デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治35年12月9日（1902年）

是日臨時会第二日ノ会議ニ於テ、東京商業会議所ノ提案ニ係ル貯蓄奨励法実施ノ儀上程サレシガ、
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委員ヲ選ビテ主務当局ニ事情ヲ質サシムルニ決ス。十日第三日・十一日第四日ノ会議ニ於テ、委員ヨリ主務当局トノ会談顛末ニ就キ報告アリ、委員会ノ修正案可決セラル。栄一会長トシテ議事ヲ司宰ス。

明治三十五年十二月開設
臨時商業会議所聯合会報告　　第一八―二〇頁　刊
○議案第四号　　　　　　　　　　　　　（東京商業会議所提出）
一各商業会議所ハ貯蓄奨励法ノ実施ヲ希望スル義ニ付更ニ内閣総理・大蔵・逓信・農商務各大臣ヘ建議スル事
　　（理由）　貯蓄奨励ノ国家経済上ニ必要ナルコトハ今更ニ呶々ヲ要セス、曩ニ各商業会議所ハ商業会議所聯合会ノ決議ヲ経テ其筋ニ向テ之カ実施ヲ建議シタルコト一再ニ止ラスト雖トモ、未タ其採用ヲ見ルニ至ラサルハ深ク遺憾トスル所ナリ、蓋シ国民ノ貯蓄ヲ奨励スルハ国力ノ涵養上最要ノ方策ニシテ、殊ニ今日財界ノ実況ニ徴スルニ一層其急施ノ必要ヲ認ムルモノアリ、故ニ此際各商業会議所ハ更ニ其筋ヘ建議シテ其急施ヲ必期セント欲ス
（参照）
　　　貯蓄奨励実行方法（明治三十四年一月臨時商業会議所聯合会決議）
第一　郵便貯金中抽籖奨励金附定期定額預金ノ法ヲ設クル事
　一　抽籖奨励金附定期定額預金ハ一口壱円トシ、一万口ヲ以テ一組トス
　二　組合ハ預金証券ノ日附順ニ依リ、毎郵便為替貯金管理本支所管内ヲ通シ一万口ニ満ツル迄ノ者ト、其番号トヲ以テ之ヲ編成ス
　三　預金期間ハ一ケ年・三ケ年及ヒ五ケ年ノ三種トス、但シ一ケ年定期預金ハ三ケ年ノ後之ヲ廃ス
　四　一ケ年定期預金ハ無利息トシ、其予定利息金ノ全額ヲ奨励金ニ充テ、又三ケ年定期預金ノ利息ハ、三ケ年通利一割トシ、其残余ノ予定利息金ヲ奨励金ニ充テ、又五ケ年定期預金ノ利息ハ、五ケ年通利二割トシ、其残余ノ予定利息金ヲ奨励金ニ充ツ
　五　奨励金ハ五拾円・拾円・五円ノ三等ニ分チ、一等ハ一個、二等ハ十個乃至二十個ヲ限度トシ、三等ハ其残額ヲ五ニテ除シ得タル数ヲ以テ其個数トス
　六　予定利率ハ凡ソ年五朱トス
　七　預金証券ハ記名式壱円券トシ、各預金取扱所ニ於テ之ヲ交付ス
第二　各市町村ニ名誉職貯金奨励委員ヲ設クル事
第三　普通教育中一層勤倹貯蓄ノ気風ノ養成ニ力メシムル事
本件ハ前号議案ノ調査委員ニ併セテ其調査並ニ当局大臣訪問ノ事ヲ委託スルニ決シ、右委員ヨリ左記ノ如ク報告シタルニ衆議ノ上之ヲ可決ス
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　議案第四号本文『内閣総理・大蔵・逓信・農商務各大臣ヘ』ノ下ニ左ノ文字ヲ加フ
　　特別貯蓄銀行ノ設立及郵便貯金中抽籖奨励金附貯金ノ法ヲ設ケ、又其他奨励ノ方法ヲ設ケラレンコトヲ望ムノ意味ヲ
　右委員会ニ於テ可決ス
　　明治三十五年十二月十一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　貯蓄奨励ノ件調査委員

明治三十五年十二月開設
臨時商業会議所聯合会議事速記録　　第八四―九四頁　刊
明治三十五年十二月九日午前十時四十五分開議
　　出席委員　　　　　二十四名　○氏名略
○会長（東京、渋沢栄一君）　○中略　続キマシテハ第四号議案ニ移リタウゴザイマスルガ、此議案ハ長イ御議論モナサヽウナヤウデゴザイマスカラ、モウ一ツ御議決ニナツタラドウデゴザイマセウ
　　　（「異議ナシ、異議ナシ」ト云フ者アリ）
○会長（東京、渋沢栄一君）　ソレデハ第四号議案ヲ議題ト致シマセウ
○有志十一番（東京、雨宮敬次郎君）　此四号議案ハ長年ノ問題デゴザイマシテ此経歴ヲ一応申上ゲタイト思ヒマス、此貯蓄奨励ニ関スル議ニ付キマシテハ唯今ノ臨時会ニ初メテ出タ訳デハゴザイマセヌ、之ハ明治三十三年ノ五月臨時聯合会ニ於キマシテ既ニ御決定ニナリマシタ其時ニハ抽籖割増ノ制ニ依ツテ貯蓄ヲ奨励シ民間零砕ノ資ヲ集ムルコトヽ云フコトガ御決定ニナリマシタ、其所デ其当時ニ有志委員大臣訪問ト云フコトガ起リマシタ、ソレハ明治三十三年五月二十三日、本聯合会ニテ決議シタ、ソレヲ政府当局者ニ建議ヲシ及ヒ国家経済ノ事態ヲ陳情スルタメ有志委員トシテ七会議所ヲ指定シ、其出席員ヲシテ之ニ当ラシメルコトニ致シ、此委員ハ其出席員タル男爵渋沢栄一君（東京）・川真田徳三郎君（阿波）・松田源五郎君（長崎）・水登勇太郎君（金沢）・佐伯勢一郎君（大阪）・三谷軌秀君（大阪）・香川真一君（岡山）・井上角五郎君（東京）ノ諸氏ハ同月二十五日相会シテ山県総理大臣ノ官邸ヲ訪問シ、同大臣並ニ松方大蔵大臣・芳川逓信大臣・曾禰農商務大臣ニ会見シタ、会見ノ筆記録ニ斯ウ云フコトガアリマス「松方大臣曰貯蓄ヲ奨励スルハ目下我国ニ於テ急務中ノ急務ト云フベク、我国ノ如キ歴史ヨリ考ヘ実際ニ徴シ一般人民ノ貯蓄心ノ欠乏セルハ実ニ各国ニ其例ナキ所ナリトテ、欧米各国ノ貯蓄制度、各国人民ノ貯蓄金額、人口比例、及仏国ノ学校ニテ貯蓄ヲ奨励シ、独逸ノ協会ニテ之ヲ奨励スルノ例ナドヲ示シ、然ル後更ニ曰ク、予ハ今日ノ貯蓄奨励ノ必要ヲ説クモノ豈啻ニ勤倹主義ニノミ出デンヤ、此ノ如ク致シ人民一般ノ程度進ムベク、又以テ資本充実スベク、予ハ諸君ノ此点ニ注目セラレタルニ深ク喜ブモノニシテ、大蔵省ニ於テハ現ニ其取調ベニ着手シ居レリ其方法ノ如キハ追テ諸君ニ示スコトアルベキモ、要スルニ抽籖割増ノ制ヲ採ラン事ヲ期スルモノニシテ、全然諸君ノ意向ト同一ナリ」ト、此ノ如ク大蔵大臣松方伯爵ノ有志訪問委員ニ対シテノ御確言ガアリマシタ、其所デ又三十四年ノ一月臨時聯合会ヲ開キマシタトキニモ又、此貯蓄案ガ東京商業会議所カラ提出ニナリマシタ、其時ニ政府ニ向ツ
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テ建議シマシタト云フ方法ハ此所ニゴザイマスガ、三十四年ノ一月臨時聯合会ニ於テ此割増郵便貯蓄奨励金ノ割増方法ヲ附シテ之ヲ政府ヘ建議致シマシタ、之ハ余リ長クナリマスカラ読マズトモ何デゴザイママウガ、所謂大同小異デ、東京カラ提出致シマシタ此度ノ案ト格別違ツタトコロハゴザイマセヌ、ソコデ昨年ニ至リマシテモ、又一昨年新潟ノ聯合会ニ東京ノ提出デ貯蓄奨励ニ関シテ其筋ニ建議スルノ件ト云フコトハ、所謂之モ聯合会デ御可決ニナリマシテ、ヤハリ其筋ニ建議ニナリマシタノデゴザイマス、尚ホ此度臨時聯合会ヘ東京ガ提出致シマシタト云フモノハ、是非トモ之ヲ実行セネバ国家ノ存廃ニモ関係スルモノデアルダラウト考ヘマス、其理由ハ余リ長ク申シ上ゲズトモ、モウ御分リニナツテ居ルカラ申上ゲマセヌガ、最早日本ノ国ノ此資本欠乏ト云フコトハ今日ヨリ始マツタコトデハナク、明治三十二年・三年・四年・五年ト、三年モ四年モ欠乏続キデゴザイマシテ、遂ニ此資本ノ充実ヲ得タト云フコトハゴザイマセヌ、今日ノ所ハ如何ナル場合カト申シマスルト、銀行ニ金ガ余ツテ居ル、事業ガ起ラナイ、商売ガ不振デ困ル、金利ハ益々安クナル、何故ニ此商売ガ繁昌シナイ、工業ガ不振勃起シナイカト云フ疑ガ皆様ニアルヤウデゴザイマス、又ハ当局ノ方ニシテ見レバ最早経済界ハ順境ニ復シタ、追々金利モ安クナツテ、是カラハ商売モ繁昌スル、工業モ発達スルト云ヒマスケレドモ、決シテ此事ハ直ニ起ル訳ニハ行キマセヌト云フモノハ、此戦争前ニハ苟クモ我国ニハ皆金ガアツタ、今日ハ金ガナイ、何故ナイ、ナイコトハナイ、日本銀行ニ一億モアルデハナイカト云フ御論ガゴザイマセウガ、借金ヲシタ金ガ残ツテ居ル、明治三十年カラ今日マデニ二億万円金ヲ借リテ、其金ヲ使ツテシマツテ地カラ湧イテ出タ金デナイカラ此資本ヲ集メルノニドウシタラ宜カラウカト云フニ、外資輸入ト云フコトヲ世間ニ唱ヘラレル人ガゴザイマス、現ニ外資ガ這入ツテ参リマス此高イ外資ヲ入レタ所ガ迚モ国ガ溜ラナイ、何程外資ヲ入レタ所ガ此外資ノタメニ殖産興業ガ起ルト云フコトハナイト思ヒマス、何故トナレハ二億万円ノ外資ヲ入レテ見タ所ガ、ヤハリ資本ハナイ、皆使ツテシマツタ、又今日ノ所モ既ニ海軍ヲ拡張スル、之ハ国力ニ合ハナイ拡張ダト云フコトヲ世ノ中ノ人ガ申シマスガ、之モ海軍バカリデハナイ皆各々ガ拡張シテ居ル、国家ガ文明ニ進ンダ為メニ資本ガナケレバ国力ヲ進メル事ハ出来ナイ、此資本ニ外資ヲ入ルヽト云フコトハ今日マデ考ヘテ居リマスガ此外資デハ資本ニナリマセヌ、今申ス通リ何億万金ガ這入ツテモ皆使ツテシマウ、借金ヲシテハ正貨準備ヲ維持シ、又借金ヲシテ正貨準備ヲ維持スルト云フコトハ遂ニ堪ヘナクナツテシマイマス、此外資ヲ以テ我国資本ニ充テルト云フコトハ大ナル間違ヒデ此民間零砕ノ資金ヲ集メテ之ヲ我邦ノ資本トスレハ所謂ズンズン廻ツテ出レバ又廻ハル、到頭一ツ資本ガ何回モ廻ハル事ニナリマス、外資ヲ入レテ資本ニ充テタノハ恰度親カラ子供ガ金ヲ貰ツテ縁日ニ行テ使ツテシマツタヤウナモノデ、何ニモナラナイカラ、今日ノ場合ノ国家経済ニ対シテハ是ヨリ外ニドウシテモ資本ニナルベキ金ガナイト云フ考デゴザイマスガ、併シ此事柄ニ付キマシテハ三十三年・四年トモ聯合会ノ諸君モ御賛同ノ上デ、既ニ三十四年ノ一月ナドハ今三谷君ガ此
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所ニ御出デナサレルガ、皆サンデ御審議ヲ尽シタ上デ此立派ナル案ガ出来テ居リマスカラ、ドウゾ一ツ此案ヲ此議会ノ開会中ニ是非共諸君ノ御力ヲ以テ此奨励貯蓄ノ方法ヲ実行アランコトヲ希望致シマス、先刻カラ皆サンノ御説ヲ伺ヒマスガ、唯タ此商業会議所ノ聯合会デ決議ヲシテ出セバ出シタ切リデアツテ、今日マデ御都合ノ宜イコトハ採ツテ下サルガ、御都合ノ悪ルイコトハ採ツテ下サラヌト云フヤウナ訳デゴザイマスカラ、此度ノ日清銀行速成ノ件ト此貯蓄奨励ニ関スルコトニ付イテハ、是非共先刻幸ニ委員モ御指名ニナリマシタカラ、彼ノ委員ノ中ヲ以テ一ツ政府ノ手ヲ御調ベヲ願ヒマシテ、飽マデモ之ヲ一ツ本議ニ於テ実行スルコトヲ希望スルノデ、此度ハ真ニ実行ノ出来ベキ実行委員ヲ選定シテ皆サンノ御心配アランコトヲ希望致シマス
○二十六番（栃木、石塚新吾君）　此第四号ノ議案ニ付キマシテハ私モ大体ニ付イテ御同意致シマスノデゴザイマス、唯チヨツト伺ツテ置キタイコトガゴザイマス、ソレハ唯今雨宮サンカラ御述ベノ通リ、既ニ明治三十三年及三十四年ノ聯合会ニ於テ之ヲ決議シテ其筋ニ向テハ建議ヲシテアルケレドモ未ダ実行ヲ見ルニ至ラナイ故ニ、本会ガ尚ホ又之ヲ決議シテ実行ヲ見タイト云フノ御趣意ノヤウデゴザイマス、デ仄カニ私ガ聞ク所ニ拠リマスト、本年ノ此第十七議会ニ向テ政府ハ本案ヲ提出スルカノヤウニ承知致シテ居リマスガ、雨宮サンニ於キマシテハ其辺ノ御調ガドウデゴザイマシタラウカ、ソレヲチヨツト伺ヒタイノデ、尚又此奨励実行ノ方法ノ中ニ予定利率ヲ年五朱トスルト云フコトガゴザイマスガ、現今ノ逓信省テヤツテ居リマスル例ノ郵便貯金ノ利率ハ四朱八厘ニナツテ居ルカト思ヒマス、デ単ニ此割増附ノ貯蓄金ヲ五朱トシマシテ通常ノ方ニハチツトモ之ハ関係ノナイコトデゴザイマスルカ、其辺ヲドウ云フ御見込デゴザイマスルカ、チヨツト伺ツテ置キタイ
○有志十一番（東京、雨宮敬次郎君）　五朱ト申シマスルノハ之ハ敢テ此五朱ヲ以テ何所マデモ廻ハサウト云フ精神デハナクシテ、貯蓄ノ徳ヲ人民ニ承知サセ且又之ヲ誘致スルノハ何故デアルカト云フト、ドウアツテモ此希望、望ミト云フモノヲ附ケナイ限リハ、此貯蓄ト云フモノガ如何ニ親孝行・仁義・五常ノ道ヲ説クト雖モ到底行ケル筈ハナイ所謂無学文盲ノ者ガ沢山アリマスカラ此者ニ衣食ノ途ヲ開ケテヤリタイ、シテ見レバ逓信省ノ現在ノ利ハ四朱八厘デアルモ、奨励金ニハ今ノ御尋ノ五朱ノ高イ利ヲヤルコトニシタラヨカロウト思ヒマス、即チ第一箇年・二箇年・三箇年ハ続イテ一割ヲ与ヘルト云フト、三箇年続イテ三朱三厘トナル、五朱ニ廻ハシタモノヨリ三朱三厘、引キ去リ残リノ一朱七厘ヲ割増シテヤラウト斯ウ云フ趣意デアリマス、尚ホ又二十七番《（六）》サンハ此議会ニハ斯ウ云フ案ガ出ルカト云フ御尋ネデアリマスガ、成程此議会ニ於テサウ云フ案ノ出ルコトモ私モ噂ニ聞キマシタガ此案ト云フモノハ此三十四年ノ一月聯合会ノ立案シマシタ案トハマルデ違ツタ案デ、ソレハドウ云フ案カト云フト、逓信省ノ貯金高カ一ケ年通シテ一千万円トナツタトキニハ之ヲ四朱八厘ノ利息ニ廻ハシテ、ソレヲ貯蓄主ニハ四朱二厘デ渡スト云フコトニナリマシタ、之ハ間接ニ聞イタノデアリマスガ、サウスルト一箇年一千万円ヲ貯蓄シタ人々
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ニ対シテ六万円ノ金ヲ抽籖法デ割増ヲシテ呉レルト、斯ウ云フ話デゴザイマスカラ、ナイヨリカ宜イケレドモ、三十四年ノ一月ノ聯合会デ私ノ申シ上ゲマシタコトハ何ノコトハナイ、百万円ノ貯蓄金ガ出来タナラバ拾万円ヲ奨励金ニヤツテシマツテ、アト九拾万円ヲ五朱ナリ六朱ニ廻ハシテ、廻ツタダケノモノニ対シ年一朱デモ貯蓄金ニ廻ハシテヤリマスレバ、之カ奨励トナルコト一箇年ニ日本国中ヲ通ジマスレバ一億万・二億万デモ貯蓄金ガ集マルノデアル、私ノ言フヨリ二十倍モ奨励金ガ少ナイ、ソレデハ少ナイカラ今日デハ百万ノ貯蓄金ヲ寄セタナラバ拾万ヲヤツテシマウヤウニシタイ、サウスルト或ハ富籤ダ、或ハ何ダト云フヤウナ譏リモナクテ、此奨励金ノ為メニハ所謂購買力ヲ減殺シテ、おさんどんデモ何デモ、四反モ五反モ反物ヲ買ウ者ガ一反買ヘバ済ンデ、跡トハ残ラズ貯蓄スル、其他酒ヲ飲ム者モ刺身ヲ食ウ者モ皆貯蓄スルト云フ精神ヲ起ス、子供ガ学校ニ行ツテモ其通リデ、シテ見レバドウシテモ今日ノ場合ニハ急激ノ時ニハ急激ニ所スルヨリ仕方ガナイカラ、此明治三十四年一月ノ此案ヨリモモツト急ニシタイト云フ私共ノ考デアリマス、ト云フモノハ今松方サンガ欧羅巴カラ御帰リニナリ話ヲ伺ツテ見ルト、マルデ平和ノ戦争ノ如ク己ノ国ノ金貨ヲ維持スル為メニハ官民挙ツテ齷齪シテ居ル、平和ノ戦争デアル、日本ハ其仲間入リヲシテ居ツテ一ツモ戦ハヌデ負ケテバカリ居ル、何故ト云フト関税ト云フモノニ負ケテ居ル、買ヒタイ程買ヒ、使ヒタイ程使ウト云フ方法ニ出来テ居ル、今日ハドウアツテモ之ヲ縮メルコトハ出来ナイ、ソレヘ持ツテ行ツテ外資ヲ持ツテ来テ使ハセル、使ツテシマヘバ幾ラ入レテモ借金ガ残ルノデ、最早今日ハ外資ヲ入レナイ方ガヨイ、今日ノ如キ高イ外資ガ這入ツテハ到底此国ヲ保ツコトハ得ラレナイト私ハ考ヘテ居ル、ドウシテモ外資輸入ハ断念シテシマツテ、貯蓄金ヲ沢山拵ヘテ人民ノ購買力ヲ減ジナケレバナラヌ、此事ハ種々反対モゴザイマセウガ、ドウ考ヘテモ牛ニ引カレテ善光寺参リ、慾ガナケレバ何ニモ出来ナイ、討死ヲスルノモ死ンデノ後ノ名誉ト云フノガアルカラスルノデアルガ、ソレモ何モ知ラヌ者ニ唯タ勤倹貯蓄ヲセヨト云フテモ効ハ薄イ、所謂強慾非道ノ老婆デモ反物一反惜シイタメニ牛ニ引カレテ善光寺参リト云フコトガアルノデ、実ニ衣食足ツテ礼譲起ルノ人間ガ出来ルコトニナル、ソレモ何モヤラヌデ貯蓄セイト云フテモ迚モ行ハレヌ、之ガ行ハレタナラバ最早日本ノ国ノ資本ト云フモノハ憂フルコトハナイ、外資モ宜イ、高クモ四朱・三朱ト云フ外資ヲ入レヽバ宜イガ、戦争ヲシテ取ツタ金デモ唯タ使ツテシマウ、安利ノ金デモ使ツテシマウカラ、ドウシテモ貯蓄奨励金ヲ与ヘテ貯蓄金ヲ集メテ、ソレヲ商工業ノ資本ニスルヨリハ途ガナイト思ヒマス、二・三年此方二億万円ノ外資ヲ入レタ為メニ貧乏ニ貧乏ヲ重ネテ、鉄道モ河川ノ改築モセズニ、昨年カラ一昨年ト掛ケテ食ヒ延バシタ金ガ一億万近ク日本銀行ニ通貨ガ溜ツタ、之ヲ以テ見タ所ガイツデモ食ヒ延バシテ居ラレナイ、最早来年ニナレバ着物モ着マス、砂糖モ嘗メマス、ドウ考ヘテ見テモ二億万借金シテ一億万アルト云フノデハ、一億万足ラナクナツテシマツタ勘定デアル、金ガ余ツテ居ルヂヤナイカト有力ナ方ガ仰シヤルケレドモ、借リタ金ガ残ツテ居ル、ソレ故ニ商工業ノ不
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振ノ病源ハ此所ニ在ル、ドウシテモ貯蓄ヲセネバ此国モ最早商工業ヲ発達サシテ往クト云フコトハ決シテ出来ナイト思ヒマスカラ、ドウゾ一ツ皆サンモ御賛成ヲ下スツテ、是非共此当路者ニ向ヒマシテ先刻願ヒマシタ委員ノ五名ノ諸君ニ御願イヲ致シマシテ、ドウゾ一ツ本議会ニハ今回ノ政府ノ腹案ノヤウナ千万円ノ貯金ニ対シ六万円ヲ春秋二期ニ分ケテヤルヤウナ訳デハ到底此大病ハ補ウコトハ出来マセヌカラ、ドウゾ百万円寄リマスレバ拾万円ハ直グ貯蓄割増ノ方法ヲ立テヽヤルト云フ方ニスルコトヲ希望致シマス
○二十四番（静岡、森田勇次郎君）　唯今ノ御発議ハ至極結構ナコトヽ思ヒマスカラ、其筋ヘ建議スルコトニ私モ希望致シマスル、其事ニ早クドウカ議事ノ御進行ヲ願ヒマス
○三十四番（大阪、法橋善作君）　本案ハ即チ昨年ノ聯合会ニ於テ一度ビ議了ヲシテ各大臣ヲ訪問ヲシテ陳情致シタコトノアル案デゴザイマスルノデ、要スルニソレヲ遂行シテ事実ニ行ヒタイニ外ナラヌト思ヒマス、就キマシテハ稍々似寄ツタヤウナ経済問題デ先程五名ノ委員ガ御指定ニナツテ居リマスカラ此案モ一ツ其ニ付託シマシテ、貯蓄ト云フコトニ対シテハ何人モ異存ハアリマスマイ、亦唯方法如何ト云フコトヽ、ソレカラ時機ガ行フ時機デアルカナイカト云フコトダケノ事柄ト思ヒマスカラ、デドウゾ之ヲ提出致シマスルカラニハ、一日モ早ク行ハレルコトノ方針ヲ執ラネバナラヌト思ヒマスカラ、一ツ前ノ五名ノ委員ニ付託シテ充分御審査ヲ仰ギ、又序ナガラ当局者ノ意見ヲ探リ得ラルヽコトハ探ツテ、報告ノ上デ決議スルト云フコトガ宜カラウト思ヒマス
○会長（東京、渋沢栄一君）　唯今三十四番サンノ御発議ハ詰リ此提出者ノ御意見ト稍々同一ノヤウニ聞キマスガ、別ニ御説ガゴザイマセネバ今ノ三十四番ノ動議ニ対シテ決ヲ採リマス
　　　（「賛成、々々」ト呼ブ者アリ）
○会長（東京、渋沢栄一君）　サウスルト日清銀行速成ノ件ニ対シテ五名ノ委員ガゴザイマスルカラ此五名ノ委員ニ付託シテ、サウシテ当局ノ今此問題ニ付テ如何ナル方針ヲ執テ居ルカト云フコトヲ承リ定メテ其模様ニ依リマシテ更ニ建議スルニモ斯ウ云フ細カイ建議ヲスルトカ又斯ウ云フ粗ホイ建議ヲスルトカ云フコトハ言ヘヌカラ、其委員ノ報告ヲ待ツテ議決スルト斯ウ云フコトニナリマス、此案ニ御同意ノ方ハ起立ヲ願ヒマス
　　起立者　　多数
○会長（東京、渋沢栄一君）　多数デゴザイマス

明治三十五年十二月開設
臨時商業会議所聯合会議事速記録　　第一三二―一三七頁　刊
明治三十五年十二月十日午前十時三十五分開議
　　出席委員　　　　　二十七名　○氏名略
○会長（東京、渋沢栄一君）　○中略　ドウゾ大蔵大臣御訪問ノ諸君カラ御談話ノ御模様ヲ御報告下サリマシテ、昨日御付託ノ任務ヲ御果シ下サルヤウニ願ヒマス
○三十二番（京都、中村栄助君）　日清銀行ト貯蓄奨励法ノ事ニ就キマ
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シテ御付託ニナリマシタ委員ハ、昨日此会議散会後ニ大蔵大臣ノ官邸ヲ訪問致シマシテゴザイマス、所ガ昨日ハ余程大臣モ多忙ノ御様子デゴザイマシテ既ニ面会ノ謝絶モ一応サレタ位デゴザイマスガ、押シテ面会ヲ致シマシタヤウナコトデ、充分ニ尽シテ質問等又ハ希望ヲ述ヘルコトガ出来ナカツタノデゴザイマス、唯其時ノ概要ヲ御報告ヲ致シテ、尚ホ吾々委員ニハモウ一応主務ノ方ニ会ヒマシテ充分項目ニ至ツテモ質問ヲ致シ、其模様ニ依リマシテハ尚ホ再度御報告致スコトニ致シタイト云フ考モ持ツテ居リマス、去リナガラ唯今既ニ此問題ガ上ボリマシタ以上ハ、唯今ダケノ御報道ヲ申シ上ゲマスガ　○中略　此貯蓄奨励ノ事ニ就キマシテハ無論政府ニ於テモ本年度ノ議会ニ於テヤリタイ積リデアル、併シナガラ未ダ奨励法ト云フモノニ就テハイロイロ議論ガアツテ決定シテ居ラヌ、唯今貯蓄銀行ノ規則ニ就テハ大ニ改正ヲスル考デ極ツテ居ル、又此貯蓄ノ事ニ付テ所謂国立ノ貯蓄銀行ナルモノモ立テルト云フコトニハ極ツテ居ル、唯其奨励ノ方法ニ付テハ未ダ極ツテ居ナイカラ何トモ今御話スルコトハ出来ナイ、極ラナイノデアルト云フコトデゴザイマシテ、唯此点ニ至テハ遺憾ナガラ十分ニ極ツテ居リマセヌタメニ、イロイロ大蔵大臣ノ意見ヲ御尋ネ申シテモ、自分ノ意見モマダ行ハレルヤ否ヤ分ラヌ位デアルト云フコトデアリマスカラ一応唯コチラノ希望ヲ述ベテ置キマシタヤウナコトデゴザイマス、誠ニ尽サヌ所ノ漠然トハシタコトデゴザイマスケレドモ、以上述ベマシタ事柄ガ即チ昨日大蔵大臣ヲ訪問致シマシタ顛末デゴザイス、是ダケ御報告申上ゲマス
○有志十一番（東京、雨宮敬次郎君）　唯今委員ノ御報告ヲ伺ヒマシテゴザイマスガ能ク了解致シマシタガ、此日清銀行ニ就キマシテハ既ニ政府ハ一両日中ニ活版ニ出シテ諸君ニ知ラセルコトニシヤウ、又貯蓄奨励ノ事ニ就キマシテハ政府ハ貯蓄銀行条例ヲ改正シ且又貯蓄銀行ノ設立モ此計画中デアルガ、其奨励法ノコトニ付テハマダマダドチラニモ決定シナイト云フ御報告デアリマシタガ、此御報告ニ付キマシテ昨日モチヨツト申上ゲテ置キマシタガ、何分ニモ此貯蓄奨励ノ事ト云フモノハ何度申シテモ同ジコトデアリマスガ、幾ラ良イ事ヲセイト申シテモ望モナイ事ニハ決シテ是ガ行ハレルモノデハナイ、唯有名無実デ言葉ノ上デハ貯蓄ハ良イ事デアルト云ツタダケノコトデ決シテ貯蓄スル者ガゴザイマセヌ、唯此奨励ノ宜イト宜カラザルトニ依ツテ此目的ヲ達セラレルモノデアラウト思ヒマスカラ、是非共此奨励法ハ此聯合会ニ於テ三十三年ノ五月ニ制定サレマシタ方法ヲ実行アランコトヲ諸君ニ望ンデ、委員諸君ニハ大蔵大臣ヘ此事ヲ御上申下サイマシテ、是非共此聯合会デヤリマシタ三十四年ノ一月ノ臨時会ノ決議ニ依ツテ実行アランコトヲ、尚ホ諸君ニ於テドウゾ大臣ヘ御同意ヲ求メラレンコトヲ希望致シマスルノデアリマス、此方法ハ兼テ御承知デゴザイマセウカ存ジマセヌガ、昨日御手許ヘ差上ゲマシタ議案ノ主意ト少シモ違ヒマセヌデゴザイマスカラ此方法ナレバ宜シクゴザイマスガ、或ハ一千万円デ昨日申上ゲタ六万円ノ春秋二期ノ奨励金ハ少シ少ナイコトヽ思ヒマスカラ、是非共十分ナル奨励法ヲ行ハムコトヲ希望致シマス、諸君ヨリ宜シク大蔵大臣ニ御上申ヲ願ヒマス
 - 第22巻 p.872 -ページ画像 
○三十五番（大阪、三谷軌秀君）　先刻三十三番《（二）》カラ御報告申上ゲマシタ件ハ又重ネテ訪問シヤウト云フコトニ委員中デナツテ居ルノデ、明日先ヅ会ヘルカ会ヘヌカ分リマセヌガ、モウ一応当局者ニ訪問ガ出来ルナラバ訪問シテ精シイ事ヲ陳情シテ、委員ノ考ヲ定メテ明日御報告致シタイト考ヘル、サウ致シマスルト本日此問題ニ付テハドウスルカト云フコトヲ議スルノハ少シク場合ヲ得ナイカト思ヒマスカラ、明日マデ御延期ヲ願ヒタイト思ヒマス　○中略
○会長（東京、渋沢栄一君）　全会ニ御相談シマスガ、大分他ノ諸君ガ御退席ニナリマシテ議員ノ数モ少ナクナツタヤウデゴザイマスガ、明日ヤハリ例刻カラ開クトシタナラバ、大抵明日中議了シ得ラレマセウガ、今日ハ是マデデ止メマセウカ、今御聴キノ通リ、此日清銀行ノ件若クハ貯蓄奨励ノ件ニ就テハ委員ノ御報告デハマダ主務大臣ノ意嚮ヲ極ク細密ニ突止メタトハ申サレヌ、併シ大体ノ事ハ斯々デアルト云フ御報道デ、之ニ依テ斯ル処置ヲシテ行ツタラ宜カラウト云フ御立案ガ出来ヌコトハナカラウト思フ、去リナガラ若シ満足ヲ得ルナラバモウ一応御会見ノ上確カノ所ヲ突止メタ上、斯ク斯クデアルカラ本案ニ就テハ斯様ニ処置シテ行ツタラ宜カラウト云フコトガアツタラ尚ホ満足デアラウト思ヒマス

明治三十五年十二月開設
臨時商業会議所聯合会議事速記録　　第一九四―一九六頁　刊
明治三十五年十二月十一日午前十時四十分開議
　　出席委員　　　　　二十四名　○氏名略
○上略
○副会長（東京、馬越恭平君）　コレヨリ貯蓄奨励ノ件ノ継続議事ヲ開キマス
　　　（書記朗読）
○三十五番（大阪、三谷軌秀君）　今報告致シマシタ委員会ノ決議ノコトニ付イテ委員会ノ取調ベマシタ結果、且ツ玆ニ修正案ヲ提出シマシタ理由ヲ簡単ニ申上ゲマス、貯蓄奨励ノコトニ付キマシテハ当局大臣ニ就キイロイロ取調ベマシタガ、政府ニ於テモ貯蓄奨励ニ付イテハ決シテ忽ニスベキ問題デナイ故ニ、種々計画シテ居ルコトカアルサウニゴザイマス、併シ其政府ノ計画シテ居ル事柄ガ未ダ確定シテ居ラヌ、従ツテ今期ノ議会ニモ出ルカ出ヌカ、今日ノ所デハ断言ハ出来ヌト云フヤウナ次第デゴザイマス、併シ何モシテ居ラヌカト云ヘバサウデハナイ、方法モ種々考案モシ案モ出来テ居ル、貯蓄奨励ノ機関ヲ設ケルト云フヤウナコトガ新聞上ニモ出テ居リマシタガ、貯蓄銀行ト云フモノヲ、モウ少シ大キナモノニシテ、営利ヨリモ慈善ヲ目的ニスル如キモノヲ拵ヘテ見タイト云フ考案モアリ、種々計画シツヽアルト云フコトデスガ、未ダ何レトモ確定シマセヌカラ、従ツテ実行ノ方法モ極マツテ居ラヌ、ソレカラ曩ニ聯合会ニ於テ決議シマシテ意見ヲ出シタ郵便貯金奨励的ノ事柄モ、是ハ逓信省ノ方ハ聞キマセヌデシタカラ、逓信省ノ方ハドウ云フ調ヲシテ居ルカ分リマセヌガ、之ヲ行フコトニナレバ財政ノ方ニ関係シマスカラ何カ大蔵省ノ方ニ交渉ガアルダラウト考ヘマシテ、大蔵省ノ方ニ問合ハセマシタ所ガ、未ダ逓信省ノ方カラ
 - 第22巻 p.873 -ページ画像 
何等ノ交渉モナイト云フコトデアリマシタガ、大体貯蓄ヲ奨励スルト云フ事柄ニ付イテハ政府モ同意デ、本会ガ屡次決議シタコトデ異存ノアルベキ筈ハナイ、唯タ各大臣ニ建議スルコトノ下ニ、特別貯蓄銀行ノ設立及郵便貯金中抽籤奨励金付貯金ノ法ヲ設ケ、又其他奨励ノ方法ヲ設ケラレタイト云フ要望ノ文句ヲ加ヘタラドウデアラウカト云フコトカラ、玆ニ数文字ノ修正ヲ加ヘタノデゴザイマス、玆ニ云フ貯蓄ト云フノハ、今政府ガ計画シツヽアル銀行ハ是非設立セラレンコトヲ望ム、則チ之ガ出来ルノハ頗ル宜イデハナイカ、又郵便貯金中抽籤奨励金付貯金ノ方法ヲ設ケラレタイ、其他奨励ト云フ事柄ハ大蔵省ノ方デ目下計画シツヽアル所ノ貯蓄奨励ノ一ツノ銀行以外ニ別ノ機関ヲ設ケルト云フヤウナ計画モアルヤウデアリマスカラ、此計画モ貯蓄ヲ奨励スルノニ極メテ必要デアル、又曩ニ聯合会ノ決議ノ場合ニモ此事ガ決議シテアリマスル、兎ニ角奨励機関ヲ設ケルト云フコトガ宜カラウト云フコトカラ、此三ツノ意味ヲ加ヘタノデアリマス、是ガ委員会ニ於テ修正ヲ加ヘタ所ノ要旨デゴザイマス、ドウカ満場ノ御賛成ヲ得テ可決セラレンコトヲ希望致シマス
　　　（「賛成、賛成」ト呼ブ者アリ）
○副会長（東京、馬越恭平君）　唯今委員長ノ御報告ガゴザイマシテ、賛成ト云フ御声ガ出マシタガ、別ニ御異議ガナケレバ可決シテ宜シウゴザイマスカ
　　　（「異議ナシ」ト呼ブ者アリ）
○副会長（東京、馬越恭平君）　然ラバ満場一致デ可決致シマス
○有志十一番（東京、雨宮敬次郎君）　サウスルト是ハ委員ノ名儀デナク、本会々頭・副会頭ノ名儀ヲ以テ御出シニナリマスカ
○三十五番（大阪、三谷軌秀君）　此手続ハドウナツテモ本員ハ異存アリマセヌガ、何レ各会議所ノ方カラ出スコトニシテ、聯合会ノ決議トシテハ是マデ覚書トシテ当局者ノ方ヘ会長カラ廻ハサレタコトモアリマスカラ、サウ云フ風ニ取計ツテ戴キタイ、サウシテ更ニ各会議所デ相当ノ文式ヲ具ヘタ案ヲ拵ヘテ意見開申書ヲ出スコトニ致シタイト考ヘマス
○有志十一番（東京、雨宮敬次郎君）　各会議所カラ文案ヲ具ヘテ建議スルノデスカ
○三十五番（大阪、三谷軌秀君）　サウデス
　　○本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治三十三年六月五日、同三十四年二月六日、同年九月十五日、同年十一月八日ノ各条参照。