デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治22年8月20日（1889年）

是日外務省通商局長浅田徳則、当会会頭タル栄一ニ書ヲ送リ孟買棉花ノ商況ニ就キ報告ス。

東京商工会議事要件録　　第四一号・第六七―七一頁　（明治二二年一二月）刊
　○参考部
○本年八月廿日附ヲ以テ浅田通商局長ヨリ孟買棉花ノ商況ニ就キ別紙ノ通リ報告セラレタリ
孟買表棉花商況ニ関シ在新嘉坡我領事館ヨリ別紙之通リ報告有之候ニ付為御参考差進候也
　　明治廿二年八月廿日
　　　　　　　　　　　　　　　外務省通商局長　浅田徳則
　　　　渋沢栄一殿
公信第五十七号
此程ヨリ毎英便ニテ孟買表棉花相場ヲ知ル便ヲ得候、或ハ未タ棉花買入等ノ手続ノ詳細ヲ知ラスシテ単ニ相場ノミヲ知ルモ靴ヲ隔テヽ痒ヲ掻クノ憾ナキニアラス候得共、又聊カ世上参考ノ一端トモ相成ルヘキカト存候ニ付、本便以来時々御報告可致此段申進候也
　　明治廿二年七月廿日
　　　　　　　　　　　　　　　　在新嘉坡領事代理
　　　　　　　　　　　　　　　　　　書記生　中川恒次郎
　　　　外務次官　子爵　青木周蔵殿
　追テ本報告相場ハ留比ヲ以テ掲ゲ候間自然通商報告ニテモ御謄録相成儀ニ候ハヽ本邦通貨ニ御換算相成度候
二十二年七月八日孟買表棉花商況
過クル一周間ハ地方ノ製糸家ノ内ニ少々買入アリタレトモ輸出商ハ手出シセス、総体ノ取引高モ甚タ少額ナリ、先ツ全体ノ市況ハ手堅キ方ト云フヘシ
前周中ノ実際取引相場ハ左ノ如シ
　ナグル　　　　　　　　弐百七留比至弐百弐拾五留比
　ベンガル　　　　　　　百九拾八留比至弐百拾留比半
 - 第19巻 p.187 -ページ画像 
　バルシー　　　　　　　弐百弐拾五留比
　シユルガウム　　　　　弐百拾九留比至弐百弐拾八留比
　バーガルコート　　　　弐百拾留比
　インドール　　　　　　弐百八留比至弐百九留比
　ウヱステルン　　　　　弐百拾九留比
　コムタ　　　　　　　　弐百拾壱留比至弐百拾四留比
又来一月渡シノ「ペンガル」新棉ノ地方取引約定ハ中品百七拾九留比上品百八拾八万乃至百九拾留比《（衍カ）》ナリト云フ、而シテ孟買商業会議所ノ気象報告ナルモノニ拠ルニ「ベンガル」「オームウテー」「ドレラ」地方新棉植付ノ景況頗ル好シト云フ
猶同日欧洲向キ棉花（充分圧搾シタルモノヽ由）一カンデー即チ五百六拾封度ノ相場左ノ如シ
　ベンガル　　　　　上等　　　　　二一二
　同　　　　　　　　中等　　　　　二〇五
　同　　　　　　　　並　　　　　　一九九
　ウームラ　　　　　上等　　　　　二二五
　同　　　　　　　　中等　　　　　二二〇
　同　　　　　　　　並　　　　　　二一三
　カンダイシユ　　　中等　　　　　二二〇
　同　　　　　　　　並　　　　　　二一三
　同　　　　　　　　並ノ中　　　　二〇六
　ベラテー　　　　　上等　　　　　二一八
　同　　　　　　　　中等　　　　　二一四
　同　　　　　　　　並ノ中　　　　二〇八
　ドレラ　　　　　　上等　　　　　二三四
　同　　　　　　　　中等　　　　　二二四
　同　　　　　　　　並　　　　　　二一一
　ダルウワー　　　　並　　　　　　二一九
　ウヱステルン　　　並　　　　　　二一六