デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.136-138(DK190018k) ページ画像

明治22年1月23日(1889年)

是日栄一当会会頭トシテ、ウラジオストツクニ於ケル経済事項ノ調査ヲ農商務省商務局長斎藤修一郎ニ依頼ス。六月十七日同局長ヨリ回報ニ接ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第四〇号・第六三―六八頁 (明治二二年九月)刊(DK190018k-0001)
第19巻 p.136-138 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四〇号・第六三―六八頁 (明治二二年九月)刊
 ○参考部
○明治二十二年一月中斎藤商務局長ヨリ浦潮斯徳ニ於ケル摺附木ノ景況ヲ報告セラレルニ付、其後之ヲ当業者ニ開示シ、猶其望ニヨリ同月廿三日附ヲ以テ別紙甲号ノ通リ同地ニ於ケル安全摺附木ノ市価其他ノ事項取調ノ義ヲ同局長ニ依頼シタルニ、六月十七日附ヲ以テ同局長ヨリ同乙号ノ通リ調査書ヲ回附セラレタリ
(甲号)
過日御示シ被下候浦潮斯徳摺附木ノ景況ニ関スル報告書ノ義早速当業者ヘ開示仕候処、其後同業者ノ集会ヲ開キ協議致候趣ニテ猶別記ノ事項ニ付詳細調査ヲ遂ゲタル上ニテ見込相立度旨申出候、就テハ明廿四日午前十時当業者ノ、中京橋区新栄町五丁目七番地栄盛社中村篤造及浅草区神吉町榎本組榎本重美ノ両人ヲ御局ヘ出頭為致可申候間、委細本人共ヨリ御聞取ノ上諸事宜シク御指揮被成下候様仕度、此段予メ御照会申上候也
                  東京商工会々頭
  明治廿二年一月廿三日
                      渋沢栄一
    農商務省商務局長 斎藤脩一郎殿
      別記
一浦塩斯徳ニ於テ現在安全木燧ノ市価ハ何程ナルヤ
一同港ニ輸入スル外国木燧ニ重税ヲ課スルト雖モ他ノ貨物ニハ左迄ノ事ナキヤ否、薬種類紙類抔ハ如何
一同港ノ人口ハ凡幾何ナルヤ
一同港住民ノ中賤民ト認ムル者ノ数ハ凡ソ其何分ヲ占居ルヤ
一同港賤民ノ中男女何レガ職業ニ向テ忙ワシキカ又ハ平均ナルヤ
一同港ノ賤男女ハ従来何程宛位ノ日給ニ相当スル職賃ヲ得居ルヤ
一同港ニ於テ普通下等並ニ中等ノ生活ヲ為スニ一ケ月幾多ノ費用ヲ要スルヤ
一同港ノ境辺ニテハ実際地価ハ日本一坪幾何ノ価ナルヤ又借屋セバ其地代一ケ月何程位ノモノナルヤ
 - 第19巻 p.137 -ページ画像 
一同港ニテ普通工場抔ニ用ユ可キ家屋ハ一坪何程位ノ建築費ヲ要スルヤ
一同港ニテ日本都下ニ行ワルヽ内職ト称スル類ノ事行ワレ居ルヤ
一日本ヨリ同港迄下等並ニ中等ノ船賃ハ何程ナルヤ又定期船アリヤ又平時直航スルニ何日ヲ費スヤ
一同港ニテ滞在スルニ中等ノ費用ニテ一日幾何ヲ要スルヤ
 以上
(乙号)
曩ニ開申有之候浦塩斯徳摺附木製造ニ関スル取調事項之儀ハ別記之通ニ候条当業者ヘ指示サレ候様致度、此段申進候也
  明治二十二年六月十七日  農商務省商務局長 斎藤修一郎
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿
追テ摺附木製造用材見本三種在浦塩斯徳港寺尾貿易事務官ヨリ差越候ニ付為参考交附及ビ候也
      (別記)
一浦潮港ニ於テ現在木燧ノ市価左ノ如シ
  本邦製安全木燧卸シ売相場一缶ニ付    露貨   十三留《ルーブル》
  同       小売同一包       同    十五哥《コベーキ》
  外国製ハ    卸シ売一缶       同十三乃至十五留
  同       小売一包        同十五乃至二十哥
  米国危険製   卸シ売一缶       同    十二留
  同       小売一包        同   二十五哥
一本港ニ於テ外国木燧重税ヲ課セリト雖モ薬種類及紙類ニハ課税ナシ
一本港ノ人口凡一万五千人
一本港住民ノ内露国人ニテハ賤民ト称シ職工ニ適スル様ノ人類甚タ稀ナリ、而シテ賤民トシテ総テ諸職工等日雇ニ供スル者ハ下等本邦人支那人及朝鮮人ニシテ其総数凡二千余モアルベシ、而シテ夫等人類ハ先ツ常ニ定職無キ者ニ属ス
一本港ニハ職工ニ従事セシムル様ノ婦人ナシ
一本港ニ於テ賤女トスル者ハ本邦ノ下等婦人ニシテ多クハ下婢ヲ本業トシ一ケ月凡我五円乃至十円ノ給料ヲ得ル
一現今日雇賃本邦人一日露貨一留、支那人六十哥、朝鮮人五十哥ナリ
一本港ニ於テ中等ノ生計ヲ為スニ一ケ月十五留乃至二十留ヲ要ス、又下等生計ヲ為スニ六留乃至十留ヲ要ス
一本港ニ於テ現今地価左ノ如シ
  一等地所    一坪ニ付    凡 八留
  二等同     同       凡 五留
  三等同     同       凡一留乃至留《(マヽ)》
一本港ニ於テ若シ借地セハ凡我一反歩ニシテ一ケ月五留乃至十五留但シ其場所ニ依テ差アルナリ
一下等工場ニ用ユベキ家屋建築費一坪ニ付五留乃至十留
一中等以上家屋建築費左ノ如シ
  石造二階家   一坪      百七十五留
 - 第19巻 p.138 -ページ画像 
  同平家     同       百二十留
  煉化石造二階家 同       百四十五留
  同平家     同       百十留
  木造二階家   同       百二十五留
  同平家     同       八十留
   但シ防寒ノ為メ非常堅固ニ建築スルヲ以テ本邦木造ノ家屋ト比較ス可ラス
一本港ト本邦ノ間ニハ曾テ我定期郵船ノ往復アリ、又其間時々外国船モ往復ス
一長崎ヨリ本港迄乗客運賃ハ中等二十四弗、下等九弗ナリ
一木材ノ在地ハ本港ヨリ我里数ニシテ凡二里半
一山林ヨリ本港迄木材運賃一本ニ付五十哥ナリ
  但シ丸或ハ角ニテ三間物若クハ四間物ヲ云フ
一本港ニ於テハ本邦都下ニ行ハルヽ内職ト称スル類ノ事殆ト行ハレス
一海湾結氷ハ毎年十二月下旬ヲ以テ凍凝シ、四月中旬ヲ以テ融解ス
一冬季最高度列氏氷点以下凡二十二度、又夏季最熱度列氏二十八度、冬季結氷間平均寒氷点以下凡十三度
一本港火燧輸入税目方一布《フード》ニ付露国金貨二留二十哥、而シテ本港輸入税ハ昨一千八百八十八年五月廿五日ヲ以テ賦課シ其前ハ全ク無税ナリシ
  但シ露量一布ハ我四貫三百六十目ナリ、又金貨二留二十哥ハ目下ノ相場ニテ露紙幣三留二十七哥ニ当リ之ヲ我円ニ直シ二円十八銭ニ当ル
一曾テ本港ヘ火燧ヲ輸入スル国々ハ則本邦露国独逸米国及支那ナリ但シ客年課税《(後脱カ)》ハ本邦ヨリ輸入殆ト中止セリ
一昨一千八百八十八年中、火燧輸入高ハ六万五千六百二十留ナリ
一見本通リノ品ニテ市中売三間物一本ニ付凡三留位
  但シ伐木免許ヲ得雇夫ヲシテ伐ラシムル時ハ切リ賃及運送費ノミニテ総入費一本ニ付凡一留以下ナリ
一本港目下洋銀相場一弗ニ付露紙幣一留五十哥ナリ
 右ノ通リ