デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第19巻 p.429-433(DK190054k) ページ画像

明治23年9月4日(1890年)

是日栄一当会会頭トシテ全国各商業会議所宛書ヲ送リ、十一月東京ニ於テ各地商業会議所委員聯合会ヲ開催、商法施行期日延期ノ儀ヲ討議センコトヲ勧誘ス。然ルニ時恰モ商業会議所条例ノ発布セラレ各地会議所トモ解散又ハ組織変更中ニシテ聯合会ニ参加シ難キ旨回答セルモノ多ク、暫ク右計画ヲ見合ス。


■資料

東京商工会議事要件録 第四六号・第二五―二九頁 (明治二三年九月)刊(DK190054k-0001)
第19巻 p.429-431 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四六号・第二五―二九頁 (明治二三年九月)刊
  第二十五定式会
           (明治二十三年八月二十六日開)
  第四十二臨時会
    会員出席スル者 ○二十八名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第二号議案ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ之ヲ朗読セシム
 第二号議案
    各地商業会議所委員聯合会開設手読
 第一 来ル十一月ヲ期シ東京ニ於テ各地商業会議所委員ノ聯合会ヲ
 - 第19巻 p.430 -ページ画像 
開ク事
 第二 此聯合会ヲ開設スルニ就テハ東京商工会発起者トナリ各地商業会議所ヘ照会シテ同意ヲ求ムルコト
 第三 各地商業会議所ノ中之ニ同意スル者ハ各二名ノ委員ヲ撰挙シテ聯合会ニ参席セシムルコト
 第四 此聯合会ニ於テハ商法修正ノ問題ヲ議シ、須要ノ場合ニ於テハ連署シテ其意見ヲ政府若クハ帝国議会ヘ提出スル事
 第五 此聯合会ニ於テ議スベキ議案ハ便宜ヲ以テ東京商工会之ヲ起草シ、其整頓スルヲ待チ会場及開会ノ日時ヲ定メ同盟会議所ヘ通知スル事
 第六 此聯合会ノ規約其他ノ細則ハ此手続ニヨリ同盟会議所委員ノ会議ヲ以テ之ヲ定ムル事
 第七 此聯合会ノ費用ハ同盟会議所委員ノ定ムル所ニヨリテ支弁スル事
 第八 此聯合会ハ臨時ニ開設スルモノナリト雖トモ同盟会議所委員ノ見込ニヨリテハ今後定時ニ之ヲ開設スル事
会長(渋沢栄一)曰ク、聯合会ノ義ニ就テハ京都商工会議所ヨリ先刻報告シタルガ如ク照会アリ、依テ去ル十四日幹事会ヲ開キテ之ヲ協議シタルニ恰モ大阪商法会議所副会頭寺村富栄氏モ不景気救済ノ用務ヲ帯ビ出京中ノ趣ニテ当日幹事会ヘ参席セラレタルニ付、猶同氏ヘモ打合セタル上、兎ニ角東京商工会主人トナリテ聯合会ヲ開ク方可然ト一決セリ、是本案ヲ玆ニ提出シタル所以ナリ
本案ノ大躰ニ就テハ各員別ニ異議ナカリシカ、二番(阿部泰蔵)ハ原案ノ趣旨ニ依リ来ル十一月ニ聯合会ヲ開クニハ遅クモ十月迄ニ商法千余条ノ研究ヲ終リテ、且ツ其草案ヲモ調成セザルヲ得ズ、是実際為シ能ハザル所ナルニ付寧ロ聯合会ノ開期ヲ来年ニ延スベシトノ説ヲ発シ此説ニ七番(笠井鉦太郎)十四番(永井松右衛門)ノ賛成アリ、十六番(益田克徳)五十八番(益田孝)ハ聯合会ハ是非年内ニ開設スルノ必要アル旨ヲ論ジ、又十一番(辻粂吉)ハ、二番(阿部泰蔵)ガ全ク本案ニ同意セザルハ、畢竟原案第四条ニ「商法修正ノ問題」トアリテ其意義頗ル切迫スルガ為メナリ、故ニ之ヲ相当ノ文字ニ改メテ今少シク其意義ヲ寛裕ニスベシト論ジ、其他猶各員ノ間ニ多少ノ議論アリシガ、遂ニ衆議ノ末左ノ如ク決ス(本件ニ就テハ九月四日附ヲ以テ各地商業会議所ヘ照会シタルニ付其全文ハ参考部第九号ニ掲グ)
  一第四条中「商法修正ノ問題」トアルヲ「商法ニ関スル問題」ト改ムル事
  一第五条中若クハ照会文ノ中ニ商法ニ関シ各地商業会議所ニ於テ気附ノ廉アラバ之ヲ調成シテ携帯スベシト云フノ意味ヲ加フル事
  一第八条ハ必要アラザルニ付全ク之ヲ削除スル事
五十八番(益田孝)曰ク、為念玆ニ一言スベキモノアリ、本日ノ時事新報ニ「東京商工会ノ議題」ト題シ、東京商工会ハ一方ニ於テ商業会議所条例ノ制定ヲ要望シナガラ未ダ其条例ノ発布アラザル今日ニ於テ各地商業会議所ノ聯合会ヲ開カントスルハ太早計ナリト
 - 第19巻 p.431 -ページ画像 
論ズレトモ、抑モ商法ニ関スル問題ハ頗ル切迫ニシテ特ニ急議ヲ要スル問題ナレバ右条例ノ発布ヲ待タズシテ現今各地ニ存在スル商業会議所丈ケヘ照会シテ其委員ノ聯合会ヲ開カントスルハ固ヨリ差支ナキニアラズヤ、蓋シ時事新報ハ議論着実ニシテ余輩ノ常ニ重キヲ置ク所ノ新聞ナルニ付一言玆ニ弁明ス
会長(渋沢栄一)曰ク、前ノ報告中ニ遺脱シタル一項アリ、只今五十八番(益田孝)ノ説ニヨリ思ヒ出シタルニ付玆ニ一言スベシ、本会々堂新築ノ事ハ前会ノ決議ニヨリ其後二三ノ会社ニ付寄附金ノ事ヲ相談シタルニ或ル会社ニ於テハ既ニ之ニ応ズベシトノ下話モアリタル程ナルガ、其後猶幹事会ニ於テ之ヲ協議シタルニ此建築ノ事ハ一朝ニシテ其功ヲ奏スベキモノニアラズシテ殊ニ今ヤ商業会議所条例モ不日発布セラレントスルノ際ナレバ寄附金募集ノ事ハ暫ク之ヲ見合スベシト云フニ一決セリ、又時事新報ガ聯合会ノ事ニ就キ論ズル所ハ一理アルニ似タリト雖トモ、抑モ商法ニ関スル問題ハ五十八番(益田孝)ノ説ノ如ク特ニ急議ヲ要スル事情アレバ商業会議所条例ノ発布ヲ待タズシテ聯合会ヲ開クモ敢テ差支ナシト思考ス
三十二番(吉田幸作)曰ク、余ノ解釈スル所モ五十八番(益田孝)ノ説ニ同ジ、商業会議所条例ノ未ダ発布セラレザル今日ニ於テ各地商業会議所委員ノ聯合会ヲ開クトスルモ、本会ガ商業会議所条例ノ制定ヲ望ム趣旨ニ毫モ矛盾スル所ナシト信ズ


東京商工会議事要件録 第四六号・第六一―六四頁 (明治二三年九月)刊(DK190054k-0002)
第19巻 p.431-432 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四六号・第六一―六四頁 (明治二三年九月)刊
 ○参考部
(第九号)
    ○(各地商業会議所委員聯合会開設ノ義ニ付各地商業会議所ヘ照会書)
謹啓陳ハ商法実施延期ノ義ニ就テハ過日本会ノ決議ヲ以テ其筋ヘ意見書ヲ上呈シタル末貴会ノ御賛成相願置候処、右商法中ニハ新規ノ事項ヲ規定シタルモノ頗ル多クシテ啻ニ其意義ノ了解シ難キ箇条不少ノミナラズ、中ニハ其規定スル所大ニ我カ商人ニ不便ナルベシト思ハルヽ箇条亦不少、現ニ当府下商人ノ如キハ其準備方ニ就キ当惑致居候ニ付各地方ノ情況モ蓋シ同様ノ向不少ト想察仕候、依テ今般別紙手続書ニヨリ来十一月ヲ期シ、東京ニ於テ各地商業会議所委員ノ聯合会ヲ開キ右等ノ件々ニ就キ篤ト協議ヲ遂ゲ時宜ニ依リテハ連署シテ意見書ヲ其筋ヘ差出候様仕度ニ付、此義何卒御賛成被下度希望仕候、尤右聯合会ニ附スベキ議案調成ノ手続又ハ開会スベキ土地等ハ先以テ大躰ノ御同意ヲ得タル上更ニ御一同ノ協議ヲ以テ定メ候方相当ノ順序ト存候得共右議案ノ義ハ今日ヨリ之ガ調成ニ着手セザレバ時機ヲ失スルノ恐モ有之、又開会スベキ土地ノ如キモ東京ト定ムル時ハ差向多数ノ御便利ト存候ニ付、本会ニ於テハ乍僣越自ラ議案ヲ起草シ且ツ開会地モ便宜ヲ以テ東京ト指シ定メ候義ニ御座候間、此義予テ御承知被下度候、先ハ此段別紙手続書相添御相談申上候也
  明治二十三年九月四日     東京商工会々頭
 - 第19巻 p.432 -ページ画像 
                      渋沢栄一
    大阪商法会議所
    外            (各通)
     五十三個ノ商業会議所宛
 尚々本文聯合会開設ノ義貴会ニ於テ幸ニ御同意被下候ハヽ委員二名御撰定ノ上本月下旬迄本会ヘ御回報被下度、然ル上ハ本会ニ於テハ議案調成次第会場並ニ開会ノ日時ヲ定メ更ニ御案内可申上候、又議案ノ義ハ当方ニテ調成ノ筈ニ候得共自然商法ニ関シ御気附ノ廉モ有之候ハヽ貴方ニテモ充分御取調ノ上御携帯被下候様仕度、此旨添テ得貴意候也
 (別紙)
     各地商業会議所委員聯合会開設手続
 一来ル十一月ヲ期シ東京ニ於テ各地商業会議所委員ノ聯合会ヲ開ク事
 一此聯合会ヲ開設スルニ就テハ東京商工会発起者トナリ各地商業会議所ヘ照会シテ同意ヲ求ムル事
 一各地商業会議所ノ中之ニ同意スル者ハ各二名ノ委員ヲ選挙シテ聯合会ニ参席セシムル事
 一此聯合会ニ於テハ商法ニ関スル問題ヲ議シ須要ノ場合ニ於テハ連署シテ其意見ヲ政府若クハ帝国議会ヘ提出スル事
 一此聯合会ニ於テ議スベキ議案ハ便宜ヲ以テ東京商工会之ヲ起草シ其整頓スルヲ待チ会場及開会ノ日時ヲ定メ同盟会議所ヘ通知スル事
 一此聯合会ノ規約其他ノ細則ハ此手続ニヨリ同盟会議所委員ノ会議ヲ以テ之ヲ定ムル事
 一此聯合会ノ費用ハ同盟会議所委員ノ定ムル所ニヨリテ支弁スル事


東京商工会議事要件録 第四七号・第四―六頁 (明治二四年一月)刊(DK190054k-0003)
第19巻 p.432-433 ページ画像

東京商工会議事要件録  第四七号・第四―六頁 (明治二四年一月)刊
  第四十三臨時会  (明治二十三年十月二十日開)
    会員出席スル者 ○二十三名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ第二号議案ヲ議スベキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ之ヲ朗読セシム
第二号議案
一来十一月ヲ期シ東京ニ於テ各地商業会議所委員ノ聯合会ヲ開ク筈ノ処、之ヲ見合ハセ、其代リニ本会ニ於テ商法ニ関スル意見書ヲ起草シ之ヲ各地商業会議所ニ送附シテ其意見ヲ問フ事
  去ル八月二十六日ノ臨時総会ニ於テ来十一月ヲ期シ東京ニ於テ各地商業会議所委員ノ聯合会ヲ開キ商法ニ関スル問題ヲ議スル事ニ議決シタルニ付、其後九月四日附ヲ以テ全国五十四ケ所ノ商業会議所ヘ向ケ照会状ヲ発シ同意ヲ求タルニ右ノ中今般商業会議所条例ノ発布ニ際シ全ク解散シタル旨ヲ回報スル者アリ、或ハ右ニ付組織変更ノ為メ聯合会ニ加ハリ難キ旨ヲ回報スル者アリ、又未タ全ク何等ノ回報ヲ為サヾル者アリ、之ヲ要スルニ照会状ヲ発シタル以来今日ニ至ル迄聯合ニ加ハル事ヲ承諾シタル者ハ僅ニ七ケ所
 - 第19巻 p.433 -ページ画像 
ニ過ギズ、然ルニ斯ノ如ク同意者少数ナルニ於テハ折角聯合会ヲ開クモ其効能甚ダ薄弱ナルニ付聯合会ハ之ヲ見合セ、其代リニ本会ニ於テ商法ニ関スル意見書ヲ起草シ之ヲ各地商業会議所ニ送附シテ其意見ヲ問フ方然ルベシト信ズ、是玆ニ本案ヲ提出スル所以ナリ
十四番(永井松右衛門)問フテ曰ク、嘗テ去ル五月中商法質義会ヲ設ケ委員ヲシテ商法ノ質義ヲ為サシメ且ツ修正ヲ要スル事項ヲ調査セシムル事ニ決セシガ、其修正ノ意見書ハ既ニ調成シタルヤ如何ン
会長(渋沢栄一)答テ曰ク、去ル五月中商法質義会ヲ設立スル事ニ決シ、委員ハ先ヅ商法中ノ疑義ヲ質シ、然ル後修正ノ意見書ヲ起草スル見込ニテ爾後数十回集会シテ質義中ナリシガ何分其疑義頗ル多クシテ未ダ全ク質義ヲ了ラズ、依テ其修正ノ意見書ハ未ダ起草スルニ至ラズ、尤質義ハ本月中ニ大半結了スベキ見込ニ付其意見書ハ不日起草ニ着手スベキ手都合ナリ
十四番(永井松右衛門)問フテ曰ク、修正ノ意見書ハ調成ノ上之ヲ会議ニ附スルノ見込ナルヤ
会長(渋沢栄一)答テ曰ク、勿論会議ニ附スル見込ナリ
本案ハ各員全ク異議ナク原案ニ可決ス
次ニ会長(渋沢栄一)ハ玆ニ第二号議案ニ附帯シ一応各員ノ議決ヲ請ヒ度件アリ、即チ委員ガ商法修正ノ意見書ヲ起草スルニ当リテハ専門ノ法律家ニ執筆ヲ托スルノ必要アリ、就テハ其報酬ノ為メ特ニ三百円乃至四百円ノ支出ヲ要スベキ旨ヲ述ベ各員ノ意見ヲ問フタルニ一同異議ナク之ヲ可決ス
次ニ会長(渋沢栄一)ハ先刻既ニ本会ハ商業会議所ノ設立ヲ期シ、之ヲ閉鎖スル事ニ決シタル以上ハ商法ニ関スル事項ノ如キ既ニ着手中ノ事務ニ至リテハ之ヲ結了スル事固ヨリ必要ナリト雖トモ今後働キ懸ケノ事務ハ可成之ヲ起サヾル方可ナリ、就テハ前会ニ於テ内国商業・外国商業・金融・工業・運輸ノ五部ニ各三人ノ調査委員ヲ置キ会頭ヨリ之ヲ指名スル事ニ決シタレトモ是ハ暫ク之ヲ見合ハスベキ旨ヲ報告ス


(大阪商法会議所)月次報告 第二五号・第一三頁 明治二三年九月刊 ○同 ○先ニ東京商工会ヨリノ照会ニ係ル(別紙乙号) ○前掲に対する回答書(DK190054k-0004)
第19巻 p.433 ページ画像

(大阪商法会議所)月次報告  第二五号・第一三頁 明治二三年九月刊
    ○同 ○先ニ東京商工会ヨリノ照会ニ係ル(別紙乙号) ○前掲に対する回答書
拝復陳者本月四日付を以て御照会有之候全国商業会議所聯合会御開会之趣昨廿四日総会に提出諮詢仕候処、従御来意当所よりも委員上京参席仕候事に決定仕候、就而者該聯合会期日迄は可成的調査討究を遂げんが為め商法分担研究会を開設仕、該会の報告をも提帯出席可致様仕候間、該議案御調成相成候はゞ予め御廻送被下置度、右及御回答置候也
                大坂商法会議所会頭
  明治廿三年九月廿五日
                      田中市兵衛
  東京商工会々頭
    渋沢栄一殿