デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.510-514(DK210088k) ページ画像

明治32年12月21日(1899年)

第八回商業会議所聯合会ノ議決ニ係ル印紙税法改正ノ儀ニツキ、是日栄一当会議所会頭トシテ、大蔵大臣伯爵松方正義・農商務大臣曾禰荒助ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。


■資料

第九回東京商業会議所事務報告 第一一頁 明治三三年四月刊(DK210088k-0001)
第21巻 p.510-511 ページ画像

第九回東京商業会議所事務報告  第一一頁 明治三三年四月刊
一印紙税法中改正ニ関スル義ニ付大蔵大臣・農商務大臣ニ建議、貴族衆議両院ニ請願ノ件
 本件ハ名古屋商業会議所ヨリ第八回商業会議所聯合会ヘ提出シテ其可決ヲ得タルモノニ係リ、其要旨ハ証書ニ関スル貼用印紙ハ最高限度ヲ十円ト為シ貯金通帳ニハ印紙ヲ貼用セサルコトニ印紙税法ヲ改正セラレンコトヲ各商業会議所ヨリ其筋ニ建議・請願スヘシト云フニ在リ、仍テ之ヲ明治三十二年十二月八日第八十八回ノ臨時会議ニ附シ其可決ヲ得、建議・請願案ノ起草並提出方ハ役員会議ニ一任スルコトヽナリ、其後役員会議ニ於テ起草ノ上、同月二十一日附ヲ以テ左ノ如ク大蔵・農商務両大臣ニ建議、貴族・衆議両院ニ請願セリ
    印紙税法中改正ノ義ニ付建議(請願)
本年法律第五十四号ヲ以テ公布セラレタル印紙税法中、左ノ如ク改正ヲ加ヘラレン事ヲ望ム
 其一 印紙税法第二条中「但シ印紙税額五十円トナルトキハ五十円ニ止メ」トアルヲ、「但シ印紙税額十円トナルトキハ十円ニ止メ」ト改正スル事
 其二 同法第五条「小切手」ノ次ニ「貯金通帳」ノ一項ヲ挿入スル事
抑モ印紙税新法実施前ニ在テハ証書ニ関スル印紙税最高一円ニ止リ、金高四千円以上ハ幾十万円ニ上ルモ之ニ貼用スル印紙ハ一円ニテ足レルニ、一躍之ヲ五十倍ニ騰ラシメタルハ不当ト謂ハザルヲ得ス、故ニ之ヲ改正シテ十円ヲ最高限度ト為サンコトヲ切望ス、又印紙税法第四条ニ拠レハ総テノ通帳ニハ毎年二銭ノ印紙ヲ貼用セサルヲ得ズ、然レトモ貯金通帳ヲ他ノ総テノ通帳ト同一視スルハ少シク不穏当ノ嫌アリ貯蓄銀行ハ他ノ銀行トハ異ニシテ其責任重キカ故ニ、之ニ対シテ相当ノ便宜ヲ与フヘキハ勿論、一方ニハ細民ノ貯蓄ヲ奨励スルコト必要ナルヲ以テ、貯金主ノ中労働者ノ如キニ対シテハ通帳印紙検査ヲ受クルノ煩累ヲ避ケシムルヲ要ス、是レ第五条中「小切手」ノ次ニ「貯金通帳」ノ一項ヲ挿入セラレンコトヲ望ム所以ナリ、願クハ閣下(貴院)
 - 第21巻 p.511 -ページ画像 
本会議所ノ建議(請願)ヲ採納セラレ、速ニ同税法ニ改正ヲ加ヘラレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十二年十二月廿一日
            東京商業会議所会頭 渋沢栄一
    大蔵大臣  伯爵 松方正義殿
    農商務大臣    曾禰荒助殿
                   (各通)
    貴族院議長 公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長    片岡健吉殿


渋沢栄一 日記 明治三二年(DK210088k-0002)
第21巻 p.511 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三二年     (渋沢子爵家所蔵)
十二月八日 曇
○上略 午後四時商業会議所臨時会開ク、午後八時散会 ○下略
   ○本建議ハ実現セズ。(明治財政史第六巻第五一六頁以下)
   ○本資料第二十二巻所収「商業会議所聯合会」明治三十二年十月十六日ノ条参照。



〔参考〕明治財政史 同史編纂会編 第六巻・第五一六―五二二頁 明治三七年一二月刊(DK210088k-0003)
第21巻 p.511-514 ページ画像

明治財政史 同史編纂会編  第六巻・第五一六―五二二頁 明治三七年一二月刊
 ○第六編 第一章 第十三節 印紙税
    第四款 印紙税ノ第四期
上来述ヘタル処ノ如ク証券印紙規則ハ明治十七年ノ制定ニ係リ、爾後屡々改正ヲ加ヘタルニ拘ラス、尚ホ錯雑不備ノ点多キノミナラス、漸次時勢ノ進歩シ商業取引ノ発達スルニ従ヒ、従来ノ規程ハ漸次経済社会ノ実状ニ適セサルニ至レリ、是ニ於テハ明治三十二年三月九日法律第五十四号ヲ以テ証券印紙規則ヲ廃止シ、新ニ印紙税法ヲ制定シ、以テ税率ヲ単純ニシ、小切手ヲ免税シ、其他為替手形・約束手形・株券債券・船荷証券、其他ノ証券ニ税印ノ押捺ヲ受クルコトヲ得セシムル等、専ラ納税者ノ便利ヲ図リ、以テ社会ノ状況ニ適応スルノ法律ヲ制定セリ、其全文左ノ如シ
  法律第五十四号 (明治三十二年三月八日)
    印紙税法
 第一条 財産権ノ創設・移転・変更・消滅ヲ証明スヘキ証書・帳簿及財産権ニ関スル追認、若ハ承認ヲ証明スヘキ証書ヲ作成スル者ハ此ノ法律ニ依リ印紙税ヲ納ムヘシ
 第二条 証書ニ関シテハ一通毎ニ、其ノ記載金高五円以上ノモノニ限リ記載金高一万分ノ五ノ割合ヲ以テ印紙税ヲ納ムヘシ、但シ印紙税額五十円トナルトキハ五十円ニ止メ、一銭未満トナリ又ハ一銭未満ノ端数ヲ生スルトキハ一銭ニ切上クルモノトス
  金高記載ナキモ、証書面ニ標記シアル価格ノ単位又ハ其ノ他ノ記載事項ニ依リ其ノ金高ヲ算出スルコトヲ得ルモノハ、其ノ総金額ヲ以テ記載金高ト看做ス
 第三条 為替手形・約束手形ハ一通毎ニ、其ノ記載金高五円以上ノモノニ限リ左ノ割合ヲ以テ印紙税ヲ納ムヘシ
  金高二千円未満      印紙税二銭
 - 第21巻 p.512 -ページ画像 
  金高二千円以上      印紙税十銭
 第四条 左ニ掲クル証書・帳簿ニ関シテ証券ハ一通毎ニ、帳簿ハ一冊一年以内ノ附込ニ対シ、下ニ定ムル所ノ印紙税ヲ納ムヘシ
   一 委任状                         印紙税一銭
   一 銀行預金証書                      印紙税二銭
   一 船荷証券                        印紙税二銭
   一 運送貨物引換証                     印紙税二銭
   一 倉荷預証券                       印紙税二銭
   一 倉荷質入証券                      印紙税二銭
   一 保険証券                        印紙税二銭
   一 株券                          印紙税二銭
   一 債券                          印紙税二銭
   一 株式申込書                       印紙税二銭
   一 地上権・永小作権・地役権ニ関スル証書          印紙税二銭
   一 使用貸借・賃貸借・雇傭・寄託・定期金ニ関スル契約証書  印紙税二銭
   一 定款及組合契約書                    印紙税二銭
   一 権利ノ変更ニ関スル証書                 印紙税二銭
   一 追認承認ニ関スル証書                  印紙税二銭
   一 物品切手                        印紙税二銭
   一 売買仕切書                       印紙税二銭
   一 送状                          印紙税二銭
   一 受取書                         印紙税二銭
   一 金高記載ナキ証書                    印紙税二銭
   一 担保品差入証書、担保品預証書              印紙税二銭
   一 通帳                          印紙税二銭
   一 判取帳                         印紙税二十銭
 第五条 左ニ掲クル証書・帳簿ニ関シテハ印紙税ヲ納ムルコトヲ要セス
   一 官庁又ハ公署ヨリ発スル証書・帳簿
   一 官庁又ハ公署ニ職ヲ奉スル者ノ職務上発スル証書・帳簿
   一 国庫金ノ取扱ニ関シ発スル証書
   一 慈善又ハ公共事業ノ為ニスル金員物件ノ寄附ニ関シ、人民ヨリ官庁又ハ公署ニ提出スル証書
   一 俸給・給料・歳費・手当金・賞与金・年金・恩給金・扶助料・旅費及救恤金受取証
   一 小切手
   一 金高五円未満ノ為替手形・約束手形
   一 営業ニ関セサル受取書
   一 金高五円未満若クハ金高記載ナキ送状・受取書・売買仕切書
   一 主タル債務ノ証書ニ併記シタル担保契約
   一 証券ノ裏書又手形ノ裏面ニ記載シタル受取書
   一 株券・債券ノ譲渡ヲ証明スヘキ裏書記載
   一 手形ノ引受保証
   一 手形及証券ノ複本謄本
 - 第21巻 p.513 -ページ画像 
 第六条 印紙税ハ証書・帳簿ニ印紙ヲ貼用シテ納ムルモノトス、但シ為替手形・約束手形・船荷証券・運送貨物引換証・倉荷預証券倉荷質入証券・保険証券・株券・債券ハ印紙税額ニ相当スル現金ヲ政府ニ納附シテ税印ノ押捺ヲ受ケ、印紙貼用ニ代フルコトヲ得
 第七条 一冊ノ帳簿ヲ一年以上使用スルトキハ別帳簿ヲ調製シタルモノト看做ス
 第八条 証書ニ外国貨幣ヲ以テ員数ヲ記載スルトキハ、内国貨幣ニ換算シタル金高ニ相当スル印紙ヲ貼用スヘシ
 第九条 印紙ヲ貼用スルトキハ、証書又ハ帳簿ノ紙面ト印紙ノ彩紋トニカケテ、証書又ハ帳簿作成者ノ印章又ハ署書ヲ以テ判明ニ之ヲ消スヘシ
 第十条 印紙ヲ貼用スヘキ帳簿・売買仕切書・送状ハ当該官吏之ヲ検査スルコトアルヘシ
 第十一条 証書・帳簿ニ相当ノ印紙ヲ貼用セス又ハ第六条但書ニ依リ税印ノ押捺ヲ受ケサル者ハ脱税高二十倍ノ科料又ハ罰金ニ処ス
 第十二条 第十条ノ検査ヲ拒ミタル者ハ二十円以下ノ罰金ニ処ス
 第十三条 第九条ニ違背シタル者ハ一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
 第十四条 此ノ法律ヲ犯シタル者ニハ、刑法ノ不論罪・減軽再犯加重・数罪倶発ノ例ヲ用ヰス
     附則
 第十五条 此ノ法律ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス
 第十六条 明治十七年第十一号布告証券印税規則ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ廃止ス
 第十七条 明治十七年第十一号布告証券印税規則ニ依ル手形用紙ニシテ、此ノ法律施行ノ際自用者ノ所持ニ係ルモノハ、此ノ法律施行後ニ於テモ仍之ヲ使用スルコトヲ得、但シ手形用紙記載ノ税金高以上ニ之ヲ使用セムトスルトキハ、其ノ不足額ハ印紙ヲ貼用シテ之ヲ補足スヘシ
次テ前掲印紙税法第六条ニ依ル税印押捺請求方ニ関シ、明治三十二年三月十一日大蔵省ハ省令第五号ヲ以テ左ノ如ク定メタリ
  大蔵省令第五号 (明治三十二年三月十一日)
 印紙税法第六条ニ依リ証書ニ税印ノ押捺ヲ求メムトスル者ハ、所轄税務署ニ申出、税金ヲ納付シ、其領収証書又ハ税務署ノ納税済証明書ヲ添ヘ、用紙ト共ニ請求書ヲ大蔵省ニ提出スヘシ
従来ノ印紙税法ニ於テハ為替手形・約束手形ハ一通毎ニ、其記載金高五円以上ノモノニ限リ、二千円未満ハ印紙税二銭、二千円以上ハ印紙税十銭トナシタルモ、実際上頗ル不便ナルカ故ニ之ヲ改定スルノ必要アリシト、税印押捺ノ区域ヲ拡張スルノ必要アリシニ依リ、明治三十四年四月法律第十六号ヲ以テ印紙税法中左ノ通改正セリ
  法律第十六号 (明治三十四年四月二日)
 印紙税法中左ノ通改正ス
 第三条 削除
 第四条中委任状ノ次ニ左ノ二号ヲ加フ
   一 為替手形         印紙税二銭
 - 第21巻 p.514 -ページ画像 
   一 約束手形         同  二銭
 第六条中「為替手形・約束手形・船荷証券・運送貨物引換証・倉荷預証券・倉荷質入証券・保険証券・株券・債券ハ」ヲ削ル
従来税印ノ押捺ヲ請求スルニハ大蔵省ニ其請求書ヲ提出スヘキ規定ナリシモ、斯クテハ地方ニ於ケル請求者ニ取リテ甚不便ナルカ故ニ、全国枢要ノ地ニ於テ請求スルコトヲ得セシメンカ為メニ、明治三十四年八月三日大蔵省令第十六号ヲ以テ、明治三十二年大蔵省令第五号中ヲ改正シ「大蔵省」トアルヲ改メ「東京・大阪・横浜・神戸・長崎・函館・名古屋各税務管理局」ト為シ、又法律第十六号ヲ以テ、印紙税法第六条ノ改正セラレタル結果同省令中「証書ニ」ノ三字ヲ削除セリ○下略