デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

8章 政府諸会
2節 博覧会
4款 パリ万国博覧会臨時博覧会事務局
■綱文

第23巻 p.599-615(DK230057k) ページ画像

明治29年11月14日(1896年)

是ヨリ先、パリ万国博覧会ニ参同ノ為メ臨時博覧会事務局設置セラレシガ、是日栄一、当事務局評議員ヲ仰付ラル。爾来評議員トシテ重要局務ノ審議ニ従事ス。


■資料

千九百年巴里万国博覧会 臨時博覧会事務局報告 農商務省編 上・第五九九―六〇二頁 明治三五年三月刊(DK230057k-0001)
第23巻 p.599-601 ページ画像

千九百年巴里万国博覧会
臨時博覧会事務局報告 農商務省編  上・第五九九―六〇二頁 明治三五年三月刊
 ○第二編 本邦ノ部 緒論
   (二) 千九百年巴里万国博覧会ニ対スル本邦政府ノ参同
千八百九十五年仏国政府ニ於テ千九百年万国博覧会ヲ開設ノ計劃アルヤ、時ノ仏国駐剳曾禰全権公使ハ仏国政府ヨリ参同ノ招請アルニ先チ該博覧会ノ梗概ヲ具シ、且ツ之ニ意見ヲ附シテ帝国ノ既ニ兵事上国威ヲ宣揚シタル今日、此ノ博覧会ニ参同スルハ更ニ文事上国運ノ進歩ヲ知悉セシムルノ最好機会タルカ故ニ、之ニ参同シテ前回ノ成蹟ニ鑑ミ更ニ一層ノ良好結果ヲ得ムコトヲ望ムトノ趣旨ヲ上申シタルニ依リ、外務大臣ハ同年六月廿日之ヲ農商務大臣ニ通牒セリ。依テ同省ハ直チニ之ニ参同ノ利害得喪ヲ攻究スルコトヽナリタルモ愈々其ノ参否ヲ決定スルハ先ツ彼レカ公然ノ招請ヲ待タサルヘカラス、且ツ尚一層詳カニ該博覧会ノ組織ト準備ノ如何トヲ査覈スルノ必要アルヲ以テ、農商務大臣ハ外務大臣ニ向テ之カ調査ヲ促シタリ。続テ仏国政府ハ同年一月仏国駐剳曾禰全権公使《(マヽ)》ヨリ左ノ公信ヲ以テ外務大臣ヲ経テ、帝国政府ノ参同ヲ招請スルニ至レリ。
 万国博覧会ハ十一年毎ニ我国ニ於テ開設スルノ旧慣ニシテ、来ル千九百年ハ恰モ右時期ニ相達シ且適マ学問上並ニ経済上非常ノ勃興ヲナセシ世紀ノ終年ニ相当スルヲ以テ、共和国政府ハ同年ニ美術品及ヒ農工産物ノ万国博覧会ヲ巴里ニ於テ開設センコトヲ決定シタリ
 広ク陳列館・庭園等配置ノ大体ニ関スル意見ヲ募リ、細目ノ調査ヲ畢ヘタル後遂ニ確定ノ設計ヲ立タリ
 抑千九百年博覧会ハ其ノ総則ニ定メタル如ク四月十五日ヲ以テ始マリ十一月五日ヲ以テ終リ、其ノ出品ヲ許スヘキモノハ美術品・農工産物及ヒ総則中各部類範囲ノモノトス、而シテ各国皆参同ノ案内ヲ受ケサルハナシ
 右今代ノ博覧会ト同時ニ既往百年間ノ産物博覧会ヲ開クコトノ計画ヲナセリ、而シテ其ノ計画ノ旨趣及ヒ方法ハ数科ニ分類シ、千八百年以来各科ニ於テ成セル進歩ノ程度ヲ摘示スルニアリ
 此ノ博覧会ニ於テ採用シタル新規分類法ニ於ケル特色ノ一ハ、製産物ヲ示スト同時ニ其ノ製産方法ヲ示スニアリ、会場内到ル所出来得ヘキ限リ公衆ノ面前ニ於テ大小ノ機関・器械ヲ運転シ、以テ其ノ製造方法ヲ知ラシメンコトヲ期ス
 - 第23巻 p.600 -ページ画像 
 右ノ外各科特種ノ博覧会、例之ハ仏国美術ノ沿革的博覧会・人類学上及ヒ人種学上博覧会・農具ノ共進会・動物ノ共進会又ハ音楽会・講話会等ヲ設ケ以テ大成スルモノトス
 会場ニ指定シタル場所ハ「シャン・ド・マルス」「トロカデロ」宮、及ヒ其ノ近接地、「ル・ケー・ドルセー」「ヱスプラナード・デザンヴァリード」「ル・ケー・ド・ラ・コンフェランス」「クール・ラ・レーヌ」「パレー・ドレンヂュストリー」及ヒ其ノ近傍ノ地域ニシテ、「セーヌ」河両岸交通ノ便ヲ開キ特ニ「アンヴァリート」ノ前面ニ橋梁ヲ架スヘシ
 博覧会規則ハ博覧会本館及ヒ附属室ニ於テ出品人カ占ムヘキ場所ノ無料ナルコト、且海関税・間税・入市税及ヒ出品物ノ保護ニ関シ寛大ノ取扱ヲ為スヘキコトヲ規定シタリ
 参同スル所ノ各国ハ、事務官長ノ許ニ一人ノ代人ヲ差出シ、其ノ国人ニ関スル事項ハ総テ此ノ代人ヲシテ之ヲ処置セシムヘシ
 博覧会ノ事務部ニ於テハ外国出品人各自ト応対セサルモノトス
 以上千九百年万国博覧会全体ニ関スル規程ニシテ、独リ既往百年間博覧会ハ此ノ規程ヲ適用スルノ限ニアラス
 千九百年博覧会ニ関スル要項略前述ノ如シ、今ヤ余ハ本国政府ノ訓令ニ依リ皇帝陛下ノ政府ニ対シ右博覧会ノ開設ニ関スル決定ヲ通知シ、以テ帝国政府カ此ノ挙ニ参同セラレンコトヲ懇請ス
 共和政府ハ各国ニ於テ其ノ懇請ヲ受容シ、各国ト共和国トノ親交ヲシテ益懽洽ナラシムルコトヲ切望スルハ言ヲ須タサル所ナリ
 共和国政府ハ日本帝国政府カ此ノ大事業ニ参同セラレンコトヲ特ニ切望スル所以ノモノアリ、其ノ故ハ日本ノ工業ハ此ノ広大ナル舞台ニ於テ其ノ輓近工業上ニ於ケル長足ノ進歩ヲ全世界ニ顕示シ、同時ニ後来仏国カ真実ナル感称ヲ表セル所ノ日本美術家ハ今日尚先進国ト相頡抗スルコトヲ証明スルノ好時機ヲ獲ヘケレハナリ
 本通知書ト倶ニ博覧会ニ関スル主要ナル規則書類ヲ送呈シタルニ依リ、落掌セラレンコトヲ請フ
右公信ニ添附シテ送附シ来リタル書類ハ左ノ如シ。
 一千九百年万国博覧会総則
 一出品部類別
 一高等職員
 一千九百年ノ万国博覧会ヲ構成スヘキ布告
 一同事務ノ組織ニ関スル布告
 一同事務局分課規程
 一総則ニ関スル事務官長ノ報告
 一出品部類ニ関スル事務官長ノ報告
 一各館ノ配置ヲ示シタル会場平面図
是ニ於テ農商務大臣ハ彼ノ通知書ニ添付シタル主要ノ書類ヲ調査セシメ、参否ノ審判ヲ省議ニ附シタルニ、審議ノ結果該博覧会ハ其ノ施設準備ノ間然スル所ナキノミナラス、適マ学問上・経済上非常ノ勃興ヲナセシ本世紀ヲ送リ、更ニ之ニ幾倍シタル繁盛ヲ致スヘキ新世紀ヲ迎ヘントスルノ時ニシテ、殊ニ輓近一変シタル国運進歩ノ態勢ヲ世界ニ
 - 第23巻 p.601 -ページ画像 
紹介スルニ於テ、逸スヘカラサル好機ト認メ参同スル事ヲ可決シタルヲ以テ、同大臣ハ二十九年二月三日ヲ以テ先ツ大体参同ノ方針ヲ確定スルノ閣議ヲ乞ヒタリ。尋テ同月五日ヲ以テ閣議ハ本邦ノ之ニ参同スルヲ可決シ、仏国政府ニ対シ欣テ応招スヘキ旨ヲ回答セラレタリ。是レ即チ本邦カ巴里博覧会ヘ参同スルコトヲ確定スルニ至ルマテノ経過ノ大要ナリ。


千九百年巴里万国博覧会 臨時博覧会事務局報告 農商務省編 上・第六〇三―六一九頁 明治三五年三月刊(DK230057k-0002)
第23巻 p.601-606 ページ画像

千九百年巴里万国博覧会
臨時博覧会事務局報告 農商務省編  上・第六〇三―六一九頁 明治三五年三月刊
 ○第二編 第一章 第一節 臨時博覧会事務局
   (一) 組織及任免
前章既ニ詳記シタルカ如ク明治二十九年二月本邦政府ニ於テ今回ノ万国博覧会ニ参同ノコトニ決定スルト同時ニ、農商務省ニ於テハ枢密顧問官男爵九鬼隆一ニ委嘱スルニ参同ニ要スル各般ノ準備ヲ以テシ、尋テ同月二十九日ニ至リ農商務大臣官房博覧会掛長鈴木馬左也・同会計課長葦原清風・同秘書課長早川鉄冶・特許局長柳谷謙太郎ニ取調委員ヲ命シ、相共ニ官制ノ起草及ヒ経費予算等ノ取調ニ従事セシメ、其ノ調査ニ基キ同年五月九日勅令第百八十九号ヲ以テ臨時博覧会事務局官制ヲ発布セラレタリ。而シテ其ノ官制ハ事務ノ必要ニ依リ二・三変更ヲ加ヘタレハ、左ニ最後ノ官制ヲ掲ク。
  臨時博覧会事務局官制(明治二十九年勅令第百八十九号但シ明治三十年勅令第二百三十八号及ヒ明治三十一年勅令第三十三号ヲ以テ改正セラレタルモノ)
 第一条 臨時博覧会事務局ハ之ヲ農商務省ニ置ク、明治三十三年仏国巴里府ニ於テ開設スヘキ万国博覧会参同ニ関スル一切ノ事務ヲ管理ス
 第二条 臨時博覧会事務局ニ左ノ職員ヲ置ク
   総裁     一人     副総裁   二人
   事務官長   一人     事務官   十人
   評議員    若干人    鑑査官   若干人
   書記     若干人
 第三条 総裁ハ農商務大臣、副総裁ハ勅任官ヲ以テ之ニ充ツ
  事務官長・事務官・評議員及鑑査官ハ官吏又ハ学識経験アル者ノ中ニ就キ撰定シテ之ニ充ツ、其ノ官吏ニ非サル者ノ取扱ハ評議員ヲ除ク外勅任官又ハ奏任官ニ準ス
  書記ハ判任官其ノ他ノ者ヲ以テ之ニ充テ、其ノ判任官ニ非サル者ノ取扱ハ判任官ニ準ス
 第四条 総裁ハ諸部ノ職員ヲ統督シ、局務ヲ総判ス
 第五条 副総裁以下ノ職員ハ総裁ノ奏請ニ依リ裁可ヲ経テ内閣ニ於テ之ヲ命ス、但書記ハ総裁之ヲ命ス
 第六条 総裁ハ本局ノ事務ニ関シ諸規則ヲ定メ、及警視総監・北海道庁長官・府県知事ニ指令又ハ訓令スルコトヲ得
 第七条 総裁ハ本局ノ経費予算定額内ヲ以テ外国人ヲ雇入レ又ハ本局ノ事務ヲ嘱托スルコトヲ得
 第八条 総裁ハ本局ノ予算定額内ヲ以テ傭員ヲ使用シ、又ハ第二条ノ職員及第七条ノ者ニ賞与シ又ハ報酬スルコトヲ得
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 第九条 副総裁ハ総裁ヲ輔ケ総裁事故アルトキハ其職務ヲ代理ス
 第十条 事務官長ハ総裁又ハ副総裁ノ命ヲ承ケ一切ノ事務ヲ掌理ス
 第十一条 事務官ハ、総裁・副総裁又ハ事務官長ノ命ヲ承ケ事務ヲ分承ス
 第十二条 評議員ハ総裁ノ諮詢ニ応シ重要ノ事項ヲ審議ス
 第十三条 鑑査官ハ総裁ノ命ヲ承ケ出品鑑査及之ニ関スル事務ニ従事ス
 第十四条 書記ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
右ニ掲載スル官制ハ事務ノ進捗ニ随伴シテ漸次之ヲ改正シタルモノニシテ、旧官制第二条ニ於テ「副総裁一人」「事務官六人」トアリシヲ副総裁ハ二人、事務官ハ十人トシ、又第三条ノ一項ニ「総裁ハ農商務大臣、副総裁・事務官長ハ勅任官、事務官ハ奏任官ヲ以テ之ニ充ツ」トアリシモノヲ明治三十年七月七日勅令第二百三十八号ヲ以テ「総裁ハ農商務大臣、副総裁・事務官長ハ勅任官、事務官ハ高等官又ハ学識経験アル者ヲ以テ之ニ充ツ」ト改正シ以テ官吏以外ニ於テ適当ナル人物ヲ撰任スルノ余地ヲ作リタリ。而シテ事務官長モ亦官吏以外ニ之ヲ取ルノ必要ヲ認メ、之ト同時ニ官吏以外ニ取リタル事務官長以下各官ノ待遇ヲ定ムルノ必要アリシヲ以テ、更ニ明治三十一年二月廿六日勅令第三十三号ヲ以テ右第二条第一項及ヒ同条第二項ニ「評議員及鑑査官ハ官吏其ノ他ニ就テ学識又ハ経験アル者ノ中ヨリ選定シテ之ニ充ツ」トアリ、之ヲ合併シテ「総裁ハ農商務大臣、副総裁ハ勅任官ヲ以テ之ニ充ツ」「事務官長・事務官・評議員及鑑査官ハ官吏又ハ学識経験アル者ノ中ニ就キ選定シテ之ニ充ツ、其官吏ニ非ラサル者ノ取扱ハ評議員ヲ除ク外勅任官又ハ奏任官ニ準ス」ト改正セラレタリ。即チ前掲第三条第一項及ヒ第二項是レナリ。
其ノ官制中副総裁二名ヲ置キタルハ、公務ノ支障ニ因リ総裁・副総裁共ニ彼地ニ渡航スル能ハサルトキ、仏国駐剳本邦公使ヲ以テ副総裁ト為シ全般ノ事務ヲ弁理セシムルノ必要アル場合ニ充テタルモノナリ。然ルニ明治卅一年二月二十八日副総裁タリシ司法大臣曾禰荒助ノ辞任ト共ニ欠員トナリタル以来、復副総裁ヲ置カス。而シテ実際開会ニ至リ総裁自ラ渡航セラルヽノ議ナキニ非サリシモ、国務多端ニシテ遂ニ果サス。而カモ当時博覧会事務局巴里出張所ニ於ケル事務ノ進行上、特ニ副総裁ヲ彼地ニ於テ任命スルノ必要ヲ認メサリシヲ以テ、官制中此ノ条ノミハ半、実行ヲ見スシテ止ミタリ。
尋テ同月十三日総裁ハ臨時博覧会事務局職制及ヒ臨時博覧会事務局分課規程ヲ定メテ之ヲ示達セラレタリ。即チ左ノ如シ。
    臨時博覧会事務局職制
 局中ノ事務ヲ大別シテ上下二款トナス、其上款ハ総裁ノ判決ヲ経テ施行シ、其下款ハ副総裁之ヲ専決ス
    上款
 一 諸規則制定ノ件
 二 閣議提出ノ件
 三 訓令告示ノ件
 四 主催国政府博覧会事務局並各省ヘ文書往復及庁府県ヘ指令スル
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 五 書籍図画上梓ノ件
 六 諸課廃置分合ノ件
 七 判任以上ノ進退ニ係ル件
 八 政府出品買上ノ件
 九 陳列館建築及其区画ヲ定ムル件
 十 金銭収支命令ノ件
 十一 不用品処分ノ件
    下款
 一 成規成例ニ依リ総裁名ヲ以テ主催国政府博覧会事務局並各省ヘ文書往復及庁府県ヘ指令スル件
 二 飾箱・飾台等新調ノ件
 三 陳列場区画ノ件
 四 傭員以下ノ進退及賞与・報酬ニ係ル件
 五 報告書編成ノ件
 六 用度品購入ノ件
 七 美術品鑑別決定ノ件
    臨時博覧会事務局分課規程
 第一条 本局ニ文書課・庶務課・出品課及会計課ヲ置キ、其事務ヲ分掌セシム
 第二条 文書課ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
  一 機密文書ニ関スル事
  二 局員ノ進退・身分及賞与ニ関スル事
 第三条 庶務課ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
  一 諸規則制定ニ関スル事
  二 諸文書ノ接受及発送ニ関スル事
  三 記録編纂・図書保管及反訳・印刷ニ関スル事
  四 官報・統計及報告ニ関スル事
  五 各課主掌ニ属セサル事項
 第四条 出品課ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
  一 出品ニ関スル事
  二 出品陳列場設置計画ニ関スル事
  三 建築ニ関スル事
 第五条 会計課ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
  一 経費ノ予算・決算及金銭出納ニ関スル事
  二 営繕ニ関スル事
  三 需用品ニ関スル事
  四 出品運送ニ関スル事
  五 給仕・小使・諸職工ノ傭使罷免及其取締ニ関スル事
明治二十九年五月九日官制ノ発布アルヤ漸次職員ノ任命アリ。今玆ニ当初ヨリ同三十四年五月三十一日官制ヲ廃止セラルヽニ至ルマテ、五箇年余ニ渉ルノ長日月間ニ於ケル総裁以下事務局職員ノ異動ト、各職員ノ毎年十二月末日ニ於ケル現在人員表トヲ掲記スヘシ。
      臨時博覧会事務局職員
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      総裁
     就職          解職       職名    爵氏名
 明治廿九年五月九日   明治三十年三月十五日 農商務大臣 子爵 榎本武揚
 明治三十年三月十五日  同三十年十一月六日  農商務大臣 伯爵 大隈重信
 明治三十年十一月八日  同卅一年一月十二日  農商務大臣 男爵 山田信道
 明治卅一年一月十二日  同卅一年四月廿六日  農商務大臣 男爵 伊東巳代治
 明治卅一年四月廿六日  同卅一年六月三十日  農商務大臣    金子堅太郎
 明治卅一年六月三十日  同卅一年十一月八日  農商務大臣    大石正巳
 明治卅一年十一月八日  同卅三年十月十九日  農商務大臣    曾禰荒助
 明治卅三年十月十九日             農商務大臣    林有造
      副総裁
     任命          解職       職名      氏名
 明治廿九年五月十三日  明治卅一年二月廿八日 帝国博物館総長  九鬼隆一
 同卅一年二月廿八日   同卅一年六月三十日  司法大臣     曾禰荒助
      事務官長
     任命          解職       職名      氏名
 明治廿九年五月十三日  明治三十年四月十日  農商務次官    金子堅太郎
 同卅一年三月三日                        林忠正
      林事務官長仏国出張中事務代理
     任命          解職       職名      氏名
 明治卅二年十二月十三日 明治卅三年六月二十日   事務官    美濃部俊吉
 同卅三年六月二十日   同卅四年五月十三日    同      磯部正春
      事務官 ○二十名氏名略
      課長  ○十八名氏名略
      評議員
     任命          解職       職名      氏名
 明治廿九年十一月十四日            行政裁判所評定官 平山成信
 同日                      内務省土木技監 古市公威
 同日                     農商務省山林局長 高橋琢也
 同日          明治卅一年七月八日  農商務省農務局長 藤田四郎
 同日          同 三十年四月十五日 農商務省商工局長 安藤太郎
 同日                      帝国博物館理事 山高信離
 同日                      東京工業学校長 手島精一
 同日                      東京美術学校長 岡倉覚三
 同日                      貿易品陳列館長 塩田真
 同日                          従三位 前田正名
 同日                          正四位 田中芳男
 同日                          正四位 村田保
 同日                          従四位 渋沢栄一
 同日                          正五位 和田維四郎
 同日                          従五位 土居通夫
 同日                          従五位 速水堅曹
 同日                          正六位 大倉喜八郎
 同日                          正六位 平賀義美
 - 第23巻 p.605 -ページ画像 
 同日                          正六位 渡辺徹
 同日                          正七位 安村喜当
 同日                          勲四等 森村市左衛門
 同日                              早川竜介
 同日                              田中市兵衛
 同日                              鹿島秀麿
 同日                              松尾寛三
 同日                              東尾平太郎
 同日                              改野耕三
 同日                              小畑岩次郎
 同日                              中村栄助
 同日                              藤本荘太郎
 同日                              阿部孝助
 同日                              内貴甚三郎
 同日                          勲四等 益田孝
 同日                              田中源太郎
 同日                              松尾儀助
 同日                              雨森菊太郎
 同日                              松田源太郎
 同日                              兼松房次郎
 同日                              本山彦一
 同日                              星野長太郎
 同日                              浜岡光哲
 同日                              大谷嘉兵衛
 同日                              山本亀太郎
 同日                              飯田新七
 同日                              濤川惣助
 同日                              森山芳平
 同日                              滝藤万次郎
 同日                              椎野正兵衛
 同日                              下条弥一郎
 同日                              綿野吉二
 明治三十年四月十五日                      岡本貞烋
 同日                              安藤仲太郎
 同日                     農商務省商工局長 武富時敏
 同五月十日                           田原栄
 同年七日十九日                農商務省特許局長 柳谷謙太郎
 同日                          従四位 志村源太郎
 同日                      高等商業学校長 小山健三
 同日                              林忠正
 同日                              西村総左衛門
 同年十月十二日                農商務省商務局長 箕浦勝人
 同日                     農商務省山林局長 志賀重昂
 同日                              川島甚兵衛
 - 第23巻 p.606 -ページ画像 
    鑑査官 ○三十七名氏名略
○下略


青淵先生公私履歴台帳(DK230057k-0003)
第23巻 p.606 ページ画像

青淵先生公私履歴台帳         (渋沢子爵家所蔵)
    任免叙授
同 ○明治二九年十一日十四日 臨時博覧会事務局評議員被仰付 内閣


千九百年巴里万国博覧会 臨時博覧会事務局報告 農商務省編 上・第六三一―六四三頁 明治三五年三月刊(DK230057k-0004)
第23巻 p.606-613 ページ画像

千九百年巴里万国博覧会
臨時博覧会事務局報告 農商務省編  上・第六三一―六四三頁 明治三五年三月刊
 ○第二編 第一章 第一節 臨時博覧会事務局
   (三) 評議員会
評議員ハ官制ノ指示スル所ノ趣意ニ従ヒ、官吏・学者・技術家・経験家及ヒ実業家ヨリ当初先ツ六十一名ヲ選抜シテ之ニ評議員ヲ命シ、明治二十九年十一月十四日各評議員ヲ召集シテ評議員会ヲ事務局ニ開キ予メ事務局ニ於テ定メタル議事規則ニ従ヒ、出品其ノ他ニ関スル大体ノ方針及ヒ出品規則ヲ審議セシメタリ。其ノ方針ニ関シテ諮問ニ附シタル事項ハ左ノ如シ。
  第一 出品撰択ノ方針
  第二 出品整理ノ方針
  第三 特種ノ物品補助ノ方針
  第四 参考品
  第五 事務研究員派遣ノ方針
依テ評議員ハ連日会議ヲ開キ、総裁ノ諮問ニ係ル出品規則ヲ議定シ、五個ノ問題ニ付テ意見ヲ答申シ、更ニ六個条ノ建議ヲ為シタル上、同年十二月十四日ヲ以テ閉会セリ。従前ノ万国博覧会ニ参同スルヤ事務局ノ一機関トシテ評議員ノ設ケナキニアラサリシト雖モ、秩序整然トシテ審議討究ヲ重ネ、博覧会ノ方鍼ニ関スル要綱ヲ議セシメシハ今回ヲ以テ始メトス。蓋シ其旨趣タル事務局ノ施設上万遺算ナキヲ期スルト同時ニ、暗ニ一般ノ民心ヲ勃興セシメ、自奮ノ精神ヲ誘発スルニ在リタルナリ。但シ博覧会ノ施設ニ関スル要綱ハ既ニ本会ニ於テ確定セラレ、爾後復タ評議員会ノ討究ヲ須ツノ事項少ク、偶之アルモ特ニ評議員会ヲ召集スルコトナクシテ各評議員ノ意見ヲ諮ヒタルヲ以テ、評議員会ハ本会以後再ヒ召集セラレスシテ止ミタリ。
今参考ノ為メ評議員会ノ議事規則及ヒ同会ニ於テ議定シタル各諮問事項及ヒ建議(出品規則ハ第二章第一節ニ見ユ)ヲ順次左ニ列記スヘシ。
    第一 臨時博覧会評議員会議事規則
 第一条 議事ハ毎日午前十時ニ開キ午後三時ニ閉ツ
 第二条 評議員三分ノ一以上出席スルニアラサレハ、議事ヲ開クコトヲ得ス
 第三条 議長ハ副総裁ヲ以テ之ニ充テ、副議長ハ事務官長ヲ以テ之ニ充ツ
  副議長ハ議長事故アルトキ議長ニ代リ議事ヲ整理ス
  議長・副議長事故アルトキハ、総裁ノ指名ヲ以テ臨時議長ヲ定ム
 第四条 諮訊案ハ特別ノ場合ヲ除クノ外遅クモ開会ノ日ヨリ三日以
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前ニ議長ヨリ之ヲ配付スヘシ
 第五条 評議員ノ席次ハ議長抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
 第六条 議事ハ総テ傍聴ヲ禁ス
   但議長ノ許可ヲ得タルモノハ此限リニアラス
 第七条 事務官ハ議案ヲ説明シ意見ヲ陳述スル為何時ニテモ発言スルコトヲ得
 第八条 発言セントスル者ハ起立シテ議長ノ許可ヲ受クヘシ
 第九条 発言ハ議席ニ於テ起立シテ之ヲ為スヘシ
 第十条 議事ノ整理ニ必要ナルトキハ、議長ハ発言ヲ止メ議事ヲ中止スルコトヲ得
 第十一条 弁論未タ終ラスト雖モ議長ニ於テ論旨既ニ尽キタリト認ムルトキハ、其議題ノ決ヲ採ルコトヲ得
 第十二条 採決ノ方法ハ起立・投票ノ二種トシ、議長ニ於テ便宜之ヲ用フヘシ
 第十三条 議事ハ多数ヲ以テ之ヲ決ス、可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス
 第十四条 議事ハ議長ノ見込ニ依リ三読会ノ順序ヲ用フルコトヲ得
  前項ノ場合ニハ、第一読会ニ於テ議案ノ大体ヲ議シ、第二読会ニ於テ逐条討議シ、其三読会ニ於テ全案ニ就キ確定議決ヲ為スモノトス
 第十五条 議案及修正説ハ、三名以上ノ賛成者ナキモノヲ議題ト為スコトヲ得ス
 第十六条 議長必要ナリト認ムルトキハ、議案若クハ修正案ヲ調査セシムル為評議員中ヨリ調査委員ヲ命スルコトヲ得
  議員五名以上ヨリ調査委員選定ノ請求アリタルトキハ、議長ハ会議ノ決ヲ採ルヘシ
 第十七条 調査委員報告ノ期限ハ議長ノ指定ニ依ル、其指定ナキトキハ評議員会ニ於テ之ヲ定ム
 第十八条 主任官吏並建議案若クハ修正案ノ発議者ハ、調査委員会ニ列シ其旨趣ヲ弁明スルコトヲ得
   但表決ノ数ニ加ハルコトヲ得ス
 第十九条 議事ノ終始ハ議長ノ宣告ニ依ルヘシ
 第二十条 議事ハ書記ヲシテ其要領ヲ筆記セシム
 第廿一条 評議員病気其他ノ事故ニ依リ参集スルコト能ハサルトキハ其旨議長ニ届出ツヘシ
 第廿二条 本則ニ明文ナキ事項ハ議長総テ之ヲ決スヘシ
    第二 諮問事項
     以下列挙スル諮問事項中方案トシテ列記シタルモノハ、最初総裁ヨリ諮問ニ附セラレタル方按ニ対シ評議員会ニ於テ多少ノ修正ヲ加ヘテ可決シタルモノナリ。今煩ヲ避ケテ最初ノ諮問方按ヲ省キ単ニ決定シタル方按ノミヲ掲ク。
    第一問 出品撰択ノ方針
      要旨
 博覧会ハ百工衆技ノ競争場タリ、既ニ競争ヲ以テ旨趣トナス以上ハ
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之ニ向テ出品センニハ宜シク諸般ノ品類ニ就テハ予メ取捨ノ分ヲ正シ、専ラ其長ヲ角シ能ヲ競フニ足ルヘキモノヲ選ハサルヘカラス、若シ之ヲ導クニ一定ノ方嚮ナク各自意ニ任セテ採択セシメハ、取捨分ヲ過マリ緩急序ヲ紊リ漫ニ品類ノ繁多ヲ致シテ毫モ実際ニ効ナク独リ運転・包装・受授・記録・陳列等ノ際ニ於テ無益ノ労費ヲ益スヲ免レサルノミナラス、之カ為メ却テ将来ノ貿易ヲ妨害スルコト尠カラサルヘシ、今其ノ一例ヲ挙クレハ出品スヘキ普通商品ハ貿易ノ目的ニ供スヘキモノタルハ勿論、已ニ貿易品トシテ競争ノ位置ニ立ツモノ、若クハ現今貿易場裏ニ於テ競争ノ位置ニ立ツ場合ニ達セサルモ、将来貿易品トシテ販路ヲ拡張スヘキ見込アルモノタラサルヘカラス、美術品ハ本邦固有ノ気韻高雅ノ神趣ヲ顕彰シテ本邦美術品本来ノ特色ヲ発揮セサルヘカラス、諸機械・諸工具等ノ類ハ本邦ノ工夫新按若クハ改良ニ係ルモノニシテ欧米ノ学術技芸ヲ採択シ、之ヲ活用スル所ノ実力ヲ証明スルモノタラサルヘカラス、然リ而シテ百般ノ出品及措画ハ国家ノ対外的形体ヲ組成シ、一挙一動其精神ノ外ニ走ルヲ許サス、是レ出品ニ就テハ予メ一定ノ方嚮ヲ立テ無益ト認ムヘキモノアラハ断然之ヲ排斥シ、至要ノ点ニ向テハ大ニ力ヲ致サヽルヘカラサル所以ナリ、今左ニ出品選択ノ方針ヲ列叙シ以テ評議員会ノ意見ヲ問フ
      方案
 一 諸産物ハ、既ニ貿易品トシテ若干ノ販路ヲ有シ、若クハ未タ幾多ノ販路ヲ有スルニ至ラサルモ将来大ニ之ヲ拡張スルノ見込アルモノニ限ル
 一 諸機械・諸工具等ハ本邦人ノ創意ニシテ機巧特ニ秀ツルモノ、又ハ其源ヲ海外ニ取ルモ本邦ニ於テ之ニ改良ヲ加ヘタルモノ、又ハ源ヲ海外ニ取リ敢テ改良ヲ加フルニ至ラサルモ其製作ノ精巧外品ト相競フニ足ルヘキモノニ限ル事
 一 美術品ハ技術意匠ノ貴フヘキハ勿論、殊ニ本邦風気ノ高雅、礼文ノ修明ヲ表発シ、成ルヘク外人ヲシテ其神趣ヲ暁知シ易ラシムヘキモノヲ撰フ事
    日清戦争等ノ図ニ於テ彼ノ敗ヲ示シ我ノ勝ヲ誇燿スルカ如キノ図ハ可成丈之ヲ避クヘキコト
 一 美術工芸品ハ意匠・精巧・堅牢ヲ主トシ、特ニ其趣味ハ十分本邦高趣ノ気格ヲ保持シ、而シテ外人ノ用具ニ応用スルニ足ルヘキモノヲ撰フ事
 一 教育・学芸・社会・経済・衛生・戦術・運搬・土木・建築・音楽・印刷等ハ皆開明ノ進度ヲ示ス所以ナリ、宜シク要ヲ取リ繁ヲ省キ、実物ヲ以テ示スコトヲ得ヘキモノハ実物ヲ出シ、実物ヲ以テ示スヘカラサルモノハ或ハ肝要ノ規則・法令等ヲ翻訳シ或ハ統計・記録等ヲ編纂スル事
 一 参考品ハ普通品ニ在テハ本邦物産ノ特異及富源等ヲ顕ハスヲ目的トシ、古物又ハ美術品ノ類ニ在テハ本邦既往ノ開明ヲ示シ、又ハ本邦文物ノ高雅富麗ヲ顕ハスヲ目的トスル事
    第二問 出品整理ノ方針
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      要旨
 従来我邦カ海外ノ万国博覧会ニ参同スルヤ、其事務ハ概ネ官之ヲ掌ル、啻ニ官其事務ヲ掌ルノミナラス人民ノ出品ニ対シテモ必ス官ヨリ巨額ノ補助ヲナサヽルヲ得サルノ情況ナリキ、是レ一面ニ在テハ本邦人民未タ海外ノ情勢ニ通セス、外国貿易ノ道未タ振ハス、加之輸送・陳列其ノ他ノ費用モ亦繁多ニシテ人民之カ支弁ニ堪ヘサルニ基因シ、又一面ニハ其事国家的対外事業ニシテ進退動作一律斉整ヲ要スル等、当時ニ於テハ万止ムヘカラサル事情アリシニ依ルト雖モ仔細ニ之ヲ査察スレハ出品ノ斉整、価格ノ当否等ニ至テハ幾分ノ欠点ナキニアラス、殊ニ過去数年間ハ生産ノ発達、貿易ノ伸張、技術ノ上進頗ル観ルヘキモノアリ、且ツ民間実業各個一致団結ノ力モ亦年々発達シ、必スシモ従来ノ成績ヲ以テ今後ノ成果ヲ予断スヘカラサルモノアルヲ以テ、近時或ハ巴里万国博覧会事業ヲ民業ニ移サント欲スルノ希望アリト雖モ、元来万国博覧会ハ国民各自ノ生産・学術・技芸ヲ集合シテ国家的生産力ノ実体ヲ整頓シ、以テ宇内ノ生産力ノ競争ニ輸贏ヲ決セントスルモノナレハ、其内部ノ体容即チ其根底ハ固ヨリ国民各個別異ナルヘキモ、之ヲ蒐集整頓スルニ於テハ国家ノ対外的形体ヲ組成シ、而シテ其動作整頓ハ恰モ軍隊ノ整列進退ニ於ケルカ如ク出品ノ性質・整理・排列・売価其他百般ノ施設及用意渾テ国家的団結トナリ、行政命令ノ下ニ斉整進退スルヲ要ス、事業ノ性質既ニ此ノ如シ、万国博覧会ノ挙決シテ易事ニアラス
 今回我国ノ巴里万国博覧会ヘ参同ノ挙ハ、戦後ノ経営ニ係ルヲ以テ従来ノ縄墨ニ拘泥セスシテ国運ノ伸張ニ随伴シ、之カ措画モ亦時ト共ニ推移スルノ要アリ、依テ這回ノ万国博覧会ハ其事業ノ性質ニ伴ヒ従来ノ局面ヲ一変シ、其ノ規画ヲ大ニシテ万遺算ナキヲ期セサルヘカラス、蓋シ従来ノ万国博覧会ニ於ケル本邦ノ成績ハ其大体ニ於テハ不可ヲ認メスト雖トモ、若シ猶民意ノ容ルヘキモノアラハ之ヲ取捨採択シ、官民協和一致以テ本邦ノ大勢力ヲ斯競争場裏ニ発揮スルハ甚タ可ナラン
 然レトモ斯事業ヲ民業ニ移スハ目下ノ国情ニ於テ固ヨリ不可ナリ、又政府ノ出品、其他学術美術品若クハ学芸諸器械ノ類ハ特殊ノ方法ニ依ラサル可カラス、依テ政府ハ出品撰択ニ関シテハ広ク民間ノ意見ニ質シ、又確実ナル協会ノ出品人ヨリ出品ノ整頓・輸送・陳列・保管・積戻等ニ関スル委嘱ヲ受クルコトヲ許可シ、政府ハ之カ監督ノ位置ニ立ツノ必要アルヲ認ム、依テ左ニ方按ヲ列叙シ、以テ評議員会ノ意見ヲ問フ
      方按
 一、第一問ノ審議ニ於テ決定スル所ノ出品撰択ノ方針ニ基キ、事務局ハ主ナル各団体ニ諮問シ出品人ノ資格及物類撰択ノ標準ヲ定メ、各地方長官ニ命シ其管内ニ於テ出品ニ適スヘキ物類ノ撰択及物類ノ出品ヲ奨励スヘキ当業者又ハ地方ノ撰択ヲ為サシムヘシ、尤モ之カ撰択ニ付テハ商業会議所又ハ適当ナル諸協会若クハ諸組合ニ諮問セシムル事
    但各官庁出品ノ事ニ就テハ、事務局ニ於テ直ニ各官庁ヘ照会
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スヘシ
 二、地方長官ハ前項ノ手続ニ依リ深重ナル詮議ヲ経テ其意見ヲ定メ之ヲ事務局ニ報告シテ其認可ヲ受ケシムル事
 三、事務局ニ委員若干名ヲ置キ出品人ノ資格、物類撰択ノ標準、出品数量ノ標準、委托ヲ為サシムル出品種類ノ区別及出品ノ許否ニ関スル事項ヲ調査セシムル事
 四、出品人直接ニ出品スルモノハ其旨ヲ届出シムル事
 五、出品人ニ於テ、其出品ニ関スル一切ノ事務ヲ委托スヘキ者ヲ自ラ定メタルトキハ、双方連署ノ上届出シムル事
 六、出品人自ラ出品ニ関スル事務ヲ取扱ハサルカ、又ハ直接委托スヘキ受托者ナキトキハ、事務局ノ認可ヲ得タル受托者ニ委托セシムル事
 七、前項ニ依リ出品人ヨリ出品ノ整頓・輸送・陳列・説明・保管・販売・積戻等ニ関スル一切ノ委托ヲ引受ケント欲スル者ハ、物品ノ種類ニ応シ責任管理ノ方法ヲ設ケ事務局ヘ願出認可ヲ受ケシムル事
 八、前項ノ委托ヲ引受クルモノハ、同種類ニ付一協会若クハ一組合ニ限ル事
 九、第七項ニ依リ委托ヲ引受クルモノハ、其事務ヲ処弁スルタメ適当ノ事務委員ヲ選定シ、事務局ノ認可ヲ受ケシムル事
 十、総テ出品取扱ニ関シ博覧会開設地ニ渡航スル者ハ、事務局ノ認可ヲ受ケシムル事
 十一、第七項ノ受托者ニ限リ相当ノ手当金ヲ事務局ヨリ補給スル事
 十二、第七項ノ受托者ヨリ派出スル渡航委員ニ対シ若干ノ渡航費ヲ事務局ヨリ支給スル事
 十三、前項渡航委員ノ外、出品人若クハ代理人渡航スルトキハ、若干ノ船車賃ヲ事務局ヨリ支給スル事
 十四、出品人及出品受托者ハ、出品ニ関スル一切ノ事務ニ付総テ事務局ノ指揮監督ヲ受ケシムル事
 十五、官庁ニ於テ出品スルモノハ、其出品元価及逓送費等ハ事務局ノ経費ヲ以テ支弁ス
    但出品ノ撰択ハ事務局ノ承認ヲ得セシムル事
 十六、官庁ノ出品ハ、輸送及積戻ニ至ルマデ事務局員直接之ヲ管理スル事
    第三問 特種ノ物品補助ノ方鍼
      要旨
 抑美術品ハ本邦特得ノ精華ヲ顕彰スルモノニシテ、諸機械類ハ欧米ノ文物ヲ本邦ニ採択シ之ヲ活用スル程度ヲ証表スルモノナレハ、二者緩急軽重ノ別アリト雖トモ、今日対外的実体ヲ整備シ以テ列国ノ競争場裏ニ我大勢力ヲ表示セント欲セハ、此等製品ニハ特別ノ補助奨励ヲ加ヘサルヘカラス
 往昔我美術品ノ神品傑作ニ富ム所以ノ者ハ、畢竟帝室若クハ公卿諸侯等ヨリ補助奨励ヲ加ヘタルニ依ラスンハアラス、之レ美術品ノ製作ハ多クハ一人一家ノ負担ニ堪ヘサルモノ多キニ依ル故ナラン、果
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シテ然ラハ今欧洲商工業ノ枢衢ニシテ美術ノ中心タル仏国巴里府公設ノ万国博覧会ニ於テ、旭旗ノ下ニ我平和的戦闘力ヲ宇内ニ示サントスルニ当リ、彼ノ頗ル欣賞スル所ニシテ他邦ニ於テ容易ニ競争ヲ試ムル能ハサル所ノ本邦固有ノ美術品ニ対シテハ特殊ノ補助奨励ヲ加ヘ、以テ彼レカ心気ヲ奪フノ方途ニ出テサルヘカラス、而シテ近時政府カ外国博覧会ニ参同シタル場合ニ於テモ、美術品ノ撰択蒐集ニ就テハ常ニ誘導奨励ノ途ヲ講シ、近ク閣竜世界博覧会ニ於テハ美術ノ出品ニ就テハ特ニ適当ノ技術家ヲ撰定シ、製品ノ種類ト価格トヲ定メ、図按ヲ示シ検定・校正ノ上之ヲ調製セシメテ出陳セリ、蓋シ資産乏シキ美術家ヲシテ畢生ノ技能ヲ振ハシムルニハ此ノ如クスルノ外アラスト雖トモ、或ハ此特別ノ助成ニ対シ充分ナル効果ヲ示スコト能ハサルモノ往々之レアリ、故ニ今回ハ一方ニ於テハ特別技芸家ヲ撰抜シ図按ヲ提出シテ製造セシムルカ如キ旧来ノ奨励法ヲ実施スルト同時ニ、他方ニ於テハ技術家カ各自任意ノ図按・意匠ニ依リ得意ノ技能ヲ発揮シテ毎年各所ニ開設スル博覧会・共進会等ニ出品シタルモノノ中ニ就キ、特ニ本邦美術品ノ出品トシテ海外ニ誇示スルニ足ルヘキモノヲ撰択シ、其等級ニ応シテ或ハ買上ケ或ハ補助シ、協会又ハ各自ノ名義ヲ以テ之ヲ巴里博覧会ニ出陳セシムルトキハ、唯ニ従来ノ欠点ヲ補フノミナラス、博覧会・共進会ヲ以テ予撰ノ場所トナシ、其開設ノ目的ヲ貫徹セシメ多数優等品ノ出陳ヲ得ルニ至ラン、而シテ之カ方法ノ如キハ明治三十二年ニ至ル三年間春秋各季ニ開設スル日本美術協会・明治美術会・東京彫工会・日本漆工会其他各種ノ博覧会・共進会等ニ於テ精覈鑑査ノ後、其優劣精粗ノ別ニ依リ左ノ補助法ヲ遂行スルコト三年ナルトキハ、一ハ以テ美術品蒐集ノ便ヲ得、一ハ以テ此等各会ノ目的ヲ達シ当業者奨励ノ実ヲ得ント信ス
 又従来外国博覧会ノ成績ニ依レハ、彼ノ誇張スル処ノ学術応用ノ諸機械ハ本邦ノ出品頗ル僅少ニシテ寥々晨星ノ如シ、抑欧米ノ文物本邦ニ輸入セシ以来日尚浅キカ為メ創意・改良・発明等ニ係ル機械ノ出品ハ未タ俄ニ之ヲ望ムヘカラサルモノアリト雖モ、或ハ之カ製作ハ往々多額ノ費用ヲ要スル等止ヲ得サルニ依ルモノナキヲ期セス、今ヤ宇内列国進度ノ競争ニ対峙シ、威望実力共ニ備ヘ以テ国家ヲシテ列国ノ間ニ重カラシメントセハ、唯ニ過去歴史ノ高雅ヲ祖述シ現時ノ気韻製作ノ高妙若クハ富源ノ饒多ヲ表証スルヲ以テ足レリトセス、必ヤ欧米ノ文物ヲ収用シ之ヲ実地ニ活用スル進歩発達ノ大勢力ヲ証明セサルヘカラス、而シテ之レカ補助奨励方法ハ概ネ美術ニ対スル補助奨励ノ方法ニ準拠シテ不可ナカルヘシト雖トモ、尚従来ノ経験ニ徴シ事務局ニ於テ充分改良ノ方法ヲ講究セント欲ス
 其他美術品・諸機械類ノ外前陳ノ主意ニ適合スルモノアラハ、便宜同一ノ補助奨励法ヲ用フルコトアルヘシ
      方案
 一 美術品・美術工芸品・諸機械工具・模型・標本ノ類ハ之ヲ買上ケ、其他特殊ノ方法ヲ設ケテ補助奨励ヲ加フル事
 一 前項方法ノ一トシテ、明年ヨリ明治三十一年迄ニ開設スル展覧
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会・共進会及ヒ品評会ノ出品中特ニ優等ナルモノヲ撰抜シ、其等級ニ依リ之ヲ買上ケ又ハ補助シテ、協会又ハ技術者ノ名義ヲ以テ出品セシムル事
    第四問 参考品
      要旨
 参考品ハ本邦ノ歴史ノ証徴若クハ生産ノ富源ヲ表明シ、我国家ノ高尚雅麗ナルコトヲ示スニ於テ裨益ナシトセス、依テ之ヲ出品スルコトヽシ、其出品ハ博物館、朝野ノ紳士若クハ有志者等ノ出品ヲ促カシテ可ナラン、若シ夫レ出品ノ撰択ノ如キハ、専ラ国家ノ光輝ヲ掲ケ、国俗ノ高雅、富源ノ広大ナル等ヲ示スヲ以テ目的トシ、好古ノ僻ニ流レサルヲ要ス
      方案
 一 参考品ハ第一問第六項ノ目的ニ適合スルモノニ限リ之ヲ買上ケ又ハ公館・有志者ノ所蔵品ヲ借入レ、事務局ニ於テ出品スヘシ
    第五問 事務研究員派遣ノ方針
      要旨
 凡ソ博覧会ノ目的ハ、外ニ対シテハ貿易品ノ公告及標本ノ公示ヲ為シ、内ニ対シテハ百工技能ノ競争場タラシムルニ在リ、是ヲ以テ出陳品ノ良否ハ外国ニ於テハ貿易上ノ消長ニ最大関係ヲ有シ、内国ニ於テハ一目ノ下精粗優劣ヲ公認セシムルモノニシテ、直接生産者及商賈一家ノ利害ニ波及スル所極メテ大ナリトス、博覧会ノ事タル深ク鑑ミスンハアルヘカラス、従テ博覧会ハ只ニ其出品ノ撰択ニ留意スルノミナラス、建築・出品・装飾等可成多数ノ視線ヲ惹キ以テ可成多数ノ脳裏ニ蔵メシムルノ方法ヲ攻究シテ、博覧会ノ本旨貫徹スルコトヲ勉メサルヘカラヌ、加之内国勧業博覧会モ亦毎年ニ開会スヘキヲ以テ、今回ノ巴里大博覧会アルヲ機トシ適当ノ人物ヲ撰抜シ事務局経費ノ内ヲ以テ事務攻究員若干名ヲ派遣シ、会場各館ノ排置及建築ヲ始メ、出品ノ陳列並ニ館内ノ装飾等ニ至ルマテ博覧会ノ事項ニ就キ十分ノ攻究ヲ遂ケシメ、以テ将来本邦博覧会ニ関スル施設ノ模範トナサントス、依テ左ニ方案ヲ列叙シ、以テ評議員会ノ意見ヲ問フ
      方案
 一 左ノ事項ヲ攻究セシムル為メ適当ナル人物ヲ撰択シテ派遣スル事
 一 博覧会場各館ノ排置・建築及其附帯工事
 一 出品ノ配置・陳列、及列品場ノ装飾法、並飾箱・飾台ノ意匠
    第三 建議
 一 適当ナル専門家ヲ朝野ニ撰抜シテ博覧会開設地ニ派遣シ、各国出品ニ就キ精密ノ攻究ヲ遂ケ、併セテ本邦重要物産ニ関スル市上ノ情況ヲモ調査セシメラレタキ事
 二 我熟練ナル良工ヲ撰抜派遣シテ各国ノ出品ニ就キ周到研究ヲ遂ケ、以テ我カ製品ノ改良ヲ希図セラレタキ事
 三 審査官ハ成ルヘク多数ノ人員ヲ派遣シ、本務ノ外前二項ノ派遣員ト相待テ精密ノ攻究ヲナサシメラレタキ事
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 四 博覧会出品中ニ於テ貿易ノ資料トナルヘキ標本ヲ購求セラレタキ事
 五 貴紳・富豪家若クハ妙技者ニ対シ、事務局ヨリ特ニ国力富源ヲ顕彰シ又ハ国光ヲ発揚スヘキ品類ヲ出陳スルコトヲ勧誘シ、其出品者ニシテ特別有功ナルモノハ賞功ノ上奏アラレタキ事
 六 製茶ハ普通陳列出品ノミヲ以テスルトキハ充分ニ販路拡張ノ目的ヲ達シ難キヲ以テ、喫茶店ヲ設ケ配布茶ヲ為サシムルタメ、政府ハ之ニ対シ特殊ノ補助奨励ヲ加ヘラレ度キ事
 七 本邦物産ノ販売店ハ国家ノ体面ヲ維持スルタメ「コロンブス」博覧会ノ例ニ傚ヒ、政府ハ之ニ向テ充分ニ監督ヲ加フルト共ニ其建築費ニ対シ補助ヲ与フルコト



〔参考〕内外博覧会総説並に我国に於ける万国博覧会の問題 永山定富著 第二八一―二八六頁 昭和八年九月刊(DK230057k-0005)
第23巻 p.613-615 ページ画像

内外博覧会総説並に我国に於ける万国博覧会の問題 永山定富著
                          第二八一―二八六頁 昭和八年九月刊
 ○第四編 第一章 海外博覧会本邦参同沿革
    一、明治時代
○上略
第二十六回(巴里) 第二十六回は明治三十三年(千九百年)仏国巴里万国博覧会である。
 本博覧会に対する我参同計画は、本博覧会が過去に於ける全世界の万国博覧会の総収である如く、海外博覧会参同事業中最も重要なるものゝ一つである。即ち経費総額の百三十一万九千余円なるを第一とし出品蒐集の範囲・撰択・勧誘・鑑査等の更に整頓せる、又美術品乃至工芸品に対しては買上げ・補助金交附等の方法によつて優秀作品の製出を奨励し、殊に古美術品の為めには特別館を場内に建設し、帝室の御物を始めとし、貴紳・富豪及び寺社の秘宝を出品展示せるは、実に今回を以て始めとし又終りとする底の盛観を呈した。のみならず、日本美術略史の出版配賦は欧米有識の士をして本邦美術の淵源と発達とを知るに便ならしめ、且つ新古美術品及び美術工芸品の出品を以て、本参同事業の中心点となしたことは特筆に価するものといはなければならぬ。
 出品の処理委託に関しては、市俄古博覧会に其萌芽を示せるもの本博覧会に結実して出品聯合協会の出現となり、名実共に其業務を遂行し得たことは本邦参同事業の一進歩と称すべきである。只其存在が本参同事業の終止と共に終止し、常設の機関として永続し得なかつたことは遺憾と為すべきであつた。以下少しく参同計画の事務組織並に実際の施設につき記す所あるであろう。
 我政府の本博覧会参同の招請に接するや、農商務省は博覧会計画に関する主要書類其他を調査の後、先づ参否如何を省議に附することゝした。而して本博覧会は、其施設準備に於て間然する所無きのみならず、適々学術上・経済上異常の発展を遂げたる十九世紀を送り、更に之に幾倍する繁盛を招徠すべき新世紀を迎へんとするの時に当り、特に「輓近一変せる我国運進歩の状勢」を世界に紹介するに於て絶好の機会であるとの理由を以て其参同を可決した。仍て農商務大臣は明治
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二十九年二月之を閣議に附したがその同意を見たので、之を仏国政府に通告すると同時に臨時博覧会事務局官制を発布し、之を同省内に開局し、参同事務の処理に着手せしめた。事務局官制・職制・分課規程等は前回に比し更に一層の整頓を加へ、後の参同事業の範を為すに至つた。かくて事務局総裁は農商務大臣を以て之に充て、副総裁には九鬼隆一・曾禰荒助等を以てし、事務官長は初めに金子堅太郎、後に林忠正を之に任じた。且つ事務官二十一名・評議員六十二名・鑑査官三十八名を任命し参同事業の枢要に当らしめ、更に補助機関として出品整理の為めに調査員を置き、出品人の撰択、出品物撰択の標準、数量の標準等につきて研究調査せしめ、其報告に待つて此等重要の問題を決定した。次に各府県委員は地方出品事務を処理し、事務局と出品人との間に介在して双方の事情を疏通し事務の進行を計るにつとめた。
 事務局の公布せる出品規則は、評議員会の諮詢を経て制定発布せるものであるが、過去幾十回の参同、殊に市俄古博覧会に得たる経験は出品の費用、出品出願の書式、出品目録解説書、出品受託、出品発送等につき詳細適切を加へ、美術作品の募集に関しては鑑査規程を設けて之を厳選し、出品の奨励の為めには図案募集によりて賞金を授け、或は美術作品及び美術工芸品の為めに買上げ及び製作費補助を試み、抜萃採美以て出品の優秀を期し、其額三万九千七百余円に上つた。又帝室に於かせられては本邦美術の精萃を海外に発揮するの 叡旨に基き、帝室技芸員に命じて絵画・彫刻・彫金・蒔絵・七宝・鋳金・陶磁器・綴錦・刺繍・友禅織物・変色合金・槌起等を製作せしめられ、之が為に総金額三万八千五百円を支出せられた。之と同時に美術品製作の補助勧奨は貴紳富豪間の問題となり、巴里万国博覧会出品組合を組織し、組合員の出資により美術品の製作に当らしめ、工芸部の出品に幾多の光彩を添加するに至つた。
 又出品に干する奨励補助のみならず、出品人に対する経費の補助は均しく中央・地方の問題となり、事務局の施設以外に府県費其他を以て補給の道を講じ、渡航費、出品に関する会合費補助及び運賃保険料其他に対する府県市等の補助総額は九万一千八百余円に達した。
 斯くの如くして本邦の出品は人員一千三百八十四人・二万六千四百六十点・原価七十四万一千九百余円の前例なき数字を得、台湾・一道庁・三府・四十三県を蒐集区域とする本邦の出品は、部類別に配して十三部百類に亘り、之を場内陳列館八千三百九十四平方メートルの面積に収めた。出品処理に関しては、官庁出品を除くの外は主として出品協会に指命して之れを管理せしめた。出品協会の設立は元来政府の勧説に起つたものであるが、各地方に起る同一目的の団体分立の弊を一掃し、之を統一ある機関に委任するの策に出でたものである。本出品聯合協会は会頭前田正名外百八十名の有志者発起人となり、政府は其成立に対し十万円を補給し、同協会は会頭代理理事長平山成信を開催地に派遣して実際の会務に当らしめたが、会期中同協会の取扱へる出品販売高は三十三万九千余円に上つた。
 国際審査に際しては渡辺董之助外二十一名の審査員を出して之に参与せしめ、大褒賞四〇・金牌証状一三八・銀牌証状二五六・銅牌証状
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五〇七・褒状三一六の結果を収めた。又出品の外本邦人店舗及興行物等型の如く場内に設けられ、明治三十三年四月十日より十一月三日に至る会期間に於て、即売店は十二万二千法の売上げをなし、喫茶店・酒舗・興行物等は必ずしも好成績と称するを得ざる状態であつた。
 最後に本博覧会参同の特色として記すべきは、本博覧会に対する政府並に当業者の施設経営が、前例なき規模計画を以てせられたる以外直接の関係を有せざる本邦朝野の人士が本博覧会に対し希望と感激とを表示せること、換言すれば「非常なる人気」を寄せたことである。故に本博覧会の開会に際しては、海外博覧会参同毎に見る関係者以外若干の開催地渡航の常例を破つて陸続仏京巴里を志し、其盛観に驚駭の眼をみはり、只管讃仰を傾けるのであつた。
○下略