デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治29年10月26日（1896年）

是日、第一回当会議閉会サル。栄一、議員一同ヲ代表シ議長伯爵佐野常民ニ謝辞ヲ述ベ、政府ニ於テ今後モ外国貿易ノ繁盛ヲ図ル為メ適切ナル方策ヲ提出センコトヲ希望ス。

第一回農商工高等会議議事速記録　　第四一八―四一九頁　明治三〇年四月刊
明治二十九年十月二十六日（月曜日）午前九時四十三分開会
　　　　　　　　　　出席者
　　　　　　　　　　　　議長　　伯爵　佐野常民君
　　　　　　　　　　　　一番　　　　　大倉喜八郎君
　　　　　　　　　　　　二番　　　　　藤田四郎君
　　　　　　　　　　　　三番　　　　　藤田伝三郎君
　　　　　　　　　　　　四番　　男爵　鈴木大亮君
　　　　　　　　　　　　五番　　　　　原善三郎君
　　　　　　　　　　　　七番　　　　　益田孝君
　　　　　　　　　　　　八番　　　　　安藤太郎君
　　　　　　　　　　　　九番　　　　　山本亀太郎君
　　　　　　　　　　　　十番　　　　　中上川彦二郎君
　　　　　　　　　　　　十一番　　　　渋沢栄一君
　　　　　　　　　　　　十三番　　　　近藤廉平君
　　　　　　　　　　　　十四番　　　　金子堅太郎君
　　　　　　　　　　　　十六番　　　　益田克徳君
　　　　　　　　　　　　十七番　　　　藤井三郎君
　　　　　　　　　　　　十八番　　　　森村市左衛門君
　　　　　　　　　　　　十九番　　　　土居通夫君
　　　　　　　　　　　　二十番　　　　広瀬宰平君
　　　　　　　　　　　　二十一番　　　添田寿一君
　　　　　　　　　　欠席者
　　　　　　　　　　　　十五番　　　　浜岡光哲君
○中略
○議長（伯爵佐野常民君）　ソレデハ、諸君最前申上ゲマシタ通リ、段段諸君ノ御苦労ノコトヲ農商務大臣ニ代ツテ深ク謝シマス、今日デ閉会致シマス
○十一番（渋沢栄一君）　一言議員一同ニ代リマシテ、閉会ニ就テ、議長カラ議員一同ニ十分ナ熱誠ヲ以テ此諮問案ニ対シテ円満ニ議決シタト云フ、御褒辞ヲ下サレマシテ、一同有難ク拝聴仕リマシタデゴザイマス、此御諮問案ニ就キマシテハ、私共不才浅学ヲモ顧ミズ、存寄リハ腹蔵ナク言上ヲ致シ、又其際他ノ御議論ニ対シテ攻撃的ノコトヲ申シ、又弊害アリト認メル所ハ多少ノ愚見ヲ申シ、総テ海外貿易ト云フコトヲ大切トシテ、眼中ニ国家ト云フモノヲ見マシテ、相互ノ間ニ於テ遠慮モナク会釈モナク、共ニ胸襟ヲ披ヒテ議シタモ
 - 第23巻 p.549 -ページ画像 
ノト申シテ宜カラウト思ヒマス、農商務大臣ハ斯ル諮問ヲ御出シニナツテ、吾々ノ意見ヲ御問ヒニナリマシテ、其議決ヲ以テ国利民福ニ御力ヲ御尽シニナルデゴザリマセウ、固ヨリ此御諮問モ大切ナコトデゴザリマセウガ、尚ホ此以後ニハ吾々共幾分蓄ヘテ居ル貿易上ノ繁盛ヲ図ルニ必要ナ問題モアラウト思ヒマス、或ハ輸出税ヲ廃スルト云フコトモ、或ハ港ノコトニ関シテモ、国内ノ運輸ヲ拡張スルト云フコトニ付テモ、夫レ夫レ御考案モゴザリマセウガ、尚ホ当局ニ於キマシテハ右等ノ廉々ニモ御注目致サレマシテ、更ニ進ンデ国家ノ福利ヲ増スコトノ議案ヲ続々御提出下スツテ、不肖ナガラ吾々ガ十分ノ力ヲ以テ議スルヤウニ致サレルコトヲ希望致シマス、続イテ議長ノ御高配ヲ下サレマシタノヲ謝シ、農商務大臣ニモ今ノ意見ヲ述ベ置キマス
○議長（伯爵佐野常民君）　何レ農商務大臣ニモ詳シク申述ベルデゴザリマセウ
　　午後零時五十五分閉会