デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.378-381(DK210065k) ページ画像

明治31年12月24日(1898年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、商法修正案中検査役ニ関スル規定ハ会社ノ紛擾ヲ招ク虞アルニ就キ削除センコトヲ内閣総理大臣侯爵山県有朋・司法大臣清浦奎吾・農商務大臣曾禰荒助ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。


■資料

東京商業会議所月報 第七七号・第一五頁 明治三二年一月 【○同月 ○明治三一年…】(DK210065k-0001)
第21巻 p.378-379 ページ画像

東京商業会議所月報  第七七号・第一五頁 明治三二年一月
○同月 ○明治三一年一二月二十三日、本会議所ニ於テ第七十七回ノ臨時会議ヲ開ク、当日ノ出席者ハ左ノ如シ
 武田忠臣君 ○外二十一名氏名略
午後六時開議、会頭渋沢栄一君事故アリ欠席セラレシニ依リ、副会頭大江卓君議長席ニ着キ、左ノ件々ヲ議事ニ附シ、午後七時二十分閉会
 - 第21巻 p.379 -ページ画像 
セリ
 一商法修正案中検査役ニ関スル規定ノ義ニ付建議ノ件
                       (会員提出)
本件ハ会員益田克徳君外一名ノ建議ニ係リ、其要旨ハ、商法修正案中ニ設ケラレタル検査役ニ関スル規定ハ会社ノ紛擾ヲ招ク媒介トナル恐レアルニ付、之ヲ削除セラレンコトヲ政府ニ建議シ、議会ニ請願スヘシト云フニ在リ、審議ノ末全会一致ヲ以テ之ヲ可決セリ


東京商業会議所月報 第七七号・第一七頁 明治三二年一月 【○同月同日 ○明治三…】(DK210065k-0002)
第21巻 p.379 ページ画像

東京商業会議所月報  第七七号・第一七頁 明治三二年一月
○同月同日 ○明治三一年一二月二四日 商法修正案中検査役ニ関スル義ニ就テノ建議書ヲ、内閣総理大臣及ヒ司法・農商務両大臣ニ進達シ、同請願書ヲ貴族・衆議両院ニ呈出セリ(建議書・請願書ノ全文ハ参照ノ部第六号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第七七号・第二二―二四頁 明治三二年一月 【○参照第六号 明治三十一年十…】(DK210065k-0003)
第21巻 p.379-381 ページ画像

東京商業会議所月報  第七七号・第二二―二四頁 明治三二年一月
○参照第六号
 明治三十一年十二月二十三日第七十七回臨時会議ノ決議ニ依リ、商法修正案中検査役ノ規定ニ関スル義ニ付内閣総理大臣及ヒ司法・農商務両大臣ニ進達セシ建議書、貴族・衆議両院ニ呈出セシ請願書ノ全文ハ左ノ如シ
    商法修正案中検査役ニ関スル規定ノ義ニ付キ建議(請願)
我政府カ第十二回帝国議会ニ提出セラレタル商法修正案ニ拠レハ、第百二十四条・第百三十四条第二項・第百八十二条・第百九十八条第一項・第二百十四条第二項ニ検査役ニ関スル規定アリ、即チ株式会社ニ在テハ取締役・監査役ノ外ニ裁判所又ハ株主総会ノ選任ヲ以テ検査役ナルモノヲ置キ得ルコトヽ定メラレタリ、中ニ就キ、第百二十四条ハ他ノ各条ト其場合ヲ異ニスルカ故ニ、此規定ヲ存セラルヽモ強チ不可ナシト雖トモ、其他各条ニ於ケル検査役ノ規定ハ一切之ヲ削除セラレンコトヲ希望ス、抑モ株主総会ハ自己ノ最モ信用スルモノヲ挙ケテ取締役・監査役トナシ、之ニ財産ヲ託スルモノナレハ、其以外ニ於テ特ニ検査役ナルモノヲ設クルノ必要ナシ、若シ取締役・監査役ニシテ故意又ハ怠慢ノ為メ会社ノ不利益ヲ招クカ如キ挙動アラハ、全然之ヲ改選スルノ外ナク、此等ノ場合ニ際シ検査役ヲ選任シテ検査セシムルモ何等ノ効果アル可カラス、殊ニ第百九十八条ノ場合ノ如キ、株主総会ニ於テ多数ノ信認ヲ以テ選任シタル取締役・監査役ノ信用ニ対シ、僅ニ資本金十分ノ一ヲ有スルニ過キサル株主一人ノ意思ヲ以テ、裁判所ニ請求シテ検査役ヲ選任セシムルヲ得ルニ至テハ、不穏当ノ甚シキモノト謂フヘシ、而シテ会社多数ノ株主中ニハ、僅少ノ株式ヲ所有シ、会社ノ利害ヲ度外ニ置キ、自己ノ暴利ヲ謀ルカ為メニ、故ラニ事ヲ構ヘテ其株式ノ価格ヲ低落セシメント謀ルカ如キ輩ナキヲ必セス、是ノ如キ輩ハ此等ノ規定アルヲ奇貨トシ却テ平地ニ波瀾ヲ生セシムルニ至ルヘク、其結果信用アリ名望アル株主ハ其局ニ当ルヲ避クルカ如キ傾向ヲ生スルナキヲ保セス、是検査役ニ関スル規定ハ一切之ヲ削除スルヲ可トスル所以ナリ、願クハ閣下(貴院)本建議(本請願)ヲ採納セ
 - 第21巻 p.380 -ページ画像 
ラレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十一年十二月二十四日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    内閣総理大臣 侯爵 山県有朋殿
    司法大臣      清浦奎吾殿
    農商務大臣     曾禰荒助殿
    貴族院議長  公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長     片岡健吉殿
(参照)
    商法修正案(第十二議会ヘ提出セラレタル政府案)
第百廿四条 取締役ハ其選任後遅滞ナク第百二十二条第三号乃至第五号ニ掲ケタル事項、及ヒ第一回ノ払込ヲ為シタルヤ否ヤヲ調査セシムル為メ、検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
 裁判所ハ検査役ノ報告ヲ聴キ、第百三十五条ノ規定ニ準拠シテ相当ノ処分ヲ為スコトヲ得
(備考)
 第百二十二条 左ニ掲ケタル事項ヲ定メタルトキハ、之ヲ定款ニ記載スルニ非レハ其効ナシ
  一 存立時期又ハ解散ノ事由
  二 株式ノ額面以上ノ発行
  三 発起人カ受クヘキ特別ノ利益及ヒ之ヲ受クヘキ者ノ氏名
  四 金銭以外ノ財産ヲ以テ出資ノ目的ト為ス者ノ氏名、其財産ノ種類・価格及ヒ之ニ対シテ与フル株式ノ数
  五 会社ノ負担ニ帰スヘキ設立費用及ヒ発起人カ受クヘキ報酬ノ額
 第百三十五条 創立総会ニ於テ第百二十二条第三号乃至第五号ニ掲ケタル事項ヲ不当ト認メタルトキハ之ヲ変更スルコトヲ得、但、金銭以外ノ財産ヲ以テ出資ノ目的ト為ス者アル場合ニ於テ、之ニ対シテ与フル株式ノ数ヲ減シタルトキハ、其者ハ金銭ヲ以テ払込ヲ為スコトヲ得
 第百三十四条 取締役及ヒ監査役ハ左ニ掲ケタル事項ヲ調査シ、之ヲ創立総会ニ報告スルコトヲ要ス
  一 株式総数ノ引受アリタルヤ否ヤ
  二 各株ニ付第百二十九条ノ払込アリタルヤ否ヤ
  三 第百二十二条第三号乃至第五号ニ掲ケタル事項ノ正当ナルヤ否ヤ
 取締役又ハ監査役中発起人ヨリ選任セラレタル者アルトキハ、創立総会ハ特ニ検査役ヲ選任シ、其者ニ代リテ前項ノ調査及ヒ報告ヲ為サシムル事ヲ得
(備考)
 第百二十九条 株式総数ノ引受アリタルトキハ、発起人ハ遅滞ナク各株ニ付キ第一回ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
  額面以上ノ価格ヲ以テ株式ヲ発行シタルトキハ、其額面ヲ超ユル
 - 第21巻 p.381 -ページ画像 
金額ハ第一回ノ払込ト同時ニ之ヲ払込マシムルコトヲ要ス
第百八十二条 監査役ハ株主総会ヲ招集スル必要アリト認メタルトキハ其招集ヲ為スコトヲ得、此総会ニ於テハ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ調査セシムル為メニ特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
第百九十八条 裁判所ハ資本ノ十分ノ一以上ニ当ル株主ノ請求ニ因リ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ調査セシムル為メ検査役ヲ選任スルコトヲ得
 検査役ハ其調査ノ結果ヲ裁判所ニ報告スルコトヲ要ス、此場合ニ於テ裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ、監査役ヲシテ株主総会ヲ招集セシムルコトヲ得
第二百十四条 監査役ハ左ニ掲ケタル事項ヲ調査シ、之ヲ株主総会ニ報告スルコトヲ要ス
  一 新株総数ノ引受アリタリヤ否ヤ
  二 各株ニ付キ第百二十九条ノ払込アリタルヤ否ヤ
  三 金銭以外ノ財産ヲ以テ出資ノ目的ト為シタル者アルトキハ、其財産ニ対シテ与フル株式ノ数ノ正当ナルヤ否ヤ
 前項ノ調査及ヒ報告ヲ為サシムル為メ、株主総会ハ特ニ検査役ヲ選任スルコトヲ得
   ○右建議ハ採用サレズ。検査役ニ関スル規定ハ、修正案ノ如ク可決セラレタリ。(明治三二年法律第四十八号)