デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.251-256(DK190038k) ページ画像

明治23年3月15日(1890年)

是日栄一、当会会頭トシテ笠井鉦太郎・林忠蔵ノ建案セル売薬規則第五条改正ノ儀ニ就キ内務大臣伯爵山県有朋ニ建議ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第四一号・第一〇―一九頁 (明治二二年一二月)刊(DK190038k-0001)
第19巻 p.251-254 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四一号・第一〇―一九頁 (明治二二年一二月)刊
  第二十二定式会
           (明治二十二年十一月廿五日開)
  第三十八臨時会
    会員出席スル者 ○十九名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ本議ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ議案ヲ朗読セシム
別紙ノ事項何卒本会ノ意見トシテ其筋ヘ建議相成度此段建議候也
  二十二年十一月十五日   二十二番会員 笠井鉦太郎
               二十一番会員 林忠蔵
    東京商工会々頭 渋沢栄一殿
    売薬規則ニ改正ヲ要スルノ建議
謹デ明治十年一月太政官第七号御布告売薬規則ノ御趣旨ヲ案スルニ当時世人ガ衛生ニ注意ノ薄キヨリ薬品ヲ妄用シ為メニ害ヲ醸生スルノ恐レナシトセズ、殊ニ当業者ノ如キモ又幼稚タルヲ不免、故ニ如斯取締
 - 第19巻 p.252 -ページ画像 
方法モ又何分ノ利益アリシヤ知ルベカラズ、然レトモ世ノ事物ハ歳月ヲ経過スルニ従テ改リ人文ノ開明ト共ニ進ミ衛生ノ事業ハ駿々乎トシテ長大足ノ進歩ヲ致セリ、故ニ世人モ自ラ薬品ヲ撰択スルヲ軽フセズ斯業者モ昔日ノ売薬営業人ニアラザルヨリ自カラ此取締法ノ必要ヲ感セザルニ至レリ、就中該規則中刪除ヲ希望スルハ左ノ二ケ条トス
一該規則第五条ニ(明治十年九月改正)
 売薬ヲ請売セント欲シ其営業者ノ許諾ヲ得タルモノハ、族籍氏名ヲ記シタル願書ニ営業者所持ノ免許鑑札ノ写及ヒ営業者ト取結ヒタル約定書ヲ添ヘ其管轄庁ヘ願出免許鑑札ヲ受クベシ
一同第七条ニ
 売薬営業者及請売者ニ於テ自ラ行商シ、又ハ売子ヲ派シ行商ヲ為サシメント欲スルトキハ其由ヲ管轄庁ヘ届出、行商鑑札ヲ願受ケ行商スルトキハ必ス之レヲ所持スヘシ
右ノ条項アルハ即チ本業ノ進路ヲ遮リ販路ヲ縮少セシムル其極ヤ衰滅スルヲ不免、如何トナレハ斯ノ如キ煩雑ノ手続ヲナスハ機敏ナル商業家ノ最モ厭フ処ニシテ又政府カ之レヲ執行スルガ為メニ要スル費用ハ決シテ少々ニアラザルベシ、如何トナレバ此手続ニ従テ受売ヲ出願スルヤ、其出願スルヨリ鑑札下付ノ秋ニ至ルマデ少クモ六十日以上ヲ消費シ、地方ノ情況ニヨリテハ戸長ノ手ヲ経区郡役所ニ達スルガ故ニ其遠隔ノ地ニ於テハ実ニ困難ト言フヘシ、啻ニ地方ノミナラズ府下ニ於ケルモ万ヲ以テ数フル薬品ヲ一々此手続ヲ以テ請売スル時ハ為メニ他ノ業務ヲ抛タザルヲ得ズ、殊ニ収税官カ店頭ニ於テコレガ鑑札ヲ撿査スルガ為メニ勢ヒ収支償フノ他ハ売買ヲナサヽルニ至レリ、夫レ法律アルガ為メニ犯則者ノ出ルハ元ヨリ喋々ヲ俟タザルモ本業ノ取締上若シクハ世人ガ服用スルカ為メニ必用ナル場合ニ於テ此等ノ手続モ亦止ムヲ得ザルトスルモ、此本条項ヲ案ズルニ未ダ一ノ必要ヲ発見スル不能、啻ニ発見スル不能ノミナラズ数多ノ罪人ヲ造ルハ豈ニ良策ト言フベケンヤ、今之レヲ廃スルヨリ受ケル利益ハ政府ガ之レ等ニ要スル費用即チ之レヲ取扱フノ衛生官吏ト鑑札ヲ調査スルノ派出官吏ト鑑札ヲ調製スルノ費用之レヲ調査下附スルニ至ル迄ノ費用トヲ省略シ、営業人ハ販路ヲ拡張シ出願書類ヲ調製スルノ手数ナク僅少ノ売品ヲ拡張スル事ヲ得、而シテ請売人ハ其手数ヲ省略スルヨリ購客ノ欲スル薬品ヲ汎ク其需ニ応ジテ販売シ得ルニ至リ、購客ハ己レ信ズル薬品ヲ服用スルノ便ヲ得其利其便ヤ決シテ少々ニアラザルナリ、啻ニ其費用ト手数ヲ省略スルニ止マラズ其販路ノ拡張スルニ至ラハ政府ハ印紙税ノ収入ヲ増シ、営業人請売人モ随テ其売高ノ増加ヲ見ルヤ多言ヲ俟タザルナリ、是一挙両全ノ策ト言フベシ、然レトモ撿税上若クバ禁廃止等ノ場合ニ於テ相当ノ取締ヲ要スル事ナキニアラズトスレバ、請売営業人ニハ請売営業鑑札ヲ一回下附シ、方数及営業人毎ニ之ヲ下附スルノ手数ヲ省略セラレ度、即チ第五条ノ本文ヲ単ニ「売薬ヲ請売又ハ行商セント欲スル者ハ其管轄庁ヘ願出免許鑑札ヲ受クベシト」改正セラレン事ヲ希望ス
以上陳弁ノ趣旨ナルヲ以テ御詮義相成度然ル上ハ独リ当業者ノ幸福ノミナラズ公衆ノ便益喋々ヲ俟タズ、依テ御採用被下度此段奉建議候也
 - 第19巻 p.253 -ページ画像 
会長(渋沢栄一)問テ曰ク、免許鑑札ハ一剤ニ付一枚ヲ要スルヤ
二十二番(笠井鉦太郎)荅テ曰ク、免許鑑札ハ一人ニ付五方迄ハ一枚ニテ可ナリ
会長(渋沢栄一)問テ曰ク、売薬請売者ハ鑑札料ヲ上納スルヤ
二十二番(笠井鉦太郎)答テ曰ク、売薬受売者ハ初メ鑑札料トシテ薬剤ノ方数ニ拘ラズ一枚ニ付金二十銭ツヽヲ上納シタリシガ、其後此鑑札料ハ全ク廃セラレテ今ハ無シ、但シ現今ト雖トモ地方ニヨリテハ売薬請売者ヨリ地方税ヲ徴収スル事アリ、現ニ東京府ノ如キハ売薬請売鑑札ノ数ヲ標準トシテ地方税ヲ課シ、即チ鑑札一枚ニ付一ケ年金二十銭ツヽヲ徴収セリ
会長(渋沢栄一)問テ曰ク、売薬請売ニ免許期限アリヤ
二十二番(笠井鉦太郎)荅テ曰ク、初メ売薬ニハ営業受売行商トモ各免許期限アリテ満期ニ至ル時ハ共ニ鑑札ノ書換ヲ要シタレトモ、其後売薬免許期限ハ全ク廃止セラレ今日ニ於テハ一旦免許鑑札ヲ得タル以上ハ何年ヲ経ルモ之ヲ書換ユルノ必要ナシ
会長(渋沢栄一)問テ曰ク、売薬規則第五条ヲ見ルニ売薬ヲ請売セント欲スル者ハ営業者所持ノ免許鑑札ノ写及営業者ト取結ビタル約定書ヲ添ヒ管轄庁ニ免許ヲ出願スベシトアリ、元来斯ノ如キ手数ハ普通品ニハ無キ処ニシテ独リ売薬ニノミ此手数ヲ要スル事ト定メラルヽハ、思フニ必ズヤ之ヲ要スルノ趣意存スルモノナルベシ然ルニ今建議者ガ此手数ヲ要セズト論ズルノ本旨ハ果シテ如何ン
二十二番(笠井鉦太郎)荅テ曰ク、営業者ト請売者ノ間ニ取結ブ約定書ニハ一定ノ文例アリテ只売薬ニ関スル御規則及御達ノ趣旨ヲ確守シ、不正ノ所業致ス間敷等ノ文句アルニ過ギズ、思フニ是ハ前年売薬免許期限ノ制アリテ満期ニ至リ鑑札ヲ書換ユルノ必要アリタル頃ニハ其取締ノ為メニ此事項モ多少ノ必要アリシナランガ、今日ニ於テハ之ナキモ別ニ弊害ナク之アルモ敢テ効能アルニアラズ、要スルニ其結果ハ適々当業者ノ手数ヲ増スニ過ギザルナリ、現ニ余モ当業者ノ一人ナルガ毫モ営業上ニ利益ヲ受ケタル事ナシ
会長(渋沢栄一)問テ曰ク、現今請売者ガ例ヘバ宝丹・実母散・救命丸ノ如キ売薬ヲ請売セントスルニハ必ズ其本家ト約定ヲ取結ブノ慣例ナルヤ
二十二番(笠井鉦太郎)荅テ曰ク、必ズ成規ニヨリテ結約スルノ慣例ナリ
会長(渋沢栄一)曰ク、只今ノ問荅ニテ議案ノ趣旨ヤヽ明瞭トナレリ猶各員不審ノ廉アラバ建議者ニ就テ質議アリタシ
三番(梅浦精一)曰ク、議案ノ趣旨ハ甚ダ簡明ニテ敢テ質議ヲ要セズ蓋シ斯ノ如キ手数ヲ省略スル事ハ当業者ノ便利タル事勿論ナリト雖トモ、元来売薬ノ如キハ随分生命ニ関スルモノナレバ余輩購入者ノ地位ヨリ之ヲ見レバ其取締法ハ可成厳重ヲ望ムノ情ナシトセズ、左レバ本案ハ本日直チニ可否ヲ決セズシテ、先ヅ委員ヲ撰ビ充分其得失ヲ調査セシメ然ル後之ヲ再議シテハ如何ン
四十三番(松尾儀助)問テ曰ク、売薬規則第五条ハ国庫ノ収入ニ関係ナキヤ
 - 第19巻 p.254 -ページ画像 
二十二番(笠井鉦太郎)荅テ曰ク、府庁ニ於テ地方税トシテ区部売薬請売商ヨリ毎年凡三千八九百円位ヲ徴収スレトモ、徴税上種々ノ手数ヲ要シ其費用ハ恐クハ此徴収高ノ大半ニ達スベシト信ズ、蓋シ是ハ全ク地方ノ経済ニ関スルモノニシテ此外売薬請売者ニ鑑札ヲ附与スル為メ別ニ国税ヲ徴収スル事ナキガ故ニ、今第五条ヲ廃スルモ全ク国庫ノ収入上ニ影響ヲ来ス事ナシ
四十三番(松尾儀助)曰ク、従来売薬者ニハ往々弊害アリテ旧幕ノ頃ト雖トモ同業仲間中ニ相当ノ取締法アリタル程ナレハ、本案ハ三番(梅浦精一)ノ説ノ如ク先ツ委員ヲ撰ンデ之ヲ調査セシメタシ
二十五番(丹羽雄九郎)曰ク、売薬ハ英米ノ如キ文明国ニモ盛ンニ行ハルヽ所ニシテ、其取締法如何ニ関シテハ類例ノ参照スベキモノモアラン、且ツ本日ハ全員ノ出席甚ダ少数ナレバ余ハ三番(梅浦精一)ノ説ヲ賛成ス
七番(雨宮綾太郎)曰ク、余モ現ニ当業者ノ一人ナルガ税ノ事ハ地方限リノモノニ付敢テ玆ニ喋々ヲ要セズ、只此売薬規則第五条及第七条ノ為メ営業上ニ繁雑ノ手数ヲ要スル事是余輩当業者ノ最モ困難トスル所ナリ、而シテ委員ヲ撰ンデ之ヲ調査セシムルノ説ハ余モ大ニ賛成スル所ナルガ余ハ猶其委員ノ中ヘ必ズ建議者ヲ加ヘン事ヲ望ム
二十二番(笠井鉦太郎)曰ク、本件ニ就テハ現ニ大坂ノ同業者中ニモ同様ノ趣旨ヲ以テ其筋ヘ建議書ヲ呈セント企ツル者アリテ諸事調査ヲ遂ゲタルヤニ聞ケリ、此等ハ必ズ調査委員ノ参考トナルベシト信ズ
右ノ外猶衆議ノ末遂ニ本案ハ委員ヲ撰ンデ調査セシムベシト云フニ決シ、会長(渋沢栄一)ハ委員トシテ幹事及建議者両人外ニ七番(雨宮綾太郎)ノ十名ヲ指名シ一同承諾シタリ


東京商工会議事要件録 第四二号・第六―一三頁 (明治二三年三月)刊(DK190038k-0002)
第19巻 p.254-255 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四二号・第六―一三頁 (明治二三年三月)刊
  第二十三定式会  (明治二十三年二月廿六日開)
    会員出席スル者 ○四十七名
○上略
次ニ会長(益田孝)ハ是ヨリ本議ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ、先ヅ規程第五章第二十二条ニヨリ明治二十二年下半季定式事務ノ成跡ヲ報告ス
  自明治二十二年七月至同年十二月 半季間東京商工会事務報告
○中略
    会員ノ建議   三件
○中略
○売薬規則ニ改正ヲ要スル儀ニ付建議
 本件ハ明治二十二年十一月十五日附ヲ以テ二十一番会員林忠蔵及二十二番会員笠井鉦太郎両氏ノ建議ニ係リ、其要旨ハ現行売薬規則第五条及第七条ニ拠レバ売薬受売免許出願ノ手続並ニ其行商届出ノ手続ハ共ニ無益ノ手数ヲ要シ、当業者ノ困難不少ニ付右二箇条ハ之ヲ刪除セラレタシト云フニ在リ、即チ明治二十二年九月九日第三十八臨時会ニ於テ之ヲ審議シタルニ先ヅ委員ノ調査ニ附スベシト云フニ
 - 第19巻 p.255 -ページ画像 
決シ、会長ハ委員トシテ現任幹事七名外ニ建議者両名及七番会員雨宮綾太郎ヲ指名シ、本案ハ目下此等ノ委員ニ於テ調査中ニ付其成蹟ハ追テ次季ヲ待テ報告スベシ


東京商工会議事要件録 第四三号・第二―三頁 (明治二三年四月)刊(DK190038k-0003)
第19巻 p.255 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四三号・第二―三頁 (明治二三年四月)刊
  第三十九臨時会  (明治二十三年三月十三日開)
    会員出席スル者 ○三十七名
会長(渋沢栄一)ハ先ヅ開会ノ趣旨ヲ告ゲ、兼テ売薬商組合会員ヨリ提出シタル売薬規則ニ改正ヲ要スル建議ハ、昨年十一月二十五日ノ臨時会ニ於テ議決シタル通リ、其後委員十名ヲ指名シ調査セシメタルニ遂ニ委員ノ合議ヲ以テ別紙ノ如ク修正ヲ加ヘタル旨ヲ述ベ、書記ヲシテ其修正案ヲ朗読セシム
 (此修正案ハ全ク原案ニ可決シタルニ付、三月十五日附ヲ以テ之ヲ内務大臣閣下ヘ進達シ、即チ其全文ハ参考部第一号ニ記載スルヲ以テ重複ヲ厭ヒ玆ニ之ヲ略ス)
本案ハ各員異議ナク全ク原案ニ可決ス


東京商工会議事要件録 第四三号・第二一―二三頁 (明治二三年四月)刊(DK190038k-0004)
第19巻 p.255-256 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四三号・第二一―二三頁 (明治二三年四月)刊
 ○参考部
(第一号)
    ○売薬規則ニ改正ヲ要スル儀ニ付建議
謹デ現行ノ売薬規則ヲ案ズルニ其第五条ニ「売薬ヲ請売セント欲シ其営業者ノ許諾ヲ得タル者ハ族籍氏名ヲ記シタル願書ニ営業者所持ノ免許鑑札ノ写及営業者ト取結ビタル約定書ヲ添ヘ其管轄庁ヘ願出免許鑑札ヲ受クベシ」トアリテ、即チ現行ノ規則ニ拠ル時ハ売薬ヲ請売セントスル者ハ必ズ先ヅ其薬剤一方(営業人異ナラザレバ五方)毎ニ管轄庁ヘ願出デ免許鑑札ヲ受ケザルヲ得ザルノ制度ナリ、然ルニ今日専ラ売薬請売ヲ営業トスル者ハ概ネ一人ニシテ、数千方ノ薬剤ヲ兼売スル事通例ニシテ随テ前陳ノ手続ヲ尽ス時ハ為メニ非常ノ手数ヲ要スルノミナラズ、地方ニヨリテハ出願ヨリ免許鑑札ヲ受クル迄ニ三四十日ヲ要スル事其例不少、蓋シ売薬ハ普通ノ商品ト異ニシテ大ニ衛生ニ関係スルモノナルガ故ニ、其調製上特別ノ取締ヲ設ケラルヽガ如キハ固ヨリ至当ナルベシト雖トモ、一旦営業者ガ免許ヲ得テ調製シルタ薬剤ニシテ猶之ヲ請売スルニ当リ一々免許ヲ得ザルベカラズトスルハ是当業者ノ甚ダ困難トスル所ナリ、況ンヤ其免許ヲ得ル迄ニ数十日ヲ要スルノ事実アルニ於テオヤ、本来売薬ニハ其種類ニヨリ製剤後数日ヲ経ルニ従ヒ其効能ヲ減ジ或ハ其香気ヲ失フモノ少カラズ、是当業者ガ現行ノ制度ニ就キ特ニ困難ヲ感ズル所以ナリ、故ニ何卒現行ノ制度ニ改正ヲ加ヘラレ売薬ヲ受売セント欲スル者ハ予メ先ヅ其管轄庁ヘ願出デ請売営業鑑札ヲ受ケシムルモノトシ、一タビ此鑑札ヲ受ケタル者ハ凡ソ営業者ガ免許ヲ得テ調製シタル薬剤ハ何種ヲ問ハス随意ニ之ヲ販売スル事ヲ得セシメラレン事ヲ望ム、但シ管轄庁ガ全ク其請売スル売薬ノ種類営業者ノ姓名等ヲ知ラザルニ於テハ衛生其他ノ取締上ニ多少ノ不便アルベキニ付、売薬請売者ガ売薬ヲ請売スルニ当リ更ニ其薬剤ノ某
 - 第19巻 p.256 -ページ画像 
営業者ノ調製ニ係ル事ヲ証スベキ書類(例ヘバ営業者所持ノ免許鑑札ノ写或ハ其承諾書ノ類)ヲ添テ其売薬ノ種類方数ヲ管轄庁ヘ届出デシムルニ止メ、一旦此手続ヲ尽スニ於テハ即日ヨリ直チニ之ヲ販売スル事ヲ得セシメラレン事ヲ望ム、果シテ然ル時ハ一方ニ於テハ取締上毫モ差支ナク一方ニ於テハ大ニ当業者ノ便利ヲ達スベシト信ズ、依テ此段建議仕候也
                 東京商工会々頭
  明治二十三年三月十五日
                      渋沢栄一
    内務大臣 伯爵 山県有朋殿


東京商工会議事要件録 第四六号・第二―三頁 (明治二三年九月)刊(DK190038k-0005)
第19巻 p.256 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四六号・第二―三頁 (明治二三年九月)刊
  第二十五定式会
           (明治二十三年八月二十六日開)
  第四十二臨時会
    会員出席スル者 ○二十八名
会長(渋沢栄一)ハ開会ノ趣旨ヲ報ジ、先ヅ定式会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ規程第五章第二十二条ニ拠リ明治二十三年上半季間定式事務ノ成跡ヲ報告ス
  自明治二十三年一月至同年六月 半季間東京商工会事務報告
○中略
    其筋ヘ建議   四件
○売薬規則ニ改正ヲ要スル儀ニ付内務大臣ヘ建議
  本件ハ既ニ前季ニ於テ報告シタルガ如ク調査委員ヲシテ之ヲ修正セシメ、明治二十三年三月十三日第三十九臨時会ニ於テ更ニ之ヲ審議シタルニ衆員異議ナク之ヲ可決シ、即チ同月十五日附ヲ以テ之ヲ山県内務大臣閣下ニ進達シタリ
○下略
   ○右建議ハ採可サレズ。