デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第19巻 p.535-549(DK190064k) ページ画像

明治23年12月15日(1890年)

是ヨリ先栄一当会議所設立発起人タリシガ、是日発起人三十八名連署シテ当会議所ヲ設立センコトヲ東京府庁ヲ経テ農商務大臣陸奥宗光ニ申請ス。二十四年一月十二日認可セラル。


■資料

東京商業会議所設立事務報告書 第一―七頁 (明治二四年)刊(DK190064k-0001)
第19巻 p.535-537 ページ画像

東京商業会議所設立事務報告書  第一―七頁 (明治二四年)刊
    東京商業会議所設立事務報告
一明治二十三年九月二十七日午後一時阪本町東京銀行集会所ニ於テ本会議所設立ノ義ニ付有志相談会ヲ開ク当日案内状ヲ発シタル者五十人、其中発起人タル事ヲ承諾シタル者三十三人、其姓名ハ左ノ如シ
                    今村清之助
                    長谷部喜右衛門
                    原亮三郎
                    西邑虎四郎
                    奥三郎兵衛
                    大倉喜八郎
                    岡本弥兵衛
                    渡辺治右衛門
                    柿沼谷蔵
                    川崎八右衛門
                    吉田幸作
                    吉川泰二郎
                    谷元道之
                    奈良原繁
                    中沢彦吉
                    中村道太
                    村越庄左衛門
                    梅浦精一
                    山中隣之助
                    矢島作郎
                    益田孝
                    益田克徳
                    真中忠直
                    古河市兵衛
                    阿部泰蔵
                    浅野惣一郎
                    喜谷市郎右衛門
                    菊池長四郎
                    三野村利郎《(三野村利助)》
 - 第19巻 p.536 -ページ画像 
                    渋沢栄一
                    荘田平五郎
                    籾山半三郎
                    説田彦助
  其後ニ至リ更ニ発起人タル事ヲ承諾シタル者五人其姓名左ノ如シ
                    堀越角次郎
                    杉村甚兵衛
                    薩摩治兵衛
                    前川太郎兵衛
                    小林義則
  当日投票ヲ以テ委員五人ヲ撰ミ申請書ノ起草其他ノ調査ヲ托ス其姓名左ノ如シ
                    渋沢栄一
                    益田孝
                    奈良原繁
                    荘田平五郎
                    阿部泰蔵
一明治二十三年十月三日午後五時木挽町十丁目東京商工会ニ於テ委員会ヲ開ク
一明治二十三年十一月七日午後五時木挽町十丁目東京商工会ニ於テ委員会ヲ開ク
一明治二十三年十一月十八日斎藤商工局長ヨリ商業会議所条例中商事会社役員ノ資格ニ関スル省議ノ次第ヲ通知セラル、其写ハ左ノ如シ
   拝啓商業会議所条例中商事会社ノ役員ニシテ一個人トシテハ商人ナルヤ否ヤノ解釈之義ニ付過日来御打合之趣ハ今般司法省トモ協議之上別紙之通省議決定相成候条御領知相成度大臣ノ命ニ依リ此段申進候也
    明治二十三年十一月十八日
                 商工局長 斎藤脩一郎
     東京商業会議所設立発起人
              委員御中
    別紙
  合名会社及合資会社ニ在テハ其ノ社員、株式会社ニ在テハ其ノ取締役ハ各々商人トシテ商業会議所条例第五条及第六条ノ会員ノ選挙権並被選挙権ヲ有ス、但商法実施以前ニ在テハ商業会議所条例ノ範囲内ニアル各商事会社ノ役員ニシテ、商法ニ規定スル合名会社及合資会社ノ社員若クハ株式会社ノ取締役ニ該当スル業務ヲ執ルモノハ亦各々商人トス
一明治二十三年十二月六日午後六時木挽町十丁目東京商工会ニ於テ発起人総会ヲ開キ、申請書案・会員撰挙規則案及設立費用ノ予算ヲ議定シ且ツ発起人中ヨリ更ニ七名ノ設立委員ヲ撰ミ、設立ニ関スル要務ヲ処弁セシムル事ニ決シ、即チ衆議ノ上右七名ノ中五名ハ是迄ノ委員ヲ以テ之ニ充テ、他ノ二名ハ投票ニヨリ左ノ両氏ヲ撰ンデ之ニ充ツ
 - 第19巻 p.537 -ページ画像 
                    益田克徳
                    梅浦精一
一明治二十三年十二月九日東京商工会ヘ左ノ三項ヲ依頼シ即日同会ノ承諾ヲ得
  一本会議所設立ニ要スル費用ヲ東京商工会ニテ立換支弁スル事
  一本会議所設立事務所ハ東京商工会建物ノ一部ヲ借用シ之ニ充ツル事
  一東京商工会書記萩原源太郎氏ニ改メテ本会議所設立事務取扱ノ主任ヲ托スル事
一明治二十三年十二月十日京橋区木挽町十丁目東京商工会建物ノ中ヘ本会議所設立事務所ヲ置ク


東京経済雑誌 第二二巻第五五〇号・第八一三頁 明治二三年一二月六日 ○東京商業会議所発起人総会(DK190064k-0002)
第19巻 p.537 ページ画像

東京経済雑誌  第二二巻第五五〇号・第八一三頁 明治二三年一二月六日
    ○東京商業会議所発起人総会
東京商業会議所発起委員諸氏には先頃中より数次会合して同所創立手続方法等に就て協議を遂げ居たりしが、竟に其事結了せしを以て愈々本日午後五時より東京商工会議事堂に於て創立発起人総会を開き、設立の手続・会員撰挙規則・設立費予算及創立申請書等の熟議を為すと云ふ、今其の要項を聞くに
 一 会議所の名称  東京商業会議所
 二 設立地の区域  東京市十五区
 三 設立地の商業者中会員の撰挙権を有する者及被撰挙権を有する者の概数
   撰挙権を有する者   千二百八十名
   被撰挙権を有する者 千五百九十五名
 四 会員の定数         五十名
等にして、設立費予算は合計千二百八十円なりと


東京経済雑誌 第二二巻第五五一号・第八五三頁 明治二三年一二月一三日 ○東京商業会議所設立発起人相談会(DK190064k-0003)
第19巻 p.537-538 ページ画像

東京経済雑誌  第二二巻第五五一号・第八五三頁 明治二三年一二月一三日
    ○東京商業会議所設立発起人相談会
同会は去六日午後五時より商工会議事堂に於て開会せり、出席員は僅に十余名なりしが、右の人員にて相談に取掛り、先づ同会議所にて熟議せられたる決議の大要は左の如し
 一発起人中より七名の設立委員を撰み左の事項を委任する事
 第一撰挙人及被撰挙人の資格を審査し其名簿を作る事
 第二予算書に依り必要なる費用を支弁する事
 第三右の外設立に要する要務を処弁する事
 一右設立委員の中五名は従来の委員渋沢栄一・益田孝・奈良原繁・荘田平五郎・阿部泰蔵氏に委任し、他の二名は発起人中より投票を以て撰挙する事
右の件々の議了に尋て設立委員の補欠二名の撰挙を為したり、当撰者は益田克徳・梅浦精一の両氏なり、尚ほ左の件々を議決せり
 一東京商工会に依頼して設立費の立換を請ふ事
 一東京商工会建物の一部を借受け東京商業会議所設立事務所を設る
 - 第19巻 p.538 -ページ画像 

 一東京商工会書記萩原源太郎氏に書記長の任を托する事
終りて十一時頃散会せりと云ふ


庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0004)
第19巻 p.538 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年     (東京府文庫所蔵)
    東京商業会議所設立申請書進達願
今般私共三十八名発起人トナリ商業会議所条例並ニ該条例施行規則ニ依リ東京市ニ商業会議所ヲ設立仕度ニ付、別紙申請書ヲ差出候間何卒農商務大臣閣下ヘ御進達之上至急御認可相成候様御取扱被下度、此段別紙申請書相添奉願上候也
              東京商業会議所
              設立発起人三十八名総代
              東京市深川区福住町四番地
  明治二十三年十二月十五日      渋沢栄一
    東京府知事 侯爵 蜂須賀茂韶殿
   ○右綴込ニハ別紙申請書ヲ欠クガ、ソレハ次掲ノ資料ト同一内容ノモノト推定サル。


東京商業会議所設立事務報告書 第七―二〇頁 (明治二四年)刊(DK190064k-0005)
第19巻 p.538-542 ページ画像

東京商業会議所設立事務報告書  第七―二〇頁 (明治二四年)刊
一明治二十三年十二月十五日商業会議所条例第二条ニ依リ東京府知事ヲ経由シ本会議所設立申請書ヲ農商務大臣ヘ差出ス、其写ハ左ノ如シ
  東京商業会議所設立申請書
今般私共三十八名発起人トナリ商業会議所条例並ニ該条例施行規則ニ依リ東京市ニ商業会議所ヲ設立仕度、左ニ要項ヲ具シテ申請仕候間御認可被下度、依テ別紙会員撰挙規則並ニ設立費用予算書相添此段連署ヲ以テ申請仕候也
 明治二十三年十二月十五日
            日本橋区亀島町一丁目三番地
                    今村清之助
            日本橋区大伝馬町二丁目七番地
                    長谷部喜右衛門
            日本橋区本町三丁目十七番地
                    原亮三郎
            神田区北甲賀町四番地
                    西邑虎四郎
            深川区堀川町二番地
                    奥三郎兵衛
            赤坂区葵町三番地
                    大倉喜八郎
            本所区松坂町一丁目四番地
                    岡本弥兵衛
            日本橋区本材木町一丁目七番地
                    渡辺治右衛門
 - 第19巻 p.539 -ページ画像 
            日本橋区小網町一丁目十一番地
                    柿沼谷蔵
            本所区千歳町四十六番地
                    川崎八右衛門
            神田区同朋町十一番地
                    吉田幸作
            本所区横網町二丁目十八番地
                    吉川泰二郎
            芝区三田一丁目四十六番地
                    谷元道之
            麹町区飯田町三丁目十三番地
                    奈良原繁
            京橋区南新堀町一丁目四番地
                    中沢彦吉
            京橋区南鞘町二十七番地
                    中村道太
            日本橋区長谷川町二十六番地
                    村越庄左衛門
            京橋区木挽町九丁目十一番地
                    梅浦精一
            京橋区南伝馬町一丁目十七番地
                    山中隣之助
            麻布区三河台町二十八番地
                    矢島作郎
            荏原郡北品川宿二百六十番地
                    益田孝
            下谷区金杉村四百十二番地
                    益田克徳
            京橋区桶町十四番地
                    真中忠直
            日本橋区瀬戸物町七番地
                    古河市兵衛
            麻布区飯倉町三丁目十五番地
                    阿部泰蔵
            深川区清住町一番地
                    浅野惣一郎
            京橋区大鋸町六番地
                    喜谷市郎右衛門
            日本橋区元浜町八番地
                    菊池長四郎
            深川区西大工町十八番地
                    三野村利助
            深川区福住町四番地
                    渋沢栄一
 - 第19巻 p.540 -ページ画像 
            神田区三崎町二丁目九番地
                    荘田平五郎
            日本橋区小舟町二丁目五番地
                    籾山半三郎
            京橋区南新堀町一丁目十一番地
                    説田彦助
            日本橋区通旅籠町十四番地
                    堀越角次郎
            日本橋区新材木町一番地
                    杉村甚兵衛
            日本橋区堀留町二丁目八番地
                    前川太郎兵衛
            日本橋区田所町三番地
                    薩摩治兵衛
            日本橋区本町四丁目十六番地
                    小林義則
    農商務大臣 陸奥宗光殿
    要項
 一 会議所ノ名称
    東京商業会議所
 二 設立地ノ区域
    東京市十五区
 三 設立地ノ商業者中会員ノ撰挙権ヲ有スル者及被撰挙権ヲ有スル者ノ概数
    撰挙権ヲ有スル者    千二百八十名
    被撰挙権ヲ有スル者   千五百九十五名
 四 会員ノ定数
    五十名
  以上
(別紙)
    東京商業会議所会員撰挙規則
 第一条 本会議所ノ会員ハ此規則ニ依リ撰挙セラルベシ
 第二条 撰挙人及被撰挙人ノ名簿ニハ其資格アル者ノ氏名・営業・営業所ノ位地及生年月日ヲ記載スベシ
   商事会社ハ其名称・位地及営業ヲ記載スベシ
 第三条 発起人ハ東京府庁及区役所ニ就キ撰挙人及被撰挙人ノ資格ヲ調査シ、且其資格ニ関スル条項ヲ公告シテ合格者ノ申出ヲ求ムベシ
 第四条 発起人ハ撰挙人及被撰挙人ノ名簿ヲ調製シ商業会議所条例施行規則第五条ニ依リ東京府知事ノ証明ヲ受ケ其旨ヲ公告シ、本会議所設立事務所(京橋区木挽町十丁目十三番地東京商工会)ニ於テ七日間ヲ限リ東京市ノ商業者ニ閲覧ヲ得セシムベシ、若シ其期間ニ名簿ノ記載ニ関シ異議ノ申出アリタルトキハ之ヲ審判スベシ
 - 第19巻 p.541 -ページ画像 
 第五条 撰挙人及被選挙人ノ名簿ハ前条閲覧期日ノ経過ヲ以テ確定トシ、期日後之ニ関スル異議ノ申出ヲ為スヲ得ズ、若シ被選挙人名簿ニ記載セラレタル者ニシテ其資格ヲ失ヒタルトキハ其投票ヲ無効トスベシ
 第六条 発起人ハ東京府知事ヨリ会員選挙ノ期日ヲ予告シタル時ハ直ニ被選挙人名簿ノ写・投票用紙及其封筒ヲ選挙人ニ配付スベシ
 第七条 選挙人ハ東京府知事ノ指定シタル日時・場所ニ於テ五十名ノ会員ヲ撰挙スベシ
   被撰挙人中同姓同名ノ者アル時ハ住所若クバ職業ヲ附記スベシ投票用紙及封筒ハ発起人ヨリ交付シタルモノヲ用ユベシ
 第八条 選挙人ハ自身出頭スルト代人ヲ差出ストヲ問ハズ、前条ノ投票ヲ撰挙場ニ備ヘアル投票函ニ投入スベシ
 第九条 撰挙場ニハ鎖鑰ヲ具フル投票函・撰挙人名簿・被撰挙人名簿及撰挙明細書ヲ備ヘ置キ撰挙委員之ヲ管守スベシ
 第十条 撰挙委員ハ撰挙人中ニ就キ立会人二名ヲ指定シ選挙ニ立会ハシムベシ
 第十一条 選挙委員ハ選挙投票ノ終リタル後、立会人ノ面前ニ於テ被選挙人ノ投票ヲ点撿シ其多数ニ依リテ当選者ヲ定ムベシ、投票ノ得点同数ナル時ハ抽籤ヲ以テ当選者ヲ決スベシ
 第十二条 左ノ項ニ触ルヽ投票ハ其全部ヲ無効トス
    一発起人ノ定メタル投票用紙若クバ封筒ヲ用ヒザルモノ
   左ノ項ニ触ルヽ投票ハ其部分ヲ無効トス
    一被選挙人名簿ニ記載ナキ氏名ヲ掲ゲタルモノ
    二記載ノ氏名分明ナラザルモノ
    三同姓同名ノ者ニ住所若クバ職業ヲ附記セザル者
 第十三条 投票ニ記載ノ被撰挙人ノ数五十名ニ満タザルモ其記載ヲ無効トセズ、又五十名ニ超ルトキハ、左末ヨリ其過数ヲ除却スベシ
   同一ノ氏名ヲ複記シタルトキハ一人トシテ計算スベシ
 第十四条 撰挙委員ハ撰挙明細書ニ左ノ事項ヲ記入シ立会人ト共ニ記名捺印シ、点撿済ノ投票其他諸書類物件ト共ニ東京府知事ニ差出スベシ
    一 投票ノ年月日時
    二 開票ノ年月日時
    三 投票ノ総数
    四 被撰挙人ノ氏名及得点数
    五 当撰者
   右ノ外、撰挙委員ニ於テ必要ト認メタル事項ハ便宜記入スル事ヲ得ベシ
 第十五条 当撰者確定シ東京府知事ヨリ其報告ヲ受ケタル時ハ発起人ハ其氏名ヲ農商務大臣ニ届出テ且ツ之ヲ公告スベシ
 第十六条 発起人ハ本会議所最初ノ集会ヘ設立ノ事務ヲ報告シ諸書類物件ヲ引継グベシ

図表を画像で表示東京商業会議所設立費用予算書

  以下p.542 ページ画像 東京商業会議所設立費用予算書  科目        設算額    内訳 集会費       一五〇円   会議所設立ニ至ル迄発起人会及委員会ヲ合セテ十回開クモノトシ、弁当料席料其他ノ費用ヲ合シ一回ニ付平均金拾五円ヲ要スル見込ナリ 雇給        二五〇円   (一)専務取扱ノ為メ                    常傭延人員二〇〇人ノ傭給一人ニ付平均五〇銭ニテ一〇〇円                  (二)名簿調査ノ為メ                    臨時傭延人員三〇〇人ノ傭給一人ニ付平均五〇銭ニテ一五〇円 人足並人力車雇賃   八〇円   (一)撰挙人ヘ書状配附等ノ為メ                    人足延人員二〇〇人ノ傭賃一人ニ付平均三〇銭ニテ六〇円                  (二)諸向奔走ノ為メ                    人力車延日数五〇日ノ傭賃一日ニ付平均四〇銭ニテ二〇円 用紙文具類      五〇円   是ハ精細ノ見込立チ難キニ付曩ニ衆議院議員撰挙ノ節東京府ニテ用紙購入ノ為メ費消シタル金高ヲ参酌シテ其概数ヲ玆ニ掲グ 印刷代       二四〇円   (一)被撰挙人名簿一、五〇〇部印刷代一部ニ付一〇銭ニテ一五〇円                  (二)投票用紙一、五〇〇印刷代一部ニ付三銭ニテ四五円                  (三)封筒一、五〇〇印刷代一部ニ付一銭ニテ一五円                  (四)外ニ議案又ハ報告書ノ類印刷代概算……三〇円 広告料       二八七円   (一)条例施行規則第二条ニヨリ                    設立認可ノ公告(七日間十種ノ新聞紙ヘ広告)一日一新聞紙ニ付七〇銭ニテ四九円                  (二)条例施行規則第三条ニヨリ                    撰挙施行ノ公告(七日間十種ノ新聞紙ヘ広告)一日一新聞紙ニ付七〇銭ニテ四九円                  (三)会員撰挙規則第三条ニヨリ                    撰挙被撰挙人資格ノ公告(七日間十種ノ新聞紙ヘ公告)一日一新聞紙ニ付二円ニテ一四〇円                  (四)会員撰挙規則第四条ニヨリ                    名簿縦覧ノ公告(七日間十種ノ新聞紙ヘ広告)一日一新聞紙ニ付七〇銭ニテ四九円 雑費        一〇〇円   是ハ前記科目外ニ要スル一切ノ費用ヲ支弁スル見込ナリ 合計      一、一五七円 




庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0006)
第19巻 p.542 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年      (東京府文庫所蔵)
明治廿三年十二月十六日        主任
知事
 内務部長   第二課長   農商掛首席
    商業会議所設立ニ付諮問案
  東京市参事会
      知事殿              知事
東京商業会議所設立申請書主務大臣ヘ進達ノ義、該設立発起人総代渋沢栄一ヨリ別紙ノ通願出候ニ付、同会議所条例第二条第二項ニ拠リ諮問候条其会ノ意見申出ヘシ
  (理由)商業会議所条例第二条第二項ノ成文ハ左ノ如シ
   地方長官ハ商業会議所設立ノ申請ヲ受ケタルトキハ郡若クハ市参事会ニ諮問シテ其意見ヲ徴シ、尚身己ノ意見ヲ添ヘ農商務大臣ニ進達スヘシ
  右ニ因リ本按諮問ヲ要ス
   ○右ハ明治二十三年十二月十六日、府庁主任掛ノ起草セシ諮問按ニシテ実際ニ送達セシモノト推定サル。


東京商業会議所設立事務報告書 第二一頁 (明治二四年)刊(DK190064k-0007)
第19巻 p.542 ページ画像

東京商業会議所設立事務報告書  第二一頁 (明治二四年)刊
一明治二十三年十二月二十六日午後三時木挽町六丁目日本鉄道会社ニ於テ設立委員会ヲ開ク
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庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0008)
第19巻 p.543 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年      (東京府文庫所蔵)
    商業会議所設立ノ儀諮問ニ付復申
東京商業会議所設立ノ儀御諮問ニ付審議ヲ遂ケ候処、会社員中管理権ヲ有スルノ故ヲ以商人ト認ル儀ハ商法第四条ニ明文無之ニ付発起人中右等ノ者ハ相省キ候方相当ト存候、此段復申候也
  明治廿三年十二月廿七日
            東京市参事会
              東京府知事 侯爵 蜂須賀茂韶
    東京府知事 侯爵 蜂須賀茂韶殿


庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0009)
第19巻 p.543 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年      (東京府文庫所蔵)
明治廿三年十二月廿七日        主任 ○氏名略
知事
 内務部長    第二課長    掛首席
    東京商業会議所設立申請之進達按
  農商務大臣殿
東京商業会議所設立申請之進達ノ義、発起人渋沢栄一ヨリ別紙ノ通願出候ニ付、市参事会ヘ諮問候処、別紙之通答申ニ有之候、依テ取調候処該会議所設置ノ義ハ必要ニシテ其区域ニ於テモ異存無之候得共、発起人ノ資格ニ於テハ不合格ノ者参事会答申之通有候ト相考候ニ付、其旨願人ヘ指示シ候得共、願人ニ於テハ合格ノ見込ニテ進達願出候旨書面其儘及進達候也
   ○右ハ明治二十三年十二月二十七日、府庁主任掛ノ起草セル進達按ナリ。


庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0010)
第19巻 p.543 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年      (東京府文庫所蔵)
商第六号
明治廿三年法律第八拾一号商業会議所条例ノ規定ニ依リ東京商業会議所ノ設立ヲ認可ス
 但シ会員選挙規則中左ノ通訂正スヘシ
  明治廿四年一月十二日
            農商務大臣 陸奥宗光
 一第十五条中発起人ハノ下、其氏名ノ農商務大臣ニ届出テ且ツノ十五字ヲ刪除ス
 二第十二条ノ後項第三号ヲ刪除シ第十三条ノ後項同一云々ノ同ノ上ニ、同姓同名ノ者ニ住所若クハ職業ヲ附記セサルモノ及ヒノ廿四字ヲ加フヘシ


庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0011)
第19巻 p.543-544 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年      (東京府文庫所蔵)
    記
一東京商業会議所設立御認可状    壱通
 右御下附相成正ニ受領仕候也
               東京商業会議所
               発起人代
 - 第19巻 p.544 -ページ画像 
  二十四年一月廿一日
                    萩原源太郎《(萩原)》
    東京府
       第二課
           御中


東京商業会議所設立事務報告書 第二二頁 (明治二四年)刊(DK190064k-0012)
第19巻 p.544 ページ画像

東京商業会議所設立事務報告書  第二二頁 (明治二四年)刊
一明治二十四年一月二十八日農商務大臣ヨリ本会議所設立ノ認可ヲ得タル旨ヲ発起人一同ヘ通知ス


東京商業会議所設立事務報告書 第二四―二七頁 (明治二四年)刊(DK190064k-0013)
第19巻 p.544-545 ページ画像

東京商業会議所設立事務報告書  第二四―二七頁 (明治二四年)刊
一明治二十四年二月三日兼テ農商務大臣ヨリ下附セラレタル設立認可状ニ別記スル事項ニ関シ同大臣ニ伺書ヲ差出ス、其写ハ左ノ如シ
  謹テ今般御交附相成候東京商業会議所設立認可状ヲ案スルニ、其別記第二項ニ会員撰挙規則第十二条ノ後項第三号、即チ「同姓同名ノ者ニ住所若クバ職業ヲ附記セザルモノ」ノ文字ヲ刪リ、更ニ之ヲ第十三条後項ノ上ニ加ヘ候様御指示有之、右ハ畢竟原案ニ拠ル時ハ同姓同名ノ者ニ住所若クバ職業ヲ附記セザル場合ト同一ノ氏名ヲ複記シタル場合トハ、其形跡上撰挙人ノ意思果シテ何レニ在ルカヲ撿定スルノ根拠ナクシテ不都合ナリトノ御趣意ナランカト拝察仕候得共、若シ右御指示ノ如ク訂正仕候時ハ例ヘバ麹町区ニ甲ト称スル者アリ京橋区ニモ亦甲ト称スル者アルニ当リ、撰挙人ガ投票ニ甲ナル名称二個ヲ記載シ之ニ住所若クバ職業ヲ附記セザル場合ニ於テハ之ヲ一人トシテ計算シタル上、其得点ヲ麹町区ノ甲ニ附スベキヤ将タ京橋区ノ甲ニ附スベキヤ、其順序不分明ニシテ実地取扱上不便可有之ト奉存候ニ付、前記第十二及第十三両条ハ寧ロ原案ノ通リニ据ヘ置キ、被撰挙人中同姓同名者アル場合ニハ予メ之ヲ調査シ、被撰挙人名簿中見易キ部分ヘ掲示シテ充分撰挙人ノ注意ヲ促カシ、而シテ若シ撰挙人ガ投票ニ同様ノ名称ヲ再記シ之ニ区別ヲ附セザル場合ニ於テハ、先ヅ其者ハ他ニ同姓同名ノ者アルヤ否ヤヲ審査シ、若シ果シテ他ニ同姓同名ノ者アル時ハ撰挙人ガ仮令同一ノ氏名ヲ複記スルノ意思ヲ以テ記載シタリトスルモ、総テ之ヲ同姓同名ノ者ニ住所若クバ職業ヲ附記セザルモノト看做シテ取扱候様仕度、是実ニ発起人ガ曩ニ第十二及第十三両条ヲ原案ノ如ク草定シタル所以ニ御座候、依テ此段奉伺候也
    二十四年二月三日
            東京商業会議所設立発起人総代
                      梅浦精一
                      益田克徳
                      阿部泰蔵
                      荘田平五郎
                      奈良原繁
                      益田孝
                      渋沢栄一
    農商務大臣 陸奥宗光殿
 - 第19巻 p.545 -ページ画像 
一明治二十四年二月十二日農商務大臣ヨリ前項ノ伺書ニ対シ指令書ヲ下附セラル、其写ハ左ノ如シ
  農商務省指令商第二三二号
                 東京商業会議所設立発起人
  明治二十四年二月三日付会員撰挙規則訂正ニ関スル件伺左ノ通心得ヘシ
   明治廿四年二月十二日    農商務大臣 陸奥宗光
一明治二十四年一月十二日東京商業会議所設立認可書別記第二項取消ス
一明治二十四年二月十九日本会議所設立事務所ヲ日本橋区南茅場町二十三番地ニ移ス
   ○本巻「東京商工会」明治二十二年九月九日(第一八七頁)、同二十三年八月二十八日(第四一三頁)、同二十四年八月三十一日第四六二頁)ノ各条参照。



〔参考〕庶政要録 第二課 明治廿四年(DK190064k-0014)
第19巻 p.545-546 ページ画像

庶政要録  第二課 明治廿四年         (東京府文庫所蔵)

 営業名    生年月  族籍      住地     姓名
今村銀行頭取  嘉永二  東京府   日本橋区亀島町 今村清之助
        年三月  平民    一丁目三番地
油商      安政五  東京府   日本橋区大伝馬 長谷部喜右衛門
        年十二月 平民    町二丁目七番地
書籍出版営業  嘉永元  東京府   日本橋区本町三 原亮三郎
        年十月  士族    丁目十七番地
三井銀行副長  天保元  東京府   神田区北甲賀町 西村虎四郎
        年十月  平民    四番地
肥料問屋兼   天保七  東京府   深川区堀川町二 奥三郎兵衛
廻米問屋業   年十二月 平民    番地
日本土木会社  天保九  東京府   赤坂区葵町三番 大倉喜八郎
長       年九月  平民    地
紙商      安政四  東京府   本所区松坂町一 岡本弥兵衛
        年十一月 平民    丁目四番地
塩干魚問屋商  弘化四  東京府   日本橋区本材木 渡辺治右衛門
        年十一月 平民    町一丁目七番地
洋糸商     安政三  東京府   日本橋区小網町 柿沼谷蔵
        年六月  平民    一丁目十一番地
川崎銀行頭取  天保五  東京府   本所区千歳町四 川崎八右衛門
        年十一月 平民    十六番地
東海銀行頭取  安政二  東京府   神田区同朋町十 吉田幸作
        年八月  平民    一番地
日本郵船会社副 嘉永三  和歌山県  本所区横網町二 吉川泰二郎
社長      年十二月 平民    丁目十八番地地
東京株式取引所 弘化二  鹿児島県  麹町区飯田町三 奈良原繁
頭取      年五月  士族    丁目十三番地
酒類問屋商   天保七  東京府   京橋区南新堀町 中沢彦吉
        年三月  平民    一丁目四番地
東京米商会所頭 天保七  東京府   京橋区南鞘町二 中村道太
取       年三月  士族    十七番地
呉服商     安政六  東京府   日本橋区長谷川 村越庄左衛門
        年三月  平民    町二十六番地
石川島造船所委 嘉永五  新潟県   京橋区木挽町九 梅浦精一
員       年二月  平民    丁目十一番地
第三十三国立銀 天保十  東京府   京橋区南伝馬町 山中隣之助
行取締役    一年七月 平民    一丁目十七番地
東京電灯会社々 天保十  東京府   麻布区三河台町 矢島作郎
長       年正月  平民    二十八番地
外国貿易商   嘉永元  東京府   日本橋区兜町五 益田孝
        年十一月 平民    番地
日本製鉄会社々 天保八  埼玉県   京橋区桶町十四 真中忠直
長       年五月  平民    番地
礦山営業    天保三  東京府   日本橋区瀬戸物 古河市兵衛
        年三月  平民    町七番地
明治生命保険会 嘉永二  東京府   麻布区飯倉町三 阿部泰蔵
社頭取     年四月  平民    丁目十五番地
セメント製造業 嘉永元  東京府   深川区清住町一 浅野総一郎
        年十二月 平民    番地
売薬商     弘化四  東京府   京橋区大鋸町六 喜谷市郎右衛門
        年十月  平民    番地
呉服太物商   嘉永五  東京府   日本橋区元浜町 菊地長四郎
        年十二月 平民    八番地
日本銀行理事  天保十  東京府   深川区西大工町 三野村利助
        四年七月 平民    十八番地
 - 第19巻 p.546 -ページ画像 
第一国立銀行頭 天保十  東京府   深川区福住町四 渋沢栄一
取       一年二月 平民    番地
東京倉庫会社取 弘化四  大分県   神田区三崎町二 荘田平五郎
締役      年十月  士族    丁目九番地
鰹節商     嘉永元  東京府   日本橋区小舟町 籾山半三郎
        年四月  平民    二丁目五番地
酒問屋商    嘉永元  東京府   京橋区南新堀町 説田彦助
        年二月  平民    一丁目十一番地
舶来織物呉服商 天保十  東京府   日本橋区通旅籠 堀越角次郎
        年三月  平民    町十四番地
舶来織物商   嘉永六  東京府   日本橋区新材木 杉村甚兵衛
        年三月  平民    町一番地
洋糸金巾商   嘉永四  東京府   日本橋区堀留町 前川太郎衛《(前川太郎兵衛)》
        年一月  平民    二丁目八番地
和洋木綿商   天保元  東京府   日本橋区田所町 薩摩治兵衛
        年三月  平民    三番地
書籍出版営業  弘化四  滋賀県   日本橋区本町四 小林義則
        年十一月 士族    丁目十六番地

   ○右資料ハ当会議所発起人ノ住所氏名職業等ヲ記セルモノナレドモ、谷元道之・益田克徳ノ両名ニ就キテハ欠除シテ記ストコロナシ。



〔参考〕東京経済雑誌 第二二巻第五四〇号・第四三一頁 明治二三年九月二七日 ○農商務大臣商業会議所の設立を促かす(DK190064k-0015)
第19巻 p.546 ページ画像

東京経済雑誌  第二二巻第五四〇号・第四三一頁 明治二三年九月二七日
    ○農商務大臣商業会議所の設立を促かす
陸奥農商務大臣は、去る二十日当市の重立ちたる商工業者廿七八名を農商務省に召集し、先きに発布せられたる商業会議所条例を制定したる由来、並に商業会議所の商業社会に必要なる理由を反覆諭示せられ諸氏に於ても同感なれば速かに奮ひて首府に於ける商工業の為めに発起人若しくは会員となりて、商業会議所の設立に尽力せられんこと切望に堪えざる旨を演説せられたり、是に於て来会の諸氏は大臣に向ひて二三の質問を為し了りて、大臣の退場せられたる後ち同処に於て相談会を開き種々協議せしか、尚ほ本日坂本町銀行集会所に於て集会を開き以て更に詳細なる協議を為すことに決せり



〔参考〕東京経済雑誌 第二二巻第五四一号・第四四三―四四五頁 明治二三年一〇月四日 ○新商業会議所設立に関する注意(DK190064k-0016)
第19巻 p.546-548 ページ画像

東京経済雑誌  第二二巻第五四一号・第四四三―四四五頁 明治二三年一〇月四日
    ○新商業会議所設立に関する注意
府下の紳商数十名は、先きに発布せられたる商業会議所条例の主旨に基き、玆に商業会議所を設立せんとして、近頃数次協議会を催うしたる末、委員五名を設くることに決し、渋沢栄一・益田孝・奈良原繁・荘田平五郎・阿部泰造《(阿部泰蔵)》の諸氏其選に当りて各々受任したりと云ふ、左れは該条例の配下に属する商業会議所の新立を見る亦た当さに遠きにあらざるべき歟、余輩は此の報道を得て先づ喜べり、然れども熟々将来の成り行きを考ふるに及ひ、世の商業者諸氏に向ひて聊か注意を促さゞるべからざるを思ふ
余輩は先づ思へらく、何故に府下の商業者諸氏が該条例の発布と倶に早速商業会議所を新設せざるべからずとする乎、農商務省は商工業の代議機関あらんことを希望せり、然れども該条例は強て旧来の商法会議所を毀ちて其の管轄の下に立てる商業会議所を改設すべしとは命せざるなり、今ま之を改設するも将た之を改設せざるも、商業者諸氏の意見如何に在りとす、故に情実・義理合ひの自から勢力を逞うするか為め特に新設するに至らば兎に角、苟くも然らざる以上は、充分の審議を尽すの責任は誰れか当らん、即ち商業者諸氏に非ずや
蓋し府下の商業者諸氏は此の件に関して深く心を用ひらるゝや如何、其の多数は果して我不関焉、の趣きあらざるや如何、斯の如くんば諸
 - 第19巻 p.547 -ページ画像 
氏或は政府の真意に違ふことなき乎、政府の真意は誠実に商業の利益を進めんことを切望し、其の利益を進めんには、商業者の意見を代表する実際の討議論説を聞くことを必要とし、サテコソ商業会議所てふ代表機関の新設を促かしたる所以なり、此の誠実なる勧誘に対して世の商業者夫れ将た冷然たる待遇を為さんとする乎
且つ又た商業会議所にして新条例の下に立つときは、之れに附帯して生する所の義務を負はざるべからず、之れが為めに商業者が一般に租税を賦課せらるゝこと其の一なり、当選の会議所議員は故なく拒辞する能はざること其の二なり、而して之れか経費は少なくとも今一万円内外を要すべく、府下の商業者を以て仮りに一万人と見做すときは平均一人の負担高は金一円内外に当る、連年連月租税繁苛に進みて民費の増加愈々底止する所を知らざる今前今後の世態に際し、此の年費豈に容易なりとせんや、世の商業者抑々之を軽視する乎
農商務省の調査によれば、従来全国に於ける商工会若くは商工会議所の数は、総て五十二ケ所の多きに及べり、是等は不必要にして起るべき謂はれなく、又た不必要にして存立すべき理由あるべからず、彼等は現に興起し、又た現に生存して、覚束なくも世の需要に応じつゝあるなり、彼等は未た進歩の極度に達せず、未た完美の域に到らざるなり、彼等か為すべきの地甚た広濶なり、彼等の前途猶ほ茫漠たり、之を欧米各国の会議所に比すれば或は大人の小児に於けるが如き感なきにしもあらざるべし、然れども其の理由は蓋し明かなり
深山大沢竜蛇を生ず、我か商法会議所の欧米に劣る所以のものは、我か国状の彼れに及ばず、民度の彼れに達せざるか為めなり、豈に唯々一の商法会議所のみを責むべけん、之をして然からしむる所以の原因は抑々根本にありて存す」従来の商法会議所は多くは土地の有志者より成りて、其の費用は寧ろ協議的有志金を以て維持し来れるなり、有志者の尽力により、有志者の負担によりて成る所の事業は即ち直接に之によりて利益を受くるに因るなり、直接に報酬を受るか為めに直接に労力金銭を投する是れ寔とに自然の交易なり、苟くも之を以て専売となさヾる以上は其の間に毫末も不都合あるべからざるなり
唯々玆に用心すべきは商法会議所てふ勢力ある団結か、時としては某某二三子専有の機関となりて、単に之を一個人の利益に供すること是れなり、堂々たる議員は二三子の家来の如く隷属の如く、往々にして其の議決を一二人の意見に委任すること是れなり、今回発布せられたる商業会議所条例の精神は或は是等の弊害に対して幾分か防禦するの効力あるべき歟、然りと雖とも吾人の習慣か第二の天性たるか如く、社会の習慣は社会の天性となりて復た容易に動かすべからす、一法令の力焉んぞ能く俄かに之を改め更ふることを得んや
今日の権兵衛は昨日の権兵衛にあらず、昨日権兵衛てふ身心を組織したる分子は既に去りて復た今日の有様と同しからざるなり、然りと雖とも何れの幻術乎よく今日の嬰児を明日の大人となすことを得るや、社会の習慣性は閑人をして愈々閑ならしめ、多忙なる人をして益々繁忙ならしむるか如く、社会はヨモ本多忠勝を九泉に呼ひ起して商法会議所の会長に任せざるべし
 - 第19巻 p.548 -ページ画像 
相手変れと主変《ぬし》らず、家は異なれとも主は一つ、商業会議所か新条例の下に立ちて種々の義務を負ふと、旧来の如く自由の組織に成ると、名は変り組織は異なれども社会殊に商業者の受くべき利益に関し、之れか為めに果して幾何の進歩を著はすべき乎、旧来永く保存し来りし五十有余の商法会議所を俄然破壊して、一朝新条例の配下に新会議所を起し強て新たに租税を商民に賦課したるの後ち、果して幾何の新利益を実際に現はすべき乎
新条例の精神は商法会議所をして自治の代議機関たらしむるに在り、余輩誠とに之を美なりとす、而して其の玆に進むの方法は新条例の下に立つに在る乎、将た旧来の儘に据置くにある乎、法律の力を仮りて強行するにある乎、将た自由の組織によりて自然の発達を待つべき乎諸君請ふ之を教へよ



〔参考〕東京経済雑誌 第二三巻第五五七号・第一三二頁 明治二四年一月三一日 ○商業会議所名称設立地区域及会員定数(DK190064k-0017)
第19巻 p.548-549 ページ画像

東京経済雑誌  第二三巻第五五七号・第一三二頁 明治二四年一月三一日
    ○商業会議所名称設立地区域及会員定数
農商務省より既に設立の認可を与へられたる商業会議所は凡て六所にして、其名称・設立地区域及び会員の定数は左の如し

  名称      設立地の区域      会員の定数
 東京商業会議所   東京市          五十名
 大阪同       大阪市          五十名
 神戸同       神戸市          四十名
 名古屋同      名古屋市         三十五名
 広島同       広島市          三十名
 岐阜同       岐阜市          三十名

   ○明治二十四年以降商業会議所ハ漸次各地ニ設置セラレ、昭和二年ニハ実ニ七十七ケ所ノ多キニ達スルニ至レリ。詳細ハ次表ヲ参照。
         商業会議所変遷表

     年次   会議所数     新設会議所名      廃止会議所名
    明治二四年  一五  東京・大阪・神戸・名古屋・広島
               岐阜・大津・金沢・仙台・京都・
               堺・赤間関・高知・博多・熊本
    同 二五年  一八  静岡・岡崎・尾道
    同 二六年  三三  栃木・宇都宮・浜松・豊橋・知多
               四日市・津・桑名・大垣・福井・
               富山・青森・岡山・長崎・鹿児島
    同 二七年  三五  八王子・松江
    同 二八年  四一  横浜・高崎・上田・伏見・函館
               小樽
    同 二九年  四六  水戸・太田・高岡・新潟・佐賀
    同 三〇年  五一  石岡・湊・山形・酒田・阿波
    同 三一年  五三  前橋・松山
    同 三二年  五六  直江津・和歌山・久留米
    同 三三年  五八  川越・長野
    同 三四年  五七                  太田
    同 三五年  五四  (赤間関ガ下関ト阿波ガ徳島ト  石岡・湊
                改称セラル)         堺
    同 三六年  五四
    同 三七年  五三                  桑名
 - 第19巻 p.549 -ページ画像 
    同 三八年  五二                  松山
    同 三九年  五三  長岡
    同 四〇年  五五  敦賀・弘前
    同 四一年  五八  松本・秋田・札幌
    同 四二年  六〇  甲府・高松
    同 四三年  六〇
    同 四四年  六〇
    大正元年   六〇
    同 二年   六〇
    同 三年   六〇
    同 四年   六〇
    同 五年   六〇
    同 六年   五九                  伏見
    同 七年   六〇  福島
    同 八年   六〇
    同 九年   六二  旭川・門司
    同 一〇年  六四  一宮・松山
    同 一一年  六五  姫路
    同 一二年  六五
    同 一三年  六五
    同 一四年  七六  堺・室蘭・釧路・郡山・盛岡・沼津
               鳥取・呉・小倉・若松・佐世保
    昭和元年   七六
    同 二年   七七  明石

      備考 各年度統計年鑑ニヨリテ作成ス