デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
6款 農商工高等会議
■綱文

第23巻 p.367-390(DK230038k) ページ画像

明治29年10月20日(1896年)

是日第一回第二日ノ会議ニ於テ、税関監督保税倉庫設置ニ関スル諮問案審議サレ、特別委員附託トナル。二十一日第三日ノ会議ニ於テ、保税倉庫ノ設置必要ナルニヨリ、確実ト認ムル私設倉庫会社ヲ以テ之ニ当ツベシトノ委員決議案可決セラル。栄一、特別委員ノ一人トシテ之ニ尽力ス。


■資料

第一回農商工高等会議議事速記録 第一〇七―一六〇頁 明治三〇年四月刊(DK230038k-0001)
第23巻 p.367-383 ページ画像

第一回農商工高等会議議事速記録  第一〇七―一六〇頁 明治三〇年四月刊
明治廿九年十月二十日(火曜日)午前九時三十分開議
          出席者
            議長  伯爵 佐野常民君
            一番     大倉喜八郎君
            二番     藤田四郎君
            三番     藤田伝三郎君
            四番  男爵 鈴木大亮君
            五番     原善三郎君
            七番     益田孝君
            八番     安藤太郎君
            九番     山本亀太郎君
            十番     中上川彦二郎君
            十一番    渋沢栄一君
            十三番    近藤廉平君
 - 第23巻 p.368 -ページ画像 
            十四番    金子堅太郎君
            十五番    浜岡光哲君
            十六番    益田克徳君
            十七番    藤井三郎君
            十九番    土居通夫君
            二十番    広瀬宰平君
            二十一番   添田寿一君
          欠席者
            十八番    森村市左衛門君
○中略
○議長(伯爵佐野常民君) 是レヨリ第三諮問案ヲ朗読サセマス
   〔中林書記朗読〕
  第三諮問案
    税関監督保税倉庫設置ノ件
本邦ノ貿易各要港ニ於テ、税関ノ監督ヲ受ケ輸入品ニ対シ輸入税一時免除ノ特許ヲ受クルニ足ルヘキ確実ナル倉庫ヲ設置シ、銀行ト連絡ヲ通シ其預ケ人ニ対シ輸入品ノ倉預リ証書ヲ付与シ、必要ナル場合ニ於テハ之ヲ担保トシテ金融ノ便ヲ得セシムルコトハ、貿易上緊要ノ事件ニシテ其利益亦尠少ナラサルヘキナリ、依テ玆ニ税関監督保税倉庫設置ノ要否ヲ諮詢ス

○十一番(渋沢栄一君) 本案ニ付イテ幹事ノ説明ヲ伺ヒタウゴザイマス、此御諮問案ノ趣意ハ能ク分リマシテゴザイマスガ、輸入品ノ預リ証書ヲ附与スル必要ノアル場合ニハ、之ヲ担保トシテ差入レルノハ極緊要ナコトデアツテ、独逸アタリニ行ハレテ居ル「どくうあらんと」制度ノヤウニシヤウト云フ趣意ニ見ヘマスガ、是ハ会社デモ組織シテヤラセルト云フ意味デゴザイマスカ、若クハ官デヤラウト云フ考デアリマスカ
○幹事(有賀長文君) 保税倉庫ト云フモノハ必要デアル、斯ウ云フモノヲ我邦ニ設ケルガ宜イト云フ御決議ニナリマシタナラバ、第二段ト致シマシテ、扨テソレハ政府デヤルカ、或ハ民間デヤルカ、或ハ市ノ如キ例ヘバ横浜市又ハ長崎市ノ市立トカ云フコトニスルノハ、即チ御相談ヲ願ヒタイ部分ニ属スルノデアリマス、或ハ私立ニデモ致シマスル方ハ、政府カラ十分特権ヲ与ヘ又監督致シマスルコトデアルカラ宜カラウカト云フ考デアリマス、政府ニ於テ其方法ヲ指示致シマシテ御諮問致シマシタ次第デハゴザイマセヌ
○九番(山本亀太郎君) 此第三ノ諮問案ニ就キマシテハ貿易上即チ輸入品ニ大ナル便益ヲ与ヘマスモノト存ジマス、小員ハ大ニ賛成ヲ表シマスルガ、只今幹事カラノ御説明ニ拠リマスルト、此事ニ就テハ或ハ横浜市・長崎市ノ市立ニスルトカ、或ハ私立ニスルトカ、其辺ヲ御相談スルト云フコトデアリマスガ、私ハ御存ジノ通リ神戸デゴザイマスガ、神戸ノ有様ヲ見マスルト、申上ゲルマデモナク、御案内モアリマセウガ、近来貿易ハ膨脹スルニ従ヒマシテ各輸入品ノ船舶又ハ輸出品ノ船舶ガ多クナツテ、税関ノ倉庫抔モ狭隘ナルモノデ
 - 第23巻 p.369 -ページ画像 
アリマスルカラ、入レル場所ガナクテ或ハ近傍ニ積ンデ置ク、所謂天洒ラシニナルト云フヤウナコトデアリマス、依テ或ハ官デサウ云フ事業ヲシテ倉庫ヲ建設スルトカ云フコトニ付テ、自分ノ考ヘマス所ニ拠レバ、目下欠クベカラザル所ノ御諮問案デゴザイマスガ、即チ神戸市ニ於テハ相当ナル倉庫会社ガゴザイマスカラ、冀クハ其モノニ十分ノ責任ヲ負ハセ、而シテ此税関ノ監督ノ下ニ立タシメテ其便益ヲ計ラレルコトヲ希望致シマス、一言簡短ニ陳ベテ置キマス
○七番(益田孝君) 私ハ九番ノ賛成者トシテ一言申陳ベテ置キマス、九番ノ今ノ御説ハ即此第三諮問案ニ附帯シテ居ル一ノ緊急建議ト存ゼラレマス、即チソレヲ賛成シマスガ、大ニ当局ノ御方ノ御猛省ヲ願ヒタイト思ヒマスノハ、固ヨリ一時ノ膨脹ハ当局ノ御方デモ予期シ能ハナカツタ所デモゴザイマセウガ、若シ此実況ヲ御覧ニナリマシタナラバ如何ニ惨憺タル有様デアルカト云フコトヲ御感ジニナラウト思ヒマス、当業者ノ我々カラ見マスルト当該官庁ハドウシテ是等ノコトヲ見逃シテ措カレマシタロウカ、実ハ御憾ミ申上ゲタイ位デアル、何レ近日商業会議所ノ問題ニモ上ボリマセウガ、勿論差シカヽツタ所ノ当年デアリマスカラ、其辺ノ如キハ当業者ニ直接ノ関係ガアルカラドウモ已ムヲ得ヌコトデアルガ、実ニ酷イ有様デ、数千噸……船モ大キクナリマシタシ、鉄道機械ノ如キハモウ先キニ這入ツタ品物ハ出ルコトガ出来ナクナル、後トカラ後トカラ税関ノ倉庫ニ這入ルカラ、先キニ這入ツタモノハ何時マデ経ツテモ出ルコトガ出来ナイ、尤モ当年ハ風災トカ或ハ雨続キガゴザイマスルカラ、綿抔ヲ濡ラシタ損害ト云フモノハ、陸ニ揚タ後デアルカラ海上保険ニモナラズ又火災保険ニモナラナイデ、少カラヌ損害ヲ受ケマシタ是ニ従事シテ居ル貿易者……互ニ鎬ヲ削ツテ貿易ニ従事スル者ハ、僅カノ手数料抔ハモウ遥カドコカヘ飛ンデ往ツテ仕舞ツテ、是デハ貿易ニハ容易ニ従事スルコトガ出来ヌモノダ、種々ナ危険ガ多イトモウ頭ニ危険ヲ感ズルヤウデアル、極細カイ紡績会社ノ紡績機械抔ノ大切ニシナケレバナラヌモノガ、箱ハ壊ハレテ居ルシ、其上ヲ踏ミニヂツテ其前後ヲ争ツテ先ノ物ヲ取ラウト思フケレドモ、如何センドウスルコトモ出来ヌ、モウ実ニ惨憺タル有様デアル、ソレデ斯ノ如キ結構ナル高等会議ノ機関ガ開ケマシタカラハ、第一ニ其辺ノコトヲ御訴ヲスルノハ意ヲ得タルモノデアルカラ、今九番ノ陳ベラレタコトハ一時ノ便法トシテ、ドウゾ此税関デモ或ハ神戸ノ如キハ倉庫会社トカ何トカ云フ、税関ノ倉庫ニ続キマシタ民有倉庫ノ立派ナモノガアルカラ、ソレヲ税関ガ借受ケマシテナリ、若クハ税関ノ監督ノ下ニ立タセマシテナリ、矢張保税倉庫ト云フコトニ取計ヒ下サレマシタナラバ、其損害モ少クナルデアラウト思ヒマス、勿論神戸ノ税関デハ頑トシテサウ云フコトハ出来マセヌガ、此損害ハ税関ヲ相手取ツテ外国人ガ訴ヲ起スト云フ事ヲモ承リマシタ、ソレガ事実デアルカナイカハ知リマセヌガ、唯已ムヲ得ヌ、如何シタラ宜イカト苦慮致シテ居リマスルノデゴザイマス、ソレ故ニ尾張デアルトカ四日市デアルトカ云フ所ヘ神戸カラ廻ハス荷物モ、神戸ヘ来ルトキハサウ云フ有様デアルカラ、態々船ヲ雇ウテ神戸ヘ廻ハサナイデ
 - 第23巻 p.370 -ページ画像 
横浜ヘ持ツテ来テ、或ハ横浜カラ又船ヲ以テ尾張ヘ送ルト云フヤウニ、一時凌イデ居ル有様デアリマスルガ、其横浜モモウ少シ此貿易ガ伸ビマシタナラバ、是レ亦同ジ有様ニナラウト思フ、是ハ風雨ノ為デモナク、実ニ一時ノ増加デアルカラ、丁度玄関ガ小サイノニ御客様ガ大勢押込ンデ来タ、馬車モ来タト云フ有様デ、此亭主役ハ甚ダ差支ヘテ居ルト云フ景況デアリマス、ドウゾ九番ノ建議案ヲ御採用下サレマシテ、此会カラシマシテ当該ノ省ヘ訴ヘ、其便法ヲ附ケラレルコトヲ御求メニナルヤウニ希望致シマス
○二十番(広瀬宰平君) 私モ此諮問案ニ就キマシテハ、唯今九番・七番ノ陳ベラレタ所ニ極賛成者ノ一人デアリマス、此事ニ就テハ実ニ憂ヲ催シテ居リマス、私ガ商船会社ヲ興シマシタ節ニ、是ハ今日ノ輸出入ヨリハ外国ヘ荷物ヲ送リマスル所ガ、運バヌト云フモノハ倉庫デアリマス、諸方ノ物品ガ集ツテ来ル時ニ積卸シマスルニ実ニ煩シイモノデアリマス、ソコデ一ツ大キナ倉庫ト云フモノヲ拵ヘナケレバナラヌト存ジマシタガ、創業ノ際デアルカラソレハ出来ナカツタ、能ク能ク考ヘテ見ルト、人ガ大変ニ此荷物ヲ粗末ニ致シマスルケレドモ、是ハ宜シクナイ、是マデ日本ノ国ガ開ケヌト云フノハ、物品ニ対シテ粗末ナ扱ヒヲスル事ハ言語道断デアル、私ガ深ク考ヘルニ商売社会デハ、ドウシテモ此物品ヲ不親切ニシナイヤウニスルト云フコトガ大切ナコトデアル、サウスルト是ハ瑕ツケヌヨウニシナケレバナラヌト云フコトガ、頭ニ浮ブ、商品ハ災難ガ続キマシテモソレハ十分ニ保護スルヤウニシナケレバナラヌ、ソレデドウシタラ品物ヲ濡サヌヤウニナルカト云フト、大キナ倉庫ヲ造ラナケレバナラヌ、私モ先年アチラヲ廻ツテ「りばーぷーる」ノ倉庫会社ヲ二日程掛ツテ見マシタ、所ガ其遣リ方ト云フモノハ皆サン御承知ノコトデアリマシヨウガ、ドウ云フ理屈カラ「りばーぷーる」ノ倉庫会社ガ成立ツテ居ルカト云フコトヲ名誉領事ニ尋ネマシタガ、半バハ政府デ補助金ヲ出シテ之ヲ建テタ、ソレデ半バハ会社ノ組織ニナツテ今日ハ政府ノ監督ガ付イテ斯ウ云フ結果ヲナシテ居ルト云フコトデ、誠ニ壮大ナモノデゴザイマス、ソレニ付テハ利益カラ考ヘテ見ルモ甚ダ多イコトデアリマス、又其荷積ノ上カラ見レバ自由自在ナモノデ、酒類ハ「びーる」デアルトカ何トカ云フモノハ皆一ツ一ツニ其隔テガ付ケテアリマシテ、瑕ノ付ヌヤウニチヤントシテゴザイマスシ、誠ニ行届イタモノデアリマス、ソレハ「りばーぷーる」ガアツテ、倫敦ガアノヤウニ盛ニナルト云フコトノ一例デアリマス、ソコデ又一番世界デ商売ノ盛ナル倫敦ノ品物ガ皆「りばーぷーる」ニ落入ツテ来ルト云フ有様デアリマス、即チ御承知ノ通リ濠洲・南洋等カラ産出シマスル洋毛抔モ、悉ク「りばーぷーる」ニ集散スルト云フヤウナ有様デアリマス、其他綿デアルトカ云フヤウナ大キナ重モナルモノハ、皆アレニ這入ツテ来ルノハ、即チ其倉庫会社ガアルカラデアリマス、ソレデ私ハアレダケノ倉庫会社ガ造ツテアル故ニ、英吉利ハ実ニ世界中ノ大抵ノ商売ヲ握ツテ居ルノデアルト思ヒマス、ソレデ自分ハアレヲ慕ヒマシタカラ、帰リマシテ倉庫会社ノコトヲ頻リニ話ヲ致シマシタガ、左程成立ツコトモゴザイマセズ、
 - 第23巻 p.371 -ページ画像 
昨今ノ景況ハ唯今七番議員ガ述ベラレタル如ク、神戸ノ有様ハ知ツテ居リマスガ実ニ忍ビヌコトデアリマス、何トカ政府ニ於テハ十分ノ御奮発ガアツテ、此物品ガ残ラズ余リ濡レズシテ各会社ヘ直ニ送リ付ケルコトガ出来ルヤウニハ何時ナルカト云フコトヲ、彼是十年程モ自ラ苦慮致シテ居リマス、故ニ私ハ九番ニ大賛成ヲ致シマスガ其方法ハ第二段ニ致シマシテ、之ヲ設置致シマスルヤウニシタイ云フコトヲ私ハ簡単ニ陳ベテ置キマス、後ニ方法ニ就キマシテハ御問ガゴザイマスレバ十分ニ意見ヲ陳ベマス
○二十一番(添田寿一君) 此事ハ多少大蔵省ニ関係ヲ持ツテ居リマスカラ、御参考マデニ申上ゲテ置キマス、私モ及バズナガラ従来熱心ニ調ベテ居リマシテ、此会議ノ開ケマスル前ニ、農商務大臣・同次官迄意見ヲ差出シテ置キマシタガ、幸ニ諮問ニナリマシタノハ非常ニ謝スル所デゴザリマス、随分此税関ノ攻撃モゴザリマスルガ、是レハ少シク御考察ヲ願ハナケレバナリマセヌノハ、明治ノ初年ハ僅僅数千万円ノ輸出入ノ拵ヘマシタ総テノ倉庫デゴザリマシテ、夫レガ近年何億ト増加シタノデゴザリマスカラ、何レモ倉庫ガ足リマセヌノデゴザリマス、殊ニ神戸港ハ輸入ガ非常ニ盛ンデゴザリマスルカラ、殊更ニ外ノ税関ヨリ不便ヲ与ユルノデ、甚ダ心外ニ存ジマスルケレドモ、御承知ノ通リ随分国庫ノ都合ガゴザリマシテ金額ハ出サヌト云フ所カラ、已ムヲ得ズ今日ニ至ツテ居ルノデ、増設シタイト云フ希望ハゴザリマスルガ、最早神戸・横浜ナドト云フ所ハ土地ガゴザリマセズ、税関ヲ広メヤウト思フテモ、海岸ノ埋立シテモ中中及バヌノデ、随分力メテハ居リマスルガ、是等ノ事情ノ為メニ運バヌノデゴザリマス、此膨脹シタル貿易ニ向ツテ、満足ヲ与ヘルノニハ政府ダケデハ迚モ出来ヌト思ヒマスカラ、玆ニ確実ナル私設ノ倉庫会社ヲ御立テニナル必要ガアラウト思ヒマス、夫レニ特別ナル税関ノ監督ヲ与ヘテ参リマスルナラバ、大イニ双方ノ便宜デアラウト思ヒマスルノデ、其事ニ就キマシテハ目下大蔵省ニ於キマシテモ考案中デゴザリマス、願ハクハ廿番ノ第二段ニ御述ベニナリマシタ方法ト云フコトニ就キマシテハ、出来得ルダケ御話ヲ詳ハシク承ハリマシテ、大ニ参考ニ供シタイト云フ希望ヲ持ツテ居ルノデゴザリマス、実ハ私ノ方カラ人ヲ出シマシテ、横浜・神戸・大坂ノ倉庫ヲ調ベマシタコトモゴザリマスガ、今日マデノ有様デハ、マダドウモ十分信用ヲ置クニ足ルノ倉庫ガ無イニ窮シテ居ルノデゴザリマス、御承知ノ通リ税関ガ信用ヲ置クト云フコトニナリマスレバ、若シ脱税ガアツタトカ税ガ納ラヌトカ云フ時ハ、十分其穴ヲ埋メルダケノ責任ヲ持ツト云フ倉庫デナケレバナラヌノデゴザリマス、夫レデ願クハ此ノ私設ノモノニ特典ヲ及ボスト云フコトニ至リマスルノニハ一ツ確実ナル倉庫ヲ御建テニナルノガ必要デアラウカト思ヒマス、其事ハ独リ税関モ其特典ヲ与フル上カラ必要デアルノミナラズ、是レハ荷主ノ御方モ非常ナ便益デアリマス、申スマデモゴザリマセヌガ、今日横浜辺リデモ倉庫ガ足リマセヌカラ、銀行ノ蔵ニ入レタリ夫レカト云フテ確カデナイ蔵ニ入レテハ、信用致サヌト云フコトガアルノデ、随分為替ヲ組ムコトヲ拒ムコトモアルヤウニ聞イテ居リ
 - 第23巻 p.372 -ページ画像 
マス、是等ハ貿易ヲ拡張スル上ニ就イテハ、余程ノ損害デアラウト思ヒマスカラ、此事ハ貿易拡張ノ為メ最モ必要ト思ヒマスルノト、又銀行カラ申シマシテモ寧ロ金融カラ申シマシテモ、更ニ蔵預リ証ヲ得テ夫レガ十分信用ヲ得テ輾転売買スルヤウナコトニナリマスレバ、余程金融ノ上ニモ利益ガアリマスカラ、有力ノ人ガ力ヲ尽シテ今有ルモノヲ改良サスルナリ、別ニ御立テニナルナリシテ、税関モ信用シ銀行モ信用シ荷主モ信用スルト云フ、確実ニシテ有力ナルモノヲ御立テニナルコトハ必要デアラウト考ヘマス、マダ唯今ハ考案中デアリマスガ、御参考マデニ申上ゲテ置キマシテ、尚ホ御熟考ノコトハ十分拝聴致シタイト思ヒマスルノデゴザリマス
○一番(大倉喜八郎君) 保税倉庫ノコトニ就キマシテ、先刻ヨリ九番七番ノ御賛成モゴザリマシタガ、私モ矢張リ賛成者ノ一人デゴザリマス、唯今廿一番カラ大蔵省ハ今日此事ニ厚ク心ヲ入レテ、一日モ早ク成立タスルヤウニシタイト望マルヽ事ヲ聴キマスルノハ、大変ニ嬉シク存ジマスル、此事ニ就キマシテハ明治廿二年デゴザリマシタラウカ、有島ト云フ人ガ横浜ノ税関長ノ時ニ、痛ク之ヲ憂ヒマシテ、税関ノ倉庫ガ不足デ困ル、品物ガ損スルカラ、ドウカ保税倉庫ヲ拵ヘテ一般ニ便利ヲ与ヘタイト云フコトヲ、熱心ニ主張セラレマシタ、其説ハ私共極ク同感デゴザリマシテ、応分ノ働キヲシマシタ就イテハ保税倉庫ヲ拵ヘルニハ斯様ナ方法デナケレバナラヌ、斯様ナ組織デナケレバ行ケナイト云フコトモ、一々組立テヽ大蔵省ニ願ツタ位デ、其時ハ大蔵省ハ許可ガ無ツタト云フモノハ、第一ニ保税倉庫ヲ建ツル地面ガ無イ、其地面ヲ拵ヘルニハ海岸ヲ埋メナケレバナラヌ、夫レヲ埋メル時ニハ、丁度外国人ノ居留地ノ地先ヲ埋メルヤウニナル、シテ見ルト唯今ノ英吉利一番ノ地先ヲ埋メルコトニナル、サウスルト外国人ニ貸シテアル地面ノ地先デ眺望ヲ妨ゲルカラ彼等ノ既得権利ヲ害スルコトニナツテ、外国人トノ交渉モ要スルダラウ、是レハ随分喧マシイ問題デアルカラ、篤ト考ヘナケレバナラヌト云フノデ、度々御願ヒ致シマシタガ、其内ニハ波止場モ出来ル桟橋モ出来ルカラ其時マデ待ツタラ宜カラウト云フコトデゴザリマシテ、夫レガオ流レニナリマシタ、然ルニ今日ハ大蔵省デモ其事ニ御気ヲ附ケラレマスルヤウニナツタト云フノハ、時運ノ然ラシムルコトト大ニ喜ビマスル、之ヲ喜ビマスルト同時ニ、農商務省ハ此働ヲ附ケルト云フコトヲ十分ノ御熱心ヲ以テ、大蔵省ニ御照会ガゴザリマセネバナリマセヌト思ヒマス、吾々ノ望ム所ハ一日モ早ク之ガ出来マシテ、サウシテ民間ノ事業ニ便利ヲ与ヘルヤウニナリタイト思ヒマス、殊ニ農商務省ハ一層力ヲ此事ニ御用ヰヲ願ヒマス
○十一番(渋沢栄一君) 本案ニ就キマシテ、唯今ドウ云フ趣意デ御立テニナルカヲ承ハリマスルニ、或ハ私立ナドガ宜クハナイカト云フ御考ヘノヤウニ聴キマス、併シ其施設ニ就イテノ方法ハ此会議ニ於テ十分討論スルガ宜シイ、先ヅ立ツルナラバドウ云フ方法ニスルカヲ諮詢シタト云フ御説明ノ趣キハ了解致シマシタ、続イテ九番ナリ七番ナリカラ極ク必要デアル、是ハ緊急ニシナケレバナラヌコトデアルト云フ御説ガ出マシタ、私モ丁度時機到来ト考ヘマシテ大ニ喜
 - 第23巻 p.373 -ページ画像 
ビマスルガ、既ニ明治五・六年頃デゴザリマシタガ、私モ「どつくゑーあらんと」ノ制定、即チ保税倉庫ノ制ト云フモノヲ、実ハ横浜ニ今一番ガ御述ベニナル、モウ一層前デゴザリマシタ、斯ウ云フモノガ必要ト存ジマシテ、倉庫会社ノ取調ベヲシタコトガゴザリマス其時ハドウシテモ人民ノ私設ニ依ツテ保税倉庫ノ特典ヲ与ヘルコトハ出来兼ネヤウト云フ、大蔵省ノ趣意デゴザリマシタガ為メニ、其組立ハ殆ンド成立タズニ仕舞マシタ、其後十一・二年ノ頃今ヨリ十四・五年前有島君ノ発意デ心配セラレマシタ時、其時ニモ私ハ与ツタコトモゴザリマス、事柄ハ既ニ起ツテ居リマシタケレドモ、マダ時機ガ熟セズシテ今日マデ行ハレズニ居ツタデゴザリマスルガ、今日ハ斯ウ云フ案ヲ農商務省カラ御出シニナルヤウナ時機ニ迫ツテ参リマシタノデゴザリマス、偖其施設ノ方法ハ私ノ考ヘデハ、官バカリデハ行クマイ、又私設ト云フコトモ今日ノ有様デハ如何デアラウカ、先ヅムツカシカラウカト考ヘルノデゴザリマス、併シ今廿一番ノ御述ベノヤウニ、相当ナル会社ガアレバ夫レニヤラセテ宜イト思ヒマス、現ニ神戸ナドハ私立ノ倉庫会社ガアルカラ、夫レニ相当ノ責任ヲ負ハシテヤツタナラバ、行ケサウナモノデアルト云フ考ヘヲ懐イテ居リマス、神戸ニ於テハ夫レデ宜イトシテモ、他ノ場所モ其通リデ行クカ行カヌカハ分リマセヌガ、矢張リ民設会社ノ趣意ニ拠ツテヤリマスルノ外仕様ハナカラウト思ヒマス、夫レニ就イテ今大蔵省ノ思入レハ斯ク斯クデアルト云フコトヲ廿一番カラ御述ベニナリマシタガ、幸ヒ廿一番ナドガ此席ニ御出デハ誠ニ仕合セデゴザリマシテ、若シ民設会社デ成立ツトシマスレバ、余程税関トノ交渉ガ多カラウト思ヒマス、双方ガ得手勝手ヲ云フヤウニナルト、為メニ事務ヲ妨害スルコトニナルダラウト思ヒマス、得テ斯ウ云フ時ニハ第一場所ニ就イテ地面ガ高イカラ金ガ掛ル、建築ニモ金ガ掛ル、夫レヲ十分費用ニ堪ヘル丈ケノ保管料ヲ取リマシタナラバ、商売人ハ便利ト云フヨリ入費ガ余計掛ルト云フコトニナリマシテ、却ツテ迷惑デアル、矢張リ今日ノ物品保管ト同ジ程度ニ行カナケレバ、便利ト云フコトハ云ハレマセヌ、又其扱モ喧マシク云フナラバ、実ニ手数ガ多クテ保税倉庫ニ預ケラレナイト云フヤウナ故障ガアルマイトモ限リマセヌ、又此実施ニ就イテハ大蔵省ナリ……若クハ民設会社若シ成立トスルナラバ私ハ民設会社ヲ望ミマス、是レハ余程注意ヲ要スルコトデゴザリマス、勿論官ニ於テ立ツルト云フコトハ到底行ハレマイト考ヘマス、行ハレテモ便宜デナカラウト思フ故ニ、相当ノ会社ヲ設立サシテ、之ニ大蔵省ハ相当ナル保護ヲ与ヘテヤラスルコトニシタイ、詰マリ本案ニ対シテハ其施設ノ方法モ併セテ議シタイト思ヒマス
 ○七番(益田孝君) 此諮問案ニ対シマシテハ誠ニ結構ナコトデ、倉庫ガ不足シテ居ルト云フコトハ段々述ベラレマシタ通リノコトデ、之ニ就イテ「どつくうゑーあらんと」ヲ設ケテ金融便宜ヲ得セシムルノモ宜シイ、是レハ極ク結構デス、是レモ無論拡張デス、此拡張ハ誰モ異存ヲ云フモノハゴザリマスマイ、夫レニ就イテハ到底官立ノミデハ行クマイ、私立ニスルノ方法ヲ議スルコトモ至極結構……
 - 第23巻 p.374 -ページ画像 
偖九番ノ発議ヲ私ガ賛成致シマスルノハ、是レハ今日目下ニ迫ツテ居ルコトヲ尚ホ大蔵省ニ於テ別段ニ臨機ノ御処分ヲ願ハナケレバナラヌ、唯々創立スル拡張スルト云フテモ、其取調ニ余程手間ヲ取ルダラウシ、又立ツルニシテモ時日カ懸ロウカラ、之ガ三十年ニ成ル三十一年ニ成ルト云フ其間ノ貿易ヲ如何スルト云フコトデゴザリマス、是非此事ニ就イテハ御注意ヲ願ヒタイ、元来廿一番ヨリ述ベラレタ取調ベト云フコトニ就イテハ、何処マデガ其程度デゴザリマセウカ、成程飛々ニ在ル倉庫ヲ保税倉庫ニスルト云フテハ、神戸ノ如キハ幸ニ倉庫会社ガアリマシテ、其会社ノ建物ハ殆ンド税関内ニ在ルト云フコトデアリマスカラ、少シク税関カラノ御取締リガ附キマシタナラバ、見事脱税ナドノ出来ナイヤウナコトニナラウト思ヒマス、又和田岬ナドニゴザリマスル倉庫会社ハ、是レカラ先キ倉庫ヲドノ様ニ立派ニ建テマスカ知リマセヌガ、彼レ以上ニハ出来マイト思フ位ニ、出来ルダケハ廻ハリ等ノ取締リモ附イテ、中ニハ鉄道モアリ大丈夫ニ出来テ居リマスガ、ドウ云フ訳カ、神戸デハ取締ガ出来ナイト云フ事デアリマス、長崎ハドウデアルカト云フト、是レハ丸デ離レタ倉庫マデモ税関長其人ノ所存ニ依ルカ、チヤント税関附属倉庫ニ買上ゲテ、之ヲ保税倉庫ニナサレタカラ、朝鮮ノ石油ハ上海カラ這入ツテ居リマシタガ、今日ハ何処カラ這入ルカト云フト皆長崎カラ這入ル、神戸ニ這入リマスレバドンナ所ニ上ゲテモ税ヲ取ラルヽ、サウデナケレバ狭イ所ノ税関ノ倉庫ニ入レナケレバナラヌ夫レデハ不自由デアルカラドウシテモ神戸ニ来ナイ、神戸ニ来タモノハ再ビ朝鮮ニ持ツテ行クコトガ出来ナイコトニナル、長崎ハドシドシ私立倉庫会社若クハ一私人ノ持ツテ居ル倉庫マデモ指定保税倉庫ニナツテ居ルカラ誠ニ便利デ、朝鮮ニ二十万・三十万這入ルト云フ石油ハ悉ク長崎ノ商売ニナツタ、唯々税関ガ一ツノ便法ヲ取ルト取ラヌトニ依ツテ、丸デ上海カラ持ツテ行ク石油ガ幸ニ長崎ニ取レタト云フコトデアリマス、取締ガ附カヌト仰ツシヤレバ仕方ハナイガ、彼レ程ノモノガ出来テ居リマスカラ、兎ニ角二・三年間此膨脹スル貿易ノ求メニ応ジタイト思マス、厚ク此事ニハ御尽力ガナケレバ、此膨脹スル貿易ニ対シテ国庫ヨリノ案ヲ見マスルマデニ実際差支マスルカラ、斯ク熱心ニ希望ヲ述ベマスルノデアリマス
○三番(藤田伝三郎君) 第三案ハ至極私共ハ急設ヲ望ミマスル、其望ム所以ハ、七番カラ前ニ御述ベニナツタヤウニ、極ク至急ニ設置スルコトヲ望ミマス、先刻幹事ノ御説明ニ依リマスルト、本案ヲ設置スルヤ否ヤヲ定メテ、設置法ニ至ツテハ続イテ議シタ方ガ宜カラウト云フ意味ノヤウニ承ハリマシタガ、此第三諮問案ニ就イテハ大体急設スベキモノト私ハ存ジマスル、故ニ其方ヲ先ニ御取極メニナツテ、序デニ設置方法ヲ議スルコトヲ望ミマス
○五番(原善三郎君) 第三ノ問題ニ就キマシテハ、段々御説モアルヤウデゴザリマスル、諸君ノ御論旨ハ当時税関ノ狭隘ノ為メニ、一時ニ輻輳スル荷物ノ取扱ガ大層混雑スルト云フコトト、第三ノ御諮問ニナリマシタ税関監督保税倉庫ノ設置ト云フコトト、少シク事柄ガ混ジテ居ルヤウニ考ヘマスルガ、是レハドウ致シマシテモ二ツニナ
 - 第23巻 p.375 -ページ画像 
ラナケレバユクマイト本員ハ考ヘル、如何トナレバ政府ノ監督ヲ受クル保税倉庫ト云フモノヲ建築スル、其方法ハドウシヤウ、会社法ニ拠ツテ出来タ民設会社ニ之ヲ許スカ、或ハ公設ニスルカ、公ケノ設立トアラバ必ラズ是レハ官設ニナルコトデゴザリマセウガ、是レハ貿易拡張ノ為メニ此便利ヲ附ケルノデアリマスカラ、今有ル民設ノ会社ヲ借受ケテ一時便利ヲ附ケルト云フヤウナコトデハ、全ク此御諮問案ノ御趣意トハ違フダラウト思ヒマス、此倉庫ハ日本ノ倉庫デハナイ、一ツ外国ニ倉庫ガ出来ルヤウナモノ、チヨツト其趣意モ私ハ伺ヒタイデスガ、是レハ日本ノ今税関内ニ在ル倉庫トハ事柄ガ違ツタモノデアラウ、一時税金ヲ免スト云フノナラバ、ドウシテモ税関外ニ見ナケレバ免スコトハ出来マスマイ思ヒマス
○幹事(有賀長文君) 其積リデゴザリマス、是レハ税関外ノ設立デゴザリマス
○五番(原善三郎君) サウデゴザリマセウ、例ヘバ七番ノ御説ノ長崎ニハ税関監督ノ保税倉庫ガアル、夫レガ為メニ露西亜ノ石油モ彼処ニ取ツテ再ヒ朝鮮ニヤルコトガ出来ル、事柄ニ依ルト上海カラ朝鮮ニ持ツテ行カナケレバ、日本ニ船ヲ著ケテモ品物ヲ揚ゲルコトガ出来ヌヤウニナルカラ、其便利ヲ図リ此便利ノアル為メニ貿易ガ拡張スルノデアルト云フ七番ノ説ニ賛成致シマス
○幹事(有賀長文君) 税関内ノ保税倉庫ト云フモノモゴザリマスガ、併ナガラ十分ノ便利ヲ貿易上ニ与ヘテ居ナイ、今日諮問ニナリマシタノデハ、税関以外ニ於テ或ハ私設ノモノヲ立ツルハ、ドウカト云フ意味デゴザリマス、税関ニハ保税倉庫モアルコトデゴザリマスルガ、其組織ハ今般御諮詢ニナリマス無形ノモノトハ違フノデゴザリマス
○五番(原善三郎君) 夫レハ税関外ニアリマシテモ、保税倉庫ト云フモノガ出来マシテ、夫レハ税関監督ノ下ニ立ツモノデアルトアリマスカラ、税関ヲ通ツテ品物ヲ改メナケレバナラヌ、今ノ所デハ一度税ヲ取ツテタモノハ再ビ返スコトハ出来ナイカラ、二度税ヲ取ルコトニナル、是レハ諸君ノ御説ニモゴザリマシタ通リ有島税関長ノ目論ンダコトデゴザリマス、其節ニ色々ノ説モアツテ、私ナドモ意見ヲ述ベマシタコトモアル、ドウ致シマシテモ貿易ト云フモノハ英吉利ノ品物ヲ日本ニ持ツテ来テ、日本ノ品物ヲ英吉利ニ持ツテ行カナケレバ貿易デナイトハ云ヘナイ、英吉利ニ安物ガアツタラ英吉利デ買ツテ、露西亜ガ高ク買フナラバ夫レニ持ツテ行ツテ売ルト云フノモ貿易デアル、サウ云フコトヲスル為メニ保税倉庫ガ必要デアリマス、先ヅ日本デハ亜米利加デアレ、英吉利デアレ、其品物ヲ買ツテ来テ日本ノ倉庫ニ入レル、サウシテ引合フナラバ露西亜ニモ亦朝鮮ニモ持ツテ行ク、サウシテ見マスレバ是レハ一体ガ日本ノ税関内ニ揚ゲタモノデハナイ、税関外ニ品物ヲ置ク倉庫ヲ拵ヘナケレバナラヌ、之ヲ拵ヘマスルニハチヨツト横浜辺リデ勘考シマスルト、海岸ニ埋立デモ致シマシテ、船ノ極ク便利ノ宜イ所ニ倉庫ヲ拵ヘナケレバ、中々偏僻ノ所ニ倉庫ヲ建テヽ荷物ヲ身体デ揚ゲタリ下シタリ運賃ヲ掛ケタラ、矢張リ品物ガ高クナルカラ引合ハナイ、此設立ハ公
 - 第23巻 p.376 -ページ画像 
設ニナサルトモ又私設ニナサルトモ、ソコハ御相談ノ上デ何レニシテモ宜カラウガ、併シ斯ウ云フモノハ、私設ニナル方ガ適当デハナイカト思ヒマス、先ヅ保税倉庫ノコトハ白耳義辺リデモサウ一様ニナツテハ居リマセヌ、公設モアリ民設モアリマス、何方ニシテモ其コトハ後廻ハシトシテ先ヅ設置ノ御確定ヲナスツテ其上ノコト、兎モ角モ是レハ貿易拡張ノ為メニハ欠クベカラザルモノト考ヘマスルカラ、原案ノ通リ可決スルコトヲ私ハ希望致シマス
○十四番(金子堅太郎君) 私モ簡単ニ意見ヲ陳ベマスガ、本案提出ノ時ニ民設・公設・官設ト云フ論モ考ヘマシタケレドモ、其設立ノコトマデモ極メテ出スト云フコトハ、余リ細カク渉リマスカラ、設置ノ要否ト致シマシテ、此事ヲ実業ニ経験ノアル御方ニ伺ヒマシテ、ソレヨリシテ、諸君カラ此方法ヲ伺ツテ、政府ニ於テモ其方法ノ如何ニ付テ将来ノ方針ヲ決スルト云フ考デ、別ニ方法ヲ示サズシテ置キマシタ所ガ、唯今ノ議場ノ景況ニ拠リマスレバ、異口同音設立ニ就テハ御賛成ガアルヤウニ思ハレマスカラ、此要否ノコトハ喋々論ズル必要ハゴザイマセヌガ、唯今三番カラ御建議ガアツテ、先ヅ要否ノ決ヲ採ルト云フコトデアリマス、又此処デ何レ御論究ニナルダラウ、既ニ御論究ニナツタ御方モアリマスガ、一言私ガ申陳ベテ置キタイト思フノハ、政府デヤルト云フハ甚ダ困難ナコトヲ一応御参考マデニ申上ゲタイト思ヒマス、御承知ノ通リ明治元年カラ総テ税関倉庫ト云フモノハ、五代友厚氏ガ千万円ノ金ヲ掛ケテ計画シ居ラレタガ、不幸ニシテ時機ガ早カツタカ五代氏ノ計画ト云フモノガ行ハレナカツタ、是ハ海外貿易ガ発達シナカツタカラデアラウト思ヒマス、今日ハ山本氏ガ神戸ヲ代表シテ神戸ノ有様ヲ陳ベラレマシテ横浜ヨリハ輸入ノ物品ガ多イ、然ルニ税関ノ倉庫ガ狭隘デアルカラ困ルト云フコトデアリマシタガ、実ハ一昨年大蔵省ニ於テハ税関ノ建増ノコトヲ議会ニ持出シタノデアリマスガ、議会ハマダ是ヨリモ他ニ急要ナコトガアルト言ツテ否決シマシタ、政府モ税関ノ建増ノ必要ハ感ジテ居ル、併シ目下海外留易ノ膨脹スル時機ニ際シ、実業家諸君ノ満足ナサルダケノ建物ヲ建テヤウト言ヘバ、大変ナ予算ヲ組マナケレバナラヌ、独リ三府五港ノミナラズ、是カラ段々起リマスル輸出場ニモ建テルト随分経費ノ点ニ於テ多額ニナルダラウト思ヒマス、而シテ議会ニ毎年毎年出シタ所ガ、目的通リ悉ク通過スレバ実業家諸君ノ満足ハ勿論、日本ノ海外貿易ニ適当ナルコトデアリマスケレドモ、如何セン議会ト云フモノハ、御承知ノ通リ悉ク政府ノ意見通リニモナラナイカラ困リマス、ソレカラ仮リニ議会デモ、此意ヲ能ク諒シテ呉レルト云フコトガアツテモ、官府ニハ自ラ官府ノ規則ガゴザイマシテ、会計ノ手続キニ基イテ上ハ長官ヨリ下ハ小吏ニ至ルマデ、ソレゾレ規則ヲ守ラナケレバナラヌ、之ヲ守ルトキニハ矢張リ極急要ノ時ニ引出シタイト思ツテモモウ既ニイカヌ、是ニハ長官ナリ総テノ印形ガ要ルト云フヤウナ訳デ、諸君モ御承知ノ通リ官府ニハソレゾレ規定ガアルカラドウモ会計官吏モ仕方ガナイソレデドウシテモ此点ニ於テハ実業家諸君ノヤウニ敏活ナル訳ニハ参リマセヌ、今日日本ノ実業ノ発達、海外貿易ノ発達ト云フモノ、
 - 第23巻 p.377 -ページ画像 
実業ニ経験アル諸君ノ御考ハ如何デアルカ知リマセヌガ、本員ノ考ヲ一ツ申陳ベマスレバ、今日日本ノ倉庫会社ハ民設トシテ、ソレヲ政府ガ監督シテ国家的ノ観念ヲ以テ、是ダケハ政府デ担保シテ呉レイ、例ヘバ火災保険ノ為メニハ十分堅牢ナルモノヲ拵ヘテ雨露ニ堪ヘルコトニ致シ、ソレカラ之ヲ引出スノニハ倉庫ノ東西南北ニ軽便鉄道ヲ敷イテ、四方カラ出シ入レヲスルト云フヤウニシテ、所謂貨物保険ノ点、ソレカラ脱税ト云フヤウナ大キナコトダケヲ保証シテ其他ハ普通ノ会社ノ如ク輸出入上ニ便利ヲ与ヘルト同時ニ之ヲ奨励シ、又倉入証書ニ便利ヲ与ヘテ銀行者ガ満足スルダケノ構造ヲ完全ニスルト云フコトニシテ、ソレデ私ハ今日ハ飽マデ民衆ノ発達ヲ計ルト云フコトヲ希望スルノデアリマス、之ヲ一々官デスル市デスルト云フコトハアルマイト思フ、デ市ノ事業ハ是亦政府ノ事業ト同ジク是ハ尚ホ法律ニ基イテヤラナケレバナラヌ、ソレ故ニ敏活ナル商業社会ニ於テハ、是ハ諸君ノ前デ申スノハ釈迦ニ説法デハアリマスケレドモ、商業社会ノ有様ヲ観察スルニ、此倉庫ノ便益ヲ御認メナサルダケノ敏活ナル働キヲサセヤウト言ヘバ、政府デハ国家的ノ観念ヲ以テ之ガ監督ヲスルダケニシテ余リ窮屈ナル規則ヲ立テズ、又左ラバト云ウテ雨露ニ晒ラスト云フヤウナコトハシナイデ、時機ニ応ジテスルヤウニシタ方ガ宜イ、其間ニ今日ノ貿易ノ度合ヲ計ツテ会社ヲ設立ナサレルト云フコトハ、私ハ今日適当ノコトデアラウト考ヘル、然ラバ今在ルモノデハドウカト云フト、既ニ税関ノ近傍ニ倉庫会社ガアツテ、是ナラバ今少シク監督及奨励スレバ漸次立派ナ保税倉庫ニナルト云フ神戸・横浜アタリノ倉庫ノ如キモノハ、其倉庫ニ依ツテスルト云フ位ノ度合デ御決議ニナツタラ、此以上ハ私立トシテ建テラレタナラバ如何デアラウカト私丈ハ考ヘテ居ル、是等ノコトハ諸君ハ私ノ説ヲ御聴キニナラヌデモ疾クニ御胸算アルコトト存ジマス、政府トシテ官立ニスレバ随分窮屈デ便利ヲ与ヘヌト云フコトガアル、併シ是モ私立ノ会社ニ御関係アル御方ハ能ク御承知デアラウト思ヒマスカラ、其御意見ヲ窺ヒタウゴザイマス
○議長(伯爵佐野常民君) 此設置ノ要否ニ付キマシテ、唯今マデ此意見ノ出マシタノハ、誠ニ緊要ノ事件デアルト云フ此説バカリデゴザイマシテ、モウ別段此可否ヲ決ニ採リマセヌデモ宜シカラウト存ジマスガ、又自然是ニ付イテ反対ノ意見ヲ御持チニナツテ居ル御方ガゴザイマスレバ、唯今ドウゾ御論述ナサル方ガ大キニ都合ガ宜シカラウト思ヒマス、其反対ノ御意見ガナケレバモウ可決シタト認メマス、愈々是ヲ要スルニ付イテノ方法ハ、最急最要ナル所カラ手ヲ下スコトヲ希望シマス、宜シク篤ト御協議ニナリマシテ、若シ反対ノ御意見ガゴザイマスナラバ、唯今……
○五番(原善三郎君) チヨツト一言述ベタウゴザイマス、別段異論ト云フ訳デモ何ンデモゴザイマセヌガ、ドウモ私ノ考デハ此案ハ少シ税関ノ輻輳ノ為ニ混雑スルコトガアリマス、旁々政府ニ対シテ急速ニ取扱人ノ御注意ヲ願フ建議ノコトト、又此御諮詢ニ対シテノ決議ト云フ論ト、ドウモ混ジテ居リマスヤウニ考ヘマス、ドウモ双方共ニ必要デアラウト思ヒマス
 - 第23巻 p.378 -ページ画像 
○十六番(益田克徳君) 要否ダケノ決議デスナ
○議長(伯爵佐野常民君) 唯今申シマスルノハ設置ノ要否デス
○五番(原善三郎君) 此方ハ更ニ原案ニ御決定ニナリマシテモ、モウ大抵御不同意ハナイヤウデゴザイマスガ、其前御論ジノ中ニ当時神戸ヨリハ少シク横浜ノ方ガ届イテ居ル、ソレガ為ニ神戸ヘ廻ス荷物モ横浜ヘ態々廻シテ、ソレカラ名古屋ヘ又後戻リスルト云フ場合ハ是ハドウモ政府ノ御取扱ノ所ヲ一ツ建議致サナケレバナルマイヤウニ考ヘマス、此二ツニ御極メ下サルコトヲ願ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) ソレハ第二ニ致シマス、本案ハ倉庫設置ノ要否ト云フノ問題デアリマスカラ、其不要ト認メル御方ガゴザイマスレバ唯今御論ジ下サイ
○五番(原善三郎君) ドウカ其決ハ二ツニ御採リ下サルコトヲ願ヒマス、サウ致シマスト、第三ノ御諮問案ニ付イテハ、モウ不同意ハゴザイマスマイ、ケレドモ此余リ貿易ノ為ニ不利益ヲ感ジマスノハ、税関ナリ、或ハ鉄道デ荷物ノ取扱ガ不注意カラ国益ノ妨ゲヲ致スト云フコトハ、是ハドウ致シマシテモ高等会議カラ政府ヘ建議スルコトガ宜イト思ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) 今五番ノ御説ハ少シ違ツテ居リマスル、最前ノハ保税倉庫ノ設置ガ善ク出来テ居レバ不便ハナイト云フ説デ、併シ税関ノ取扱上ニ付イテ不便ヲ感ズルコトガアツテ建議ヲスルト言ヘバ、ソレハ別ニ……
○五番(原善三郎君) 保税倉庫ガ出来テ居レバ、サウ云フ不便ハナイト云フコトハソレハ少シ分リマセヌ
○議長(伯爵佐野常民君) ソレガゴザイマス
○五番(原善三郎君) 保税倉庫ト云フモノハナケレバナラヌモノデアツテ、貿易ノ為ニ設立スルモノデ、此倉庫ガ出来マシテモ、今ノ貨物ガ輻輳シタ場合ニハ先キニ積ンダ荷ハ出セナイト云フコトガ唯今ノ有様デハドウシテモ出来マス
○議長(伯爵佐野常民君) 其税関ノ取扱方ニ不便ガアルカラ、ソレヲ建議シタイト云フコトハ此問題外ニナリマス、ソレハ別ニ御提出ニナツテ充分此方デ討議ヲ尽シテ、サウシテ税関ノ方ハ斯ク斯クノ取扱ガ不便ノ為ニ輸入ノ場合ニ難儀ヲスル、斯ウ云フコトガアレバソレハ一ツ此問題ト別ニナツテ、丁度アナタノ御意見ノ通リ別ニシタガ宜シウゴザイマス
○三番(藤田伝三郎君) 前ニ述ベマシタ如ク、兎ニ角本案ノ要否ヲ多数ニ御問ヒヲ希望致シマス
○議長(伯爵佐野常民君) 宜シウゴザイマス、念ノ為メソレデハ此可否ヲ御尋ネ致シマス、即チ御設置ヲ必要ト認メル御方ハ、ドウゾ御起立ヲ願ヒマス
  起立者  多数
 全会一致デゴザイマス、ソレデハ是ヨリ設置スルニ付イテノ方法デスガ、是ニ付イテ追々御意見モアラバ、尚ホソレヲ充分ニ御研究ヲ願ツテ、又……
○七番(益田孝君) 九番ノ建議案ニ賛成者ガゴザイマスガ、御採用ニ
 - 第23巻 p.379 -ページ画像 
ハナリマセヌカ
○議長(伯爵佐野常民君) 又其コトハ御尋ネヲ致シマス
○十一番(渋沢栄一君) 設置ニ付イテノ方法ヲ極メタ後デナサル方ガ宜カラウト思ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) 今ノ九番ノ建議ニハ神戸ニハ倉庫会社ガアル、ソレヲ……
○十一番(渋沢栄一君) デハナイデセウ、唯今九番ノ申シマシタノハ至ツテ急場デアル、縦令是ヲ設ケラレルニセヨ、神戸ハ輸入品ガ多イノニ斯ル不便ガアル、其不便ヲ癒スルダケノコトヲ今ニ於テ調査シテ欲シイト斯ウ云フ意思デ、ソレヲ七番ガ敷衍シテ申サレタノデ丁度合体ノ建議見タヤウデアリマス、ソレハ保税倉庫デモ出来レバ自ラ其不便モ取レルコトデアラウガ、マダ其間一方ノ実施マデニ随分輸入品ナドガ急激ニ進ンデ来ル、貿易上ニヱライ迷惑ガアル、ソレマデノ間ニ税関ノ御注意ヲ請フト云フコトハ、此会ニ於テ申上ゲテ置クガ宜イデアラウト云フコトノ一ノ建議ヲ致スガ宜シカラウト思フ、ソレヲバ此方法ヲ定メタ後デ決ヲ御採リナサルヤウニト云フノデ、私共ハ其方ヲ賛成致シマス、後デ決ヲ御採リナスツタラ宜カラウト思ヒマス
○四番(男爵鈴木大亮君) 議事規則ノ第五条ニ「議員建議案ヲ発議セントスルトキハ、案ヲ具シテ議長ニ提出スベシ」トゴザイマス、矢張リ書面デナケレバナラヌト思ヒマスルガ、以来ハ口頭デ宜イノデスカ
○議長(伯爵佐野常民君) ソレハ口頭デモ宜シウゴザイマス、何レ此方デ御議シニナリマシテ愈々決議ニナリマスルトキニハ、確カトシテ案ガ出来マスルカラ……
○十四番(金子堅太郎君) 私ハ丁度第二ノ問題ニ御移リデゴザイマスカラ、チヨツト意見ヲ陳ベテ置キタウゴザイマス、此神戸ノ税関ハ殊ニ今不便ガ多イカラ、此救治法モ此保税倉庫ト一緒ニヤツテ貰ヒタイト云フ論ヲスルトキニハ、一体保税倉庫ノ組織及其方法ト混同シテ往ク、始終今ノコトヽ将来ノコトヽ混同スルト、迚モ議決スルマデニハ余程時間ガ掛ルト思ヒマス、我々ノ考ヘマスノニ、今ノ不便ハ不便トシテ、後トデ幾ラモ建議ガ出来ルカラ、大蔵省ナリ又ハ主務大臣ナリ、ドコナリニ建議スルコトニナラウ、兎モ角モ必要ト認メルコトヲ今決議ニナツテ、扨テ私立トスルナラバ、今ノ不便ハ眼中ニ置カズシテ、国家永遠ノ輸出入ニ利益ヲ与ヘル倉庫ハドウスルト云フコトヲ決議シタ後デ、将来斯ウナルガ目今斯ノ如キ不便ガアルト云フコトハ、ソレハ主務大臣ニ於テ注意ヲシテ貰ヒタイト云フ建議ヲナサルト云フコトヲ希望致シマス、サウセヌト議論ガ甚ダ多岐ニ渉ルダラウト思ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) 唯今十一番カラモ御説ノゴザイマス通リニ七番カラノ御言葉ハ、方法ガ議定ニナリマシタ後トデ宜シウゴザイマセウ
○二十番(広瀬宰平君) 然ラバ後トノ方法ニ付イテ申上ゲテ宜シウゴザイマスカ
 - 第23巻 p.380 -ページ画像 
○七番(益田孝君) 私ハ逃ガレ難イ用事ガゴザイマスカラ、是ヨリ退席ヲ……
○議長(伯爵佐野常民君) 宜シウゴザイマス
   〔是ニ於テ七番議員退席ス〕
○二十番(広瀬宰平君) 早既ニ唯今ノ要用ノ御意見ヲ拝聴致シマシタ十四番ハ段々我々ノ注意ノ為メ御説明ガゴザイマシタガ、詰リ私ノ考ヘルニハ、ドウシテモ民設会社ニシタイ、外国ニ匹敵スベキ倉庫会社ガ出来ルコトハ、政府デスルカ民設デスルカ何レガ宜イカト云フト、政府デハ却ツテイケナイト確信シテ居リマス、今日迅速ニ運ブコトハ会社法ヲ以テスルモ、之ニ応分ノ保護ヲ与ヘルカ、独立ニシテ往クカト云フコトノ二段ニナリマス、之ヲ一ツ市デ建テルト云フ御説モアリマスガ、市ト政府ト民設ト此三ツニ分ケマシテモ、無論斯ウ云フコトニ通ジテ居ル人ガゴザリマセウケレドモ、利益上ノコトニ関シマシテハ市デハ大変困ルコトガアル、如何ニモ市ニ就テノ害ガ大変アリマス、之ヲ会社ニ持タシメレバ私スルト云フコトハドウモ仕様ガナイ、是等ハ即チ利益ニ関スルコトデアルカラ政府デナサルコトモ急ニ運ブマイ、良シ出来テモ又出来タ暁ニ規則責メニナツテハ営業上自由ヲ与ヘルコトガ出来ナイ、ソレ故ニ市デ持ツコトハ不賛成デアル、之ヲ民設ニシテ、ドウゾ利益ヲ望ムナラバ、如何ニモ今日貿易ノ膨脹ニ対シテ堪ヘラルヽダケノ倉庫ヲ設立スルヤウニ、是非民設ニスルガ宜カラウト思ヒマス、唯簡単ニ一言シテ置キマス
○四番(男爵鈴木大亮君) 先キニ第三ノ諮問案ハ決定致シテ居リマスルガ、扨テ此方法ト云フコトニナリマスルト、余程複雑シヤウト思ヒマス、第三諮問案ハ決定シテ居リマスノデゴザイマス、サウスルト是デ論ガ尽キテ居ルノデアリマスカラ、更ニ其方法ハ案ヲ具ヘテ御議シニナリマシタ方ガ、議事ノ進行上都合ガ宜イト思ヒマス、此処デ方法ノ意見ヲ出スコトニナレバ余程錯雑シテ纏リガ付キ難イト思ヒマスカラ、矢張是ハコレデ農商務大臣ヘ御出シニナリマシテ、更ニ此倉庫ヲ設ケル方法ニ就テハ、諮問案ヲ改メテ御発シニナツタ方ガ、大変議事ノ進行上ニ都合ガ宜カラウト考ヘマスカラ、少シ問題ガナクナツテ仕舞ツタデスカラ、此方法ハドウスルカト云フコトハモウ一遍案ヲ改メネバ、コヽニ物ガナクナツテ居リマス、併シ議長カラ御宣告ニナリマシタラ差支ハゴザイマセヌカ知レヌケレドモ案ノナイノニ案ヲ拵ヘテ議スルト云フト、錯雑シテ却テ捗リガ悪ルイカト思ヒマス故ニ、案ヲ改メテ方法ニ就テ諮問案ヲ御発シニナル方ガ、却テ好都合デハナカラウカト思ヒマス
○二番(藤田四郎君) 既ニ十四番カラシテ方法ヲエ議シテ貰ヒタイト云フ話ガゴザイマシテ、幹事カラモ其説ガゴザイマス、デ大体ニ於キマシテ必要ト云フコトハ極リマシタカラ、尚ホ其方法ニ付イテ更ニ議スルト云フコトニナリマシタ以上ハ、或ハ議事ノ便宜ニ拠リ議事規則ノ十一条ナドニ拠リマシテ、先ヅ其方法ニ付イテノ案ヲ夫々……尤モ此コトニ御精シイ方ヲ議長ニ於テ委員ニ御撰ビナサレ、其人カラ此会ニ向ツテ其案ヲ報告セラレテ、ソレカラ議シマシタラバ
 - 第23巻 p.381 -ページ画像 
別段四番ノヤウナ御心配ハナカラウト思ヒマス、又改メテ農商務大臣ヨリ方法ヲト云フテモ、或ハ三日前トカ四日前ニ諮問案ヲ出スト云フ不便ガナクツテ、実際事ハ得ラレヤウト思ヒマスカラ此コトヲ……
○十一番(渋沢栄一君) 二番ノ御説ノ委員ヲ作ルト云フコトニ御同意シマス……
○二十番(広瀬宰平君) 私モ委員説ニ賛成
○四番(男爵鈴木大亮君) 委員デモ設ケマシテ一案ガ出来マスレバ、四番モ一向異議ハゴザイマセヌ
○二番(藤田四郎君) サウ致シマスレバ議長ニ於キマシテ、三名又ハ五名ノ委員ヲ御選定アルコトヲ希望シマス
○議長(伯爵佐野常民君) 何レ今ノ御演説ニナリマシタ通リ委員ニ御苦労ヲ願ツテ、其案ガ出来レバ宜シウゴザイマスガ、今チヨツト本席デ考ヘマス所デハ、大体愈々ソンナラ民設ニスルガ宜イカ、或ハ市立ニスルガ宜イカト云フヤウナ御方ダケハ、此方デ御意見ガアラバ御論述ニナツテ、愈々民設ガ宜ケレバ宜イト云フ大体ノコトガ極リマシタ所デ、委員ノ御方ニ御附托ヲスルト云フ方ガ、或ハ宜シカラウ、ソレデ今民設トカ官設トカドウトカ云フコトダケノ大方ハ、序ニモウ少シ御討議ニナツテハドウデゴザイマスカ
○四番(男爵鈴木大亮君) 少シムヅカシウゴザイマセウ、矢張ドチラガ宜カラウト云フコトヲ決シマスト、詰リ其方法ニナル訳デゴザイマスカラ、細カナ手続マデハ能ク考ヘタ上デゴザイマセヌケレバ或ハ至難ノコトカト考ヘマス、イツソ委員ヲ御選ミニナリマシテ、成案ヲ持出シマシタ方ガ、却ツテ議事ノ進行上都合ガ宜カラウト思ヒマス
○一番(大倉喜八郎君) 一番モ賛成シマス
○十五番(浜岡光哲君) 十五番モ矢張四番ト同意見デゴザイマス、私設ト云フコトハ余程意見モゴザイマス、全ク委員ニ託シテ愈々私設ニスルナリ官設ニスルナリ、保税倉庫ト云フモノヲ設立スル必要ハ決シテ居リマスルデ、其方法如何ハ総テ細カシク分ツタ方ガ却ツテ当ヲ得タモノト思ヒマス、唯今コヽデ論ジマシテモ誠ニ漠然タル訳デゴザイマス、ソレガ決シマシタ所デ、誠ニ事実ニ適セヌヤウナモノガ出来ハシマセヌカ、私ハ矢張四番ト同意見デゴザイマス、此儘私設ニスルナリ、或ハ官設ニスルナリ、各員ガ提出シテ造ル方法ハ総テ其委員ニ任シタ方ガ宜シカラウト思ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) 夫レデハ唯今四番ノ御発議デ此方法ヲ取調ベマスル為メニ、委員ノ御方ニ御附託スルト云フコトニ別ニ御意見ガゴザリマセネバ、其通リニ決シマス
○一番(大倉喜八郎君) 意見ハアリマセヌ
○議長(伯爵佐野常民君) 然ラバ左様決シマシテ、委員ノ御方ハ後ニ申上ゲルコトニ致シマス、今ノ方法ハ委員ニ御相談致シマスルガ、モウ一ツ九番ノ御発議ニナツテ居リマスル、今日ノ急ニ応ズル仕方即チ保税倉庫ノ出来マスマデノ急ヲ救フヤウデナケレバナラヌト云フ御意見、夫レハドウ致シマセウカ、今ノ方法ノ定マリマシタ上デ
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スル方ガ宜カラウト思ヒマスルガ、夫レハ夫レデ別ニ御議シヲ願ヒマセウカ
○十四番(金子堅太郎君) 私ハ先ツ農商務大臣ノ御諮問案ヲ先ニ議シマシテ、議員カラ御提出ニナル建議案ハ後廻ハシニナツタ方ガ宜カラウカト思ヒマス、又建議案ハ御経験ノアルコトヤ、今日ノ状況カラ目下不便ヲ御考ヘニナツテ居ルコトナドモ色々アラウカト思ヒマスルカラ、其建議案ハ諮問案ノ済ミタ後デ御提出ニナル方ガ宜カラウト思ヒマス、又其前ニ議スルト云フナラバ案ヲ作ツテ御出シニナラバ、吾々モ能ク考ヘマセウガ、兎ニ角諮問案カラ先ニ議シ了ツタ方ガ宜カラウト思ヒマス
○三番(藤田伝三郎君) 十四番ノ述ベラレマシタ如ク、段々建議モ多クナリマシタラ却ツテ一緒ニナリマシテ混雑致シマセウカラ、十四番説ヲ賛成シマス
○十五番(浜岡光哲君) 唯今十四番ノ説モアリマスケレドモ、取敢ヘズサウ云フ建議ガアリマスナラバ、一通リ書面ヲ作ツテ提出サレルコトヲ希望致シマス、此間ニ挿ンデ議決シテ置カナケレバナラヌ、此御諮問案ニ聯帯スルコトガアルカモ知レナイ、詰マリ御諮問案ノ後ナリ前ナリト云フコトハ止メマシテ、兎ニ角建議案ハ書面デ出シテ貰フコトニシタイ
○九番(山本亀太郎君) 先刻保税倉庫ノコトニ就キマシテ意見ヲ述ベマシタガ、少シク弁ガ届キマセヌデ、或ハ御聴取方モ私ガ申シタノト違ツテ居ルヤウニ思ヒマス、此御諮問案ハ保税倉庫設置云々、夫レニ就イテ官設ニスルカ、私設ニスルカト云フ御問デゴザリマス、官ノ設置ニスルト、九番ノ説ハ、目下ノ有様ヲ述ベマシテ間ニ合ハナイ、随ツテ此事ハ一日モ欠クベカラザルコトデアルカラ、成ルベク早ク保税倉庫ノ実施ヲ願ヒタイ、神戸市内ニモ一・二ノ倉庫会社モアリマスカラ、其倉庫会社ニ十分責任ヲ負ハシテ、此実施ヲ至急シテ貰ヒタイト云フコトヲ述ベタノデ、目下ノ急ヲ斯ウシテ貰ヒタイト云フ精神デハナイ、官設ナリ私設ナリ倉庫ヲ設ケ云々ト云フコトガアリマスガ、一期半期ノ中ニ迚モ手ハ着キマスマイカラ、現在アリマス倉庫会社ノ中デ御撰択ニナリマシテ、相当ノ責任ヲ負ハシテ此事ヲヤラシタラ宜カラウト云フ精神デ述ベタノデ、目下ノ急ヲ救ウ方法ヲ採ツテ貰フト云フノデハゴザリマセヌ
○議長(伯爵佐野常民君) 九番ノハ、唯今其方法ガ何カ附キマシテ、例ヘバ民設ニナツテ監督ハ斯ウデアル、保護ハ斯ウデアルト云フ方法ガ附キマスレバ、即チ神戸ノ倉庫会社ガ其雛形ニ拠ツテ出来マスレバ、別ニ面倒ナコトニナリマセズ、其権利ヲ得ルヤウニナリマスカラ、他ニムツカシイコトハゴザリマスマイ
○九番(山本亀太郎君) 夫レデ分リマシタ
○議長(伯爵佐野常民君) 夫レデハ第三ノ議事ハ是レデ結了致シマシタ
○中略
○議長(伯爵佐野常民君) ○中略 今日ハ既ニ十二時モ過キマシタカラ、是レデ散会シマスガ、先刻御議決ニナリマシタ委員ヲ議長ニ於テ撰
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ミマシタカラ申上ゲテ置キマス、一番大倉喜八郎君・五番原善三郎君・十一番渋沢栄一君・廿番広瀬宰平君・廿一番添田寿一君、此五名ノ御方ニ御苦労ヲ願ヒマス
  午後零時五分散会


第一回農商工高等会議議事速記録 第一六一―一六六頁 明治三〇年四月刊(DK230038k-0002)
第23巻 p.383-386 ページ画像

第一回農商工高等会議議事速記録  第一六一―一六六頁 明治三〇年四月刊
明治二十九年十月二十一日(水曜日)午前九時四十分開議
          出席者
            議長  伯爵 佐野常民君
            一番     大倉喜八郎君
            二番     藤田四郎君
            三番     藤田伝三郎君
            四番  男爵 鈴木大亮君
            五番     原善三郎君
            七番     益田孝君
            八番     安藤太郎君
            九番     山本亀太郎君
            十番     中上川彦二郎君
            十一番    渋沢栄一君
            十四番    金子堅太郎君
            十五番    浜岡光哲君
            十六番    益田克徳君
            十七番    藤井三郎君
            十八番    森村市左衛門君
            十九番    土居通夫君
            二十番    広瀬宰平君
            二十一番   添田寿一君
          欠席者
            十二番    近藤廉平君

○議長(伯爵佐野常民君) 諸君、会議ニ取掛リマスル前ニ、一言諸君ニ陳ベタウゴザイマス、偖諸君ノ御苦労デ追々此諮問案モ進ンデ参リマスガ、前日開会ノ節、農商務大臣ヨリモ此諮問案ノ外ニ、尚必要ナルコトニ就キマシテ御意見ガアレバ、ドウゾ十分御提出ニナリタイト云フコトノ請求ガゴザイマシタヤウニ思ヒマス、勿論外国貿易ニ就キマシテ、経済上極メテ必要ト御認メニナツテ居ル事件ガ諸君ニハ多分ゴザイマセウ、サウ云フ何カ建議ニナラウト云フ御意見ヲ御懐抱ノ御方ハ、随分御用モ多イ諸君バカリデアリマスカラ、其案ヲ御提出ニナラウト云フ御暇モナケレバ、其御趣意ヲ能ク御話ニナリマシテ、其案ヲ作リマスルヤウナコトヲ、幹事ニ御申談ジナリマシテモ宜シウゴザイマス、ドウゾ其御懐抱ノ御方ハ十分ノ御意見ヲ御提出ニナルコトヲ常民ハ希望致シマス、チヨツト其事ヲ申シマス……昨日五名ノ委員ニ御苦労ヲ願ヒマシタ、其委員ヨリ調査ノ上報告ニナリマシテゴザイマスカラ、唯今朗読ヲ……
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   〔有賀幹事朗読〕
    第三諮問案委員決議
  本会ハ保税倉庫ノ設置ヲ必要トシ、政府ニ於テ確実ト認ムル私設ノ倉庫会社ニ向テ相当ノ監督法ヲ設ケ、海関税徴収上其他ノ便宜ヲ付与セラレ、以テ年ヲ逐テ増加スル貿易ノ必要ニ応ズルノ法策ヲ運ラサレンコトヲ望ム
  右及報告候也
   明治廿九年十月廿日
                   委員 大倉喜八郎
                   同  広瀬宰平
                   同  原善三郎
                   同  渋沢栄一
                   同  添田寿一
    農商工高等会議々長 伯爵 佐野常民殿

○十一番(渋沢栄一君) 此保税倉庫ノ御諮問案ニ就キマシテ、昨日会議ノ結果委員ニ附托ニ相成リマシテ、今名前ヲ申上ゲマシタ通リ大倉君・広瀬君・添田君・原君・私ノ五名ノ委員ガ選バレマシテゴザイマスガ、短カイ時間ニ於キマシテ草案ヲ議シマシタ所ガ鄭重ナ調査ト云フコトハ為シ得ラレマセヌカラ、玆デ委員一同ニ代リマシテ私共ノ調査致シマシタ大要ヲ申シマス、元来此事柄ハ議案ノ全体ガ甚ダ必要デアル且ツ今日ハ時機デアル、即チ適否ニ於テハ適当ノコトト決定サレマシテ、是カラハ方法如何ト云フコトニナリマス、而シテ方法ヲ細カク調ベルト云フコトニナレバ、例ヘバ独逸ニ行ハレテ居ル「どつく・うあらんと」デアルトカ、或ハ上海ニアル「ぼんでつど・うえやーはうす」等ノ制度ニ模倣シテ設ケネバナラヌモノデアラウト考ヘマス、併シ何ニ拠ツタラ一番善イカト云フコトハ、委員ガ最モ協議ヲ致シタ要件デ、例ヘバ官設ガ宜カロウカ、或ハ市立ニスルト云フヤウナ仕組ニ拠ルカ、若クハ民設会社組織ニ依テヤラスルガ宜カロウトカ云フ、ソレ等ノ三ツノ手段ニ就テハ種々審議ヲ尽シマシタ、果シテ官設ヲ否トスル訳デハアリマセヌガ、素ト業体ガ貿易ニ属シタモノデ先ヅ商売ガ主デアルノデ、成ルベクダケ事柄ノ便利ヲ図リ、又其拡張ノ場合ニハ元資金・企業資本抔ヲ殖ヤシテ行カウト云フニ大ニ時間ヲ費シテ、急ニ運バヌト云フヤウナコトハ成ルベクナイヤウニ致シタイ、彼此考ヘテ是《(見カ)》レバ、民設ガ一番宜カラウト云フ方ノ考案ガ立チマシタノデアリマス、去リナガラ事柄ハ元ト元ト保税倉庫デアリマシテ、政府ガ握ツテ居ル関税ニ関シタコトデアルカラ、政府ノ相当ノ監督ニ基イテ営業スル……政府デ相当ノ監督ヲ以テヤラセタ方ガ宜カラウト云フコトノ意味ヲ加ヘマシタ、又成ルベクダケ便宜ヲ与ヘルト云フコトハ既ニ関税ニ附帯シテスル仕事デアルカラ、税関ノ管理等ニ於テ余リ面倒ナコトニナリマシテハ会社ノ営業上ニヱライ手数ヲ掛ケテ、為メニ荷主ニ迷惑ヲ掛ケルヤウナコトガアルデアラウカラ、成ルタケサウ云フコトノナイヤウニ致シタイ、又或ル場合ニハ其土地ニ依テ、此会社デ為シ得ラ
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ルヽ便宜ヲ与ヘルト云フコトハ、其貨物ノ取扱ヲ成ルタケ安イ価デ為シ得ラルヽヤウニシナケレバ、其事業一般ニ対シテ便宜ヲ与ヘナイト思フ、彼此ヲ斟酌致シマシテ、相当ノ便宜ヲ付与サレテ設ケルヤウニシタイト考ヘマシタノデ、詰リ方法ノ大体デゴザイマシテ、精神ヲ陳ベマスニ過ギマセヌ、ソレダケノコトデ委員ノ見込ニ於テハ方法ノ大趣意ガ分ルダラウト考ヘマシタノデ、斯ノ如キ調査ヲ致シマシタ、其段ヲ一言陳ベマス
○九番(山本亀太郎君) 此第三御諮問案ニ対シテ、昨日委員ニ御附託ニナリマシテ、唯今委員諸君ノ御報告ヲ朗読ナリマシタガ、小員ハ是ヲ拝聴致シマシテ、誠ニ此節柄適当ノ御調査ト認メマスル、故ニ委員諸君ノ御報告ヲ賛成致シマス
○十五番(浜岡光哲君) 調査委員ヨリノ報告ヲ拝聴致シマシタガ、十五番モ或ハ報告通リニ私設ニスルト云フ方ガ、早ク起サセルト云フコトニハ便利ダラウト思ヒマス、元ト其方法等ニ付キマシテハ、委員ハ政府ニ其方法ヲ御任セニナリ、政府ノ御考デ或ハソレニ対シテ条例等ヲ置カルヽト云フヤウナコトニサレルデアラウト思ヒマス、今一ツ伺ツテ置キタイノハ、私設ニスルト何カ条例規則トカ云フヤウナ、是ヲ喚起ス方法ガアルマイカト思ヒマス、若シ調査委員ハ其辺ニ付イテ御考ノアツタコトガアリマスカ、今一応承ハリタウゴザイマス
○十一番(渋沢栄一君) 唯今十五番カラ、此保税倉庫ガ若シ私設会社トシテ成立チマシタトキニハ、規則トカ細カイ手続ニ付イテドウ云フ意見デアツタカト云フ御尋デアリマスガ、是ハ委員中悉クハ審議ヲ尽シタト云フ訳デハゴザイマセヌガ、姑ラク私ノ考ヲ以テ御答ヲ致シマス、仮リニ今ノ方法ニ決定致シマスレバ、当該官庁ニ於テハ成ルベクソレハ斯ウトノ望ガアレハソレヲ示サレルヤウニナリマセウ、又其取設ケモスルデアラウ、果シテサウ云フ仕向ケニナリマシタナラバ、一方ニハ相当ノ会社ガ設立セラレルデアラウ、又現ニ神戸ノ如キハ九番議員ナドハ是非神戸ニ在ル所ノ会社ニシテ、尚ホ足ラヌ所ハソレニ足シテデモヤリ得ルヤウニナラウト思フカラ、ソレヲ直グニ用ヰルガ宜カラウト云フマデノ御趣意モアツタノデ、其場合ニハ例ヘバ斯ウ云フ規則ニシタラバ宜カラウト云フコトハ、丁度前ニ申シマシタ独逸ニ行ハレテ居ル「どツく・うあらんと」或ハ上海ニ行ハレテ居ル「ぼんでツど・うえやーはうす」等ノ規則ヲ設ケラレルデアラウ、斯ク政府デ規則ヲ作ツテヤラセルトキニハ、其会社ト政府トノ間ニ、是ダケノコトヲ政府ガ監督スルトカ命令スルトカ云フコトニナリマセウ、ソレハ詳細ノ手続ガ出来ルト云フ考案デゴザイマス
○十九番(土居通夫君) 第三諮問案ニ関シマシテ、調査委員ノ報告ハ至極結構ナモノト考ヘマス、報告通リ賛成ヲ致シマス
○議長(伯爵佐野常民君) 諸君、唯今御聴キニナリマシタ通リニ、委員ヨリノ報告モゴザイマシテ、勿論設置スルコトハ極メテ必要ダ、就イテハ私設ニスルガ宜イ、又サウシテ政府ニ於テ相当ノ監督ヲ与ヘマシテ、成ルタケ其倉庫ノ方ニハ便宜ヲ与ヘルヤウニアリタイト
 - 第23巻 p.386 -ページ画像 
云フノ大意デアリマス、追々御賛成ノ御方モゴザイマスルデ、別ニ違ヒマシタ御意見ガゴザイマセヌナラバ、念ノ為ニ可否ヲ御尋ネ致シマス、此委員ノ報告ニ御賛成ノ御方ハ御起立ヲ願ヒマス
  起立者  全会一致
 全会一致デゴザイマス、ソレデハ是ニ決シマシテゴザイマス



〔参考〕明治財政史 同史編纂会編 第七巻・第四九〇―五一九頁 明治三七年一一月刊(DK230038k-0003)
第23巻 p.386-390 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。