デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.177-179(DK190027k) ページ画像

明治22年6月27日(1889年)

是日栄一当会会頭トシテ、町会所ノ沿革其他ニ関シ農商務省商務局長斎藤修一郎ニ回答ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第四〇号・第七一―七七頁 (明治二二年九月)刊(DK190027k-0001)
第19巻 p.177-179 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四〇号・第七一―七七頁 (明治二二年九月)刊
 ○参考部
○明治二十二年六月十三日附ヲ以テ斎藤商務局長ヨリ町会所沿革等ノ義ニ付別紙甲号ノ通リ問合セアリタルニ付、同月廿七日附ヲ以テ同乙号ノ通リ回報書ヲ送リタリ
(甲号)
拝啓陳者従前貴市ニ設置アリタル町会所ノ沿革等別記ノ事項差掛リ参考ヲ要スル儀有之候条、乍御手数至急御申報ヲ煩ハシ度此段及御依頼候也
  明治廿二年六月十三日
             農商務省商務局長 斎藤修一郎
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿
  (別記)
一従前町会所(町内諸営業者ノ集会シテ各営業ノ便益ヲ謀リ其取締ヲ為セシ所)之事
  一会所ノ創設
  二会所ノ組織、役員・議員ノ選挙
  三会所ノ職務・権限及事業及著シキ沿革
  四会所ノ廃止
右ノ要領ヲ簡明ニ掲ケンコトヲ要ス
(乙号)
去ル十三日附ヲ以テ当市町会所ノ沿革等御問合有之候ニ付、右ハ其後篤ト遂調査候処概略別紙ノ通リニ御坐候間、此段別紙相添御回報申上候也
                 東京商工会々頭
  二十二年六月廿七日           渋沢栄一
    農商務省商務局長 斎藤修一郎殿
  (別紙)
東京会議所沿革一覧
    会議所
一寛政年間幕府老中松平越中守定信江戸市中ノ冗費ヲ減省シ、蓄積ノ方法ヲ設ケ、剰額ノ一分ヲ町内ニ積ミ其二分ハ之ヲ地主ニ還付シ、其七分ヲ町会所ニ蓄積シ以テ凶荒恤救ノ資本ニ備ヘ、其後官又一万
 - 第19巻 p.178 -ページ画像 
円金ヲ賜ヒ併セテ之ヲ町会所ニ積ミ世人呼テ七分金ト云フ者即是ナリ、其後明治五年三月ニ至リ府庁ノ命ニ依リ町会所ヲ廃シタリキ、然レトモ蓄積金ノ猶存スルヲ以テ井上前大蔵太輔・大久保前東京府知事ノ説諭ニ依リ更ニ営繕会議所ヲ設立シ、府下富豪中ヨリ委員ヲ抜撰シ以テ道路橋梁修築ノ事ヲ負担セシハ実ニ同年五月ナリ
一同年九月廿七日、委員一同協議シ当時ノ事業タル只営繕ノ一分ニ止リ全都ノ便益ヲ興シ一般ノ公議ヲ尽スニ足ラサルヲ以テ、更ニ一歩ヲ進メ東京会議所ト改称シ、漸次府下民会ノ階梯タラン事ヲ欲シ、即会議ノ規則ヲ草定シ之ヲ府庁ニ建言シタリ、府庁ハ速ニ之ヲ聴容シ、且ハ垂示スルニ議事ノ条目ヲ以テセラル、於此カ初テ東京会議所ト称シ頭取及ヒ掛リノ役員ヲ撰挙シテ各其職ヲ奉シタリ
一八年五月ニ至リ蓄積ノ金額殆ト消耗シ、会議所ノ経費ニ充ル所ノ者ナキヲ以テ同六月第一国立銀行及三井組ニ各金一万円ヲ負債シ、以テ須用ヲ資ク、更ニ衆議ヲ決シ府庁ノ裁可ヲ得テ同七月ヨリ会議所附属地ヲ競売シ、其地価ヲ収メテ負債ヲ消却スル事ヲ得タリ、斯ク蓄積金ノ殆ト尽ルニ至ル者ハ曾テ大蔵太輔等ノ説諭ニヨリ之ヲ消費セシニ因ル
一八年六月九日、会議所ノ体裁タル官民ノ間ニ中立シ名実相協ハサルヲ以テ更ニ純粋ナル民会ニ再変セン事ヲ欲シ、則改搆ノ方法ヲ審案シ之ヲ府庁ニ稟候ス、元来会議所設立ノ趣意タルヤ府庁ノ顧問ニ備ルト、共有金ノ出納計算ヲ掌ルニ在ルヲ以テ府庁ハ之ヲ納レス
一同年十二月二日、会議ヲ起シ曩ニ府庁ニ稟候スルトコロノ定議ニ基キ更ニ挙措ヲ議ス、即チ今日従事スルトロ《(コ脱カ)》徒ニ会議ノ名アリテ其実ナシ宜シク当今他ノ府県下ニ於テ実施スル処ノ区会町村会ナル者ノ規則ヲ蒐輯シ、斟酌折衷以テ我会議所ノ進点ヲ設ク可シ、現ニ管理スル所ノ事務ノ如キハ新ニ行務科ヲ立テヽ其事ヲ施行シ、議事ト全ク其分界ヲ為サン事ヲ決定ス、因テ規則章程ヲ草定シ之ヲ府庁ニ申稟シ同月四日允准ヲ得タリ、乃チ若干ノ委員ヲ公撰シ之ヲ旧員ト合併ス、且府庁ノ指令ニ従ヒ向後委員進退ノ挙ハ毎ニ其由ヲ申陳シ、任免辞令ノ如キハ復タ会議所ノ行フヘキ者トナレリ
一九年一月ニ至リ去年十二月府庁ノ裁可ヲ得ル所ノ会議所規則章程ヲ以テ議事・行務ノ分限ヲ定メ、更ニ議員一同ノ公撰ヲ以テ渋沢栄一ヲ会頭トナシ行務科ノ頭取ニ兼任シ、福地源一郎ヲ副会頭トナシ、其他行務各課ノ長並ニ録事以下ノ属員ヲ撰ヒタリ
一同月又新ニ会議ヲ起シ行務科ノ事件ハ悉皆之ヲ府庁ニ還納シ会議所ノ貯金ハ府下人民ノ共有物ナレバ宜ク府庁ニ上陳許可ノ上之ヲ保存シ之ヲ使用スヘキ者ナリト議定シ、会頭ハ府庁ニ詣リ行務還納ノ事ヲ権知事閣下ニ内稟シ、会議所起立以来本年二月廿九日ヲ限リ金銀一切ノ出納ヲ詳ニシ皆洋式ニ傚ヒ各種ノ計算表ヲ編製シテ本年三月七日之ヲ府庁ニ具状セシ処、其言採用セラレ行務還納ノ期ハ追テ下命アルベシトノ指令ヲ賜ハリシハ実ニ四月廿二日ナリ、因テ再ヒ具陳ノ上此行務ヲ還納スル迄ノ間ハ新規事業ヲ興起シ、臨時費用ヲ要スルノ外一切ノ現務ハ従前ノ如ク頭取ノ指揮ヲ以テ処置セシカ、同五月十五日ニ至リ同二十五日限リ行務還納スヘキ旨下達アリシヲ以
 - 第19巻 p.179 -ページ画像 
テ、向キニ調製セシ各種ノ計算表ニ依リ之ヲ区別ス、第一従前ヨリ蓄積セル金額、第二府庁ヨリ下附セラレタル金額、第三諸収入金額ニシテ以上其原資金ナルモノハ同二十五日迄総計金百五十八万九千百十三円三十三銭八厘ナリ、而シテ此資本中ヨリ支消スル処ノ金額総計金百二十四万五千八百九十九円六十五銭一厘、差引剰ル処ノ金額三十四万三千二百十三円六十八銭七厘ハ現在スルモノニシテ、則行務ト共ニ府庁ヘ納附ス、然レトモ此金額ノ如キハ向来府下一般ノ公益又ハ義務ノ為ニ使用スルニ至テハ府庁ニ上申許可ノ上之ヲ処分スヘキ事ト定メタリ、夫行務科ノ管司スル処ノモノ数課アリ皆専員アリテ其事ヲ調理ス、曰ク養育院、曰ク墓地、曰ク修路、曰ク瓦斯曰ク鉱油灯及現華灯、曰ク商法講習所是ナリ、然リ而シテ各由来スル処深浅アリ因テ各課ヲ編次ス
一同年十一月中府庁ハ乙第百三十号ノ公布ニ基キ小区村町総代人撰挙方ヲ定メ新タニ総代人ヲ撰定ス、於是テ会頭渋沢栄一ハ各議員ト決議シ、十二月二十日ヲ以テ申牒ヲ府庁ニ呈シ其議事ノ権ト所有物件トヲ以テ総代人ニ交付センコトヲ請フ、其略ニ云フ、町村総代人ノ制ハ明カニ臨時府会ノ議員タラシムル者ナレバ我議員等ハ曩キニ建言スル所今始メテ実効ヲ奏スルヲ得タルニ付、宜ク顧問ヲ辞シテ解散シ其管保セル屋宇物件ト担当セシ会議ノ権限トハ挙ゲテ之ヲ新撰ノ総代人ニ交付セン、然ラズシテ府民ノ公撰ニ挙ケラレタル総代人ト相対シテ同等ノ議権ヲ有スベカラズト、十年一月ニ至リ府庁ハ遂ニ其請フ処ヲ裁可シ、屋宇物件ノ如キハ之ヲ府庁ニ致サシム、乃チ二月十八日ヲ以テ其屋宇物件ヲ取テ悉ク之ヲ府庁ニ納致シ会議所遂ニ廃シタリ