デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
6款 農商工高等会議
■綱文

第23巻 p.390-409(DK230039k) ページ画像

明治29年10月20日(1896年)

是日第一回第二日ノ会議ニ於テ、重要輸出品販路拡張ノ一方法トシテ、商品見本ヲ在外帝国領事館其他ニ陳列スルノ適否並ニ方法ニ関スル諮問案審議セラレ、商品見本陳列ノ適当ナル旨可決サレ、其方法ハ当局ニ一任スルニ決ス。栄一之ニ出席シ賛意ヲ表ス。


■資料

第一回農商工高等会議議事速記録 第一三〇―一六〇頁 明治三〇年四月刊(DK230039k-0001)
第23巻 p.390-409 ページ画像

第一回農商工高等会議議事速記録  第一三〇―一六〇頁 明治三〇年四月刊
明治廿九年十月二十日(火曜日)午前九時三十分開議
          出席者
            議長  伯爵 佐野常民君
            一番     大倉喜八郎君
            二番     藤田四郎君
            三番     藤田伝三郎君
            四番  男爵 鈴木大亮君
            五番     原善三郎君
            七番     益田孝君
            八番     安藤太郎君
            九番     山本亀太郎君
            十番     中上川彦二郎君
            十一番    渋沢栄一君
            十三番    近藤廉平君
            十四番    金子堅太郎君
            十五番    浜岡光哲君
            十六番    益田克徳君
            十七番    藤井三郎君
            十九番    土居通夫君
            二十番    広瀬宰平君
            二十一番   添田寿一君
          欠席者
            十八番    森村市左衛門君
 - 第23巻 p.391 -ページ画像 
○中略
○議長(伯爵佐野常民君) 是レヨリ第四諮問案ニ移リマス……朗読ヲ致サセマス
   〔中林書記朗読〕
  第四諮問案
    重要輸出品販路拡張ノ件
本邦ノ輸出額ハ逐年増加スルニ従ヒ販路モ亦稍々拡張セラルヽト雖トモ、未タ広ク世界ノ各重要市場ニ向ヒテ我商品ヲ輸出スルノ盛況ヲ呈セス、偶之ヲ輸出スル者アルモ久シカラスシテ其販路ヲ失フニ至ル所以ノモノハ、主トシテ粗品ヲ高価ニテ販売シタルカ、若クハ此等市場ノ民衆ガ未ダ我商品ノ真性ト真価トヲ知悉セサルトニ原由スルモノ多シ、依テ海外ニ於ケル帝国領事館・公設博物館・商業会議所・私設陳列所又ハ確実ナル内外人ノ商店ニ我見本ヲ無料ニテ送付陳列シ、我商品ヲ購買者ニ媒介周知セシメ以テ新市場ヲ開発シ、販路ヲ拡張シ、併セテ直取引ノ便ヲ開キ直輸出ヲ隆盛ナラシメント欲ス、依テ玆ニ其適否及方法ヲ諮詢ス

〔左ノ参照ハ朗読ヲ経サルモ参考ノ為メニ掲載ス〕
 参照第一号
    コンラード氏国家学字典輸出見本陳列所中ノ一部意訳
 内地ニ設置スル輸出見本陳列所ハ、外人ノ来リテ之ヲ縦覧スルヲ待チテ初メテ其効用ヲ発スルモノナル故ニ、尚ホ進ミテ輸出先ノ地ニ於テ見本ヲ陳列、縦覧セシムルノ方法ヲ取ラサレハ、其効用未タ半ナリト云ハサルヲ得ス、外地ニ於テ自国ノ商品ヲ外人ニ縦覧セシメ延ヰテ購買心ヲ生セシムル方法(坐シテ顧客ノ来ルヲ待ツ所ノ輸出品見本陳列所ノ欠ヲ補フノ方法)ニ
  第一 外国ニ自国ノ輸出品見本陳列所(其設置地ヨリ見レハ輸入品見本陳列所ト云フヲ適当トス)ヲ設置スルコト
  第二 行商ヲ送ルコト(商品全般ヲ代表セル行商)
  第三 周行博覧会
 ノ三アリ、第一ノ方法ヲ最モ規則正シク実行シタル者ハ、仏蘭西及魯西亜トス、仏国ハ外国ニ商業会議所ノ設置ト此陳列所トヲ併行セリ、例セハ千八百六十九年ニ商業会議所ノ設置ニ附着シテRolaric (Argentinisen) Buenos Airesニ陳列所ヲ設立セリ、魯国ハ二年以来其領事官制度ヲ改正スルト同時ニ、東方諸邦ニ数多ノ陳列所、即チ第一ニコンスタンチノープル・テヘラン及サマルカンドニ、次テアレキサンドリア・孟買及北京ニ設置スルノ計画ヲナセリ、此等ノ模範トシテ見ルヘキモノハプカレスト(Bukerest)ニ設置シタル魯国ノ輸出品陳列所之レナリ、此陳列所ハ千八百八十九年ノ初メニ魯国ノ工業家カ団結シテ組織シ、魯政府ハ毎年一万ループルヲ補助セリ、尚又巴里ニ同様ノ陳列所ヲ設置スルノ計画アリ
 維也納輸出組合及ペストノ商業博物館ハ所謂ル代理者(Agentien)ナル者ヲ設ケタリ、維也納ヨリハテブリス(波斯国)・ゾラバヤ・バダング・漢堡及上海(領事ノ認可ヲ得テ)ニ、ペストヨリハソフヒヤニ之ヲ設ケタリ、又千八百八十八年及八十九年ニ於テ白耳義国ノ陳列所ヲコ
 - 第23巻 p.392 -ページ画像 
ンスタンチノープルニ、伊国ノ陳列所ヲカルカツタニ、伊国ノ陳列所ヲBuenos-Airesニ、英国ノ陳列所(南米ノ商業ノ為メニ)ヲ漢堡ニ設置セレタリ、又独国ハ器械陳列所ヲPiraus及リサポン(千八百八十六年伯林商業地理中央協会ニ依リテ)ニ設立シ、何レモ好結果ヲ得タリ、第二ノ行商ノ方法ハ、千八百八十二年ヨリ八十五年ニ於テ、維也納ノ輸出組合ガテヘラン及ソラバヤニ試ミテ好果ヲ得タル後、ドレスデンノ輸出陳列所ガ、カナダ及メキシコニ、瑞典輸出組合ガ印度ニ之ヲ試ミタルコトアルノミ
 千八百八十九年独逸敷物商組合カ、中央陳列所ヲ伯林ニ、陳列所支部ヲ外国ノ要地ニ設立セントシタル経過ハ、大ニ注目スヘキノ価値アリ

 参照第二号
    公第五十二号
 農商務省ニ於テ本館外五ケ所ヘ、本邦輸出重要品ノ見本ヲ送リ、汎ク公衆ニ縦覧セシメ商業的観察ヲ得度趣意ヲ以テ、其陳列所ノ有無ニ関シ照会有之タル趣ヲ以テ、何分ノ義至急申報可致旨去月七日付送第三十一号ヲ以テ御命令有之敬悉致候、抑モ商品見本ニ就テ商業的観察ヲ為スニハ其陳列方法ニハ十分注意ヲ要スル儀ト存候、第一其陳列所ハ商区中心ヨリ遠カラサルコト、第二陳列室ハ光明ニシテ広濶ナルヲ要スルコト、第三陳列方ハ極メテ整然ト清潔ヲ要シ、一見好感ヲ与ヘシムルコト、第四陳列ニハ相当ノ台机等ヲ要スルコト(若シ其陳列所稍々長期ニ及フ時ハ、物品ニ依リテハ玻璃箱・戸棚等ヲモ要スルコトアルヘシ)第五陳列品ノ各項説明ハ明白細密ニシテ且ツ好キ英文ヲ以テ書スルヲ要ス、以上ノ五点ハ其一ヲ欠クトキハ、汎ク公衆ニ縦覧セシメテ商業的観察ノ調査ヲ得ルニ満足ナル結果ヲ得ルコトヲ望ム能ハサル儀ト存候、而シテ第二・第三・第四ノ三点ニ就テハ其好果ヲ望ム程多クノ費金ヲ要スル儀ニ有之候処、当地ニ於ケル事情ハ左ノ通ニ有之候
 当館ハ二ノ小室ニ成リ、一ハ本官等ノ事務室ニ充テ一室ハ書棚・金庫等ヲ備置キ居候、一ハ本館ニ陳列セサルヲ得サル場合ニハ後者ノ一室ヲ使用スル外無之候、其広サ幅壱丈三尺・長サ二丈一尺ニシテ明カリハ生憎甚タ悪敷、見本陳列ニハ適当ノ室ニ無之候、又無代ニテ借受得ヘキ公設陳列場ノ如キモノニ就テ其筋ノ人ニ問合候処、当地ニハ更ニ可然適当ノモノ無之、当地商業者モ夙ニ其必要ヲ感シ居ルモ未タ其設立アルヲ見スト云ヒ、仮令又公設ノ場所アリトスルモ本邦ノミヲ利スルノ商品見本ヲ陳列スルニ無代価ニテ其場所ヲ借受候事ハ、果シテ当地ニテ可得事ナルヤ疑ハシク存候故ニ、最モ望マシキ儀ハ当市相当ノ場所ニ於テ、三階若クハ四階ニテモ大室ヲ三ケ月間許リ家賃ヲ払ヒ借受ケ、之ニ手ヲ尽シ陳列スルコトニ有之候、左スレハ第一ニ一ケ月七・八十留比(凡我三十五・六円ナリ)ノ借料ヲ要シ、第二ニ陳列スル台・机・箱類ヲ要スヘク、其入費ハ規模ノ大小ニ依リ五十留比ヨリ百留比(凡我二十二・三円ヨリ五十円マテ)迄ヲ要スヘク、若シ此等ノ費用及広告料ヲ同省ニ於テ支出候ハヽ、当業者ノ注意ヲ惹キ商況調査
 - 第23巻 p.393 -ページ画像 
上最好結果ヲ得ヘキコトヽ存候、若シ又タ前掲ノ費用支出難相成場合ニハ本館ノ小室ニ陳列スルヨリ外無之、左スレハ唯陳列台・机等ノ費用ト広告料ノ外ハ他ニ失費ヲ要セス、雇人料ノ如キモ本館雇人ヲ使用候ヘハ別ニ其費金ヲ要セス候、然レトモ此場合ニ於テハ目的ノ調査上、前条ノ場合ニ於ケル如キ好結果ヲ得ルヤ否ヤハ本官保証シ能ハサル義ニ有之候ヘハ、此儀予メ同省ノ注意迄ニ申上置候
 之ヲ要スルニ、本邦商品見本ヲ汎ク当地ノ当業者ニ示スコトハ本官ノ夙トニ勧告スル所ニシテ、今回農商務省ノ計画ハ至極賛成スル所ニ有之候ヘハ、一方ニハ深ク同省ニ於テ如此公益ノ事業ニ少費ヲ惜マサルコトヲ望ムト同時ニ、支出金ノ多少ヲ問ハス是非見本ノ送附有之様致度希望致候、此段及復申候 敬具
  明治廿八年六月廿四日   在孟買
                 二等領事 呉大五郎
    外務次官 林董殿
  追テ当地商業季節ハ十一月ヨリ三月迄ニ有之候ヘハ、諸見本品ハ可成十一月若クハ十二月ノ内ニ当地ヘ着シ、三月迄陳列致シ置クヲ最モ便利ト存候、為念申添候也

 参照第三号
 本年五月八日附送第二六号ヲ以テ、農商務省ニ於テ本邦輸出重要品ノ見本ヲ当館ニ送付シ汎ク公衆ノ縦覧ニ供シ度トノ義ニ付縷々御申越ノ趣敬承致候、然ルニ御来示ノ如ク当館内ニ陳列スルハ敢テ差支無之候ヘ共、差当リ之ヲ陳列スヘキガラス張戸棚其他新調ヲ要シ、且説明者ヲモ雇入ノ必要有之、一時多額ノ費途ヲ要シ、其上当館ハ市内僻隅ニ位シ、仮令新聞其他ノ方法ヲ以テ広告致候モ公衆ノ参館極メテ不便ニ有之候ニ付、良成績ヲ得ル事無覚束、且又当国ニハ公設陳列所ノ設置ハ勿論、商業会議所如キモノニシテ物品ヲ陳列スル等ノ設モ無之、僅ニ市立博物館一ケ所有之候得共、是迚モ午前十時ヨリ十二時迄開館シ参観者モ至テ僅少ニ有之候間、是又汎ク公衆ノ縦覧ニ難供候、就テハ従来当府ニ於テ本邦品売捌ニ従事致居候店舗ニ托シ其舗内ニ陳列セシメ候方可然ト存候間、一二店舗ニ就キ及内議候処何レモ好ンテ之ヲ引請、且我ノ都合ニ依リテハ該見本品ノ元価・運賃・雑費等ヲ算シタル価ヲ以テ引請ルモ不苦トノ返答有之候間、場合ニ依リテハ悉皆其ノ店舗ニ為引請、其ノ代価ヲ以テ第二ノ見本品ヲ仕入等ノ都合モ出来可申ト存候、依テ親敷当路者ニ就キ当国人ノ嗜好ニ適スル物品別紙ニ取調差進候間、右ニ準シ適当ノ品々至急御送付相成候様致度、而シテ右見本来着致候ハヽ直チニ注文致候向モ可有之候間、其際注文ニ難応歟或ハ見本品ト異ナル等ノ不都合無之様致度候、而シテ弥右物品御送出ノ節、右ハ当館ニ送ルヘキ見本品ナル旨、一応在横浜墨国総領事ウオルハイム氏ヨリ当国政府ヘ通牒ノ儀同氏ヘ御依頼相成、猶ホ其品書ハ英文ヲ以テ同氏ノ記名ヲ得候様御取計相成度、左スレハ当国税関ニ於テノ普通外ノ手数等相省ケ可申候、最モ小官ヨリハ右ノ趣当国外務大臣ヘ予メ依頼致置可申存候、且ツ前書ノ如ク見本品ハ当路者ニ委托スルコトニ相成候
 - 第23巻 p.394 -ページ画像 
トモ、該物品運搬者手当其外雑費等トシテ多少ノ費途ヲ要スヘク、右ハ桑港・墨国間ノ運搬賃ノ外ニ墨銀百弗内外ノ金額支出ノ必要可有之ト存候間、右辺モ予メ御承知置相成度候、将又当国ニ於ケル東洋貿易ハ今ヲ去ル七十三・四年前迄、西班牙人中毎歳風帆船ヲ以テマニラ呂宋地方ヨリ本邦・支那又ハ其他ノ東洋品ヲ塔載シ、当国太平洋沿岸アカプルコ港ニ輸入シ、其貿易ニ従事シタル為メ、当時右ノ輸入品ハ当国ノ需要ヲ充タシ、尚ホ当国ヲ経テ欧洲各国ニマテ輸送シ頗ル盛況ヲ極メ候由ニ有之候処、爾後西班牙人航海業ノ衰退ト共ニ右輸入業モ全ク杜絶シ、其後ハ印度洋ヲ経テ欧洲ニ若クハ米国ニ輸入セル東洋物品ヲ再ヒ当国ニ輸来シ、昔年トハ全ク反対ノ結果ヲ呈候得共、昔時当国ニ輸入セル我物品ニシテ今日ニ至ルモ現存スルモノ尠ナカラサルヲ以テ見レハ、当時当国人ノ嗜好セシヲ証スルニ足ルノミナラス、当墨国中メキシコ政府及ベラクルーズ其他二・三ノ都市ニハ、現場何レモ日本品売捌店一・二ケ所有之(仏国人若クハ米国人)何レモ米国桑港又ハ紐育ニ於テ其輸入品ヲ仕入レ数多仲買人ヲ経テ始メテ当地ノ市場ニ上リ、殊ニ目今金銀相場ノ差異殆ント一倍ニ近キニモ不拘相応ニ売行、又利潤モ有之候趣ニ付、若シ一歩ヲ進メテ本邦ヨリ直接当国ヘ輸入ヲ計候半ハ、独リ当国内ニ於テ本邦品需用ノ発達ヲ見ルノ外、尚ホ中央亜米利加及南米諸州ヘモ漸次其販路ヲ拡メ候事決シテ難キ事ニ有之間敷ト存、過般来此等ノ取調ニ従事致シ居候際前記御来示ニ相接候次第ニテ、我物品ヲ汎ク当国人ノ縦覧ニ供スルハ実ニ目下ノ急務ト存候、回答旁右及報告候 敬具
  明治廿八年七月九日   在墨府
                 総領事 室田義文
    外務次官 原敬殿

 参照第四号
    公第四十七号 本邦製品陳列ニ関スル件
 本月三日附送第六五号ヲ以テ、本邦輸出重要品見本陳列ノ義ニ関シ農商務次官ノ照会文写相添ヘ意見上申可致旨御申越ノ趣敬承致候、当地モ本邦製品逐年輸入増加ノ傾向有之候処、兎角粗製品ノ輸入多ク声価捗々敷挙ラス候得共、此際精良品ヲ陳列縦覧セシメ候ハ本邦製品ノ輸入ヲ促スニ於テ大ニ裨益アル事ト被信候ニ付テハ、別紙列記ノ商品御送付相成候様致度候、而シテ其陳列所ノ如キハ先以テ本館内ノ一室ト定メ置候、尤モ一・二ケ月ノ後本館内ニ陳列スルノ適当ナラサルコトヲ発見致候節ニハ、便宜好位置ノ商店ノ一隅ヲ借受クルコトモ可致候、而シテ陳列用器具ノ如キハ当地ニテ製作スルモ莫大ノ費ヲ要スル而已ニテ、適当ノ箱モ出来兼候ニ付右陳列ニ要スル飾リ箱ハ農商務省ニ於テ製作ノ上送付相成様致度候、経費ハ凡ソ別紙予算ノ通ニ有之候ニ付併テ申進候 敬具
  明治廿九年七月三十一日  新嘉坡
                 二等領事 藤田敏郎
    外務次官 小村寿太郎殿
(別紙)
 - 第23巻 p.395 -ページ画像 
 莫大小細貨 白シヤツ 縮シヤツ
 人力車(当地ニ専ラ輸入スルモノハ粗造ニシテ、大阪製二人乗十三・四円・東京製十六・七円ノモノナリ、見本ニハ少シク優等ナルモノヲ要ス、一人乗ハ不向ナリ)
 木綿(白・肉色・卵色)土人着服・腰巻・縞反物更紗・綿フランネルノ類
 陶磁器及七宝(花瓶・食器・額鉢・皿喫茶器・喫珈琲器)
 傘(綿アルバカ・絹張蝙蝠傘、紙製傘、即チ雨傘ト称スルモノ)
 食料品(鮭缶詰・菓物缶詰・野菜・牛肉・牡蠣)
 家具
 時計(掛時計、所謂ボンボンナリ)
 硝子器(硝子板・硝子器・ランプ・コツプ・瓶子)
 絹織物(腰巻《サロン》・肩掛・羽二重・靴足袋・打敷・卓覆)
 手巾(木綿・麻・絹)
 青銅及青銅器(花瓶・置物類)
 セメント
 靴(黒色・鳶色)
 紙(紙器・手巾・テープル掛・提灯・各種印刷用紙)
 石鹸
 屏風
 扇子 団扇
 地蓆
 竹器
 段通
 来稗《(マヽ)》(真田・諸製品)
 木器(飾台・寄木細工)
 茶(紅・緑)
 アンチモニー細工物
 刷毛類《ブラシ》
 玩具
   来観者ニハ本邦製茶ヲ饗スルコトヽ致度候間、差閊モ無之候ハハ右饗応用茶トシテブリキ缶詰(毎缶半斤入)紅緑両種取交セ五拾斤及茶器一切十二人前宛揃ヒ御送付相成候様致度候
    六ケ月間経費見積
 一金五百円也
     内
   金百円     器具運搬及補繕費
   金七拾弐円   傭人壱人一ケ月拾弐円
   金百八拾円   新聞二種広告料六ケ月分
   金百四拾八円  諸謝金・郵便・雑費・反訳・写字・其他一切
 前記費目ハ彼是流用差支ナキ事ニ致度候

○八番(安藤太郎君) 本件ニ就キマシテハ、追々諸君カラ御説ガゴザリマセウト思ヒマスルガ、此諮問案ノ中ニ「公設博物館又ハ私設陳列所」ト云フコトガアリマス、之ニ就キマシテ所々カラシテ日本ノ物品ヲ陳列シテ貰ヒタイ、又外国ノ物品モ日本ニ廻ハシテ販売ノ途
 - 第23巻 p.396 -ページ画像 
ヲ開ク為メニ参考ニ供シタイト云フ所モ往々ゴザリマス、其中デ極ク近イ頃、和蘭ノ領事ヨリ本省ニ出テ参リマシテ、大臣ニ手紙ヲ以テ且又口頭デ陳述シタコトガゴザリマスカラ、其要領ヲチヨツト申上ゲマシテ議事ノ御参考ニ供シタイト思ヒマス、和蘭デハ御案内ノ通リ、同国ノ殖民地タル「じやわ」其他東印度諸島ニ種々ノ産物ガゴザリマシテ、日本ニ直輸出ヲ開キタイト云フ念慮ガ疾クニゴザリマスルケレドモ、何分航路ノ拡張セヌ場合デゴザリマスカラ、英国ノ船ニ重ニ積ンデ日本ニ送リ、又日本ノ物品ヲ本国ニモ取リタイト思フテ居リマスルガ、何分今ハ直航ノ船ガ無イ為メニ見合シテ居ル遺憾ナコトデアルト今マデ彼方ノ実業者モ嘆息シテ居ツタコトデアリマス、然ルニ「じやわ」ニ郵船会社ガゴザリマシテ、是レハ大キナ会社デ盛ンニ彼ノ辺ヲ航海シテ居リマスルガ、右ノ考ヘカラ近イ頃ニ、此方ノ方マデモ航路ヲ開キタイト言ツテ居リマスカラ、夫レヲ好機会トシテ「じやわ」ノ砂糖・煙草乃至珈琲ノヤウナモノヲ日本ニ輸入シ、日本ヨリハ此方デ近頃製作サレル所ノ木綿デアルトカ金巾デアルトカ、或ハ綿糸其他硝子類ノヤウナモノヲ持込ンデ、十分ニ販路ノ彼方ニ拡メテ見タイ、夫レカラシテ本国デハ「ろつてるだむ」辺リデ、日本ノ物ヲ頻リニ購買シタイト云フ念慮ガアルサウデゴザリマス、幸ニ郵船会社ガ「あんとわるぶ」迄モ航路ヲ拡張サレル場合デアリマスカラ、僅ナコトデアルカラ「ろつてるだむ」マデ延バシテ貰ツテ、是レハ荷物@コトバカリデハナイ、見本ヲ運搬シテ彼方ニ陳列スルヤウナ場所ヲ設ケテ衆庶ノ観覧ニ供スルヤウニシタイ、サウシテ日本ニ向ケマシタ物ハ、ドウカ善イ場所ガアリマスナラバ夫レニ入レタイト云フ話ガアリマシタ、所ガ此方ニハ物品陳列所モ出来マスルコトデゴザリマスルカラ、其処ノ一部ヲ貸渡サウト云フ話ガ出来マシタ、此方デモ不必要ノ物デアツテハ詰リマセヌカラ、其物品ハ日本人ノ嗜好ニ適スルヤウナモノヲ撰ンデヨコシタラ宜カラウ、サウシタラ郵船会社ハ無賃デ以来運搬スル、然ル以上ニハ税関辺リデモ特別ノ取扱ヲ以テ通過サシテ貰ツテ、サウシテ此方ニ陳列シテ貰フコトノ特許ヲ得タイ「ろつてるだむ」或ハ「じやわ」辺リデモ、十分ニ特別ノ保護ヲ与ヘ便宜ヲ与ヘテ其衆庶ノ参観ニ供シ、且又販売ノ便宜ヲ与ヘテ、十分ナル力ヲ尽サウト云フ話ガ出来掛ツテ居ルサウデゴザリマス、幸ニ郵船会社ノ社長モ御出ノコトデアリマスカラ、其辺ハ御協議ノ際ニ御参考トシテ御考ヘヲ冀ヒタイ、玆ニ一言申上ゲテ置キマス
○一番(大倉喜八郎君) 此第四ノ御諮問ハ、随分海外輸出品ノ販路ヲ拡張スル為メニ物品ヲ陳列シテ、其土地ノ衆庶ニ見スルト云フコトハ、是レハ大分昔カラ申シテ居リマス、早クカラ唱ヘテ居リマス、吾々モ此事ニ就キマシテハ色々考ヘタコトモ度々アリマス、併シ此事柄ハ総体申シマスルト、字デ書キマスト重要ノ輸出品販路拡張ト云フトエラサウデアリマスルガ、今日ノ会議ニ持出シテ酷ク論ズル程ノ価値ハナイト思ヒマス、ト申シマスルハ、販路ノ拡張ト云フモノハ、品物ヲ拵ヘル人ガ良イ見本ヲ送リ、サウシテ其見本ニハ、魂ヒガ附イテ行ツテ、初メテ販路ガ拡張スルノデ、云ハヾ一生懸命デ
 - 第23巻 p.397 -ページ画像 
ゴザリマス、唯々領事館又ハ商業会議所ニ品物ヲ並ベテ置イテハ、唯々一場ノ目ヲ喜バスルニ止ツテ、幾ラカ利益ハ有リマセウガ大ニ国ノ利益ヲ伸張スルト云フコトハ申サレマセヌ、無キニ優ル、無キヨリハ宜カラウ、夫レデ此御諮問案ハ自然ノ制裁ニ任セ、外国ノ貿易ガ発達シテカラ、遠洋航路モ開ケル、日本ノ商人モ奮発スルト云フコトニナリマスレバ、別段農商務省デ色々御世話ヲナサルマデモナイ、自然ノ制裁ニ任スルト云フコトニシテ、此案ハ御引キニナルヤウニ致シタイト思ヒマス
○九番(山本亀太郎君) 此第四ノ諮問案ハ「重要輸出品販路拡張」ト云フコトデアリマシテ、善イ方法ト考ヘマスガ、無料デ「物品ヲ送付陳列云々」ト云フコトハ、勿論当業者ハ無料デ陳列スルハ当然デゴザリマスガ、併ナガラ能ク考ヘマスルト、或ハ無料デハドウデアラウカト云フ懸念モ起リマスノデゴザリマス、好シヤ無料デ陳列スル者ガアツテモ、公設ノ陳列所又ハ其他ノ内外人ノ陳列所ナドニ陳列致シマシタ所デ、何ケ月間夫レヲ陳列スルカ、一ケ年スルカ一ケ月スルカ、品ニ依ツテハ色ノ変褪スルモノ又ハ形ノ損スルモノモアラウト思ヒマス、私共モ本案ハ矢張リ委員説デ、委員五名ヲ御指名ニナツテ、何ウシタラ宜カラウト云フコトヲ委員ニ附托スル方ガ宜カラウト考ヘマス、一言委員説ヲ申上ゲテ置キマス
○十四番(金子堅太郎君) 今一番カラモ是レハ不必要ト云フ御議論ガゴザリマスルシ、又九番ヨリハ委員説モ出マシタガ、私ハ委員ヲ設ケル程ノコトモナシ、又不必要ト仰ツシヤルニ付テ実ハ驚入ツタノデゴザリマス、如何ニモ日本ノ品ヲ巴里・倫敦ナドニ持ツテ行クト云フナラバ不必要デアラウガ其積リデハナイ、新規ニ開ケタ所、先ヅ日本ノ物品デ需要ヲ充タスト云フ、即チ和蘭ノ領分ノ「じやわ」東印度ナドハ領事ガ度々来テ請求シタ、其事ハ今安藤商工局長カラ申上ゲタ通リデアリマスガ、墨西哥ノ領事カラモ今度航路ヲ拡張サレテ墨西哥ニモ来ルサウナ、サウスレバ日本ノ品物モ買ヘルシ、当方ニハ重ニ西班牙・葡萄牙ナドヨリ輸入シテ居ルガ、日本ノ晒木綿其他雑貨ナドモ極ク適当ト思フカラ、之ガ見本ヲ送ツテ呉レレバ、領事館内ニ陳列シテ衆庶ニ示シタイ、サウシタナラバ貿易ノ発達モ出来ヤウト云フテ参リマシタ、夫レカラ又独逸ノ漢堡ニ日本ノ羽二重・甲斐絹ヲ白地デ送ツテ貰ヒタイカラ、ドウ云フ物ガアルカ見本ヲ送ツテ呉イ、サウスレバ是マデ仏蘭西ノ糸デ羽二重・甲斐絹ヲ織ツテ、夫レヲ自国デ染メテ輸出シテ居ルノヲ、日本ノ物ガ善ケレバ夫レヲ独逸デ染メテ売出スヤウニシタイト云フ事ヲ申込ミマシタ、夫レカラ上海地方或ハ暹羅・安南地方又ハ亜米利加ニ於キマシテハ近頃「ふゐるど・ころんびあん・みゆーぜあむ」、亜米利加ノ北ノ方、又亜米利加ノ南ノ方ノ未開ノ地方ハ日本ノ品ガ適当デアルト云フコトハ、人ガ来テ云ヒ又書面デ申シテ来ルノデゴザリマス、夫レナラバ日本ノ商人ガ向フニ行ツテ商売ヲ初メヤウ、資本モ投ジヤウ販路モ探ガシテ来ヤウト云フテ、十分ニ外国ノ事情ニ通ジ大層ノ費用ヲ掛ケテ行ケルダケノ人ガアレバ、今日コンナコトハ不必要デゴザリマスルガ、昨日来云フ通リ海外貿易ト云フコトニ就イテハ今マ
 - 第23巻 p.398 -ページ画像 
デ残念ナガラ受身ノ地位ニ立チ、又実際人モ無シスルカラ、玆デ今見本ヲ送ツテ販路ヲ拡メヤウトスルモ、海外貿易拡張費ノ内、見本購入ノ費用ハ僅カ六千円ダケシカナイ、之デ見本ヲ買上ゲテ向フニ送ツテモ、陳列スルト云フノニハ足リナイ、欧羅巴ニ比較スレバ文明ノ程度モ稍々低イ後進国トモ云フベキ日本ノ製造家又ハ貿易業者ハ、日本ノ品物デ需要ヲ充タシ十分満足スル所ニ向ツテハ十分進ンデ行ツテ販路ヲ開ケバ宜イガ、マダ行カナイカラ、多少政府デ奨励シ補助シナケレバナラヌ、依ツテ工業ノ発達シタル大阪・名古屋・京都又ハ東京辺リデ出来タ品物ヲ、領事館トカ向フノ陳列所トカ又商業会議所トカニ随分列ベテ置ク例モアルカラ、其処ニ並ベテ置イタナラバ、高イ旅費ヲ費ヤシ、通弁連レテ向フノ事情ヲ探究シテヤルヨリモ、僅カノ品物ヲ送ツテ夫レデ試ミル、サウシテ領事ノ報告ヲ官報ニ載セ新聞ニ載セテ、海外ニ販路ヲ拡ゲルト云フコトハ、是レハ海外貿易ノ拡張ニ最モ費用ノ入ラヌ便法デアラウ、本員ハ此諮問案ニ賛成シ、又農商務大臣ノ諮問ヲ出サレタノハ最モ必要ト思フノデアリマス、所ガ段々御論ヲ聴イテ見ルト反対論モアルヤウデゴザリマス、最早ヤ是レダケノ事ハセズトモ日本ノ海外貿易者ハ十分ヤツテ居ルト云フナラバ、私ハ斯ウ云フ議論ハ必要デナイト思ヒマスガ、目下ノ事情デハマダ其処ニ達セナイカラ、是レガ海外貿易ノ端緒ヲ開クノデアルノミナラズ、巴里ヤ倫敦ニ持ツテ行ツテハユキマスマイガ、未開ノ地又ハ後進国ニ向ツテハ媒介スル者ガ無イ、領事ヤ名誉領事ノアル位ノコトデ、商人ニ行ツテ開ケト云フテモ開カナイ、現ニ馬尼剌辺リハ領事館ヲ置キ商人モ居タケレドモ、領事館ヲ置クダケノコトモナイト引払ツテ来タ位デ、斯ンナ物ガ日本ニ在ル、直段モ安イ、品物モ良イト云フコトヲ人ニ知ラスル方法モ無ケレバ、商人モ行クコトモナイカラ、本案ノ如キハ最モ必要デアル、固ヨリヤレヤレト言ツテ人民ニ勧メルノデハナイ、ヤラウト望ム人ガアレバ、夫レヲ奨励シテヤラスルト云フノデアル、又向フカラ彼是レト云フテ来ルカラヤラウト云フノデ、左マデ不必要ト云フテ否決ナサルヤウナコトデハアルマイト思ヒマス、議場ノ有様ヲ見マスルト、反対説ガ多イヤウデゴザリマスカラ、一言述ベ置キマス
○十一番(渋沢栄一君) チヨツト伺ヒマスガ、見本ヲ「無料ニテ送附ス云々」トアリマス、此物品ヲ遣リマスルノハ、十四番カラ段々御説明モゴザリマシタガ、農商務省ニ在ル物品買上ゲノ費用ヲ以テ品物ヲ買ツテ御遣リニナルノデゴザリマスルカ、商人ヲシテ是非ヤラスルト云フ御見込デゴザリマスルカ
○十四番(金子堅太郎君) 夫レハ海外貿易拡張費ノ中デ、六千円ダケハ見本ヲ購買シテ送ル筈ニナツテ居リマス、夫レモ稍々此春カラ取寄セテ彼方ニ送ルコトニシテ居ル、併シ民間ノ人デ自カラ送リタイト云フモノニハ、其媒介モシヤウト云フノデアリマス
○十一番(渋沢栄一君) 十四番ノ御説明デ分リマシタガ、本文章デ見マスレバ一番ノヤウニ或ハ考ヘ過ギカト思フノデアリマスガ「広ク世界ノ各重要市場ニ向ツテ云々」トアリマスカラ、今日ノ海外輸出重要市場ニハ行カナイ、偶々行ツテモ夫レハ重要市場デナイ、就イ
 - 第23巻 p.399 -ページ画像 
テハ斯ク斯クシタイト云フ考ヘカラ、重要市場ニ向ツテハ総テ陳列スル、重要市場ト云ヘバ倫敦・巴里モト云フヤウニチヨツト解釈サレルノデアリマス、若シサウデアレバ事実ニ於テモ不必要デアル、ドウ云フ施設ニナルカ知リマセヌガ、大変事ガ大キクテ或ハ効能ハ如何アラウカト思ヒマスルデ、私モ一番ノ反対説ト同様ノ考ヘヲ持ツテ居リマシタガ、今十四番ノ御説ノヤウニ果シテ新規ノ所ニ向ツテ商人ガ直キ直キ行クト云フコトモシ悪イ、又スルト云フコトモ期シ難イ、彼是レ以テ一ツノ誘導法ニ依ツテ見タイト云フコトナラバ別ニ私共悪ルイコトヽハ考ヘマセヌ、併シ夫レ程ヱライ顔ヲシカメテ、強イテ可決ヲスルト云フ程ニハ考ヘマセヌ、云ハヾ是等ノコトハ悪シクハナイト云フコトヲ申上ゲル位ノコトデアリマスガ、新市場ニ対シテハ幾分カ必要デアルカラ、人民ガ望ンデヤルト云ヘバ、其取次ヲシテヤルト云フ御趣意ナラバ賛成シマス
○八番(安藤太郎君) 是レハ内ニ居ルモノヨリ、重ニ在外領事若クハ外国人ノ方ニ希望スルモノガ多イニ依ツテ出来タ案ト思ヒマス、其次第ハ領事ノ報告ニモ、見本ノ無イ為メニ日本品売買ノ途ガ広マラヌト云フ苦情ヲ申シテ参リマシタモノモゴザリマスルシ、中ニハ領事館又ハ内国商人ノ内デドウカ協同シテ一ツノ場所ヲ設ケテ、夫レニ品物ヲ並ベテ日本ノ品物ハドウ云フモノデアルカ、又此地方ハドウ云フ塩梅ノ物ガ人民ノ嗜好ニ適スルカト云フコトヲ調ベタイト申シテ参リマシタ、且又外国デモ斯ウ云フ例ガ沢山アルト云フコトヲコチラヘ申シテ来マス、詰リ外国カラノ請求モ余程沢山アルカラシテ起リマシタ論ト私ハ思ヒマス
○十五番(浜岡光哲君) 十五番モ丁度一番ナリ十一番ト同ジヤウナ考ヲ持ツテ居リマス、実ハ此見本ヲ巴里トカ紐育ダトカ既ニ調ベテ居ル所ヘ余リ並ベ立テルト云フコトハ、利益ヨリモ多少事業上危害ヲ起スコトデアルト思ヒマス、既ニ十四番ノ説ノ如クデアレバ、是マデ開ケナイ所ノ未開ノ地ニ対シテ見本ヲ送ルト云フコトハ至極宜イコトダラウト思ヒマス、其方ニ賛成シマス、併ナガラ此方法ニ就キマシテハ唯今農商務省カラ各地方ヘ廻ツテ御求メニナルヤウナ方法デハ善クナイ、或ハ製造家カラ出シマスルト云フコトハ、是ハ孟買ニ適スルトカ、是ハ墨西哥ニ適スルトカ云フコトガナケレバナラヌ自分ノ拵ヘテ居ル品物ヲ何処ヘ出シテモ売レル如クニ思ツテ、従ツテ価値ニ対シテモ色々ニナツテ居ル、若シ之ヲ出スト云フコトニナレバ、農商務省カラ相当ニ買上グルト云フコトニナスツテ、或ハソレ相当ノ経験アル商人ニ任セテ、或ハ半額トカ極安ク出サセルト云フコトニナレバ又承知スル者モアラウ、サウ云フ方法ニシテ、ドコソコニ陶器ガナケレバ斯ウ云フ部類ノ物ヲ送ツテ売ラセルト云フ方ガ能ク適スルデアラウ、ソレカラ今一ツ困難ナコトハ、本年一年出シタ所ガソレガ五年モ六年モ抛ツテアツテ、マルデ流行ニ適サナケレバ所謂店晒シニナリ、塵ダラケニナツテ居ルト云フヤウナコトデモ却テ宜シクアルマイト思ツテ居ル、其方法抔モ能ク注意セラレマシタナラバ、陳列所ヲアチラノ求メニモ応ジテ出スト云フコトハ必要デアラウト思ヒマスカラ、此諮問案ニ賛成ヲ致シマス
 - 第23巻 p.400 -ページ画像 
○三番(藤田伝三郎君) 私ハ原案ヲ賛成致シマス、何トナレバ今日我我僅ナ品物ヲ買ハウトシテモ先ヅ見本ヲ持ツテ来イト云フコトガアル、普通ノ物ヲ買フ時ニモ見本ヲ取ルコトハ必要ナコトデアリマスガ、況ンヤ我商業者ナリ工業者ナリ、随分多数ノ人ノ作リ出スモノヲ持ツテ、広ク世界各国ニ成ルタケ適スルヤウナ所ニ相当ナ見本ヲ送リ、又見本ヲ取ルモノハ取リタイノデス、之ヲ又否ト云フ説モ無理ナラヌコトデゴザイマス、例ヘバ大坂ノ陳列所ニシテモ、随分ムヅカシイカツタノヲ、ドウカ心配シテ設置シマシタガ、ドウ云フ効能ガアツタカト云フニ割合ニナイ、サウ云フコトモ間々多イカラ、或ハ時日ヲ費シ経費ヲ費シテ無益ダト云フコトモ免レマセヌ、ケレドモ此見本ヲ送ルガ如キ、又取ルガ如キ、共経費ノ如キモノハ実ニ僅々タルモノデアラウト思フ、ソレデ其僅々タル費用、僅々タル手数ヲ厭ウテソレヲ控ヘルト云フコトハ至当ナコトデアルマイ、十分ニ成ルタケ広クシタ方ガ宜カラウ、又私ノ陳ベルマデモゴザイマセヌガ、新聞ヲ以テ広告スルガ如キハ開ケタ国程広告料ヲ余計払ラフト云フコトデアルカラ、大体ニ於テ極必要ナコトデアラウト思ヒマス、併シ又此送ル場所ニ拠リ、其品物ニ因リ、又此書イテアル中ニハ是ハ有用デアルトカ、是ハ無用デアルトカ云フコトモアリマセウケレドモ、是モ亦委員ニ御託シニナルナリシテ、大体原案ニ賛成致シマス
○二十番(広瀬宰平君) 私モ唯今ノ三番ト同様ナコトデアリマス、即チ此原案ヲ賛成致シマス、何トナレバ唯今八番議員ノ御話ニ就テ私ガチヨツト浮ンダ自分ノ感覚ヲ申シマス、私ガ和蘭ヘ廻ハリマシタ時……和蘭ハ誠ニ旧トカラ日本ト交ツタ国デアリマスガ、アノ国ハ詰ラヌ国ヂヤト人ガ申シマスルケレドモ、私ハドウカ二・三年住ンデ見タイト思ツテ参ジマシタ、所ガ既ニ渋沢サンガ泊ラレタ宿屋ニ泊ツテ、主人ト昔ノ話ヲ致シマシタリ日本ノ進ミ方ノ塩梅ヤ何カ話シマシタ、欧米抔デハ和蘭ハ知ツテ居リマスケレドモ、日本ノ国ノアルト云フコトヲ知リマセヌ、ソレカラ其国ノ商人見タイナ者ガ来マシテ色々話シマシタ所ガ、其商人ガ斯ウ云フ品物ヲ頂戴シマシタト云ウテ誇ツテ見セタモノモアル、所ガ近頃サウ云フ品物モアルカラ、今日ノ和蘭ノ国ハサウ軽蔑スルコトハ出来ナイ、日本ト交際スル国デモ他ニ中々劣等ナ国モナキニシモアラヌト思ヒマス、彼此其辺カラ八番議員ノ御話ヲ聴キマスルト、和蘭ハ兎モ角モ、則チ東洋ニ向ツテハ随分其交際スル国ガ殖ヱテ来タ、ソレデ日本ノ物品ノ見本ヲアチラヘ出サウト云フコトハ極未開ノ国ニハ今日ハ誠ニ必要ダト思ヒマス、又此陳列所ノ効能ニ就キマシテ或ハ大坂ノ陳列所ノ如キ、三番議員ノ言ハレル如ク何ニモ効能ガゴザイマセヌヤウデアルケレドモ、此間陳列所ヘ往キマシテ自分ガ求メマシタ品物ガゴザイマス、ソレハ淡路ノ国ノ鳴門蜜柑ト申シマシテ「しやんぱん」ニ付ケテ喰フモノデアリマス、ソレガ淡路ノ国デ製シテ居リマスル、極私ノ口ニ適シマシテ、ソレハ萄葡酒ニ製スルヨリモ甘クシテ私ノ口ニ適シマスル、ソレハドコニアルカト尋ネマシタ所ガ、大坂ノ陳列所ニアルト言フカラ、ソレハドチラカト言ヒマシタラ、大坂ノ南区
 - 第23巻 p.401 -ページ画像 
ノ工業陳列所ニアルト云フコトデゴザイマス、自分ノ隣ノ淡路ノ産物デドコニモナイト云フモノガ、工業倶楽部ノ陳列所ニアル、サウ云フ訳デアルカラ、実ニ我邦ノ産物ト云フモノハドウゾ未開ノ地ニハ十分送ツテ貰ヒタイ、若シ其品ノ廻ラヌ国ガアルナラバ、向フニ客ガアツテ之ヲ買ハフト云フ念ガ起ルモ、之ヲ買フコトガ出来ナイ故ニ是ハ極必要ヂヤト云フコトヲ此問題ニ就テ考ヘマシタ、今ノ八番議員ノ御話モアリマスカラ、其見本ヲ送ルト云フコトハ、是ハ何ニモ日本ニ害ガナクシテ利ガアルコトデアルカラ至極宜イト思ヒマス、方法ニ就キマシテハ段々浜岡君ノ御話モアリマスガ、従前ノ模様ニ於キマシテハ、製造所ニ就テ親切ニ出シテモ格別ナ害ガナイト云フコトヲ能ク話シマセヌト博覧会ニ対シテ物品ヲ出スト云フコトデスラ大変ムツカシイカラ……地方ヘ往ツテ品物ヲ出セト言ツテモソレ丈ノモノヲ出スノハ惜シイト云フ事情モアリマスカラ、ソレヲ出シマス方法ニ至ツテハ懇切ニ能ク言ツテ、商人ニ当ツテ、ソレカラ少々ノ物品デモ是非アチラヘ送ラウト云フコトヲ農商務省カラ御勧メニナツテ、先ヅ其細カイ方法ハ私等ハ甚ダ十分説キ兼ネマスルケレドモ、大体ニ於キマシテ国ヲ進メテ行クニ就テハ、日本ノ品ヲアチラヘ廻ハスト云フコトハ必要ト思ヒマスカラ、本案ニ対シテ賛成ヲ致シマス
○十九番(土居通夫君) 本員モ本案ニ賛成ヲ致シマスガ、扱上ニ就キマシテ心配致シマシタコトガアル、昨年外国人ガ参リマシテ、内地在留ノ領事ノ添書ヲ持ツテ農商務省カラモ書面ヲ御遣シニナリマシタカラ、段々彼レノ望ミニ応ジテ品物ヲ取集メルト云フコトニナリマシテ、商業会議所ニ於キマシテソレゾレ手数ヲ致シマシタガ、何分其品物ヲ取扱フニ就キマシテハ、他ノ国ニ送リマスニハ見本ダケノ品デモタヾ取ラルヽヤウナ考ヲシマシテ、快ク差出スコトヲ好マヌヤウナ有様デアリマス、ソレニ就キマシテハ精々取集メルト云フコトヲ周旋致シマシタガ、急ニ間ニ合ハヌヤウナコトモアリマス、唯今十一番ノ質問ニ対シテ、新規ニ六千円ノ見本購入費ト云フモノヲ御出シニナルト云フ事ヲ承リマシタガ、左スレバ見本ヲ進メマスルニモ、唯取寄セルト云フヤウナコトハゴザイマセヌ、サウシマスレバ、其者ニ於テモ成ルベク見本ヲ出シテ将来自分ノ営業上利益ヲ図ルト云フコトデアリマスカラ、此六千円ノ購入費ヲ出スト云フコトヲ聴キマシテ、聊カ安心ヲシタヤウナ訳デアリマス、此諮問案ニ対シテハ賛成ヲ致シマス
○一番(大倉喜八郎君) 此諮問案ノコトニ付キマシテ先刻申述ベマシタノハ、十四番ノ説明ヲ私ハ承ハリマセヌ前ニ全体此諮問案ノ文面デ見マスルト「未ダ広ク世界ノ各重要市場ニ向テ我商品ヲ輸出スルノ盛況ヲ呈セズ云々」トアリマシテ、是ハ大変遺憾ダカラ、ドウカ斯ウシタイト云フ精神カラ、是ヲ編出シタ御諮問案ト思ヒマシタ、世界ノ各重要市場ト云フト、仮リニ一ケ所ニ一万円宛出シテ見本陳列所ヲ拵ヘマシテモ、十五ケ所デアルト十五万円ニナル、シテ見ルト是ハ左程効能ハナイゾヨト、斯ウ云フ無キニ勝ル位ノ事柄ハ、仰仰シク諮問スルマデノコトハナカラウト斯ウ考ヘマシタ、然ルニ十
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四番ノ御説デハ六千円ト云フ金ガアツテ、是ハ今迄ヤツテ居ツタガ尚ホ其上ニ頼ム人ガアレバ手数ヲシテ遣ラウ、是ダケニ止マルヤウナ御説デアリマス、尚ホ更ソレデアレバ論ズルマデモゴザイマセヌ無キニハ勝ル、右ノ精神デアレバ此原案ノ通リニシマシテモ、差閊ハゴザイマセヌ
○十三番(近藤廉平君) 私モ本案ヲ賛成致シマス、十四番ノ御説明ニ依ツテ本案御諮問ノ趣意ガ能ク分リマシタ、今日ノ場合トシテ斯ノ如キコトハ為スベキ所デアラウト私ハ信ジマス、其方法ニ至ツテハ或ハ土地ト場所ニ依ツテ各々状況ヲ異ニシマス、或ハ領事館ノ片隅ニ品物ヲ陳列シテ置イテモ宜カラウ、見セル場所ニ依ツテ相当ナ夫ダケノ場所ヲ建設スル必要ナ所ガアルカモ知レマセヌ、ソレハ国ニ依ツテ品物ノ好ミガ違フモノデゴザイマス、其方法ハ農商務省ニ於テ予テ御調ニナツテ居ルコトデゴザイマセウガ、ソレハ別ニ御調ニナツテナサルヤウニ希望シマス、先刻十四番ノ御調ベニナリマシタ中ニ、私ガ最モ感ジマシタノハ、濠太利亜ニモ船ヲ遣ツテ居リマスカラ必要デアル、亜米利加ニモ船ヲ遣ツテ居リマスカラ必要デアル丁度郵船会社デ此度開キマシタ所デ、朝鮮ノ如キ所ニモ斯様ナモノガ出来ルノハ必要デアラウト思ハレマス、モウ一ツハ浦塩斯徳、此ノ浦塩斯徳ニモ其他ニモ斯ノ如キ場所ヲ拵ヘテ置クコトハ必要デアラウト思ヒマス、方法ハ別ニ御調ベニナル方ヲ希望致シマスガ、国ト所ニ依ツテ品物ヲ異ニスルコトガゴザイマセウ、御参考マデニ併セテ一言申シテ置キマス
○十四番(金子堅太郎君) 段々御話ヲ承ツテ見マスルト、如何様此諮問案ノ文章ガ悪ルイカラ一番ノヤウナ御考モ出ルヤウデアリマス、世界ノ各重要市場トアリマスカラ、先ヅ紐育・倫敦・巴里ト云フヤウナ所ト御老ヘニナリマシタラウガ、コヽハ汎論デアツテ、決シテサウ云フ所デハゴザイマセヌ、未ダ開ケヌ所ヘ日本ノ品物ヲ見セタイト云フ趣意デゴザイマス、文章ガ少シマヅクツテ、最初御一読ノトキニハ、本案提出ノ趣意ガ、充分貫徹シナカツタデゴザイマセウガ、参考書トシテ御配布シテアリマスル通リ、領事其他カラ要求ガゴザイマスノデ、決シテ巴里ヤ紐育ヘ陳列所ヲ立テル趣意デハゴザイマセヌ、ソレデ稍々一番モ本案ノ趣意ハ十四番ノ不束ナル説明ヲ御了解下サイマシテ、誠ニ私ハ感謝ニ堪ヘマセヌ、就キマシテハ今近藤君ノ御説ガゴザイマシタ通リ、是ハ海外ニ於ケル帝国領事館、即チ「はんぶるぐ」或ハ「しかご」・「ころんびや」・浦塩斯徳ノ如キ所ノ海外ノ商館、或ハ市会議事堂ノ二階・商業会議所ノ二階デアルトカ、又ハ確実ナル海外ノ商店ヘ、悉ク内地ノ品物ヲ自分ノ店ノ番頭ガ各地ヘ往ツテ買フ訳ニハ行キマセヌカラ、見本ダケデモ送ツテ、既ニ桐生・足利ノ絹ニシロ、大坂金巾製造会社ノ「ふらねる」ニシロ、大坂ノ洋紙製造会社ノ洋紙、又ハ富士製紙会社アタリヨリモ見本ヲ取ツテ、是位(机上ノ書冊ヲ示ス)ノ帳面ニシテ送ツタノデアリマス、是等ハ何レモ決シテ大キイ建物ヲ拵ヘテ、其処デ日本ノ品物ヲ見セヤウト云フヤウナ大袈裟ナモノデハナイ、差向キ感ジタノハ、私ガ欧米ヲ巡回シマシタ時ニ、雑貨店ヲ見マシタガ、ソレ
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ハ支那人デアル、支那人ガ何ヲ売ツテ居ルカト云フト日本ノ品物デアリマス、ソレカラ西洋人ナドモ日本ノ品物ハアンナ物カト言ツタカラ、サウデハナイ、何故カト云フト日本ノ品物ハ充分見込ガアルト云フ話デアリマシタ、ソレカラ「はんぶるぐ」デモ其話ガアリマシタ、ソレニ今度東洋汽船会社ノ「さんぢやごう」……是ハ尤モ墨西哥ノ領事室田君カラモ言ツテ来マシタ、濠太利亜「めるぼるん」アタリニハ皆雑貨商ハ支那人ノ店デアル、……ソレデ確実ナル彼国商人ノ店、日本カラ往ツテ居ル確実ナル店ナリ、或ハ向フノ商業会議所ノ二階ニ陳列スルト云フコトハ、私ハ今日経費ノ許ス限リ我日本国民ノ海外貿易販路ノ程度ニ適当ナル方法デアラウト思フノデ、是ハサウ大キナモノデハゴザイマセヌ、ソコデ十五番ノ御説ノ通リ十五番ナドハ既ニ御計画モアリ、又森村商店モアル、其コトニ付イテハ農商務省モ余程考ヘモノデアル、今関西貿易会社ナリ森村組ナリ、数十年掛ツテ居ルコトデアルガ、サウ云フコトハ唯成ルベク媒介者ノ地位ニ立ツテ、内地ノ貿易商ナリ日本デハ多ク此方法ニ付イテ買出シテ、方々ノ地方長官・商業会議所ニ於テ其地方地方ノ重要物産ヲ選ミ、一方ニハ領事ヨリ例ヘバ墨西哥デハ斯ウ云フ物ガ入用デアル、濠太利亜デハ斯ウ云フ物ガ入用デアル、「しや―とる」デハ斯ウ云フ物ガ要ルト云フコトヲ申シテ寄越スヤウニシテ、何モ未開ノ所ヘ七宝焼ノ立派ナ物ヲ持ツテ行クニハ及バヌ、瀬戸アタリノテカテカスル位ガ宜イ、ソレカラ「さんでやこう」ヘ持ツテ往クニハ京都ノ織物琥珀織ノヤウナモノデナク、丁度大坂ノ「ふらねる」或ハ小名木川ノ木綿、或ハ岐阜・愛知デ出来ル絹綿混織トカ云フヤウニ、総テ領事又ハ向フノ人カラ信用ヲ聞イテ、其産出地ヘ言ツテ遣ル、概シテソコハ海外ノ状況ニ応ジテ適当ナル処分ヲスル積リデアリマス、其方法等モ段々御注意ガゴザイマスカラ、一言本省ノ執ル所ノ目的ヲ説明致シマス
○八番(安藤太郎君) 方法ノコトニ付イテ色々諸君カラ御説ガゴザイマスガ、至極御尤モニ存ジマス、是ハ当局ノ本省ニ於テモ、其点ニ付イテハ深ク心配シテ居リマス、十五番ノ御話ニナリマシタヤウナ店晒シニナルトカ、塵ガ被ツテモ何時マデモ抛リ放シニナルヤウニハ致シマセヌ積リデ、年々新ラシイ物ト取換ヘ、又夫々準備ヲスル計画ヲシテ居リマス、ソレカラ十九番ヨリ御話ニナリマシタ始メ見本ヲ出セト云フトキニハ、何カ取ラレルヤウナ感情ガアルト云フ御話デゴザイマス、是ハ至極御尤モデ、サウ云フ事モ承ハリマスガ先達テ物品買入ノ為ニ関西地方ヘ人ヲ出シマシテ、モウ既ニ物品ハ相応ニ買集メマシタガ、此節ハ皆出品者ガ喜ンデ夫々品物ヲ取集メマシテ、進ンデ出スト云フ希望ヲ有ツテ居ルト云フコトヲ報告致シマス、ソレデ品物ヲ出ス場所デ今日極ツテ居リマスノハ、墨西哥、「めるぼるん」若クハ「しどにー」、又ハ浦塩斯徳・孟買・新嘉坂・「おでつさ」等デゴザイマス、ソコデ、十四番ガ唯今御話ニナリマシタ「しやーつむ」ト云フ所ニハ日本人ガ参ツテ居ツテ、先達モ書面ヲ寄越シテ、若シ出来ルナラバ日本ノ物品デ此方ノ嗜好ニ適スルヤウナ物ヲ送ツテ呉レ、ソレハ是々デアルガドウダラウト言ツテ寄越シ
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タ位ノ場合デアリマシテ、今日サウ云フコトニ着手スルノハ極適当ノ場合カト存ジマスカラ、一言申上ゲテ置キマス
○十五番(浜岡光哲君) 少シ方法ハ違ツテ居ルヤウデゴザリマスガ、先々月以来農商務省カラ屡々地方ニ派出サレマシテ、品物ノ購求ニ取掛ラレマシタ、京都商業会議所ナドハ其事ニ就キマシテハ余程配慮致シマシテ、一卓子ノ上ニ並ベルダケノモノハ集メマシテ、此間カラ昼夜ヲ別タズ総テ直段附ナドニ掛ツテ居リマシタ、夫レニ就キマシテ或ハドウデアラウカト云フ感ジヲ起シマシタコトガアリマスカラ、斯ウ云フ方法ニ致シタラドウデアラウカト考ヘマス、場所ハ日本商人又ハ日本商人ノ代理店デモアル所ニシマシテ、日本商人代理店ナドノ無キ場所ハ彼国カラ希望シテ来タ場所ヲ大体ノ目的トシテ陳列シタラ宜カラウ、其品物ヲ送ル方法ハ日本商人ニシテ海外貿易ニ経験アル者ノ商店ニ嘱托スル方ガ宜カラウ、ナゼ之ヲ斯ク致シマスルカト云フト、製造家カラ出シマスル折ニハ製造代価ヲ其儘ニ出シタリ、代価ヲ附ケマシテモ、商人ノ代価ノ附方トハ違ヒマスカラ、其儘デ誂ヘテ来テモ品物ハ出来ナイ、陳列シタ時ハ大変安カツテモ偖実際誂ヘルト少々高イト云フ嫌ヒガ起テ来ル、随分サウ云フ例ハ是レマデ沢山ゴザリマス、又製造人デ少シモ事情ノ分ラナイ者ニナルト、新タニ開ケル所ニ出スノハ少々高クシタ方ガ宜イト云フノデ、製造シタ代価ヨリ少々高クスルト云フ傾キガアル、第三ニハ陶器ナラ陶器ヲ製造スル、其製造スルニ就イテハ輸出国ノ何処タルニ拘ハラズ製造シタモノデアルカラ、丸デ其国ノ嗜好ニ適サナイ物ヲ出スト云フヤウナコトガアル、夫レハ如何ニ商業会議所ガ綿密ニ調ベテモ、又農商務省ノ官吏デ調ベラレテモ、ムツカシイ、之ハ矢張リ商人ガスル方ガ、内輪見ヘガスルカラ商店ニ嘱托シテサスル方ガドウシテモ宜カラウト思ヒマス、サウ云フ方法ニシタラ宜カラウ偖出品シタル節ニハ若シ日本領事館ノ傍ラニ並ベルトカ云フコトニナリマスルト、其当時ハ随分見ニ来マセウガ後ハ見ニ来ナイカラ店曝シニナルト云フコトハ分ツテ居ル、実際海外ヲ巡ツテ見ルト、公使館ノ隅ツコニ斯ウ云フ物ヲ送ツテ来タト云フテホツテ居ル、是レモ或ハサウ云フヤウナ傾キニ成リハセマイカト思ヒマスカラ、多少整理法モ研究シテ置ク方ガ宜カラウト思ヒマス、夫レハ陳列ヲシタ領事館ヨリ事情ノ報告ヲシテ参リマセウ、報告シテ参リマシタラバ先年陳列シタ物デ不必要ノ物ハ一時売却シテモウ一ツ適スルモノヲ出サウ、モウ一ツ適スルモノヲ出サウト三度ハ変ヘテ出ス、即チ三年間ハ継続スルト云フコトガ必要デアル、一ケ年デ後トヲ継続シナケレバ少シモ効能ハナイ、少ナクモ三ケ年間適スルヤウナ物ヲ出品スルト云フ継続法ヲ設ケル、サウシテ三ケ年出シタナラバ其実況ノ報告ヲ見テ稍々模様ガ分ラウカト思ヒマスカラ、三ケ年間ハ其継続スルト云フ決定ガ附カナケレバ一ケ年デ宜カラウト云フコトハ如何デアラウカ、夫レダケノ整理方法ヲ定メルコトニ致シタイト思ヒマス、尚ホ之ニ就イテ細目ヲ御話シ申シタイト思ヒマスガ、夫程マデ申スコトモ入リマスマイカラ、此場所ト整理方法ノコトヲ申上ゲ置キマス
 - 第23巻 p.405 -ページ画像 
○幹事(織田一君) 一番・十一番等ノ御賛成ノ趣意ハ、此費用ハ六千円デアルカラ賛成スルト云フ御説ノヤウデアリマシタガ、此六千円ト云フノハ今日農商務省デ浦塩斯徳・孟買・新嘉坡・沙市・墨西哥ニ送ラウト云フノガ六千円デアツテ、之ガ総テノ費用ト云フノデハゴザリマセヌ、若シ十三番説ノ如ク「めるぼるん」其他新市場ニ向ツテ見本ヲ沢山送ラウ、此事業ヲ盛ンニ起サウト云フニハ是レデハ足リナイノデゴザリマス、又各重要市場云々ト書キマシタ趣意ト云フモノハ、世界ニ重要市場ハ沢山アルガ其総テノモノニ向ツテ出スト云フノデハナイ、マダ輸出サレテ居ラヌ場所ガアルカラ其処ニ持ツテ行ツテヤラウ、例ヘバ今述ベタ市場ノ如キハ世界ニ於テハ重要ノ市場デアルガ、併シ其等ノ市場ニ十分日本ノ品物ガ輸出サレテ居ラヌト云フ趣意デ出シタノデ、重要市場デアルカラ必ラズ持ツテ行ツテヤラウト云フノデハナイ、重要市場ノ中デ品物ノ行ツテ居ラヌ所ニ持ツテ行カウト云フノデ、重要市場ニハ必ラズ日本ノ品ガ行ツテ居レバ宜イガ、今日ノ有様デハサウデナイ、マダ行ツテ居ラヌ所ガアルカラ其処ニ持ツテ行カウト云フノデ、左様御考ヘヲ願ヒトウゴザリマス
○二番(藤田四郎君) 段々刻限ニモナリマシテゴザイマスガ、既ニ廿番カラモ委員ニ附托スルト云フ説ガ出テ居リマスカラ、先ツ本案ノ可否ヲ御問ニナリ、必要ト云フコトデアレバ委員ヲ設クルコトニシテ、前ノ通リ委員ヲ御撰ビニナルヤウニ希望致シマス
○二十一番(添田寿一君) 私ハ委員説ニハ反対致シマス、此事柄ハ極ク単純デアリマスカラ、成程方法ニ至ツテハ何処ニ出シテ何ウ云フ事ニスルト云フヤウナ手続キモアリマシヨウ、是レハ複雑カ知ラヌガ、出スト云フコトガ極マレバ夫レダケノハ当局者ニ一任シテ差支ヘナイ、幾ラ出サウト思フテモ出ス途ガナケレバ仕方ハナイ、又何処ニ出サウト云フコトニ就イテハ予算ノ要求デモ増サウト云フコトモ起ツテ来マセウ、ドウ云フ方法デ為サウト云フコトモ一時ノ考ヘデハ分ラナイ、是レハ此案ヲ提出サレル位ニ農商務省当局ノ人ハ御熱心デアレバ、ドンナ物ヲ買フト云フコトモ御注意デアラウ、又管理ノ点モ十分御注意ニナルコトデゴザリマセウカラ、サウ云フ方法マデ此処デ論ズルニハ及バヌコトデゴザリマス、私ハ本案ノ御諮問ニ対シテハ単ニ適否ヲ定メルト云フコトニ止メテ、夫レデ本会ハ適当デアルト云フコトヲ議決シテ、其方法ハ農商務省ノ当局ノ人ヲ信用シテ御任セスレバ少シモ差支ナイト思ヒマスカラ、委員説ニハ反対致シマス
○三番(藤田伝三郎君) 私ハ此大体ノ適否ハ無論原案賛成デ、前ノ通リデゴザリマスガ、後ノ委員説ハ実ハ原案ノ見ヤウガ足リマセナヌデ、唯今廿一番ノ説ヲ承ハリマスレバ尤ト考ヘマスカラ、委員説ハ取消シマシテ、更ニ廿一番説ニ同意致シマス
○二番(藤田四郎君) 農商務大臣ノ御諮詢ニ其適否及方法ト云フ二箇条ガゴザリマスル以上ハ、本会ハ矢張リ穏カニ両方ヲ御答申ニナルコトガ適当ト思ヒマス、是レハ此会デ当局者ニ御任セスルト云フコトニナレバ任セテ宜シウゴザリマスガ、既ニ方法ト云フコトマデ掲
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ゲテアル以上ハ、夫レヲアヤフヤニスルト云フノハ穏カデナイ、又現ニ十五番ノ如ク有益ナル御見込モゴザリマスカラ、委員ニ附托シ案ヲ具ヘテ本会ニ提出ニナルノガ相当ノ方法ト思ヒマス
○二十番(広瀬宰平君) 私ハ委員ノコトニ就イテ一寸一言申上ゲテ置キマス、今幹事諸君カラ経費ノコトニ就イテ六千円ト云フ御話デゴザリマシタガ、其事ヲ伺ハヌ先カラ、一言申上ゲタイト思フテ居リマシタノハ、此事ヲ奨励スルト云フ以上ハ六千円位ノコトデハ私ハ足ルマイト思ヒマス、此度ノ御諮問案ニ対シテノ私共ノ意見ハ、農商務省ニ於テ十分使ヒ払ヲシテ貰ヒタイト云フ精神デアリマス、夫レハ何レ集会ノ節ニ私ハ述ベタイト思ツテ居リマシタガ、六千円位ノ金デハ御世話ハ行届クマイト思ヒマスカラ是レハドウゾ議会ニモ御提出ニナツテ、モウ少シ十分ノ費用ヲ要求ナサラズバナルマイト考ヘマス
○九番(山本亀太郎君) 私ハ本案ヲ賛成スルト同時ニ、先刻委員ヲ撰ブト云フコトヲ述ベマシタガ、夫レヲ述ベマシタノハ既ニ先般来御述ベニナリマシタ通リ、本年カラ見本ヲ買上ゲル御趣意デアリマスカラ、此際夫レ夫レ集メマシタ所ノ幾分カ経験モアリマスシ、且又六千円ノ金デハ甚ダ少ナイ、尚ホ又十四番ノ御説明デハ見本ヲ購求シテ出スケレドモ、又之ヲ望ム者ニハ十分ニ世話ヲシテヤラウト云フコトデゴザリマス、夫レニ対シテ異論ハゴザリマセヌガ、私ハ望ム考ガアルナラバト云フデナクシテ、六千円ノ金ハモウ一ツ経済ノ許ス限リ一万円デモ二万円デモドシドシ有益ノ物品ヲ沢山買ツテ陳列致シタイ考ヘデゴザリマス、且又十五番ガ述ベラレマシタ方法ト云フノモ、委員ニ附托致シマシタナラバ大変議事ノ捗取モ宜カラウト云フ考ヘデ委員説ヲ述ベマシタ、第一ニ斯ンナ費用ハ吝マズドシドシ使ハナケレバナラヌカラ、之ヲ殖ヤシテ貰ヒタイ、其方法ニ就キマシテハ十五番ノヤウナ説モアリマスカラ委員附托説ヲ述ベタノデゴザリマスガ、幸ニ他ノ諸君ノ御賛成モアリ二番モ委員説ノヤウニ伺ヒマスカラ、別段前説ヲ確カムル必要ハアリマセヌガ、矢張リ本員ハ委員説ヲ主張致シマス
○幹事(織田一君) 前ニモ述ベマシタガ、是レハ六千円デナクテ沢山ノ費用ヲ掛ケル、又場所ヲ撰ビマシテ盛ンニ陳列シタイ希望デゴザリマス、其場所・金額又ハ方法ヲ調ベルコトハ随分困難ナルコトデゴザリマスカラ、此会ノ中カラ委員ヲ御設ケニナリ十分ニ御調査下サツテ、農商務大臣ノ御参考ニ供セラレタイト思ヒマス故ニ、ナラウナラ委員ヲ御設ケナルコトヲ希望致シマス
○議長(伯爵佐野常民君) 段々此案ニ付キマシテ其方法等ヲ取調ブル為メニ委員ヲ設ケルガ宜イト云フ説ト、夫レニ及ブマイト云フ御説トゴザリマスガ、委員ヲ設ケルト云フ方ノ御考ヘハ、委員ヲ設ケテ夫レニ附託スル方ガ……
○二番(藤田四郎君) 先例ニ依リマシテ先ヅ適否ヲ御問ヒニナリ、此大体ノ可否ヲ御極メニナルコトヲ望ミマス
○議長(伯爵佐野常民君) 私ハ大体ニ付キマシテハ皆御賛成ト思ヒマシテ、適否ハ採リマセヌ積リデゴザリマス、若シ之ニ異リマシタ御
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意見ガゴザリマスレバ、適否ヲ採リマセウガ、大概是レマデノ御論旨ハ皆夫レハ可ナリト云フ御説ノヤウニゴザリマシタ
○八番(安藤太郎君) 皆可ナリト云フヤウニ聴ヘマス
○十七番(藤井三郎君) 賛成デゴザリマス
○議長(伯爵佐野常民君) 夫レデハ別ニ適否ハ採リマセヌ、サウ致シマスレバ、委員ニ附託スルヤ否ヤト云フニ就イテ決ヲ採リマス、委員ニ附託スルガ宜イト云フニ、御同意ノ方ノ起立ヲ願ヒマス
○二番(藤田四郎君) 方法モ作ルカ、ドウカト云フコトヲ確メテ置キタイ
○議長(伯爵佐野常民君) 方法ヲ作ルニ就イテ委員ニ託スルガ宜イト云フ方ヲ御尋ネスルノデゴザリマス
○二十番(広瀬宰平君) 委員ハ設ケルニ及バナイト云フ、廿一番説ニ賛成致シマス
○十一番(渋沢栄一君) 是レ等ノ方法ハ当局者ニ御任セシテ宜カラウ別ニ委員ヲ設クルノ必要ハナカラウト思ヒマス
○十九番(土居通夫君) 賛成
○十二番(近藤廉平君) 賛成
○一番(大倉喜八郎君) 賛成
○議長(伯爵佐野常民君) 夫レデハ両方トモ賛成者ガアリマスカラ決ヲ採リマス、委員ニ附託スルト云フ説ニ御同意ノ御方ノ起立ヲ願ヒマス
○二番(藤田四郎君) チヨツト承ツテ置キマスルガ、委員ニ附托セヌト云フコトニナツタラ、方法ハ議シナケレバナリマセヌカ
○十四番(金子堅太郎君) 甚ダ差出ガマシウゴザリマスガ、二十一番ノ説ハ方法ハ議サズ当局者ニ任スルト云フノデ、夫レニ賛成者モアリ、夫レカラ九番ノ御説ハ其方法ハ如何ニスルガ宜イカ、委員ニ起草サセテ議場ニ報告スルト云フコトニナツテ居リマスカラ、若シ九番ノ説ガ成立マスレバ委員ガ其方法マデモ議シテ議場ニ報告スル、若シ廿一番ノ説ガ成立チマスレバ当局者ニ一任スルト云フコトニナリマス、其二様ニ就キ御決議ニナランコトヲ願ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) 唯今委員ニ附托スルト云フ説ガ否決スレバ廿一番ノ説ヲ問ハウト思ヒマス
○十三番(近藤廉平君) サウスレバ初メニ九番説ニ賛成スルヤ否ヤノ決ヲ採ラレマスカ
○五番(原善三郎君) チヨツト決ヲ御採リニナル前ニ一言申上ゲタイガ、此第四ノ御諮問ニ就キマシテ此文章ヲ見マスルト、随分此陳列場所ト云フノハ是レマデノ例デハ曖昧シテ居ルヤウニ思ヒマス、向フニ品物ヲ御遣リニナル場所ハ、モウ夫レ夫レサウ云フ事ニモ御熟練デ御注意モアラツシヤルノデアルカラ、決シテ御任セ申ス事ヲ疑ヒハ致シマセヌケレドモ、ドウモ公設ノ博物館ヤ領事館ニ陳列スルト云フ事ハ、実ニ是レマデノ例ニ依ルト少シモ効能ハナイト言ツテ宜カラウト思ヒマス、陳列ノコトニ就キマシテ十三番カラ大体ノ場所ヲ示サレマシテ、今日郵船会社ガ新タニ航路ヲ開ク便利ノ地デアリ、又日本ノ雑品ヲ輸出スル場所ハ、サウ云フ場所ニ設ケタイト十
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三番カラ言ツタ箇所ハ一々覚ヘマセヌガ、成程是レハ日本雑貨其他我輸出品ノ重ナル輸出ノアル場所ニ陳列所ヲ設ケルト云フノハ至極適当デアラウ、貿易ヲスル上ニハ大ニ必要ナコトデゴザリマセウ、本員モサウ感ジテ居リマス、今迄日本品ハ見タコトモナイ、日本ノ輸出品ヲ遣ツタコトモナイト云フヤウナ場所ニマデ、今ノ領事館ナドニ見本ヲ遣ルト云フコトハ先ヅ当分必要ハナイ、追々販路ノ拡張ニ随ツテ遣ツテモ宜イガ、差当リマシタ所ハ予メ適当ナ観業場ノヤウナモノデモ御拵ヘニナツテ、其国ノ人民ガ自由ニ我邦ノ陳列所ニ来テ夫レヲ見ルコトノ出来ルヤウナ御趣向ニデモナリマシタナラバ入費ノ点カラ云フタラ余分ニ掛リマセウガ、ソコラノ事ニナリマシタラ何分カ効能ハアラウト思ヒマス、是レマデノ例ニ依リマシテ領事館ノ二階ニ投上ゲテアル……持ツテ来タケレドモマダ上包ミノ儘デアツタト云フヤウナコトデハ、貿易拡張ナドトハ思ヒモ寄ラヌコトデ、五年モ六年モ陳列シナイト云フヤウナコトガアリハセマイカ是レマデハ其ヤウナコトガアルヤウニ聞イテ居ル、サウ云フコトデハ迚モ効能ハナイ、又廿一番ノ御説モ能ク分リマシタ、夫レハ諸君ノ御注意ニ在ルコトデゴザリマスカラ決シテ間違ヒハナイ、御任セ申スト云フコトニ不承知ハゴザリマセヌガ、能ク其辺ハ御注意アルコトヲ希望致シマス、仮令六千円ハ三万円掛ツテモ其効能ガアリサヘスレバ、決シテ高イコトハナイト思ヒマス、相成ルベクハ是レハ委員ヲ撰ンデ講究致シタ方ガ宜クハゴザリマセヌカ、当局者ニ御任セ申サヌト云フト、酷ク人民ガ官吏ヲ疑フヤウニアリマスガ、唯々程ノ宜イコトヲ申シテ居ツテモ……
○議長(伯爵佐野常民君) 五番ニ御注意致シマスルガ、委員ニ托スルガ宜イト云フ御趣意ナラバ其時ニ御起立ニナレバ宜ウゴザリマス
○五番(原善三郎君) 夫レダケノコトハ一寸申シテ置キマセネバナリマセヌ
○二十番(広瀬宰平君) 最早ヤ十二時ニモナリマスルカラ御採決ヲ願ヒマス
○十七番(藤井三郎君) 決ヲ御採リニナル前ニ一寸申シマス、私ハ本案ニ賛成デス、勿論巴里トカ倫敦トカ既ニ開ケテ居ル市場ハ日本ノ品モ行ツテ居ルカラ斯ウ云フ必要モゴザリマセヌガ、例ヘバ印度・墨西哥・「おでつさ」ナドハ日本ニ何ンナ物ガ出来ルカ夫レモ知ラナイ、是レハ皆様モ御述ベニナリマシタカラ私ガ改メテ述ベル必要モナイガ、十五番ナリ五番ナリハ、是レマデ領事館ニ見本ヲ送ツテモ全ク二階ニ抛ツテ置クヤウニ述ベラレマシタ、夫レハ私ガ外務省ノ委員デ出テ居ルカラ一言申シテ置カナケレバナリマセヌ、既ニ諸君ハ御承知デモゴザリマセウガ、外国ニ在ル日本ノ領事館ハ中々狭イモノデアルカラ、日本カラ来タ品物ヲ抛ツテ置ク訳デハゴザリマセヌガ、見本品ヲ並ベル丈ケノ部屋モナイ、極ク狭イ部屋ヲ借リテ居ル位デアルカラ、漸ク自分ノ机ヲ入レル丈ケニ止マルト云フノデアリマス、私モ処々方々ニ居リマシタガ、決シテ日本カラ来タ見本ヲ抛ツテ置イタコトハナイ、唯々困ツタコトガアリマシタノハ、私ガ亜米利加ニ居ツタ時ニ今大変紐育ニ日本ノまつちガ売レルト云フ
 - 第23巻 p.409 -ページ画像 
報告ヲシタコトガアル、所ガ農商務省カラノ指図ダト言ツテ神戸・広島辺リカラ二百五十函賃先払デ送ラレタコトガアル、是レニハ困ツタ、実ニ賃銀ノ出所ハナシ、税金ノ払所ハナシ、領事館ニ置ク席モナシ、色々ニ工風ヲシテ漸ク其始末ヲ附ケタ位デアリマス、今マデノヤリ方デサヘモ其位ニ尽力ヲシテ居ル、領事モ免職ニナルノガ怖イカラ能ク骨ヲ折ツテ居リマス、況シテ金ヲ附ケテヤルト云フナラバ領事ハ十分ニ世話ヲ致シ、決シテ領事館ノ二階ニ抛ツテ置クト云フヤウナ御懸念ハ入ラナイト思ヒマス
○五番(原善三郎君) 御説明デ能ク分リマシタ
○議長(伯爵佐野常民君) 夫レデハ最前申シマシタ通リ、委員ニ附托シテ其方法モ委員カラ出スト云フ九番説ニ就イテ起立ニ問ヒ、夫レガ若シ否決致シマスレバ、廿一番説ノ其方法等ハ当局者ニ任スルト云フニ御賛成ノ御起立ヲ願ヒ、夫レガ少数デアレバ其方法ヲ議スルコトニナリマス、其御積リデ御起立ヲ願ヒマス
○二番(藤田四郎君) 農商務大臣カラ「其適否及其方法ヲ諮詢ス」ト云フコトデアリマス以上ハ、其方法ハ議シナケレバナラヌト思ヒマス
○十四番(金子堅太郎君) 方法ガアルナラバ伺ヒタイト云フ御諮問デアルカラ、段々方法ヲ議シタガ、是レハ細カイコトニ渉ルカラ当局者ニ任スルト云フコトニナレバ、夫レガ即チ方法ヲ議シタモノト思ヒマス
○議長(伯爵佐野常民君) 今一度御起立ヲ願ヒマス
  起立者  少数
 委員附託説ハ少数デゴザリマスカラ、其方ハ消滅致シマシタ、廿一番ノ方法等ノ巨細ノ事ニ至ツテハ当局者ニ依頼スルト云フ説ニ就イテ決ヲ採リマス、夫レガ若シ少数デゴザリマスレバ、御苦労ナガラ続イテ方法ヲ御議定ヲ願ヒマス、夫レデハ廿一番説ニ御同意ノ方ハ御起立ヲ願ヒマス
  起立者  多数
○議長(伯爵佐野常民君) 多数デゴザリマス、夫レデハ第四問ノ方法等ノコトニ至ツテハ、当局者ニ依頼スルト云フコトニ決議致シマス
○中略
 午後零時五分散会
   ○政府ハ明治二十九年新ニ海外貿易拡張費ヲ設置シ、二十九年ニハ新嘉坡・盂買・浦塩斯徳・オデツサ・沙市・墨西哥ノ各地ニ、三十年ニハ前記六ケ所ノ外厦門ニ、三十一年ニハ其外牛荘・宜昌・上海・盤谷ニ我商品見本陳列所ヲ設ケタリ。此間ノ事情ハ明治三十二年十月十六日時ノ商工局長木内重四郎ガ第八回商業会議所聯合会ニ於テ行ヒタル演説ニ詳シ。其演説ハ本資料第二十一巻所収「東京商業会議所」明治二十九年三月十二日ノ条ノ参考部ニ収録セリ。