デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.632-639(DK210111k) ページ画像

明治34年2月8日(1901年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、今回政府ヨリ議会ニ提出セラレタル砂糖消費税法案ニ就キ、其実施期日ヲ短縮スルニ非ザレバ外国貿易ノ権衡ヲ乱リ内国糖業ヲ衰頽セシムルニ至ルベキ旨ヲ、内閣総理大臣侯爵伊藤博文・大蔵大臣子爵渡辺国武・農商務大臣林有造ニ建議シ、貴族院議長公爵近衛篤麿・衆議院議長片岡健吉ニ請願ス。


■資料

東京商業会議所報告 一〇〇号・第三―四頁 明治三四年二月刊(DK210111k-0001)
第21巻 p.632-633 ページ画像

東京商業会議所報告  一〇〇号・第三―四頁 明治三四年二月刊
○第百一回臨時会議 明治三十四年一月三十一日開
 出席者
  井上角五郎君 ○外十七名氏名略
午後六時開議
渋沢会頭欠席ノ為メ大倉副会頭議長席ニ就キ、先ツ井上角五郎君ヨリ臨時商業会議所聯合会ノ議事ニ関スル報告アリ、猶審議ノ末該聯合会決議事項ノ処分ニ関シ左ノ如ク決議ヲ為セリ
○中略
次ニ長尾三十郎君ハ砂糖課税実施期日ニ関スル調査ノ為メ、議長指名ヲ以テ九名ノ委員ヲ選挙シ、其調査ニ依リ直チニ政府ヘ建議且ツ議会ヘ請願スヘシトノ動議ヲ発シタルニ、満場一致ヲ以テ之ヲ可決シ、即チ議長ハ左ノ諸君ヲ指名シタリ
                   上田安三郎君
                   森一馬君
 - 第21巻 p.633 -ページ画像 
                   説田彦助君
                   藤山雷太君
                   北村英一郎君
                   長尾三十郎君
                   岩谷松平君
                   渋沢喜作君
                   中村清蔵君
午後六時五十分閉会


東京商業会議所報告 第一〇〇号・第七頁 明治三四年二月刊(DK210111k-0002)
第21巻 p.633 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第七頁 明治三四年二月刊
○砂糖課税実施期日ニ関スル件、調査委員会議二月二日開
 出席者
  森一馬君     藤山雷太君
  北村英一郎君   長尾三十郎君
  岩谷松平君    渋沢喜作君
午前十時十分開議、左ノ事項ヲ決議セリ
 一 渋沢喜作君ヲ委員長ニ選挙スル事
 一 砂糖課税実施期日ハ右税法発布ノ即日ト定ムルヲ可トシ、其旨ヲ政府ヘ建議シ、議会ヘ請願スル事
 一 来四日午後五時第二回委員会議ヲ開テ、建議・請願文案ヲ決定スル事
午前十一時閉会
○同上ノ件、調査委員会議 二月四日開
 出席者
  渋沢喜作君   長尾三十郎君
午後五時開議、左ノ事項ヲ協議セリ
 一 建議・請願文案ノ起草ハ委員長ニ一任シ速ニ会頭ニ報告スル事
午後六時閉会


渋沢栄一書翰 萩原源太郎宛 (明治三四年)二月四日(DK210111k-0003)
第21巻 p.633 ページ画像

渋沢栄一書翰  萩原源太郎宛 (明治三四年)二月四日   (萩原英一氏所蔵)
○上略
今夕之砂糖税ニ付相開候委員会ハ是非罷出度と存候、時刻ニ至り銀行又ハ宅之方ヘ一寸電話被下度候、右拝復旁申上候 匆々
  二月四日
                      渋沢栄一
    萩原源太郎様


渋沢栄一書翰 萩原源太郎宛 (明治三四年)二月四日(DK210111k-0004)
第21巻 p.633-634 ページ画像

渋沢栄一書翰  萩原源太郎宛 (明治三四年)二月四日   (萩原英一氏所蔵)
拝啓 然者今日ハ砂糖税ニ関する委員会ニ出席之積今朝申上置候得共少々差支相生し候ニ付欠席仕候、御一同ヘ可然御伝声可被下候
別紙ニ右税法ニ付而之諸方より申出候意見書ニ付御参考として差上候其中大坂精糖会社提出之分ハ少々模様相異り居候、且此事ニ付不二樹と申す取締役出京致候ニ付自然御質問被下度と申事ニ候ハヽ差出候様可仕候
 - 第21巻 p.634 -ページ画像 
○中略
  二月四日
                      渋沢栄一
    萩原源太郎様
   ○別紙ハ欠除ス。


渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210111k-0005)
第21巻 p.634 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
二月一日 晴
○上略 午後五時三井集会所ニ開会《(ノカ)》ス有楽会ニ列ス、砂糖税ノ事、銀行法ノ事ヲ協議シ、夜十時散会 ○下略
   ○中略。
二月四日 晴
午前商業会議所萩原氏ヘ書状ヲ発ス ○中略 商業会議所ニ砂糖税ニ関スル委員会アリシモ出席セス ○下略


東京商業会議所報告 第一〇〇号・第八頁 明治三四年二月刊(DK210111k-0006)
第21巻 p.634 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第八頁 明治三四年二月刊

○同月 ○二月八日、砂糖消費税法施行期日ノ件ニ付、内閣総理・大蔵・農商務三大臣ニ建議書ヲ進達シ、貴族・衆議両院ヘ請願書ヲ進達ス
(建議書及請願書ノ全文ハ参照ノ部第九号ニ掲載ス)


東京商業会議所報告 第一〇〇号・第一五―一六頁 明治三四年二月刊(DK210111k-0007)
第21巻 p.634-635 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇〇号・第一五―一六頁 明治三四年二月刊
 ○参照
○第九号
 明治三十四年二月八日附ヲ以テ砂糖消費税法施行期日ノ件ニ付、内閣総理・大蔵・農商務三大臣及貴族・衆議両院ヘ進達セル建議・請願書ノ全文ハ左ノ如シ
    砂糖消費税法施行期日ノ短縮ヲ要スル義ニ付建議(請願)
今回政府ヨリ帝国議会ニ提出セラレタル砂糖消費税法案ヲ通覧スルニ其条項中修補ヲ要スヘキ点固ヨリ一ニシテ足ラスト雖トモ、此際本会議所ノ特ニ一個ノ修正ヲ希望スルモノアリ、何ソヤ第十八条ニ「本法ハ、明治三十四年十月一日ヨリ之ヲ施行ス」トアルヲ「即日之ヲ施行ス」ト改メンコト即チ是ナリ、蓋シ斯ノ如キ砂糖消費税法ヲ実施スルニ当リ其施行期日ヲ伸長スルハ決シテ国家経済上ノ長計ニアラサルヲ信ス、今左ニ其然ル所以ヲ開陳セン
 一 見越輸入増加シテ外国貿易ノ権衡ヲ乱ル事
  課税施行期日ヲ十月一日ト定ムルトキハ、法律ノ制定ヨリ実施ニ至ル迄其間充分ノ余地ヲ存スルヲ以テ、勢見越輸入ノ増加ヲ促シ遂ニ外国貿易上輸出入ノ不平均ヲ来シ、之カ為メ我財界ニ影響スル所決シテ少々ニアラサルヘシ、是曩ニ葉煙草専売法改正ノ際ニ於ケル葉煙草ノ実例ニ徴スルモ、将タ関税定率法制定ノ際ニ於ケル砂糖・酒精等ノ実例ニ検スルモ共ニ顕著ナル事実ニ属ス、蓋シ明治三十二年一月関税定率法ノ実施セラルヽヤ、白糖ノ増税額ハ平均一担ニ付僅ニ五拾四銭ノ割合ナルニ拘ラス、三十一年中ノ見越輸入額約百万担ノ上ニ出テタルヲ見レハ、今ヤ第三種及第四種
 - 第21巻 p.635 -ページ画像 
ニ属スルモノヽ増税額平均一担ニ付弐円五拾銭トスルトキハ、其見越輸入前年ノ幾十倍ニ達スルヤモ測リ難シ、夫レ比年輸入超過シテ正貨ノ流出セルハ経世家ノ常ニ憂慮スル所ナリ、然ルニ此際課税ノ施行期日ヲ伸長シテ更ニ輸入超過ノ勢ヲ助長セントスルハ前途財界ノ為メニ深ク鑑戒ヲ要スル所ナリ、是課税施行期日ノ短縮ヲ要スル理由ノ一ナリ
 二 内国ノ糖業ヲ衰頽セシムル事
  課税施行期日ヲ十月一日ト定ムルトキハ、其前見越輸入ノ増加スヘキコト実ニ前項ニ記述スルカ如シ、而シテ内国ノ精製糖業者及粗製糖業者ハ課税実施後ニ至リ共ニ重税ヲ課セラルヽニ反シ、市場ニ於テハ其実施前ニ輸入シタル商品堆積スヘキヲ以テ、恰モ有税品ト無税品トノ競争ヲ生シ之カ為メ精製糖業者ハ工場ヲ閉鎖シ粗製糖業者モ亦生産ヲ廃止スルノ已ムヲ得サルニ至ルヘク、其極遂ニ内国ノ糖業ハ萎靡衰頽シテ復タ救治スヘカラサルノ悲境ニ沈淪スルノ恐アリ、是課税施行期日ノ短縮ヲ要スル理由ノ二ナリ
 三 政府ハ幾多年月ノ間予定ノ税額ヲ収入シ難キ事
  課税施行期日ヲ十月一日ト定ムルトキハ、其前一時ニ輸入増加スヘクシテ、其後ニ於テハ此程度ニ応シテ其輸入ノ著シク減少スヘキコト既往ノ実験ニ徴シテ明ナル所ナリ、果シテ然ラハ政府ハ幾多年月間予定ノ税額ヲ収入スルコト能ハスシテ、折角規画シタル増税案モ遂ニ其目的ヲ達セサルニ了ルヘシ、是課税施行期日ノ短縮ヲ要スル理由ノ三ナリ
以上陳述スル所ヲ以テ之ヲ観ルニ、今此砂糖消費税法ノ施行期日ヲ十月一日ト定ムルトキハ、一方ニ於テ外国貿易ノ権衡ヲ乱リ、内国糖業ヲ衰頽セシムルノ恐アリ、而カモ一方ニ於テ政府ハ幾多年月間予定ノ税額ヲ収入シ難キノ不利アリ、結局国家経済上ニ至大ノ影響ヲ及ホサスンハアラス、是実ニ本会議所カ此法律ノ施行期日ヲ短縮センコトヲ希望スル所以ナリ、仰キ願ハクハ閣下(貴院)本建議(請願)ノ趣旨ヲ採納セラレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ建議(請願)仕候也
  明治三十四年二月八日
          東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一
    内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文殿
    大蔵大臣   子爵 渡辺国武殿
    農商務大臣     林有造殿  (各通)
    貴族院議長  公爵 近衛篤麿殿
    衆議院議長     片岡健吉殿


渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210111k-0008)
第21巻 p.635-636 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
二月十九日 晴
午前不二樹熊次郎氏来ル、砂糖税ノ事ヲ談ス ○下略
   ○中略。
三月二十二日 曇
午前八時半近衛貴族院議長ヲ其官舎ニ訪ヒ ○中略 精糖戻税法案ノ事ヲ依
 - 第21巻 p.636 -ページ画像 
頼ス、十時貴族院ニ抵リ右議案決定ノ事ヲ尽力ス ○下略



〔参考〕東京経済雑誌 第四三巻第一〇六六号・第二〇六―二〇七頁 明治三四年二月二日 ○砂糖業者の建議(DK210111k-0009)
第21巻 p.636-637 ページ画像

東京経済雑誌  第四三巻第一〇六六号・第二〇六―二〇七頁 明治三四年二月二日
    ○砂糖業者の建議
全国の砂糖業者は政府の増税施行期日に関し左の建議書を提出したる由
 砂糖課税問題に付、我糖業者間其課税の可否は扨置き一刻も早く知らんと欲するものは施行期限なるべし、現物を多く貯蔵するものは永遠の利益を博せんと欲し、無暗に増税に賛成し東奔西走其期限を探究し尚多額の輸入を為し此好機を利用せんと企づゝあるもの多し小生は未た其方法期限を審にせずと雖も我政府は内外糖共に均一の課税を為し、開業後僅かに三星霜を閲したるが如き幼稚なる我精糖業を萎靡せしむるが如き方法を採らざることは確く信して疑はざる処なり、彼我国情を異にすとは雖も欧洲ビート糖産出国にては我国同様砂糖は日用食料品となり居るが故に、重きを糖業に置くこと意想の外に出、独逸の如きは年々歳々千五百万円余の砂糖輸出奨励金を与へ居り、其他仏墺諸国も尠なからざる奨励金を出して遠く我国に迄輸出し来れり、露国にては糖価昇騰するときは大蔵大臣保管の貯蔵倉庫を開て、予定の糖価に下落する迄払下げを実行し決して糖価の昇騰を許さず、昨年四月より六月の頃に至り印度及米国政府に於ては輸出奨励金を受け居る砂糖に対しては同額の税金を輸入税金に附加し、以て自国糖業を保護するの快挙に出たり、斯の如きは我協定税法の許さゞる処、今日之を如何ともなし難しと雖も、諸外国にては砂糖に付ては保護するも増税を企つるが如きは聞かざる処なり、併し我議会に於て課税の議決を見るに至らば、攻ては課税方法をして円滑に執行し我糖業者をして困難せしめず、又我経済界をして紛乱せしむるが如きことなかんを希望す、政府に於ては出来得る限り施行期限を短縮して、一時輸入することを防がんとすとの説ありと雖も、如何に急劇に実行するも東洋第一の精糖所ある香港よりは遅くも一週間内に到達し得べきか故に、到底一時の輸入は免れ得べきに非す、左すれば四ケ月乃至六ケ月多くは一ケ年分即ち千五百万円以上三千万円迄の一時輸入を見る可きが故に、彼紡績業者が昨年の初め一時投機買を試み或は糖業者か一昨年関税の改正を見越して一時に多額の輸入を企て、金融為に必迫して我経済界の秩序を紊乱し、算盤上当然税額丈は昇騰すべき筈のもの却て下落を告け、棉花は原産地の原価よりも低落して再輸出を計るの已むを得ざるに至り、破産者陸続として湧出したるが如きの不幸を再演すべきは火を見るよりも明なりとす、就ては我営業者を安全に営業せしめ、我経済界を紊乱せず政府も収税上其目的を達するの方法は、只関税の引上たると内国販売税とを問はず、政府予定の税率を十分或は二十分し最初課税の月に其一分を課し、其後一ケ月或は二ケ月毎に一分を増し十ケ月或は二十ケ月にして政府目的の税率に達せしむ、右の如き方法とすれは金利蔵敷料等の為め一時見越輸入も利益なきが為め決して一時に多額の輸入を見ることなく又税金を見込相場以外の高
 - 第21巻 p.637 -ページ画像 
価のものを購入し、徒らに外国糖業者を利せしむるが如きこともなく我経済界を乱さずして、我政府も課税以前の見越し輸入をするものなき為め悉皆の輸入糖に対し徴税すべきこととなるに付、我国糖価は順次上昇して糖業者一般安全に営業することを得、実に税率割当賦課方法は無上の良法にして政府に於ても糖業界昨今の乱調を洞察し、右の方法を採用せんことを切望す、右の割当方法なれは施行期日を秘密に付するの必要もなく、糖業者も右の方法と確定せば今日営業の儘少しも其方針を変更するの必要もなく、安全に営業を継続し得べし、昨今砂糖相場区々にして高低劇しきは需要供給の関係に非すして、課税期限を見込みて投機的売買を為すが故なり、我政府に於ては右割当方法を実行し、政府の収納する税額丈け漸次糖価に含まし、順序善く売買方法の行はれんこと偏に切望に堪へざるなり上図 ○略ス参照



〔参考〕明治大正財政史 大蔵省編 第七巻・第六七五―六七九頁 昭和一三年一月刊(DK210111k-0010)
第21巻 p.637-639 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

〔参考〕渋沢栄一 日記 明治四〇年(DK210111k-0011)
第21巻 p.639 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四〇年     (渋沢子爵家所蔵)
二月十四日 晴 軽暖            起床七時三十分 就蓐十一時三十分
○上略 午前十時永田町ニ総理大臣ヲ訪問シ、精糖事業其他ニ付テ議員ヘノ注意ヲ乞ヒ ○下略



〔参考〕渋沢栄一 日記 明治四一年(DK210111k-0012)
第21巻 p.639 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四一年     (渋沢子爵家所蔵)
二月十七日 曇 寒
○上略 水町大蔵次官・北垣男爵ヘ書状ヲ以テ砂糖消費税率ノ事、北海道鉄道ノ事ニ関シ要件ヲ申遣ハス ○下略