デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
2款 鉱業諮問会
■綱文

第23巻 p.151-158(DK230025k) ページ画像

明治25年9月20日(1892年)

是日ヨリ十月一日迄鉱業諮問会農商務省ニ於テ開カル。栄一、東京商業会議所ヲ代表シテ之ニ参会シ、討議ニ加ハル。


■資料

東京経済雑誌 第二六巻第六四〇号・第三七八頁 明治二五年九月一〇日 ○鉱業家諮問会(DK230025k-0001)
第23巻 p.151 ページ画像

東京経済雑誌  第二六巻第六四〇号・第三七八頁 明治二五年九月一〇日
    ○鉱業家諮問会
農商務省にては、今度各府県より出たす鉱業家一名宛に、帝国大学冶金学教授・鉱山局官吏・鉱山監督所技師・商業会議所員、及古川・三井・住友の三家より出だす可き委員等四十余名を以て鉱業諮問会を開くに決し、委員は来る十五日までに上京し、諮問会は二十日より開く筈なるが、其問題の重もなるものは、鉱業条例の或る部分に不完全を感ずる時は之を改正する事、鉱業家は組合規約を設け従来の悪慣習を矯正する事、従来海外へ一度石炭を輸出し好結果を得たる時は、次回には粗悪品を輸出し、為めに信用を失すること少なからす其予防法等にして、右の事務打ち合せの為め田中大坂・小花秋田の鉱山監督署長は既に上京したるよしなり


東京商業会議所月報 第一号・第一―六頁 明治二五年九月 【○同月同日 ○八月二六日午後六…】(DK230025k-0002)
第23巻 p.151 ページ画像

東京商業会議所月報  第一号・第一―六頁 明治二五年九月
○同月同日 ○八月二六日午後六時、東京銀行集会所ニ於テ臨時会議ヲ開ク、当日出席会員ハ二十八名ニシテ、左ノ議案ヲ審議シ、午後九時散会ス其議決ノ要領ハ左ノ如シ
○中略
    ○第七号議案
今般西村農商務次官ヨリ鉱業諮問会開設ノ義ニ関シ左ノ通リ照会アリタルニ付、会員中ヨリ右諮問会ヘ列席ノ為メ一名ヲ撰挙スル事
(参考)本年九月二十日ヨリ左ノ件々ニ関シ当省ニ於テ鉱業諮問会相開候ニ付、貴所ヨリ一名御人撰ノ上右諮問会ヘ列席相成候様致度、大臣ノ命ニ依リ此段小官ヨリ及御照会候也
 一鉱業人組合ニ関スル件
 一海外ヘ輸出ヲ目的トスル鉱業生産物ニ関スル取締及保護ノ件
 一鉱業条例修正ノ件
  明治廿五年八月八日     農商務次官 西村捨三
  東京商業会議所会頭
    渋沢栄一殿
  追テ右人撰ノ上ハ其氏名前以テ御通知相成度此段申添候也
本案ハ全会一致ニテ会頭渋沢栄一君ヲ推撰スルコトニ決ス


第二回東京商業会議所事務報告 第二七頁 明治二六年四月刊(DK230025k-0003)
第23巻 p.151-152 ページ画像

第二回東京商業会議所事務報告  第二七頁 明治二六年四月刊
一鉱業諮問会ヘ会員一名列席ノ儀ニ付キ農商務次官ヨリ照会ノ件
 - 第23巻 p.152 -ページ画像 
 本件ハ明治二十五年八月八日附ヲ以テ西村農商務次官ヨリノ照会ニ係リ、其要旨ハ鉱業条例ノ修正外二件ニ関シ同年九月二十日ヨリ農商務省ニ於テ鉱業諮問会ヲ開設スルニ付、本会議所会員一名列席アリタシト云フニ在リ、依テ同年八月二十六日第十四回ノ臨時会議ニ附シタルニ、渋沢栄一君委員ニ当選シ、其後該会議ニ参席シタリ


東京経済雑誌 第二六巻第六四二号・第四五四―四五五頁 明治二五年九月二四日 ○鉱業諮問会(DK230025k-0004)
第23巻 p.152-153 ページ画像

東京経済雑誌  第二六巻第六四二号・第四五四―四五五頁 明治二五年九月二四日
    ○鉱業諮問会
兼て報道せし鉱業諮問会は愈よ開かれたり、開会の当日後藤伯演説して曰く
 鉱業は国家経済上重要なる物産にして、殊に近年其発達著しく益増進するの情況なるを以て、当省は斯業を保護奨励し益其隆盛を期せんとす、今回諸君を労して三件の問題に就て諮問せんと欲するも蓋し此意に外ならざるなり
 当省より委員として諮問会へ和田鉱山局長、小花・田中両鉱山監督官を差出すに付、諮問案の説明及諸君の説に就ての質問等は右委員等に於て担任すべし、本会は諮問に止まるものなり、去りながら諸君に於ては腹蔵なく意見を述べられ互に利害を討究せんことを望む本会の整理は諮問員諸君に於て協議の上定められ、其開会の期日は一週日乃至十日以内を期し議了せられたし、玆に諸君遠来の労を謝し併せて本大臣の希望を述ぶ
其の所謂三件の問題とは左の如し
    鉱業組合設置の件
 従来農商工業に関しては同業組合準則あり、又蚕糸業・漁業・茶業の如き重要なるものに就ても各特別の組合規則若くは準則あり、同業者は之に基て各其組合を設置し今や漸次に其整理を告け各業のために便益を与へたるは事実疑ふへからす、然るに鉱業は国家経済上最も重要の位置を占むる産業の一にして、殊に近年其発達著しく尚益々増進するの情況なるに拘はらす、今日に至るまて未た之に関する特別の組合規則なきのみならす、鉱業者か一般の準則に基き設立したる組合も亦甚た少なく、殆んと箇々独立の情況なるは鉱業の発達上或は不利なきを得す、故に鉱業者か共同して組合を組織し、鉱業に関する諸般の事項を協議し、相互に幇助するの機関となさは、一般鉱業者の便益決して少しとせさるへし、果して然りとせは、特に鉱業組合のために新に法令を発布するの必要ありや、或は同業組合準則に基きて組合を設置するを以て足れりとするか、若し特に法令を発布するの必要ありとすれは、之に規定すへき事項如何
    海外輸出を主とする鉱業保護の件
 本邦産出の鉱物中石炭・銅・硫黄・安質母尼・満俺の如きは海外輸出を主とするものにして、就中石炭・銅の如きは最も重要なる者とす、然るに其営業者中には或は不良品を混合して品質を詐り為めに外人の信用を失し、或は競争の極値崩しをなし為めに自家の損失を来すのみならす同業者の利益を害する等の弊害ありて、常に本邦品の価値は外国品に比し品質に相当する価格を得る能はさるの実況を
 - 第23巻 p.153 -ページ画像 
呈するに至れり、此種の弊害は同業組合を設け其規約に依り同業者を撿束するか、若くは其他の方法に拠り之を矯正し、海外輸出の鉱業を保護するの必要あるものゝ如し、果して然らは其方法如何
    鉱業条例改正の件
 鉱業条例は実施以来日尚浅く未た充分なる経験なかるへしと雖鉱業人中既に其改正の必要を唱道するものあり、果して該条例は今日既に改正するの必要ありや、若し然りとせは改正を要すへき事項如何
鉱業条例中には改正を要する箇所あるべし、然れとも前二件の如きは法令の以て干渉すへき所にあらず、而して委員諸氏亦た既に法令を発布して組合を設立せしむるの必要なきを議決せり


東京商業会議所月報 第五号・第三頁 明治二六年一月 【○同月同日 ○二五年…】(DK230025k-0005)
第23巻 p.153 ページ画像

東京商業会議所月報  第五号・第三頁 明治二六年一月
○同月同日 ○二五年一二月一二日午後五時、東京銀行集会所ニ於テ臨時会議ヲ開ク、当日出席会員ハ二十九名ニシテ、本議ニ先チ、過般農商務省ニ於テ開会セラレタル鉱業諮問会ニ委員トシテ出席シタル渋沢栄一君ヨリ該会議事ノ顛末ニ就キ報告アリ、尋テ左ノ議案ヲ審議シ、午後七時五分散会ス(報告書ノ全文ハ参照ノ部第一号ニ掲載ス)


東京商業会議所月報 第五号・第四―七頁 明治二六年一月 【○参照第一号 先般全会ノ附托ニ依…】(DK230025k-0006)
第23巻 p.153-156 ページ画像

東京商業会議所月報  第五号・第四―七頁 明治二六年一月
○参照第一号
 先般全会ノ附托ニ依リ農商務省ニ於テ開会セル鉱業諮問会ヘ出席シ会議ニ参与候処、其議事ノ顛末ハ概略別紙ノ通ニ有之候間、此段及御報告候也
                    委員
  明治廿五年十二月十二日         渋沢栄一
  東京商業会議所会頭
    渋沢栄一殿
(別紙)
明治廿五年九月二十日ヨリ十月一日マテ農商務省ニ於テ鉱業諮問会ヲ開設シタルガ、該会ヘ出席ノ諸君ハ左ノ如シ
                 三菱社
                    長谷川芳之助
                 東京商業会議所
                    渋沢栄一
                 御料局佐度支庁
                    渡辺渡
                 住友トク代
                    久保盛明
                 岩手県鉱業人惣代
                    遊座循一
                 藤田組
                    桑原政
                 帝国大学工科大学
                    野呂景義
 - 第23巻 p.154 -ページ画像 
                 鹿児島県鉱業人総代
                    前田青莎
                 新潟県鉱業人総代
                    中野貫一
                 日本石油会社
                    内藤久寛
                 古川市兵衛[古河市兵衛]代
                    鈴木誠助
                 三井組
                    団琢磨
                 愛媛県鉱業人総代
                    岡崎高厚
                 半田銀山
                    五代竜作
                 北海道炭鉱鉄道会社
                    大島六郎
                 筑豊石炭鉱業組合
                    稲垣徹之進
                 秋田県鉱業人総代
                    池田孫一
                 日本鉱業会
                    大島高任
                 福島県鉱業人総代
                    数江三左衛門
                 長崎県鉱業人総代
                    吉富英一
                 岡山県鉱業人総代
                    坂本金弥
                 大和鉱業組合
                    山田純精
                 佐賀県唐津鉱業組合
                    高取伊好
                 佐賀県鉱業人惣代
                    梶原土介
右諮問会ノ議事ニ付シタル議目三件アリ、今其議目並ニ議決ノ結果ヲ示セバ左ノ如シ
 一鉱業人組合ニ関スル件
   鉱業者共同シテ組合ヲ組織スルトキハ、鉱業者ニ於テ便益アルベシト雖トモ、特ニ法令ヲ発シテ必ラス組合ニ入ラシムルカ如キハ、却テ窮屈ヲ極ムルノ恐アレバ、実際其必要ヲ感シタル場合ニ於テ、同業組合準則ノ如キ任意ノモノニ準拠セシムベシト決ス
 一海外ヘ輸出ヲ目的トスル鉱業生産物ニ関スル取締及保護ノ件
   鉱業従事者ニ於テ海外輸出ノ鉱物ニ不良品ヲ混シ、品質ヲ詐リ
 - 第23巻 p.155 -ページ画像 
値崩ヲ為スカ如キハ其弊害大ナリト雖トモ、同業組合ノ力ニ依リ之ヲ矯正スルコト能ハサルハ他業組合ノ実歴ニ徴シテ明ナリ去トテ目下別ニ適当ナル方案モナキヲ以テ、宜シク自然ノ結果ニ一任スベシト決ス
   海外輸出ノ鉱物中銅ハ其重要ナルモノヽ一ナルニ輸出税ヲ賦課スルハ得策ニアラス、宜シク石炭・硫黄ト等シク其税ヲ免除スベシト決ス
 一鉱業条例修正ノ件
   鉱業条例ヲ左ノ如ク修正スベシト決ス
   一 条例第七条ニ規定セラレタル採掘権ノ得失ニ関スル事項ハ各共同鉱業人ノ連署ヲ要スルコトニ改メタシ
   二 他ノ試掘地ト雖モ採掘ヲ出願シ得ル途ヲ開カレタシ
   三 試掘地区ノ制限ハ条例第四十一条鉱区ノ制限ニ拠ルノ規定ヲ加ヘタシ
   四 条例第十一条ヲ削除シタシ
   五 条例第十九条ヲ削除シタシ
   六 条例第二十三条ヲ削除シタシ
   七 条例第二十五条ニ依リ、土地ノ使用者ニ於テ既ニ許可ヲ得タル鉱業者ノ権利ヲ制限セントスルトキハ、相当ノ賠償ヲ求ムルノ規定ヲ設ケタシ
   八 条例第二十六条・第二十七条及第二十八条ハ削除シタシ
   九 条例第二十九条ハ第一ニ故ナク休業スル者ニ適用シ、第二ニ相当ノ期限内ニ始業スヘキコトヲ命シ、之ニ従ハサル場合ニ於テ始メテ特許ヲ取消スベキモノナルノ意味ヲ以テ修正セラレタシ
   十 第三十条ノ申立期限ハ三十日ト改メ、条例中行政裁判所ノ出訴期限ハ総テ行政裁判法ニ依ルコトニ改メタシ
   十一 条例第三十一条第二項ノ「六ケ月」ヲ「一ケ年」ニ改メタシ
   十二 条例第三十八条ノ採掘特許取消及廃業ノ場合ニハ所轄鉱山監督署長ヨリ債主ニ通知センコトヲ望ム
   十三 条例第三十九条ノ「一月」ハ「二月」ニ改メタシ
   十四 日本坑法ニ依リ許可セラレタル借区ニ限リ条例第四十一条第二項ノ制限ニ係ハラス採掘ヲ特許スルノ規定ヲ設ケラレタシ
   十五 条例第四十二条第二項ノ「三十日」ハ「六十日」ニ改メタシ
   十六 条例第四十八条第二号「土石」ノ下ニ「灰燼」ヲ加ヘ、第三号「馬車鉄道」ノ下ニ「索道」ヲ加ヘ、「溝渠」ヲ「溝樋」ト改メ、其下ニ「電柱」ヲ加ヘ、「溜池」ノ下ニ「等」ノ字ヲ加ヘタシ
   十七 条例第五十二条第一項ヲ修正シ、相当期限内ニ保証金ヲ補充スルトキハ土地ヲ取戻サヽル様ニ規定シタシ
   十八 条例第六章ヲ削除アリタシ
 - 第23巻 p.156 -ページ画像 
   十九 条例第七章ニ掲ケタル鉱業税ヲ廃シ、鉱区税ハ日本坑法ト同一額ト為シ、石油ヲ石炭ノ半額トシ、鉄鉱ヲ一千坪毎ニ金二十銭位ト規定セラレタシ
   二十 条例第七十五条鉱区税ハ、毎年二期ニ納ムルコトニ改メタシ
   廿一 条例第七十六条ニ修正ヲ加ヘ、納税期限内ニ鉱区税ヲ納メサルトキハ期限ヲ定メ督促令状ヲ発シ、尚ホ納メザルトキハ特許ヲ取消スコトニ改メタシ
   廿二 条例中ニ期日ヲ定メタルモノニハ積雪地方・島嶼等交通不便ノ地ニ限リ、農商務大臣ハ省令ヲ以テ特別ノ期限ヲ定ムルノ規定ヲ設ケラレタシ
   廿三 鉱業警察規則ハ五ケ年間実施ヲ延期セラレタシ
   廿四 条例施行細則中
    甲 願書ニ添付スル図面ニハ小字界及小字坪数ヲ除キタシ
    乙 第四条ノ「四分ノ一」ヲ「五分ノ一」ト改メタシ
    丙 第五条ノ間隔地ハ監督署長ニ於テ必要ト認メタル場合ニハ五十間以内ノ距離ヲ設ケシムルコトヲ得ルノ規定ヲ設ケタシ
    丁 第六条ノ相当期限トアルヲ明文ヲ以テ一定ノ期限ヲ定ムルコトニシタシ
    戊 第七条中「三日」ヲ「十日」ト改メタシ
    己 第十一条第一項「持参」ヲ「送附」ト改メ、第二項「七日」ヲ「十日」ト改メタシ
    庚 第十三条「期月」ノ下ニ「ノ翌月」ノ三字ヲ加ヘタシ
    辛 第十三条坑内実測図ノ尺度ハ随意トシ、截面図ヲ廃シ斜面ニテモ可ナルコトニ改メタシ
    壬 第二十二条中「十五日」ヲ「三十日」ト改メタシ
    癸 第二十三条中「十日」ヲ「三十日」ト改メタシ
    子 第二十六条第一項ハ官庁ニ差出スヘキ書類ノミナルノ意味ヲ現ハシタシ
    丑 第二十九条第二号ノ「図面」ハ第二条ノ略図ナルコトヲ現ハシタシ
   ○本資料第二十巻所収「東京商業会議所」明治二十五年九月三十日ノ条参照



〔参考〕日本鉱業誌 東京鉱山監督署編 第五〇―五四頁 明治四四年一月刊(DK230025k-0007)
第23巻 p.156-158 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。