デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
1款 鉄道会議
■綱文

第23巻 p.137-140(DK230022k) ページ画像

明治27年6月19日(1894年)

是日栄一、栄一外九名連署セル北陸鉄道支線調査ノ件ヲ当会議ニ建議シ、説明ス。


■資料

第四回鉄道会議議事速記録 第一二号 明治二七年六月一九日(DK230022k-0001)
第23巻 p.137-139 ページ画像

第四回鉄道会議議事速記録  第一二号 明治二七年六月一九日
 明治二十七年六月十九日(火曜日)午後一時三十三分開議
 - 第23巻 p.138 -ページ画像 
    出席
  議員  松本荘一郎  渋沢栄一 ○外十六名氏名略

   〔書記建議案ヲ朗読ス〕
    北陸鉄道ノ森田若クハ金津ヨリ分岐シ三国港ニ至ル支線調査ノ建議案
 北陸鉄道敷設ニ付テハ、其線路越前国三国港ヘ聯絡スルハ、同地方ノ殖産運搬上ニ於テ大ニ利益ヲ見ルノミナラス、本鉄道ノ経済ニモ亦損スルコトナキモノト信シタルニ付、曩ニ本員等ハ右線路聯絡ノ為メ、実地ノ調査アランコトヲ建議セシカ、頃日当局者ヨリノ報告ニヨレハ、地形上水害多キニ因リ敷設工事ニ困難アルヲ以テ、右聯絡ノ設計ハ難敷趣ニテ、頗ル失望ニ堪ヘサルナリ、然レトモ三国港ノ越前ニ於ケルハ殆ント北陸中百貨聚散ノ要地トモ称スヘキモノナルヲ、本鉄道ニシテ此要地ニ聯絡セサルハ、該地方ノ富源ヲ開発スルニ於テ大ニ憾ナキ能ハサルニ付、願クハ更ニ簡約ノ設計ニ拠リ、支線ヲ設置スルノ目的ヲ以テ、当局ニ於テ調査ヲ遂ケラレ、果シテ相当ノ見込アルモノトセハ、北陸鉄道ノ支線トシテ建設スル企図ヲ立テラレンコトヲ建議ス
 右発議ス
  明治二十七年六月十九日
                       渋沢栄一
                       小室信夫
                       佐藤里治
                       若尾逸平
                    子爵 堀田正養
                       田村太兵衛
                       村野山人
                       望月宇内
                       伊藤大八
                       箕浦勝人
    議長 川上操六殿
○二十二番(渋沢栄一) 唯今建議致シマシタ主意ヲ一応申上ゲテ置キマス、此聯絡ノコトニ就キマシテハ、嘗テヨリ私ハ希望シテ屡々其説ヲ述ベマシタガ、遂ニ其説ガ成立チマセン、先頃調査ニ意見ヲ同ウスル人達ト共ニ建議致シマシテ成立チマシテ調査ヲ得マシタケレドモ、其調査ノ結果、営業上ニ就イテ若クハ敷設ノ工事ニ就イテ、えらひ困難ト云フデハ無イガ、唯水害ガ至ツテ気遣ハシイ、水害ヲ十分避ケ得ル鉄道ニスルニハ甚ダ敷設ガ困難デアルダラウ、之ヲ敷設スルト水害ニ向ツテ地方ノ苦情ヲ惹起ス故ニ、到底見込ハ確ト申サレン趣デ、御報告デゴザイマシタ、併シ線路ノ設計上ニ就テハ、之ヲ聯絡サセルノ果シテ不利益デアルト云フ点ハ、一モ見エマセヌト云フヤウニ言ハレタ、兎ニ角水害ノ為ニ聯絡ヲ欠クト云フ御報告ノ要点デアツテ、寔ニ止ムヲ得ナイ次第ト御報告ヲ拝聴シタノデアリマス、右ニ付然ル上カラハ線路ヲ廻ハシテ聯絡ヲナシ得ラレルヤウニシテ、彼レ丈大層ナ港
 - 第23巻 p.139 -ページ画像 
……デモゴザイマセヌガ、三国港ノ如キ貨物集散ノ必要ヲ告ゲル、此処ヘ聯絡ヲ始終失フト云フコトハ経済上カラ考ヘルト、本鉄道ガ甚ダ関聯ヲ欠クト考ヘル、越前地方トカ随分今申ス殖産運搬ノ利益ヲカケル所モアルト思ヒマスカラ、今申シマシタ建議ヲ出シマシタ次第デアリマス、自然敷設スルニ於テハ収支償フコトデアルトモ考ヘマスニ依ツテ、自然設置ノ見込ヲ以テ再調査アランコトヲ建議致シタ次第デゴザイマス、ドーゾ諸君モ御判断ヲ下サレンコトヲ希望致シマス
○議長(鈴木大亮) 次ノ会議ハ明後日矢張リ午後一時カラ願ヒタウゴザイマス、今日ハ是デ散会致シマス
  午後六時十分閉会
   ○右ハ前日六月十八日ノ会議ニ於テ、嚮ニ第三回鉄道会議ニ於テ栄一外十名ヨリ提案セル北陸線路再画定建議(三国迂回線採用建議)ヲ可決、逓相ニ上レルニ対シ、政府ハ再調査ノ結果其必要ヲ認メザル旨報告アリタルヲ以テ、再ビ形式ヲ変ヘ迂回線トセズ三国港支線トシテ敷設ヲ再建議セルモノナリ。本款明治二十七年一月十七日ノ条参照。
   ○明治二十七年六月二十一日ノ会議ニ於テコノ建議案ハ出席議員ノ過半数ヲ以テ可決セラル。是日栄一発言ナシ。(議事録ヲ略ス)而シテ右建議ハ後久シク鉄道庁ノ実施スルトコロトナラズシテ推移シ、明治四十四年十二月ニ至リ三国・金沢間支線五哩三十二鎖開通、更ニ大正三年三国港駅マデ延長シテ海陸ノ連絡成ルニ至レリ。(日本鉄道史下篇第八八頁)
   ○第四回会議ハ六月二十一日ヲ以テ閉会、是年八月二十三日鉄道会議規則改正セラレ栄一等解任セラル。



〔参考〕官報 第三三四七号 明治二七年八月二四日 【朕鉄道会議規則ノ改…】(DK230022k-0002)
第23巻 p.139-140 ページ画像

官報  第三三四七号 明治二七年八月二四日
朕鉄道会議規則ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  明治二十七年八月二十三日
           内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
           逓信大臣   伯爵 黒田清隆
勅令第百五十三号
    鉄道会議規則
第一条 鉄道会議ハ逓信大臣ノ監督ニ属シ、鉄道敷設法第十五条ニ掲クル事項ヲ審議シ、及鉄道ニ関スル事項ニ就キ、逓信大臣ノ諮詢ニ応シ、意見ヲ開申スルモノトス
第二条 鉄道会議ハ鉄道ニ関スル事項ニ就キ、主任各省大臣ニ建議スルコトヲ得
第三条 鉄道会議ハ事務整理ノ為メ規則ヲ議定シ、逓信大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第四条 鉄道会議ハ議長一人・議員二十人以内ヲ以テ之ヲ組織ス
 逓信省高等官四人、陸軍省及参謀本部高等官二人、内務省・大蔵省海軍省・農商務省高等官各一人ハ議員ニ加フヘキモノトス
第五条 特別ノ事件ヲ審議スル為ニ、臨時必要ノ場合ニ於テ前条定員ノ外臨時議員ヲ命スルコトヲ得
第六条 議長ハ勅任官ヲ以テ之ニ充ツ
 - 第23巻 p.140 -ページ画像 
 高等官ノ内ヨリ命スヘキ議員ハ所属大臣ノ奏請ニ依リ、其ノ他ノ議員及臨時議員ハ逓信大臣ノ奏請ニ依リ、内閣ニ於テ之ヲ命ス
第七条 議長ハ議事規則ニ依リ、議事ヲ整理シ、会議ノ決議ヲ逓信大臣及主任各省大臣ニ具申ス
第八条 議長事故アルトキハ其ノ指名シタル議員ヲシテ事務ヲ代理セシム
第九条 鉄道会議ニ幹事一人ヲ置キ、逓信省高等官ヲ以テ之ニ充ツ
 幹事ハ議長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第十条 議長・議員及幹事ニハ一箇年五百円以内、臨時議員ニハ事件ノ軽重ニ応シ、其ノ都度相当ノ手当ヲ給スルコトヲ得
第十一条 鉄道会議ニ書記ヲ置ク、議長及幹事ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
 書記ハ逓信属ヲ以テ之ニ充ツ
第十二条 書記ニハ一箇年二百円以内ノ手当ヲ給スルコトヲ得
  附則
第十三条 従前ノ議長・議員及臨時議員ハ、別ニ辞令ヲ用ヒス本令施行ノ日ヨリ其ノ任ヲ解カレタルモノトス
勅令第百五十三号参照
  法律第四号鉄道敷設法(明治二十五年六月二十一日官報)抄録
 第十条 政府ハ第一期ニ敷設スヘキ鉄道線路ヲ実測シ、毎線路ノ工費予算ヲ定メ、帝国議会ノ協賛ヲ求ムヘシ
 第十五条 政府ハ鉄道会議ニ諮詢シテ左ノ事項ヲ施行ス
  一鉄道工事著手ノ順序
  一第十条ノ決定ニ基キ、鉄道工事ノ都合ニ依リ、其ノ都度募集スヘキ公債金額
   ○栄一ノ臨時議員解任ニ就イテハ右勅令以外資料ヲ欠ク。