デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
4款 商業会議所聯合会
■綱文

第22巻 p.669-675(DK220054k) ページ画像

明治33年5月19日(1900年)


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是日第九回定期会第三日ノ会議ニ於テ、京都商業会議所ノ提出セル商法第百九十六条増補ノ儀討議サレ、委員附託トナル。二十一日第四日ノ会議ニ於テ、委員ノ調査報告ニ基キ宿題トナル。栄一会長トシテ議事ヲ司宰ス。


■資料

明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会報告 第四八―四九頁 刊(DK220054k-0001)
第22巻 p.670 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会報告  第四八―四九頁 刊
○議案第十一号            (京都商業会議所提出)
一商法中第百九十六条第二項ノ次ヘ左ノ一項ヲ加フルコトヲ其筋ニ意見開申ノ件
 第一項ノ利息ハ事業ノ性質力主トシテ公共ノ利益ニ関スルモノト認ムルモノニ限リ、政府ノ許可ヲ得テ、第一項但書及第二項ノ規定ニ依ラスシテ不均一ナル利息ノ配当ヲ為スコトヲ得
  (参照)商法第百九十六条第一・二項
   会社ノ目的タル事業ノ性質ニ依リ第百四十一条第一項ノ規定ニ従ヒ本店ノ所在地ニ於テ登記ヲ為シタル後二年以上開業ヲ為スコト能ハサルモノト認ムルトキハ、会社ハ定款ヲ以テ開業ヲ為スニ至ルマテ一定ノ利息ヲ株主ニ配当スヘキコトヲ定ムルコトヲ得、但其利率ハ法定利率ニ超ユルコトヲ得ス
   前項ニ掲ケタル定款ノ規定ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
    理由
  大資本ヲ以テ組織スル大事業ノ発達ヲ企図スルノ趣旨ニ依リ、此修正ヲ行フノ必要ヲ認ム


明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会議事速記録 第七九―八六頁 刊(DK220054k-0002)
第22巻 p.670-673 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会議事速記録  第七九―八六頁 刊
明治三十三年五月十九日午前十時十五分開議
  出席委員     四十九名 ○氏名略
○上略
○会長(東京、渋沢栄一君) ○中略 未ダ少シ時間ガゴザイマス、モウ一議案ゴザリマスカラ之ヲ御議シヲ願ツタラ宜カラウト思ヒマス、議案第十一号デゴザリマス、商法中第百九十六条第二項ノ次ヘ一項ヲ加フルコトヲ其筋ニ意見開申ノ件、京都商業会議所ノ提出デゴザリマス、議案ハ差出シテゴザイマスカラ別ニ朗読ハ致シマセヌ、又提出者モ御出席ニナツテ入ラツシヤイマス
○五十四番(京都、中村栄助君) 是ニハ簡単ナ理由ヲ附シマシタガ、尚ホ一言申述ベテ置キタイト存ジマス、此条項ノ趣意ハ殊更ニ述ベマセイデモ御承知ノコトデゴザリマスルガ、之ハ大事業ヲ会社デヤリマスルトキニハ、此法律デゴザイマスレバ即チ一定ノ規則トシテ六朱以下デ利子ヲ支払ヒスルト云フコトシカ出来ヌノデアリマス、併シナガラ本会議所ガ出シマシタ修正ノ如クシマスレバ、不均一ノ利子ヲシテ或ハ今日行ハレテ居リマスル所ノ勧業債券ノ割増社債ノ如キ方法ヲ執ルコトモ出来マス、之ヲ例ヘテ申シマスレバ、一千万円ノ大事業トシテ之ヲ五箇年ニ割リマスレバ即チ一箇年二百万円、二百万円ツヽ年々
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募集スルモノトシテ其利子ヲ年一割ト致シマスレハ二十万円、其二十万円ノ半額即チ十万円ヲバ五朱ノ利トシテ一般ニ配当ヲ致シマシテ、残ル所十万円ヲ抽籤トシテ割当テマスルト云フヤウナコトニ致シマスレバ、余程此募集ノ奨励ニモナリマスルシ、大事業ノ大ニ奨励ニモナルコトヽ考ヘマシテ此案ヲ提出致シマシタ次第デゴザイマス、単簡ニ申シマスレバ、即チ此不均一ト云フコトヲ奨励致シマスルコトヲ裁判所ニ於テ認可スル、即チ政府ニ於テ之ヲ認可スルト云フコトニ修正致シマスレバ一法ガ出来ルコトヽ考ヘマシテ此案ヲ提出致シマシタ次第デ、ドウカ諸君ノ御賛成ヲ得テ成立スルコトニシタイト存ジマス
○会長(東京、渋沢栄一君) 勧業債券ノ花籤ヲ株式ニモ用ヰタイト云フ趣意デスナ
○五十四番(京都、中村栄助君) サウデゴザイマス
○会長(東京、渋沢栄一君) 提出者ノ京都ハ法律ノ御研究ハ此文案デ出来ルト云フ御取調ベニナツテ居リマスノデゴザイマスカ
○五十四番(京都、中村栄助君) 此十九条《(マヽ)》ノ二項ノ次ヘ一項ヲ加ヘマスレバ之デ出来ル考デゴザイマス、多少ノ取調ベハ致シマシタ
○二十三番(横浜、大谷嘉兵衛君) モウ時間モ何デゴザイマスカラ之ハ少シハ法律問題ニ亘リマス、尚ホ研究モ致シタイト思ヒマスシ、又幾ラモ議案ガゴザイマスルデ追テ調査委員ノ報告ヲ待ツコトヽシテ後トニ延バシテ、其間能ク御研究ヲ願ツタ方ガ宜カラウト思ヒマス、左様致シタイ
○四十番(高知、松村俊男君) 今ノ二十三番ト御同様ノ考デ、既ニ此案ト云フモノハ京都ノ商業会議所カラ御廻ハシニナリマシテ、審議ヲ致シタ次第モゴザイマスル、法律問題デゴザイマスデドウカ十分ニ調査モ致シタイト云フ考デゴザイマス
○十二番(阿波、根本民治君) 之ハ如何ニモ法律問題デゴザイマスルデ、此事ニ付テハ無論十二番モ異議ハアリマセヌガ、尚ホ大ニ此事ハ鄭重ニ取調ベヲ要スルコトガ必要ト私ハ考ヘル、素ヨリ調査スルモ宜イガ矢張リ之レハ委員ニ附託シテ調査シテ貰ウ方ガ周到精密ニシテ遺憾ガナイト云フ考デ、此議案ハ先キニ選ンデアル所ノ委員ニ附託シテ経済問題ト同時ニ調査シテ貰ヒタイト云フ意見デアリマス
○三十八番(岡山、香川真一君) 十二番ヲ大賛成
○四十五番(松山、仲田槌三郎君) 四十五番モ只今ノ十二番ヲ大賛成
○六十二番(東京、井上角五郎君) 只今ノ委員説ハ御賛成ヲ申シマス同時ニ前ノ委員ニ御附託ト云フコトハドウカ御免ヲ蒙リタイト思ヒマス、ソレハ何故デゴザリマスカト云フト、昨日前ノ委員会ヲ開キマシテ起草委員ヲ選ビマシテ、起草委員ハ昨日引続イテ遅クマデ商議シ本日モ早ク来テ只今マデモヤリマシタ、又此会議ノ隙ニモヤリマシタガ何分起草ガ難カシウゴザイマシテ、ヤツトマア大体斯ンナモノデアラウカト云フ下書ガ今出来マシタ、是カラ之ヲ清書シテ皆サンニ御報告スルノガ明後日ノ朝ダラウト心得ル位デゴザイマスカラ、其上ニ又斯ウ云フ法律ノ研究ヲ御引受ケヲ致シテハ委員ハ迷惑ヲスル、委員説ニ賛成スルト同時ニ他ノ者ヲ五名御選挙ナツテ、其委員ニ附託スルコトヲ希望致シマス
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○三十八番(岡山、香川真一君) 三十八番ハ此間骨相学ノ先生ガ能ク物ヲ忘レルト仰シヤルガ能ク物ヲ忘レマス、私モ委員デゴザイマシタ大反対デアリマス
○二十九番(金沢、水登勇太郎君) 今六十二番ノ言レマシタヨウニ別ニ委員ヲ設ルヤウニ……
○二十三番(横浜、大谷嘉兵衛君) 二十三番モ只今六十二番ノ御話ノ如ク前ノ委員ト言ヒマスト何ダカ忘レテ居タヤウデスガ、此委員ヲ別ニ置クノハ六十二番ト同感デアリマス
○五十五番(京都、林長次郎君) 委員ガ嫌ヒダト御仰ルノハ御最モナ訳デゴザリマス、併シ此問題モ格別難カシイ問題デモゴザリマセヌ、実ニ京都カラ提出シマシテ先キニ調査ノトキニモ一諸ニ調査ヲ御託シ下サルコトデアツタラ宜シカツタト思ツテ居リマス、是ガ為ニ委員ヲ選ブト云フハ法律ノ箇条サヘ調レバ宜イト云フコトデ、後トハ宜イカ悪イカト云フ判断ニ止マル、私ハドウカ曩キノ委員ニ御迷惑ナガラ御託シシタイ
○会長(東京、渋沢栄一君) 委員説ガ段々御多数ノヤウデシテ賛成ノ御声ガ多クゴザリマスガ、唯委員ノ選ミ方ニ付テノ説ガ二分レニナツテ居ルヤウナコトデ、委員説ニ付テ先ツ決ヲ採ラネバナリマスマイガ十二番ハ委員ハ幾名ト云フ御考デアツタカ
○十二番(阿波、根本民治君) チヨツト弁シテ置キマス、即チ委員ハ曩キニ十五名ノ委員デ段々六十二番ハ何ニカ酷イ御困難ノヤウナコトデアリマスガ、固ヨリ国家経済ニ関係スルコトヲ御取調ベデ是ニハ精神ヲ労サレテ誠ニ感謝シマス、併シナガラ六十二番ノ如キハ綽々トシテ余裕ガアルト考ヘマス、之ハ譲リ合ノコトヽ考ヘマス、段々否ヤヲ仰シヤルノハ先キノ委員許リデ是シキノコトニ御聴キガ出来ナイト云フコトハ決シテナイ、ドウカ努メテ御勉強アランコトヲ
○会長(東京、渋沢栄一君) 委員説ガ御多数ノヤウデゴザイマスガ委員説ニ付テ採決シマス、委員付託ノ説ニ御同意ノ方ハ御起立ヲ願ヒマス
  起立者  多数
○会長(東京、渋沢栄一君) 多数デス、委員付託ト云フコトハ殆ント全会一致デゴザイマス、是レカラ委員選挙方法デアリマス、十二番ハ曩キノ財政経済ニ関スル調査委員ニ付託スル、其十五名ノ中ニハ段々此方ニ委シイ方モアル、余力ハ存スルト見做スヤウデ、ソレヲ主張スルト云フ考デ、六十二番ハドウモ委員ハ多忙デアルカラ難カシカラウ他ニ選マウト云フ、是ニハ何方ニモ賛成ガアリマス
○六十二番(東京、井上角五郎君) 一口弁ジテ置キタイ、十五名ノ者ニ是非引受ケラレヨト云フノハ、只今余裕ガアルト云フコトデアルガ如何ニモ余裕ガアルトシタ所ガ唯ダ如何セン沢山ノ議案モナイト云フ今日ニ是ダケノモノヲ矢張同一ノ委員ニ御付託ニナレバ、此聯合会ハ長イ間掛ラナケレバナラヌト云フコトハ御承知シテ下サル、コトニ……若シ之ヲ外ノ委員ニ為サレテ居ルナレバ外ノ委員ハ一方ニ於テ調ベテ居ル、此委員ハ爰ニ調ベテ居リマスガ、之ヲ一ツノ委員ニ御託シニナレバ報告ガ後レテ出ルト云フコトヲ御再考ニナツテ御起立ニナルコ
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トヲ希望致シマス
○三十三番(大阪、三谷軌秀君) 同感デゴザリマシテ、之ハドウシテモ新規ニ御選ミニナツタ方ガ宜イ、之レハモウ御起立ニ及バナイト思イマスガ、ドウカ新規ニ御選挙下サルコトニ願ヒタイ、其方ガ便利デ
○三十八番(岡山、香川真一君) ドウモ三十八番ガ忘レテシマツテ、委員ガ宜カラウト云フ自分ガ委員ノコトヲ忘レテ居リマシタ、今井上君ガ弁ゼラルヽ通リニ、是程アルニ前ノ十五名ノ委員ニ是非ヤラセルト云フノハ皆サンガ横着ラシイ、ドウカ他ノ五名ト云フ方ヲ無理ニモ皆サンガ御賛成ヲ願ヒタウゴザリマス
○二十八番(長崎、藤瀬宗一郎君) 私ハ六十二番ノ御明説ニ賛成ヲ致シマス、其委員ハ例ニ依リマシテ会長ノ御指名ヲ願ヒマス
○会長(東京、渋沢栄一君) ドウモ委員説ガ二ツニ分レテ中々一定致シマセヌデスガ、十二番サンドウデスカ、ドウシテモ前ノ委員付託ノ説ヲ御主張デスカ
○十二番(阿波、根本民治君) サウデス
○会長(東京、渋沢栄一君) 然ラバドウデモ決ヲ採ラネバナラヌデス十二番ハ財政経済ノ調査委員ニ付託スルト云フ説ヲ御主張ニナツテ居リマス、即チ前ノ委員ニ付託スルト云フ十二番ノ御説ニ御同意ノ方ハ御起立ヲ願ヒマス
  起立者  少数
○会長(東京、渋沢栄一君) 聊カノ所デ少数デゴザイマシタ、然ラバ五名ノ新ラシイ委員ヲ立テルト云フ即チ六十二番・二十八番ナドノ御説デゴザイマス、其委員ノ指定ハ議長ニ任カセルト云フコトニ依ツテ決ヲ採リマス、其説ニ御同意ノ方ハ御起立ヲ請ヒマス
   〔「異議ナシ、異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕
○会長(東京、渋沢栄一君) 御異議ガナケレバソレニ決定致シマスルデ委員ヲ指名仕リマス、只今ノ委員ヲ申上ゲマスル、三浦碧水君・根本民治君・天野伊左衛門君・緒方道平君・林長次郎君、此五名様ヲ指名仕リマス、ソレデ此委員諸君ニ申上ゲマスルノハ、若シ此案ニ付テ法律上ノ御質議等ガゴザリマスレバ、当商業会議所ノ特別会員ノ高木豊三ト云フ人ガゴザリマス、此人ハ特別会員デゴザイマスカラ、若シ法律上ノ御質議等ガゴザイマスレバ打合セラレテ都合ガ出来マスレバ出席致シマスヤウニ仕リマセウ、蓋シ此事ハ当商業会議所デモ委員付託ニナツテ即チ高木氏ハ委員ニ居ル人デゴザイマス、念ノ為メ委員諸君ニ申上ゲマス


渋沢栄一 日記 明治三三年(DK220054k-0003)
第22巻 p.673 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三三年     (渋沢子爵家所蔵)
五月二十一日 晴
午前農商務省ニ抵リ、大臣ニ面会シテ、会議所ニ出席ノ事ヲ請フモ同意ヲ得ス、午後会議所ニ出席セシモ、此日ハ岩越鉄道株主総会ノ事アルヲ以テ、聯合会ノ委員会ヲ井上委員長ニ托シテ継続セシメ ○下略


明治三十三年五月開設 第九回商業会議所聯合会議事速記録 第八八―九四頁 刊(DK220054k-0004)
第22巻 p.673-675 ページ画像

明治三十三年五月開設
第九回商業会議所聯合会議事速記録  第八八―九四頁 刊
明治三十三年五月二十一日午後一時五十五分開議
 - 第22巻 p.674 -ページ画像 
  出席委員     四十名 ○氏名略
○副会長(東京、井上角五郎君) ソレデハ是カラ聯合会ノ本会ヲ開キマス、デ議案第十一号商法中第百九十六条第二項ノ次ヘ一項ヲ加フルコトヲ其筋ニ意見開申ノ件、京都商業会議所提出、此委員ニ付託シテゴザリマシタ第十一号議案ニ付テ委員長カラ報告ガゴザリマス、天野サン一ツ御報告ニナリタウゴザリマス
○十五番(天野伊左衛門君) 御手許マデ報告ガ出テ居リマスカラ朗読ヲ願ヒタウゴザリマス
   〔書記調査報告書ヲ朗読ス〕
    議案第十一号商法修正ノ件調査報告
兼テ全会ヨリ附託セラレタル議案第十一号商法中第百九十六条第二項ノ次ヘ一項ヲ追加スル件、遂審議候処、本件ハ目下各商業会議所ニ於テ審議中ニ属シ、且ツ法律上其他猶充分ノ審査ヲ要スルモノト信スルニ付、本件ハ宿題トシテ研究候方可然ト決定候間、此段及御報告候也
  明治三十三年五月二十一日
                商法修正ノ件調査委員長
                      天野伊左衛門
    第九回商業会議所聯合会々長 男爵 渋沢栄一殿
○十五番(知多、天野伊左衛門君) 吾々委託セラレマシタ結果、審査ノ末只今朗読ヲ致シマシタ通リ決議ヲ致シマシテゴザリマスカラ、理由トスル所ハ、只今原案ニ述ベタダケノコトデゴザリマスガ、此点ニ付テハ委員一個トシテ種々意見ハ闘ハシテ見タンデゴザイマス、其中ノ重ナル意見ヲ言フテ見マスルト、全体此大資本ヲ以テ数年ニ跨ル事業ヲ起スニ付テハ京都商業会議所カラ提出サレタ如キ方法ヲ国家ノ上カラ与ヘヌケレバ到底将来ニ大ナル事業ヲ発達セシムルコトハ出来ヌデアラウ、併シナガラ商法ノ精神ニ基イテ講究シテ見ルト云フト、今商法中ヘ此条項ヲ単ニ挿入シテ宜カラウカ、此点ニ付テハ大ニ疑モアル次第デ、且ツ公共ノ利益ニ関スルト認ムルトキニ政府ハ手心ヲ以テ許スト云フコトニスルト、時ニ依ツテハ範囲モ広ガル次第デアル、自然一方ノ杞憂カラ言ツテ見レバ、投機心ヲ誘起スルノ恐レモ含ンデ居ル次第デアル、併シナガラ事業ヲ奨励スル上ニ於テハ何トカ便法ヲ与ヘタイト云フコトハ矢張リ其筋ノ人達ニ於テモ精神ハ其所ニ在ル、或ハ此点ニ於テハ商法中ニ之ヲ加ヘズシテ別ニ一ツノ法律ヲ制定シテ加ヘタ方ガ穏当デハナイカト云フヤウナ説モアリ、其他二・三ノ説等ガアツテ、要スルニ只今報告ノ通リニナリマシタ、既ニ此議案ニ付テハ京都商業会議所カラ昨年各地ノ商業会議所ニ此意見ヲ御廻シニナツテ各地ノ商業会議所ニ於テモ今尚ホ講究シツヽアル問題デアツテ、又東京商業会議所ノ御模様ヲ伺ツテ見ルト、既ニ此問題ニ付テハ委員マデモ出来テ今尚ホ其委員ノ手ニ附託シアルト云フヤウナ有様ニナツテ居リマス、兎ニ角此商法ノ上ニ修正ヲ加ヘルコトデアツテ、将来拡大ノ関係ヲ有ツ次第デアルカラ、充分ニ各地商業会議所ニ於テモ講究ヲシテ、之ヲ宿題トシテ他日聯合会ノ問題ニ掲ゲルヤウニシタ方ガ穏当テ宜カラウカ、要スルニ前段述ベル通リニ決議致シマシタ次第デゴザリマスカラ、チヨツト此段ヲ御報告致シマス
 - 第22巻 p.675 -ページ画像 
○五十四番(京都、中村栄助君) 只今天野君ヨリノ京都提出ノ商法修正ノコトニ付キマシテ御調査ノ細カナル御報道ヲ得マシテ、誠ニ満足致シマスル次第デゴザリマスルガ、京都商業会議所ニ於キマシテハ、商法ノ上ニ修正ヲ加ヘマシテ実行ノ出来ルモノト認メタノデゴザリマス、去リナガラ唯今御報道ニナリマシタヤウニ、或ハ商法ノ精神ニ違ツテ制限ヲ失スルトカ又其他ニモ差支ガアルト云フコトヲ御認メニナリマシテ、例ヘバ単独ノ法律ヲ以テデモ其事ガ尚ホ実行出来ルノ暁ニナリマスレバソレデモ決シテ異論ハナイノデゴザリマス、此問題ハ唯今御報告ニナリマシタヤウニ、予テ東京商業会議所ニ於キマシテハ調査セラレ、尚ホ他ノ商業会議所ニテモ調査ヲセラレツヽアル次第デ、今ヤ段々大事業ノ必要ヲ認メマスル上ニハ此法律ハ充分必要ト認メテ居ルノデ、ドウカ此上ニモ宜シク各会議所ニ於テ御審議ノ上デ、成ルベク速カニ此通リ致シマスルヤウニ一言希望シテ置キマス
○副会長(東京、井上角五郎君) ソウスレバ中村サンハ今日宿題ニセズニスグ決シテ貰ヒタイト云フノデスカ
○五十四番(京都、中村栄助君) ソレガ出来ルナラバ希望デゴザリマスルガ、止ムナクンバ仕方ガアリマセヌカラ、此上ニモ速カニ願ヒタイト云フノデ……
○副会長(東京、井上角五郎君) 皆様ノ御意見ハ如何デス
○六番(高崎、関根作三郎君) 委員会ノ報告通リ異議ハゴザリマセヌ宿題ト致シマス
○副会長(東京、井上角五郎君) 報告ヲ可ト致シマス、別段御意見モゴザリマセヌヤウデスカラ委員会ノ報告通リ此第十一号ハ継続議案トスルト云フコトニ決シマシテ差支ゴザリマセヌカ
   〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕
   ○本件ハ第十回定期会ニ再提出サレ否決セラル。本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治三十四年九月十五日ノ条参照。尚ホ本件ハ実現セズ。(現行商法第百九十六条参照)
   ○本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治三十三年十一月二十六日ノ条参照。