デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.305-314(DK210050k) ページ画像

明治31年5月16日(1898年)

是日当会議所副会頭中野武営、会頭栄一ノ代理トシテ今回清国ヨリ収受セル償金ヲ以テ内国公債ヲ償還シ、以テ民間資金ノ運転ヲ円滑ナラシメンコトヲ内閣総理大臣侯爵伊藤博文・大蔵大臣伯爵井上馨・農商務大臣金子堅太郎ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。


■資料

東京商業会議所月報 第七〇号・第三頁 明治三一年六月 【○同月 ○五月九日午…】(DK210050k-0001)
第21巻 p.306 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第三頁 明治三一年六月
○同月 ○五月九日午後四時、本会議所ニ於テ役員会議ヲ開キ、公債償還ノ義ニ付臨時会議開設ノ件ヲ審議シ、午後五時閉会ス


東京商業会議所月報 第七〇号・第一―二頁 明治三一年六月 【○明治三十一年五月十…】(DK210050k-0002)
第21巻 p.306 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第一―二頁 明治三一年六月
○明治三十一年五月十四日、本会議所ニ於テ第七十回臨時会議ヲ開ク当日ノ出席者ハ左ノ如シ
 河村隆実君 ○外三十八名氏名略
午後五時開議、副会頭大江卓君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ午後八時三十分閉会ス
 一内国公債償還ノ義ニ付建議・請願ノ件 (会員提出)
本件ハ会員中野武営君外七名ノ提議ニ係リ、其要旨ハ清国ヨリ収受シタル償金残額ヲ以テ内国公債ヲ償還シ、民間ニ於ケル資金ノ運転ヲ円滑ナラシムヘシトノ旨ヲ政府ニ建議シ、議会ニ請願スヘシト云フニ在リ、右ニ対シ会員井上角五郎・梅浦精一ノ両君ヨリ修正意見案ノ提出アリ、審議ノ末多数ヲ以テ修正意見案ノ如ク可決セリ


東京商業会議所月報 第七〇号・第三頁 明治三一年六月 【同月 ○五月十六日、民間…】(DK210050k-0003)
第21巻 p.306 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第三頁 明治三一年六月
○同月 ○五月十六日、民間資金ノ運転ヲ円滑ナラシムル義ニ付、内閣総理大臣・大蔵大臣・農商務大臣ヘ建議書ヲ、貴族・衆議両院ヘ請願書ヲ進達ス(建議・請願書ノ全文ハ参照ノ部第一号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第七〇号・第四―五頁 明治三一年六月 【○参照第一号 明治三十一年五…】(DK210050k-0004)
第21巻 p.306-307 ページ画像

東京商業会議所月報  第七〇号・第四―五頁 明治三一年六月
○参照第一号
 明治三十一年五月十六日第七十回臨時会議ノ決議ニ依リ民間資金ノ運転ヲ円滑ナラシムル義ニ付、内閣総理大臣・大蔵大臣・農商務大臣ヘ進達セシ建議書、貴族・衆議両院ヘ進達セシ請願書ノ全文ハ左ノ如シ
    民間資金ノ運転ヲ円滑ナラシムル義ニ付建議(請願)
我国現時ノ実況ヲ観ルニ、政府ニ財政ノ困難アリ、民間ニ資金ノ欠乏アリ、上下相率テ将ニ漸ク窮境ニ陥ラントス、而シテ目下政府ハ頗ル意ヲ財政ノ整理ニ用ヒ、事業ノ緩急ヲ謀リ膨脹シタル政費ヲ一時ニ支出スルコトヲ避ケ、以テ予算ト現計トニ著大ノ懸隔ヲ生スルカ如キ失態ナカラシメント勉メラルヽノ跡アリ、是本会議所ノ大ニ多トスル所ナリト雖トモ、一国経済ノ基礎ヲ安固ナラシメント欲セハ独リ之ヲ以テ満足スヘキニ非ス、同時ニ民間資金ノ運転ヲ円滑ナラシメサルヘカラサルナリ、今ヤ民間ノ資金ハ其欠乏日ヲ追テ益々甚シク、前途有望ノ事業ヲシテ一時中止ニ帰セシメサルヲ得サルノ趨勢アリ、例セハ鉄道ノ如キ之ヲ国内ニ普及セシムルニ於テ断シテ遅々タルヲ容サヽルモノナリ、然ルニ既成ノ鉄道ハ纔ニ其経済ヲ維持シ得ルモ、未成ノ鉄道ニ至テハ或ハ之ヲ中止シ、甚シキハ工事既ニ成リテ其運転ヲ開始スル能ハサルモノアリ、例ヲ鉄道ノ一事ニ挙クルモ此ノ如シ、其他諸般ノ事業多クハ然ラサルハナシ、今ニ於テ民間資金ノ運転ヲ円滑ナラシム
 - 第21巻 p.307 -ページ画像 
ルニ非スンハ、何ヲ以テカ一国ノ独立ヲ完フシ、人民ノ富貴ヲ謀ル事ヲ得ンヤ、本会議所ハ曩ニ当路ニ建議シテ外債二億円募集ノ事ヲ進策セリ、今ヤ宜シク之ヲ決行セラルヘキノ時機ナリ、本会議所ハ我政府ノ此機ニ於テ速ニ之ヲ決セラレンコトヲ望ムモノナリ、而シテ政府幸ニ此議ヲ決セラルレハ、今回清国ヨリ収受シタル償金ヲ以テ今日直ニ内国公債若干ヲ償還セラレンコトヲ希望セサルヲ得ス、顧フニ償金残額ニ対シテハ将来ノ使途自カラ定マルモノアルヘシト雖トモ、今日之ヲ内国公債ノ償還ニ充テ、他時外債ヲ以テ之ヲ補塡スルニ於テハ、政府ノ財政計画上毫モ支障ヲ生セザルヘキナリ、只其内国公債償還金額ニ至テハ姑ラク之ヲ当局者ノ施措ニ一任シ、経済上ニ急激ノ変動ヲ与フルカ如キコトナカラシメント欲ス、蓋シ内国公債償還ヲ以テ目下ノ急ニ応セントスル所以ノモノハ、其最モ便ニシテ且ツ容易ニ実行シ得ラルヽカ為メノミ、他日外債募集ノ時ニ至テハ本会議所ハ強チ之ヲ以テ内国公債ノ償還ノミニ充ツヘシト主張スルモノニ非ス、試ニ各国ノ事例ニ就テ観ルニ、鉄道ノ如キ大資本ヲ要スル事業ニ在テハ、之ヲ国内ニ普及セシムルニ当リ外資ニ依ラサルモノ殆ント稀ナリ、然レハ既成ノ鉄道ヲ改良シ未成ノ鉄道ヲ完成スルカ為メニ此外債ヲ使用スル何ノ妨ケカ之レアラン、独リ鉄道ノミナラス諸般ノ事業ノ資ヲ此ニ取ルヘキモノ亦少ナカラス、故ニ本会議所ハ目下先ツ内国公債若干ノ償還ヲ断行シテ民間ニ於ケル資金ノ運転ヲ円滑ナラシメ、他日募集シ得タル外債ハ其時ノ事情ヲ熟察シテ機ニ臨ミ宜シキヲ制シ、以テ徐ニ之カ使途ヲ措画セラレンコトヲ切望ス、若夫レ外債元利ノ償還ニ至テハ他日民力恢復セハ之ヲ完済スルニ綽々トシテ余裕アルヘキヲ信シテ疑ハス、要ハ一国経済ノ基礎ヲ安固ナラシメント欲スルニ外ナラサルナリ願クハ閣下(貴院)速ニ本建議(請願)ヲ採納セラレン事ヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十一年五月十六日   東京商業会議所会頭代理
                  副会頭 中野武営
    内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文殿
    大蔵大臣   伯爵 井上馨殿
    農商務大臣     金子堅太郎殿
    貴族院議長  公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長     片岡健吉殿



〔参考〕金融六十年史 東洋経済新報社編 第四〇六―四一六頁 大正一三年一二月刊(DK210050k-0005)
第21巻 p.307-312 ページ画像

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〔参考〕金融六十年史 東洋経済新報社編 第三九三―三九七頁 大正一三年一二月(DK210050k-0006)
第21巻 p.312-314 ページ画像

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