デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.551-553(DK210099k) ページ画像

明治33年6月6日(1900年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、民間資金ノ充実ヲ計ル為メ内国債一億円ヲ三年内ニ償還センコトヲ希望スル旨、内閣総理大臣侯爵山県有朋・大蔵大臣伯爵松方正義・農商務大臣曾禰荒助ニ建議ス。


■資料

第十回東京商業会議所事務報告 第三―四頁 明治三四年四月刊(DK210099k-0001)
第21巻 p.551-552 ページ画像

第十回東京商業会議所事務報告  第三―四頁 明治三四年四月刊
一内国債一億円償却ノ義ニ付、内閣総理・大蔵・農商務三大臣ニ建議ノ件
 本件ハ明治三十三年六月一日第九十四回臨時会議ニ於テ経済界ノ現状ニ関スル調査委員ノ報告ヲ議スルニ際シ其報告中ニ掲載セラレタル一項ナリシガ、審議ノ末之ヲ分離シテ別ニ建議スルコトニ決シタルニ付、同月六日附ヲ以テ左ノ如ク内閣総理・大蔵・農商務三大臣ニ建議シタリ
    内国債償却ノ義ニ付建議
我政府カ戦後経営ノ為メ俄カニ巨額ノ政費ヲ増加スルヤ、本会議所ハ其結果ノ延テ一国ノ進運ヲ阻害シ商工業ノ発達ヲ抑止センコトヲ恐レ当路ニ建議スルコト一再ニシテ止マラサリシト雖トモ、不幸ニシテ未タ採納ノ栄ヲ荷フニ至ラス、然ルニ爾来我経済界ノ実況ヲ視ルニ、政費ノ益々膨脹スルト共ニ民間ノ資金ハ愈々欠乏ヲ告ケ、商工業ハ為メニ萎靡不振ノ悲境ニ沈淪スルニ至レリ、是レ豈国家経済上軽々看過ス
 - 第21巻 p.552 -ページ画像 
ヘキノ事相ナランヤ、顧フニ我経済界ノ斯ル悲運ニ陥リタル所以ノモノハ、国民自ラ其力ヲ揣ラス戦後一時ニ幾多ノ企業ヲ試ミタルモノ之カ一因タルナキヲ必セスト雖トモ、其最大原因ニ至リテハ政費ノ膨脹民力発達ノ程度ニ超越シ、両者全ク其権衡ヲ失シタルニ在リ、故ニ今日ニ於テ商工業ノ衰勢ヲ挽回シテ国運ノ進捗ヲ期セント欲セハ、須ク先ツ民間資金ノ充実ヲ計ラサルヘカラス、而シテ其ノ之ヲ計ルノ方策タル、固ヨリ種々アルヘシト雖トモ、其効果ノ最モ顕著ニシテ而カモ其実行ノ比較的ニ容易ナルモノヲ公債ノ償却トナス、是ニ於テカ本会議所ノ政府ニ望ム所ハ、宜シク時機ノ緩急ヲ計リ、内国債一億円ヲ限度トシ、今後三ケ年以内ニ償却セラレンコト是ナリ、而シテ其ノ之ヲ償却スルノ資金ハ果シテ孰レニ求ムヘキヤト云フニ、本会議所ノ見ル所ヲ以テスレハ、彼ノ軍備其他ノ継続事業ノ如キ期限ヲ延長シテ一時多額ノ支出ヲ抑ヘ難キニアラス、政府通常ノ経費モ亦幾分カ節減シ得ルノ余地アルヲ信ス、故ニ其劃策ニシテ宜シキヲ得ハ、国務ノ進行ニ何等ノ支障ヲ与ヘスシテ之カ償却ノ資金ヲ得ルコト必スシモ難事ニアラス、若シ又目下ノ事情到底事業ノ延期ト経費ノ節減トヲ許サストスレハ、外債ヲ募集シテ之ニ充ルモ亦敢テ不可ナカルヘク、其方法ノ如何ニ至リテハ本会議所ハ玆ニ之ヲ言明スルヲ要セサルナリ、要ハ唯時機ノ緩急ニ応シテ内国債ヲ償却シ速ニ民間ノ資金ヲ潤沢ナラシムルノ途ヲ講セラレンコトヲ望ムニ在ルノミ、希クハ閣下之ヲ採納セラレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議仕候也
  明治三十三年六月六日
          東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一
    内閣総理大臣 侯爵 山県有朋殿
    大蔵大臣   伯爵 松方正義殿(各通)
    農商務大臣     曾禰荒助殿
   ○本巻明治三十四年二月六日ノ条参照。



〔参考〕明治大正財政史 大蔵省編 第一一巻・第四二〇―四二一頁 昭和一一年五月刊(DK210099k-0002)
第21巻 p.552-553 ページ画像

明治大正財政史  大蔵省編  第一一巻・第四二〇―四二一頁 昭和一一年五月刊
 ○第八編 第一章 第六節 第一款 償還の計画
    第一項 国債整理基金設置前の償還計画
○上略
 以上之を要するに、国債の償還に就ては明治十一年八月始めて償還方案を立て、尋いで翌十二年六月之に多少の更正を加へて、十一年度首に於ける国債未償還額及紙幣流通額の合計に対し毎年度二千万円若くは二千百万円づつを通常歳入より支出し、明治三十八年度に至り全部完済の計画と為せしものにして、爾後中山道鉄道公債・海軍公債・軍事公債及事業公債等の起債に因り、右の計画に多少の変更を加ふる所ありたりと雖も、大体に於ては明治十一年の計画を継承し、毎年度通常歳入より支出すべき償還資金の定額を二千万円とし、之に軍事公債・事業公債等に要する償還又は利子の金額を加へて歳計を料理し、以て三十九年四月国債整理基金設置の時に至りしものとす。今減債基金廃止の後、即ち明治十九年度より、国債整理基金設置の前年、即ち
 - 第21巻 p.553 -ページ画像 
明治三十八年度に至る、二十箇年間の国債元利其の他手数料等の支出決算を表示すれば左の如し。

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                      一般会計支弁 年度     元金償還            利子・手数料・其他        合計               公債整理金部支弁に属する元金償還 明治              円                円                円               円  一九    七、三〇三、三三六・八七九   一六、七八七、二七四・四四三   二四、〇九〇、六一一・三二二   二、四一二、一二〇・〇〇〇  二〇    四、五三九、四七六・七〇三   一六、八八〇、二一三・四六四   二一、四一九、六九〇・一六七   六、七六五、三八五・〇〇〇  二一    四、六四四、七七一・九五六   一六、〇七三、〇一一・九九二   二〇、七一七、七八三・九四八   六、八九五、二三〇・〇〇〇  二二    三、一六二、〇九一・四六六   一五、二〇〇、〇一八・七一五   一八、三六二、一一〇・一八一   二、六七四、六七〇・〇〇〇  二三    三、七七九、〇八八・四四〇   一六、五三八、八四三・八〇二   二〇、三一七、九三二・二四二   三、二四七、一九五・〇〇〇  二四    二、四八七、九〇一・八〇九   一六、〇二七、八九七・六八七   一八、五一五、七九九・四九六   六、五六一、六〇〇・〇〇〇  二五    二、五一六、〇四〇・六九一   一六、〇〇一、一二七・一九三   一八、五一七、一六七・八八四   四、九八九、九四五・〇〇〇  二六    四、八八二、八二〇・一一七   一四、五七三、〇九七・八〇九   一九、四五五、九一七・九二六   八、八九一、六〇〇・〇〇〇  二七    四、八六二、五二三・三七〇   一四、八五八、六一九・一七五   一九、七二一、一四二・五四五   四、九〇〇・〇〇〇  二八    六、〇二六、一四七・三二九   一八、一六四、七一〇・五一三   二四、一九〇、八五七・八四二   二、〇〇一、九二五・〇〇〇  二九    八、九五三、六三五・四一〇   二一、五五〇、五三六・八七九   三〇、五〇四、一七二・二八九   四、〇〇二、三五〇・〇〇〇  三〇    七、四三八、九六一・二〇二   二二、〇六五、七七〇・一二五   二九、五〇四、七三一・三二七     四九九、一四二・六五五  三一    七、六一八、四四二・九五八   二〇、七六一、三八四・六三一   二八、三七九、八二七・五八九       三、二七五・〇〇〇  三二   一一、一一〇、七四六・三五〇   二三、一六八、二〇九・二六三   三四、二七八、九五五・六一三              ――  三三    八、六七七、〇四四・三八八   二六、一六四、〇九〇・五七五   三四、八四一、一三四・九六三              ――  三四    九、二一三、八二八・二三八   二八、四九六、三〇〇・五〇〇   三七、七一〇、一二八・七三八              ――  三五   一二、九六六、六一二・六八二   二九、八一九、六〇九・三〇四   四二、七八六、二二一・九八六              ――  三六    三、二九三、八八一・六三八   三三、一九〇、六三八・一五〇   三六、四八四、五一九・七八八              ――  三七      二四八、八九六・六三八   三一、三九八、七五九・七二四   三一、六四七、六五六・三六二              ――  三八   一五、二九六、二三九・二三八   九九、六七六、〇五〇・五八〇  一一四、九七二、二八九・八一八              ――  合計  一二九、〇二二、四八七・五〇二  四九七、三九六、一六四・五二四  六二六、四一八、六五二・〇二六  四八、九四九、三三七・六五五 



  (備考) 一、一般会計支弁決算額の内には、現金前渡精算過剰の返納金を翌年度の歳入に編入したるものを包含す。
       二、紙幣銷却・預金利子並に公債整理金部に於ける初年利子及証書製造発行費は本表に之を除く。