デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
3款 東京商業会議所
■綱文

第21巻 p.692-699(DK210121k) ページ画像

明治34年11月7日(1901年)

是日栄一当会議所会頭トシテ、商業会議所条例中不備ナル点ヲ挙ゲ、之ヲ改正センコトヲ農商務大臣平田東助ニ建議ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治三四年(DK210121k-0001)
第21巻 p.692 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三四年     (渋沢子爵家所蔵)
八月廿日 晴
午前八時東京商業会議所臨時会ヲ開ク ○下略
   ○中略。
八月廿四日 晴
午前八時商業会議所ニ抵リ条例改正ニ関スル委員会ヲ開ク ○下略
   ○中略。
九月二日 曇
○上略 此日午前商業会議所委員会ニ出席シ ○下略


東京商業会議所報告 第一〇二号・第二―五頁 明治三四年一二月刊(DK210121k-0002)
第21巻 p.692 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第二―五頁 明治三四年一二月刊
○第百七回臨時会議 八月二十日開
 出席者
  森清右衛門君 ○外二十名氏名略
午前九時五分開議
会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件々ヲ報告ス
○中略
次ニ会員大橋新太郎君ハ商業会議所条例改正ノ件ニ関スル調査ノ為メ議長指名ヲ以テ七名ノ委員ヲ選挙スヘシトノ動議ヲ発シタルニ、衆議ノ上委員七名ヲ九名トナシ、内一名ハ会頭之ニ任スヘシト決シタルニ付、議長ハ左ノ如ク委員ヲ指名シタリ
                    渋沢栄一君
                    根津嘉一郎君
                    長尾三十郎君
                    堀江恒三郎君
                    大橋新太郎君
                    朝吹英二君
                    井上角五郎君
                    益田克徳君
                    田口卯吉君
午前十時十分閉会


東京商業会議所報告 第一〇二号・第一二頁 明治三四年一二月刊(DK210121k-0003)
第21巻 p.692-693 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第一二頁 明治三四年一二月刊
 - 第21巻 p.693 -ページ画像 
○第一回商業会議所条例改正ノ件調査委員会議 八月二十日開
 出席者
  渋沢栄一君    根津嘉一郎君
  長尾三十郎君   堀江恒三郎君
  大橋新太郎君   朝吹英二君
  井上角五郎君
午前十時二十分開議、左ノ事項ヲ決議セリ
 一 渋沢栄一君ヲ委員長ニ選挙スル事
 一 来二十四日午前八時第二回委員会議ヲ開ク事
午前十時三十分閉会
○第二回商業会議所条例改正ノ件調査委員会議 八月二十四日開
 出席者
  渋沢栄一君    根津嘉一郎君
  堀江恒三郎君   大橋新太郎君
  朝吹英二君    井上角五郎君
  益田克徳君
午前九時開議、現行商業会議所条例ニ就テ逐条審議ヲ為シ、猶右審議ノ結果書記長ヲシテ改正草案ヲ作ラシメ、次回ノ委員会議ニ提出セシムル事ニ決シタリ
午後二時閉会
○第三回商業会議所条例改正ノ件調査委員会議 九月二日開
 出席者
  渋沢栄一君    根津嘉一郎君
  堀江恒三郎君   大橋新太郎君
  朝吹英二君    井上角五郎君
  田口卯吉君
午前九時開議、書記長ノ起草シタル改正草案ニ就テ逐条審議ヲ為シ、一・二修正ノ上之ヲ確定シ、直ニ会頭ニ報告スルコトニ決シタリ(報告書ノ全文ハ参照ノ部第一号ニ掲載ス)


東京商業会議所報告 第一〇二号・第一八―二一頁 明治三四年一二月刊(DK210121k-0004)
第21巻 p.693-696 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第一八―二一頁 明治三四年一二月刊
    参照
○第一号
 明治三十四年九月二日商業会議所条例改正ノ件調査委員会議ニ於テ決定シタル調査報告書全文ハ左ノ如シ
    商業会議所条例改正ノ件調査報告
全会ノ決議ニ依リ其調査ヲ附託セラレタル商業会議所条例改正ノ件、篤ト遂審議候処、委員会ノ意見ハ別紙ノ趣旨ヲ以テ其筋ヘ建議候方可然ト相決シ候間、此段及御報告候也
  明治三十四年九月  日
           商業会議所条例改正ノ件調査委員長
                      渋沢栄一
    東京商業会議所会頭 渋沢栄一殿
(別紙)
 - 第21巻 p.694 -ページ画像 
    商業会議所条例改正案
一 第一条第二項中「営業トスル」ノ下ニ「合名会社」ノ四字ヲ加ヘ「株式会社」ノ下ニ「株式合資会社]ノ六字ヲ加フ
 (理由) 合資会社及株式合資会社ハ新商法ニ於テ他ノ商事会社ト性資上毫モ異ナル所ナキヲ以テ、共ニ本条例ノ商業者中ニ加フルヲ至当ナリトス
一 同条第三項中「合名会社ノ社員」ノ下及「無限責任社員」ノ下ニ共ニ「支配人」ノ三字ヲ加ヘ、「取締役」ノ下ニ「支配人、株式合資会社ノ無限責任社員・支配人」ノ十九字ヲ加ヘ、「理事」ノ下ニ「支配人」ノ三字ヲ加フ
 (理由) 支配人ナルモノハ実際ノ衝ニ当リテ業務ヲ経営スルモノナルニ之ヲ商業者ト認メサルハ、社員・取締役・理事等ヲ商業者ト認メタル規定ニ対照シテ理由ナキモノヽ如シ依テ此ニ之ヲ挿入シタリ
一 第四条第一項中「方案ヲ議定」ノ下「スルコト」ノ四字ヲ削リ「シ其実行ヲ勉ムルコト」ノ十字ヲ加フ
 (理由) 本案第一項ニ於テ「必要ノ方案ヲ議定スルコト」トアル上ハ、其議定事項ニ就テ実行ヲ勉ムルノ責務アルコト当然ノ事柄ナレトモ、之ヲ明文ニ表ハスハ一層其意ヲ切実ニスルノ力アリ
一 同条ノ次ニ左ノ一条ヲ加フ
  第条 左ノ事項ニ就テハ行政庁又ハ市町村役場ハ関係各商業会議所ノ意見ヲ徴スルコトヲ要ス
  一 商業上ノ慣習ニ関スル法令ノ制定若クハ廃止ノ件
  二 会議所設立地区内ニ於ケル築港・運河・鉄道・水道・瓦斯・電灯・取引所等、国家若クハ市町村ヨリ特許スヘキ事業ノ新設ニ関スル件
  三 会議所設立地区内ニ於ケル商業上ノ取締ニ関スル件
    但シ第一項ニ関シテハ行政庁ハ会議所ノ数ヲ限リテ諮問スルコトヲ得
 (理由) 商業ノ盛衰発達ニ関スル事項ニ就テハ当局者ヨリ諮問ヲ受ケ又ハ進テ意見ヲ開申スルコトハ商業会議所既得ノ権能ナレトモ、特ニ右ニ掲クル事項ハ商業ノ盛衰ニ重要ノ関係ヲ有スルモノナルヲ以テ、当局者ヲシテ必ス意見ヲ徴セシムヘキモノトスルノ要アリ、然レトモ第一項ニ関シ行政庁カ会議所ノ意見ヲ徴スルニ当リ、全国多数ノ会議所ニ総テ諮問セサルヘカラストスルハ実際ニ於テ困難尠カラサルヘキヲ以テ、便宜上ヨリ玆ニ右ノ但書ヲ附加シタル所以ナリ、尤モ第三条ニ於テ人口其他ノ標準ニ依リ会議所設立区域ニ制限ヲ加フルノ規定ヲ設クルカ如キ或ハ亦右ノ困難ヲ避クルノ一策ナラン歟
一 第五条中「所得税]ノ下ニ「若クハ営業税」ノ六字ヲ加フ
 (理由) 商業者ノ財産上ノ資格ヲ単ニ所得税ニノミ準拠シテ定ムルハ一方ニ偏スルノ嫌アルヲ以テ、営業税モ併セテ其標
 - 第21巻 p.695 -ページ画像 
準トスルハ公平ヲ得タルモノトス
一 第七条中「所得税額」ノ下ニ「営業税額二者ヲ合シタル額」ノ十二字ヲ加フ
 (理由) 第五条ヲ修正シタル自然ノ結果ニ過キス
一 第十七条第一項中「五分ノ一」トアルヲ「二分ノ一」ト改ム
 (理由) 特別会員ノ定数ヲ増加セントスルハ選挙ニ因ルノ外、更ニ各種ノ智識経験ヲ有スルモノヲ網羅スルノ必要アルニ因ル
一 同条第一項ノ但書ヲ左ノ如ク改メ第二項ハ之ヲ削ル
  特別会員ノ被選資格・選挙及議決権ニ関スル事項ハ会議所ノ定款ヲ以テ規定スルコトヲ要ス
 (理由) 特別会員ノ被選資格ニ就テ現行法ハ列挙的ニ示シタリト雖トモ、各地ノ状況ト時宜ニ依リテ一様ナラサルモノアリ、寧ロ各会議所ノ定款ニ於テ適宜ノ規定ヲ為シ得ルコトヽ為スニ如カス、選挙ノ手続、議決権ノ有無亦同シ
一 第十九条第二項ヲ左ノ如ク改メ、第三項ハ之ヲ削ル
  経費ヲ滞納スル者アルトキハ其地市町村役場ノ収入役ニ嘱託シ国税滞納処分法ニ依リテ其徴収ヲ為スコトヲ得
 (理由) 経費滞納処分ニ関スル現行法ノ規定ハ或ハ姑息ニ失シテ強制ノ力ナキモノアリ、又甚シク苛厳ニ亘リ而カモ実行ノ道ヲ具ヘサルモノアリテ、何レモ其目的ヲ達シ難キ事情アルヲ以テ、如上ノ修正ヲ加ヘタリ
一 第二十条ノ次ニ左ノ三条ヲ加フ
  第条 全国商業会議所三分二以上ノ同意ヲ以テ商業会議所聯合会ヲ設立スルコトヲ得
  第条 商業会議所聯合会ヲ設立セントスルトキハ発起会議所ニ於テ定款ヲ作リ、農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
  第条 商業会議所聯合会ハ決議事項ニ関シ其意見ヲ行政庁又ハ其他ニ開申表示スルコトヲ得
 (理由) 商業ノ盛衰ニ関スル重要問題ニ就テハ宜シク全国各地ノ商業者ノ意見ヲ綜合一括シテ行政庁其他ノ方面ニ開示スルコト最モ必要ノ事項ナルニ、現行法上之ニ関スル機関及手段ヲ具ヘサルハ欧洲各国ノ例ニ照スモ一大欠点ナルヲ以テ、之ヲ玆ニ設定セントスルモノナリ
以上ハ改正ヲ要スル主旨ヲ記載シタルニ過キス而シテ現行条例中第一条商業者ノ定義ノ如キ旧商法ノ既ニ廃滅ニ帰シタル以上ハ新商法ニ依リテ勿論適当ノ修正ヲ加フヘキモノナリ、其他或ハ事実ニ於テ不要ニ帰シタル条項アリ或ハ字句ノ修正ヲ要スルモノ亦一ニシテ足ラサルヘシト雖トモ此等ノ事項ハ宜シク当局者ニ於テ整理セラレンコトヲ望ム
○商業会議所条例改正案参照
    商業会議所条例
第一条 此条例ニ商業者ト称スルハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
 一 商法第四条ノ商取引及同第五条第一号・第三号・第四号・第六号ニ掲ケタル取引ヲ営業トスル者
 - 第21巻 p.696 -ページ画像 
 二 第一項ニ掲ケタル取引ヲ営業トスル合資会社・株式会社及取引所
 三 第一項ニ掲ケタル取引ヲ営業トスル合名会社ノ社員、合資会社ノ業務担当社員・無限責任社員、株式会社ノ取締役及取引所ノ理事長・理事
第四条 会議所ノ事務権限左ノ如シ
 一 商業ノ発達ヲ図リ若クハ其衰退ヲ防クニ必要ノ方案ヲ議定スルコト
 二 商業ニ関スル法律・命令其他諸条規ノ制定・改正・廃止及施行方法ニ付意見ヲ行政庁ニ開申シ、且商業上ノ利害ニ関スル意見ヲ行政庁其他ニ表示スルコト
 三 商業ノ実況及其統計ヲ行政庁其他ニ報告スルコト
 四 商業ニ関スル事項ニ付行政庁ノ諮問ニ応答スルコト
 五 法律・命令其他諸条規若クハ行政庁ノ委任ニ依リ其他ノ公設営業所・仲立人組合及商業ニ関スル諸営造物ヲ管理スルコト
 六 仲立人ノ資格員数及手数料ヲ審査スルコト
 七 関係人ノ請求ニ依リ其他ノ商業ニ関スル紛議ヲ仲裁スルコト
第五条 会議所設立地ニ於テ第一条第一項ノ営業ヲ為シ、又ハ第一条第三項ノ社員・役員トナリ、其地ニ於テ所得税ヲ納ムル商業者並会議所設立地ニ於テ営業スル第一条第二項ノ会社及取引所ハ其会議所会員ノ選挙権ヲ有ス
第七条 第五条及第六条ニ掲ケタル会員ノ選挙権及被選挙権ニ関スル財産上ノ資格ニ付テハ、農商務大臣ハ地方ノ情況ニ依リ所得税額又ハ会社・取引所ノ資本額ニ基キ特ニ之ヲ規定スルコトヲ得
 所得税法第二十九条但書ニ掲ケタル地方ニ在テハ農商務大臣ハ所得税ニ代フルニ他ノ税ヲ以テシ、且其税額ニ基キ財産上ノ資格ヲ定ムルコトヲ得
第十七条 会議所ハ其議決ニ依リ会員定数ノ五分ノ一ヨリ多カラサル特別会員ヲ置キ会議ニ参列セシムルコトヲ得、但特別会員ハ其議決ニ加フルコトヲ得ス
 特別会員ノ資格ハ学術・技芸若クハ商業上ノ経験アル者タルヘシ
第十九条 会議所ノ経費ハ会員ノ選挙権ヲ有スル者ヨリ徴収ス、其微収方法ハ会議所ノ議決ヲ以テ地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
 経費ヲ納期ニ納メサル者アルトキハ、其地ノ地方税収入役ニ嘱託シテ之ヲ徴収スルコトヲ得
 収入役ノ督促ヲ受クルモ経費ヲ納メサル者ハ会員ノ選挙権及被選挙権ヲ四箇年以上八箇年以下停止シ、尚ホ弐百円以下ノ過料ニ処ス


東京商業会議所報告 第一〇二号・第七―九頁 明治三四年一二月刊(DK210121k-0005)
第21巻 p.696-697 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第七―九頁 明治三四年一二月刊
○第百九回臨時会議 十一月六日開
 出席者
  大木口哲君 ○外二十二名氏名略
午後五時開議
 - 第21巻 p.697 -ページ画像 
会頭渋沢栄一君議長席ニ就キ、先ツ左ノ件々ヲ報告ス
○中略
次ニ議長ハ左ノ件々ヲ議事ニ附ス
○中略
○第二号
 第十回商業会議所聯合会決議事項中商業会議所条例改正ノ件外七件ハ之ヲ左ノ如ク取扱フ事
 一 商業会議所条例改正ノ件
  本件ハ聯合会決議ノ趣旨ニ依リ、別記甲号案ノ如ク農商務大臣ヘ建議スル事
   ○別記甲号案ハ後掲事務報告所載ノ建議文ト同一ニツキ略ス。


東京商業会議所報告 第一〇二号・第一七頁 明治三四年一二月刊(DK210121k-0006)
第21巻 p.697 ページ画像

東京商業会議所報告  第一〇二号・第一七頁 明治三四年一二月刊
○同月同日 ○一一月七日 商業会議所条例改正ノ義ニ付、農商務大臣ヘ建議書ヲ進達ス


第十一回東京商業会議所事務報告 第八―九頁 明治三五年四月刊(DK210121k-0007)
第21巻 p.697-699 ページ画像

第十一回東京商業会議所事務報告  第八―九頁 明治三五年四月刊
一商業会議所条例改正ノ義ニ付、農商務大臣ニ建議ノ件
 本件ハ第十回商業会議所聯合会ニ於テ従来ノ宿題タルモノト、新ニ神戸・新潟両会議所ヨリ提出シタルモノト、一括シテ可決ヲ得タルモノニ係リ、其要旨ハ、現行商業会議所条例ハ不備ノ点少カラサルヲ以テ之カ改正ヲ政府ニ建議スヘシト云フニ在リ、仍テ明治三十四年十一月六日第百九回ノ臨時会議ニ附シ、其可決ヲ得タルニ付、同月七日附ヲ以テ左ノ如ク農商務大臣ニ建議シタリ
  因ニ記ス、是ヨリ先キ本会議所ニ於テモ会員大橋新太郎君ノ提議ニヨリ、商業会議所条例改正ノ件ニ関シ調査委員九名(渋沢栄一根津嘉一郎・長尾三十郎・堀江恒三郎・大橋新太郎・朝吹英二・井上角五郎・益田克徳・田口卯吉ノ諸君ニシテ、渋沢君委員長タリ)ヲ選挙シ調査ニ着手中ノ処、其後委員ヨリ意見ヲ報告シタルニ付、本会議所参会委員ノ手ヲ経テ参考ノ為メ之ヲ第十回商業会議所聯合会ニ提出シタリ
    商業会議所条例改正ノ義ニ付建議
現行商業会議所条例中ニハ規定不備ニシテ改正ヲ要スル点少シトセス依テ本会議所ハ審査ノ上別紙改正意見ヲ具シテ之ヲ閣下ニ上呈ス、仰キ願ハクハ其趣旨ヲ採択セラレ、速ニ之カ実施ノ手続ヲ尽クサレンコトヲ
右本会議所ノ決議ニ依リ別紙ヲ添ヘ建議仕候也
  明治三十四年十一月七日
          東京商業会議所会頭 男爵 渋沢栄一
    農商務大臣 平田東助殿
(別紙)
    商業会議所条例改正意見
現行商業会議所条例中特ニ改正ヲ必要トスルモノヲ掲クルコト左ノ如シ
 - 第21巻 p.698 -ページ画像 
一 第一条中合名会社・株式合資会社・合資会社ノ社員、株式合資会社ノ無限責任社員、会社及取引所ノ支配人ヲ商業者トシテ追加スルコト
一 第四条会議所ノ事務権限ヲ左ノ各項ト為ス
 (一) 商業ノ発達ヲ図リ若クハ衰退ヲ防クニ必要ノ方策ヲ議定シ其実行ヲ勉ムルコト
    (此項ハ現行条例ト異ナラスト雖モ、特ニ其実行ヲ勉ムルコトヽナシタルハ、会議所ヲシテ実行機関タルノ権能ヲ保持セシムルノ趣意ニ外ナラス、例セハ
    内外ノ博覧会ニ会議所ノ名ヲ以テ出品ヲ為スコト
    商業図書館及ヒ商品見本陳列館、若クハ各種ノ商品検査所等ノ設立ヲ奨励シ、補助シ、又ハ之ヲ管理スルコト
    実業教育ニ必要ナル各種ノ学校ノ設立ヲ奨励補助シ、又ハ之ヲ管理スル事
    商工業ニ関スル発明改良ヲ奨励シ、又ハ之ニ必要ナル施設経営ヲ為スコト
    商工業上特ニ必要ト認ムル事項ニ就キ懸賞シテ新考案ヲ募集スルコト
    ノ如キ会議所ノ便宜実行シ得ヘキ者ト為サントス)
 (二) 商業ニ関スル法律・命令其他諸条規ノ制定・改正・廃止及ヒ施行方法ニ付意見ヲ行政庁ニ開申シ、且ツ商業上ノ利害ニ関スル意見ヲ行政庁其他ニ表示スルコト
 (三) 商業ノ実況及其統計ヲ行政庁其他ニ報告スルコト
 (四) 商業ニ関スル事項ニ付、行政庁ノ諮問ニ応答スルコト
 (五) 法律・命令其他諸条規若クハ行政庁ノ委任ニ依リ、其地ノ公設営業所・仲立人組合及ヒ商業ニ関スル諸営造物ヲ管理スルコト
 (六) 仲立人ノ資格・員数及手数料ヲ審査スルコト
 (七) 関係人ノ請求ニ依リ其地ノ商業ニ関スル紛議ヲ仲裁スルコト
 (八) 設立区域内ニアル商工業組合ヲ監督スルコト
 (九) 商工業者ノ委託ヲ受ケテ内外ノ商業ニ関スル事項調査ニ従事シ、商工業者若クハ商品ニ対シ証明書ヲ与ヘ、其手数料若クハ報酬ヲ受クルコト
 (十) 設立区域内ノ商業者ニ対シ業務ノ実況報告ヲ求ムルコトヲ得、報告ヲ求メラレタルモノハ正当ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
 (十一) 各行政庁ト直接ニ通信ヲ為シ、又ハ帝国領事館ト直接ノ交通ヲ為シ得ルコト
    (右八・九・十・十一ノ四項ハ現行条例ニ之ナキモノニシテ新タニ追加セント欲スルモノ)
一 会議所ノ事務権限ノ外、更ニ行政庁又ハ市町村役場ノ関係各会議所ニ対シ予メ諮問ヲ要スルモノヲ左ノ事項トシ、新タニ之ヲ条例中ニ加ヘントス
 - 第21巻 p.699 -ページ画像 
 (一) 商業上ノ慣習ニ関スル法令ノ制定若クハ廃止ノ件
 (二) 設立地区域内ニ於ケル取引所、築港・運河・鉄道・瓦斯・電灯等国家若クハ市町村ヨリ特許スヘキ事業ノ新設ニ関スル件
 (三) 重要物産組合法ニ依ル組合新設ノ件
 (四) 設立地区域内ニ於ケル商業上ノ取締ニ関スル件(此取締ト称スルハ府県又ハ警察及市町村役場ノ商工業ニ関スル取締ヲ云フ)
     但シ行政庁ハ会議所ノ数ヲ限リテ諮問スルコトヲ得
一 会社・取引所ハ資本ニ依リ、個人ハ所得税ニ依リ、経費ヲ賦課シ選挙資格ヲ定ムルコトハ現行条例ノ規定ナレトモ、更ニ営業税ヲ加ヘ、之ヲ所得税ト同様権限ヲ定ムル標準ト為スコト
一 第六条ノ被選挙資格ハ選挙資格ト同時ニ確定スルモノトシ、現法三ケ年以上継続ヲ二ケ年以上継続ト改ムルコト
一 第十二条過怠金云々ノ条項ヲ削除ス
一 従来選挙手続ハ定款ニ依テ之ヲ定メ各会議所同一ナラス、随テ弊害ノ尠カラサルヲ認ム、故ニ条例中ニ選挙方法ヲ一定シ、相当ノ取締規則ヲ制定スルコト
一 会議所聯合会ヲ条例中ニ規定シ、之ヲ公ノ団体ト為シ、其組織ノ大要ハ左ノ如ク為サントス
  一 会議所聯合会ハ会議所ノ如ク法人ト為ス
  一 会議所聯合会ノ会員ハ各会議所夫レ自身ト為ス
  一 会議所聯合会ノ経費徴収ノ方法、会員権限ノ規定、開会ノ場所・時期等総テ定款ニ依テ之ヲ定ム
一 第十九条ノ経費怠納者ニ対シテハ其地市町村役場ノ収入役ニ嘱托シ、国税怠納処分ニ拠テ其徴収ヲ為スモノト定メントス
一 第十七条特別会員ノ定数ヲ増加シ会員「五分ノ一」ヲ「二分ノ一」ト為シ、其被選挙資格・選挙及議決ニ関スル事項ハ会議所ノ定款ヲ以テ規定セシメントス
以上ハ改正ヲ要スル主旨ヲ記載シタルニ過キス、而シテ現行条例中第一条商業者ノ定義ノ如キ、旧商法ノ既ニ廃滅ニ帰シタル以上ハ新商法ニ依リテ勿論適当ノ修正ヲ加フヘキモノナリ、其他或ハ事実ニ於テ不要ニ帰シタル条項アリ、或ハ字句ノ修正ヲ要スルモノ亦一ニシテ足ラスト雖トモ此等ノ事項ハ宜シク当局者ニ於テ整理セラレンコトヲ望ム
   ○本巻明治三十四年九月十五日、同年十一月七日、同三十五年三月二十八日同年四月十二日ノ各条、並ニ本資料第二十二巻所収「商業会議所聯合会」明治三十二年十月十三日、同三十三年五月十九日、同三十五年十二月九日ノ各条参照。
   ○明治三十五年三月法律第三十一号ヲ以テ商業会議所法発布セラル。本建議中同法ニ採用サレタルモノ勘カラズ。本巻明治三十五年四月十二日ノ条参照。