デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.162-165(DK190025k) ページ画像

明治22年5月15日(1889年)

是日栄一、当会会頭トシテ明治元年ヨリ同四年ニ至ル金紙取引差額ニ関スル調査ヲ外務省通商局長浅田徳則ニ回報ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第三八号・第四八―五五頁 (明治二二年六月)刊(DK190025k-0001)
第19巻 p.162-164 ページ画像

東京商工会議事要件録  第三八号・第四八―五五頁 (明治二二年六月)刊
 ○参考部
○本年四月六日附ヲ以テ浅田通商局長ヨリ明治元年ヨリ同四年ニ至ル金紙取引差額ヲ承知シ度旨ヲ以テ別紙甲号ノ通リ照会アリタルニ付其後銀行集会所ヘ依頼シテ調査ヲ遂ゲ五月十五日附ヲ以別紙乙号ノ通リ回荅書ヲ送リタリ
(甲号)
明治元年ヨリ同四年中ニ於テ正金即チ両・弐歩金・壱歩銀ト金札又ハ紙幣トノ取引差額ハ公然タル定メハ無之候得共、民間実際取引上ニ在テハ著シク差額ヲ立候事ト存候、就テハ右四年間ノ差額表参考ノ為メ取調申度候ニ付、乍御手数貴会当業者中ニ於テ該調査出来候ハヽ大凡ノモノニテモ差支無之候間、御報知相成様致度此段及御依頼候也
  明治二十二年四月六日
                 外務省通商局長
                      浅田徳則
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿
(乙号)
去四月六日附ヲ以テ御問合相成候明治元年ヨリ同四年ニ至ル四ケ年間正金ト金札ト取引差額ノ義ハ、其後府下当業者ニ就キ遂調査候処、別紙取調書ノ通リニ御座候間左様御承知相成度此段別紙相添復申仕候也
                 東京商工会々頭
  二十二年五月十五日
                      渋沢栄一
    外務省通商局長 浅田徳則殿
    別紙
  明治元年ヨリ同四年ニ至ル迄正金ト金札トノ差額取調書
慶応四年九月明治ト改元三四月ノ交、太政官金札ヲ発行セラレ、弍分金・壱分銀・壱朱銀等ト同シク通用セシメラレタリシカ、人皆此金札ヲ嫌厭シ流通ノ際非常ノ割引ヲ為スニアラサレハ取引ヲ謝絶スルノ有様ナリシヲ以テ、明治元年十月頃太政官金札当分ノ内正金百両ニ対シ八十両ニ通用可致旨太政官ヨリ日本橋掲示場ニ公達セラレタリ、然リト雖トモ市中ノ相場ハ常ニ七拾二三両ニシテ爾来本年中ハ皆此相場ヲ以テ取引スルニ至レリ
明治二年一月中金札相場ハ七拾一二両ノ間ニアリシカ、二月三日ヨリ漸々下落ノ一方ニ傾向シ其月三十日ニハ五拾八両トナリ、爾後少シク高低アリシト雖トモ四月二十九日ニハ遂ニ四拾四両四拾六銭トナリテ今後其底止スル処ヲ測知スヘカラサルノ勢ナリシカ、其五月二日太政
 - 第19巻 p.163 -ページ画像 
官ヨリ金札額面ノ通々用可致旨厳重ナル御達アリシニモ拘ハラス尚其当分ハ市中実際ノ相場依然トシテ最低五十七両ヨリ最高七十一両ノ間ニ在リシカ、同年六七月ノ交ヨリ追々全額ニ通用スルコトヽナリ、爾来同三年中モ更ニ変動ナク至極円滑ニ流通シテ更ニ差支ナカリシ、同四年ニ至リテハ商情少シク通シ金融繁忙ナルノ折抦当時ノ通用貨幣ハ専ラ二分金ヲ以テセシカ、此二分金ニハ諸藩ニテ鋳造ノモノ多ク混同シ、取引ノ際真贋ノ鑑別ト携帯ノ不便トヲ厭ヒ世人皆前年ニ反対シテ楮幣ヲ望ムノ事情トナリシナリ、故ニ本年ニ入リ太政官金札等(俗ニ通商司バンク札ト唱ヘシモノモ此内ニ含有シ此バンク札ハ商人社会ニ於テ尤モ便利ト称セシモノナリト云)ノ相場俄カニ騰貴シ、二分金百両ヲ以テ同額ノ楮幣ニ交換セント望ムトキハ之ニ対シ八九円ノ打歩ヲ要スルニアラサレハ楮幣ヲ収領スルコト能ハサルノ景況トナリシナリ其詳カナルハ左表ノ如シ
一、二分金ハ慶応四年前後幕府衰政ノ余弊ニ乗シ諸藩ニテ私鋳セシモノ多ク世間ニ流通シ、且其性質濫悪ニシテ之ヲ分析スルトキハ純分甚タ少シトシテ人皆之ヲ嫌厭シタレトモ、明治二年頃迄ハ一方ニ金札取引ヲ悦ハサルノ事情アリタレハ左マテ心頭ニモ懸ケサリシカ、追々金札ニテ取引スルコト安心ト定リタレハ二分金ヲ接手スルモノハ務メテ紙幣若クハ一分銀ニ交換センコトヲ望ムノ人気トハナリシナリ、故ニ当時通貨中尤モ劣等ニシテ世人ノ蔑如スル所トナリシモノハ此二分金ニシテ、初ヨリ明治四年ニ至ルマテ更ニ打歩ヲ附加セシコトナカリシナリ
一、壱分銀・一朱銀ハ二分金ト共ニ当時ノ通用正金トシテ並ニ行ハレタリシト雖トモ二分金ノ如ク其性合濫悪ナラス、純銀ヲ以テ鋳造シタルモノナレハ世人ノ信用尤モ厚クシテ皆此一分銀ヲ望ミシニ因リ、明治二年秋冬ノ頃(月日詳ナラス)ヨリ漸次騰貴シ、同三年ヨリ四年中ニハ二分金百両ヲ以テ同額ノ一分銀ニ交換セント欲スルトキハ之ニ対シ二十両内外ノ打歩ヲ要スルコトヽナリ、其間少シク高低アリシト雖トモ格別ノ変動ナカリシ、其詳カナルハ左表ノ如シ
 但別表ハ当時実際取引シタル節記帳セシモノヲ参観ノ為メ其儘抜萃シタルモノナレハ其欠クル処ハ取引ナキ日ト知ルヘキナリ
   明治元年十二月中金札平均相場

        両                 両               両
 十四日  七二、八七五    十五日     七二、九三七    十八日   七三、八七五
 廿五日  七二、五〇〇    廿七日     七一、六二五    廿九日   七二、五〇〇

   明治二年一月中金札平均相場

        両                 両               両
 四日   七三、五五〇    六日      七三、二〇〇    七日    七三、五〇〇
 十一日  七三、七〇〇    十二日     七一、五〇〇    十四日   六九、七五〇
 十八日  七〇、七五〇    二十日     七一、七五〇    廿一日   七一、一二五
 廿二日  七二、八七〇    廿四日     七二、六二五    廿八日   七二、〇〇〇
 廿九日  七一、〇〇〇    三十日     七一、〇〇〇

   明治二年二月中金札平均相場

        両                 両               両
 一日   七一、五二七    二日《(マヽ)》 七九、六八七    三日    六五、四〇八
 四日   七〇、五〇〇    五日      七〇、六六〇    七日    七〇、一二〇
 八日   七〇、一〇〇    九日      七〇、二〇〇    十日    七〇、一〇〇
 - 第19巻 p.164 -ページ画像 
 十一日  七〇、一〇〇    十二日     七〇、〇〇〇    十三日   七〇、一〇〇
 十四日  七〇、一〇〇    十五日     七〇、〇〇〇    十六日   七〇、一〇〇
 十八日  六八、五三三    十九日     六七、七九〇    二十日   六八、二〇〇
 廿一日  六八、一〇〇    廿三日     六七、一〇〇    廿四日   六六、一〇〇
 廿五日  六五、五〇〇    廿六日     六六、一〇〇    廿七日   六一、三〇〇
 廿八日  六〇、三〇〇    三十日     五八、〇〇〇

   明治二年三月中金札平均相場

        両                 両               両
 一日   六〇、五三五    二日      六〇、五三五    三日    六一、〇〇〇
 四日   六〇、七七五    五日      六一、一七五    六日    六一、一〇〇
 七日   五五、四〇〇    八日      五八、九七一    十日    五九、七六八
 十一日  五九、六七〇    十二日     五九、五六〇    十三日   五〇、八四〇《(マヽ)》
 十四日  五九、八六七    十五日     六〇、四二〇    十六日   五九、八四二
 十七日  五六、九五七    十八日     六〇、七七二    十九日   六一、九九三
 二十日  六一、三七〇    廿一日     六一、二一〇    廿三日   六一、七〇〇
 廿四日  六一、六八五    廿五日     六一、七一五    廿六日   六一、六〇〇
 廿七日  六二、一九〇    三十日     六二、一五八

   明治二年四月中金札平均相場

        両                 両               両
 二日   六〇、二〇〇    三日      六〇、一〇〇    四日    六二、一九一
 五日   六〇、〇〇〇    六日      六〇、五〇〇    七日    六〇、七二五
 八日   六一、〇六五    十一日     五九、〇〇〇    十三日   五八、〇〇〇
 十五日  五七、〇〇〇    十八日     五六、〇〇〇    二十日   五二、一二五
 廿三日  五六、三五〇    廿五日     五二、三二〇    廿八日   四五、五八八
 廿九日  四四、四六〇    三十日     四四、五〇〇

   明治二年五月中金札平均相場

        両                 両
 一日   五三、七一〇    二日      五六、二〇〇

   明治三年中一分銀一朱銀百両ニ付平均打歩

図表を画像で表示明治三年中一分銀一朱銀百両ニ付平均打歩

     一月    二月    三月    四月    五月    六月    七月    八月    九月    十月    十一月   十二月       両     両     両     両     両     両     両     両     両     両     両     両 一分銀 二〇、五〇 二〇、二〇 二三、〇〇 二四、三〇 二三、〇〇 二二、〇〇 二二、一〇 一八、〇〇 一九、二〇 二〇、三〇 二〇、〇〇 一八、〇〇 一朱銀 一五、〇〇 一七、〇〇 一七、〇〇 一七、〇〇 一八、〇〇 一四、〇〇 一七、二〇 一四、〇〇 一四、二〇 一六、〇〇 一六、〇〇 一二、〇〇 




   明治四年中一分銀一朱銀百両ニ付平均打歩

図表を画像で表示明治四年中一分銀一朱銀百両ニ付平均打歩

     一月    二月    三月    四月    五月    六月    七月    八月    九月    十月    十一月   十二月       両     両     両     両     両     両     両     両     両     両     両     両 一分銀 二〇、二五 二一、〇〇 二〇、〇〇 二〇、二五 二〇、七五 二〇、五〇 一七、七五 一五、二五 一四、〇〇 一四、〇〇 二〇、〇〇 二一、〇〇 一朱銀 一六、〇〇 一六、〇〇 一五、〇〇 一六、〇〇 一六、七五 一六、七五 一二、〇〇 一〇、五〇  七、〇〇  五、二五 一四、〇〇 一六、〇〇 





東京商工会々外諸向往復文書 第四号(DK190025k-0002)
第19巻 p.164-165 ページ画像

東京商工会々外諸向往復文書 第四号
                  (東京商工会議所所蔵)
今般外務省通商局長ヨリ明治元年ヨリ同四年ニ至ル四ケ年間正金ト紙幣トノ取引差額ヲ承知セラレ度趣ヲ以テ別紙ノ通リ照会有之、就テハ貴所ニ於テ乍御手数御取調ノ上当方ヘ御報告相成候様仕度、此段別紙相添御依頼申上候也
  明治二十二年四月十一日    東京商工会々頭
                      渋沢栄一
 - 第19巻 p.165 -ページ画像 
    銀行集会所委員 御中
   ○別紙通商局長ヨリノ照会状ハ前掲「要件録」所収ノモノト同一故省略。


東京商工会々外諸向往復文書 第四号(DK190025k-0003)
第19巻 p.165 ページ画像

東京商工会々外諸向往復文書 第四号
                  (東京商工会議所所蔵)
拝啓陳ハ此程外務省通商局長ヨリ明治元年以来同四年ニ至ル迄正金即両・二分金・壱分銀ト金札又ハ紙幣トノ差額当時市中ニ於テ実際取引ノ景況取調之儀貴会ヘ御照会相成候ニ付テハ右取調方更ニ御依頼有之候ニ付調査仕候処、維新怱々ノ際商情甚タ漠然トシテ充分徴証スヘキ程ノモノ無之、僅カニ当時安田両替商店ノ雑記及記臆ニ存スルモノ等ニヨリ概略取調候処別紙ノ通ニ御坐候間、是ニテ宜敷御取計被下度此段御答申上候也
  明治二十二年五月
                  銀行集会所銀行集会所印
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿
   ○別紙取調書ハ前掲「要件録」所収ノモノト同一故省略。


東京商工会議事要件録 第四〇号・第二―五頁 (明治二二年九月)刊(DK190025k-0004)
第19巻 p.165 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四〇号・第二―五頁 (明治二二年九月)刊
  第廿一定式会
          (明治廿二年八月九日開会)
  第卅六臨時会
    会員出席スル者 ○二十五名
会長(渋沢栄一)ハ開会ノ趣旨ヲ報ジ先ツ定式会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ規程第五章第二十二条ニ拠リ明治二十二年上半季間定式事務ノ成蹟ヲ報告ス
  自明治廿二年一月至同六月 半季間事務ノ報告
○中略
    其筋ヨリ諮問   五件
○中略
○金紙取引差額取調ノ義ニ付通商局長ヨリ問合ノ件
  明治二十二年四月六日附ヲ以テ浅田通商局長ヨリ明治元年ヨリ同四年ニ至ル金銭取引差額ニ就キ問合セアリタルニ付、其後銀行集会所ニ就キ詳細ノ調査ヲ遂ゲ五月十五日附ヲ以テ之ヲ同局長ニ回報シタリ
○下略