容易ナラザル手数ニシテ随テ之ガ為メ要スル費用少々ニアラス、而シテ此費用タル敢テ国産ノ収入ヲ補フニモアラス、又費消者ノ便利ヲ達スルニモアラスシテ結局空シク当業者ノ損失ニ帰セザルベカラス、是当業者ノ大ニ困難ヲ感スル所ナリ、蓋シ租税ヲ負担シテ国費ヲ支持スルハ国民ノ本分トスル所ナレバ今新税則御施行ノ際当業者ガ旧装置品ヲ売捌クニ当リ新装置品同格ナル税額ヲ負担スルハ固ヨリ当然ノ義務ナリト雖トモ、独リ当業者ヲシテ必ス之ヲ改装セシメ之ガ為メ斯ヽル無用ノ損失ヲ受ケシムルニ至リテハ本会ノ私ニ遺憾トスル所ナリ、故ニ此旧装置品ハ其売捌期限ヲ此後更ニ六ケ月間延期セラレ此期限内ニ在リテハ曩ニ明治十五年十二月二十七日太政官第六十三号ノ御布告ヲ以テ改
 - 第19巻 p.115 -ページ画像 
定セラレタル煙草税則ヲ施行セラルヽニ当リ、翌十六年六月四日太政官第十八号ノ布達ヲ以テ定メラレタル旧装置品処分法ノ例ニ依リ之ヲ新税則ニ照シ不足ノ印紙ヲ増貼スルニ於テハ別段改装セザルモ当業者ヲシテ其儘之ヲ売捌ク事ヲ得セシメラレ候様仕度此段建議仕候也
  明治二十一年九月十三日   東京商工会々頭 渋沢栄一
    大蔵大臣伯爵 松方正義殿
    農商務大臣伯爵 井上馨殿