デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.200-213(DK210022k) ページ画像

明治29年11月6日(1896年)

是ヨリ先三月二十八日営業税法公布セラレシヲ以テ、当会議所委員ヲ選ビテ之ヲ審議ス。是日同法改正意見案ヲ議決シ、臨時商業会議所聯合会ニ提出スルニ決ス。栄一会頭トシテ之ニ与ル。


■資料

法令全書 明治二九年下巻 内閣官報局編 刊 法律第三十三号(官報三月二十八日)営業税法(DK210022k-0001)
第21巻 p.200-204 ページ画像

法令全書 明治二九年下巻 内閣官報局編 刊
法律第三十三号(官報三月二十八日)
    営業税法
第一条 左ニ掲クル営業ヲ為ス者ニハ営業税ヲ課ス
 一物品販売業
 一銀行業
 一保険業
 一金銭貸付業
 一物品貸付業
 一製造業
 一運送業
 一倉庫業
 一運河業
 一桟橋業
 一船渠業
 一船舶碇繋場業
 一貨物陸揚場業
 一土木請負業
 一労力請負業
 一印刷業
 一写真業
 一席貸業
 一旅人宿業
 一料理店業
 一公ナル周旋業
 一代弁業
 一仲立業
 一仲買業
第二条 営業税ヲ課スヘキ物品販売業ハ、一定ノ店舗其ノ他ノ営業場ヲ設ケ物品ノ卸売又ハ小売ヲ為ス者ヲ謂フ
 左ノ諸業ハ前項ニ該当セサルモ仍物品販売業ト見做ス
 一 一定ノ製造場ナク、職工ヲ使役スルコトナク、原料ヲ供給シ工銭ヲ支払ヒ物品ヲ製造セシメテ販売スル者
 二 一定ノ製造場ヲ設ケス、店頭ニ於テ物品ヲ製造シ、主トシテ小売ヲ為ス者
 三 牧場ニ非サル場所ニ於テ飼料ヲ購求シ、家畜又ハ家禽ヲ飼養シ
 - 第21巻 p.201 -ページ画像 
之ヲ売リ又ハ鶏卵・牛乳等其ノ産物ヲ販売スル者
 四 魚介類ヲ養殖シテ之ヲ販売スル者
 五 動植物其ノ他普通ニ物品ト称セサルモノヲ販売スル者
 一箇年ノ売上金額千円未満ノ者ニハ営業税ヲ課セス
 第四条ノ営業者其ノ製造場区域内ニ於テ製造品ヲ販売シ、及別ニ営業場ヲ設ケ其ノ製造品ノ卸売営業ヲ為スモ物品販売業トセス
第三条 営業税ヲ課スヘキ金銭貸付業及物品貸付業ハ、一定ノ店舗其ノ他ノ営業場ヲ設ケ、貸付ノ業ヲ営ム者ヲ謂フ、普通ニ物品ト称セサルモノヽ貸付ヲ為スモ亦同シ
 資本金額五百円未満ノ者ニハ営業税ヲ課セス
第四条 営業税ヲ課スヘキ製造業ハ一定ノ製造場ヲ設ケ、職工労役者ヲ使役シテ物品ヲ製造シ、又ハ物品製造ノ一部ヲ助成スル者ヲ謂フ瓦斯・電気ノ供給ヲ為ス者、及器物・器械ノ修理ヲ為シ、又ハ穀物ヲ精白搗砕シ、又ハ染物・洗濯ヲ為ス者ハ前項製造業ト見做ス
 資本金額五百円未満ノ者、又ハ職工労役者ヲ通シテ二人以上ヲ使用セサル者ニハ営業税ヲ課セス
第五条 運賃又ハ手数料ヲ受ケテ旅客貨物ノ運送ヲ為シ、又ハ其ノ取扱ヲ為ス者ヲ運送業トシテ営業税ヲ課ス、但シ雇人二人以上ヲ使用セサル者ニハ営業税ヲ課セス
第六条 倉庫ヲ備ヘテ貨物ヲ預リ、倉敷料其ノ他ノ名義ヲ以テ報酬ヲ受クル者ヲ倉庫業トシテ営業税ヲ課ス
第七条 印刷業・写真業ニシテ職工・雇人ヲ通シテ二人以上ヲ使用セサル者、及土木請負業・労力請負業ニシテ請負金額一箇年千円未満ノ者ニハ営業税ヲ課セス
第八条 貸料又ハ其ノ他ノ名義ヲ以テ報酬ヲ受ケ、客室又ハ集会場ヲ貸ス者ヲ席貸業トシテ営業税ヲ課ス、但シ建物賃貸価格五十円未満ノ者ニハ営業税ヲ課セス
第九条 営業税ヲ課スヘキ旅人宿業ハ、飲食物ヲ供スルト否トニ拘ラス旅客ヲ宿泊セシメ、又ハ人ヲ寄宿セシメ雇人三人以上ヲ使用スル者トス、但シ木銭宿ニハ営業税ヲ課セス
第十条 営業税ヲ課スヘキ料理店業ハ、雇人三人以上ヲ使用シ、客室ヲ設ケテ飲食物ヲ販売スル者トス
第十一条 左ニ掲クル営業ニハ営業税ヲ課セス
 一 政府ヨリ発行スル印紙・切手類ノ売捌
 二 自己ノ採掘又ハ採取シタル鉱物ノ販売
 三 度量衡ノ製作・修覆・販売
第十二条 営業税ハ左ノ課税標準及税率ニ依リ毎年之ヲ賦課ス

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 業名           課税標準     税率              売上金額     卸売ハ万分ノ五                       小売ハ万分ノ十五 物品販売業        建物賃貸価格   千分ノ四十              従業者      一人毎ニ金一円 銀行業、保険業、金銭   資本金額     千分ノ二 貸付業、物品貸付業    建物賃貸価格   千分ノ四十              従業者      一人毎ニ金一円  以下p.202 ページ画像               資本金額     千分ノ二 倉庫業          建物賃貸価格   千分ノ二十              従業員      一人毎ニ金一円              資本金額     千分ノ一半 製造業、印刷業、写真業  建物賃貸価格   千分ノ四十              従業者      一人毎ニ金一円              従業者ノ内、職工労役者 一人毎ニ金三十銭 運送業、運河業、桟橋業、 資本金額     千分ノ二半 船渠業、船舶碇繋場業   従業者      一人毎ニ金一円 貨物陸揚場業 土木請負業、労力請負業  請負金額     千分ノ二              従業者      一人毎ニ金一円 席貸業、料理店業     建物賃貸価額   千分ノ六十              従業者      一人毎ニ金一円 旅人宿業         建物賃貸価額   千分ノ四十              従業者      一人毎ニ金一円 公ナル周旋業、代弁業、  報償金額     百円毎ニ金一円 仲立業、仲買業      従業者      一人毎ニ金一円 



第十三条 此ノ税法ニ依リ納税義務ヲ有スル営業者ハ、毎年一月三十日迄ニ業名及課税標準ヲ詳記シ政府ニ届出ヘシ、但シ新ニ開業シタル者ハ其ノ際本条ノ届出ヲ為スヘシ
第十四条 同一人ニシテ数種ノ営業ヲ為ストキハ、第十二条ノ課税標準ニ依リ各別ニ営業税ヲ課ス、但シ課税標準トナルヘキモノヲ共通シテ使用スルトキハ、其ノ一ニ就テ計算ス、其ノ税率異ナルトキハ重キニ従フ
第十五条 物品販売業・土木請負業・労力請負業・席貸業・旅人宿業料理店業・公ナル周旋業・代弁業・仲立業・仲買業ハ、各店舗其ノ他ノ営業場毎ニ営業税ヲ課ス
 前項ニ掲ケサル営業ニシテ店舗其ノ他ノ営業場数箇所アルトキ、其ノ資本ヲ区分シタルモノハ各別ニ営業税ヲ課ス、其ノ資本ヲ区分セサルモノハ合算シテ之ヲ課ス
第十六条 第十三条ニ依リ届出ヘキ課税標準ハ左ノ区別ニ従ヒ之ヲ計算ス、但シ新ニ開業シタル者ハ予算ヲ以テ之ヲ定ム
 一 売上金・請負金及報償金ハ前年中ノ総額ニ依ル、但シ前年中ニ開業シタルモノハ予算ニ依ル
 二 資本金及建物賃貸価格ハ前年中ノ平均額ニ依ル
 三 従業者ハ前年ニ於ケル最多数ノトキニ依ル
 資本金額ノ算定方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十七条 営業者ノ申告シタル資本金額ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ハ其ノ営業ノ収入金額ヲ調査シ相当ノ営業費ヲ控除シ、其ノ残額ノ二十倍ヲ以テ資本金額ヲ算定スルコトヲ得
第十八条 建物賃貸価格ハ店舗其ノ他営業用ノ土地・家屋ノ借料ニ相当スルモノトス、但シ住居ニ供スルモノ其ノ他直接ニ営業ニ使用セサルモノアルモ、同一区域内ニアリテ自己ノ所用ニ係ルモノハ営業用トシテ計算ス
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 借家ノ場合ニ於テハ、何等ノ名義ヲ用ウルニ拘ラス土地・建物ノ貸借上借主ヨリ貸主ニ支払フモノヲ以テ建物賃貸価格ヲ計算ス
 借家ニ非サル場合ニ於テハ、近傍借家ノ借料ニ照準シテ建物賃貸価格ヲ定ム、近傍ニ照準スヘキ借家ナキトキハ其ノ土地・家屋ノ時価ヲ各別ニ算定シ土地ハ其ノ百分ノ五、家屋ハ百分ノ十ヲ以テ其賃貸価格ヲ定ム、無償ノ借家ニ付テモ亦同シ
 営業者ノ申告シタル賃貸価格ヲ不相当ト認ムルトキハ、政府ハ前項ノ算定方法ニ依リ其ノ賃貸価格ヲ定ムルコトヲ得
第十九条 名義ノ何タルヲ問ハス総テ営業ニ従事スル者ハ従業者トシテ之ヲ計算ス、但シ営業者ノ家族ヲ除ク
第二十条 営業税ハ年額ヲ二分シ、其ノ年五月・十一月ヲ以テ納期トス、但シ廃業スルトキ未納ノ税金ハ即納トス
第二十一条 新ニ営業ヲ開始スル者ハ開業ノ翌年ヨリ其ノ営業税ヲ徴収ス
 左ニ掲クル営業ヲ開始スル者ハ、開業ノ翌年ヨリ尚三箇年間其ノ営業税ヲ徴収セス、但シ此ノ税法施行以前ヨリ営業スル者ニシテ其ノ開業ノ翌年ヨリ三箇年ニ満タサルトキハ、本項ニ準拠スルコトヲ得
  銀行業・保険業・倉庫業・製造業・印刷業・運送業・運河業・桟橋業・船渠業・船舶碇繋場業
第二十二条 同一ノ場所ニ於テ六箇月以内ニ前ノ営業者ト同一ノ営業ヲ開始スル者ハ其ノ月ヨリ営業税ヲ徴収ス
第二十三条 営業ヲ継続シ、又ハ営業継続ト認ムヘキ事実アルトキハ納期ニ於テ現ニ営業スル者ヨリ営業税ヲ徴収ス
第二十四条 営業者廃業スルトキハ其ノ廃業ノ月迄営業税ヲ徴収ス、但シ他ニ其ノ営業ヲ継続スル者アルトキハ前条ニ依ル
第二十五条 第二十二条及第二十三条ノ場合ニ於テ前ノ営業者第二十一条ノ期間内ニアルトキハ、其ノ期間ハ後ノ営業者ニ及フモノトス
第二十六条 政府ニ於テ営業者ノ申告ヲ不相当ト認メ、資本金額又ハ建物賃貸価格ヲ算定シタルトキハ、之ヲ営業者ニ通知スヘシ
第二十七条 前条ノ算定ニ対シ異議アルトキハ、通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ申立テ再審査ヲ求ムルコトヲ得、但シ此ノ場合ニ於テ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セス
第二十八条 第十八条第三項ノ建物賃貸価格算定ニ付異議ノ申立アリタルトキハ、評価人ヲ定メ之ヲ評価セシム、評価一致セサルトキハ其ノ平均ヲ以テ之ヲ定ム
 評価人ハ四人トシ、二人ハ政府ヨリ之ヲ命シ、二人ハ土地建物所在市町村長之ヲ選定ス、但シ費用ハ本人ノ負担トス
 前項市町村長ノ職務ハ、特別市制ヲ施行スル市ニ於テハ区長、市制町村制ヲ施行セサル地方ニ於テハ戸長、沖縄県ニ於テハ役所長之ヲ行フ
第二十九条 左ノ場合ニ於テハ営業者ハ政府ニ其ノ由ヲ申立ツルコトヲ得
 一 課税ノ標準タル資本金額・売上金額・請負金額・報償金額又ハ建物賃貸価格半額以上ヲ減シタルトキ
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 二 課税ノ標準タル従業者ノ人員、届出人員二分ノ一以下ニ減シタルトキ
第三十条 政府ハ前条ノ申出ニ由リ営業者ノ状況ニ照シ営業税ヲ減額スルノ必要アリト認ムルトキハ、翌年一月迄税金ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第三十一条 政府ハ第二十九条ノ申出ニ対シ翌年一月ニ於テ課税標準ヲ査覈シ、左ノ場合ニ該当スルモノアルトキハ税金ヲ減額スルコトヲ得
 一 課税ノ標準タル売上金額・請負金額・報償金額ハ前々年中ノ総額、資本金額・建物賃貸価格ハ前々年中ノ平均額ノ半額ニ達セサルトキ
 二 課税ノ標準タル従業者ノ人員其ノ最多数ノトキニ於テ届出人員ノ二分一ニ達セサルトキ
 課税標準ノ課税最底限以下ニ減シタル場合ニ於テモ、仍其ノ割合ヲ以テ税金ヲ徴収ス
第三十二条 第一条ニ掲クル営業者ハ貨物ノ仕入・売上・受入・貸付廻送、従業者ノ人員及営業ニ関スル金銭ノ出納ヲ明ニスル為帳簿ヲ備ヘ、営業上一切ノ事実ヲ記載スヘシ
第三十三条 収税官吏ハ営業ニ関スル帳簿・物件ヲ検査シ、又ハ営業者ニ尋問スルコトヲ得
第三十四条 第十三条ノ届出ヲ為サス、若ハ虚偽ノ届出ヲ為シ、又ハ故意ヲ以テ第三十二条ノ帳簿ノ記載ヲ怠リ、若ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル者ハ、一円以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス、其ノ脱税シタル者ハ脱税金額三倍ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第三十五条 此ノ税法ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ不論罪・減軽・再犯加重・数罪倶発ノ例ヲ用ヰス
第三十六条 府県ハ此ノ税法ニ依リ納税義務ヲ有スル営業者ノ営業ニ対シ本税十分ノ二以内ノ附加税ヲ課スルコトヲ得、此ノ附加税ノ外府県税又ハ地方税ヲ課スルヲ得ス
   附則
第三十七条 此ノ税法ハ明治三十年一月一日ヨリ施行ス
第三十八条 明治二十九年度ニ属スル府県税又ハ地方税ハ第三十六条ノ規定ニ依ルノ限ニ在ラス
 明治二十九年度ニ属スル府県税又ハ地方税ノ賦課ヲ受ケタル業体ニ対スル此ノ税法ノ営業税ハ、明治三十年ニ限リ年額四分ノ三ヲ徴収ス
第三十九条 第二十条五月ノ納期ハ明治三十年ニ限リ七月トス


東京商業会議所月報 第四三号・第一―二頁 明治二九年三月 【○同月 ○二月八日、…】(DK210022k-0002)
第21巻 p.204 ページ画像

東京商業会議所月報  第四三号・第一―二頁 明治二九年三月
○同月 ○二月八日、営業税法案ノ儀ニ付、大阪商業会議所ヨリ照会書ヲ接受ス
○同月 ○二月十二日、営業税法案ノ儀ニ付、四日市商業会議所ヨリ照会書ヲ接受ス

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東京商業会議所月報 第四五号・第一五―一六頁 明治二九年五月 【○四月十四日、本会議…】(DK210022k-0003)
第21巻 p.205 ページ画像

東京商業会議所月報  第四五号・第一五―一六頁 明治二九年五月
○四月十四日、本会議所事務所ニ於テ第五十二回臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ ○栄一外十五名氏名略
午後七時開議、会頭渋沢栄一君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ午後八時十分閉会ス
○中略
 一、営業税法調査ノ儀ニ付、第五回商業会議所聯合会員ニ協議スルノ件
本件ハ全会一致ヲ以テ原案ニ可決シ、尚ホ益田克徳君ノ発議ニ依リ営業税法調査委員七名ヲ置キ、議長ニ指名ヲ託スルニ決シ、議長ハ左ノ諸君ヲ同委員ニ指名ス(協議案ノ全文ハ参照ノ部第四号ニ掲載ス)
                   朝吹英二君
                   加東徳三君
                   梅浦精一君
         営業税法調査委員  松下覚之丞君
                   豊川良平君
                   吉田幸作君
                   中野武営君


東京商業会議所月報 第四五号・第一八頁 明治二九年五月 【○参照第四号 四月十四日、…】(DK210022k-0004)
第21巻 p.205 ページ画像

東京商業会議所月報  第四五号・第一八頁 明治二九年五月
○参照第四号
 四月十四日、臨時会議ノ可決ヲ経タル本会議所ヨリ第五回商業会議所聯合会ヘ提出スヘキ協議案ハ左ノ如シ
今回博多ヘ出張スル委員ニ依託シ、左ノ件ヲ商業会議所聯合会員ニ協議スル事
    営業税法調査ノ手続
一各商業会議所ニ於テ営業税法ヲ研究シ、互ニ其意見ヲ相通知スル事
一各商業会議所中数ケ所ノ会議所ヲ委員ト定メ、前条ノ斡旋方ヲ託スル事
一各商業会議所ハ営業税法ノ得失ヲ調査シ、其結果ヲ来八月下旬迄ニ委員ニ報告スル事
一委員前条ノ報告ヲ接手シタルトキハ、之ヲ一括ニ編製シ来九月下旬迄ニ更ニ之ヲ各商業会議所ヘ廻附スル事
一委員ハ必要ト認ムル場合ニ於テ一ノ修正案ヲ起草シ、来十一月上旬迄ニ商業会議所臨時聯合会ヲ開設シ之ヲ議案トシテ提出スル事
一前条臨時聯合会ノ会場ハ委員ノ協議ヲ以テ委員タル会議所々在地ノ中ニ之ヲ定ムルモノトシ、其他聯合会開設ニ関スル手続ハ総テ委員ニ一任スル事


東京商業会議所月報 第四六号・第八頁 明治二九年六月 【○同月 ○五月十九日…】(DK210022k-0005)
第21巻 p.205 ページ画像

東京商業会議所月報  第四六号・第八頁 明治二九年六月
○同月 ○五月十九日午後五時、本会議所事務所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後六時三十分閉会ス
○同月二十五日午後五時、本会議所事務所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後八時十二分閉会ス
 - 第21巻 p.206 -ページ画像 


東京商業会議所月報 第四六号・第八頁 明治二九年六月 【○同月 ○五月二十九…】(DK210022k-0006)
第21巻 p.206 ページ画像

東京商業会議所月報  第四六号・第八頁 明治二九年六月
○同月 ○五月二十九日、営業税法調査ノ儀ニ付市内銀行・諸会社・諸製造所二百七十三ケ所、諸営業組合百九十六ケ所ヘ宛テ照会書ヲ発送ス(照会書ノ全文ハ参照ノ部第五号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第四六号・第一〇―一二頁 明治二九年六月 【○参照第五号 五月二十九日、…】(DK210022k-0007)
第21巻 p.206-207 ページ画像

東京商業会議所月報  第四六号・第一〇―一二頁 明治二九年六月
○参照第五号
 五月二十九日、営業税調査ノ儀ニ附キ、各当業者ヘ発送セシ照会書ハ左ノ如シ
拝啓陳者本年三月二十七日ヲ以テ公布セラレタル法律第三十三号営業税法ノ儀ハ、我国ニ於テ啻ニ新創ノ制度タルノミナラス、商工業ノ利害ニ至大ノ関係ヲ有スルモノニシテ、若シ其規定ニシテ宜キヲ得サルニ於テハ、追テ実施ノ日ニ当リ各種ノ営業上非常ノ困難ヲ生スヘク、本会議所ニ於テモ兼テ憂慮致居候折柄、過般筑前国博多ニ於テ開設セル第五回商業会議所聯合会ニ於テ、全国各地ノ商業会議所聯合シテ営業税法ノ得失ヲ研究シ、其模様ニヨリテハ特ニ臨時聯合会ヲ開設シテ其意見ヲ一定シ、相当ノ手続ヲ為スヘク相決シ候ニ付、本会議所ニ於テモ此決議ニ基キ目下委員ヲ置テ調査中ニ候処、右ハ何分其調査ノ区域広濶ナルノミナラス、其関係スル所至大ニシテ、普ク各種ノ営業ニ渉リ詳密ノ研究ヲ遂クルニアラサレハ完全ノ成績ヲ期シ難キニ付テハ右税法中貴所ノ御営業上ニ関シ自然不完全ト御思量相成候点モ有之候ハヽ、何卒乍御手数別紙記載ノ要項ニ準シ御取調ノ上、御意見ノ次第来六月二十日ヲ限リ本会議所ニ御回報相成候様致度希望仕候、尤モ今回本会議所カ営業税法ヲ研究スルノ趣旨ハ苟モ納税ノ義務ヲ避ケントスルカ如キ精神ニハ無之、要スルニ租税ノ原則ニヨリ国民ノ負担ヲシテ甲乙其権衡ヲ保チ、適正ナラシメントスルノ希望ニ外ナラス候間、此儀御領意相成度候、此段別紙ヲ添ヘ及御照会候也
  明治二十九年五月二十九日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    各会社及組合宛
(別紙)
    営業税法調査要項
一営業税法大体ノ主義ニ関スル意見
 (例ヘハ此税法ノ主義ハ云々ノ理由ニヨリ云々ノ主義ニ改正スルヲ可トス、又此税法ハ云々ノ理由ニヨリ之ヲ全廃シ、別ニ之ニ代フルニ云々ノ主義ニ基ク所ノ税法ヲ制定スルヲ可トスト云フカ如キ類)
一営業税ヲ課スベキ範囲ニ関スル意見
  (例ヘハ税法第一条ニヨレハ某業ノ如キハ同条ノ範囲内ニ属シ営業税ヲ課スルノ規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ同条ノ範囲外ニ置キ課税セサルヲ可トス、又某業ノ如キハ同条ノ範囲外ニ在リテ課税ヲ免カルヽ規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ同条ノ範囲内ニ入レ課税スルヲ可トスト云フカ如キ類)
 - 第21巻 p.207 -ページ画像 
一営業税ヲ課スヘキ営業ノ定義ニ関スル意見
 (例ヘハ税法第二条ニヨレハ某業ヲ以テ物品販売業ト看做シアレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ物品販売ト看做サヽルヲ可トス、又某業ノ如キハ物品販売業ト看做サヽル規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ物品販売業ト看做スヲ可トスト云フカ如キ類)
一課税標準ニ関スル意見
 (例ヘハ税法第十二条ニヨレハ某業ハ資本金ヲ標準トシテ課税スル規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ利益金ヲ標準トシテ課税スルヲ可トス、又某業ハ建物賃貸価格ヲ標準トスルノ規定ナレトモ右ハ云々ノ理由ニヨリ之ヲ標準トセス、某件ヲ標準トシテ課税スルヲ可トスト云フカ如キ類)
一税率ニ関スル意見
 (例ヘハ税法第十二条ニヨレハ某業ノ如キハ資本金額千分ノ二ヲ税率トスルノ規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ何分ト改ムルヲ可トス、又某業ノ如キハ従業者一人毎ニ壱円ヲ税率トスル規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ何程ト改ムルヲ可トスト云フカ如キ類)
一徴税ノ手続ニ関スル意見
 (例ヘハ税法第十四条ニヨリ数種ノ営業ヲ為ス者ハ各別ニ営業税ヲ課スルノ規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ云々ニ改ムルヲ可トスト云フカ如キ類)
一税額ノ算定ニ関スル意見
 (例ヘハ税法第十六条ニ拠レハ従業者ハ前年ニ於ケル最多数ノトキニ依リ計算スルノ規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニ依リ云々ニ改ムルヲ可トス、又第十九条ニ拠レハ名義ノ何タルヲ問ハス総テ営業ニ従事スルモノハ従業者トシテ計算スルノ規定ナレトモ、右ハ云々ノ理由ニヨリ云々ニ改ムルヲ可トスト云フカ如キ類)
一右ノ外税法各条項ニ関スル意見
 (参照トシテ法律第三十三号営業税法ヲ附添シタレトモ、長文ニ付之ヲ略ス)


東京商業会議所月報 第四七号・第四頁 明治二九月七月 【○同月 ○六月一日午…】(DK210022k-0008)
第21巻 p.207 ページ画像

東京商業会議所月報  第四七号・第四頁 明治二九月七月
○同月 ○六月一日午後五時、本会議所事務所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後八時閉会ス


東京商業会議所月報 第五〇号・第一四―一五頁 明治二九年一〇月 【○同月 ○九月九日午後五時、…】(DK210022k-0009)
第21巻 p.207 ページ画像

東京商業会議所月報  第五〇号・第一四―一五頁 明治二九年一〇月
○同月 ○九月九日午後五時、本会議所事務所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後十時閉会ス
○中略
○同月 ○九月十七日午後六時、本会議所事務所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後八時閉会ス


東京商業会議所月報 第五一号・第七頁 明治二九年一一月 【○同月 ○十月十九日午後…】(DK210022k-0010)
第21巻 p.207-208 ページ画像

東京商業会議所月報  第五一号・第七頁 明治二九年一一月
○同月 ○十月十九日午後五時、本会議所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税
 - 第21巻 p.208 -ページ画像 
法調査ノ件ヲ審議シ、午後七時閉会ス
○中略
○同月 ○十月二十四日午後五時、本会議所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後五時閉会ス
○中略
○同月 ○十月二十九日午後四時、本会議所ニ於テ委員会議ヲ開キ、営業税法調査ノ件ヲ審議シ、午後五時閉会ス


東京商業会議所月報 第五二号・第一八頁 明治二九年一二月 【○十一月六日、本会議…】(DK210022k-0011)
第21巻 p.208 ページ画像

東京商業会議所月報  第五二号・第一八頁 明治二九年一二月
○十一月六日、本会議所ニ於テ第五十六回臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者左ノ如シ
 益田克徳君 ○外二十三名氏名略
午後五時四十分開議、左ノ件々ヲ決議シ、同八時閉会ス
 一営業税法調査報告 (委員会議提出)
右ハ大多数ヲ以テ原案ノ如ク臨時商業会議所聯合会ヘ提出スルニ決ス(原案ノ全文ハ参照ノ部第三号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第五二号・第二一―二五頁 明治二九年一二月 【○参照第三号 十一月六日第五…】(DK210022k-0012)
第21巻 p.208-212 ページ画像

東京商業会議所月報  第五二号・第二一―二五頁 明治二九年一二月
○参照第三号
 十一月六日第五十六回臨時会議ノ決議ニ依リ臨時商業会議所聯合会ヘ提出シタル営業税法改正意見ノ全文ハ左ノ如シ
別記ノ趣意ヲ以テ大蔵大臣ヘ建議シ、且帝国議会ヘ請願スル事
(別記) 営業税法改正意見
    第一 営業税法ノ欠点
凡ソ税法ヲ制定スルニ方リテ注意スヘキ第一要義ハ徴税方法ノ簡明ニシテ而カモ公平ヲ失ハサルニアリ、苟クモ徴税方法ニシテ煩瑣複雑ニ失スルニアラン乎、独リ多額ノ徴税費ヲ要スルノミナラス、納税者ハ為メニ非常ノ苦痛ヲ感シ其結果竟ニ負担ノ公平ヲ欠クニ至ルハ免ルヘカラサルノ理数ナリ、謹テ明治二十九年法律第三十三号営業税法ヲ按スルニ課税標準甚タ複雑ニ、徴税方法頗ル煩瑣ニシテ、加フルニ税額ノ負担亦公平ヲ得サルモノアリ、請フ嘗ミニ其然ル所以ヲ開陳セン
 其一 営業税法ハ物品販売業ノ課税標準ヲ売上金額・建物賃貸価格従業者ノ三種トシ、尚売上金額ヲ卸売・小売ノ二ニ分チテ、其税率ヲ卸売ハ万分ノ五、小売ハ万分ノ十五ト定メラレタリ、卸売ハ小売ニ比スレハ概シテ薄利ナルヲ常トスルカ故ニ、之ヲ区分シテ税率ニ等差ヲ設ケシハ一見公平ヲ得タルカ如シト雖トモ、是只法文上ニ於テ公平ノ迹ヲ示スニ過キス、其実際ニ至テハ二者ノ区別甚タ曖昧ニシテ之ヲ識別スルニ由ナキモノナリ、蓋シ単純ニ考フレハ営業者ニ対シ販売スルモノヲ卸売ト云ヒ、消費者ニ販売スルモノヲ小売ト云フカ如クナルモ、営業者ニ販売スルモノ其量必スシモ多キニアラス消費者ニ販売スルモノ其量必スシモ少キニ限ラス、而シテ店頭日々ノ顧客ニ就キ営業者ナルヤ将タ消費者ナルヤヲ吟味スルカ如キハ到底為シ能ハサル事タリ、然ラハ何ニ縁テ容易ニ卸売ト小売トヲ区分シ得ンヤ、要スルニ卸売ト小売トハ対手ノ営業者ナルト消費者ナル
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トノ区分ヲ識別スルニ由ナク、又其商高ノ多寡ノミヲ以テ区別シ得ヘキニ非サレハ、之ヲ法文ニ規定シ得ヘキ程ノ明確ナル限界ヲ睹出ス能ハサルモノナリ、夫レ二者ノ区分是ノ如ク曖昧ナルニ拘ラス、其税率ニ於テ一ト三トノ大差アリトセハ、実施ノ日ニ至テ幾多ノ紛擾ヲ醸サヽラントスルモ豈得ヘケンヤ、其法文上ニ於テ公平ノ迹ヲ示シタルモノ、適マ以テ不公平ヲ生スルノ因タラスンハアラサルナリ
 其二 営業税法ハ建物賃貸価格ヲ以テ課税標準ノ一ニ定メラレタリ各種営業中旅人宿業・料理店業等ニ至テハ建物ヲ課税標準中ニ算スルモ甚タシキ不公平ノ結果ヲ生セサルヘシト雖トモ、自余ノ営業ニ至テハ建物ノ大小及賃貸価格ノ多寡ハ必スシモ収利ノ大小多寡ト比例セス、之ヲ例セハ銀行業・保険業等ハ矮小ノ家屋ニ於テ其業ヲ営ムモ莫大ノ利益ヲ収メ得ヘク、之ニ反シ製造業・販売業等ハ建物ノ手広ナルニ似ス収ムル所ノ利益僅少ナルモノアリ、何トナレハ其扱フ貨物ノ異ナル所アレハナリ、然ルニ等シク課税標準トシテ之ニ課スルニ千分ノ四十ノ税率ヲ以テセントス、安ンソ其結果ノ公平ナルヲ得ンヤ、殊ニ倉庫業ノ建物ニ至テハ営業資本ノ大部分ヲ占ムルコト猶汽船会社ノ船舶、鉄道会社ノ車輛ニ於ケルカ如シ、然ルニ其賃貸価格ニ向テ課税セントス、仮令税率ニ於テ多少斟酌ヲ加ヘタリトスルモ決シテ公平ヲ得タリト謂フヘカラサルナリ、況ンヤ建物賃貸価格其物ニ至テモ公平ニ之ヲ定ムルハ到底望ムヘカラサル事ナルニ於テオヤ、営業税法第十八条及第二十八条ハ其算定ノ手続若クハ其評価ノ手続ニ関シ細ニ規定セラルヽ所アリト雖トモ、是ノ如キハ徒ラニ収税官ト営業者トニ非常ノ煩労ト苦痛トヲ与ヘ、為メニ幾多ノ紛擾ト幾多ノ徴税費トヲ増加スルニ過キサルヘキナリ
 第三 営業税法ハ又従業者ヲ課税標準トシ、其員数ハ前年ニ於ケル最多数ノトキニ依ルヘキコトヽ規定セラレタレトモ、営業ノ種類ニ依リテハ従業者ノ員数一定セスシテ随時増減スルモノ少カラス、然ルヲ前年中最多数ノトキニ依ルヘキモノト定メラレタルハ決シテ至当ノ課税法ト謂フヲ得ス、殊ニ本法ニ於テ名義ノ何タルヲ問ハス商業ニ従事スルモノハ総テ従事者ト定メ、商家ノ丁稚、製造家ノ徒弟ノ如キニ至ルマテ悉ク従業者トシテ計算スヘキモノトセシ如キハ、酷ノ甚タシキモノト謂ハサルヘカラス、何トナレハ商家ノ丁稚、製造家ノ徒弟ノ如キ多クハ将来其業ニ当ランコトヲ欲シテ本業ヲ見習ハンカ為メ寄食スルモノナレハ、仮令其名被傭者ナルモ其実ハ決シテ普通ノ傭者ト同一視スヘキモノニアラサレハナリ、固ヨリ従業者ハ課税ノ標準タルニ止リ、直接其頭上ニ負担ヲ受クルニ非スト雖トモ、已ニ課税ノ標準ト為ス以上ハ傭主ハ勉メテ其員数ヲ減セントスルハ免ルヘカラサル情勢ニシテ、其余響ノ及フ所啻ニ旧来ノ習慣ヲ破リ、貧家ノ子弟ヲシテ発達ノ途ヲ失ハシムルノミナラス、延テ商工業ノ振興ヲ妨クル媒介タルカ如キコトナキヲ必セサルナリ
以上ハ則チ営業税法中最モ著キ欠点ナリト信ス、不幸現法ノ如クニシテ実施セラルヽアラハ、収税官ハ徴税方法ノ煩瑣ナルニ堪ヘス、営業者ハ課税標準ノ複雑ナルニ堪ヘサルヘシ、是本税法ノ改正ヲ必要トス
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ル所以ナリ
    第二 営業税法改正ノ要領
営業税法ノ改正セサルヘカラザル所以ハ以上開陳スル所ノ如シ、然ラハ如何ニ之ヲ改正スヘキ乎、要スルニ徴税方法ノ簡明ニシテ、而カモ公平ヲ失ハサルヲ以テ帰旨ト為スノ外ナシ
 其一 営業税法以外別ニ会社税法ヲ創定シ、会社組織ヲ以テスル営業ハ総テ同法ニ属セシメ、会社収入ノ利益ヲ標準トシテ相当ノ課税ヲナス事
本来営業税ヲ公平ニ賦課セント欲セハ、課税ノ標準ヲ営業所得即チ利益ニ求ムルヨリ善キハナシ、只営業利益ナルモノハ容易ニ之ヲ知ルニ由ナク、強テ之ヲ知ラント欲スレハ幾多煩雑ナル手数ヲ要スヘキニ依リ、已ムヲ得ス他ニ課税標準ヲ求ムルニ外ナラス、然ルニ会社組織ノ営業ニ在テハ株式会社ハ勿論、他ノ合資・合名会社ト雖トモ一個人ニ比スレハ其所得ヲ知ルコト頗ル容易ナルモノアリ、何ソ故ラニ課税標準ヲ資本金額・建物賃貸価格・従業者等ニ求メ幾多煩雑ナル手数ヲナシテ、結局不公平ノ課税ヲ為スニ畢ルノ要アランヤ、人或ハ所得ヲ以テ課税標準ト為スハ所得税ノ本色ナリト説クモノアリト雖トモ、営業税ハ元ト営業ニ対シテ課税スルモノナリ、乃チ其営業所得ヲ標準トシテ之ニ賦課スルニ於テ何ノ不可カ之アランヤ、況ヤ現時本邦ニ於テ会社ハ全然所得税法ノ範囲外ニ立テルオヤ、是新ニ会社税法ヲ制定セラレンコトヲ希望スル所以ナリ
 其二 一個人ノ営業ニ対シテハ左ノ方法ニ依リ相当ノ課税ヲ為ス事
 (一)物品販売業
  右ハ売上金額(卸売ト小売トヲ問ハス)ヲ課税標準ト為ス事
 (二)銀行業 保険業 金銭貸付業 物品貸付業 製造業 印刷業 写真業 倉庫業 運送業運河業 桟橋業 船渠業 船舶碇繋場業 貨物陸揚場業
  右ハ資本金額ヲ課税標準ト為ス事
 (三)土木請負業 労力請負業
  右ハ請負金額ヲ課税標準ト為ス事
 (四)席貸業 料理店業 旅人宿業
  右ハ建物賃貸価格及従業者ヲ課税標準ト為ス事
 (五)公ナル周旋業 代弁業 仲立業 仲買業
  右ハ報償金額ヲ課税標準ト為ス事
 以上各業ハ、営業ノ情態ニ応シ毎営業ヲ若干ノ等級ニ分チ、毎等級相当ノ税率ヲ定ム、但等級ハ課税標準(物品販売業ノ売上金額、銀行業等ノ資本金額ノ類)ニ依リテ分ツ事
 又毎営業ノ等級ヲ定ムルニ当リテハ、各地適宜ノ区域内ニ営業税調査委員若干名ヲ置キ之ヲ調査セシムル事、但営業組合アルモノハ其組合ニ調査ヲ附託スルモ妨ケナシ
前記ノ如ク営業税法ヲ改定スルニ於テハ、啻ニ徴税上煩雑ノ手数ト無益ノ経費トヲ省キ得ヘキノミナラス、課税標準複雑ナラサルカ故ニ、其税率ノ苛重ナラサル限リハ、営業者ヲシテ非常ノ苦痛ト煩労トヲ感セシムルカ如キ患ヒナキヲ得ヘシ、顧フニ毎業ニ等級ヲ定ムルハ多少
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煩雑ニ渉ルノ観アリト雖トモ、是只法ヲ立ツルノ上ニ於テ慎重ノ商量ヲ要スルニ止リ、之ヲ実施スルニハ極メテ簡易ナリ、現法ノ其法文簡易ナルカ如クニシテ、而カモ之ヲ実施スルニハ甚タ煩雑ナルニ比スレハ、固ヨリ同日ニシテ語ルヘキニ非サルナリ、且夫レ等級ニ依テ課税スルニ於テハ其級別ノ公平ヲ失ハサル限リハ、営業者ハ自家ノ面目上好ンテ下級ノ納税者タルヲ甘ンスルカ如キコトナク、徴税ノ成績従テ良好ナルヲ得ヘシ、而シテ其等級ノ当否ハ調査委員若クハ営業組合ヲシテ之ヲ調査セシムルコトヽセハ、比較的ニ較ヤ公平ニ近キ結果ヲ収メ得ヘキヲ信スルナリ、但其等級ニ至テハ営業ノ種類ニ依リ、或ハ数等ニ分ツヲ相当トスルモアルヘク、或ハ十数等ニ分ツヲ相当トスルモアルヘキヲ以テ、此等ハ固ヨリ実際ノ情況ニ照シテ細ニ斟酌スル所ナカルヘカラス
 其三 税率ハ現法ニ比シ徴税費ノ減スル分量ニ応シテ之ヲ軽減スル事
会社税法及改定営業税法ニ規定セラルヘキ税率ニ就テハ、細目ニ渉リテ按ヲ具セスト雖トモ、其程度ハ全体ニ於テ現法ニ比シ之ヲ軽減セルノ至当ナルヲ信スルモノナリ、聞クカ如クンハ現法ハ一年七百五十余万円ヲ徴収シ得ヘキ目的ヲ以テ其税率ヲ定メラレタリト、府県従来ノ地方税中ヨリ国庫ニ移ルヘキ営業税ハ概算二百九万円ナリト云フニ、一躍之ヲ増シテ七百五十余万円ト為サントス、其増加ノ急激ニシテ負担ノ過重ナルヤ知ルヘキナリ、抑モ現法ハ幾多ノ課税標準ヲ設ケ営業者ノ申告ヲ俟テ之ニ課税セントスルモノナリ、是ノ如キ手続ノ下ニ彼ノ如キ過重ノ負担ヲ為サシム、其能ク予定ノ税額ヲ徴収シ得ヘキヤ否ヤハ何人モ疑ヒナキ能ハサル所ナルヘシ、現法ハ営業者ノ申告ヲシテ不正ナカラシメンカ為メ、其取締ニ関シテ細密峻厳ノ規定ヲ設ケラレタレハ、之ヲ厲行スルニ於テハ仮ニ予定ノ税額ヲ徴収シ得ヘシトスルモ、為メニ要スル徴税費ニ至テハ其多額ナルコト恐ラク意料ノ外ニ出ルモノアルヘシ、独リ多額ノ徴税費ヲ要スヘキノミナラス、其手続ノ煩瑣ナル為メ納税者各自カ費ス所ノ費用ニ至テハ挙テ数フヘカラサル者アラン、夫レ徴税ノ為メニ消費スル所ハ国庫ノ収入上寸益ナクシテ徒ニ納税者ヲ窘ルニ過キス、之ヲ一方ニ徴シテ之ヲ一方ニ失フ、寧ロ始メヨリ徴収セサルノ勝レルニ若カサルナリ、然ルニ今若シ会社税法ヲ創定シ営業税法ヲ改定スルコト前述ノ如クナラン乎、課税標準簡明ニシテ徴税方法複雑ナラサルカ故ニ、徴税ノ為メニ要スル費用ハ非常ニ之ヲ減スルコトヲ得ヘク、之ヲ現法ニ比スレハ其差少クトモ三ト一トヲ下ラサルヘシ、然ラハ則チ其徴税費ノ減スル分量ニ応シ税率ニ於テ之ヲ軽減スルモ毫モ国庫ニ損スル所ナキノ理ナラスヤ、而シテ之ニ由テ一面無益ノ手数ト費用トヲ省キ、一面営業者ニ幾分休養ノ余地ヲ与ヘ得ヘシトセハ、実ニ策ノ一挙両得ナルモノト謂ハサルヘカラス、是全体ニ於テ現法ニ比シ其税率ヲ軽減セラレンコトヲ希望スル所以ナリ
以上ハ即チ営業税法改正ヲ希望スルニ就テノ大体ノ意見ナリ、大綱已ニ挙レハ細目従テ張ルヲ常トス、故ニ税法ニ規定セラルヘキ条項等ニ至テハ敢テ玆ニ絮説セス
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   ○本巻明治二十九年四月二十五日、同二十九年十二月十七日、同三十年五月七日、同三十年十月八日、同三十年十二月二十七日ノ各条、並ニ本資料第二十二巻所収「商業会議所聯合会」明治二十九年十一月十九日、同三十年十一月五日、同三十年十二月四日ノ各条参照。



〔参考〕明治財政史 同史編纂会編 第六巻・第四四―四六頁 明治三七年一一月刊(DK210022k-0013)
第21巻 p.212-213 ページ画像

明治財政史 同史編纂会編  第六巻・第四四―四六頁 明治三七年一一月刊
 ○第六編 第一章 内国税
    第五節 営業税
○上略
以上述ヘタル如ク営業税ノ制度ハ、維新以来種々ノ変遷ヲ経タリト雖モ、要スルニ明治八年以前ハ専ラ旧慣ニ依遵シ、各地各々制度ヲ異ニシ、同年以降ハ単ニ地方税トシテ各府県限リ之ヲ課徴シ、国税トシテ一般営業者ニ課税スルノ制無カリシナリ、然ルニ明治二十七・八年日清戦役ノ結果、歳計俄然膨脹スルニ至レルヲ以テ歳入増加ノ新財源ヲ得ルノ必要ヲ生セリ、是ニ於テ政府ハ課税上弾力ニ富ミ其収入確実ナル営業税ヲ以テ好箇ノ財源ト為シ、新ニ国税中営業税ヲ設ケテ歳入補塡ニ充ツルノ計画ヲ定メタリ、而シテ当時営業税ヲ新設シタル理由ハ歳入増加ノ目的ヲ外ニシテ猶二三ノ理由ヲ存セリ、即チ其一ハ従来ノ地方税中営業税・雑種税ノ賦課ハ極メテ均一ヲ欠ケルヲ以テ、国税トシテ営業税ヲ設ケ、地方税ハ其附加税トシテ一定ノ率ニ依リ之ヲ徴シ負担ノ公平ヲ期スルニアリ、其二ハ国税中徴収費巨額ニシテ之ヲ府県税ト為スヲ便トスル船税・車税・菓子税・牛馬売買免許税・煙草営業税・醤麹営業税等ヲ府県ノ財源ニ移シ国税ノ整理ヲ図ルニアリ、其三ハ従来商工業者ハ租税負担額ニ比シ公権ヲ享有スルコト少ク土地所有者ニ比シ頗ル不公平ナルノ嫌アリシヲ以テ、此弊ヲ除ク為メ営業税ノ納税者ハ衆議院議員選挙法並ニ貴族院多額納税議員互選規則等ニ於ケル参政権享有ノ資格ヲ有セシムルノ必要ニ由ルナリ、営業税法案ハ明治二十八年第九期帝国議会ニ提出セラレ、些少ノ修正ヲ加ヘテ貴衆両院ヲ通過シ、明治二十九年三月二十七日法律第三十三号ヲ以テ之ヲ公布セリ、営業税法ハ課税物件タル営業ノ種類二十四種ヲ列挙シ、課税ノ標準ヲ資本金・売上金高・建物賃貸価格・従業者職工労役者報償金及請負金等ニ取レリ、是レ一般納税者ヲシテ負担ヲ公平ナラシメンカ為メニハ成ルヘク各種ノ点ヨリ比例ヲ取リテ其実相ヲ察知スルヲ要スレハナリ、而シテ又一方ニ於テハ国税トシテ営業税ノ設定アリタルカ為メ、地方ノ財源ヲ涸渇セシムルノ虞ナキニアラサルヲ以テ、販売業ニアリテハ一箇年ノ売上金額千円以上ノ者、又金銭貸付及物品貸付等ニ於テハ資本金五百円以上ノ者、製造業ニ於テハ資本金五百円以上ニシテ、而モ職工労役者ヲ通シテ二人以上ヲ使用スル者、運送業ニ於テハ雇人二人以上ヲ使用スル者、印刷業・写真業ニ於テハ職工雇人ヲ通シテ二人以上ヲ使用スル者、土木請負業・労力請負業ニ於テハ請負金額一箇年千円以上ノ者、席貸業ニ於テハ建物賃貸価格五十円以上ノ者旅人宿業・料理店業ニ於テハ雇人三人以上ヲ使用スルモノニ限リ国税タル営業税ヲ負担セシメ、其以下ニ在ルモノハ之ヲ地方ノ財源トシテ存セシムルコトヽセリ、税法ノ全文ハ左ノ如シ
 - 第21巻 p.213 -ページ画像 
○下略