デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
4款 商業会議所聯合会
■綱文

第22巻 p.653-661(DK220051k) ページ画像

明治33年5月19日(1900年)

是日第九回定期会第三日ノ会議ニ於テ、前定期会ヨリノ継続議案タル商業会議所条例改正ノ儀上程サレシガ、討議ノ結果宿題トナス。又久留米商業会議所ノ提出案モ商業会議所条例中会員選挙有権者ノ財産資格改正ニ関スル儀ナルヲ以テ、同様宿題トナス。栄一会長トシテ議事ヲ司宰ス。


■資料

明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会報告 第一六―三〇頁 刊(DK220051k-0001)
第22巻 p.653-659 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会報告  第一六―三〇頁 刊
○継続議案第二号
    岡山・函館・富山・神戸・水戸・佐賀・八王子・金沢・広島・松江・鹿児島・津・熊本・岐阜・静岡・堺・知多・商業会議所提出
    青森・横浜・豊橋・仙台・大坂・京都・博多商業会議所賛成
商業会議所条例改正案
    第一章 総則
第一条 此条例ニ商業者ト称スルハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
 一 自己ノ名ヲ以テ商行為ヲ為スヲ業トスル者
 二 商行為ヲ為スヲ業トスル合資会社・株式会社・株式合資会社及取引所
 三 商行為ヲ為スヲ業トスル合名会社ノ社員、合資会社ノ無限責任社員、株式会社ノ取締役、株式合資会社ノ無限責任社員、取引所ノ理事長・理事
 四 商行為ヲ為スヲ業トスル会社及取引所ノ支配人
第二条 商業会議所ノ設立区域ハ市町村ノ区域ニ依ル
  但土地商業ノ情況ニ由リ数市町村ノ区域ヲ聯合シテ其地ニ一会議所ヲ設立スルコトヲ得
第三条 商業会議所ハ法人トシテ財産ヲ所有スルモノトス
    第二章 設立
第四条 商業会議所ヲ設立セントスルトキハ、本条例ノ定ムル所ニ依リ其地ノ商業者中会員タルヲ得ヘキ者二十名以上発起人トナリ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ請フヘシ
  但設立地ノ区域数市町村ニ亘ルトキハ各市町村ニ於テ発起人アルコトヲ要ス
 地方長官ハ前項ノ申請ヲ受タルトキハ、郡若クハ市参事会ニ諮問シ其意見ヲ徴シ、尚ホ自己ノ意見ヲ添ヘ農商務大臣ニ進達スヘシ
第五条 商業会議所設立ノ認可申請書ニハ左ノ事項ヲ記載シ発起人連署スヘシ
 一 会議所名称・位置
 二 設立地ノ区域
 三 会員ノ定数
 四 区域内ノ商業者中会員ノ選挙権ヲ有スル者、被選挙権ヲ有スル者ノ数
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第六条 発起人商業会議所設立ノ認可ヲ得タルトキハ、其旨ヲ設立地ノ商業者ニ広告シ、認可ノ日ヨリ三十日以内ニ初回会員選挙規則及創立費予算ヲ編製シ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ申請スヘシ
第七条 発起人初回会員選挙規則及創立費予算認可ヲ得タルトキハ、認可ノ日ヨリ三十日以内ニ会員選挙人及被選挙人ノ名簿ヲ一週間公示シ、其ノ他必要ノ書類ヲ添ヘ其地ノ郡長若クハ市長ニ選挙ノ施行ヲ請求スヘシ
  但会議所設立地ノ区域数市町村ニ亘ルトキハ、会議所ヲ設立スル地ノ郡長若クハ市長ニ請求スヘシ
第八条 郡長若クハ市長ハ前条ノ請求ヲ受ケタルトキハ、十五日以内ニ選挙委員若干名ヲ命シ、少ナクモ十五日以上ノ予告ヲ為シ、日時及場所ヲ定メテ選挙ヲ施行セシムヘシ
第九条 郡長若クハ市長ハ会員ノ選挙ヲ終リタルトキハ左ノ手続ヲ為スヘシ
 一 当選者ノ通知ヲ為シ、会社・取引所ニハ通知ヲ為スト同時ニ其代表人ノ氏名届出ヲ命スヘシ
 二 選挙ニ関スル書類ヲ発起人ニ引継クヘシ
 三 当選確定者ノ氏名ヲ発起人ニ通知シ、発起人ヲシテ十五日以内ニ時日・場所ヲ定メ会員ヲ召集シテ初回ノ会議ヲ開カシムヘシ
第十条 当選者当選ノ通知ヲ受ケタルトキハ、三日以内ニ其当選ヲ承諾スルヤ否ヤヲ郡長若クハ市長ニ届出ツヘシ、若シ之ヲ辞セントスル者ハ第十九《(二十)》条第一項又ハ第二項ノ証明書ヲ添ヘ期日内ニ郡長又ハ市長ニ届出ヘシ
 郡長又ハ市長ハ前項ノ届出アリタルトキハ其正当ノ理由ナルヤ否ヤヲ判定シ、正当ト認メタルトキハ次点者ヲ当選者トシ、各其旨ヲ通知スヘシ
 期日間ニ前項ノ手続ヲ為サヽル者アルトキハ次点者ヲ当選者トシ、第二十条ヲ適用ス
第十一条 郡長又ハ市長ハ会員選挙ニ関スル異議ヲ裁決ス
第十二条 発起人ハ郡長若クハ市長ヨリ第九条ノ手続アリタルトキハ初回ノ会議ヲ開キ其執行シタル事務ノ報告ヲ為シ、一切ノ書類・物件ヲ会議所ニ引継クヘシ
第十三条 会議所ハ発起人ヨリ前条ノ引継ヲ受ケタルトキハ、其日ヨリ三十日以内ニ定款ヲ議決シ、地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ申請スヘシ、其定款ニ規定スヘキ事項左ノ如シ
 一 名称及位置
 二 設立地ノ区域
 三 会員定数
 四 会員選挙規則
 五 役員選挙及其職務権限
 六 庶務規程
 七 議事規則
 八 仲裁規則
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 九 公設営造物若クハ其営業所ノ管理規則
 十 会計規則
 十一 基本財産及維持規則
    第三章 組織
第十四条 会議所設立地ニ於テ第一条第一項・第三項・第四項ニ該当シ、所得税ヲ納ムル者、並ニ第一条第二項ノ会社及取引所ハ其会議所会員ノ選挙権ヲ有ス
第十五条 三箇年以上継続シテ会員ノ選挙権ヲ有スル年齢満三十歳以上ノ男子、並ニ選挙権ヲ有スル会社及取引所ハ、会員ノ被選挙権ヲ有ス
 会社及取引所ヲ代表スヘキ者ハ第一条第三項ニ該当スル其社員・役員ニシテ年齢満三十歳以上ノ男子一人ニ限ル
第十六条 左ニ掲クルモノハ会員選挙権及被選挙権ヲ有セス
 一 瘋癲白痴者
 二 禁治産者、準禁治産者
 三 重禁錮一年以上ノ刑ニ処セラレ、又ハ商業及農工業ヲ妨害スル罪、財産ニ対スル罪、風俗ヲ害スル罪及信用ヲ害スル罪ヲ犯シ一ケ月以上ノ刑ニ処セラレ、満期後又ハ赦免後三ケ年ヲ経サル者
 四 公権剥奪若クハ停止中ノ者
第十七条 会員ノ数ハ二十名以上五十名以下、各会議所ノ定款ヲ以テ定ムヘシ
第十八条 商業会議所ハ其会員中ヨリ左ノ役員ヲ選挙スヘシ
  会頭     一名
  副会頭    一名或ハ二名
  常議員    若干名
 役員ノ選挙方法並ニ常議員ノ員数ハ定款ノ規定スル所ニ依ル
第十九条 会員ハ無給トス、其任期ハ四ケ年トシ、毎二年其半数ヲ改選ス、初回ノ解任者ハ抽籤ヲ以テ定ムヘシ
第二十条 会員当選者ハ、左ニ掲クル者ヲ除クノ外、会議所ノ決議ヲ経スシテ其就職ヲ辞シ又ハ任期中辞職スルコトヲ得ス
 一 疾病若クハ老衰ニ依リ職務ニ堪ヘサルコトヲ証明スル者
 二 営業ノ為メ常ニ会議所設立地ニ住居スル能ハサルコトヲ証明スル者
第二十一条 前条ノ規定ニ依ルニ非スシテ会員ノ職ヲ辞スル者ハ、会議所ノ議決ヲ以テ弐百円以下ノ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十二条 会員資格消滅又ハ辞任ニヨリ其闕員数会員定数五分ノ一ニ至ルマテハ、会議所ノ議決ヲ以テ補闕選挙ヲ行ハサルコトヲ得
 補闕員会員定員三分ノ一以上ニ及ヒタルトキハ、三ケ月以内ニ其選挙ヲ行フヘシ
 補闕選挙ノ場合ニ於テ当選シタル会員ノ任期ハ先任者残余期間トス
第二十三条 第十九条及前条補闕選挙ハ、会議所ノ請求ニ依リ郡長又ハ市長ハ選挙委員若干名ヲ命シ、日時及場所ヲ定メテ施行セシム可シ、其費用ハ会議所ノ負担トス
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第二十四条 会議所ハ其議決ニヨリ会員定数ノ五分ノ一ヨリ多カラサル特別会員ヲ置キ会議ニ参列セシムルコトヲ得
 特別会員ノ資格ハ学術技芸若クハ商業上ノ経験アルモノタルヘシ
  但特別会員ハ其議決ニ加ハルコトヲ得ス
第二十五条 第十三条及第十四条ニ掲ケタル会員ノ選挙権及被選挙権ニ関スル財産上ノ資格ニ付テハ、農商務大臣ハ地方ノ情況ニ依リ所得税額又ハ会社・取引所資本額ニ基キ特ニ之ヲ規定スルコトヲ得、所得税法第二十九条但書ニ掲ケタル地方ニ在リテハ農商務大臣ハ所得税ニ代フルニ他ノ税ヲ以テシ、且ツ其税額ニ基キ財産上ノ資格ヲ定ムルコトヲ得
    第四章 商業会議所ノ任務
第二十六条 商業会議所ノ任務左ノ如シ
 一 商工業ノ発達ヲ図リ、若クハ其衰退ヲ防クニ必要ナル方案ヲ議定シ、其意見ヲ官庁其他ニ開申スルコト
 二 商工業又ハ財政ニ関スル制度ノ創定・改廃及施行方法ニ付キ意見ヲ官庁其他ニ開申シ、且商工業上ノ利害ニ関スル意見ヲ官庁其他ニ表示スルコト
 三 仲立人ノ資格員数及手数料ヲ審査スルコト
 四 区域内ニ在ル商工業組合ヲ監督スルコト
 五 商工業ノ景況及其統計ヲ官庁其他ニ報告スルコト
 六 官庁其他ノ諮問ニ応シ商工業ニ関スル事項ニ付キ意見ヲ答申スルコト
 七 法律・命令・諸条規若クハ官庁其他ノ委任ニ依リ其地ノ公設営業所・仲立人組合及商業用ニ属スル諸建造物ヲ管理スルコト
 八 関係人ノ請求ニ依リ其地ノ商業ニ関スル紛議ヲ仲裁スルコト
 九 他ノ委嘱ヲ受ケ商工業ニ関スル事項ヲ調査報告スルコト
第二十七条 左ノ事項ニ付テハ政府ハ商業会議所ノ意見ヲ徴スルコトヲ要ス
 一 商工業上ノ習慣ニ関スル法令ノ制定若クハ廃止ノ件
 二 商業会議所設立地ニ於テ諸商品取引所新設並ニ既設取引所紛議ノ件
 三 重要輸出品組合法ニ依ル組合新設ノ件
 四 商業会議所設立地ニ於テ官許運搬事業ニ関スル運賃及規則ノ件
  但設立地域外ニ在ルモ其設立地ニ利害ヲ及ホスヘキモノアルトキハ亦同シ
第二十八条 商業会議所ハ第二十六条第八項・第九項ノ場合ニ於テハ其関係人又ハ委嘱人ヨリ相当ノ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
    第五章 経費
第二十九条 商業会議所ノ経費ハ会員ノ選挙権ヲ有スル者ヨリ徴収ス其方法ハ会議所ノ議決ヲ以テ地方長官ヲ経由シ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
 経費ヲ納期ニ納メサル者アルトキハ、其地ノ地方税収入役ニ之ヲ嘱託シテ之ヲ徴収スルコトヲ得、収入役ノ督促ヲ受クルモ尚ホ経費ヲ納メサル者ハ、収入役ノ告発ニ依リ四ケ年以上八ケ年以下会員ノ選
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挙権及被選挙権ヲ停止シ、尚ホ弐百円以下ノ過料ニ処ス
第三十条 商業会議所ノ経費ハ政府ノ会計年度ニ依リ、其二ケ月前予算ヲ議定シ、地方長官ヲ経由シテ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第三十一条 商業会議所経費ノ決算ハ、会計年度経過後六ケ月以内ニ議決ヲ経テ財産明細表ヲ添ヘ地方長官ヲ経由シ農商務大臣ニ進達スヘシ
    第六章 商業会議所聯合会
第三十二条 各商業会議所ハ其三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ商業会議所聯合会ヲ設立スルコトヲ得
第三十三条 商業会議所聯合会ハ各商業会議所ヨリ選出セシ会員ヲ以テ之ヲ組織ス
 商業会議所聯合会々員タルニハ各商業会議所会員又ハ特別会員ニ限ル
 商業会議所聯合会々員ニシテ各商業会議所会員又ハ特別会員ノ資格ヲ失ヒタル者ハ、之ト同時ニ商業会議所聯合会々員ノ資格ヲ失フモノトス
第三十四条 各商業会議所ヨリ選出スヘキ商業会議所聯合会々員数ハ其設立区域内ノ人口十万未満ハ一人、十万以上二十万未満ハ二人、二十万以上三十万未満ハ三人、三十万以上五十万未満ハ四人、五十万以上ハ五人トス
第三十五条 各商業会議所ノ会員及特別会員ハ商業会議所聯合会ニ出席シテ意見ヲ開陳スルコトヲ得
  但決議ノ数ニ加フルコトヲ得
第三十六条 商業会議所聯合会ノ権限ハ第二十六条第一項・第二項・第六項ニ掲クル事項トス
  但第一項及第二項ハ一地方ノミノ事項ニ関スルコトヲ得ス
第三十七条 商業会議所聯合会ハ、其議決事項ニ付キ其名ヲ以テ政府又ハ其他ニ対シ意見ヲ開申表示スルコトヲ得
第三十八条 商業会議所聯合会ノ経費ハ各商業会議所ヨリ選出スヘキ会員ノ数ヲ標準トシ、各商業会議所ヨリ徴収ス
 経費ヲ納期ニ納メサル商業会議所アルトキハ、商業会議所聯合会ノ決議ヲ以テ四ケ年以下ノ範囲内ニ於テ会員ノ選出権ヲ停止シ、其旨ヲ新聞紙ニ広告スルコトヲ得
第三十九条 商業会議所聯合会ノ経費予算ハ其年度開始前農商務大臣ノ認可ヲ受ク、其決算ハ年度閉終後六ケ月以内ニ農商務大臣ニ報告スルコトヲ要ス
第四十条 商業会議所聯合会ニ関スル其他ノ事項ハ、聯合会ノ議決ヲ経、定款ヲ以テ之ヲ定メ、農商務大臣ノ認可ヲ得テ施行ス
    第七章 監督
第四十一条 農商務大臣ハ本条例施行ノ責ニ任シ、之カ為メ必要ナル命令ヲ発スヘシ
第四十二条 農商務大臣ハ会議所其権限ヲ犯シ又ハ商工業上有害ノ行為アリト認メタルトキハ会議ヲ停止シ、尚ホ其情況ニ依リ役員若クハ会員ノ幾部又ハ全部ノ改選ヲ命スルコトアルヘシ
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     附則
第四十三条 本条例ハ明治三十二年 月 日ヨリ施行ス
第四十四条 商業会議所会員ハ、本条例ノ改正ニ依リ被選ノ資格ニ異動ヲ生スルモ任期中ハ其職ヲ失ハサルモノトス
○継続議案第三号           (博多商業会議所提出)
商業会議所条例中改正ノ件
商業会議所条例中左ノ如ク改正ヲ行ハント欲ス
 一、商法修正ノ結果ニヨリ現法第一条第一項乃至第三項ノ商業者ノ資格ヲ、新商法第二百六十三条及第二百六十四条ノ商行為ヲ為スヲ業トスル者ニ改ムル事
  理由 現行条例ニ於テハ旧商法第四条ノ商取引及同第五条第一号第三号・第四号・第六号ニ掲ケタル取引ヲ営業トスル者ヲ商業者ト定メタルモ、新商法施行ノ今日ニ於テハ新商法第二百六十三条及第二百六十四条ノ商行為ニ依準シテ其資格ヲ定ムルコト相当ナリトスルニアリ
 二、現法第十九条ノ次ニ左ノ一条ヲ追加スル事
  前条過料ノ処分ニ付テハ明治三十一年法律第十四号非訴事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ヲ準用ス
  理由 現法第十九条ハ経費滞納者ノ処分ヲ規定スルモノタリ、然レトモ其処分権ノ所在ニ付テハ頗ル明瞭ヲ欠キ実際処分ノ場合ニ当リ其制裁ヲ施行スルニ就キ惑ナキ能ハス、是レ成法ノ不備欠点ト謂ハサルヘカラス、蓋シ本条ノ意タル無論之カ処分ハ裁判所ノ管轄ニ属セシムルモノニ似タリ、是レ其ノ追加ヲナス所以ナリ
 三、外国人ハ商業会議所ノ会員選挙被選挙権ヲ享有シ得ヘカラサルコトヲ明定スルコト
  理由 商業会議所会員ノ選挙被選挙権ハ公権ナルヤ将タ私権ナリヤ、現在ニ於テハ愈々私権ノ傾向ヲ有スルモノヽ如シ、然ルニ会議所ノ事務権限ニ顧ミレハ或ハ立法諮問ノ機関トナリ、或ハ行政諮問ノ機関トナリ、其特殊ノ一公益機関タルコト疑ヲ容レス、故ニ其会員ノ選被選挙権タルヤ殆ント公権ト認メ外国人ノ権利ヲ認メサルコト会議所当然ノ性質ナルカ如シ、依テ権利ノ所在ヲ明定セラレンコトヲ欲スル所以ナリ
    第九回商業会議所聯合会協議案
○継続協議案第一号         (長崎商業会議所提出)
一 外国人ヲシテ商業会議所会員ノ選被選権ヲ享有セシメサランコトヲ望ム
  理由 商業会議所ハ特殊ノ一行政機関ニシテ、其会員ノ選・被選権ハ当然公法上ノ権利即チ公権トシテ之ヲ認メサルヘカラス、而シテ公権ハ外国人ヲシテ享有セシムヘカラストハ一般学者ノ承認シ、且ツ文明各国ノ現今採用シツヽアル処ナルヲ以テ視レハ、本案外国人ノ商業会議所会員ノ選・被選権享有ヲ否認セルカ如キハ固ヨリ其所ナリト云フヘシ
  然ルニ世上一派ノ論者トシテ、此商業会議所ナル一行政機関ノ国法上ニ於ケル位置如何ヲ顧ミス、漫ニ外国人ヲシテ商業会議所ニ
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参与セシムルトキハ外国人ノ商習慣ヲ知リ外国人トノ交際ヲ円滑ナラシムルノ利アリトノ理由ヲ以テ、商業会議所会員ノ選・被選権ヲ外国人ニ賦与セントスル者アルヤモ亦未タ測ルヘカラサラントス、是レ本案ヲ提出シ予メ吾人日本国民ノ国民権享有ヲ鞏固ニスルアラント欲スル所以ナリ


明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会議事速記録 第六三―六五頁 刊(DK220051k-0002)
第22巻 p.659-660 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会議事速記録  第六三―六五頁 刊
明治三十三年五月十九日午前十時十五分開議
  出席委員     四十九名 ○氏名略
○上略
○会長(東京、渋沢栄一君) ○中略 次ノ継続議案第二号・第三号ハ商業会議所条例ノ改正案デアリマス、之ハ尤モ重要問題デゴザイマスガ、之ニ付テハ一寸御報道申シ上ゲネバナラヌコトガゴザイマス、昨年モ此案ノコトニ付テ商工局長ガ出席サレテ本案ノ未来ヲ斯ク々々致シタイト云フコトヲ述ベラレタ、昨年ノ会議ニ御出席ノ御方ハ御聞取ニナツタト思ヒマス、商工局長ハ本月十一日ヲ以テ仏蘭西初メ欧米ニ旅行サレマシテゴザイマス、其旅行ノ要旨ハ商業会議所条例ヲ調査スルト云フコトガ一ノ目的デアツタ趣デアリマス、右ニ付キマシテハ私ハ出立前一日特ニ会合致シマシテ此改正ニ付テノ調査方針ヲ尋ネマシタガ細カニ斯クシテ何処ノ国ニ付テドウ調ベテ其調ベ上ゲタモノヲ箇様ニスルト云フマデハ明答ガ出来ヌ、併シ調査スベキ一条例ト認メテ居ルカラ木内重四郎ノ考ノアル限リ十分取調ベテ帰ル所存デアル、調査ヲシマシタ暁ニハ其末ドウスルカト云フコトハ今明言スルコトハ出来カネル、其調査ヲ大臣ニ報告セネバドウナルカ分ラヌ、聯合会ノ希望ハ条例ヲ改正シテ欲シイト云フコトハ曾テ私モ承知シテ居ル、之ハ果シテ左様思召スダラウト考ヘル、然ラバソレヲ屹度御約束スルト云フコトハ出来ヌガ、何レ帰リマシタ上ニハ改正スヘキ考案ヲ立テヽ若シ公ケニ各会議所ヘ諮問スルコトガ出来ルカ出来ヌカ今予メ分リマセヌガ貴方ノ望ミヲ達シテ其考案ヲ御話スルコトハ出来ルト考ヘル、独リ貴方ト云フ意味デハナイ、個人トシテ各地ノ商業会議所ノ御方ニモ御話シ得ルデアラウト自分ハ思ヒマスル、如何ニモ此ノコトハ将来ニドウシテモ修正シナケレバナラヌシ、又其修正ニハ余程注意ヲ要スルコトデアルカラ、自分ハ及ブ限リノ精神ヲ以テ取調ベ、而シテ帰ル匆々ニ此改正ノコトニハ着手ヲ致スノ心得デアル、ソレダケハ領承シテ居ルト云フ答デアリマシタ、右様ノ都合ニナツテ居リマスルデ第二号・第三号ニ付テ今日御述ニナリマシテモ、到底其終結ヲ見ルト云フニハ少シ時ヲ遅ラセナケレバナラヌト考ヘマス、併シ議スルヤ否ヤハ私ハ申シ上ゲルノデハナイ、只左様ナ有様デアル、先キニ商工局長ガ申サレタコトハ是程マデニ申サレタト云フコトヲ御報道申シテ置マス、其先キハ何レトモ議場ノ摸様ニ従ヒマス
○三十八番(岡山、香川真一君) 三十八番ハ今議長ノ仰セラレマシタヤウニ、此条例改正ノコトハ随分岡山ハ熱心ナ方デアリマス、即チ之ハ大坂デ出来タ議案デアリマス、昨年ハ私ハ委員デ余程熱心ニ条例ヲ改正スル積リデ調ベテ見ルト、種々差支ガ多クツテ、ドウシテモ旨ク
 - 第22巻 p.660 -ページ画像 
イカヌノデゴザイマス、即チ事ガ重大デ宿題トナツタノデゴザイマスルガ、已ニ木内商工局長ガ御取調ニナツテ居ルコトヲ聞キマシテ、之ハ尚ホ継続議案トシテハドウカト云フコトヲ建議スル積リデ居リマシタガ、恰度今議長ノ仰セラレタヤウニ考ヘテ居リマス
○十二番(阿波、根本民治君) 十二番モ三十八番ト同感デゴザイマス之ハ継続議案トシテ延バシタ方ガ宜カラウ
○会長(東京、渋沢栄一君) 別ニ諸君ノ御異議ガゴザイマセネバ、二号・三号ノ議案ハ尚ホ継続トシテモウ一回御延ニナルヤウニスル外アルマイト思ヒマス、私ガ二号・三号ト申シ上ケタノハ悪ルゴザイマスモウ一ツ継続協議案ノ第一号ガゴザイマス、之モ矢張均シク他日ノ議事ニ付サナケレバナラヌモノト思ヒマス、即チ其継続協議案ノ第一号ハ、外国人ヲシテ商業会議所会員ノ選・被選権ヲ享有セシメザランコトヲ望ムト云フ趣意ナノデゴザイマス、均シク商業会議所条例デ規定サレ得ベキモノト思ハレマスル、別ニ御異議アリマセネバ今ノ三案ハ宿題ニ致シマス
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕


渋沢栄一 日記 明治三三年(DK220051k-0003)
第22巻 p.660 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三三年     (渋沢子爵家所蔵)
四《(五)》月八日 曇
○上略 午後一時農商務省ニ抵リ、木内商工局長ニ面会シテ、同氏仏国行ニ関シテ調査ヲ要スル意見三項ヲ陳ス(商業会議条例改正ノ事、取引所ノ規程改正ノ事、信托会社ノ実況調査ノ事) ○下略


明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会報告 第三四―三五頁 刊(DK220051k-0004)
第22巻 p.660-661 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会報告  第三四―三五頁 刊
○議案第二号            (久留米商業会議所提出)
一商業会議所条例中会員選挙有権者ノ財産資格ヲ国税・営業税ヲ納ムル商業者ト改正セラレンコトヲ其筋ニ建議・請願スル事
 但シ現行条例第一条第二項ノ商事会社ノ財産資格ノ《(ハ)》従前ノ如ク資本金、同条第三項ニ掲ケタル商事会社ノ社員、取締役及取引所ノ理事長・理事ハ所得税ニヨリ定ムル事
  理由 現行商業会議所条例ハ今ヲ去ル十年以前ニ発布セラレタル者ニシテ、人文ノ発達ト共ニ其改正ヲ要スヘキ点アルノミナラス改正商法実施以来其条項ニ於テ益不適当ノ点多キヲ加ヘタルヲ以テ、第八回商業会議所聯合会ニ於テ之レカ改正ノ必要ヲ認メ既ニ其改正案ヲ提出セラレタリ、然レトモ選挙有権者ノ財産資格ニ付テハ依然所得税ニ据置カレタルカ如シ、之レ本会議所ノ大ニ遺憾トスル所ナリ、何トナレハ商業会議所ハ商政ノ一部ヲ掌ル所、又商工業者ノ代表機関タリ、故ニ会議所ニ於テ採ル処ノ方針及決議ハ其地方商工業者利害得失ノ係ル所ナリ、是ヲ以テ商工業者カ其商政ニ参与スルト否トハ即チ自己権利ノ伸縮ニ関スル所ニシテ、其決議ノ施行ハ営業者ノ全体ニ及フヘキ者ナルヲ以テ、宜シク之レカ選挙権ヲ拡メ成ルヘク地方商工業者多数ノ意見ヲ徴シ親シク其利害得失ヲ討究シ、以テ会議所ノ任務ヲ尽サント欲ス、之レ本
 - 第22巻 p.661 -ページ画像 
案ヲ提出スル所以ナリ


明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会議事速記録 第七三頁 刊(DK220051k-0005)
第22巻 p.661 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会議事速記録  第七三頁 刊
明治三十三年五月十九日午前十時十五分開議
  出席委員     四十九名 ○氏名略
○上略
○会長(東京、渋沢栄一君) ○中略 議案第二号ハ矢張リ商業会議所条例ノ会員選挙有権者ノ財産資格ニ関係シテ居リマス、継続案第一・二号若クハ協議案第一号ト矢張リ同様ニシテ、他日ノ御議定ニナツテ宜カラウト考ヘマスルデ、之モ矢張リ宿題ト致サナケレバナラヌ(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)
  ○本巻明治三十二年十月十三日、同三十五年十二月九日ノ両条、並ニ本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治三十四年九月十五日、同年十一月七日、同三十五年四月十二日ノ各条参照。
  ○明治三十五年法律第三十一号ヲ以テ商業会議所法発布セラレ、商業会議所条例改正セラレタリ。同法ハ本資料第二十一巻「東京商業会議所」明治三十五年四月十二日ノ条ニ収録セリ。