デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第20巻 p.390-399(DK200039k) ページ画像

明治26年11月28日(1893年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、綿糸輸出税及棉花輸入税ヲ免除センコトヲ再ビ大蔵大臣渡辺国武・農商務大臣伯爵後藤象二郎ヘ建議ス。次イデ十二月二日衆議院議長星亨ニ、同四日貴族院議長侯爵蜂須賀茂韶ニ請願ス。翌二十七年綿糸輸出税免除案第六帝国議会ニ於テ可決セラレ、同年五月二十五日法律第四号ヲ以テ公布セラル。依テ同年八月当会議所、大日本綿糸紡績同業聯合会委員長佐伯勢一郎ヨリ謝状ヲ贈ラル。


■資料

東京商業会議所月報 第一六号・第二頁 明治二六年一二月 【○十一月一日午後五時二十五分、…】(DK200039k-0001)
第20巻 p.390-391 ページ画像

東京商業会議所月報  第一六号・第二頁 明治二六年一二月
○十一月一日午後五時二十五分、農商務省会議室ニ於テ臨時会議ヲ開ク、当日出席会員ハ二十六名ニシテ、左ノ件々ヲ審議シ、午後七時十分閉会ス
○中略
 (第二)
  綿糸輸出税及棉花輸入税免除ノ儀ニ付大蔵・農商務両大臣ヘ建議並ニ貴族・衆議両院ヘ請願ノ件(役員会議提出)
本件ハ全会一致ヲ以テ原案ニ可決シ、且ツ建議並ニ請願書ノ起草ハ之
 - 第20巻 p.391 -ページ画像 
ヲ役員会議ニ委託スルニ決ス


東京商業会議所月報 第一六号・第三頁 明治二六年一二月 【○同月 ○一一月十日…】(DK200039k-0002)
第20巻 p.391 ページ画像

東京商業会議所月報  第一六号・第三頁 明治二六年一二月
○同月 ○一一月十日午前十時十分、本会議所仮事務所ニ於テ役員会議ヲ開キ、綿糸棉花関税免除外二件ニ就キ建議及請願書起草ノ事ヲ審議シ、午前十一時四十分閉会ス


東京商業会議所月報 第一六号・第三頁 明治二六年一二月 【同月 ○一一月二十八…】(DK200039k-0003)
第20巻 p.391 ページ画像

東京商業会議所月報  第一六号・第三頁 明治二六年一二月
○同月 ○一一月二十八日、綿糸輸出税及棉花輸入税ノ免除ヲ要スル儀ニ付大蔵大臣及農商務大臣ヘ再建議書ヲ差出ス(其全文ハ参照ノ部第五号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第一六号・第二六―三一頁 明治二六年一二月 【○参照第五号 十一月二十八日、綿…】(DK200039k-0004)
第20巻 p.391-397 ページ画像

東京商業会議所月報  第一六号・第二六―三一頁 明治二六年一二月
○参照第五号
 十一月二十八日、綿糸輸出税及棉花輸入税ノ免除ヲ要スル儀ニ付、大蔵大臣及農商務大臣ヘ差出シタル再建議書ハ左ノ如シ
    綿糸輸出税及棉花輸入税ノ免除ヲ要スル義ニ付再建議
謹テ惟ルニ、方今本邦ヨリ輸出スル綿糸及外国ヨリ輸入スル棉花ニ関税ヲ課スルノ制ハ国家経済上極メテ不得策ニシテ、其免除ノ今日ニ緊要ナルハ輿論ノ夙ニ認ムル所ナリ、是ヲ以テ曩ニ本会議所ハ明治二十五年七月一日ヲ以テ右関税免除ノ儀ヲ閣下ニ建議スル所アリシカ、今ヤ益々其必要ヲ感スルヲ以テ、其理由ノ大要ヲ別紙ニ摘載シテ以テ閣下ノ高覧ニ供ス、仰キ願クハ閣下本建議ノ要旨ヲ採納セラレ、速ニ之ヲ決行セラレンコト切望ノ至ニ堪ヘス、此段本会議所ノ決議ニ依リ重テ建議仕候也
  明治二十六年十一月二十八日
             東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    大蔵大臣     渡辺国武殿
    農商務大臣 伯爵 後藤象二郎殿
(別紙)
    理由
綿糸輸出・棉花輸入ニ係ル関税免除ノ緊急ナルハ、苟クモ国家経済上ニ留意スル人士ノ夙ニ認メラルヽ所ナルニ付テハ、玆ニ其理由ヲ喋々スルノ必要無ルヘキヲ以テ、左ニ其大概ヲ摘載スル事トスヘシ
第一 本邦紡績業ノ状態 本邦紡績事業カ嘉永安政ノ交、鹿児島藩ニ於テ工場ヲ設置シタルニ創リ、明治十二年政府ノ奨励ヲ加ヘラレタルニ依ツテ面目ヲ革メ、終ニ輓近ニ至ツテ隆盛ヲ致シタル沿革ノ詳細ハ、既ニ世人ノ知悉スル所ナルヲ以テ玆ニ説明ヲ為サヽルモ、輓近ノ発達ハ実ニ著大ナルモノニシテ、即チ本年四月中ノ調査ニ依ルトキハ
  資本金総額    一四、二五一、九四〇円
  此払込金額     九、八〇一、四四〇円
  運転錘数        三六〇、〇〇〇本
  昨廿五年製出高      二一四、九一七(一梱ハ四十八〆目)
ニシテ、此工銀弐百拾四万九千百七拾円ト外ニ資金ニ対スル利益ノ配
 - 第20巻 p.392 -ページ画像 
当金トハ即チ本邦ノ富ヲ増加スルモノナリ、加之目下機械据付中ノモノ及ヒ工場増設計画中ノモノヲ合計スレハ実ニ六拾五万七千二百〇四本ノ錘数トナリ、一ケ年ノ製出高四十一万〇七百五十二梱半、此工銀四百拾万七千五百二拾五円ニシテ、之ニ資金ニ配当スル利益ヲ合算スレハ其額頗ル巨多ナルヘキナリ、此状態ハ仮令英国・印度ノ現況ニ比シテ其半ニ達スル能ハサルモ、輓近十数年間ニ養成シタル結果トシテ此隆盛ノ域ニ進ミタルハ実ニ快哉ノ至リナラスヤ、而シテ本邦製糸ノ種類中三十手以上ノ細糸ヲ紡績スルノ額ハ未タ内地ノ需用ヲ充タスニ足ラサルヲ以テ、年々多少ノ外国綿糸ヲ輸入スルヲ免カレスト雖トモ既ニ二十手以下ノ太糸紡出ノ額ハ十分発達シ、尚ホ当業者中ニ於テ将来細糸紡績ノ計画ヲ立ルモノ尠ナカラサルヲ以テ、細糸紡出ノ額モ亦タ愈々発達スヘキノ状勢アリ、故ニ今日ニ於テ大ニ海外輸出ノ途ヲ啓カサレハ、終ニハ内地ニ於ル需供ノ権衡ヲ失ヒ、従ツテ国家ノ富ヲ増進スルノ望アル此事業ノ発達ヲ阻害スル事無キヲ保スヘカラス、是ヲ以テ此際之ニ相当ノ保護ヲ与ヘ、海外輸出ノ途ヲ啓カシメ、終ニ東洋ノ英国タル地位ニ進マシムルハ一大緊要タルヘキ事(別表第一号参看)
第二 内外関税ノ有無 本邦製糸ト輸贏ヲ争フヘキ強大ノ敵手ハ英国印度ノ綿糸ナリトス、而シテ英・印両国ニハ綿糸輸出・棉花輸入ノ関税無キモ、本邦ニハ両ナカラ之レアルヲ以テ、本邦綿糸ハ英・印両国ノ綿糸ニ比シテ其原価ヲ低廉ナラシムヘカラス、従ツテ売買競争ノ必勝ヲ占ムル能ハサルヲ以テ、此両関税ハ本邦綿糸ヲ海外ニ輸出スルノ門戸ヲ闔塞スルモノト謂フモ過言ニアラスシテ、事業ノ発達ヲ阻碍スル事実ニ尠ナカラサル事(別表第二号参看)
第三 本邦綿糸ノ印度綿糸ニ対スル製造販売上ノ比較 本邦綿糸ト印度綿糸ト製出上ノ利害得失ヲ比較スルニ、印度綿糸ノ得点ハ概ネ左ノ如シ
 一 印度綿糸ノ原料ハ自国ノ産綿ナルヲ以テ、第一価格ノ低廉ニシテ、且日々市場ニ就キ市価ノ昂低ヲ観察シ、自由ニ品種ヲ撰択スルノ便利アル事
 二 資本豊富ニシテ金利ノ低キ事
 三 業務ノ由来久シクシテ、本邦ヨリモ職工ノ経験ニ富ミ、斯業ニ熟練スル者多キ事
又本邦ノ印度ニ優ル所ノモノヲ挙クレハ大略左ノ如シ
 一 職工労銀ノ低廉ナル事
 二 石炭ハ自国ノ産出ナルヲ以テ、廉価ニ使用シ得ル事
 三 紡績器械ハ新規改良セルモノヲ使用シアル事
斯ノ如ク各其得所ヲ比較シ来レハ、何レニ於テモ多少ノ得失アルカ如キモ、元来本邦ハ業務ノ要素タル棉花ヲ外国ニ仰クヲ以テ、従前本邦綿糸ニ要スル所ノ諸費ハ印度綿糸ニ要スル所ヨリモ多ク、加フルニ棉花輸入・綿糸輸出ノ両関税ヲ負担セサルヘカラサルヲ以テ、未タ之ヲ外国市場ヘ輸出シテ輸贏ヲ闘ハシムルノ機会ヲ得ル能ハサリシナリ、然ルニ嚮キニ印度ノ貨幣制度ヲ変更シ留貨ノ俄ニ騰貴セシ為メ、銀貨下落シテ物価ノ昇昂ヲ招キ、印度綿糸ヲ従前支那ニ輸出シタル原価ヨリモ、一梱ニ付凡ソ十二弗ヲ増加セサレハ、復ヒ輸出シテ利益ヲ覩ル
 - 第20巻 p.393 -ページ画像 
能ハサルニ至レリ、而シテ本邦及支那ノ如ク銀貨国タルノ実況ヲ維持スル国ニ於テハ、未タ直接ニ甚シキ変動ヲ被ムラサルヲ以テ、印度ヨリ輸入スル原棉ノ価格カ昇昂シタル差金及其他ヲ合シテ一梱ニ付凡ソ拾円ヲ増加スレハ、之ヲ外国市場ニ輸出シテ販売スルヲ得ヘシ、然レトモ前項ニ陳ヘタル如ク彼レニハ輸出入ノ関税無クシテ我ニハ之アルヲ以テ、今尚ホ実際ニ輸出ノ途ヲ啓ク能ハサルナリ、此千歳一遇ノ時運ニ遭遇スルモ之ヲ外国市場ニ輸出シテ大ニ競争場裏ニ旗色ヲ張ル能ハサルハ寔ニ遺憾ニ堪ヘサルナリ、否々遺憾ニ堪ヘサルノミナラス、国利民福ヲ進捗スル能ハサルナリ、況ンヤ印度ニ於テハ近来本邦綿糸ノ製産年々増加スルノ勢アルヲ以テ、之ヲ圧倒スルノ策ヲ講シ、工費ヲ減シ事業費ヲ省キ且ツ昼夜機械ヲ運転スル等、務メテ綿糸ノ原価ヲ低廉ニシ、以テ此目的ヲ達セントノ計画ヲ立ツル者アリト云フ、果シテ然ラハ本邦ニ於テモ亦此際一層原価ヲ低廉ニシ、之ニ拮抗スルノ決意ナカルヘカラス、而シテ其方策タル即チ棉花輸入・綿糸輸出ノ両関税ノ廃除ヲ措ヒテ他ニ良策アラサル事(別表第三・四・五・六号参看)
第四 本邦綿糸ヲ輸出スヘキ販路 本邦綿糸ノ販路ヲ索メンニハ、支那ニ輸出スルヲ最モ適当ナリトス、単ニ昨廿五年中外国ヨリ支那上海ニ輸入セシ者ノミヲ算スルモ二十三万千五百七十八梱ニ達セリ、之ニ牛荘・寧波其他諸港ニ輸入セシモノ、及支那内地ノ手績糸ヲ加算スルトキハ其数幾倍ナルヤモ測ルヘカラス、今仮ニ之ヲ上海輸入ノ額ニ三倍スルモノトスルモ七十万梱トナルナリ、此七十万梱ハ支那内地ニ於テ消費セラルヽモノナルヲ以テ、本邦製糸ヲ輸出スルニ足ルヘキ好華主ナル事疑フヘカラサル事実ナリトス、果シテ斯ノ如クナルトキハ此工銀七百万円ヲ利益トシテ本邦ニ収得スルヲ得ヘク、尚ホ之ニ在来ノモノ(第一項ニ掲ケタル工銀ヲ指ス)ヲ合スレハ一千一百拾万七千五百二十五円ノ巨額ニ上リ、之カ為メニ労働者数十万人ノ活路ヲ開キ、国富ヲ増進スルニ足ルヘキ事
第五 関税廃除ト内国綿作トノ関係 綿糸輸出・棉花輸入税ノ廃除ニ反対スル者ノ口ニ藉ル所ハ専ラ此関税ノ廃除ハ外綿ノ輸入ヲ誘致シ、遂ニ内国ノ綿作ヲ減退セシムルニ至ルヘシトノ説ヲ根拠トスルカ如シト雖、是レ全ク皮相ノ見タルニ過キス、何トナレハ本邦産綿ハ米国・印度等ノ輸入棉花ト頗ル素質ヲ異ニシ、本邦綿ハ繊維短疎ナルヲ以テ十六手前後ノ太糸ヲ紡績シ得ヘキモ、二十手以上ノ者ヲ紡出スルニ適セス、殊ニ近時本邦紡績ノ事業大ニ発達シテ、二十手以上ノ細糸ヲ紡出シ、内地ノ需用モ亦タ細糸ヲ採ル事巨多ナルヲ以テ、其原料ハ専ラ印度及米国産ニ採ルニ至リタル故ヲ以テ、目下本邦産綿ノ用途ハ太糸紡績ト農民ノ自家用料其多キニ居リ、他ハ蒲団衣服ノ中入用ニ充ツル等、特殊ナル用途ノ在ルアルヲ以テ、外国産綿ノ輸入何程増加スルモ概シテ本邦産棉ノ用途ヲ縮少シ若クハ其産額ヲ減却スル事無キハ実地ニ徴シテ明カナリ、是レ前年印度孟買綿ノ市価拾三円ナリシトキ本邦綿ハ拾六・七円ノ価格ナリシカ、現時孟買綿ハ弐拾円ニ騰貴セシニ拘ハラス、本邦綿ハ依然トシテ拾六・七円ノ価位ニアルヲ視ルモ、其用途ノ相異ナルヨリシテ、甚タシキ利害ノ関係ヲ有セサルヲ証スルニ足ルヘク、従ツテ輸出入税廃除ノ結果ハ本邦綿作ニ影響セサル事明瞭ナ
 - 第20巻 p.394 -ページ画像 
リトス、加之綿糸輸出ニ係ル関税ノ廃セラレテ、本邦綿糸ノ海外ニ輸出セラルヽニ至リタル暁ニハ、本邦綿ノ紡績原料トシテ使用セラルヘキ分量ヲ増加スヘキヲ以テ、却ツテ本邦綿作ノ発達ヲ幇助スルノ域ニ達スルヤモ知ルヘカラズ、斯ノ如キ状態ナルニ拘ハラス、尚ホ関税ノ廃除ハ内地ノ綿作ヲ減退スルモノト説クハ、空想謬見モ亦タ甚シト謂フヘシ、若シ此ノ漠然タル謬説ニ拘泥シテ海外輸出ノ奨励ヲ怠ルトキハ、他日必噛臍ノ悔ヲ胎ス事鏡ニ懸ケテ見ルカ如キ事(別表第七・八号参看)
第六 関税廃除ト国庫収入ノ関係 綿糸輸出・棉花輸入ノ両関税ヲ除カハ国庫ノ収入ヲ減殺シ、国費多端ノ折柄政費ニ支障ナキ能ハサルヤノ杞憂ヲ抱クモノアレトモ、本邦製糸ハ嘗テ見本品トシテ僅少ノ数量ヲ輸出セシ外、未タ多量ノ輸出ヲ為サヽルヲ以テ、綿糸輸出関税ヲ廃シタリトテ、其実、国庫ノ収入ニ影響スル所ナシ、独リ棉花輸入税ヲ廃スルニ於テハ、一ケ年三十余万円ノ収入ヲ減殺シテ国家ノ利益ヲ損フカ如キ仮相ヲ顕スヘキモ、前項既ニ述ヘタルカ如ク、一方ニ於テ巨多職工労銀ヲ本邦ニ収入シテ国富ヲ増進スルノ事実アルヲ以テ、国家経済ノ上ヨリ論スルトキハ、此関税ノ廃除ハ国富ヲ増進スル上ニ於テ寧ロ利得アルモ損失ナキ者ニシテ、決シテ躊躇スヘキノ事ニアラサルハ、深ク信シテ疑ハサル所ナル事(別表第九・十号参看)
(一号)
    綿糸 本邦紡績製造高 輸入高 比較表

  年次    本邦紡績製造高      輸入綿糸高      輸入綿糸原価
                          英斤           銀円
 十七年          ――  二一、一八六、七九八    六、一七八、七四九
 十八年          ――  二一、三九七、三八〇    六、三一六、三四六
              和斤
 十九年   四、八六五、二〇六  二四、六三〇、三八六    七、三五二、二九四
 二十年   七、二八一、七〇六  三三、二九六、五三〇   一〇、六八一、〇六〇
 廿一年   九、九五六、八九四  四七、四三九、六三九   一三、六一一、八九八
 廿二年  二〇、九五二、六八七  四二、八一〇、九一二   一二、五二二、〇三九
 廿三年  三二、二一七、四五六  三一、九〇八、三〇二    九、九二八、〇六二
 廿四年  四五、三〇六、四四四  一七、三三七、六〇〇    五、五八九、二九〇
 廿五年  六四、四七五、一〇〇  二四、三〇八、四九一    七、一三一、九八〇

(二号)
    各国棉花輸出入関税一覧表

  国名     輸入税                           輸出税
 英吉利   無                               無
 仏蘭西   同                               同
 独逸    無                               同
 西班牙   百キロニ付一分二厘                       同
 葡萄牙   百キロニ付二百三十ライス                    百分ノ一
 和蘭    無                               無
 白耳義   同                               同
 伊太利   同                               同
 魯西亜   一ブートニ付一「ルーブル」ノ三分八厘              同
 瑞西    毎「キンタール」ニ付三十三チーム                同
 澳地利   無                               同
 - 第20巻 p.395 -ページ画像 
 北米合衆国 無                               無
 支那    百ケツト(百斤ニ付)三百五十カツシ(両ノ三割五分)       五分
 埃及    未詳                              無
 ルーメニヤ 無                               同
 メキシコ  未詳                              同
 瑞典    無                               同
 希臘    同                               同
 都耳威   同                               同
 丁抹    同                               同
 英領印度  同                               同

(三号)
    印度輸入棉花ヲ以テ本邦ニ於テ製績スル費用

図表を画像で表示印度輸入棉花ヲ以テ本邦ニ於テ製績スル費用

 一金六拾四円拾七銭五厘  廿手一梱ニ要スル原綿ブローチ三百五十斤代価百二十四留八安、為替相場百九十四ルーピー               但原綿一カンデーニ付上品二百十八留、中品二百留此平均代価二百九留ノ見積リトス 一金弐円七拾銭四厘    印度ヨリ神戸ニ至ル運賃一カンデーニ付八留十三安一「パイ」ニシテ三百五十斤ノ運賃五留四安               為替相場同上 以下傚之 一金五拾六銭八厘     海上保険料、元価百円ニ付八十八銭五厘ノ割 一金三拾銭五厘      積込諸費、一本(二百九十五斤)ニ付八「アンナ」ノ割 一金五銭三厘       神戸陸上費、一本ニ付四銭五厘ノ割 一金壱円四拾銭      棉花輸入税、百斤ニ付四拾銭 一金四拾八銭壱厘     輸入商売捌口銭 百円ニ付七拾五銭ノ割 一金拾三銭        倉敷料二ケ月分見込、一ケ月一本ニ付五銭五厘ノ割 一金八拾五銭六厘     棉花代金利子二ケ月分見込一ケ年平均八分ノ割 一金五拾銭        神戸ヨリ大阪地方迄持込運賃諸費 一金拾円         一梱綿糸三百斤ニ対スル工費荷造費共   計金八拾壱円拾七銭弐厘   廿手一梱元価 


(四号)
    本邦製糸ヲ上海ヘ輸出販売スルニ付テノ予算

              廿手一梱ニ要スル原綿ブローチ代価
 一金六拾四円拾七銭五厘
               但詳細ハ参号ニ記載セリ
              印度ヨリ内地ニ達シ綿糸ト為ス迄ノ諸費用
 一金拾六円九拾九銭七厘
               但詳細ハ同上
 一金壱円参銭       荷造諸費 麻、帯金、渋紙、人足賃、玉作賃、内部掛苧、商標等
 一金壱円         壱梱ニ対スル金利
 一金五拾銭        大阪ヨリ神戸迄艀賃
 一金参円弐拾銭九厘    輸出税元価百分ノ五
 一金弐拾七銭六厘     壱梱ノ保険料(被保金六十四円ト見積リ 百円ニ付四十八銭割引一割)
 一金壱円         壱梱上海迄運賃(四十立方呎ヲ壱噸トシ三梱ヲ以テ壱噸ニ相当トス)
 一金参円弐拾四銭九厘   上海輸入税(二両三匁四分 為替相場七十二両替)
 一金四銭弐厘       碼頭税 上海銀三分 為換同上
 一金六銭九厘       火災保険料 上海銀五分 同
 一金拾弐銭五厘      倉敷料一ケ月分見込上海銀九分
 一金四拾四銭四厘     仲買口銭(売買代価千分ノ五 仮リニ六十四両ヲ以テ売却ノ積リ)
 一金壱円参拾参銭参厘   売上手数料 同上ノ積リ
   計金九拾参円四拾四銭九厘

(五号)
 - 第20巻 p.396 -ページ画像 
    印度ニ於テ二十手綿糸ヲ製造シ支那ニ輸入スル費用

              原綿ブローチ三百五十斤代
 一金六拾四円拾七銭五厘
               但詳細ハ三号ニ記載セリ
 一金拾六円四拾八銭    一梱三百斤ニ対スル工費荷造費三十二留(為替一九四留、以下準之)
 一金参円五拾銭六厘    印度ヨリ上海迄一梱ニ対スル運賃六留十三安
 一金四拾壱銭六厘     保険料金高百六十留ノ七厘五毛割引十分ノ三(十三安)
 一金四拾五銭弐厘     積込諸費
 一金三円弐拾四銭九厘   上海輸入税 上海銀二両三匁四分(為替六十四両)
 一金四銭弐厘       同 碼頭税   同    三分
 一金六銭九厘       火災保険料   同    五分
 一金拾弐銭五厘      倉敷料一ケ月  同    九分
 一金四拾四銭四厘     仲買口銭 売買代価千分ノ五 仮リニ六十四両ヲ以テ売却ノ積リ
 一金壱円参拾参銭参厘   売上手数料
   計金九拾円弐拾九銭壱厘

(六号)
    本邦製糸ト印度製糸ト上海ヘ輸出販売ニ就テノ比較

              二十手一梱ニ要スル原綿代其他工費荷造費輸出入税等一切ノ諸費用
 一金九拾三円四拾四銭九厘
               但詳細ハ四号ニ記載セリ
   内
    金壱円四拾銭    棉花輸入税
    金三円弐拾銭九厘  綿糸輸出税
     小計金四円六拾銭九厘
 差引
  金八拾八円八拾四銭   両税ヲ除キタル諸費用
 又
              印度製糸ヲ上海ニ輸出ノ諸費
金九拾円弐拾九銭壱厘
               但詳細ハ五号ニ記載セリ
 又差引
  金壱円四拾五銭壱厘   本邦製綿糸ノ諸費低廉ナル額

(七号)
     本邦綿産額 外綿物輸入額 累年比較表

 年次    我国綿産額(繰綿)            外国綿輸入額             外国綿糸輸入額
               斤              斤            斤
                  繰綿  三、三〇九、七九六    三、三〇九、七九六  二五、二九七、一〇〇
 十五年  二八、七九〇、七一〇
                  生綿         ……
                  繰綿  二、一〇六、二六一    二、一〇六、二六一  二四、六四〇、六二五
 十六年  三四、八七七、六八八  
                  生綿         ……
                  繰綿  四、五四二、五二二    四、五四二、五二二  二一、一八六、七九八
 十七年  三二、三七三、四二二  
                  生綿         ……
                  繰綿  四、三九九、四八九    九、六三八、四一八  二一、三九七、三八〇
 十八年          未詳  
                  生綿  五、二三八、九二九
                  繰綿  四、六四三、八三一    六、六三五、七八二  二四、六三〇、三八六
 十九年          未詳  
                  生綿  一、九九一、九五一
                  繰綿  五、五七〇、六一五   一〇、六五二、七二六  三三、二九六、五三〇
 二十年  四六、六四二、八九五  
                  生綿  五、〇八二、一一一
                  繰綿 一一、八九三、二六七   二四、〇七六、四七六  四七、四三九、六三九
 廿一年  三一、八七六、三三三  
                  生綿 一二、一八三、二〇九
                  繰綿 二三、一六八、〇九四   六四、四六三、三六五  四二、八一〇、九一二
 廿二年          未詳  
                  生綿 四一、二九五、二七一
                  繰綿 二六、〇八四、三四五   五二、一四一、七五二  三一、九〇八、三〇二
 廿三年          未詳  
                  生綿 二六、〇五七、四〇七
                  繰綿 五〇、一二八、七五〇   八〇、〇八四、一一三  一七、三三七、六〇〇
 廿四年  二七、四五九、八四三  
                  生綿 二九、九五五、三六三
                  繰綿 七八、六四七、五七三  一一三、三四八、二二〇  二四、三〇八、四九一
 廿五年          未詳  
                  生綿 三四、七〇〇、六四七

(第八号)
     本邦産綿 外国産綿 価格比較表

  年次   本邦産綿     外国産綿    二者価格ノ差違
       百斤平均価格   百斤平均価格   (百斤ニ付)
         円        円       円
 十八年   一九・二一七   一六・二五六   二・九六一
 - 第20巻 p.397 -ページ画像 
 十九年   一八・二三五   一六・二五七   一・九七八
 二十年   一八・七二六   一六・八七五   一・八五一
 二十一年  二〇・三九四   一七・九二六   二・四六八
 二十二年  二二・四九五   一八・五二六   三・九六九
 二十三年  二一・六五八   一八・七一五   二・九四三
 二十四年  一九・一九二   一六・九九八   二・一九四

(九号)
     棉花輸入関税累年統計表

図表を画像で表示棉花輸入関税累年統計表

   年次    輸入棉花数量           同 元 価             同 関 税 額                   和斤             円             円            円  二十二年  繰綿 二三、一六八、〇九四    三、四六四、三二六・〇四〇    九二、〇一六・〇一二  二〇二、〇八七・二一〇        生綿 四一、二九五、二七一    二、二一四、五一二・〇〇〇   一一〇、〇七一・一九八  二十三年  繰綿 二六、〇八四、三四五    四、一三四、七九五・三三五   一〇三、五五二・七三一  一六五、〇四〇・一〇二        生綿 二六、〇五七、四〇七    一、二三〇、三六二・七八〇    六一、四八七・三七一  二十四年  繰綿 五〇、一二八、七五〇    六、九九八、五三三・七九〇   一九九、二六一・五〇二  二五九、二九七・三七三        生綿 二九、九五五、三六三    一、二〇〇、七一七・四二〇    六〇、〇三五・八七一  二十五年  繰綿 七八、六四七、五七三   一一、〇二六、六三七・四五〇   三一三、一二二・四一〇  三七八、〇二三・二七八        生綿 三四、七〇〇、六四七    一、二九八、〇一七・三二〇    六四、九〇〇・八六六 



(十号)
     本邦産綿糸輸出数量・元価・関税表

  年次         数量      元価        輸出関税
                和斤      円          円
 二十五年       三二、七五四  七、七一九・七二〇   三八五・九八六
 二十六年自一月至六月 九八、五五七 二〇、四八四・三〇〇 一、〇二四・二一五

   備考 二十五年以前ニハ輸出セシコト無シ


東京商業会議所月報 第一七号・第三―四頁 明治二七年一月 【○同月 ○明治二六年一二月二日…】(DK200039k-0005)
第20巻 p.397 ページ画像

東京商業会議所月報  第一七号・第三―四頁 明治二七年一月
○同月 ○明治二六年一二月二日、綿糸輸出税及棉花輸入税ノ免除ヲ要スル儀ニ付、衆議院議長ヘ請願書ヲ差出ス(請願書ノ全文ハ参照ノ部第十一号ニ掲載ス)
○中略
○同月 ○明治二六年一二月四日、綿糸輸出税及棉花輸入税ノ免除ヲ要スル儀ニ付、請願書ヲ貴族院議長ヘ差出ス(請願書ノ全文ハ参照ノ部第十一号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第一七号・第一三頁 明治二七年一月 【○参照第十一号 十二月中綿糸及棉…】(DK200039k-0006)
第20巻 p.397-398 ページ画像

東京商業会議所月報  第一七号・第一三頁 明治二七年一月
○参照第十一号
  十二月中綿糸及棉花関税免除ノ儀ニ付衆議院及貴族院議長ヘ差出シタル請願書ハ左ノ如シ
    綿糸輸出税及棉花輸入税ノ免除ヲ要スル儀ニ付請願
謹テ惟ミルニ方今本邦ヨリ輸出スル綿糸及外国ヨリ輸入スル棉花ニ関税ヲ課スルノ制ハ国家経済上極メテ不得策ニシテ、其免除ノ今日ニ緊急ナルハ輿論ノ夙ニ認ムル所ナリ、是ヲ以テ本会議所ハ右関税免除ノ必要ナルヲ感シ、其理由ノ大要ヲ別紙ニ摘載シ以テ貴院ノ高覧ニ供ス仰キ願ハクハ貴院ニ於テ其要旨ヲ採納セラレ速ニ之ヲ決行セラレンコト、切望ノ至ニ堪ヘス、此段本会議所ノ決議ニ依リ謹テ請願仕候也
  明治二十六年十二月 日 (衆議院ヘハ二日附ヲ以テシ貴族院ヘハ四日附ヲ以テス)
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    貴族院議長 侯爵 蜂須賀茂韶殿
                   (各通)
    衆議院議長    星亨殿
 - 第20巻 p.398 -ページ画像 
 (理由書ハ前号月報参照ノ部第五号ニ掲グル大蔵・農商務両大臣ヘ差出シタル再建議書ノ理由書ト全ク同文ニ付之ヲ省略ス)


第三回東京商業会議所事務報告 第八―一四頁 明治二七年四月刊(DK200039k-0007)
第20巻 p.398 ページ画像

第三回東京商業会議所事務報告  第八―一四頁 明治二七年四月刊
一綿糸棉花関税免除ノ儀ニ付大蔵・農商務両大臣ヘ再建議並ニ貴族・衆議両院ヘ請願ノ件
 本件ハ第二回商業会議所聯合会ノ決議ニ起因シ、役員会議ノ提案ニ係リ、其要旨ハ綿糸輸出税及棉花輸入税免除ノ儀ヲ本会議所ヨリ再ヒ大蔵・農商務両大臣ヘ建議シ且ツ貴族・衆議両院ヘ請願ス可シト云フニ在リ、依テ明治二十六年十一月一日第三十回ノ臨時会議ニ附シタルニ其趣旨ヲ可認シ、且ツ建議並ニ請願書ノ起草ハ之ヲ役員会議ニ全任ス可シト決シタルニ付、其後役員会議ニ於テ其建議及請願書案ヲ議定シ、左ノ如ク同月二十八日附ヲ以テ渡辺大蔵大臣及後藤農商務大臣ヘ建議シ、且ツ同年十二月二日附ヲ以テ星衆議院議長ヘ同四日附ヲ以テ蜂須賀貴族院議長ヘ請願シタリ
   ○建議文ハ月報所載ノモノト同一ニツキ略ス。


東京商業会議所月報 第二五号 明治二七年九月 【○同月 ○八月二十三…】(DK200039k-0008)
第20巻 p.398 ページ画像

東京商業会議所月報  第二五号 明治二七年九月
○同月 ○八月二十三日、大日本綿糸紡績同業聯合会委員長佐伯勢一郎氏ヨリ綿糸輸出税免除ノ儀ニ付謝状ヲ接受ス(謝状ノ全文ハ参照ノ部第二号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第二五号 明治二七年九月 【参照第二号 八月二十三日…】(DK200039k-0009)
第20巻 p.398-399 ページ画像

東京商業会議所月報  第二五号 明治二七年九月
○参照第二号
 八月二十三日、綿糸輸出税免除ノ儀ニ付、大日本綿糸紡績同業聯合会ヨリ接受シタル謝状ハ左ノ如シ
謹啓本邦綿糸紡績業ハ近年著シク発達シ来リ、内国ノ需用ハ既ニ之ヲ充実シテ余アリ、更ニ進ミテ大ニ海外輸出ノ途ヲ画策スルハ今日ノ急務ニ有之候ヲ以テ、曩ニ屡々書ヲ政府及議会ニ呈シテ関税免除ヲ請願致候処、遂ニ第六回議会ノ容ルヽ所トナリ、免税輸出ノ運ニ遭遇スルニ至リ候ハ、某等カ多年ノ素志ヲ貫徹シタルヲ喜フト共ニ、国家経済上ニ一大長計ノ相立候ヲ祝スル所ニ御座候、今ニシテ此結果ヲ見候ハ気運ノ趨勢ニ依ルモノニ有之候得共、此気運ヲ促シ候モノハ職トシテ貴所カ商業上大勢力アル地方唯一ノ団躰ヲ以テ、夙ニ此事ノ国家経済上ノ長計タルヲ認メラレ、地方ノ定論ヲ造リ、当路者ノ注意ヲ喚起シ以テ自ラ気運ヲシテ玆ニ進マシメラレタルニ由ラサル無キハ、某等ノ信シテ疑ハサル所ニ有之、深ク貴所カ此事ニ与リテ力多キヲ歓喜シ措カサル所ニ御座候、今回全国同業者ノ大会ヲ開キ、其決議ニ依リテ玆ニ同業者一同ヲ代表シ、聊カ一書ヲ呈シテ感謝ノ意ヲ申述度如斯ニ御座候 頓首
  明治廿七年八月二十二日
        大日本綿糸紡績同業聯合会委員長
            大阪紡績会社代表者 佐伯勢一郎
 - 第20巻 p.399 -ページ画像 
    東京商業会議所 御中
   ○明治二十七年五月二十五日公布法律第四号ハ、本資料第十巻所収「大日本紡績聯合会」明治二十七年八月ノ条ニ収メタレドモ重ネテ次ギニ掲グ。同条参照。
    官報    第三二七〇号 明治二七年五月二六日
      ○法律
    朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル綿糸輸出税免除法律ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
      御名 御璽
       明治二十七年五月二十五日
                  内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
                  大蔵大臣      渡辺国武
    法律第四号
    外国ニ輸出スル綿糸ハ明治二十七年七月一日ヨリ海関税ヲ免除ス